説明

遊技機

【課題】センサ等の電子部品の増加を軽減し、かつ制御負担も軽減しつつ、確実に、糸付きの遊技球を用いて遊技球を獲得する不正行為を防ぐ。
【解決手段】収容領域の開口の他端部には、ストッパ部304Fが形成され、ゲート部材324が元の位置に戻ったとき、基部324Cがストッパ部304Fに当接して、収容領域322が閉塞されることになり、収容領域322に収容された糸300が抜け出ることが阻止されるようになっている(補足)。この糸300の補足により、開閉板304が開放位置にあって、糸300を引き上げたとしても、糸300付の遊技球PBを球検出センサ212の上流側まで引き上げることが阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が遊技盤の表面に沿って、釘及び風車を含む障害物に当接しながら落下する領域に設けられ、入賞することで賞球が払い出される入賞口を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、例えば、パチンコ機では、パチンコ球に、釣り糸等の糸材の一端部を接着剤等で固定した状態で発射すると、当該糸材が付いたパチンコ球が遊技盤面へ送り込まれたとき、糸材の他端が、パチンコ機の受け皿に残っているため、この糸材の他端部を不正に操作することで、パチンコ球の動向を操ることができる。
【0003】
遊技盤には、賞球や抽選等の権利を得ることができる特定領域、例えば入賞口(始動入賞口)、およびチャッカが設けられ、それぞれに球検出センサが配置されている。球検出センサは、パチンコ球が通過することで、当該パチンコ球を検出し、入賞口の場合には検出後に遊技機に取り込んで検出球に対する賞品として所定数の遊技球を払い出し(賞球し)、始動入賞口の場合にはパチンコ球の検出タイミングで権利抽選すると共にパチンコ機に取り込んで賞球し、さらにチャッカの場合には権利抽選後に再度、遊技盤面に戻して検出球に対する賞球はない。
【0004】
ここで、糸材が固定されたパチンコ球を球検出センサの検出位置を境界として、その上流側と下流側とを行き来させると、球検出センサは、当該上流と下流との行き来毎に入賞を判断することになる。
【0005】
なお、参考として、特許文献1には、遊技機としてのスロットマシンにおいて、メダル(パチンコ球におけるパチンコ球に相当する)の通過を検出する装置(メダル通過検出装置)を有し、メダル通過検出装置は、メダル通路に間隔をあけて設けられた2個のメダル検出用の近接センサと、各近接センサの出力に基づいてメダル通路をメダルが通過したかどうかを判断する制御部とを備えている。
【0006】
この構成を応用し、センサを2個連続して配置することで、パチンコ球の行き来の方向を認識することで、糸材の付いたパチンコ球による不正行為による、払い出しを防止することができる。
【0007】
また、パチンコ球の排出を制限する構成の関連技術として、特許文献2には、遊技機の排出路にストッパ部材を出没可能に取り付け、必要に応じてパチンコ球の排出を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−342814号公報
【特許文献2】特開2000−176119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、1つの入賞口につき、2個のセンサが必要であり、単純計算で2倍の数のセンサが必要となる。このため、センサ等の電子部品点数が増大し、監視のための制御系の負担を増える。
【0010】
また、特許文献2の技術は、糸材が付いたパチンコ球のセンサの上下流間の行き来を防止するという概念はなく、単純にパチンコ球の流動を抑制するものである。
【0011】
本発明は上記事実を考慮し、センサ等の電子部品の増加を軽減し、かつ制御負担も軽減しつつ、確実に、糸付きの遊技球を用いて遊技球を獲得する不正行為を防ぐことができる遊技機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、遊技盤上に設けられた入賞口に遊技球が入賞することで、当該入賞に応じた賞球を受ける遊技仕様を備えた遊技機であって、前記入賞口に通じる球通路を流れる遊技球を検出するセンサと、前記球通路における、前記センサの配置位置よりも遊技球流動方向下流側に設けられ、当該球通路を閉止する閉止位置、並びに球通路を開放する開放位置の少なくとも2位置間を移動可能な開閉部材と、前記開閉部材を、前記閉止位置に移動させる力を備えると共に、球通路球における開閉部材よりも上流側から流動してくる遊技球との当接並びに当該遊技球の押圧により開放位置へ移動可能とし、かつ前記遊技球の当選が解消された時点で、前記閉止位置へ復帰するように移動させる移動手段と、前記開閉部材に形成され、前記遊技球に一端部が付着され他端部がセンサ上流側に残留している線材を、前記遊技球を直径よりも小さい開口寸法の収容領域を備えた線材補足手段と、を有している。
【0013】
本発明によれば、遊技球が入賞口に入賞すると、予め定めた数の遊技球を払い出す(賞球)。この入賞口へ遊技球が入賞したか否かは、当該入賞口に通じる球通路に設けられた球検出センサにより検出する。
【0014】
ところで、不正行為の1つとして、遊技球に糸等の線材の一端を接着剤等で付着した状態で発射し、当該線材の他端部を把持して遊技球を自然落下に反して、球通路におけるセンサの上下流を往復させることで、センサから入賞と同等の信号を出力させ、不正入賞状態を形成する場合がある。
【0015】
そこで、センサの下流側に開閉部材を設け、通常は閉止位置に保持しておく。また、遊技球の自然落下に即した流通路の流動で開閉部材を開放位置へ一旦移動させ、遊技球が通過すると再び閉止位置となる。これにより、遊技球のセンサの上下流を行き来させることが防止される。
【0016】
また、線材は、開閉部材に形成された線材補足手段である収容領域に収容される。この収容領域は、線材は行き来可能であるが、遊技球は行き来できない開口寸法であるので、例えば、線材をセンサの上流側から引っ張っても、遊技球と開閉部材とが干渉し、遊技球のセンサの上下流の行き来を防止することができる。
【0017】
本発明において、前記線材補足手段が、前記収容領域の開口に形成され、線材の収容領域への進入は可能であるが、排出は不可能なゲート部材をさらに有することを特徴としている。
【0018】
線材が一旦収容領域に収容されると、ゲート部材により抜け出ることができなくなるため、確実に、遊技球のセンサの上下流の行き来を防止することができる。
【0019】
前記開閉部材には、遊技球が通過するときの開閉動作に伴って、前記線材を前記収容領域へ案内する案内手段が設けられていることを特徴としている。
【0020】
案内手段により、線材が収容領域に案内され易くなる。
【0021】
前記開閉部材が矩形状であり、前記案内手段は、前記線材が接触する前記開閉部材の一辺に、幅寸法が徐々に小さくなるように略V字型に形成された溝部であり、当該溝部の最深部に、前記ゲート部材を境界として、前記収容領域が設けられることを特徴としている。
【0022】
開閉部材の一辺に略V字状の溝を形成し、その最深部に、例えば円弧状の収容領域を形成する。円弧の両端にゲート部材を掛け渡す。ゲート部材の基部は、円弧の一端に回転回能に支持され、ゲート部材の先端は、付勢力で円弧の他端に接触して保持される。線材が略V字状の溝によって案内され、ゲート部材に到達すると、線材の移動力により、付勢力に抗してゲート部材の先端が円弧の他端から離間して、線材を収容領域に収容される。
【0023】
ゲート部材は、収容領域からの線材が出る方向の力では移動しないため、線材を収容領域内に確実に保持することができる。
【0024】
前記移動手段における前記閉止位置に移動させる力として、前記開閉部材の重量バランス、並びに付勢手段の付勢力の少なくとも1つが適用されていることを特徴としている。
【0025】
開閉部材の重量バランスによって、移動手段における前記閉止位置に移動させる力を備えれば、部品点数を最小限に抑えることができ、付勢手段の付勢力を利用して移動手段における前記閉止位置に移動させる力を備えれば、閉止位置への復帰を確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した如く本発明では、センサ等の電子部品の増加を軽減し、かつ制御負担も軽減しつつ、確実に、糸付きの遊技球を用いて遊技球を獲得する不正行為を防ぐことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係る制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】遊技盤の裏面側に取り付けられた球案内パネルの正面図である。
【図5】遊技盤の裏面側に取り付けられた球案内パネルの斜視図である。
【図6】(A)は球検出センサの斜視図、(B)は球検出センサの動作タイミングチャートである。
【図7】(A)は本実施の形態に係る開閉板が設けられた球通路部材の正面図、(B)は図7(A)の逆流防止板が配置された位置の平面図である。
【図8】(A)は本実施の形態に係る開閉板の単体の斜視図、(B)は図8(A)のVIIIB線矢視拡大図、(C)はゲート部材の平面図である。
【図9】開閉板の動作を説明するための、図7(A)に対応する球通路部材の正面図である。
【図10】糸が収容領域に案内され、補足されるまでの過程を示す開閉板の平面図である。
【図11】開閉板の動作を説明するための球通路部材の変形例(ばね付)を示す正面図である(変形例1)。
【図12】開閉板の動作を説明するための球通路部材の変形例(ばね+センサ)を示す正面図である(変形例2)。
【図13】収容領域とゲート部材に代わる線材補足手段の変形例を示す開閉板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0029】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は、図1に示す状態で左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0030】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。なお、回す角度が浅いとガラス枠16が開放し、さらに同じ方向に深く回すと一体皿24が開放する構成であってもよい。
【0031】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0032】
上皿部28の周縁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0033】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0034】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0035】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0036】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0037】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0038】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等の発光素子やランプ)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0039】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0040】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0041】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0042】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0043】
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。
【0044】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ」という。
【0045】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0046】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0047】
図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0048】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0049】
特別図柄始動入賞口(A)129は、常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、特別図柄始動入賞口(A)129が閉塞している。
【0050】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0051】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
【0052】
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0053】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0054】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0055】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、図2に向かってアタッカー112よりも左側に2個の一般入賞口120A、120Bが設けられ、アタッカー112よりも右側に1個の一般入賞口120C)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個の限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0056】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
【0057】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0058】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0059】
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)129及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0060】
保留球数は、センター役物105における、図2に向かって右下に配置され、主として特図表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109の一部である保留ランプによって報知される他、LCD106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0061】
図3に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0062】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0063】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞球を検出する特図A始動口センサ129S、特図B始動入賞口134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0064】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0065】
演出制御部152には、入力系として、操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、遊技盤18の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(ガラス枠スピーカ60L、60C、60R、受け皿スピーカ60U)が接続されている。
【0066】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0067】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160の払出動作と停止動作を制御して、所定数の遊技球PBを賞球又は貸し球として払い出す。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0068】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0069】
ここで、図4、図5に示される如く、遊技盤18の裏面側(遊技者と対面する側を表面とする)における、センター役物105の下部には、球案内パネル200が取り付けられている。この球案内パネル200は、図2に鎖線で示されるように、センター役物105の下部に集中している入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)に対応するように取り付けられている。
【0070】
図5に示される如く、球案内パネル200は、遊技盤18の「遊技領域」における幅方向寸法と略同一の幅寸法を有し、前記センター役物105の下部の領域に相当する遊技盤18の高さ寸法と略同一の高さ寸法を有しており、全体として横長の薄板形状であり、この薄板形状の主面部200Aの少なくとも周縁から壁面部200Bが突出されて箱型に形成されている。
【0071】
球案内パネル200には、前記周縁の壁面部200Bに加え、各所に壁面部200Cが突出されている。これにより、球案内パネル200には、前記5個の入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)から入賞した遊技球PBを案内するための、それぞれ独立した球案内流路202、204、206、208、210が形成されている。
【0072】
それぞれの球案内流路202、204、206、208、210の途中には、特図A始動口センサ129S、特図B始動口センサ134S、一般入賞センサ120AS、120BS、120CS(総称する場合、「球検出センサ212」という)が配置されている。
【0073】
図6(A)に示される如く、球検出センサ212は、薄型板状の直方体形状であり、円形の通過孔212Aが形成されている。
【0074】
この通過孔212Aが遊技球PBを検出する検出領域であり、この検出領域(通過孔212Aの周縁)に検出部212Bが設けられている。また、球検出センサ212には、前記検出部212Bからの信号を受けて、出力信号を生成する信号生成部212Cが設けられている。本実施の形態では、図6(B)に示される如く、球検出センサ212に駆動電力が供給されると、前記通過孔212Aに遊技球PBが通過していない状態(通常状態)において、検出信号としてH信号(3.3V又は5.0V)を出力する構成となっている(第1の信号)。逆に、通過孔212Aを遊技球PBが通過しているときL信号(無信号)となる(第2の信号)。
【0075】
なお、上記H信号/L信号は相対的な信号レベルを表すものであり、逆に、第1の信号が−3.3V又は−5.0Vであり、第2の信号が0Vである場合は、第1の信号がL信号、第2の信号がH信号となる場合もある。ここで、重要なのは、遊技球PBを検出していないとき、0V以外の電圧が印加されていること(第1の信号)、並びに、遊技球PBを検出すると0Vとなること(第2の信号)、を条件とした出力信号を持つ球検出センサ212が適用されることである。
【0076】
このように、球非検出でH信号、球検出L信号とすると、例えば、外部からの特定周波数電磁波が当該球検出センサ212の検出領域に届いた場合でも、H信号が維持されることになる。すなわち、外部からの特定周波数電磁波は、L信号(無信号状態)の出力を、H信号に変換させる能力はあるが、H信号をL信号に変換する能力はないからである。
【0077】
ここで、一般入賞120は、前記特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134の賞球数(例えば、3〜5個)よりも多い賞球(例えば、13個〜15個)とされ、所謂ベース値の調整としての役目を持っている。
【0078】
ベース値とは、発射される遊技球PBに対する入賞数の割合(%)であり、例えば、「ベース値20」とは、1分間に100球の遊技球PBが発射され、その内の20球が入賞することを意味する。
【0079】
また、特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞頻度と、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度とを比べると、前記ベース値を考慮した場合、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度は極めて低く設定されるのが一般的である。すなわち、一般入賞口120は、このベース値を微調整するために設けられており、入賞率は0.2/100前後の設定とされている。
【0080】
このように、極めて低い入賞率に設定された一般入賞口120A、120B、120Cに入賞すると、13個〜15個程度の賞球があるため、遊技者にとっては、所謂ラッキーな入賞ということができる。言い換えれば、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度が高いと、設定されたベース値が変化し、設計上の出玉率にも多大な影響を及ぼすことになる。
【0081】
ここで、不正行為の1つとして、遊技球PBに接着剤等で線材(例えば、図7等に示す糸300)の一端を付着させた状態で発射し、糸300を操って、前記一般入賞口120に入賞させ、かつ、一般入賞口120を入口として連通している球通路部材302に設けられた球検出センサ212の上下流側を行き来させることで、不正に賞球を得ようとする行為がある。なお、球通路部材302は、前記球案内パネル200(図4、図5参照)と一体に形成されていてもよい。
【0082】
本実施の形態では、球通路部材302に、一般入賞口120の入賞時に、糸300付の遊技球PBが入賞したとしても、球検出センサ212(一般入賞センサ120AS、120BS、120CS)の上下流間を行き来することを阻止するため、開閉板304(図7参照)を設けた。
(開閉板及びその周辺の構成)
図7(A)には、複数の一般入賞口120に入賞した遊技球PBが、球検出センサ212を通過させるための球通路部材302が示されている。
【0083】
球通路部材302は、前述の球案内パネル200の一部を構成しており、図7(A)の正面視で一般入賞口120から右下方向に向かって延設された球通路302Aと、球通路302Aの下端から下方側へ延設された球通路302Bとを有している。球通路302Bの途中には、球検出センサ212(一般入賞センサ120AS、120BS、120CS)が設けられている。
【0084】
一方、図7(A)に示すように、球通路302Bにおける球検出センサ212の下側には、開閉板304が設けられている。
【0085】
開閉板304は、図3(A)の奥行き方向(矢印Y方向)を軸方向として配置される円柱状の回転軸304Cと、回転軸304Cの側面から矢印−X方向に延設された板状の接触部304Aと、回転軸304Cの側面から矢印+X方向に延設された板状のバランス部304Bとを備えている。
【0086】
接触部304Aは、球通路302B側に配置され、遊技球PBが接触するようになっている。接触部304Aの上面304Dは、開閉板304が回動していない閉止状態において、遊技球PBの流下方向と対面するように配置されている。開閉板304は、この閉止位置では、球通路302Bを閉止(遊技球PBの通過を抑止)している。
【0087】
なお、以後の説明では、前記閉止位置に対し、遊技球PBが開閉板304を通過する状態での開閉板304の位置を開放位置とする。
【0088】
開閉板304において、前記回転軸304Cを境界として、接触部304Aの端部(左端部)までの長さL1は、前記バランス部304Bの端部(図示の右端部)までの長さL2よりも長くなっている。
【0089】
また、回転軸304Cは、パチンコ機10(図1参照)の内部に設けられたブラケット306により、矢印+R方向(図7(A)の時計回り方向)又は矢印−R方向(図7(A)の反時計回り方向)に回転可能に支持されている。
【0090】
バランス部304Bの下面には、錘部材308が取付けられており、開閉板304に回動力(遮断位置へ向かう力)を付与するようになっている。なお、本実施形態では、バランス部304Bの重量の調整を可能とするために錘部材308を別部材として取付けているが、バランス部304Bと錘部材308は、一体であってもよい。一体とする場合は、バランス部304Bの厚さを接触部304Aの厚さに対して厚くすればよい。このため、錘部材308は、バランス部304Bに含まれるものとする。
【0091】
ここで、軸中心Oを境界として、回転軸304Cを含む接触部304Aの重量をWt1、回転軸304Cを含むバランス部304Bの重量をWt2とし、さらに、錘部材308の重量をWt3、遊技球PBの重量をWt4(いずれも図示は省略)として、Wt1≦(Wt2+Wt3)<(Wt1+Wt4)の不等式(以後、不等式Aという)に合うように各重量が設定されている。
【0092】
不等式Aを用いた重量Wt1、Wt2、Wt3、Wt4の設定は、各部材の重量の設定の一例であり、前述の接触部304Aの長さL1とバランス部304Bの長さL2を含めたモーメントや遊技球PBの落下速度に基づく荷重等も考慮して設定される。このように各部材の重量を設定することで、開閉板304は、遊技球PBとの接触、非接触により、モータ等の回転駆動手段を用いずに矢印−R方向又は矢印+R方向に回動可能となっている。
【0093】
また、開閉板304の接触部304Aの端部(図示の左端部)上方には、接触部304Aの上方への移動を規制する移動規制部材の一例としてのストッパ部材312が設けられている。ストッパ部材312は、板材であり、下面が接触部304Aの上面304Dと接触することで、開閉板304を閉止位置に保持するようになっている。
【0094】
ここで、開閉板304が閉止位置に配置されている状態において、球検出センサ212の下面212Dと開閉板304の上面304Dとの間隔をΔd1とし、遊技球PBの直径をdとして、本実施形態では、0<Δd1<dとなるようにΔd1が設定されている。これにより、開閉板304が設置位置で保持されている状態で、糸300付きの遊技球PBが球検出センサ212を上下に往復移動する不正が行われないようになっている。
【0095】
図7(B)に示すように、球通路部材302の一組の側壁302C、302Dには、開閉板304の接触部304Aが挿通及び移動可能となる大きさの縦孔310A、310Bが形成されている。そして、図7(B)の矢印Y方向における接触部304Aの幅をW1、縦孔310A、310Bの幅をW2として、W1<W2<dとなるように幅W1、W2が設定されており、接触部304Aは、縦孔310A、310Bに挿通されている。なお、縦孔310A、310Bの幅W2が遊技球PBの直径dよりも小さいため、遊技球PBが縦孔310A又は縦孔310Bから外側へ流出することはない。また、接触部304Aの幅方向における球通路302Bの幅W3は、遊技球PBの直径の2倍(2d)よりも狭くなっており、接触部304Aと球通路302Bとの隙間から下流側へ遊技球PBが落下しないように設定されている。
【0096】
(開閉板による糸材の保持)
ここで、本実施の形態の開閉板304は、糸300付の遊技球PBにおける、球検出センサ212の上下流間の行き来を阻止するのみならず、糸300を補足(保持)することで、遊技球PBの戻りを抑制する構造となっている。
【0097】
図8には、本実施の形態に係る開閉板304の詳細構成が示されている。
【0098】
図8(A)に示される如く、開閉板304における接触部304Aの先端部は、略V字型に切欠部320が形成されている(案内手段)。この切欠部320が形成された先端部は、遊技球PBが開閉板304を閉止位置から押し下げ、開放位置へ移動させる過程の間で、糸300が接触する部位(辺)であり、糸300は、遊技球PBの重みにより振り子のように揺動しているため、当該切欠部320の略V字型の端面に沿って、最深部に案内されるようになっている。
【0099】
図8(B)に示される如く、この切欠部320の最深部には、線材補足手段としての収容領域322が形成されている。収容領域322は、前記切欠部320の最深部に連続して、略U字型に形成されている。なお、収容領域322の形状は、略U字型に限らず、そのまま切欠部320の最深部の形状(三角形)としてもよいし、円弧形状等、他の形状であってもよい。
【0100】
前記収容領域322と切欠部320とを区別する境界には、ゲート部材324が設けられている。
【0101】
ゲート部材324は、針金状の棒材で形成され、略コ字型に屈曲され、互いに平行となる一対のバー324A、324Bと、この一対のバー324A、324Bと、この一対のバー324A、324B同士に掛け渡された基部324Cとに分類することができる。
【0102】
一対のバー324A、324Bは、それぞれ前記基部324Cを基点とした長さ寸法に若干の差が形成され、それぞれの先端部は互いに対向する方向に略90°屈曲され、回転軸324AS、324BSが形成されている。回転軸324AS、324BSは、前記収容領域322の開口の一端部において、開閉板304の表裏面のそれぞれに設けられた円孔に軸支され、当該開閉板304に保持されている。
【0103】
ここで、前記回転軸324AS、324BSが、一対のバー324A、324Bのそれぞれ軸線が平面視で一致しているときは(図8(C)の実線状態)、それぞれ回転軸324AS、324BSを中心とする回転方向の付勢力が発生しない。しかし、一対のバー324A、324Bが切欠部320方向から押圧(具体的には、糸材300によって押圧)されて、回転軸324AS、324BSを中心として回転すると、回転軸324AS、324BSのずれにより、一対のバー324A、324Bが平面視で異なる軌道で回転して歪みが発生するため(図8(C)の鎖線参照)、その軌道差に応じて復帰付勢力が発生する。このため、前記押圧が解除されると、元の位置(図8(C)の実線で示すような、一対のバー324A、324Bのそれぞれ軸線が平面視で一致する位置)となる。
【0104】
なお、前記収容領域の開口の他端部には、ストッパ部304Fが形成され、前記ゲート部材324が元の位置に戻ったとき、基部324Cがストッパ部304Fに当接して、収容領域322が閉塞されることになり、収容領域322に収容された糸300が抜け出ることが阻止されるようになっている(以下、この状態を「補足」という場合がある)。
【0105】
この糸300の補足により、開閉板304が開放位置にあって、糸300を引き上げたとしても、糸300付の遊技球PBを球検出センサ212の上流側まで引き上げることが阻止されることになる。
【0106】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0107】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26(図1参照)を操作すると、一球ずつ発射装置165(図3参照)によって上方へ発射される。図2に示される如く、発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車21に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0108】
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、に入賞したり、通過ゲート118を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、特別図柄抽選、普通図柄抽選等)が実行されると共に、LCD表示部106への画像表示演出(例えば、図柄変動パターン演出等)、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、図示は省略したが、一般入賞口120に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0109】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。
【0110】
特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが主制御部150によって判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0111】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合に主制御部150は、図示を省略した乱数発生部から入賞タイミングに応じて当落抽選用の乱数を取得し、かつ、予め記憶されている当り値を読み出し、双方を比較して、特別図柄抽選が当りか外れかを判定する。
【0112】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、特別図柄抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して特別図柄抽選処理が実行される。
【0113】
この特別図柄抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、特別図柄抽選結果、図柄変動パターン時間を含むコマンドを演出制御部152へ送出する。
【0114】
演出制御部152では、LCD表示部106やスピーカ60等の出力系デバイスを制御して、特別図柄抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。例えば、LCD表示部106では、図柄変動パターン演出が実行される。
【0115】
この報知後、特別図柄抽選の結果が当たりの場合には、特別遊技状態(大当たり処理)が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球の賞球を受けることができる。
【0116】
(糸付遊技球による不正行為防止)
ここで、不正行為の1つとして、遊技球PBに糸300を接着剤等で付着した状態で発射し、当該糸300の他端部を把持して遊技球PBを自然落下に反して入賞させ、かつ入賞した遊技球PBを球検出センサ212の上下流を往復させることで、球検出センサ212から入賞と同等の信号を出力させる場合がある。
【0117】
そこで、本実施の形態では、球検出センサ212の下流側に開閉板304を設け、遊技球PBの球検出センサ212の上下流の行き来を防止するようにした。
【0118】
図9(A)に示すように、糸300付きの遊技球PBが一般入賞口120Aから球通路302Aを通って球通路302B内を流下する不正行為が行われたとき、球検出センサ212を通過中の遊技球PBの下部は、球通路302Bを閉止している開閉板304の接触部304Aと接触する。このとき、接触部304Aには遊技球PBの落下速度に応じた荷重が作用するため、接触部304A(遊技球PB含む)の方がバランス部304Bよりも重くなり、即ち、接触部304Aに押し下げ力が作用して、開閉板304が開放位置(矢印−R方向)に回動して球通路302Bを開放する。
【0119】
糸300付きの遊技球PBは、開閉板304が球通路302Bを開放することにより、開閉板304を通過する(開閉板304よりも下流側に流れる)。なお、糸300付きの遊技球PBが自重で球通路302B内を流下するため、開閉板304が開放位置への回動途中で停止することはなく、糸300付きの遊技球PBは、球通路302Bにおける開閉板304よりも下流側に位置することになる。
【0120】
続いて、図9(B)に示すように、開閉板304は、糸300付きの遊技球PBの重量が作用しなくなること、及びバランス部304Bと錘部材308との合計重量が接触部304Aの重量よりも重いことにより、閉止位置に向けて矢印+R方向に自動で回動する。そして、開閉板304は、接触部304Aの端部がストッパ部材312と接触することで遮断位置に保持され、再度、球通路302Bを閉止する。このように、ストッパ部材312によって、開閉板304が遮断位置よりも球検出センサ212側へ移動することが規制されるため、開閉板304が球検出センサ212に接触するのを防ぐことができる。
【0121】
続いて、不正行為者が、糸300を上方へ引き上げたとき、糸300付きの遊技球PBは球通路302B内の上方へ移動しようとする。しかし、開閉板304が球通路302Bを閉止しているため、糸300付きの遊技球PBは、開閉板304(接触部304A)の下面と接触して移動が規制され、球検出センサ212を通過することがなくなる。このようにして、遮断位置よりも下流側の位置から上流側に向かう逆流の遊技球PBの球検出センサ212への移動が規制されるので、糸300付きの遊技球PBが球検出センサ212を複数回通過することが防止され、不正行為を防ぐことができる。
【0122】
ここで、上記で説明した開閉板304の配置により、糸300付の遊技球PBを用いた不正行為のほとんどは防止することができ、十分な効果を奏するが、いくつかの条件が重なった場合、不正行為が可能となる状況が存在する。
【0123】
不正行為が可能な状況とは、開閉板304が閉止位置の状態で、糸300付の遊技球PBが球検出センサ212に到達し、続いて開閉板304を押し下げて開放位置となり、一旦、遊技球PBが開閉板304から離れる位置まで落下した状態で、次の正常に入賞した遊技球PB(すなわち、糸300が付いていない正規遊技球PB)が開閉板304を押し下げた瞬間である。
【0124】
正規遊技球PBによって開閉板304が開放位置となっているので、この時点で、糸300を引き上げることで、この糸300が付着された遊技球PBは、球検出センサ212の上流側で到達される。
【0125】
このため、本実施の形態では、上記のような、不正行為が一時的に可能な状況の下で、糸300を収容領域322に補足することによって、当該遊技球PBの逆流を阻止するようにした。
【0126】
図10を用いて、糸300の補足の過程を説明する。
【0127】
図10(A)は、開閉板304が閉止位置の状態で、糸300付の遊技球PBが球検出センサ212に到達し、続いて開閉板304を押し下げて開放位置となるまでの過程である。
【0128】
糸300は、遊技球PBによって振り子のように揺動するため、切欠部320の端面に案内されて、図10(A)の(1)〜(3)へと移動する。
【0129】
続いて、図10(B)に示される如く、この移動が継続されると、糸300がゲート部材324を押圧し、当該ゲート部材324を開放させる(図10(B)の(3)〜(5)参照)。この結果、糸300は、収容領域322に収容される(図10(C)の(5)〜(7)参照)。
【0130】
糸300が完全に収容されると、ゲート部材324は自身の復帰付勢力で基部324Cがストッパ部304Fに当接して収容領域322を閉塞する。この状態では、糸300が収容領域322内では移動可能であるが((図10(D)の(7)〜(9)参照)、抜け出ることはできない。
【0131】
上記図10(D)の状態のように、糸材300が収容領域322に収容されると、一旦、遊技球PBが開閉板304から離れる位置まで落下した状態で、次の正常に入賞した遊技球PB(すなわち、糸300が付いていない遊技球PB)が開閉板304を押し下げた瞬間に、糸300を引き上げたとしても、糸300が収容領域322に収容された状態では、糸300付の遊技球PBを球検出センサ212の上流側まで引き上げることができない。
【0132】
これにより、前述した不正行為が可能な状況においても、不正行為を不可能とすることができる。
【0133】
なお、本実施の形態においては、開閉板304において、回転軸304Cを境界としたバランスに基づいて、閉止状態、開放状態を形成する構成としたが、図11に示される如く、回転軸304Cにねじりコイルばね314を取り付け、当該ねじりコイルばね314を構成する線材の一端部を開閉板304に当接させ、他端をブラケット等306に固定することで、ねじりコイルばね314の付勢力で、開閉板304を閉止位置で保持するようにしてもよい。
【0134】
また、開閉板304の開閉状態を、電気的に監視するようにしてもよい。例えば、図12に示される如く、接触部304Aの端部で上面304Dの奥行き方向中央部には、板状の被検出部304Eが立設されている。パチンコ機10側の図示しないブラケットには、前記被検出部304Eをコ字状に囲むようにしてフォトセンサ316が設けられている。フォトセンサ316は、被検出部304Eによる光の遮断の有無により、開閉板304が遮断位置(初期位置)にあるかどうかを検出するようになっている。
【0135】
ここで、フォトセンサ316から出力された信号が、閉止位置を示す信号が予め設定した時間を継続して出力されたときに、不正状態であると判定して、警報(警告表示あるいは警告音出力)するようにしてもよい。
【0136】
また、本実施の形態では、線材補足手段として、収容領域322を設け、ゲート部材324によって、補足した糸300を抜けないように保持したが、少なくとも、以下の条件が揃えば適用可能である。
(条件1) 開閉板304の閉止位置から開放位置までの過程で収容領域322に収容し補足する
(条件2) 補足した糸300の軸線方向の移動は制限しない。
(条件3) 収容領域322から糸300が抜けない或いは抜けにくい
上記条件の踏まえ、例えば、図12(A)に示される如く、案内手段としての切欠部320を2つも受け、その最深部に開口部が狭くなった収容領域322を形成してもよい。最深部の開口部の狭くなった部分をゲート部材としての役目を持たせることができ、ゴム等の弾性部材を取り付けてもよい。
【0137】
また、図12(B)に示される如く、櫛型の収容領域322を形成し、各収容領域322の先端を拡径する。この拡径部がゲート部材としての役目を持たせることができ、ゴム等の弾性部材を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10 パチンコ機(遊技機)
18 遊技盤
60(60L、60C、60R、60U) スピーカ(報知手段)
105 センター役物
106 液晶表示部(LCD表示部)
112 アタッカー
112S アタッカーセンサ
120A、120B、120C 一般入賞口
120AS、120BS、120CS 一般入賞センサ(センサ)
129 特別図柄始動入賞口(A)
129S 特図A始動口センサ(センサ)
134 特別図柄始動入賞口(B)
134S 特図B始動口センサ(センサ)
136 電動チューリップ
138 電チューソレノイド
148 アタッカーソレノイド
150 主制御部
152 演出制御部
154 払出制御部
200 球案内パネル
212 球検出センサ(センサ)
300 糸
302 球通路部材
304 開閉板(開閉部材)
304A 接触部
304B バランス部
304C 回転軸
304D 上面
306 ブラケット
308 錘部材
310A、310B 縦孔
312 ストッパ部材
320 切欠部(案内手段)
322 収容領域(線材補足手段)
324 ゲート部材
324A、324B バー
324C 基部
324AS、324BS 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上に設けられた入賞口に遊技球が入賞することで、当該入賞に応じた賞球を受ける遊技仕様を備えた遊技機であって、
前記入賞口に通じる球通路を流れる遊技球を検出するセンサと、
前記球通路における、前記センサの配置位置よりも遊技球流動方向下流側に設けられ、当該球通路を閉止する閉止位置、並びに球通路を開放する開放位置の少なくとも2位置間を移動可能な開閉部材と、
前記開閉部材を、前記閉止位置に移動させる力を備えると共に、球通路球における開閉部材よりも上流側から流動してくる遊技球との当接並びに当該遊技球の押圧により開放位置へ移動可能とし、かつ前記遊技球の当選が解消された時点で、前記閉止位置へ復帰するように移動させる移動手段と、
前記開閉部材に形成され、前記遊技球に一端部が付着され他端部がセンサ上流側に残留している線材を、前記遊技球を直径よりも小さい開口寸法の収容領域を備えた線材補足手段と、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記線材補足手段が、
前記収容領域の開口に形成され、線材の収容領域への進入は可能であるが、排出は不可能なゲート部材をさらに有することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記開閉部材には、遊技球が通過するときの開閉動作に伴って、前記線材を前記収容領域へ案内する案内手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記開閉部材が矩形状であり、前記案内手段は、前記線材が接触する前記開閉部材の一辺に、幅寸法が徐々に小さくなるように略V字型に形成された溝部であり、当該溝部の最深部に、前記ゲート部材を境界として、前記収容領域が設けられることを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記移動手段における前記閉止位置に移動させる力として、前記開閉部材の重量バランス、並びに付勢手段の付勢力の少なくとも1つが適用されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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