説明

遊技機

【課題】大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大しても、スピーカユニットから発せられる音の音質が損なわれることがない遊技機の提供。
【解決手段】スピーカユニット40側に放音口21へ向かって突出する筒状突出部42を設け、前扉3側のスピーカベース部22に筒状受部23を設け、筒状受部23の嵌合部26にスピーカユニット40の筒状突出部42を嵌合させ、フランジ部41を貫通するタッピングネジでスピーカユニット40をスピーカベース部22に取り付ける。これにより、筒状受部22の径方向及び軸方向のいずれへも、スピーカユニット40が移動不可能となり、スピーカユニット40を大口径化及び大出力化しても、駆動時にスピーカユニット40自体が振動せず、音質が何ら損なわれることがなく、優れた音質の音を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うために必要な遊技用装置の前方を覆う前方カバー部と、この前方カバー部の裏側に取り付けられるとともに、遊技を演出するための音を発するスピーカユニットとを備えている遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人々に娯楽を提供する遊技機として、複数の回転リールに記された図柄を揃える遊技を行うスロットマシンが利用されている。このスロットマシンは、複数種類の図柄が記されるとともに回転駆動される回転リールを備え、遊技者が所定の操作を行って回転リールを停止させた際に、表示されている図柄が所定の組み合わせになっていれば入賞となり、入賞した役に対応する枚数のメダルが遊技者に払い出される遊技機である。
このようなスロットマシンには、複数設けられた回転リールの回転を開始させる際に操作されるスタートスイッチと、これらの回転リールの回転を停止させる際に操作される複数のストップスイッチと、スタートスイッチが操作されたことを契機として遊技における当否に係る抽選を行う当否抽選手段とが設けられている。
【0003】
そして、遊技者がスタートスイッチを操作すると、複数の回転リールが回転を開始するとともに、当否抽選手段によって当否に係る抽選が行われ、この抽選で何らかの役に当選した場合にのみ、図柄が所定の組み合わせに揃って入賞することが可能となっている。
また、近年のスロットマシンは、動画等の様々な画像を画面に表示する液晶表示装置等の画像表示装置と、音声や音楽等の各種の音をスピーカユニットから発する音響装置とを備え、これらの画像表示装置及び音響装置を有効に利用することで、多種多様な演出を行うことが可能となっている。
ここで、画像表示装置の画面や音響装置のスピーカユニットは、スロットマシンの前扉の前面に形成された開口部に裏側から取り付けられるようになっている。
【0004】
ここで、スロットマシン等の遊技機は、遊技者に向いた前面部分が合成樹脂の成形品であり、スピーカユニットが取り付けられる部位についても合成樹脂の成形部分となり、このような合成樹脂の成形部品では、肉厚を大きくすると、表面が部分的に凹む、いわゆる「ヒケ」が生じてしまうので、スピーカユニットが取り付けられる部位についても、肉厚を薄くせざるを得ない。このため、スピーカユニットをネジ止めするのに充分な肉厚を確保することができず、そのままでは、スピーカユニットを取り付けることはできない。
このため、スピーカユニットを取り付けるために、次の(1)及び(2)のようなスピーカユニットの取付構造が提案されている。
【0005】
(取付構造1)
スピーカユニットが取り付けられる被取付部にスピーカユニットのネジ止めするにあたり、スピーカユニットのネジ挿通孔に対応する被取付部の各位置に、その表面から突出するボスを設け、これらのボスに振動防止部材を介装してスピーカユニットをネジ止めする。これにより、スピーカユニットの駆動時にスピーカユニットで発生する振動を振動防止部材が吸収し、スピーカユニットで発生する振動が他の部位に伝達されず、他の部位が振動することで発生するびびり音等の雑音が抑制され、遊技機から発せられる音から雑音を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
(取付構造2)
円形スピーカユニットを内部に収納する着脱カバーの側面に径方向外側へ突出する複数の鍔部を設ける一方、スピーカユニットが取り付けられる被取付部には、着脱カバーの鍔部を係止する係止溝を形成し、弾性のある固定補助部材を円形スピーカユニットの上に載せ、この状態で、円形スピーカユニットの上から着脱カバーを被せるとともに、着脱カバーを回転させて着脱カバーの鍔部を係止溝の端部から内部へ嵌め込み、これにより、スピーカユニットを被取付部に固定する。このようにすれば、ネジ止めが不要となるので、スピーカユニットを容易に取り付けることができる。
【0007】
そのうえ、着脱カバーとの間に介装された弾性のある固定補助部材がスピーカユニットのフレームに常に押し当てられているので、円形スピーカユニットがスピーカコーンを振動させる際に、弾性のある固定補助部材が円形スピーカユニットのフレームの振動を吸収するので、フレームの振動によって発生するびびり音等の雑音が抑制され、遊技機から発せられる音から雑音を低減できる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−126748号公報
【特許文献2】特開2003−236082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のようなスピーカユニットの取付構造を採用した遊技機では、より大きな口径のスピーカユニットを採用するとともに音量を増大、特に、重低音の音量を増大し、これにより、遊技機から発せられる音の迫力を増そうとすると、スピーカユニットが発する音の音像がぼけてしまい、スピーカユニットが発する音の音質が損なわれる。特に、スピーカユニットで大音量の重低音を出力しようとすると、音圧確保のために、スピーカコーンの振幅を大きくせざるを得ない。このため、スピーカユニット自体の振動を充分に抑制できず、重低音域の音質が他の音域に比べてより著しく損なわれてしまう、という問題がある。
すなわち、前述の取付構造1を採用した遊技機では、スピーカユニットの大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大すると、スピーカユニットを支持するボスがスピーカユニットの質量に負けて、スピーカユニット自体の揺動を許容するので、スピーカユニットの駆動時に、スピーカコーンだけでなく、スピーカユニットのフレームを含むスピーカユニット全体が振動してしまい、これにより、スピーカユニットが発する音の音像がぼけてしまう。特に、重低音は、その影響を受けやすいので、解像度が低下してしまい、従って、スピーカユニットが発する音の音質が損なわれてしまう、という問題がある。
【0009】
また、前述の取付構造2を採用した遊技機では、スピーカユニットの大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大すると、弾性変形する固定補助部材によっては、スピーカフレームを含むスピーカユニット全体の振動を抑えることが不可能となり、前述の取付構造と同様に、スピーカユニットの駆動時に、スピーカコーンだけでなく、スピーカユニット全体が振動してしまい、これにより、スピーカユニットが発する音の音像がぼけてしまい、特に、重低音は解像度が低下してしまい、スピーカユニットが発する音の音質が損なわれてしまう、という問題がある。
なお、前述の取付構造2を採用した遊技機では、スピーカユニットが被取付部の表面に接しているので、スピーカユニットと被取付部との間にスピーカコーン保護用の金網を介装すると、スピーカコーンのエッジ部が金網に当接してしまう。
【0010】
そして、エッジ部が金網に当接した状態で、スピーカユニットを駆動すると、スピーカコーンは、エッジ部が金網に押し付けられた状態で振動するので、エッジ部が短期間で傷付き、エッジ部の傷によって出力音に歪みが生じてしまい、スピーカユニットが発する音の音質を著しく劣化する。そのうえ、そのまま使用し続け、エッジ部が大きく破断してしまうと、まともな音が出なくなってしまう、という問題が発生する。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スピーカユニットの大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大しても、スピーカユニットから発せられる音の音質が損なわれることがない遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、遊技を行うために必要な遊技用装置の前方を覆う前方カバー部(3)と、この前方カバー部(3)に形成された放音口(21)の裏側に取り付けられるとともに、遊技を演出するための音を発するスピーカユニット(40)とを備えている遊技機(1)であって、前記スピーカユニット(40)には、音を発するために振動するコーン(43)と、このコーン(43)の外周縁が連結されて当該コーン(43)を振動自在に支持しているフランジ部(41)と、このフランジ部(41)の周縁に沿った筒状に形成されているとともに、その先端部分が当該フランジ部(41)の前面から前記放音口(21)へ向かって突出している筒状突出部(42)とが設けられ、前記前方カバー部(3)には、前記スピーカユニット(40)の前記フランジ部(41)が密着可能な面(22B) を有しているスピーカベース部(22)が設けられ、このスピーカベース部(22)には、前記放音口(21)を囲む筒状に形成されるとともに、その表側の面から当該遊技機(1)の前方へ突出する筒状受部(23)が設けられ、この筒状受部(23)の内周面には、前記前方カバー部(3)の表側から裏側へ至る途中で内径が拡大された段付部(25)が形成され、この筒状受部(23)の内周面における内径の拡大された部分は、前記スピーカユニット(40)に設けられている筒状突出部(42)を嵌合させる嵌合部(26)とされ、前記スピーカユニット(40)は、前記筒状突出部(42)が前記筒状受部(23)の前記嵌合部(26)に嵌合され、そのフランジ部(41)の表側の面が前記スピーカベース部(22)の裏側の面(22B) に密着するとともに、その筒状突出部(42)の外周面が前記筒状受部(23)の前記嵌合部(26)の内周面に密着し、この状態で前記スピーカベース部(22)に固定されていることを特徴とする。
【0012】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、前述した請求項1に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項2に記載された発明は、前記筒状受部(23)の前記段付部(25)には、裏向きの段付面(25A) が形成されており、この段付面(25A) と、前記スピーカユニット(40)の前記筒状突出部(42)の先端部との間には、前記嵌合部(26)の内径に応じた直径の金網(48)が介装され、前記放音口(21)は、前記金網(48)で通気可能に塞がれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、先端部分がフランジ部の前面から放音口へ向かって突出している筒状突出部をスピーカユニットに設け、前方カバー部側のスピーカベース部に筒状に遊技機の前方へ突出する筒状受部を設けるとともに、この筒状受部の内周面を段付に形成し、この段付の形成により、スピーカユニットの筒状突出部を嵌合させる嵌合部を形成したので、スピーカユニットの筒状突出部を筒状受部の嵌合部に嵌合させた状態で、スピーカユニットのフランジ部を貫通するネジ等の接合具でスピーカベース部を取り付ければ、スピーカユニットは、筒状突出部が筒状受部の嵌合部に嵌合されていることから、筒状受部の径方向への移動が不可能になるうえ、フランジ部を貫通する接合具により、筒状受部の軸方向への移動も不可能になり、従って、いずれの方向にも移動不可能になってスピーカベース部に強固に固定され、スピーカユニットの大口径化及び大出力化を図っても、駆動時にスピーカユニット自体が振動することがなくなり、スピーカユニットの取り付けに関して何ら問題を生じさせない。
【0014】
また、スピーカユニットの筒状突出部を筒状受部の嵌合部に嵌合すると、そのフランジ部の表側の面がスピーカベース部の裏側の面に密着するとともに、その筒状突出部の外周面が筒状受部の嵌合部の内周面に密着するようにしたので、大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大させてスピーカユニットを駆動した際に、スピーカユニットのコーン以外の部分が部分的に振動しようとしても、スピーカベース部側の部位が密着して当該部分が振動することを妨げるので、コーン以外の部分が、元来、音となるべきコーンの振動エネルギーで振動することがなく、当該部分が振動することによるエネルギーの無駄もなくなり、これにより、スピーカユニットが発する音の音像がクリアとなり、特に、重低音の解像度を充分に確保することができる。
【0015】
従って、スピーカユニットの大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大しても、スピーカユニットから発せられる音の音質が何ら損なわれることがなく、優れた音質の音で音声演出を行うことができ、以上により、前記目的が達成される。
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2記載の発明によれば、筒状受部の段付部に形成される段付面と、スピーカユニットに形成された筒状突出部の先端部との間に金網を介装したので、筒状受部の段付部に金網を配置した状態で、スピーカユニットをスピーカベース部に取り付ければ、金網の取付作業も自動的に行われ、金網の取付作業を著しく簡略化することができる。そのうえ、スピーカユニットに形成された筒状突出部の先端部は、コーンの外周縁のエッジ部と離れた位置に配置されるので、筒状受部の段付面と、筒状突出部の先端部との間に介装された金網にコーンのエッジ部が当接することはなく、従って、エッジ部が金網に押し付けられて傷付くことや、また、エッジ部が金網と当接することに起因するスピーカユニットの音質劣化や、コーン外周縁に形成されたエッジ部の破断等も未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機であるスロットマシンを示す正面図である。
【図2】前記実施形態に係る前方カバー部でありフロントマスク部を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るスピーカベース部及びその周辺を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】前記実施形態に係るスピーカユニットを示す斜視図である。
【図6】前記実施形態要部を示す分解斜視図である。
【図7】前記実施形態要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態である一実施形態について、図面に基づいて説明する。
(スロットマシン1の概略構成)
本実施形態に係る遊技機としてのスロットマシン1は、図1に示すように、三個の回転リール11の各々に記された複数種類の図柄が所定の組合せとなるように、回転している回転リール11を停止させる遊技を行うものである。また、スロットマシン1は、遊技媒体として金属製のメダルを採用したものであり、メダルの投入によって遊技を開始するように形成されている。
【0018】
このようなスロットマシン1には、図1の如く、遊技を行うために必要な遊技用装置を収納するために、正面形状が長方形となった六面体の箱状に形成されるとともに、前面が開口された筐体2が備えられている。
筐体2は、前面全体が開口された箱状の部材である。そして、筐体2の前面開口は、当該筐体2に回動可能に取り付けられた前扉3で塞がれるようになっている。なお、前扉3は、閉じられると、自動的に施錠されるようになっている。
前扉3は、前述したように筐体2の前面の開口を塞ぐ部材である。換言すると、前扉3は、筐体2の内部に収納されるとともに遊技を行うために必要な装置である遊技用装置の前方を覆う前方カバー部となっている。この前扉3には、その前面をほぼ二分する上部パネル部4及び下部パネル部5が備えられている。
【0019】
このうち、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダルを貯留する受皿部6Aが一体成形された受皿ユニット6が設けられている。また、上部パネル部4と下部パネル部5との間には、遊技に係る操作を行うための操作卓7が遊技者側に突出するように形成されている。
ここで、上部パネル部4及び下部パネル部5は、意匠的に優れた外観を確保するために、合成樹脂製の化粧板が表面に張り付けられたものとなっている。
(上部パネル部4)
上部パネル部4には、図1中、操作卓7の上方且つ幅方向の中央部分において長方形状に形成された表示窓部4Aが設けられている。
【0020】
ここで、筐体2内部に設けられた三個の回転リール11の各々は、その外周面に複数種類の図柄に記されている。そして、各回転リール11の図柄は、筐体2の外部から表示窓部4Aを通して目視可能となっている。なお、回転リール11の内部には、回転リール11を内側から照射する、図1には示されていないリール照明部が設けられている。
上部パネル部4の上端縁部分には、正面形状が左右に細長い逆台形状に形成された演出用照明装置4Bが設けられている。この演出用照明装置4Bは、上部パネル部4の上端縁部分のほぼ中央に配置され、その両端部は、演出用照明装置4Bの角隅部分まで達することなく、その手前の位置で途切れたものとなっている。
【0021】
また、上部パネル部4の上側における両角近傍には、正面形状が湾曲した帯状に形成されるとともに、漢数字の「八」を描く一対の演出用照明装置4Cが設けられている。これらの演出用照明装置4Cの各々は、その上端部が演出用照明装置4Bの端部近傍に配置されるとともに、その下端側の部分が上部パネル部4の側縁へ向かって斜め下方に延びたものとなっている。
さらに、上部パネル部4の両方の側縁には、その間に表示窓部4Aを挟むようにして配置された一対の演出用照明装置4Dが設けられている。
これらの演出用照明装置4B〜4Dの各々は、赤色のレンズの内部に配置された高輝度発光ダイオード等の光源を備え、遊技の進行に応じて、その光源の点灯又は点滅により、遊技における視覚的な演出効果を高めるものである。
【0022】
表示窓部4A及び演出用照明装置4Bの間には、遊技の演出用画像を表示する液晶表示装置4Eが設けられている。この液晶表示装置4Eは、動画を含む様々な画像を、遊技の進行に応じて表示するものである。
液晶表示装置4Eの下側における両角近傍には、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部4Fがそれぞれ設けられている。
(操作卓7)
操作卓7は、遊技における操作に必要な各種のスイッチ類が配置されたものである。
すなわち、操作卓7における図1中右端の部分には、前扉3の施錠を解除するための鍵が挿入される鍵穴7Aが設けられている。この鍵穴7Aの左斜め上方には、メダルを投入するためのメダル投入口7Bが開口されたメダル投入部7Cが設けられている。
【0023】
メダル投入口7Bの左斜め下方には、三個の回転リール11のそれぞれを停止させる際に操作される三個のストップスイッチ7Dが設けられている。これら三個のストップスイッチ7Dのうち、左端に配置されているストップスイッチ7Dの左斜め上方には、遊技者等が1回の押圧操作を行うと、最大枚数(一般的には3枚)のメダルがベットされるマックスベットスイッチ7Eが設けられている。
左端のストップスイッチ7Dの左方であって、マックスベットスイッチ7Eの左斜め下方の位置には、三個の回転リール11を一斉に回転させる際に操作されるスタートスイッチ7Fが設けられている。
【0024】
マックスベットスイッチ7Eの図1中左方には、遊技者等が1回の押圧操作を行うと、1枚のメダルがベットされる1枚ベットスイッチ7Gが設けられている。
1枚ベットスイッチ7Gの左斜め下方の位置には、遊技者等が押圧操作を行うと、貯留メダルの精算動作を実行する、あるいは、ベットされたメダルを元に戻す精算スイッチ7Hが設けられている。
(下部パネル部5及び受皿ユニット6)
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを表す象徴するキャラクター等が描かれたパネル5Aが設けられている。
【0025】
受皿ユニット6には、メダルを貯留する前述の受皿部6Aに加えて、入賞時に受皿部6Aへ向かって払い出されるメダルを排出させるメダル払出口6Bと、遊技を演出するための音を発する後述のスピーカユニット40を備えた音声出力部6Cとが設けられている。
(スピーカユニット40の取付構造)
音声出力部6Cのスピーカユニット40は、本発明に基づく取付構造によって前扉3の主要構成部品であるフロントマスクユニット20に取り付けられている。以下に、スピーカユニット40の取付構造について詳しく説明する。
すなわち、フロントマスクユニット20は、図2に示すように、略枠状に形成されるとともに、スピーカユニット40や液晶表示装置4E等、前扉3に設けられた他の構成部品が取り付けられるフレーム部である。
【0026】
フロントマスクユニット20の下部には、図2〜図4に示すように、スピーカユニット40の発する音を外部へ導く放音口21が形成されなっている。そして、この放音口21の周辺部分がスピーカユニット40の取付部位であるスピーカベース部22となっている。
このスピーカベース部22には、放音口21を囲む筒状に形成されるとともに、当該スピーカベース部22の表側(フロントマスクユニット20の前面側)の面20A からスロットマシン1の前方へ突出する筒状受部23が設けられている。この放音口21の周囲には、図3及び図4の如く、フロントマスクユニット20の表側の面からスロットマシン1の前方へ突出する複数のボス24が設けられている。
【0027】
これらのボス24の各々は、スピーカユニット40を取り付けるための図示しないタッピングネジと螺合するものである。また、これらのボス24は、放音口21の周縁に沿って等間隔に配置されている(図3参照)。
スピーカベース部22の裏側(フロントマスクユニット20の背面側)の面は、図4に示すように、スピーカユニット40の後述するフランジ部41が密着可能であるとともに、スピーカユニット40のフランジ部41を受ける受面22B となっている。この受面22B の周縁部分には、当該受面22B からスピーカベース部22の後方へ向かって突出するとともに、受面22B の周縁に沿って断続的に延出した立ち上がり部22C が形成されている。
【0028】
そして、筒状受部23の内周面には、当該筒状受部23の内部をスピーカベース部22の表側から裏側へ抜ける途中、具体的には、図4中左側から右側へ至る途中、換言すると、フロントマスクユニット20の表側から裏側へ至る途中の部分で内径が拡大された段付部25が形成されている。
この筒状受部23の内周面における内径の拡大された部分は、スピーカユニット40に設けられている後述する筒状突出部42を嵌合させる嵌合部26となっている。
一方、スピーカユニット40は、図5に示すように、音を発するために振動するコーン43と、このコーン43を振動させるのに必要な磁界を形成する環状の永久磁石44と、これらのコーン43及び永久磁石44を支持するとともに、略円錐台状に形成されたフレーム45とを備えたものとなっている。
【0029】
このうち、フレーム45の略円錐台状の広がった端面の外周縁部分には、径方向外側へ鍔状に広がる前述のフランジ部41が形成されている。
フランジ部41は、外周部分の形状(輪郭)が略正方形に形成されるとともに、内周部分が円形に形成された環状の部位である。
ここで、フランジ部41の角隅部分は、スピーカベース部22側の受面22B との接触面積が大きくなるように、円形に形成された内周部分から径方向外側へ延出する径方向の寸法が拡大されている。
これにより、スピーカユニット40のフランジ部41と、スピーカベース部22の受面22B との接触面積が大きくなり、コーン43が前後に動く際に発生する反力をスピーカベース部22側の受面22B で受けるにあたり、受面22B は、当該反力を広い面積で分散させて受けとめることができるようになる。これにより、スピーカベース部22側の受面22B が振動しにくいものとなり、スピーカユニット40の駆動時に、受面22B がスピーカユニット40自体の振動を抑制するようになるので、スピーカユニット40で大音量の重低音を出力しても、その音質が損なわれない。
【0030】
また、フランジ部41には、その前面(図5中左側の面)から放音口へ向かって突出している前述の筒状突出部42が一体的に設けられている。
さらに、フランジ部41には、その前面(図5中左側の面)から放音口へ向かって突出している前述の筒状突出部42が一体的に設けられている。
フランジ部41の角隅部分の各々には、スピーカユニット40を取り付けるための図示しないタッピングネジを挿通させるとともに、スピーカベース部22側のボス24にそれぞれ対応する挿通孔46が設けられている。
ここで、フランジ部41の角隅部分は、径方向外側へ寸法が拡大されているので、その剛性が低下することが予想され、その剛性低下に起因してスピーカユニット40自体の振動抑制が不十分になることが予想される。しかしながら、当該角隅部分にタッピングネジを挿通させる挿通孔46を設けたので、スピーカユニット40をスピーカベース部22に取り付けてしまえば、タッピングネジの頭部がフランジ部41の角隅部分を受面22B へ向かって押さえつけ、当該角隅部分の弾性変形を防止し、これにより、フランジ部41の角隅部分の剛性は低下することがない。従って、スピーカユニット40自体の振動が充分に抑制されるので、スピーカユニット40で大音量の重低音を出力しても、その音質が損なわれない。なお、タッピングネジの頭部の直径に比べて、フランジ部41の角隅部分の面積が著しく大きいときは、角隅部分の面積に応じた直径のワッシャを、タッピングネジの頭部とフランジ部41の角隅部分との間に介装するのが好ましい。
【0031】
フランジ部41の内周縁41A には、柔軟性を有するエッジ部47を介してコーン43の外周縁が連結されている。これにより、コーン43は、振動自在にフランジ部41に支持されたものとなっている。
このようなスピーカユニット40は、図6に示すように、スピーカベース部22側に取り付けるにあたり、スピーカベース部22側との間に円形の金網48を配置した状態で、スピーカベース部22の裏側から当該スピーカベース部22に押し当てられ、筒状突出部42が筒状受部23の嵌合部26に嵌合されるようになっている。
この際、スピーカベース部22側の立ち上がり部22C の内部にスピーカユニット40のフランジ部41が嵌め込まれ、スピーカユニット40側の各挿通孔46がスピーカベース部22側の各ボス24と重なり合うようになっている。
【0032】
そして、スピーカユニット40側の筒状突出部42がスピーカベース部22側の筒状受部23の嵌合部26に嵌合されると、図7に示すように、スピーカユニット40に設けられたフランジ部41の表側の面(図7中左方を向いた面)がスピーカベース部22の裏側(図7中右側)の受面22B に密着するとともに、その筒状突出部42の外周面が筒状受部23の嵌合部26の内周面に密着するようになっている。
そして、フランジ部41の表側の面と受面22B とが密着し、且つ、筒状突出部42の外周面が嵌合部26の内周面に密着した状態で、スピーカユニット40の各挿通孔46に挿通された図示しないタッピングネジをスピーカベース部22の各ボス24に螺合させることにより、スピーカユニット40がスピーカベース部22に固定されるようになっている。
【0033】
この際、ボス24は、図示しないタッピングネジとの螺合を開始するにあたり、先端側の端部ではなく、基端側の端部から螺合が開始されるようになっている。
これにより、フロントマスクユニット20の肉厚が薄い成形品であることから、スピーカベース部22の受面22B を平面にすると、そのままでは、受面22B の下地部分の肉厚を充分に確保できなくても、ボス24によってタッピングネジの螺合長さが充分に確保され、スピーカユニット40の強固な固定が可能となっている。
また、筒状受部23の段付部25には、図7の如く、裏向き(図7中右向き)となった、換言すると、スピーカベース部22の裏面側を向いた、段付面25A が形成されている。
【0034】
金網48は、嵌合部26の内径に応じた直径を有するものである。このような金網48は、不正行為を防止するために、スピーカベース部22の段付面25A とスピーカユニット40の筒状突出部42の先端部との間に介装されるようになっている。これにより、放音口21は、その奥側に配置された金網48で通気可能に塞がれている。
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、先端部分がフランジ部41の前面から放音口21へ向かって突出している筒状突出部42をスピーカユニット40に設け、前扉3側のスピーカベース部22に筒状にスロットマシン1の前方へ突出する筒状受部23を設けるとともに、この筒状受部23の内周面を段付に形成し、この段付の形成により、スピーカユニット40の筒状突出部42を嵌合させる嵌合部26を形成し、且つ、スピーカユニット40の筒状突出部42を筒状受部23の嵌合部26に嵌合させた状態で、スピーカユニット40のフランジ部41を貫通するタッピングネジでスピーカユニット40をスピーカベース部22に取り付けるようにしたので、スピーカユニット40は、筒状突出部42の筒状受部22の嵌合部26への嵌合により、筒状受部22の径方向への移動が不可能になるうえ、フランジ部41を貫通するタッピングネジにより、筒状受部22の軸方向への移動も不可能になる。
【0035】
このため、スピーカユニット40は、いずれの方向にも移動不可能になってスピーカベース部22に強固に固定され、スピーカユニット40の大口径化及び大出力化を図っても、駆動時にスピーカユニット40自体が振動することがなくなり、スピーカユニット40の取り付けに関して何ら問題を生じさせない。
【0036】
また、スピーカユニット40の筒状突出部42を筒状受部23の嵌合部26に嵌合させると、そのフランジ部41の表側の面がスピーカベース部22の受面22B に密着するとともに、その筒状突出部42の外周面が筒状受部23の嵌合部26の内周面に密着するようにしたので、大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大させてスピーカユニット40を駆動した際に、スピーカユニット40のコーン43以外の部分が部分的に振動しようとしても、コーン43以外の部分とスピーカベース部22側の各部位とが密着して、コーン43以外の部分が振動することを妨げるので、コーン43以外の部分が、元来、音となるべきコーン43の振動エネルギーで振動することがなく、当該部分が振動することによるエネルギーの無駄がなくなり、これにより、スピーカユニット40が発する音の音像がクリアとなり、特に、重低音の解像度を充分に確保することができる。
【0037】
従って、スピーカユニット40の大口径化及び大出力化を行うとともに出力音量を増大しても、スピーカユニット40から発せられる音の音質が何ら損なわれることがなく、優れた音質の音で音声演出を行うことができる。
さらに、筒状受部23の段付部25に形成される段付面25A と、スピーカユニット40に形成された筒状突出部42の先端部との間に金網48を介装したので、筒状受部23の段付部25に金網48を配置した状態で、スピーカユニット40をスピーカベース部22に取り付ければ、金網48の取付作業も同時且つ自動的に行われ、金網48の取付作業を著しく簡略化することができる。そのうえ、スピーカユニット40に形成された筒状突出部42の先端部は、コーン43の外周縁のエッジ部47とは離れた位置に配置されるので、筒状受部23の段付面25A と、筒状突出部42の先端部との間に介装された金網48にコーン43のエッジ部47が当接することはなく、従って、エッジ部47が金網48に押し付けられて傷付くこともなく、また、エッジ部47が傷付くことに起因するスピーカユニット40の音質の劣化や、コーン43のエッジ部47の破断等も未然に防止することができる。
【0038】
また、スピーカユニット40のフランジ部41を受けるスピーカベース部22に、その受面22B の周縁に沿って断続的に延出した立ち上がり部22C を突設し、この立ち上がり部22C の内部にスピーカユニット40のフランジ部41を嵌め込み、スピーカユニット40が筒状受部22の径方向へ移動しないようにしたので、スピーカユニット40のスピーカベース部22への取付強度が補強され、スピーカユニット40自体の振動が更に一層防止され、この点からも、スピーカユニット40が発する音の音像がクリアとなり、特に、重低音の解像度を充分に確保することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
【0039】
例えば、遊技機としては、スロットマシンに限らず、遊技球を遊技媒体として利用するパチンコ機や、あるいは、液晶表示装置等の画面を見ながら遊技者がボタンやレバーの操作を行うテレビゲーム機でもよく、要するに、本発明は、スピーカユニットから音を発するように形成された遊技機全般に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 遊技機としてのスロットマシン
3 前方カバー部としての前扉
21 放音口
22 スピーカベース部
22B フランジ部が密着可能な面である受面
23 筒状受部
25 段付部
25A 段付面
26 嵌合部
40 スピーカユニット
41 フランジ部
42 筒状突出部
43 コーン
48 金網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うために必要な遊技用装置の前方を覆う前方カバー部と、この前方カバー部に形成された放音口の裏側に取り付けられるとともに、遊技を演出するための音を発するスピーカユニットとを備えている遊技機であって、
前記スピーカユニットには、音を発するために振動するコーンと、このコーンの外周縁が連結されて当該コーンを振動自在に支持しているフランジ部と、このフランジ部の周縁に沿った筒状に形成されているとともに、その先端部分が当該フランジ部の前面から前記放音口へ向かって突出している筒状突出部とが設けられ、
前記前方カバー部には、前記スピーカユニットの前記フランジ部が密着可能な面を有しているスピーカベース部が設けられ、
このスピーカベース部には、前記放音口を囲む筒状に形成されるとともに、その表側の面から当該遊技機の前方へ突出する筒状受部が設けられ、
この筒状受部の内周面には、前記前方カバー部の表側から裏側へ至る途中で内径が拡大された段付部が形成され、
この筒状受部の内周面における内径の拡大された部分は、前記スピーカユニットに設けられている筒状突出部を嵌合させる嵌合部とされ、
前記スピーカユニットは、前記筒状突出部が前記筒状受部の前記嵌合部に嵌合され、そのフランジ部の表側の面が前記スピーカベース部の裏側の面に密着するとともに、その筒状突出部の外周面が前記筒状受部の前記嵌合部の内周面に密着し、この状態で前記スピーカベース部に固定されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記筒状受部の前記段付部には、裏向きの段付面が形成されており、
この段付面と、前記スピーカユニットの前記筒状突出部の先端部との間には、前記嵌合部の内径に応じた直径の金網が介装され、
前記放音口は、前記金網で通気可能に塞がれていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−200298(P2011−200298A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68189(P2010−68189)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】