運搬装置
【課題】ケーブルを敷設する際の作業性を改善できるとともに、回転するケーブルドラムをフォークアームの定位置に保持できる運搬装置を得る。
【解決手段】運搬装置は、横方向に延びる一対のフォークアーム11a,11bと、該フォークアームに支持された一対のローラ27a,27b,28a,28bとを備えている。該ローラはフォークアームの長手方向に延びるとともに、フォークアームの長手方向に並んでいる。ケーブルドラム2は、そのフランジ5a,5bがフォ−クアームの間に跨るようにフォークアームの上に載置される。ローラは、フランジの外周面に接することでケーブルドラムを回転可能に支持し、フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、フォークアームが延びる方向に対し逆向きに傾斜されて、回転するケーブルドラム2の重心を隣り合うローラの間に移動させる。
【解決手段】運搬装置は、横方向に延びる一対のフォークアーム11a,11bと、該フォークアームに支持された一対のローラ27a,27b,28a,28bとを備えている。該ローラはフォークアームの長手方向に延びるとともに、フォークアームの長手方向に並んでいる。ケーブルドラム2は、そのフランジ5a,5bがフォ−クアームの間に跨るようにフォークアームの上に載置される。ローラは、フランジの外周面に接することでケーブルドラムを回転可能に支持し、フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、フォークアームが延びる方向に対し逆向きに傾斜されて、回転するケーブルドラム2の重心を隣り合うローラの間に移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムを、例えば保管場所から工事現場に運搬したり、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出す際に使用する運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気工事で使用する信号ケーブルあるいは動力ケーブルのようなケーブルは、ケーブルドラムに巻かれた状態で工事現場に搬入される。ケーブルドラムは、ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、巻胴部を間に挟んで向かい合う一対のフランジとを有している。フランジは、巻胴部に巻かれたケーブルを保護するように、巻胴部よりも大きな直径を有するとともに、巻胴部に対し同軸状に設けられている。
【0003】
この種のケーブルドラムは、重く大きいために、ケーブルドラムを保管場所から工事現場まで移動させるに当たっては、作業者がケーブルドラムを転がしたり、トラッククレーン又はフォークリフトを用いることが行なわれている。
【0004】
工事現場に運搬されたケーブルドラムは、例えば特許文献1に示されるようなケーブル繰り出し機に装着される。ケーブル繰り出し機は、ケーブルドラムの中心部に差し込まれる水平な支持軸を有している。そのため、ケーブルドラムをケーブル繰り出し機の支持軸に装着した状態で、巻胴部に巻かれたケーブルの先端を引っ張ると、ケーブルドラムが支持軸を中心に回転する。よって、巻胴部に巻かれたケーブルを容易に引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−103548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出すに当たって、ケーブルドラムを専用のケーブル繰り出し機に積み替える作業を必要とする。特にケーブルドラムは重く大きいために、ケーブルドラムをケーブル繰り出し機に積み替える作業に多大な手間と労力を有するのを避けられない。
【0007】
よって、作業性が悪く、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出すまでに時間がかかり、ケーブルの敷設作業を効率よく行なう上で改善の余地が残されている。
【0008】
本発明の目的は、ケーブルドラムをフォークアームの上に載置したままの状態でケーブルの引き出し作業に移行することができ、ケーブルを敷設する際の作業性を改善できるとともに、回転するケーブルドラムをフォークアームの定位置に保持できる運搬装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る運搬装置は、ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬するための運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記本体に支持され、前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びる一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるとともに、前記フォークアームの長手方向に並べて配置された一対のローラと、を含んでいる。
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォ−クアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、
前記各フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、前記フォークアームが延びる方向に対して互いに逆向きに傾斜されて、前記回転するケーブルドラムの重心が前記隣り合うローラの間に位置するように前記ケーブルドラムを移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブルドラムの運搬作業からケーブルの引き出し作業に速やかに移行できるとともに、回転するドラムをフォークアームの定位置に保持することができる。よって、ケーブルを敷設する際の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、第1および第2のローラを有するフォークの平面図。
【図3】図2のF3-F3線に沿う断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームがケーブルドラムの下に差し込まれた状態を示す斜視図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームの上に載置されたケーブルドラムからケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、第1および第2のローラを有するフォークの平面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームの上に載置されたケーブルドラムからケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るフォークの平面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るフォークを一部断面で示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0013】
図1は、運搬装置の一例である手押し式のハンドフォークリフト1を開示している。ハンドフォークリフト1は、例えば電気工事のケーブル敷設時に使用するケーブルドラム2を保管場所から工事現場に運搬するためのものである。
【0014】
図2および図4に示すように、ケーブルドラム2は、例えば信号ケーブル、動力ケーブルのようなケーブル3が巻き付けられた円筒状の巻胴部4と、巻胴部4を間に挟んで向かい合う一対のフランジ5a,5bとを備えている。フランジ5a,5bは、巻胴部4よりも大きな直径を有する円板で構成されているとともに、巻胴部4に対し同軸状に設けられている。
【0015】
図1に示すように、ハンドフォークリフト1は、本体7およびフォーク8を備えている。操向用の車輪9が本体7の下端に支持されている。車輪9は、本体7から起立するハンドル10によって左右に操作されるようになっている。
【0016】
フォーク8は、一対のフォークアーム11a,11bを有している。フォークアーム11a,11bは、互いに間隔を存して平行に配置されているとともに、本体7から横方向に延びている。
【0017】
フォークアーム11a,11bは、夫々第1の端部12および第2の端部13を有している。第1の端部12は、本体7と隣り合っている。第2の端部13は、第1の端部12に対しフォークアーム11a,11bの長手方向に沿う反対側に位置されている。フォークアーム11a,11bの第2の端部13は、ケーブルドラム2の下に容易に挿入し得るように互いに離れている。
【0018】
さらに、第2の端部13の下面に夫々補助車輪14が支持されているとともに、第2の端部13の先端に連結孔15が形成されている。
【0019】
フォークアーム11a,11bは、第1の端部12の間に跨るクロスメンバ17によって互いに連結されている。クロスメンバ17は、油圧ジャッキ18を介して本体7に支持されている。油圧ジャッキ18は、前記ハンドル10の上端をハンドフォークリフト1の前後方向に移動させることで操作される。これにより、フォーク8が持ち上がるとともに、ハンドル10に設けた解除レバー19を手で握ることでフォーク8が降下するようになっている。
【0020】
図1ないし図3に示すように、フォークアーム11a,11bは、互いに向かい合い内側部21a,21bを有している。一方のフォークアーム11aの内側部21aに一対の凹部22a,22bが形成されている。凹部22a,22bは、フォークアーム11aの第1の端部12と第2の端部13との間に位置されている。
【0021】
凹部22a,22bは、フォークアーム11aの長手方向に延びる細長い形状を有するとともに、フォークアーム11aの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。凹部22a,22bは、フォークアーム11aの上面23aおよび内側面23bに連続して開口されている。
【0022】
同様に、他方のフォークアーム11bの内側部21bに一対の凹部24a,24bが形成されている。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの第1の端部12と第2の端部13との間に位置されている。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの長手方向に延びる細長い形状を有するとともに、フォークアーム11bの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの上面25aおよび内側面25bに連続して開口されている。
【0023】
フォークアーム11aの凹部22a,22bに夫々円柱状の第1のローラ27a,27bが配置されている。第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの長手方向に延びており、その長手方向に沿う一端および他端が図示しない軸受を介してフォークアーム11aに回転自在に支持されている。そのため、第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの長手方向に隣り合っている。
【0024】
第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの上面23aと内側面23bとで規定される角部に位置されている。第1のローラ27a,27bの周面の一部は、フォークアーム11aの上面23aから突出されている。
【0025】
図2に示すように、第1のローラ27a,27bは、夫々回転中心軸O1を有している。回転中心軸O1は、フォークアーム11aの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A1に対し傾いている。回転中心軸O1と基準線A1との交差角度によって定まる第1のローラ27a,27bの傾斜角度α1は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0026】
さらに、基準線A1に対する第1のローラ27aの傾斜方向と、基準線A1に対する第1のローラ27bの傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。本実施の形態では、第1のローラ27a,27bは、互いに隣り合う端部の方向に進むに従いフォークアーム11aの内側面23bの方向に進出するように傾いている。
【0027】
同様に、フォークアーム11bの凹部24a,24bに夫々円柱状の第2のローラ28a,28bが配置されている。第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの長手方向に延びており、その長手方向に沿う一端および他端が図示しない軸受を介してフォークアーム11bに回転自在に支持されている。そのため、第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの長手方向に隣り合っている。
【0028】
第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの上面25aと内側面25bとで規定される角部に位置されている。第2のローラ28a,28bの周面の一部は、フォークアーム11bの上面25aから突出されている。
【0029】
図2に示すように、第2のローラ28a,28bは、夫々回転中心軸O2を有している。回転中心軸O2は、フォークアーム11bの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A2に対し傾いている。回転中心軸O2と基準線A2との交差角度によって定まる第2のローラ28a,28bの傾斜角度α2は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0030】
さらに、基準線A2に対する第2のローラ28aの傾斜方向と、基準線A2に対する第2のローラ28bの傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。本実施の形態では、第2のローラ28a,28bは、互いに隣り合う端部の方向に進むに従いフォークアーム11bの内側面25bの方向に進出するように傾いている。
【0031】
よって、図2に示すようにフォーク8を平面的に見た場合に、第1のローラ27aおよび第2のローラ28aは、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合うとともに、本体7の方向に進むに従い互いに遠ざかるように傾いている。同様に、第1のローラ27bおよび第2のローラ28bにしても、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合うとともに、本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0032】
図1および図4に示すように、一方のフォークアーム11aは、第1のローラ27a,27bの反対側に位置された外側面23cを有している。同様に、他方のフォークアーム11bは、第2のローラ28a,28bの反対側に位置された外側面25cを有している。フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに夫々転倒防止用のアウトリガー30a,30bが支持されている。アウトリガー30a,30bは、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに沿うように格納される格納位置と、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cから側方に張り出す使用位置との間で回動可能となっている。
【0033】
さらに、本実施の形態のフォーク8は、補強金具31を備えている。補強金具31は、一本の細長い金属製丸棒で構成されている。補強金具31の長手方向に沿う一端および他端に夫々下向きに折り曲げられた係止部32a,32bが形成されている。係止部32a,32bは、フォークアーム11a,11bの連結孔15に嵌合可能となっている。
【0034】
補強金具31の係止部32a,32bを連結孔15に嵌合することで、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を補強金具31で連結することができる。これにより、フォーク8の剛性が向上し、フォークアーム11a,11bの第2の端部13が互いに遠ざかる方向に変形するのを防止できる。
【0035】
次に、ハンドフォークリフト1を用いて保管場所に保管されたケーブルドラム2を工事現場に運搬してケーブル3を敷設するまでの手順について説明する。
【0036】
図4に示すように、ケーブルドラム2は、巻胴部4を横置きにした姿勢で保管場所の床に置かれている。このケーブルドラム2の一方のフランジ5aに向けてハンドフォークリフト1を人手により移動させる。この時、フォーク8は最も低い位置に降下されている。
【0037】
次に、フォークアーム11a,11bの第2の端部13をケーブルドラム2のフランジ5a,5bの下に差し込み、フォークアーム11aの第1のローラ27a,27bおよびフォークアーム11bの第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの直下に達するまでハンドフォークリフト1を移動させる。
【0038】
第1のローラ27a,27bおよび第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの直下に達したならば、ハンドル10を前後に動かして油圧ジャッキ18を操作し、油圧ジャッキ18でフォーク8を持ち上げる。これにより、第1のローラ27a,27bおよび第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面に接触してケーブルドラム2を受け止めるとともに、ケーブルドラム2が保管場所の床面から浮き上がる。
【0039】
したがって、ケーブルドラム2は、フランジ5a,5bがフォークアーム11a,11bの間に跨るように、巻胴部4の軸線をフォークアーム11a,11bの長手方向に沿わせた横置きの姿勢でフォークアーム11a,11bの上に載置される。
【0040】
引き続いて、フォークアーム11a,11bの連結孔15に補強金具31の係止部32a,32bを嵌め込み、補強金具31でフォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を連結する。
【0041】
次に、図示しない固定バンドを用いてケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bに固定し、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で転がるのを防ぐ。この状態で、ケーブルドラム2が載置されたハンドフオークリフト1を保管場所から工事現場まで人手により移動させる。
【0042】
ケーブルドラム2がハンドフォークリフト1と共に工事現場に搬入されたならば、図5に示すようにアウトリガー30a,30bを格納位置から使用位置に向けて回動させ、アウトリガー30a,30bの先端を接地させる。それとともに、固定バンドによるケーブルドラム2の固定を解除する。
【0043】
これにより、ケーブルドラム2は、フォークアーム11aの第1のローラ27a,27bおよびフォークアーム11bの第2のローラ28a,28bによって回転可能な状態に保持される。
【0044】
この状態で、ケーブル3の先端をケーブルドラム2の側方に引張る。この結果、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転し、ケーブル3がケーブルドラム2から引き出されていく。ケーブルドラム2から引き出されたケーブル3は、図示しないカッタ装置により所望の長さに切断されて、ケーブル敷設作業に供される。
【0045】
このような本発明の第1の実施の形態によれば、ケーブルドラム2を運搬するフォークリフト1は、一対のフォークアーム11a,11bの内側部21a,21bに第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bを有している。第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bは、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面に接触し、ケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの上に回転可能に支持している。
【0046】
このため、ケーブルドラム2が載置されたハンドフォークリフト1を工事現場に移動させた後、そのままケーブルドラム2に巻かれたケーブル3を引き出す作業に移行することができる。
【0047】
すなわち、工事現場に搬入されたケーブルドラム2を、ハンドフォークリフト1から専用のケーブル繰り出し機に移し替えるといった面倒で手間のかかる大掛かりな作業が不要となるとともに、ケーブル繰り出し機を準備する必要もなくなる。
【0048】
この結果、ケーブルドラム2の搬入からケーブル3の引き出しに至る作業を短時間のうちに容易に行なうことができる。よって、ケーブル3を敷設する上での作業性を改善でき、ケーブル敷設に要するコストを低減できる。
【0049】
さらに、ケーブルドラム2の一方のフランジ5aに接する第1のローラ27aおよび第2のローラ28aは、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに遠ざかるように傾いている。同様に、ケーブルドラム2の他方のフランジ5bに接する第1のローラ27bおよび第2のローラ28bは、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0050】
そのため、ケーブル3の引き出しに伴ってケーブルドラム2が回転すると、第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bは、回転するケーブルドラム2の重心が隣り合う第1のローラ27a,27bの間および第2のローラ28a,28bの間に位置するようにケーブルドラム2を移動させる。
【0051】
言い換えると、ケーブルドラム2は、その自重によりケーブルドラム2の重心が第1のローラ27a,27bの間および第2のローラ28a,28bの間に位置するように自動的に移動する。
【0052】
この結果、フォークアーム11a,11bの上で回転するケーブルドラム2は、フォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持される。したがって、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bから脱落したり、ケーブルドラム2の向きが変わるのを防止でき、ケーブルドラム2からのケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0053】
加えて、本実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの先端に位置された第2の端部13は、補強金具31によって互いに連結されている。そのため、補強金具31でフォーク8の剛性を高めることができ、フォークアーム11a,11bの上に重く大きなケーブルドラム2を載せた場合でも、第2の端部13が互いに遠ざかる方向にフォークアーム11a,11bが変形するのを防止できる。
【0054】
よって、フォークアーム11a,11bの上にケーブルドラム2を安定した姿勢で保持することができ、ケーブルドラム2の運搬およびケーブル3の引き出し操作を円滑に行なうことができる。
【0055】
しかも、本実施の形態では、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに夫々アウトリガー30a,30bが取り付けられている。アウトリガー30a,30bを格納位置から使用位置に回動させて接地させることで、ケーブルドラム2からケーブル3を引き出す時のハンドフォークリフト1の安定性を高めることができる。
【0056】
そのため、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転するにも拘らず、ハンドフォークリフト1の不所望な動きや転倒を防止でき、ケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0057】
本発明は前記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0058】
図6ないし図8は、本発明の第2の実施の形態を開示している。第2の実施の形態は、ケーブルドラムをフォークアームの上に回転可能に支持するための構成が前記第1の実施の形態と相違している。これ以外のハンドフォークリフトの基本的な構成は、前記第1の実施の形態と同様である。そのため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
図6および図7に示すように、フォークアーム11a,11bの内側部21a,21bに夫々単一の凹部41a,41bが形成されている。凹部41a,41bは、フォークアーム11a,11bの長手方向に延びる細長い形状を有している。凹部41aは、フォークアーム11aの上面23aおよび内側面23bに連続して開口されている。凹部41bは、フォークアーム11bの上面25aおよび内側面25bに連続して開口されている。
【0060】
フォークアーム11aの凹部41aに円柱状の第1のローラ42が配置されている。第1のローラ42は、フォークアーム11aの長手方向に延びているとともに、その全長がケーブルドラム2の全長よりも長く形成されている。第1のローラ42の長手方向に沿う一端および他端は、図示しない軸受を介してフォークアーム11aに回転自在に支持されている。さらに、第1のローラ42は、フォークアーム11aの上面23aと内側面23bとで規定される角部に位置されている。第1のローラ42の周面の一部は、フォークアーム11aの上面23aから突出されている。
【0061】
図7に示すように、第1のローラ42は、回転中心軸O1を有している。回転中心軸O1は、フォークアーム11aの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A1に対し傾いている。回転中心軸O1と基準線A1との交差角度によって定まる第1のローラ42の傾斜角度α1は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0062】
フォークアーム11bの凹部41bに円柱状の第2のローラ43が配置されている。第2のローラ43は、フォークアーム11bの長手方向に延びているとともに、その全長がケーブルドラム2の全長よりも長く形成されている。第2のローラ43の長手方向に沿う一端および他端は、図示しない軸受を介してフォークアーム11bに回転自在に支持されている。さらに、第2のローラ43は、フォークアーム11bの上面25aと内側面25bとで規定される角部に位置されている。第2のローラ43の周面の一部は、フォークアーム11bの上面25aから突出されている。
【0063】
図7に示すように、第2のローラ43は、回転中心軸O2を有している。回転中心軸O2は、フォークアーム11bの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A2に対し傾いている。回転中心軸O2と基準線A2との交差角度によって定まる第2のローラ43の傾斜角度α2は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0064】
基準線A1に対する第1のローラ42の傾斜方向と、基準線A2に対する第2のローラ43の傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。具体的には、図7に示すようにフォーク8を平面的に見た場合に、第1のローラ42および第2のローラ43は、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合っているとともに、本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0065】
図6に示すように、フォークアーム11aの上面23aに第1のストッパ45aが配置されている。第1のストッパ45aは、第1のローラ42の長手方向に沿う中間部よりもフォークアーム11aの第1の端部12の方向に片寄った位置に設けられている。
【0066】
本実施の形態では、第1のストッパ45aは、第1のローラ42のクロスメンバ17寄りの端部に位置されているとともに、フォークアーム11aの上面23aから垂直に立ち上がっている。第1のストッパ45aの第1のローラ42に臨む面は、ケーブルドラム2のフランジ5aの端面を摺動可能に受け止める第1のガイド面46aとなっている。
【0067】
同様に、フォークアーム11bの上面25aに第2のストッパ45bが配置されている。第2のストッパ45bは、第2のローラ43の長手方向に沿う中間部よりもフォークアーム11bの第1の端部12の方向に片寄った位置に設けられている。
【0068】
本実施の形態では、第2のストッパ45bは、第2のローラ43のクロスメンバ17寄りの端部に位置されているとともに、フォークアーム11bの上面25aから垂直に立ち上がっている。第2のストッパ45bの第2のローラ43に臨む面は、ケーブルドラム2のフランジ5aの端面を摺動可能に受け止める第2のガイド面46bとなっている。
【0069】
このような第2の実施の形態によると、ケーブルドラム2は、巻胴部4の軸線をフォークアーム11a,11bの長手方向に沿わせた横置きの姿勢でフォークアーム11a,11bの上に載置され、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面が第1および第2のローラ42,43に接している。
【0070】
このため、ケーブルドラム2は、第1および第2のローラ42,43を介してフォークアーム11a,11bの上に回転可能に支持されており、ケーブル3の先端を引張ることで、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転する。この結果、ケーブルドラム2に巻かれたケーブル3をケーブルドラム2から容易に引き出すことができる。
【0071】
よって、前記第1の実施の形態と同様に、ケーブルドラム2をハンドフォークリフト1からケーブル繰り出し機に移し替える必要はなく、ケーブルドラム2の運搬からケーブル敷設に至る作業を効率よく実行することができる。
【0072】
さらに、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bが接する第1および第2のローラ42,43は、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。そのため、ケーブル3の引き出しに伴ってケーブルドラム2が回転すると、第1および第2のローラ42,43は、回転するケーブルドラム2の重心が第1および第2のストッパ45a,45bに向かうようにケーブルドラム2を移動させる。
【0073】
この結果、フォークアーム11a,11bの上で回転するケーブルドラム2は、図8に示すように、第1および第2のストッパ45a,45bに向けて付勢されて、フランジ5aの端面が第1および第2のガイド面46a,46bに摺動可能に接触する。
【0074】
したがって、フォークアーム11a,11bに対するケーブルドラム2の位置が第1および第2のストッパ45a,45bを基準として定まり、回転するケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持することができる。したがって、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bから脱落したり、ケーブルドラム2の向きが変わるのを防止でき、ケーブルドラム2からのケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0075】
図9および図10は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0076】
第3の実施の形態は、第2の実施の形態をさらに発展させたものであり、ハンドフォークリフトの構成は第2の実施の形態と同様である。
【0077】
第3の実施の形態では、第1および第2のローラ42,43として夫々モータローラ51を採用している。モータローラ51は、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bが接する円筒状のローラ本体52と、このローラ本体52に内蔵されたACモータ53とを備えている。ローラ本体52は、ACモータ53からのトルクを受けることで軸回り方向に回転する。
【0078】
さらに、ハンドフォークリフト1は、ACモータ53を制御するコントロールボックス54を装備している。コントロールボックス54は、制御手段の一例であって、例えばフォークアーム11bの第1の端部12に据付けられている。コントロールボックス54は電源コード55を有し、電源コード55を図示しないAC電源に接続することで、電源電圧がコントロールボックス54を介してACモータ53に供給されるようになっている。コントロールボックス54は、例えばACモータ53に供給される電流値を変化させることで、ローラ本体52の回転速度を調整するとともに、ローラ本体52を自動的に停止させる機能を有する。
【0079】
このような第3の実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの上にケーブルドラム2が載置された状態では、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面がモータローラ51のローラ本体52に接している。そのため、ACモータ53によってローラ本体52を回転させると、ケーブルドラム2が回転し、ケーブルドラム2からケーブル3を繰り出すことができる。
【0080】
しかも、コントロールボックス54を操作してローラ本体52の回転速度を調整することで、ケーブル3の繰り出し速度および繰り出し長さを自由に変化させることができる。
【0081】
さらに、ローラ本体52の回転に追従してケーブルドラム2が回転すると、前記第3の実施の形態と同様に、ケーブルドラム2が第1および第2のストッパ45a,45bに向けて付勢されて、フランジ5aの端面が第1および第2のガイド面46a,46bに摺動可能に接触する。
【0082】
このため、フォークアーム11a,11bに対するケーブルドラム2の位置が第1および第2のストッパ45a,45bを基準として定まり、回転するケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持することができる。
【0083】
図11は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
第4の実施の形態は、フォークアームの第2の端部を連結する構成が前記第1の実施の形態と相違しており、ハンドフォークリフトの構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0084】
図11に示すように、フォーク8は、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を連結する連結機構61を装備している。連結機構61は、第1および第2の連結アーム62a,62bを備えている。
【0085】
第1の連結アーム62aは、軸受部63が設けられた一端と、係合部64が設けられた他端とを有している。第1の連結アーム62aの軸受部63は、ヒンジ軸65を介してフォークアーム11aの第2の端部13に支持されている。第1の連結アーム62aは、ヒンジ軸65を支点に係合位置と退避位置との間で回動可能となっている。
【0086】
係合位置では、第1の連結アーム62aは、フォークアーム11aの長手方向に対して直交するように他方のフォークアーム11bに向けて回動し、フォークアーム11aに設けたストッパ66に突き当たる。退避位置では、第1の連結アーム62aは、前記係合位置からフォークアーム11aの内側面23bに向けて回動されて、フォークアーム11aの内側部21aに近づく。さらに、第1の連結アーム62aは、ねじりコイルばね67により常時係合位置に向けて弾性的に付勢されている。
【0087】
一方、第2の連結アーム62bは、軸受部69が設けられた一端と、係合部70が設けられた他端とを有している。第2の連結アーム62bの軸受部69は、ヒンジ軸71を介してフォークアーム11bの第2の端部13に支持されている。第2の連結アーム62bは、ヒンジ軸71を支点に係合位置と退避位置との間で回動可能となっている。
【0088】
係合位置では、第2の連結アーム62bは、フォークアーム11bの長手方向に対して直交するように一方のフォークアーム11aに向けて回動し、フォークアーム11bに設けたストッパ72に突き当たる。退避位置では、第2の連結アーム62bは、前記係合位置からフォークアーム11bの内側面25bに向けて回動されて、フォークアーム11bの内側部21bに近づく。さらに、第2の連結アーム62bは、ねじりコイルばね73により常時係合位置に向けて弾性的に付勢されている。
【0089】
図11に示すように、第1および第2の連結アーム62a,62bの係合部64,70は、第1および第2の連結アーム62a,62bが係合位置に回動された時に、フォークアーム11a,11bの間で互いに噛み合うとともに、この噛み合い状態が維持される。この結果、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間が第1および第2の連結アーム62a,62bを介して連結される。
【0090】
第4の実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの第2の端部13をケーブルドラム2の下に差し込んだ時に、ケーブルドラム2のフランジ5aの下端部が第1および第2の連結アーム62a,62bに突き当たる。すると、第1および第2の連結アーム62a,62bがフランジ5aの下端部によって押されるので、図11に二点鎖線で示すように、第1および第2の連結アーム62a,62bがねじりコイルばね67,73の付勢力に抗して係合位置から退避位置に向けて自動的に回動する。
【0091】
よって、第1および第2の連結アーム62a,62bがケーブルドラム2に対するフォークアーム11a,11bの差し込み作業を妨げることはないといった利点がある。
【0092】
本発明に係る運搬装置は、手押し式のハンドフォークリフトに限らず、本体に走行用およびフォークを昇降動させるエンジン又はモータを搭載した自走式のフォークリフトにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
2…ケーブルドラム、3…ケーブル、4…巻胴部、5a,5b…フランジ、7…本体、9…車輪、11a,11b…フォークアーム、27a,27b,28a,28b,42,43…ローラ(第1のローラ、第2のローラ)、45a,45b…ストッパ(第1のストッパ、第2のストッパ)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムを、例えば保管場所から工事現場に運搬したり、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出す際に使用する運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気工事で使用する信号ケーブルあるいは動力ケーブルのようなケーブルは、ケーブルドラムに巻かれた状態で工事現場に搬入される。ケーブルドラムは、ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、巻胴部を間に挟んで向かい合う一対のフランジとを有している。フランジは、巻胴部に巻かれたケーブルを保護するように、巻胴部よりも大きな直径を有するとともに、巻胴部に対し同軸状に設けられている。
【0003】
この種のケーブルドラムは、重く大きいために、ケーブルドラムを保管場所から工事現場まで移動させるに当たっては、作業者がケーブルドラムを転がしたり、トラッククレーン又はフォークリフトを用いることが行なわれている。
【0004】
工事現場に運搬されたケーブルドラムは、例えば特許文献1に示されるようなケーブル繰り出し機に装着される。ケーブル繰り出し機は、ケーブルドラムの中心部に差し込まれる水平な支持軸を有している。そのため、ケーブルドラムをケーブル繰り出し機の支持軸に装着した状態で、巻胴部に巻かれたケーブルの先端を引っ張ると、ケーブルドラムが支持軸を中心に回転する。よって、巻胴部に巻かれたケーブルを容易に引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−103548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出すに当たって、ケーブルドラムを専用のケーブル繰り出し機に積み替える作業を必要とする。特にケーブルドラムは重く大きいために、ケーブルドラムをケーブル繰り出し機に積み替える作業に多大な手間と労力を有するのを避けられない。
【0007】
よって、作業性が悪く、工事現場に運搬されたケーブルドラムからケーブルを引き出すまでに時間がかかり、ケーブルの敷設作業を効率よく行なう上で改善の余地が残されている。
【0008】
本発明の目的は、ケーブルドラムをフォークアームの上に載置したままの状態でケーブルの引き出し作業に移行することができ、ケーブルを敷設する際の作業性を改善できるとともに、回転するケーブルドラムをフォークアームの定位置に保持できる運搬装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る運搬装置は、ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬するための運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記本体に支持され、前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びる一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるとともに、前記フォークアームの長手方向に並べて配置された一対のローラと、を含んでいる。
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォ−クアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、
前記各フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、前記フォークアームが延びる方向に対して互いに逆向きに傾斜されて、前記回転するケーブルドラムの重心が前記隣り合うローラの間に位置するように前記ケーブルドラムを移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブルドラムの運搬作業からケーブルの引き出し作業に速やかに移行できるとともに、回転するドラムをフォークアームの定位置に保持することができる。よって、ケーブルを敷設する際の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、第1および第2のローラを有するフォークの平面図。
【図3】図2のF3-F3線に沿う断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームがケーブルドラムの下に差し込まれた状態を示す斜視図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームの上に載置されたケーブルドラムからケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、第1および第2のローラを有するフォークの平面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態において、ハンドフォークリフトのフォークアームの上に載置されたケーブルドラムからケーブルを引き出した状態を示す斜視図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るハンドフォークリフトの斜視図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るフォークの平面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るフォークを一部断面で示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0013】
図1は、運搬装置の一例である手押し式のハンドフォークリフト1を開示している。ハンドフォークリフト1は、例えば電気工事のケーブル敷設時に使用するケーブルドラム2を保管場所から工事現場に運搬するためのものである。
【0014】
図2および図4に示すように、ケーブルドラム2は、例えば信号ケーブル、動力ケーブルのようなケーブル3が巻き付けられた円筒状の巻胴部4と、巻胴部4を間に挟んで向かい合う一対のフランジ5a,5bとを備えている。フランジ5a,5bは、巻胴部4よりも大きな直径を有する円板で構成されているとともに、巻胴部4に対し同軸状に設けられている。
【0015】
図1に示すように、ハンドフォークリフト1は、本体7およびフォーク8を備えている。操向用の車輪9が本体7の下端に支持されている。車輪9は、本体7から起立するハンドル10によって左右に操作されるようになっている。
【0016】
フォーク8は、一対のフォークアーム11a,11bを有している。フォークアーム11a,11bは、互いに間隔を存して平行に配置されているとともに、本体7から横方向に延びている。
【0017】
フォークアーム11a,11bは、夫々第1の端部12および第2の端部13を有している。第1の端部12は、本体7と隣り合っている。第2の端部13は、第1の端部12に対しフォークアーム11a,11bの長手方向に沿う反対側に位置されている。フォークアーム11a,11bの第2の端部13は、ケーブルドラム2の下に容易に挿入し得るように互いに離れている。
【0018】
さらに、第2の端部13の下面に夫々補助車輪14が支持されているとともに、第2の端部13の先端に連結孔15が形成されている。
【0019】
フォークアーム11a,11bは、第1の端部12の間に跨るクロスメンバ17によって互いに連結されている。クロスメンバ17は、油圧ジャッキ18を介して本体7に支持されている。油圧ジャッキ18は、前記ハンドル10の上端をハンドフォークリフト1の前後方向に移動させることで操作される。これにより、フォーク8が持ち上がるとともに、ハンドル10に設けた解除レバー19を手で握ることでフォーク8が降下するようになっている。
【0020】
図1ないし図3に示すように、フォークアーム11a,11bは、互いに向かい合い内側部21a,21bを有している。一方のフォークアーム11aの内側部21aに一対の凹部22a,22bが形成されている。凹部22a,22bは、フォークアーム11aの第1の端部12と第2の端部13との間に位置されている。
【0021】
凹部22a,22bは、フォークアーム11aの長手方向に延びる細長い形状を有するとともに、フォークアーム11aの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。凹部22a,22bは、フォークアーム11aの上面23aおよび内側面23bに連続して開口されている。
【0022】
同様に、他方のフォークアーム11bの内側部21bに一対の凹部24a,24bが形成されている。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの第1の端部12と第2の端部13との間に位置されている。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの長手方向に延びる細長い形状を有するとともに、フォークアーム11bの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。凹部24a,24bは、フォークアーム11bの上面25aおよび内側面25bに連続して開口されている。
【0023】
フォークアーム11aの凹部22a,22bに夫々円柱状の第1のローラ27a,27bが配置されている。第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの長手方向に延びており、その長手方向に沿う一端および他端が図示しない軸受を介してフォークアーム11aに回転自在に支持されている。そのため、第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの長手方向に隣り合っている。
【0024】
第1のローラ27a,27bは、フォークアーム11aの上面23aと内側面23bとで規定される角部に位置されている。第1のローラ27a,27bの周面の一部は、フォークアーム11aの上面23aから突出されている。
【0025】
図2に示すように、第1のローラ27a,27bは、夫々回転中心軸O1を有している。回転中心軸O1は、フォークアーム11aの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A1に対し傾いている。回転中心軸O1と基準線A1との交差角度によって定まる第1のローラ27a,27bの傾斜角度α1は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0026】
さらに、基準線A1に対する第1のローラ27aの傾斜方向と、基準線A1に対する第1のローラ27bの傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。本実施の形態では、第1のローラ27a,27bは、互いに隣り合う端部の方向に進むに従いフォークアーム11aの内側面23bの方向に進出するように傾いている。
【0027】
同様に、フォークアーム11bの凹部24a,24bに夫々円柱状の第2のローラ28a,28bが配置されている。第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの長手方向に延びており、その長手方向に沿う一端および他端が図示しない軸受を介してフォークアーム11bに回転自在に支持されている。そのため、第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの長手方向に隣り合っている。
【0028】
第2のローラ28a,28bは、フォークアーム11bの上面25aと内側面25bとで規定される角部に位置されている。第2のローラ28a,28bの周面の一部は、フォークアーム11bの上面25aから突出されている。
【0029】
図2に示すように、第2のローラ28a,28bは、夫々回転中心軸O2を有している。回転中心軸O2は、フォークアーム11bの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A2に対し傾いている。回転中心軸O2と基準線A2との交差角度によって定まる第2のローラ28a,28bの傾斜角度α2は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0030】
さらに、基準線A2に対する第2のローラ28aの傾斜方向と、基準線A2に対する第2のローラ28bの傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。本実施の形態では、第2のローラ28a,28bは、互いに隣り合う端部の方向に進むに従いフォークアーム11bの内側面25bの方向に進出するように傾いている。
【0031】
よって、図2に示すようにフォーク8を平面的に見た場合に、第1のローラ27aおよび第2のローラ28aは、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合うとともに、本体7の方向に進むに従い互いに遠ざかるように傾いている。同様に、第1のローラ27bおよび第2のローラ28bにしても、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合うとともに、本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0032】
図1および図4に示すように、一方のフォークアーム11aは、第1のローラ27a,27bの反対側に位置された外側面23cを有している。同様に、他方のフォークアーム11bは、第2のローラ28a,28bの反対側に位置された外側面25cを有している。フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに夫々転倒防止用のアウトリガー30a,30bが支持されている。アウトリガー30a,30bは、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに沿うように格納される格納位置と、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cから側方に張り出す使用位置との間で回動可能となっている。
【0033】
さらに、本実施の形態のフォーク8は、補強金具31を備えている。補強金具31は、一本の細長い金属製丸棒で構成されている。補強金具31の長手方向に沿う一端および他端に夫々下向きに折り曲げられた係止部32a,32bが形成されている。係止部32a,32bは、フォークアーム11a,11bの連結孔15に嵌合可能となっている。
【0034】
補強金具31の係止部32a,32bを連結孔15に嵌合することで、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を補強金具31で連結することができる。これにより、フォーク8の剛性が向上し、フォークアーム11a,11bの第2の端部13が互いに遠ざかる方向に変形するのを防止できる。
【0035】
次に、ハンドフォークリフト1を用いて保管場所に保管されたケーブルドラム2を工事現場に運搬してケーブル3を敷設するまでの手順について説明する。
【0036】
図4に示すように、ケーブルドラム2は、巻胴部4を横置きにした姿勢で保管場所の床に置かれている。このケーブルドラム2の一方のフランジ5aに向けてハンドフォークリフト1を人手により移動させる。この時、フォーク8は最も低い位置に降下されている。
【0037】
次に、フォークアーム11a,11bの第2の端部13をケーブルドラム2のフランジ5a,5bの下に差し込み、フォークアーム11aの第1のローラ27a,27bおよびフォークアーム11bの第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの直下に達するまでハンドフォークリフト1を移動させる。
【0038】
第1のローラ27a,27bおよび第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの直下に達したならば、ハンドル10を前後に動かして油圧ジャッキ18を操作し、油圧ジャッキ18でフォーク8を持ち上げる。これにより、第1のローラ27a,27bおよび第2のローラ28a,28bがケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面に接触してケーブルドラム2を受け止めるとともに、ケーブルドラム2が保管場所の床面から浮き上がる。
【0039】
したがって、ケーブルドラム2は、フランジ5a,5bがフォークアーム11a,11bの間に跨るように、巻胴部4の軸線をフォークアーム11a,11bの長手方向に沿わせた横置きの姿勢でフォークアーム11a,11bの上に載置される。
【0040】
引き続いて、フォークアーム11a,11bの連結孔15に補強金具31の係止部32a,32bを嵌め込み、補強金具31でフォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を連結する。
【0041】
次に、図示しない固定バンドを用いてケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bに固定し、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で転がるのを防ぐ。この状態で、ケーブルドラム2が載置されたハンドフオークリフト1を保管場所から工事現場まで人手により移動させる。
【0042】
ケーブルドラム2がハンドフォークリフト1と共に工事現場に搬入されたならば、図5に示すようにアウトリガー30a,30bを格納位置から使用位置に向けて回動させ、アウトリガー30a,30bの先端を接地させる。それとともに、固定バンドによるケーブルドラム2の固定を解除する。
【0043】
これにより、ケーブルドラム2は、フォークアーム11aの第1のローラ27a,27bおよびフォークアーム11bの第2のローラ28a,28bによって回転可能な状態に保持される。
【0044】
この状態で、ケーブル3の先端をケーブルドラム2の側方に引張る。この結果、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転し、ケーブル3がケーブルドラム2から引き出されていく。ケーブルドラム2から引き出されたケーブル3は、図示しないカッタ装置により所望の長さに切断されて、ケーブル敷設作業に供される。
【0045】
このような本発明の第1の実施の形態によれば、ケーブルドラム2を運搬するフォークリフト1は、一対のフォークアーム11a,11bの内側部21a,21bに第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bを有している。第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bは、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面に接触し、ケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの上に回転可能に支持している。
【0046】
このため、ケーブルドラム2が載置されたハンドフォークリフト1を工事現場に移動させた後、そのままケーブルドラム2に巻かれたケーブル3を引き出す作業に移行することができる。
【0047】
すなわち、工事現場に搬入されたケーブルドラム2を、ハンドフォークリフト1から専用のケーブル繰り出し機に移し替えるといった面倒で手間のかかる大掛かりな作業が不要となるとともに、ケーブル繰り出し機を準備する必要もなくなる。
【0048】
この結果、ケーブルドラム2の搬入からケーブル3の引き出しに至る作業を短時間のうちに容易に行なうことができる。よって、ケーブル3を敷設する上での作業性を改善でき、ケーブル敷設に要するコストを低減できる。
【0049】
さらに、ケーブルドラム2の一方のフランジ5aに接する第1のローラ27aおよび第2のローラ28aは、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに遠ざかるように傾いている。同様に、ケーブルドラム2の他方のフランジ5bに接する第1のローラ27bおよび第2のローラ28bは、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0050】
そのため、ケーブル3の引き出しに伴ってケーブルドラム2が回転すると、第1および第2のローラ27a,27b,28a,28bは、回転するケーブルドラム2の重心が隣り合う第1のローラ27a,27bの間および第2のローラ28a,28bの間に位置するようにケーブルドラム2を移動させる。
【0051】
言い換えると、ケーブルドラム2は、その自重によりケーブルドラム2の重心が第1のローラ27a,27bの間および第2のローラ28a,28bの間に位置するように自動的に移動する。
【0052】
この結果、フォークアーム11a,11bの上で回転するケーブルドラム2は、フォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持される。したがって、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bから脱落したり、ケーブルドラム2の向きが変わるのを防止でき、ケーブルドラム2からのケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0053】
加えて、本実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの先端に位置された第2の端部13は、補強金具31によって互いに連結されている。そのため、補強金具31でフォーク8の剛性を高めることができ、フォークアーム11a,11bの上に重く大きなケーブルドラム2を載せた場合でも、第2の端部13が互いに遠ざかる方向にフォークアーム11a,11bが変形するのを防止できる。
【0054】
よって、フォークアーム11a,11bの上にケーブルドラム2を安定した姿勢で保持することができ、ケーブルドラム2の運搬およびケーブル3の引き出し操作を円滑に行なうことができる。
【0055】
しかも、本実施の形態では、フォークアーム11a,11bの外側面23c,25cに夫々アウトリガー30a,30bが取り付けられている。アウトリガー30a,30bを格納位置から使用位置に回動させて接地させることで、ケーブルドラム2からケーブル3を引き出す時のハンドフォークリフト1の安定性を高めることができる。
【0056】
そのため、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転するにも拘らず、ハンドフォークリフト1の不所望な動きや転倒を防止でき、ケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0057】
本発明は前記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0058】
図6ないし図8は、本発明の第2の実施の形態を開示している。第2の実施の形態は、ケーブルドラムをフォークアームの上に回転可能に支持するための構成が前記第1の実施の形態と相違している。これ以外のハンドフォークリフトの基本的な構成は、前記第1の実施の形態と同様である。そのため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
図6および図7に示すように、フォークアーム11a,11bの内側部21a,21bに夫々単一の凹部41a,41bが形成されている。凹部41a,41bは、フォークアーム11a,11bの長手方向に延びる細長い形状を有している。凹部41aは、フォークアーム11aの上面23aおよび内側面23bに連続して開口されている。凹部41bは、フォークアーム11bの上面25aおよび内側面25bに連続して開口されている。
【0060】
フォークアーム11aの凹部41aに円柱状の第1のローラ42が配置されている。第1のローラ42は、フォークアーム11aの長手方向に延びているとともに、その全長がケーブルドラム2の全長よりも長く形成されている。第1のローラ42の長手方向に沿う一端および他端は、図示しない軸受を介してフォークアーム11aに回転自在に支持されている。さらに、第1のローラ42は、フォークアーム11aの上面23aと内側面23bとで規定される角部に位置されている。第1のローラ42の周面の一部は、フォークアーム11aの上面23aから突出されている。
【0061】
図7に示すように、第1のローラ42は、回転中心軸O1を有している。回転中心軸O1は、フォークアーム11aの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A1に対し傾いている。回転中心軸O1と基準線A1との交差角度によって定まる第1のローラ42の傾斜角度α1は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0062】
フォークアーム11bの凹部41bに円柱状の第2のローラ43が配置されている。第2のローラ43は、フォークアーム11bの長手方向に延びているとともに、その全長がケーブルドラム2の全長よりも長く形成されている。第2のローラ43の長手方向に沿う一端および他端は、図示しない軸受を介してフォークアーム11bに回転自在に支持されている。さらに、第2のローラ43は、フォークアーム11bの上面25aと内側面25bとで規定される角部に位置されている。第2のローラ43の周面の一部は、フォークアーム11bの上面25aから突出されている。
【0063】
図7に示すように、第2のローラ43は、回転中心軸O2を有している。回転中心軸O2は、フォークアーム11bの長手方向に沿うようにハンドフォークリフト1の前後方向に延びる基準線A2に対し傾いている。回転中心軸O2と基準線A2との交差角度によって定まる第2のローラ43の傾斜角度α2は、15°〜30°とすることが望ましい。
【0064】
基準線A1に対する第1のローラ42の傾斜方向と、基準線A2に対する第2のローラ43の傾斜方向は、互いに逆向きとなっている。具体的には、図7に示すようにフォーク8を平面的に見た場合に、第1のローラ42および第2のローラ43は、フォークアーム11a,11bの並び方向に向かい合っているとともに、本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。
【0065】
図6に示すように、フォークアーム11aの上面23aに第1のストッパ45aが配置されている。第1のストッパ45aは、第1のローラ42の長手方向に沿う中間部よりもフォークアーム11aの第1の端部12の方向に片寄った位置に設けられている。
【0066】
本実施の形態では、第1のストッパ45aは、第1のローラ42のクロスメンバ17寄りの端部に位置されているとともに、フォークアーム11aの上面23aから垂直に立ち上がっている。第1のストッパ45aの第1のローラ42に臨む面は、ケーブルドラム2のフランジ5aの端面を摺動可能に受け止める第1のガイド面46aとなっている。
【0067】
同様に、フォークアーム11bの上面25aに第2のストッパ45bが配置されている。第2のストッパ45bは、第2のローラ43の長手方向に沿う中間部よりもフォークアーム11bの第1の端部12の方向に片寄った位置に設けられている。
【0068】
本実施の形態では、第2のストッパ45bは、第2のローラ43のクロスメンバ17寄りの端部に位置されているとともに、フォークアーム11bの上面25aから垂直に立ち上がっている。第2のストッパ45bの第2のローラ43に臨む面は、ケーブルドラム2のフランジ5aの端面を摺動可能に受け止める第2のガイド面46bとなっている。
【0069】
このような第2の実施の形態によると、ケーブルドラム2は、巻胴部4の軸線をフォークアーム11a,11bの長手方向に沿わせた横置きの姿勢でフォークアーム11a,11bの上に載置され、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面が第1および第2のローラ42,43に接している。
【0070】
このため、ケーブルドラム2は、第1および第2のローラ42,43を介してフォークアーム11a,11bの上に回転可能に支持されており、ケーブル3の先端を引張ることで、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bの上で回転する。この結果、ケーブルドラム2に巻かれたケーブル3をケーブルドラム2から容易に引き出すことができる。
【0071】
よって、前記第1の実施の形態と同様に、ケーブルドラム2をハンドフォークリフト1からケーブル繰り出し機に移し替える必要はなく、ケーブルドラム2の運搬からケーブル敷設に至る作業を効率よく実行することができる。
【0072】
さらに、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bが接する第1および第2のローラ42,43は、ハンドフォークリフト1の本体7の方向に進むに従い互いに近づくように傾いている。そのため、ケーブル3の引き出しに伴ってケーブルドラム2が回転すると、第1および第2のローラ42,43は、回転するケーブルドラム2の重心が第1および第2のストッパ45a,45bに向かうようにケーブルドラム2を移動させる。
【0073】
この結果、フォークアーム11a,11bの上で回転するケーブルドラム2は、図8に示すように、第1および第2のストッパ45a,45bに向けて付勢されて、フランジ5aの端面が第1および第2のガイド面46a,46bに摺動可能に接触する。
【0074】
したがって、フォークアーム11a,11bに対するケーブルドラム2の位置が第1および第2のストッパ45a,45bを基準として定まり、回転するケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持することができる。したがって、ケーブルドラム2がフォークアーム11a,11bから脱落したり、ケーブルドラム2の向きが変わるのを防止でき、ケーブルドラム2からのケーブル3の引き出し作業を円滑に行なうことができる。
【0075】
図9および図10は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0076】
第3の実施の形態は、第2の実施の形態をさらに発展させたものであり、ハンドフォークリフトの構成は第2の実施の形態と同様である。
【0077】
第3の実施の形態では、第1および第2のローラ42,43として夫々モータローラ51を採用している。モータローラ51は、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bが接する円筒状のローラ本体52と、このローラ本体52に内蔵されたACモータ53とを備えている。ローラ本体52は、ACモータ53からのトルクを受けることで軸回り方向に回転する。
【0078】
さらに、ハンドフォークリフト1は、ACモータ53を制御するコントロールボックス54を装備している。コントロールボックス54は、制御手段の一例であって、例えばフォークアーム11bの第1の端部12に据付けられている。コントロールボックス54は電源コード55を有し、電源コード55を図示しないAC電源に接続することで、電源電圧がコントロールボックス54を介してACモータ53に供給されるようになっている。コントロールボックス54は、例えばACモータ53に供給される電流値を変化させることで、ローラ本体52の回転速度を調整するとともに、ローラ本体52を自動的に停止させる機能を有する。
【0079】
このような第3の実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの上にケーブルドラム2が載置された状態では、ケーブルドラム2のフランジ5a,5bの外周面がモータローラ51のローラ本体52に接している。そのため、ACモータ53によってローラ本体52を回転させると、ケーブルドラム2が回転し、ケーブルドラム2からケーブル3を繰り出すことができる。
【0080】
しかも、コントロールボックス54を操作してローラ本体52の回転速度を調整することで、ケーブル3の繰り出し速度および繰り出し長さを自由に変化させることができる。
【0081】
さらに、ローラ本体52の回転に追従してケーブルドラム2が回転すると、前記第3の実施の形態と同様に、ケーブルドラム2が第1および第2のストッパ45a,45bに向けて付勢されて、フランジ5aの端面が第1および第2のガイド面46a,46bに摺動可能に接触する。
【0082】
このため、フォークアーム11a,11bに対するケーブルドラム2の位置が第1および第2のストッパ45a,45bを基準として定まり、回転するケーブルドラム2をフォークアーム11a,11bの定位置に安定した姿勢で保持することができる。
【0083】
図11は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
第4の実施の形態は、フォークアームの第2の端部を連結する構成が前記第1の実施の形態と相違しており、ハンドフォークリフトの構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0084】
図11に示すように、フォーク8は、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間を連結する連結機構61を装備している。連結機構61は、第1および第2の連結アーム62a,62bを備えている。
【0085】
第1の連結アーム62aは、軸受部63が設けられた一端と、係合部64が設けられた他端とを有している。第1の連結アーム62aの軸受部63は、ヒンジ軸65を介してフォークアーム11aの第2の端部13に支持されている。第1の連結アーム62aは、ヒンジ軸65を支点に係合位置と退避位置との間で回動可能となっている。
【0086】
係合位置では、第1の連結アーム62aは、フォークアーム11aの長手方向に対して直交するように他方のフォークアーム11bに向けて回動し、フォークアーム11aに設けたストッパ66に突き当たる。退避位置では、第1の連結アーム62aは、前記係合位置からフォークアーム11aの内側面23bに向けて回動されて、フォークアーム11aの内側部21aに近づく。さらに、第1の連結アーム62aは、ねじりコイルばね67により常時係合位置に向けて弾性的に付勢されている。
【0087】
一方、第2の連結アーム62bは、軸受部69が設けられた一端と、係合部70が設けられた他端とを有している。第2の連結アーム62bの軸受部69は、ヒンジ軸71を介してフォークアーム11bの第2の端部13に支持されている。第2の連結アーム62bは、ヒンジ軸71を支点に係合位置と退避位置との間で回動可能となっている。
【0088】
係合位置では、第2の連結アーム62bは、フォークアーム11bの長手方向に対して直交するように一方のフォークアーム11aに向けて回動し、フォークアーム11bに設けたストッパ72に突き当たる。退避位置では、第2の連結アーム62bは、前記係合位置からフォークアーム11bの内側面25bに向けて回動されて、フォークアーム11bの内側部21bに近づく。さらに、第2の連結アーム62bは、ねじりコイルばね73により常時係合位置に向けて弾性的に付勢されている。
【0089】
図11に示すように、第1および第2の連結アーム62a,62bの係合部64,70は、第1および第2の連結アーム62a,62bが係合位置に回動された時に、フォークアーム11a,11bの間で互いに噛み合うとともに、この噛み合い状態が維持される。この結果、フォークアーム11a,11bの第2の端部13の間が第1および第2の連結アーム62a,62bを介して連結される。
【0090】
第4の実施の形態によると、フォークアーム11a,11bの第2の端部13をケーブルドラム2の下に差し込んだ時に、ケーブルドラム2のフランジ5aの下端部が第1および第2の連結アーム62a,62bに突き当たる。すると、第1および第2の連結アーム62a,62bがフランジ5aの下端部によって押されるので、図11に二点鎖線で示すように、第1および第2の連結アーム62a,62bがねじりコイルばね67,73の付勢力に抗して係合位置から退避位置に向けて自動的に回動する。
【0091】
よって、第1および第2の連結アーム62a,62bがケーブルドラム2に対するフォークアーム11a,11bの差し込み作業を妨げることはないといった利点がある。
【0092】
本発明に係る運搬装置は、手押し式のハンドフォークリフトに限らず、本体に走行用およびフォークを昇降動させるエンジン又はモータを搭載した自走式のフォークリフトにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
2…ケーブルドラム、3…ケーブル、4…巻胴部、5a,5b…フランジ、7…本体、9…車輪、11a,11b…フォークアーム、27a,27b,28a,28b,42,43…ローラ(第1のローラ、第2のローラ)、45a,45b…ストッパ(第1のストッパ、第2のストッパ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬する運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記本体に支持され、前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びる一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるとともに、前記フォークアームの長手方向に並べて配置された一対のローラと、を含み、
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォ−クアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、
前記各フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、前記フォークアームが延びる方向に対して互いに逆向きに傾斜されて、前記回転するケーブルドラムの重心が前記隣り合うローラの間に位置するように前記ケーブルドラムを移動させることを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記フォークアームは、その上面と内側面とで規定される角部を有し、前記ローラは、前記フォークアームの前記角部に配置されているとともに、前記ローラの周面の一部が前記フォークアームの上面から突出されていることを特徴とする運搬装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記一対のフォークアームは、夫々前記本体に支持された第1の端部と、前記第1の端部に対し前記フォークアームの長手方向に沿う反対側に位置された第2の端部と、を有し、前記ローラは、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置されていることを特徴とする運搬装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記フォークアームの前記第2の端部の間を連結する補強金具をさらに備えていることを特徴とする運搬装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかの記載において、前記フォークアームは、夫々転倒防止用のアウトリガーを備えていることを特徴とする運搬装置。
【請求項6】
ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬する運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びるとともに、その長手方向に沿う一端部が前記本体に支持された一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるローラと、
前記フォークアームに夫々設けられ、前記ケーブルドラムの一方のフランジの端面を受け止めるストッパと、を含み、
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォークアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、
前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、前記ストッパの方向に進むに従い互いに近づくように傾斜されて、前記回転するケーブルドラムを前記ストッパに向けて移動させることを特徴とする運搬装置。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記各ローラは、駆動用のモータを内蔵したモータローラであることを特徴とする運搬装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記モータの運転を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする運搬装置。
【請求項1】
ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬する運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記本体に支持され、前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びる一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるとともに、前記フォークアームの長手方向に並べて配置された一対のローラと、を含み、
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォ−クアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、
前記各フォークアームの長手方向に隣り合うローラは、前記フォークアームが延びる方向に対して互いに逆向きに傾斜されて、前記回転するケーブルドラムの重心が前記隣り合うローラの間に位置するように前記ケーブルドラムを移動させることを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記フォークアームは、その上面と内側面とで規定される角部を有し、前記ローラは、前記フォークアームの前記角部に配置されているとともに、前記ローラの周面の一部が前記フォークアームの上面から突出されていることを特徴とする運搬装置。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記一対のフォークアームは、夫々前記本体に支持された第1の端部と、前記第1の端部に対し前記フォークアームの長手方向に沿う反対側に位置された第2の端部と、を有し、前記ローラは、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置されていることを特徴とする運搬装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記フォークアームの前記第2の端部の間を連結する補強金具をさらに備えていることを特徴とする運搬装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかの記載において、前記フォークアームは、夫々転倒防止用のアウトリガーを備えていることを特徴とする運搬装置。
【請求項6】
ケーブルが巻き付けられた巻胴部と、前記巻胴部を間に挟んで同軸状に設けられ、前記巻胴部よりも大きな直径を有する一対のフランジと、を具備するケーブルドラムを運搬する運搬装置であって、
車輪を有する本体と、
前記ケーブルドラムを下から支えるように互いに間隔を存して横方向に延びるとともに、その長手方向に沿う一端部が前記本体に支持された一対のフォークアームと、
前記フォークアームの互いに向かい合う内側部に夫々回転自在に支持され、前記フォークアームの長手方向に延びるローラと、
前記フォークアームに夫々設けられ、前記ケーブルドラムの一方のフランジの端面を受け止めるストッパと、を含み、
前記ケーブルドラムは、前記フランジが前記フォークアームの間に跨るように、前記巻胴部の軸線を前記フォークアームの長手方向に沿わせた姿勢で前記フォークアームの上に載置され、
前記フォークアームのローラは、前記ケーブルドラムの前記フランジの外周面に接することで前記ケーブルドラムを前記フォークアームの上に回転可能に支持するとともに、前記ストッパの方向に進むに従い互いに近づくように傾斜されて、前記回転するケーブルドラムを前記ストッパに向けて移動させることを特徴とする運搬装置。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記各ローラは、駆動用のモータを内蔵したモータローラであることを特徴とする運搬装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記モータの運転を制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする運搬装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−189849(P2011−189849A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58133(P2010−58133)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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