説明

遊技機

【課題】 遊技機の正面側部の発光ムラをなくして均一な発光を実現するとともに、より動きのある演出を実行でき、かつ、リール図柄の視認性の低下を防止する。
【解決手段】 遊技機1の前面に設けられ、所定位置に窓孔91aが形成された透光性の前面パネル91と、窓孔91aの内側端面から光を入射することにより、前面パネル91の外周端面91dを発光させる光源とを備える遊技機1であって、光源が、線光源92からなり、この線光源92が、内側端面に沿って配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で行われる遊技の内容に応じて所定の発光態様により演出する導光構造を備えた遊技機に関し、特に、遊技機前面に設けられた前面パネルの外周縁面を均一に発光して鮮明な演出を可能とする遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機には、LEDや電球などの電飾用光源が、遊技機正面の所定の箇所に埋設してあり、遊技内容に応じた所定の発光態様で演出を行っている。例えば、大当り状態のときには、遊技機正面の全体が種々の発光色で華々しく照明され、遊技者を大いに祝福する演出が行われる。
【0003】
ところが、遊技機の電飾は、通常、遊技機の正面にのみ設けられているので、当該遊技機の遊技者は容易に視認できるものの、周囲の遊技者による視認性は低く、電飾の効果が十分に発揮されていなかった。
そこで、遊技機の正面だけでなく、正面側部も発光させる技術が提案されている。例えば、遊技機の正面全体を覆うように設けられ、中央部に窓孔が形成された透光性の前面パネルと、その窓孔の周縁部に設けられた光源とを備え、この光源からの光が窓孔の周縁部から入射して前面パネルの外周端面を発光させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この技術によれば、遊技機の正面側部も発光するため、当該遊技機の遊技者だけでなく、周囲の遊技者も容易に視認でき、電飾の効果を十分に発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、次のような状況があった。
例えば、窓孔の縁部に配置され前面パネルの内側端面から光を入射することにより、前面パネルの外周端面を発光させる光源には、複数のLEDを用いていた。LEDの光は発光部で最も強く、発光部から離れると弱くなる。このことから、LEDの発光部から導光される前面パネルの外周端面では明るく発光するものの、発光部から離れた場所から導光される前面パネルの外周端面は暗くなり、前面パネルの外周端面の発光にムラができ均一の明るさで光らせることができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術においては、電飾の光り方がLEDの光り方に拠っていた。つまり、LEDの光り方には点灯と点滅があるが、これがそのまま電飾の光り方となっていた。このため、電飾の光り方が単調となり、さらに動きのある演出を行うことができなかった。
【0007】
さらに、前面パネルの窓孔の周縁部に光源を配置すると、その窓孔から見えるリールの図柄の表示範囲が、その光源の幅だけ狭くなり、図柄の視認性が低下していた。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、遊技機の正面側部の発光ムラをなくして均一な発光を実現するとともに、より動きのある演出を実行でき、かつ、リール図柄の視認性の低下を防止する遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技機の前面に設けられ、所定位置に窓孔が形成された透光性の前面パネルと、窓孔の内側端面から光を入射することにより、前面パネルの外周端面を発光させる光源とを備える遊技機であって、光源が、線光源からなり、この線光源が、内側端面に沿って配置された構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機によれば、光源に線光源を用いたので、前面パネルの外周端面における発光ムラをなくすことができ、その外周端面の発光を均一にして演出効果を高めることができる。
また、光源を線光源とし、LEDを対向させる構造としたので、それら複数のLEDからの光の干渉によって明るくしたり、各光の色を混色して色を変化させたりするといった制御を行って、動きのある演出を実現し、演出効果をさらに高めることができる。
さらに、線光源を遊技機の内部に設けることで、前面パネルの窓孔の周縁部に線光源を設けなくてもよいことから、リール図柄の視認性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】遊技機の構成を示す外観斜視図である。
【図2】遊技機の内部構成を示す斜視図である。
【図3】遊技機を構成する前面パネル、前扉、中パネル枠の構成を示す分解斜視図である。
【図4】中パネル枠を前面から見た時の該中パネル枠と線光源の構成を示す分解斜視図である。
【図5】中パネル枠を裏面から見た時の該中パネル枠と線光源の構成を示す分解斜視図である。
【図6】線光源の構成を示す分解斜視図である。
【図7】線光線を並べた状態を示す平面図である。
【図8】前面パネルと線光源の構成を示す縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、遊技機には、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球など様々な機類があるが、本実施形態では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンに本発明を適用した場合について、図面を参照して説明する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す斜視図、図3は、遊技機に設けられる前面パネル、前扉、中パネルの構成を示す分解斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、前面に開口を有する箱状の筐体1bと、この筐体1bの前面に開閉可能に設けられる前扉1aとを備えて構成されている。
【0014】
前扉1aの前面中央には、筐体1bの内部に配置された複数のリール11(11a,11b,11c)の周面に描かれた図柄を視認可能な表示窓2が形成されている。
また、表示窓2の下方には、遊技操作に係る複数の操作手段が設けられている。操作手段には、メダルが投入されるメダル投入口31と、各リール11の回転を始動させるスタートレバー32と、回転している各リール11を停止させる複数(通常3つ)の停止ボタン33(33a,33b,33c)などがあり、これらが操作台3に設けられている。操作台3は、前扉1aの正面から前方に向けて張り出した凸型形状の遊技者操作用台であって、遊技者が操作しやすいように前述の各操作手段が集中して取り付けられている。
さらに、前扉1aには、この前扉1aの前面を覆うように前面パネル91が設けられている。この前面パネル91については、後記の「導光構造」で詳述する。
【0015】
筐体1bの内部には、複数のリール11を収納するドラムユニット10と、マイクロコンピュータ等で構成された制御部41と、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置5が設けられている。
また、前扉1aの裏側には、制御部41からの指令により、効果音等が出力されるスピーカ6や後述する線光源92を制御する演出制御部42が設けられている。さらに、前扉1aの裏側の中央には、表示窓2を構成する透明の表示部材21を周囲から支持する中パネル枠(窓枠)7が取り付けられている。この中パネル枠7については、後記の「導光構造」で詳述する。
【0016】
このような構成を有するスロットマシン1では、次のようなスロットマシン遊技が進行する。
すなわち、遊技者によりメダル投入口31からメダルが投入され、スタートレバー32が操作されると、制御部41は、ドラムユニット10を駆動して、各リール11を回転させる制御を行う。また、制御部41は、スタートレバー32が操作されたときに、ボーナスや小役等を抽せんする内部抽せんを行い、各停止ボタン33が押下操作されたタイミングに基づき、抽せん結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール11の停止制御を行う。
さらに、制御部41は、各リール11に停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置5に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口8から払い出す。
【0017】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、制御部41が遊技状態に応じた所定の制御信号を演出制御部42に出力することで、演出制御部42が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、LEDなどの発光体92cを駆動するなどして所定の演出を行う。
そして、本実施形態においては、前面パネル91に形成された窓孔91aの内側端面に沿って線光源92を配置し、この線光源92からの光をその内側端面から入射し、前面パネル91の外周端面を発光させる導光構造とした。このように導光構造の光源を線光源92としたことで、その外周端面にてムラのない均一な発光を実現し、鮮明な演出を実行可能としている。
以下に、本実施形態の導光構造について、各図を参照して詳述する。
【0018】
[導光構造]
図4は、中パネル枠を前面から見た時の該中パネル枠とこれに取り付けられる線光源の構成を示す分解斜視図、図5は、中パネル枠を裏面から見た時の該中パネル枠とこれに取り付けられる線光源の構成を示す分解斜視図、図6は、線光源の構成を示す分解斜視図、図7は、線光源の端部の構造を示す要部拡大図(図4のI−I断面図)、図8は、前面パネルと線光源の断面を示す縦方向断面図及び要部拡大図である。
【0019】
本実施形態に係る導光構造は、遊技機の前面に設けられる前面パネル91と、この前面パネル91の内側端面に光を入射して該前面パネル91の外周端面91dを発光させる線光源92とを備えて構成されている。
前面パネル91は、可視光透過率の高いガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの無色透明、有色透明、又は半透明の透光性パネルからなり、前扉1aの前面を覆うように設けられている。この前面パネル91を透光性パネルとすることで、前扉1aの前面に設けられるランプカバーや装飾フィルム(いずれも図示せず)が視認可能となる。
【0020】
前面パネル91の中央部には、リール11の図柄を視認可能な窓孔91aが形成されており、この窓孔91aの周縁部には、遊技機1の内部に向かって延出したフランジ部91bが形成されている。このフランジ部91bは、前扉1aの表示窓2に挿入され、フランジ部91bの先端は、中パネル枠7に当接又は近接する位置に達している。
このフランジ部91bの延出方向には、このフランジ部91bの先端(内側端面)に対向するように線光源92が配置され、線光源92からの光がその先端に入射するようになっている。このように、フランジ部91bの先端が線光源92からの光の入射部になることから、その先端は、平面に形成するのが望ましい。
なお、線光源92及び中パネル枠7については、前面パネル91の説明の後に詳述する。
【0021】
前面パネル91の本体からフランジ部91bへ連続する部分、すなわち、窓孔91aの周縁部を構成する部分には、その周縁部に沿ってテーパ状の反射面91cが形成されている。
反射面91cは、前面パネル91の本体の面方向とフランジ部91bの延出方向の双方に対して所定の角度(例えば、45°)を有する斜面形状に形成されており、フランジ部91bの先端面から入射した光を反射する。この反射した光は、前面パネル91の外周端面91dに向かって伝播し、いわゆるエッジライト効果よりその外周端面91dが発光する。
【0022】
この反射面91cの形成角度θ(図8参照)は、前面パネル91の本体とフランジ部91bとの間の角度θを二分し、これを90°から減算した角度とすることができる。例えば、フランジ部91bが前面パネル91の本体の面方向に対して垂直方向に延出している場合には、垂直方向である90°を二分した45°を90°から減算し、この減算により得られた45°を反射面91cの形成角度θとすることができる。また、他の例として、前面パネル91の本体とフランジ部91bとの間の角度θが100°の場合には、これを二分した50°を90°から減算し、この減算により得られた40°を反射面91cの形成角度θとすることができる。パネル91の本体とフランジ部91bとの間の角度θが鈍角の場合だけでなく、鋭角の場合も同様である。
【0023】
このように、反射面91cの形成角度θを、前面パネル91の本体とフランジ部91bとの間の角度θを二分しこれを90°から減算した角度とすることで、フランジ部91bの先端面から入射した光が反射面91cで反射したときに、その伝播方向を前面パネル91の外周端面91dに向かう方向とすることができる。
換言すれば、反射面91cの形成角度θをどの角度にするかによって、入射光の伝播方向を所望の方向へ屈折させることができる。そして、この反射面91cを形成したことで、光の入射位置が外周縁部91dからの延長線上になくてもよくなることから、線光源92を、窓孔91aの周縁部ではなく遊技機1の内部に配置することができる。しかも、線光源92と前面パネル91の本体との間にフランジ部91bを配置したことで、遊技機1の内部に配置された線光源92からの光を前面パネル91の本体に確実に伝播させることができる。
しかも、線光源92を窓孔91aの周縁部ではなく遊技機1の内部に配置可能としたことで、表示窓2から見えるリール11の図柄の視認範囲が線光源92によって制限されなくなる。これにより、リール図柄の視認性の低下を防止できる。
【0024】
なお、反射面91cの幅W(図8参照)は、フランジ部91bの厚さをa、反射面91cの形成角度をθとしたときに、a/(sinθ)以上とするのが望ましい。これにより、フランジ部91bの先端面から入射した光のほとんどを反射面91cで反射させることができる。
また、反射面91cは、フランジ部91bを伝播してきた光が衝突する面であるため、外部からは光って見える。遊技機1の前面装飾の関係上、反射面91cが光って見えるのが望ましくない場合は、この反射面91cに外部から遮光部材(図示せず)を付設することができる。
【0025】
さらに、前面パネル91は、窓孔91aの下方にも操作台3を通すための孔91eが形成されている。これにより、前面パネル91は、表示窓2と操作台3とを除く前扉1aの正面全体を覆うように設けることができる。しかも、前面パネル91を上下に分割することなく、一枚の前面パネル91によって前扉1aの前面を覆うことができるので、前面全体に亘って面一な連続性のあるデザインとすることができる。
また、前面パネル91は、本実施形態においては、図3に示すように、上方から下方にかけて湾曲した形状としてあるが、湾曲した形状に限るものではなく、例えば、直線的な平面形状や、全体又は部分的に凹凸のある形状とすることもできる。
【0026】
さらに、前面パネル91の外周端面91dは、平坦面でもよいが、シボ(ホーニング)加工等を施すこともでき、これによって光を拡散させることができる。
また、前面パネル91を構成するパネル材に着色剤入りや蛍光材入りのものを採用することもでき、遊技機1の機種や遊技ホールの内装等に合わせて、前面パネル91の発光色を異ならせることができ、より多様な演出が行えるようにすることができる。
しかも、前面パネル91には、前扉1aに対する取り付け部91fが外周に沿って形成されている。取り付け部としては、ピン、ボス、ネジなどが挙げられる。このようにすると、前扉1aに対する前面パネル91の取り付けが容易になるだけでなく、外部からの不正な取り外し等も防止できる。
【0027】
線光源92は、図6に示すように、棒状に形成された導光部材92aと、この導光部材92aを支持する基台92bと、LEDなどで構成された発光体92cと、この発光体92cを支持する基板92dと、この基板92dを基台92bに係止固定する固定部材92eとを備えて構成されている。
【0028】
導光部材92aは、前面パネル91と同様に、可視光透過率の高いガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの無色透明、有色透明、又は半透明の透光性材料で形成することができる。
この導光部材92aの端面92a−1は、平面に形成されているが、端面92a−1の上部は、凸状に上部凸部92a−2が形成されている。この端面92a−1を平面とすることで、この端面92a−1に対向配置された発光体92cからの光を入射しやすくすることができ、さらに、上部凸部92a−2を設けることで、発光体92cからの光のうち上方へ放射された光を受け、線発光の一部として発光することができる。
なお、この導光部材92aの断面形状については、特に制限はないが、例えば、一辺が半円形のアーチ型形状に形成することができる。
【0029】
基台92bは、可塑性の合成樹脂などで形成されており、横長でほぼ矩形の平板状に形成された基礎部92b−1と、この基礎部92b−1の一方の面(おもて面)に立設形成された二枚の壁部からなる嵌合部92b−2とを有し、この嵌合部92b−2に導光部材92aを嵌め込むことで該導光部材92aを支持するようになっている。
基礎部92b−1は、矩形の長辺(嵌合部92b−2の長手方向に平行した辺)の長さが導光部材92aとほぼ同じ長さとなっており、嵌合部92b−2に導光部材92aが嵌め込まれると、この導光部材92aの端部が基礎部92b−1の端辺とほぼ同じ位置にくるようになっている。
【0030】
また、嵌合部92b−2の内側の各面(二つの壁部の対向面及び嵌合部92b−2の底面)は、白色で着色されている。しかも、嵌合部92b−2は、該嵌合部92b−2の底面に対向する上面のみに開口されている。このため、この嵌合部92b−2に嵌め込まれた導光部材92aは、その上面開口部のみで露出する。これらにより、導光部材92aの端面92a−1から入射した光のほとんどが嵌合部92b−2の内側の三面で反射して導光部材92aの露出面に集光し、この露出面から発光強度の強い光を放射させることができる。このように、嵌合部92b−2の構造は、上面開口部への集光効率を向上可能な構造となっており、この発光強度の強められた放射光を、嵌合部92b−2の露出面に対向したフランジ部91bの先端面に入射させることができる。
なお、フランジ部91bは、窓孔91aから遊技機1の内部へ向かう方向、すなわち、遊技機1全体から見て水平方向に延出形成されている。このため、導光部材92aからの放射光のうち発光強度が最も高い方向を水平方向とし、この水平方向の先にフランジ部91bの先端面が位置するように、線光源92を配置するのが望ましい。
【0031】
また、本実施形態において、嵌合部92b−2は、基礎部92b−1のおもて面から立設形成された二枚の壁部により構成されているが、二枚の壁部に限るものではなく、例えば、基礎部92b−1を肉厚形成し、おもて面から凹状の溝部を形成し、これを嵌合部92b−2とすることもできる。
【0032】
嵌合部92b−2の端部は、基礎部92b−1の端辺(基礎部92b−1の矩形の短辺)に達して開口となっており、この開口の縁部を一辺とし、この開口縁部に続く基礎部92b−1の短辺を他の一辺とする矩形板状の被係止部92b−3が立設形成されている。すなわち、被係止部92b−3は、基礎部92b−1のおもて面に対して垂直方向に板状で延出形成されており、同じく板状の基板92dを重ね合わせて、これらを固定部材92eで係止固定するようになっている。
なお、基礎部92b−1の端辺は、嵌合部92b−2の開口から二方向(反対の向きとなる二方向)に延伸しているので、被係止部92b−3は、それら延伸方向のそれぞれ(基礎部92b−1の一の端辺において二箇所、基礎部92b−1において計四箇所)に形成されている。
【0033】
また、基礎部92b−1の端辺には、ここから水平方向外側へ向かって突出形成された凸部92b−4が形成されている。この凸部92b−4は、後述する基板92dの孔92d−1に係入し、基板92dを位置決めして、該基板92dが面方向に移動するのを防止している。
【0034】
なお、被係止部92b−3は、本実施形態においては、板状に形成してあるが、板状に限るものではなく、固定部材92eにより係止可能な形状、例えば、棒状などに形成することもできる。
また、基台92bによる導光部材92aの支持は、本実施形態においては、嵌合部92b−2への嵌め込みとしてあるが、これに限るものではなく、例えば、鉤状の係止部を基台92bに立設形成して導光部材92aを係止したり、導光部材92aに鉤状の凸部を設け、基台92bの孔にその凸部を挿入して係止したりすることができる。
【0035】
発光体92cは、LED(発光ダイオード)などで構成することができ、導光部材92aの両端にそれぞれ一個ずつ配置されている。
この発光体92cは、指向特性における発光強度の強い方向が導光部材92aの端面92a−1と対向するように配置される。特に、チップ型LEDのように、発光面が一方向のみの発光体92cの場合は、この発光面が導光部材92aの端面92a−1に対向する位置に配置される。これにより、発した光のほとんどを導光部材92aの内部に伝播させることができる。なお、発光体92cにLEDを用いる場合は、チップ型、砲弾型、フラット型のいずれかを用いることができる。また、単色LED、多色LED、フルカラーLEDなどを用いることもできる。
【0036】
基板92dは、例えば、ベークライト基板や紙エポキシ基板など従来公知のプリント基板を用いることができ、発光体92cやコネクタ92f、抵抗器(図示せず)などを搭載可能な大きさに形成されている。
この基板92dは、発光体92cが導光部材92aの端面92a−1に対向するように基台92bの被係止部92b−3に併設される。このとき、発光体92cは、基台92bの嵌合部92b−2の端部開口に挿入される。この挿入された状態において、発光体92cは、基台92bの基礎部92b−1と、嵌合部92b−2の壁部端部と、基板92dと、導光部材92aの端面92a−1及び上部凸部92a−2により周囲が囲まれるので、光は、可視光透過率の高い導光部材92aへ伝播し、それ以外へはほぼ漏れないようになっている。
【0037】
コネクタ92fは、発光体92cへ電力を供給するための中継端子であって、基板92dにおいて発光体92cが取り付けられた面と同じ面に取り付けられている。そして、基板92dが基台92bの被係止部92b−3に併設されたとき、発光体92cは、基台92bの基礎部92b−1のおもて面側に配置され、コネクタ92fは、基礎部92b−1の裏側に配置されるようになる。これにより、演出制御部42から発光体92cへの信号を基礎部92b−1の裏側から供給することができ、しかも、コネクタ92fが、基礎部92b−1の矩形短辺よりも内側に収まるため、線光源92を横並びに複数並べたときに、導光部材92aの端部同士を接近させて、線発光の途切れをなくし、連続的に発光させることができる。
【0038】
固定部材92eは、重ね合わせた基台92bの被係止部92b−3と基板92dとを係止固定する金属製の板バネ部材である。
この固定部材92eは、コの字型に形成されて被係止部92b−3と基板92dとを一緒に挟み込む挟持部92e−1と、この挟持部92e−1のコの字の一方を延長した先に、そのコの字の形成方向と同じ方向に垂直に鉤状で形成された鉤部92e−2とを有している。
鉤部92e−2の角部から挟持部92e−1のコの字の角部(鉤部92e−2から連続した面の角部)までの長さは、基板92dの長さよりも僅かに長くなっている。そして、固定部材92eは、挟持部92e−1の方を先に被係止部92b−3及び基板92dに引っ掛けて、それら被係止部92b−3及び基板92dをコの字の奥まで押し込みきった後に、鉤部92e−2を基板92dの他端に係止するようになっている。
【0039】
この固定部材92eは、係止固定状態では、重合接触させた被係止部92b−3と基板92dに対し、被係止部92b−3の非接触面と基板92dの非接触面の両方から挟むように挟持部92e−1で挟持固定している。このため、基板92dは、その非接触面に対して垂直方向に外れることはない。
また、基板92dには孔92d−1が形成されており、ここに基台92bの凸部92b−4が係入するので、基板92dが該基板92dの面方向にずれることはない。
これらより、基板92dは、固定部材92eの係止及び凸部92b−4の係入により係止固定することができる。
【0040】
また、固定部材92eは、被係止部92b−3及び基板92dをコの字状の挟持部92e−1で挟持固定している。このため、固定部材92eは、その係止固定状態において、基板92d等の非接触面に対して垂直方向に外れることはない。
さらに、固定部材92eは、被係止部92b−3及び基板92dの一辺を挟持するとともに、この辺に対向する辺に鉤部92e−2を係止している。このため、固定部材92eは、その係止固定状態において、それら二辺に対して垂直方向に外れることはない。
【0041】
しかも、固定部材92eは、コの字状の挟持部92e−1を二つ横並びに設けており、基台92bの基礎部92b−1の一の端辺に形成された二つの被係止部92b−3のそれぞれに係止する。これにより、それら二つの被係止部92b−3に挟まれた嵌合部92b−2の端部を二つの挟持部92e−1により挟んだ状態となるため、固定部材92eは、それら二つの挟持部92e−1の並設方向に外れることはない。
ただし、固定部材92eは、適当な弾性を有しており、鉤部92e−2を係止方向とは逆の方向へ弾性的に反らせて係止を外しつつ、挟持部92e−1を、鉤部92e−2のある方向とは逆の方向へ引き抜くことで、固定部材92eを被係止部92b−3及び基板92dから外すことができる。
【0042】
このように、固定部材92eは、被係止部92b−3と基板92dとを挟持した状態においては、基板92dとともに、基台92bの基礎部92b−1のおもて面に対して垂直に並設される(導光部材92aの長手方向に対して垂直方向に配置される)。このことから、導光部材92aの端部から線光源92自体の端部までの距離が、基板92dの厚さ及び固定部材92eの厚さ分だけとなるので、線光源92を横並びに複数並べたときに、導光部材92aの端部同士を接近させることができ、それら導光部材92a同士の間隔を非常に短くして、連続的な線発光を実現できる。
なお、固定部材92eは、本実施形態においては、金属製としているが、金属製に限るものではなく、適当な弾性又は剛性を有する材料で形成することができる。
【0043】
中パネル枠7は、表示窓2を構成する透明な表示部材21を四方から支持する枠体71を有して構成されており、前扉1aの裏側の中央部にネジ止め等で取付固定される。
枠体71は、内周に沿って複数の長孔72が穿設されている。この長孔72は、枠体71の強度が極端に低下しない程度に複数に分けて穿設するのが望ましい。
【0044】
また、枠体71の裏側には、複数の線光源92が内周に沿って設合されている。この線光源92を設合するときの向きは、導光部材92aが長孔72に対向する向き、すなわち、導光部材92aからの光が遊技機1の前面方向に向かう向きに設合される。
さらに、線光源92は、該線光源92の長さや枠体71の形状に応じて、枠体71に複数配設することができる。例えば、枠体71の各辺の裏側に、設合する辺と同じ長さに形成された線光源92を一つずつ配設することができる。また、枠体71の上辺の裏側に、二つ(又は複数)の線光源92を横並びに連設し、枠体71の側辺の裏側に、一つ(又は複数)の線光源92を縦方向に立設し、枠体71の下辺の裏側に、二つ(又は複数)の線光源92を横並びに連設することができる。
【0045】
ここで、複数の線光源92を連設するときは、それら線光源92の端部に設けられた固定部材92e同士を接触又は近接させて設置することができる。これにより、各線光源92の導光部材92aの端部同士を接近させて、発光面積を最大限に確保することができ、該導光部材92aからの発光による演出をより効果的に行うことができる。
【0046】
また、枠体71の裏側には、配設された線光源92の固定部材92eに対向する位置に凸部73が形成されている(図5参照)。凸部73は、例えば枠体71の裏側から突出した板状又は棒状に形成されており、固定部材92eの鉤部92e−2が基板92dに係止する方向とは逆の方向、すなわち、鉤部92e−2の係止を解除する方向にて該固定部材92eに近接又は接触配置されている。この凸部73を設けたことにより、固定部材92eが鉤部92e−2の係止解除方向に動いても(例えば、人的に鉤部92e−2を係止解除方向に弾性的に反らせようとしても)、即座に凸部73に当接して、その動きが規制されるので、配設状態における固定部材92eの係止解除を不能とし、この固定部材92e及びこの固定部材92eにより挟持された基板92dを脱抜不能としている。
【0047】
なお、図4においては、線光源92が中パネル枠7の上辺、右辺、左辺の三辺に設ける構成となっているが、これに限るものではなく、中パネル枠7の下辺にも線光源92を設けることができる。この場合、中パネル枠7の枠体71の下辺には、長孔72が内周に沿って穿設される。
また、線光源92は、中パネル枠7に対しネジ74などを用いて螺着固定することができる。
【0048】
この中パネル枠7が前扉1aの裏側に取付固定され、前扉1aの前面から前面パネル91が取り付けられると、前面パネル91のフランジ部91bの先端が中パネル枠7の枠体71に対向する位置(さらに、長孔72に対向する位置)に達する。これにより、枠体71の長孔72を介して、フランジ部91bの先端面と線光源92の導光部材92aが対向配置され、導光部材92aからの光がフランジ部91bの先端面に入射するようになっている。
【0049】
このように、中パネル枠7と線光源92は、ユニット化できるので、前扉1aの裏側に一体的に組み付けることができ、組み付け作業の効率化を図ることができる。
また、中パネル枠7と線光源92とをユニット化することで、互いの剛性を高めることができ、変形や破損を防止できる。
【0050】
演出制御部42は、制御部41からの制御信号を受けて、発光体92cを駆動制御し、遊技内容に応じた演出を行う。
発光体92cの駆動制御は、発光体92cごとに行うことができ、また、線光源92ごと、あるいは複数の線光源92ごとに行うこともできる。
具体的には、例えば、発光体92cの点灯時間や消灯時間を変化させる、PWM方式を用いて明るさを変化させる、多色LEDやフルカラーLEDを用いて発光色を変化させるなどの制御を行うことができる。
【0051】
また、一の線光源92に設けられた二つの発光体92cを交互に点灯・消灯させる、一方の発光体92cから他方の発光体92cへ明るさを変化させる、一の導光部材92aにおいて色や明るさを移動により変化させるなどの制御を行うことができる。
さらに、線光源92単位で、点灯や消灯、発光色、明るさの制御を行うことができる。
このような制御を可能とすることで、従来にない動きのある演出が可能となる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の遊技機によれば、前面パネルの内周縁部から入射される光の光源を線光源としたので、前面パネルの外周端面においてムラのない均一な発光が可能となり、鮮明な発光による演出効果を高めることができる。
また、線光源の構成として、導光部材の両端に発光体を対向配置させる構造としたので、各発光体の駆動制御により、動きのある演出を実現できる。
さらに、一の線光源に発光体を二つ設けた構成としたので、多数の発光体を設けた従来の導光構造に比べて発光体の数を大幅に減少でき、コストの低下を図ることができる。
【0053】
しかも、前面パネルの窓孔の周縁部から遊技機の内部に向かってフランジ部を延出形成し、この延出方向に線光源を対向配置することで、その窓孔の周縁部に線光源を設けない構成としたので、リール図柄の視認性の低下を防止できる。
加えて、前面パネルの窓孔の周縁部に斜面形状の反射面を形成したので、線光源からの光を効率よく前面パネルの外周端面へ導光することができる。
また、中パネル枠と線光源をユニット化することで、互いの剛性を高めることができ、変形や破損の恐れがなくなる。しかも、中パネル枠と線光源とを一体で前扉の裏側へ取り付けることができるので、取扱いが容易になり、取付作業の効率化を図ることができる。
【0054】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、前面パネルが前扉の前面を覆う構成としたが、前面全体に限るものではなく、前面の一部を覆うようにすることもできる。
また、上述した実施形態では、前面パネルの外周端面を発光させるための光源として線光源を設けたが、前面パネルの外周端面の発光に限るものではなく、例えば、遊技機の前面においてLEDや蛍光灯などの発光体が使用されている箇所に、本発明の線光源を用いることもできる。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、線光源において発光体が導光部材の両端面にそれぞれ対向して設けられているが、両端面に対向して設けることに限るものではなく、例えば、発光体を一つだけ用意し、導光部材の一方の端面にのみ対向して設けることができる。この場合も、導光部材の両端面に対向して発光体を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、光の演出を行う遊技機に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機(スロットマシン)
1a 前扉
21 表示部材
42 演出制御部
7 中パネル枠
73 凸部
9 導光構造
91 前面パネル
91a 窓孔
91b フランジ部
91c 反射面
91d 外周端面
92 線光源
92a 導光部材
92b 基台
92b−3 被係止部
92c 発光体
92d 基板
92e 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前面に設けられ、所定位置に窓孔が形成された透光性の前面パネルと、前記窓孔の内側端面から光を入射することにより、前記前面パネルの外周端面を発光させる光源とを備える遊技機であって、
前記光源が、線光源からなり、
この線光源が、前記内側端面に沿って配置されたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記前面パネルが、前記窓孔から前記遊技機の内部へ向かって延出形成されたフランジ部を有し、
前記線光源が、前記フランジ部の先端面である前記内側端面に対向して配設された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記前面パネルが、前記窓孔の周縁部に、前記内側端面から入射した光を所定の方向に向けて反射する反射面を有した請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記線光源が、棒状に形成された導光部材と、この導光部材の両端部の一方又は双方に対向配置された発光体と、前記導光部材を支持するとともに前記導光部材の長手方向に対して垂直に延出形成された被係止部を有する基台と、前記発光体が取り付けられるとともに前記被係止部に並設される基板と、前記被係止部と前記基板とを挟持する固定部材とを有し、
前記固定部材により前記被係止部と前記基板とを挟持した状態で、前記固定部材と前記基板がいずれも前記導光部材の長手方向に対して垂直方向に並設された請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記線光源が、前記窓孔を囲む窓枠に配設され、
前記窓枠が、配設された前記線光源の前記固定部材と対向する位置に凸部を備え、
前記線光源の固定部材が、挟持する前記基板の方向に屈曲形成されて前記基板に係止する鉤部を備え、
前記凸部が、前記鉤部による前記基板への係止を解除する方向であって前記固定部材に近接又は接触する位置に備えられた請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−212381(P2011−212381A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85694(P2010−85694)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】