遊星ローラ式トラクションドライブ
【課題】微小クラックの発生を検知でき、早期の対応を可能とした信頼性が高い遊星ローラ式トラクションドライブを提供する。
【解決手段】太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラ5と、複数の遊星ローラ5の外側に配置され、太陽ローラとともに遊星ローラ5を挟持するリングローラ7と、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、リングローラ7に微小クラックが発生したことを検知する応力塗料膜(検知部材)35が塗布されていることを特徴とする。
【解決手段】太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラ5と、複数の遊星ローラ5の外側に配置され、太陽ローラとともに遊星ローラ5を挟持するリングローラ7と、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、リングローラ7に微小クラックが発生したことを検知する応力塗料膜(検知部材)35が塗布されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星ローラ式トラクションドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
遊星ローラ式トラクションドライブは、太陽ローラとその外側に配置されたリングローラとによって太陽ローラの周面に配置される複数の遊星ローラを挟持する構造である。遊星ローラは、キャリアに円周方向等間隔に固着された遊星ローラ軸に転がり軸受を介して支持され、太陽ローラの周りを公転および自転が可能とされている。
キャリアおよび太陽ローラには、それぞれ回転可能に支持された軸(キャリア支持軸、太陽軸)が固着されている。これらの軸の一方の軸に入力された動力は、太陽ローラ、遊星ローラおよびリングローラを介して他方の軸に伝達される。(たとえば、特許文献1参照。)
【0003】
この遊星ローラ式トラクションドライブは、相互に接触する太陽ローラ、遊星ローラおよびリングローラ同士の油膜を介した接触部に法線力(法線方向の力)を作用させることによって発生する油膜のせん断力によって動力を伝達するものである。
歯の噛み合いを基本とした機構であるために、回転精度の向上に製作技術上の制限がある歯車式に比べて、そのような制限のない遊星ローラ式トラクションドライブは、高回転精度、低騒音、高効率である。
このため、遊星ローラ式トラクションドライブは、比較的高トルクを求めない分野を中心として各種産業機械分野における駆動系に広く用いられている。
【0004】
ところで、油膜をせん断するためには、ローラ間に法線力を加える必要がある。法線力は一般的にリングローラを半径方向に押し込むことによって与えられている。従来のリングローラによる押し込みは、たとえば、リングローラの弾性変形を利用して行われている。すなわち、横断面は外側に開放されたU字形状とされ、その内径は遊星ローラの外側位置よりも小さくされたリングローラを拡径して軸方向に挿入した後、縮径することで半径方向法線力を与えている。
また、リングローラを遊星ローラの外側に装着した後、そのU字形状の両側面を押圧し、遊星ローラと接触する内周面をクラウニング変形させ、リングローラの内径を一様に縮小する。この変形量は、遊星ローラとの接触部分にのみ拘束されるので、各ローラ間に法線力を与えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−203449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊星ローラ式トラクションドライブでは、リングローラは運転中に遊星ローラと周期的に接触し、接触するときに引張力が作用され、接触しないときには圧縮力が作用する。
リングローラは初期条件として大きな引張力が作用している状態で、遊星ローラによって、引張力と圧縮力とを交互に繰り返し受けるので、リングローラは、硬い材料で形成されていることもあいまって割れることがある。
リングローラが割れると、それが、たとえ、部分的であっても、その破片がローラ間に噛み込んで多大な損傷を与える恐れがある。
【0007】
このような事態になると、遊星ローラ式トラクションドライブが動力伝達の機能を奏さないので、これを用いている産業機械は突然停止することとなり、多大な影響を及ぼす。
また、大きな損傷を受けると遊星ローラ式トラクションドライブの修理等に多大な時間を要するので、製造停止時間が長くなる。
このため、リングローラに割れが発生する状態であることを早期に、たとえば、微小クラックの状態で検知し、早期に修理等の対応が行なえることが求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微小クラックの発生を検知でき、早期の対応を可能とした信頼性が高い遊星ローラ式トラクションドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明にかかる遊星ローラ式トラクションドライブは、太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラと、複数の該遊星ローラの外側に配置され、前記太陽ローラとともに該遊星ローラを挟持するリングローラと、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、前記リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられ、前記検知部材は、前記リングローラに塗布された応力塗料膜であることを特徴とする。
【0010】
このように、リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられているので、リングローラに微小クラックが発生すると、検知部材がそれを検知できる。このように、検知部材は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止できる。これにより、早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブを用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0011】
検知部材は、リングローラに塗布された応力塗料膜であるため、リングローラに微小クラックが発生すると、リングローラの応力が変化し、応力塗料膜によって検知される。
このように、応力塗料膜は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる遊星ローラ式トラクションドライブによれば、リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材として応力塗料膜がリングローラに塗布されているので、リングローラに微小クラックが発生すると、応力塗料膜がそれを検知できる。
これにより遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止でき、早期に、修理等の対応がとれるので、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブの横断面図を示す。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】本発明の第一参考実施形態にかかる電気抵抗検知装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図5】本発明の第二参考実施形態にかかるリングローラの振動加速度の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の第三参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるリングローラ部の別の実施形態を示す横断面図である。
【図9】本発明の第四参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図10】本発明の第五参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを模式的に示す模式図である。
【図11】本発明の第五参考実施形態にかかる出力回転速度の変化を示すグラフである。
【図12】本発明の第六参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを示す断面図である。
【図13】本発明の第六参考実施形態にかかるモータ電流の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の第六参考実施形態にかかる軸トルクの変化を示すグラフである。
【図15】本発明の第七参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを示す断面図である。
【図16】本発明の第七参考実施形態にかかる軸振れの変化を示すグラフである。
【図17】本発明の第八参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一参考実施形態]
本発明の第一参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1について、図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、遊星ローラ式トラクションドライブ1の横断面図を示す。図2は、図1のX−X断面図である。
【0015】
遊星ローラ式トラクションドライブ1には、太陽ローラ3と、複数、たとえば、3個の遊星ローラ5と、リングローラ7と、太陽ローラ3の端面に同心状に固定された太陽軸9と、各遊星ローラ5をそれぞれ回転自在に支持するキャリア11と、キャリア11に固定して取り付けられそれと同軸線であるキャリア支持軸13とが備えられている。
【0016】
太陽ローラ3は、たとえば、浸炭鋼で形成されたローラであり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。太陽軸9は、図示しないフレームに回転自在に支持されている。
【0017】
遊星ローラ5は、たとえば、軸受鋼で形成された中空円筒体であり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。遊星ローラ5は、キャリア11に円周方向等間隔に固着された遊星ローラ軸15に転がり軸受17を介して支持され、それぞれ太陽ローラ3の周囲に接するように設けられている。キャリア支持軸13は、図示しないフレームに回転自在に支持されている。このため、遊星ローラ5は太陽ローラ3の周りを公転することおよび自転することが可能である。
【0018】
リングローラ7は、たとえば、軸受鋼で形成されたリング体であり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。
リングローラ7の断面形状は、U字形状をしている。リングローラ7の内径は、複数の遊星ローラ5の外側端が形成する包絡線よりも大きくされている。
リングローラ7は、複数の遊星ローラ5の外側に軸線方向に挿入された後、その両側面に予圧Fが加えられる。これにより、リングローラ7の内周面にはクラウニング変形が形成され、リングローラ7の内径が一様に縮小する。この変形量は、遊星ローラ7との接触部分のみに拘束されるので、リングローラ7と遊星ローラ5との接触部分、および、遊星ローラ5と太陽ローラ3との接触部分には、これに基づく法線力が予圧Fに比例して発生する。したがって、予圧Fを調整することによって、ローラ間に作用する法線力を任意にかつ正確に設定することができる。
【0019】
図3は、電気抵抗検知装置(検知部材)19を示すブロック図である。
電気抵抗検知装置19には、電圧計21と、直流電源23と、抵抗25と、が備えられている。これら電圧計21、直流電源23および抵抗25が、リングローラ7の2点を結ぶ結線に直列に接続されている。言い換えると、電圧計21、直流電源23、抵抗25、およびリングローラ7が直列に接続されている。
抵抗25は、一定の抵抗値をもっているので、リングローラ7の抵抗の大きさによって電圧計21で測定される電圧は変化する。
【0020】
以上のように構成された遊星ローラ式トラクションドライブ1は次のように動作する。
遊星ローラ式トラクションドライブ1が減速機として使用される場合には、太陽軸9を入力軸とし、リングローラ7を固定する。これにより、太陽軸9の回転は太陽ローラ3を経て、各遊星ローラ5に伝達される。遊星ローラ5が太陽ローラ3とリングローラ7との間を自転することによって遊星ローラ5は太陽ローラ3の周りを公転する。
遊星ローラ5の公転によってキャリア11が回転するので、減速された回転が出力軸であるキャリア支持軸13に伝達される。
【0021】
遊星ローラ式トラクションドライブ1が増速機として使用される場合には、リングローラ7を固定し、上記とは逆に、キャリア支持軸13を入力軸とし、太陽軸9を出力軸とする。キャリア支持軸13の回転は、キャリア11、遊星ローラ軸15から遊星ローラ5に伝達されるので、遊星ローラ5が太陽ローラ3とリングローラ7との間を自転することによって増速され、太陽ローラ3を経て太陽軸9に伝達される。
【0022】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の形状が変化したり、他の部材と接触したりすることによってリングローラ7の電気抵抗が変化する。
リングローラ7の電気抵抗が変化すると、電気抵抗検知装置19の電圧計の検出値が、変化する。したがって、電気抵抗検知装置19が測定した電圧が変化すると、クラックが発生したと判定できる。
電気抵抗検知装置19は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0023】
このように、電気抵抗検知装置19は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
なお、電気抵抗検知装置19は、例示したものであるので、リングローラ7の電気抵抗の変化を測定する手段としては種々の手段を用いることができる。
【0024】
[第二参考実施形態]
次に、本発明の第二参考実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
この第二参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0025】
図4は、リングローラ7部の横断面図である。図5は、リングローラ7の振動加速度の変化を示すグラフである。
本実施形態では、リングローラ7の背面に、加速度計(検知部材)27が取り付けられている。
加速度計27は、リングローラ7が振動するときの加速度を検出する。
加速度計27で検出された振動加速度は、運転開始時に測定された加速度の自乗平均値(rms値)を初期状態とする。
【0026】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、リングローラ7の振動状態が変化する。
これに伴い、図5に示されるように、加速度計27が測定する加速度のレベルが変化する。この変化が発生するとクラック発生31と判定する。
加速度計27は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0027】
このように、加速度計27は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、振動の加速度を測定する加速度計27を用いているが、これは振動の変位を測定する変位計を用いてもよいし、振動の振幅を測定するようにしてもよい。
【0028】
[第三参考実施形態]
次に、本発明の第三参考実施形態について、図6を用いて説明する。
この第三参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0029】
図6は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7の側面に、加速度計(検知部材)27が取り付けられている。
加速度計27は、リングローラ7が振動するときの加速度を検出する。この加速度計27は、運転停止中に、たとえば、対向する側面を打撃33し、リングローラ7が振動する時の振動の加速度、すなわち、リングローラ7の振動固有値を測定する。
【0030】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の振動固有値が変化する。
この変化が発生するとクラックが発生したと判定する。
【0031】
このように、加速度計27は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0032】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態について、図7および図8を用いて説明する。
本実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0033】
図7および図8は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、図7に示されるように、リングローラ7の背面に、応力が変化するとクラックが発生する応力塗料膜(検知部材)35を塗布している。また、図8に示されるように、リングローラ7の背面に、応力を測定するひずみゲージ(検知部材)37を貼り付けている。
すなわち、応力塗料膜35およびひずみゲージ37はリングローラ7の応力の変化を検知するものである。
【0034】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の応力が変化する。
この変化が発生するとクラックが発生したと判定する。
【0035】
このように、応力塗料膜35あるいはひずみゲージ37は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0036】
[第四参考実施形態]
次に、本発明の第四参考実施形態について、図9を用いて説明する。
この第四参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0037】
図9は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7の側面に、超音波探傷による欠陥検出装置(検知部材)39が取り付けられている。
欠陥検出装置39は、超音波探傷によって、リングローラ7にクラック等の欠陥があるかを検出することができる。
【0038】
このように、欠陥検出装置39は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0039】
[第五参考実施形態]
次に、本発明の第五参考実施形態について、図10および図11を用いて説明する。
この第五参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0040】
図10は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。図11は、出力回転速度の変化を示すグラフである。
本実施形態では、入力軸、たとえば、太陽軸9にその回転速度(回転数)を検出する速度計(検知部材)41が、出力軸、たとえば、キャリア支持軸13にその回転速度(回転数)を検出する速度計(検知部材)43が取り付けられている。通常入力回転速度は一定で運転されることが多いので、回転速度の計測は、速度計43でのみ行われるようにしてもよい。図11は、この速度計43で測定した出力回転速度の変化を示している。
【0041】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、入力回転速度に対する出力回転速度の比率が変化する。
これに伴い、図11に示されるように、速度計43が測定する回転速度のレベルが変化する。この変化45が発生するとクラック発生と判定する。
速度計41,43は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0042】
このように、速度計41,43は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0043】
[第六参考実施形態]
次に、本発明の第六参考実施形態について、図12〜図14を用いて説明する。
この第六参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0044】
図12は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。
本実施形態では、入力軸、たとえば、太陽軸9には、それを回転駆動する駆動モータ47が備えられている。駆動モータ47には、モータ電流を検出する電流計(検知部材)49が取り付けられている。
図13は、この電流計49で測定したモータ電流の時間経過に伴う変化を示している。
【0045】
出力軸、たとえば、キャリア支持軸13には、キャリア支持軸13の軸トルクを測定する軸トルク計(検知部材)51が取り付けられている。
図14は、この軸トルク計51で測定したキャリア支持軸13の軸トルクの時間経過に伴う変化を示している。
電流計49および軸トルク計51は、いずれか一方だけを取り付けてもよい。また、軸トルク計51は、キャリア支持軸13にではなく、太陽軸9に取り付けるようにしてもよい。
【0046】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、キャリア支持軸13および太陽軸9に作用する軸トルクが変化する。
これに伴い、図14に示されるように、軸トルク計51が測定するキャリア支持軸13の軸トルクのレベルが変化する。この変化55が発生するとクラック発生と判定する。
太陽軸9に作用する軸トルクが変化すると、太陽軸9を駆動する駆動モータ47の負荷が変化するので、駆動モータ47を作動するモータ電流が変化する。
これに伴い、図13に示されるように、電流計49が測定するモータ電流のレベルが変化する。この変化53が発生するとクラック発生と判定する。
【0047】
電流計49および軸トルク計51は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
このように、電流計49および/または軸トルク計51は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0048】
[第七参考実施形態]
次に、本発明の第七参考実施形態について、図15および図16を用いて説明する。
この第七参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0049】
図15は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。
本実施形態では、出力軸、たとえば、キャリア支持軸13にその半径方向の変位を検出する変位計(検知部材)57が取り付けられている。変位計57は、半径方向からキャリア支持軸13に接触もしくは非接触にてキャリア支持軸13の半径方向(図15の紙面に沿った方向)への移動量を計測するものである。
図16は、この変位計57で測定したキャリア支持軸13の軸振れの時間経過に対する変化を示している。
変位計57は、入力軸、たとえば、太陽軸9に取り付けるようにしてもよい。
【0050】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、キャリア支持軸13および太陽軸9に作用する軸トルクが変化し、それらが半径方向に振れ易くなる。
これに伴い、図16に示されるように、変位計57が測定するキャリア支持軸13の軸振れのレベルが変化する。この変化59が発生するとクラック発生と判定する。
変位計57は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0051】
このように、変位計57は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0052】
[第八参考実施形態]
次に、本発明の第八参考実施形態について、図17を用いて説明する。
この第八参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0053】
図17は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7にAE検出装置(検知部材)61が取り付けられている。AE検出装置61は、リングローラ7の側面に取り付けられたリングローラ7が発生する弾性波を検知するAEセンサ63と、AEセンサの検出した信号を可視化するAE計測器65とを備えている。
【0054】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7は内部に蓄えられていたひずみエネルギーを弾性波として放出する、いわゆる、アコースティックエミッションを発生する。
アコースティックエミッションが発生すると、AEセンサ63がそれを検出し、AE計測器65が可視化するとともにアコースティックエミッションの検出を報知する。
このアコースティックエミッションが発生するとクラックが発生したと判定する。
AE検出装置61は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0055】
このように、AE検出装置61は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 遊星ローラ式トラクションドライブ
3 太陽ローラ
5 遊星ローラ
7 リングローラ
19 電気抵抗検知装置
27 加速度計
35 応力塗料膜(検知部材)
37 ひずみゲージ
39 欠陥検出装置
41 速度計
43 速度計
45 AE検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星ローラ式トラクションドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
遊星ローラ式トラクションドライブは、太陽ローラとその外側に配置されたリングローラとによって太陽ローラの周面に配置される複数の遊星ローラを挟持する構造である。遊星ローラは、キャリアに円周方向等間隔に固着された遊星ローラ軸に転がり軸受を介して支持され、太陽ローラの周りを公転および自転が可能とされている。
キャリアおよび太陽ローラには、それぞれ回転可能に支持された軸(キャリア支持軸、太陽軸)が固着されている。これらの軸の一方の軸に入力された動力は、太陽ローラ、遊星ローラおよびリングローラを介して他方の軸に伝達される。(たとえば、特許文献1参照。)
【0003】
この遊星ローラ式トラクションドライブは、相互に接触する太陽ローラ、遊星ローラおよびリングローラ同士の油膜を介した接触部に法線力(法線方向の力)を作用させることによって発生する油膜のせん断力によって動力を伝達するものである。
歯の噛み合いを基本とした機構であるために、回転精度の向上に製作技術上の制限がある歯車式に比べて、そのような制限のない遊星ローラ式トラクションドライブは、高回転精度、低騒音、高効率である。
このため、遊星ローラ式トラクションドライブは、比較的高トルクを求めない分野を中心として各種産業機械分野における駆動系に広く用いられている。
【0004】
ところで、油膜をせん断するためには、ローラ間に法線力を加える必要がある。法線力は一般的にリングローラを半径方向に押し込むことによって与えられている。従来のリングローラによる押し込みは、たとえば、リングローラの弾性変形を利用して行われている。すなわち、横断面は外側に開放されたU字形状とされ、その内径は遊星ローラの外側位置よりも小さくされたリングローラを拡径して軸方向に挿入した後、縮径することで半径方向法線力を与えている。
また、リングローラを遊星ローラの外側に装着した後、そのU字形状の両側面を押圧し、遊星ローラと接触する内周面をクラウニング変形させ、リングローラの内径を一様に縮小する。この変形量は、遊星ローラとの接触部分にのみ拘束されるので、各ローラ間に法線力を与えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−203449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊星ローラ式トラクションドライブでは、リングローラは運転中に遊星ローラと周期的に接触し、接触するときに引張力が作用され、接触しないときには圧縮力が作用する。
リングローラは初期条件として大きな引張力が作用している状態で、遊星ローラによって、引張力と圧縮力とを交互に繰り返し受けるので、リングローラは、硬い材料で形成されていることもあいまって割れることがある。
リングローラが割れると、それが、たとえ、部分的であっても、その破片がローラ間に噛み込んで多大な損傷を与える恐れがある。
【0007】
このような事態になると、遊星ローラ式トラクションドライブが動力伝達の機能を奏さないので、これを用いている産業機械は突然停止することとなり、多大な影響を及ぼす。
また、大きな損傷を受けると遊星ローラ式トラクションドライブの修理等に多大な時間を要するので、製造停止時間が長くなる。
このため、リングローラに割れが発生する状態であることを早期に、たとえば、微小クラックの状態で検知し、早期に修理等の対応が行なえることが求められている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微小クラックの発生を検知でき、早期の対応を可能とした信頼性が高い遊星ローラ式トラクションドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明にかかる遊星ローラ式トラクションドライブは、太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラと、複数の該遊星ローラの外側に配置され、前記太陽ローラとともに該遊星ローラを挟持するリングローラと、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、前記リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられ、前記検知部材は、前記リングローラに塗布された応力塗料膜であることを特徴とする。
【0010】
このように、リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられているので、リングローラに微小クラックが発生すると、検知部材がそれを検知できる。このように、検知部材は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止できる。これにより、早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブを用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0011】
検知部材は、リングローラに塗布された応力塗料膜であるため、リングローラに微小クラックが発生すると、リングローラの応力が変化し、応力塗料膜によって検知される。
このように、応力塗料膜は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる遊星ローラ式トラクションドライブによれば、リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材として応力塗料膜がリングローラに塗布されているので、リングローラに微小クラックが発生すると、応力塗料膜がそれを検知できる。
これにより遊星ローラ式トラクションドライブが大きく損傷することを防止でき、早期に、修理等の対応がとれるので、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブの横断面図を示す。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】本発明の第一参考実施形態にかかる電気抵抗検知装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図5】本発明の第二参考実施形態にかかるリングローラの振動加速度の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の第三参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるリングローラ部の別の実施形態を示す横断面図である。
【図9】本発明の第四参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【図10】本発明の第五参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを模式的に示す模式図である。
【図11】本発明の第五参考実施形態にかかる出力回転速度の変化を示すグラフである。
【図12】本発明の第六参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを示す断面図である。
【図13】本発明の第六参考実施形態にかかるモータ電流の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の第六参考実施形態にかかる軸トルクの変化を示すグラフである。
【図15】本発明の第七参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブを示す断面図である。
【図16】本発明の第七参考実施形態にかかる軸振れの変化を示すグラフである。
【図17】本発明の第八参考実施形態にかかるリングローラ部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一参考実施形態]
本発明の第一参考実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1について、図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、遊星ローラ式トラクションドライブ1の横断面図を示す。図2は、図1のX−X断面図である。
【0015】
遊星ローラ式トラクションドライブ1には、太陽ローラ3と、複数、たとえば、3個の遊星ローラ5と、リングローラ7と、太陽ローラ3の端面に同心状に固定された太陽軸9と、各遊星ローラ5をそれぞれ回転自在に支持するキャリア11と、キャリア11に固定して取り付けられそれと同軸線であるキャリア支持軸13とが備えられている。
【0016】
太陽ローラ3は、たとえば、浸炭鋼で形成されたローラであり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。太陽軸9は、図示しないフレームに回転自在に支持されている。
【0017】
遊星ローラ5は、たとえば、軸受鋼で形成された中空円筒体であり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。遊星ローラ5は、キャリア11に円周方向等間隔に固着された遊星ローラ軸15に転がり軸受17を介して支持され、それぞれ太陽ローラ3の周囲に接するように設けられている。キャリア支持軸13は、図示しないフレームに回転自在に支持されている。このため、遊星ローラ5は太陽ローラ3の周りを公転することおよび自転することが可能である。
【0018】
リングローラ7は、たとえば、軸受鋼で形成されたリング体であり、その硬度は、ロックウェル硬度(HRC)で60以上とされている。
リングローラ7の断面形状は、U字形状をしている。リングローラ7の内径は、複数の遊星ローラ5の外側端が形成する包絡線よりも大きくされている。
リングローラ7は、複数の遊星ローラ5の外側に軸線方向に挿入された後、その両側面に予圧Fが加えられる。これにより、リングローラ7の内周面にはクラウニング変形が形成され、リングローラ7の内径が一様に縮小する。この変形量は、遊星ローラ7との接触部分のみに拘束されるので、リングローラ7と遊星ローラ5との接触部分、および、遊星ローラ5と太陽ローラ3との接触部分には、これに基づく法線力が予圧Fに比例して発生する。したがって、予圧Fを調整することによって、ローラ間に作用する法線力を任意にかつ正確に設定することができる。
【0019】
図3は、電気抵抗検知装置(検知部材)19を示すブロック図である。
電気抵抗検知装置19には、電圧計21と、直流電源23と、抵抗25と、が備えられている。これら電圧計21、直流電源23および抵抗25が、リングローラ7の2点を結ぶ結線に直列に接続されている。言い換えると、電圧計21、直流電源23、抵抗25、およびリングローラ7が直列に接続されている。
抵抗25は、一定の抵抗値をもっているので、リングローラ7の抵抗の大きさによって電圧計21で測定される電圧は変化する。
【0020】
以上のように構成された遊星ローラ式トラクションドライブ1は次のように動作する。
遊星ローラ式トラクションドライブ1が減速機として使用される場合には、太陽軸9を入力軸とし、リングローラ7を固定する。これにより、太陽軸9の回転は太陽ローラ3を経て、各遊星ローラ5に伝達される。遊星ローラ5が太陽ローラ3とリングローラ7との間を自転することによって遊星ローラ5は太陽ローラ3の周りを公転する。
遊星ローラ5の公転によってキャリア11が回転するので、減速された回転が出力軸であるキャリア支持軸13に伝達される。
【0021】
遊星ローラ式トラクションドライブ1が増速機として使用される場合には、リングローラ7を固定し、上記とは逆に、キャリア支持軸13を入力軸とし、太陽軸9を出力軸とする。キャリア支持軸13の回転は、キャリア11、遊星ローラ軸15から遊星ローラ5に伝達されるので、遊星ローラ5が太陽ローラ3とリングローラ7との間を自転することによって増速され、太陽ローラ3を経て太陽軸9に伝達される。
【0022】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の形状が変化したり、他の部材と接触したりすることによってリングローラ7の電気抵抗が変化する。
リングローラ7の電気抵抗が変化すると、電気抵抗検知装置19の電圧計の検出値が、変化する。したがって、電気抵抗検知装置19が測定した電圧が変化すると、クラックが発生したと判定できる。
電気抵抗検知装置19は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0023】
このように、電気抵抗検知装置19は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
なお、電気抵抗検知装置19は、例示したものであるので、リングローラ7の電気抵抗の変化を測定する手段としては種々の手段を用いることができる。
【0024】
[第二参考実施形態]
次に、本発明の第二参考実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
この第二参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0025】
図4は、リングローラ7部の横断面図である。図5は、リングローラ7の振動加速度の変化を示すグラフである。
本実施形態では、リングローラ7の背面に、加速度計(検知部材)27が取り付けられている。
加速度計27は、リングローラ7が振動するときの加速度を検出する。
加速度計27で検出された振動加速度は、運転開始時に測定された加速度の自乗平均値(rms値)を初期状態とする。
【0026】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、リングローラ7の振動状態が変化する。
これに伴い、図5に示されるように、加速度計27が測定する加速度のレベルが変化する。この変化が発生するとクラック発生31と判定する。
加速度計27は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0027】
このように、加速度計27は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、振動の加速度を測定する加速度計27を用いているが、これは振動の変位を測定する変位計を用いてもよいし、振動の振幅を測定するようにしてもよい。
【0028】
[第三参考実施形態]
次に、本発明の第三参考実施形態について、図6を用いて説明する。
この第三参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0029】
図6は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7の側面に、加速度計(検知部材)27が取り付けられている。
加速度計27は、リングローラ7が振動するときの加速度を検出する。この加速度計27は、運転停止中に、たとえば、対向する側面を打撃33し、リングローラ7が振動する時の振動の加速度、すなわち、リングローラ7の振動固有値を測定する。
【0030】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の振動固有値が変化する。
この変化が発生するとクラックが発生したと判定する。
【0031】
このように、加速度計27は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0032】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態について、図7および図8を用いて説明する。
本実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0033】
図7および図8は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、図7に示されるように、リングローラ7の背面に、応力が変化するとクラックが発生する応力塗料膜(検知部材)35を塗布している。また、図8に示されるように、リングローラ7の背面に、応力を測定するひずみゲージ(検知部材)37を貼り付けている。
すなわち、応力塗料膜35およびひずみゲージ37はリングローラ7の応力の変化を検知するものである。
【0034】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の応力が変化する。
この変化が発生するとクラックが発生したと判定する。
【0035】
このように、応力塗料膜35あるいはひずみゲージ37は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0036】
[第四参考実施形態]
次に、本発明の第四参考実施形態について、図9を用いて説明する。
この第四参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0037】
図9は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7の側面に、超音波探傷による欠陥検出装置(検知部材)39が取り付けられている。
欠陥検出装置39は、超音波探傷によって、リングローラ7にクラック等の欠陥があるかを検出することができる。
【0038】
このように、欠陥検出装置39は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0039】
[第五参考実施形態]
次に、本発明の第五参考実施形態について、図10および図11を用いて説明する。
この第五参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0040】
図10は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。図11は、出力回転速度の変化を示すグラフである。
本実施形態では、入力軸、たとえば、太陽軸9にその回転速度(回転数)を検出する速度計(検知部材)41が、出力軸、たとえば、キャリア支持軸13にその回転速度(回転数)を検出する速度計(検知部材)43が取り付けられている。通常入力回転速度は一定で運転されることが多いので、回転速度の計測は、速度計43でのみ行われるようにしてもよい。図11は、この速度計43で測定した出力回転速度の変化を示している。
【0041】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、入力回転速度に対する出力回転速度の比率が変化する。
これに伴い、図11に示されるように、速度計43が測定する回転速度のレベルが変化する。この変化45が発生するとクラック発生と判定する。
速度計41,43は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0042】
このように、速度計41,43は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0043】
[第六参考実施形態]
次に、本発明の第六参考実施形態について、図12〜図14を用いて説明する。
この第六参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0044】
図12は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。
本実施形態では、入力軸、たとえば、太陽軸9には、それを回転駆動する駆動モータ47が備えられている。駆動モータ47には、モータ電流を検出する電流計(検知部材)49が取り付けられている。
図13は、この電流計49で測定したモータ電流の時間経過に伴う変化を示している。
【0045】
出力軸、たとえば、キャリア支持軸13には、キャリア支持軸13の軸トルクを測定する軸トルク計(検知部材)51が取り付けられている。
図14は、この軸トルク計51で測定したキャリア支持軸13の軸トルクの時間経過に伴う変化を示している。
電流計49および軸トルク計51は、いずれか一方だけを取り付けてもよい。また、軸トルク計51は、キャリア支持軸13にではなく、太陽軸9に取り付けるようにしてもよい。
【0046】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、キャリア支持軸13および太陽軸9に作用する軸トルクが変化する。
これに伴い、図14に示されるように、軸トルク計51が測定するキャリア支持軸13の軸トルクのレベルが変化する。この変化55が発生するとクラック発生と判定する。
太陽軸9に作用する軸トルクが変化すると、太陽軸9を駆動する駆動モータ47の負荷が変化するので、駆動モータ47を作動するモータ電流が変化する。
これに伴い、図13に示されるように、電流計49が測定するモータ電流のレベルが変化する。この変化53が発生するとクラック発生と判定する。
【0047】
電流計49および軸トルク計51は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
このように、電流計49および/または軸トルク計51は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0048】
[第七参考実施形態]
次に、本発明の第七参考実施形態について、図15および図16を用いて説明する。
この第七参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0049】
図15は、本実施形態にかかる遊星ローラ式トラクションドライブ1の図2と同様な部分を示す断面図である。
本実施形態では、出力軸、たとえば、キャリア支持軸13にその半径方向の変位を検出する変位計(検知部材)57が取り付けられている。変位計57は、半径方向からキャリア支持軸13に接触もしくは非接触にてキャリア支持軸13の半径方向(図15の紙面に沿った方向)への移動量を計測するものである。
図16は、この変位計57で測定したキャリア支持軸13の軸振れの時間経過に対する変化を示している。
変位計57は、入力軸、たとえば、太陽軸9に取り付けるようにしてもよい。
【0050】
このとき、リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7の剛性が変化する。リングローラ7の剛性が変化すると、リングローラ7の遊星ローラ5に対する押付け力が変化する。これに伴い遊星ローラ5の通過状態が変化するので、キャリア支持軸13および太陽軸9に作用する軸トルクが変化し、それらが半径方向に振れ易くなる。
これに伴い、図16に示されるように、変位計57が測定するキャリア支持軸13の軸振れのレベルが変化する。この変化59が発生するとクラック発生と判定する。
変位計57は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0051】
このように、変位計57は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0052】
[第八参考実施形態]
次に、本発明の第八参考実施形態について、図17を用いて説明する。
この第八参考実施形態は、リングローラ7のクラックを検出する方法が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
【0053】
図17は、リングローラ7部の横断面図である。
本実施形態では、リングローラ7にAE検出装置(検知部材)61が取り付けられている。AE検出装置61は、リングローラ7の側面に取り付けられたリングローラ7が発生する弾性波を検知するAEセンサ63と、AEセンサの検出した信号を可視化するAE計測器65とを備えている。
【0054】
リングローラ7にクラックが発生すると、リングローラ7は内部に蓄えられていたひずみエネルギーを弾性波として放出する、いわゆる、アコースティックエミッションを発生する。
アコースティックエミッションが発生すると、AEセンサ63がそれを検出し、AE計測器65が可視化するとともにアコースティックエミッションの検出を報知する。
このアコースティックエミッションが発生するとクラックが発生したと判定する。
AE検出装置61は、運転中も、常時測定できるので、リングローラ7のクラック発生をより早期に判断することができる。したがって、より微小クラックの状態でクラックの発生を把握できる。
【0055】
このように、AE検出装置61は、微小クラックの状態で検知できるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1が大きく損傷することを防止できる。
これにより、遊星ローラ式トラクションドライブ1に対して早期に、修理等の対応がとれるので、遊星ローラ式トラクションドライブ1を用いている産業機械等への影響を軽微とすることができ、信頼性を向上させることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 遊星ローラ式トラクションドライブ
3 太陽ローラ
5 遊星ローラ
7 リングローラ
19 電気抵抗検知装置
27 加速度計
35 応力塗料膜(検知部材)
37 ひずみゲージ
39 欠陥検出装置
41 速度計
43 速度計
45 AE検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラと、
複数の該遊星ローラの外側に配置され、前記太陽ローラとともに該遊星ローラを挟持するリングローラと、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、
前記リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられ、
前記検知部材は、前記リングローラに塗布された応力塗料膜であることを特徴とする遊星ローラ式トラクションドライブ。
【請求項1】
太陽ローラの周りに自転および公転可能に配置された複数の遊星ローラと、
複数の該遊星ローラの外側に配置され、前記太陽ローラとともに該遊星ローラを挟持するリングローラと、を備えている遊星ローラ式トラクションドライブであって、
前記リングローラに微小クラックが発生したことを検知する検知部材が備えられ、
前記検知部材は、前記リングローラに塗布された応力塗料膜であることを特徴とする遊星ローラ式トラクションドライブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−137193(P2012−137193A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97911(P2012−97911)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2008−241386(P2008−241386)の分割
【原出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2008−241386(P2008−241386)の分割
【原出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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