説明

遊技機

【課題】 配線ケーブルの引き出し位置の片寄りを吸収しながら、配線ケーブルの長さの共通化と、基板のコンパクト化を実現するリールユニットを備える遊技機を提供する。
【解決手段】 リールユニット4は、リールモジュール40a〜40cと、収納ラック46と、各リールモジュール40a〜40cから延びる配線ケーブルKa〜Kcの接続される中継基板471と、を備え、配線ケーブルKa〜Kcは、配線引出部465a〜465cから引き出され、中継基板471は、複数のコネクタ473a〜473cが実装されるとともに、リール幅方向において、リールモジュール40a〜40cの全幅長に満たない基板幅を有し、リールモジュール40a〜40cのうちの両端に位置するリールモジュール40a,40cに対応するそれぞれの配線引出部465a,465cから等しい距離となる等距離部466に、基板の中心Sがほぼ位置するように配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン、パチンコ機などの遊技機には、外周面に図柄の表された複数のリールの収納されたリールユニットを備えるものがある。
例えば、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下操作することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止したリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出されるように構成され、このような複数のリールは、一体的にユニット化されたリールユニットに収納されている。
【0003】
リールユニットには、通常、リールと、リールを回転駆動させるモータと、これらを支持するベース板とを備えるリールモジュールが、水平方向に積層された状態で複数収納されている。また、複数のリールモジュールを収納する収納ラックには、基板が装着され、この基板には、各リールモジュールから延びる配線ケーブルと接続されるコネクタが実装されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−305298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなリールモジュールは、ベース板の片側にリールが配置される左右非対称な形態を有することから、引き出される配線ケーブルは、リールに絡まらないようにベース板に沿って引き出されることになる。そうすると、複数のリールモジュールを収納ラックに収納した状態では、各配線ケーブルは、ベース板の配置される側に形成される配線引出部から引き出されることになり、この配線引出部は、ほぼ左右対称に形成される収納ラックに対しては、左右のいずれかに片寄った位置に配置されることになる。
このような左右のいずれかに片寄った位置に配置される配線引出部から引き出される配線ケーブルは、収納ラックに設けられた基板に接続されることから、その基板面積が大きければ大きいほど、また、配線ケーブルの長さが長ければ長いほど、配線引出部の左右の片寄りを吸収することができる。
【0006】
しかしながら、近年、遊技機の製品コストを低減させるために、使用する部品点数の削減や形状のコンパクト化を促進させる動きが加速している。
例えば、上述のリールユニットでは、各リールモジュールにおいて、成形品の形状の共通化はもとより、モータ、LED、センサなどの電子部品の共通化が要求されている。
さらには、これらの電子部品から延びる配線ケーブルの長さの共通化や、基板のコンパクト化も求められ、配線引出部から引き出される配線ケーブルの長さをできる限り短くすること、これらの配線ケーブルの接続される基板の面積をできる限り小さくすることが製品コストを低減させるための新たな課題となっていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために提案されたもので、各リールモジュールから引き出される配線ケーブルの長さを共通化しながらできる限り短くするとともに、これらの配線ケーブルの接続される基板の面積をできる限り小さくできるリールユニットを備える遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機であって、前記リールユニットは、前記リールと、前記リールを回転駆動させるモータと、これらを支持するベース板と、を少なくとも備えるリールモジュールを複数有するとともに、前記複数のリールモジュールを水平方向に積層させて収納可能な収納ラックと、前記各リールモジュールから延びる配線ケーブルの接続される基板と、を備え、前記配線ケーブルは、前記各ベース板にほぼ沿って形成される配線引出部から引き出され、前記基板は、前記リールモジュールごとの配線ケーブルと接続される、少なくとも前記リールモジュールと同数からなる複数のコネクタが実装されるとともに、リール幅方向において、収納状態にある複数の前記リールモジュールの全幅長に満たない基板幅を有し、収納状態にある前記複数のリールモジュールのうちの両端に位置する前記リールモジュールに対応するそれぞれの前記配線引出部から等しい距離となる等距離部に、前記基板の中心がほぼ位置するように配置された構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機によれば、収納状態にある複数のリールモジュールのうちの両端に位置するリールモジュールに対応するそれぞれの配線引出部から等しい距離となる等距離部に、その中心がほぼ位置するように基板が配置されるので、各配線ケーブルの長さを、両端に位置するリールモジュールに対応するそれぞれの配線引出部から等距離部までの長さに合わせることで、各配線ケーブルの確実な接続を確保しながら、長さの共通化が図れる。さらに、基板を等距離部に配置することで、配線引出部の左右の片寄りを吸収するために、みだりにその面積を拡大する必要がなくなるので、コネクタの配置に必要不可欠な必要最小限の基板面積を、等距離部を中心に確保することで、基板のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】遊技機の概略正面図である。
【図2】遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】リールユニットの外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図であり、(b)は、後方から見た斜視図である。
【図4】リールユニットの分解斜視図である。
【図5】リールモジュールの分解斜視図である。
【図6】基板ユニットの分解斜視図である。
【図7】リールユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
リールユニットを備える遊技機には、スロットマシンをはじめ、パチンコ機など様々な種類があるが、本実施形態では、スロットマシンを実施例に挙げて説明する。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる一般的な回胴式遊技機であるものの、内部に配置されるリールユニットは、各リールモジュールから引き出される配線ケーブルの長さを共通化しながらできる限り短くしてあるとともに、これらの配線ケーブルの接続される基板の面積をできる限り小さくしてある。
以下、このような作用効果を発揮する本実施形態に係るスロットマシン1の各部の構成について詳述する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、スロットマシンの外観を示す概略正面図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0014】
スロットマシン1は、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部10、制御部10からの指令により、表示器8,スピーカ9,LED等のランプ類を制御する演出制御部20、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0015】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0016】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。また、前扉1a上部には、効果音等が出力されるスピーカ9が設けられている。
【0017】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41c備えるリールユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0018】
スロットマシン1では、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、制御部10が、リールユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技が進行する。
【0019】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その検出信号が制御部10に入力される。制御部10は、これらの検出信号の入力数からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、制御部10は、リールユニット4に対して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0020】
さらに、制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス役、小役、再遊技役、ハズレの複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0021】
また、制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0022】
このように構成されたスロットマシン1において、各リール41a,41b,41cを個別に回転可能に軸支しながら収納する装置がリールユニット4であり、このリールユニット4は、収納状態にある複数のリールモジュール40のうちの両端に位置するリールモジュール40a,40cに対応するそれぞれの配線引出部465a,465cから等しい距離となる等距離部466に、その中心がほぼ位置するように中継基板471が配置されるので、各配線ケーブルKa〜Kcの長さを、両端に位置するリールモジュール40a,40cに対応するそれぞれの配線引出部465a,465cから等距離部466までの長さに合わせることで、各配線ケーブルKa〜Kcの確実な接続を確保しながら、長さの共通化が図れるようになっている。
【0023】
さらに、中継基板471をほぼ等距離部466に配置することで、配線引出部465の左右の片寄りを吸収するために、みだりにその面積を拡大する必要がなくなるので、コネクタの配置に必要不可欠な必要最小限の基板面積を、等距離部466を中心に確保することで、中継基板471のコンパクト化を図ることができるようになっている。
以下、本実施形態に係るリールユニット4について詳述する。
【0024】
[リールユニット]
図3は、リールユニットの外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図、(b)は、後方から見た斜視図であり、図4は、リールユニットの分解斜視図である。また、図5は、リールモジュールの分解斜視図、図6は、基板ユニットの分解斜視図、図7は、リールユニットの平面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係るリールユニット4は、それぞれ一つずつリール41を有する三つのリールモジュール40(40a,40b,40c)と、これらを収納する収納ラック46と、基板ユニット47とを備え、各リール41をそれぞれ独立して回転制御可能に構成されている。
【0025】
本実施形態のリールモジュール40は、収納ラック46の左端に収納される左リールモジュール40aと、中央に収納される中リールモジュール40bと、右端に収納される右リールモジュール40cと、からなる三つのリールモジュールからなり、収納ラック46の開口部461から挿着されるようになっている。
リールモジュール40は、図5に示すように、リール41と、ベース板42と、モータ43(パルスモータ)と、光センサ44(フォトインタラプタ)と、照明ユニット45とから構成されている。
【0026】
リール41は、複数種類の図柄が表された帯状シート411と、帯状シート411を円筒状に保形する環状のリングフレーム412と、モータ43に軸支されつつその縁端で帯状シート411を円筒状に保形するホイールフレーム413とから構成されている。
リール41は、ネジ3を介して軸432に軸止されるホイールフレーム413がモータ43によって駆動されて回転するとともに、ホイールフレーム413に形成された遮光板が光センサ44の光路を遮ることで、その回転位置を検出できるようになっている。
【0027】
照明ユニット45は、帯状シート411と軸432との間に配置され、帯状シート411の後方から図柄を照らす発光装置であり、光源としてのLEDの実装されたLED基板452と、これを支持する基板ホルダー451から構成されている。
【0028】
ベース板42は、略板状に成形された合成樹脂からなり、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45の取り付け部となっている。
具体的には、図5に示すように、ベース板42には、その後方から挿入されるモータ43がネジ2を介して固定されるとともに、同じく後方から挿入されるセンサ44が所定の凹部に挿嵌されて固定されるようになっている。さらに、前方から照明ユニット45がネジ4を介して固定されるようになっている。つまり、ベース板42には、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45が固定されているので、モータ43に軸支されたリール41もベース板42が支えるようになっている。
このような構成から、ベース板42は、収納ラック46に収納された状態で、リールモジュール40を直立不動に支える支持部としても機能するようになっている。
【0029】
具体的には、収納ラック46には、図4に示すように、ベース板42の上端部421と下端部422をそれぞれ板厚方向から挟持するガイド溝462(462a、462b、462c)が、その内側上面と底面に形成され、ベース板42をこのガイド溝462に沿って挿入するとともに、ベース板42の上下に形成された固定部423においてネジ1を介して収納ラック46と固定することで、各リール41を回転自在としながらリールモジュール40を揺動不能に収納ラック46に固定することができるようになっている。
【0030】
また、ベース板42には、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45が固定されているので、モータ43からのモータ配線431と、光センサ44からのセンサ配線441と、LED基板452からのLED配線4521がベース板42に集結することになる。
そこで、ベース板42は、これらの配線をリールモジュール40ごとに配線ケーブルK(Ka,Kb,Kc)として一つに束ねて、基板ユニット47に向けて引き出すようなっている。
本実施形態では、収納ラック46の上面に基板ユニット47を配置したことから、配線ケーブルK(Ka,Kb,Kc)は、ベース板42の上端部421側から引き出されるとともに、各リール41に絡まないように、リール41の配置された面の反対側の面に沿って引き出されるようになっている。
【0031】
このように、リールモジュール40は、ベース板42の片面側(左側)にリール41が配置される左右非対称な形態を有することから、引き出される配線ケーブルK(Ka,Kb,Kc)は、リール41に絡まらないようにベース板42に沿って引き出されることになる。
その結果、リールモジュール40を収納ラック46に収納した状態では、各配線ケーブルKは、ベース板42の配置される側に形成される配線引出部465(465a,465b,465c)から引き出されることになり、この配線引出部465は、ほぼ左右対称に形成される収納ラック46に対して、本実施形態では右に片寄った位置に配置されることになる(図7参照)。
【0032】
このような右に片寄った位置に配置される配線引出部465から引き出される配線ケーブルKは、基板ユニット47に設けられた中継基板471に接続されることから、その基板面積が大きければ大きいほど、また、配線ケーブルKの長さが長ければ長いほど、配線引出部465の位置の片寄りを吸収することができるものの、その分製造コストが増大することになる。
そこで、本実施形態のリールユニット4では、配線引出部465の位置の片寄りを吸収すべく、中継基板471を本発明に係る等距離部466に配置することで、各配線ケーブルKの長さを共通化するとともに、基板面積を極小化可能としてある。以下、その具体的構成について説明する。
【0033】
本実施形態に係る基板は基板ユニット47に収められ、この基板ユニット47は、図6に示すように、中継基板471と、基板カバー472と、バインダ473から構成されている。
中継基板471は、所定の配線ケーブルを介して制御部10と接続される中継基板471aと、所定の配線ケーブルを介して演出制御部20と接続される中継基板471bと、を備え、中継基板471aには、さらに、モータ配線431と、センサ配線441とが接続され、中継基板471bには、さらに、LED配線4521が接続されるようになっている。
これらの中継基板471は、それぞれ収納状態にある二つのリールモジュール40(40b,40c)の全幅長に満たない基板幅を有するとともに、ネジ5を介して基板カバー472の裏面側に固定されるようになっている。
【0034】
基板カバー472は、中継基板471を視認可能な透明色の合成樹脂で成形され、中継基板471に実装されたコネクタを除いて中継基板471の基板面を覆うようになっている。
この基板カバー472には、鉤状の爪部4721が形成され、中継基板471を固定した状態で、爪部4721を収納ラック46に形成された孔部464に係入することで、基板カバー472を収納ラック46に固定することができる。
【0035】
このような構成からなる基板ユニット47は、収納ラック46の上面に設けられている。
収納ラック46の上面には、上方に突出するフランジ部463と、これに連設する把手463aが形成されている。このフランジ部463は、収納ラック46の構造上の強度を高めるために必要な部位であるとともに、把手463aも、リールユニット4の取り扱い及び筐体1bへの装着において必要な構造となっている。
【0036】
さらに、基板ユニット47は、中継基板471の中心S(横幅方向の中心)が、ほぼ等距離部466と重なるように配置されている。
等距離部とは、収納状態にある複数のリールモジュール40a〜40cのうちの両端に位置するリールモジュール40a、40cに対応するそれぞれの配線引出部465a、465cから距離が等しい部位であり、具体的には、配線引出部465a、465cからの距離の等しい一の直線上の部位となり、本実施形態では、図7に示すように、等距離部466がこれに該当することになる。
【0037】
この等距離部466上では、どこでも配線引出部465a、465cからの距離は等しくなることから、この等距離部466上に中継基板471の中心Sがほぼ重ねるように中継基板471を配置するとともに、この等距離部466を目安にして、配線引出部465a、465cから引き出される配線ケーブルKaと配線ケーブルKcの長さを定めることで、配線ケーブルKaと配線ケーブルKcの長さが等しくなるのはもちろんのこと、配線引出部465bはこの等距離部466に最も近接するため、配線引出部465a、465cと等距離部466との間よりも、距離が短いことは明らかであるため、配線ケーブルKbの長さを、配線ケーブルKaと配線ケーブルKcの長さに準じることで、全ての配線ケーブルKa〜Kcの長さを共通化することができる。
【0038】
これは、リールモジュールの数が3つのみならず4つ以上であっても同様であり、両端に位置するリールモジュール40に対応するそれぞれの配線引出部465から等しい距離となる等距離部466に、基板の中心Sがほぼ位置するように基板を配置するとともに、この基板の配置に合わせて、両端部の配線引出部465から引き出される配線ケーブルKの長さを定めるとともに、その他の配線ケーブルKの長さをこれに準じることで、リールモジュールの数にかかわらず、配線ケーブルKの長さを共通化することができるのである。
【0039】
このように、等距離部466を目安にして、配線引出部465a、465cから引き出される配線ケーブルKaと配線ケーブルKcの長さを定めることで、各配線ケーブルKを全て共通の長さにできるものの、その長さは、できる限り短い方が、製造コストを低減するうえで望ましい。
そこで、本実施形態では、各配線ケーブルKの長さをできる限り短くすべく、中継基板471を、できる限り配線引出部465に近接させて配置してある。
【0040】
具体的には、中継基板471は、その基板面積を、プリントされるプリント配線の幅や、実装されるコネクタなどの電子部品の実装面積を考慮した必要最小限の基板面積としながら、できる限り配線引出部465に近接させて配置してある。
前述したように、フランジ部463は、収納ラック46の構造上の強度を高めるために必要な部位であることから、このフランジ部463を形成しながら、中継基板471は、できる限り配線引出部465に近接させつつ、基板カバー472がフランジ部463と干渉しない位置に配置してある。つまり、中継基板471が取り付け可能、かつ、両端に位置するリールモジュール40a、40cに対応するそれぞれの配線引出部465a、465cからの距離が最も短くなる部分に中継基板471を配置してある。
これにより、この位置に重なる等距離部466を目安にして、配線引出部465a、465cから引き出される配線ケーブルKaと配線ケーブルKcの長さを定めることで、各配線ケーブルKを全て共通の長さにできることはもちろん、その長さは、本実施形態のリールユニット4では、最も短いことになる。
【0041】
さらに、中継基板471を、その中心S(横幅方向の中心)が、ほぼ等距離部466と重なるように配置することで、配線引出部の片寄りを吸収するために、みだりにその面積を拡大する必要がなくなるので、コネクタの配置に必要不可欠な必要最小限の基板面積を、等距離部466を中心に確保することで、基板のコンパクト化を図ることができる。さらに、基板の面積を小さくすることにより、この基板を覆う基板カバー472も小さくすることができ、部品の材料も削減することができる。
【0042】
また、中継基板471に実装された複数のコネクタ473は、収納ラック46に収納された状態にある複数のリールモジュール40a〜40cの並び方向に沿うとともにその並びに従った順序で配置してある。
具体的には、配線ケーブルKaと接続されるのは、コネクタ473aであり、配線ケーブルKbと接続されるのは、コネクタ473bであり、配線ケーブルKcと接続されるのは、コネクタ473cとなっており、それぞれのコネクタ473は、リールモジュール40a〜40cの並び方向に沿うとともにその並びに従った順序で配置されている。これにより、各配線ケーブルKをその並びに従ったコネクタ473と接続することで、簡便に確実な接続が図られる。
【0043】
また、左リールモジュール40aの配線ケーブルKaと接続されるコネクタ473aは、中継基板471の左端部側に配置され、右リールモジュール40cの配線ケーブルKcと接続されるコネクタ473cは、中継基板471の右端部側に配置され、中リールモジュール40bの配線ケーブルKbと接続されるコネクタ473bは、コネクタ473aとコネクタ473cの間に配置してある。
これにより、左右に配置されるコネクタ473a,473cは、それぞれに対応する配線引出部465a、465cと最も近くなることから、配線ケーブルKa,Kcをその分短くすることができる。その結果、共通するすべての配線ケーブルKa〜Kcの長さも短くすることができる。
【0044】
なお、基板は、コネクタの配置に必要不可欠な必要最小限の基板面積を、等距離部466を中心に確保するものの、同じ基板面積であれば、なるべくリール幅方向において長い辺を有する矩形状の方が好ましい。これは、基板の両端部側に配置されたコネクタ473a,473cを、それぞれに対応する配線引出部465a、465cにさらに近づけることができるからである。
これにより、配線ケーブルKa,Kcをその分短くすることができ、その結果、共通するすべての配線ケーブルKa〜Kcの長さもさらに短くすることができる。また、このときには、コネクタ473bは、コネクタ473a,473cの間にさえ位置すれば、特に等距離部466に配置されている必要はない。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、収納状態にある複数のリールモジュール40a〜40cのうちの両端に位置するリールモジュール40a、40cに対応するそれぞれの配線引出部465a、465cから等しい距離となる等距離部466に、その中心Sがほぼ位置するように中継基板471が配置されるので、各配線ケーブルKa〜Kcの長さを、両端に位置するリールモジュール40a、40cに対応するそれぞれの配線引出部465a、465cから等距離部466までの長さに合わせることで、各配線ケーブルKa〜Kcの確実な接続を確保しながら、各配線ケーブルKa〜Kcの長さの共通化が図れる。さらに、中継基板471を等距離部466に配置することで、配線引出部465の片寄りを吸収するために、みだりにその面積を拡大する必要がなくなるので、コネクタの配置に必要不可欠な必要最小限の基板面積を、等距離部466を中心に確保することで、基板のコンパクト化を図ることができる。
【0046】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0047】
例えば、各リールモジュール40において、ベース板42の左側にリール41を配置したが、ベース板42の右側にリール41を配置することもできる。
この場合には、リールモジュール40を収納ラック46に収納した状態では、各配線ケーブルKは、ベース板42の配置される側、すなわち、左に片寄った位置から引き出され、これに伴い、中継基板471の配置される位置も左側に片寄ることになる。
【0048】
また、本実施形態では、各リールモジュール40からモータ配線431と、センサ配線441と、LED配線4521の三本からなる配線ケーブルKが引き出されたが、これらを、二又は一のコネクタを用いることで二本又は一本の配線ケーブルKにまとめることもできる。
また、基板ユニット47を、収納ラック46の上面に配置したが、基板の中心Sがほぼ等距離部466に重なるように配置すれば、収納ラック46の後面に配置することもできる。
また、本実施形態では、スロットマシンを例に挙げて説明したが、リールユニットを備えるパチンコ機やその他の遊技機にも適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 スタートレバー
4 リールユニット
40(40a,40b,40c) リールモジュール
41(41a,41b,41c) リール
42 ベース板
43 モータ
46 収納ラック
465(465a,465b,465c) 配線引出部
466 等距離部
471 中継基板
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 表示器
9 スピーカ
10 制御部
20 演出制御部
K(Ka,Kb,Kc) 配線ケーブル
S 基板の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機であって、
前記リールユニットは、
前記リールと、前記リールを回転駆動させるモータと、これらを支持するベース板と、
を少なくとも備えるリールモジュールを複数有するとともに、
前記複数のリールモジュールを水平方向に積層させて収納可能な収納ラックと、
前記各リールモジュールから延びる配線ケーブルの接続される基板と、を備え、
前記配線ケーブルは、前記各ベース板にほぼ沿って形成される配線引出部から引き出され、
前記基板は、
前記リールモジュールごとの配線ケーブルと接続される、少なくとも前記リールモジュールと同数からなる複数のコネクタが実装されるとともに、
リール幅方向において、収納状態にある複数の前記リールモジュールの全幅長に満たない基板幅を有し、
収納状態にある前記複数のリールモジュールのうちの両端に位置する前記リールモジュールに対応するそれぞれの前記配線引出部から等しい距離となる等距離部に、前記基板の中心がほぼ位置するように配置された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記等距離部は、
前記基板が取り付け可能、かつ、前記両端に位置する前記リールモジュールに対応するそれぞれの配線引出部からの距離が最も短くなる部分とした
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記複数のコネクタは、
前記収納状態にある複数の前記リールモジュールの並び方向に沿うとともにその並びに従った順序で配置された
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記基板は、
前記収納状態にある二つの前記リールモジュールの全幅長に満たない基板幅を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記複数のリールモジュールは、前記収納ラックの左端に収納される左リールモジュールと、中央に収納される中リールモジュールと、右端に収納される右リールモジュールと、からなる三つのリールモジュールで構成され、
前記複数のコネクタのうち前記左リールモジュールの配線ケーブルと接続されるコネクタは、前記基板の左端部側に配置され、
前記複数のコネクタのうち前記右リールモジュールの配線ケーブルと接続されるコネクタは、前記基板の右端部側に配置され、
前記複数のコネクタのうち前記中リールモジュールの配線ケーブルと接続されるコネクタは、前記左リールモジュールの配線ケーブルと接続されるコネクタと前記右リールモジュールの配線ケーブルと接続されるコネクタとの間に配置され、
前記基板は、前記収納ラックの上面に配置される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5915(P2013−5915A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140240(P2011−140240)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】