運行管理装置、運行管理プログラム、及び運行管理方法
【課題】 危険運転の回数の数え方を改善した運行管理装置を提供する。
【解決手段】 単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を急加速として、時刻とともに記憶するデータベース120と、データベースに記憶される急加速の事象の数を計数する手段であって、時刻をもとに急加速の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の急加速の事象を1つの急加速として計数するPC110とを備える。
【解決手段】 単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を急加速として、時刻とともに記憶するデータベース120と、データベースに記憶される急加速の事象の数を計数する手段であって、時刻をもとに急加速の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の急加速の事象を1つの急加速として計数するPC110とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダのデータを収集・分析して運転者の運行管理を行う運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやタクシー等の業務用車両に搭載されたドライブレコーダが、急加速、急ハンドル等の発生を契機に記録した車速やGPS(Global Positioning System)位置情報などの運行データを、回収・分析して、乗務員の運転教育に活用する運行管理装置が旅客運送事業者に普及しつつある。運転教育とは、例えば、運行管理者等が、各車両のドライブレコーダに記録された運行データを回収し、内容をチェックして各乗務員の運転の仕方等を分析し、より安全な運転の仕方等を指導するというものである。
【0003】
従来の運行管理装置としては、例えば、特願2005−329525に示されるように、運行データを基に運転者毎の各種危険運転の回数を数えて表示するものがある。
【0004】
ここで危険運転とは、例えば、急加速や急減速、速度超過、急ハンドル等である。ドライブレコーダは、Gセンサや車速センサの値から各種の危険運転を検出し、検出したときにその検出値を時刻等他のデータとともに1つの運行データとして記録する。よって運行管理装置が危険運転の回数を数えるには、危険運転として記録された運行データの数を数えれば良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の運行管理装置は、危険運転の回数の数え方に問題がある。
【0006】
具体的に説明すると、ドライブレコーダは、例えば1秒間に時速10km以上の加速があれば、急加速としてその運行データを記録する。よって例えば車速が1秒毎に時速10kmから20km、20kmから30km、30kmから40kmと変化した場合には、ドライブレコーダは各秒毎に急加速として運行データを記録し、運行管理装置は、運行データの数から急加速の数を3回と数えることになる。
【0007】
この数え方だと、2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度を上げる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから30kmと速度を上げる加速の仕方をする運転者がいた場合、両者の加速の仕方は、加速にかける期間に違いはあるものの、どちらも一回の加速で行う一連の操作であることには変わりない。にもかかわらず、従来の運行管理装置は、前者の急加速を2回と数え、後者の急加速を1回と数えるので、運転者の安全運転の評価に不公平が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
よって本発明は、危険運転の回数の数え方を改善した運行管理装置を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成する運行管理装置は、単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される内容から速度変化の数を計数する手段であって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この構成により、急加速や急減速の速度変化が連続する場合に連続する複数の急加速又は急減速を1回の急加速又は急減速として計数するので、運転者の運転の仕方の違い等に起因する回数の差が生じず、運転者の安全運転の評価を適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示す図であり、図1(a)はセンタ側の運行管理装置の概略構成を示し、図1(b)は移動局側のドライブレコーダと周辺装置からなる車載装置の概略構成を示す。
【0012】
図1(a)において、運行管理装置は、運行管理ソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)110、メモリカードからの運行データ等を蓄積したデータベース120、メモリカードリーダ130、表示画像を紙面に印刷するプリンタ140等から構成される。
【0013】
PC110は、図示を省略しているが、CPUやメモリ等の一般的なPC本体の構成と、マウスやキーボード、ディスプレイ等の入出力装置を備える。CPUは、運行管理ソフトに含まれるプログラムを解釈実行して運行管理装置の各構成要素を動作させ、本発明の特徴部分にかかる各種機能を実現する。この機能の具体例については、後に図3以降の図面を用いて説明するが、簡単に説明すると、以下のようなものである。
【0014】
すなわち、各車両の車載装置から回収されたメモリカードから運行データを読み込み、運転者毎に各種危険運転の回数を数え、見やすい形に整形してディスプレイに表示する。このとき、急加速の回数については、加速にかかった時間に関係なく、一連の加速の動作を一回として計数する。急減速についても同様で、減速にかかった時間に関係なく、一連の減速の動作を一回として計数する。
【0015】
図3、4の理解を容易にするために、先に、図1(b)、図2、図3を用いて、車載装置の構成と運行データのデータ構造について説明する。
【0016】
図1(b)において、車載装置は、ドライブレコーダ210、車両の前方を撮影するよう車両に設置されたカメラ220、メモリカード230、車両の各種情報や車速等を取得してドライブレコーダに入力する車両信号取得部240、車両の位置情報を測位するGPS受信機250車両内部又は外部の音声を集音するマイク270、ユーザ操作によりメモリカード220に運行データの記録を指示するための外部スイッチ280及びAVMシステム(AutomaticVehicleMonitoringSystem)290から構成される。ここで図1(b)に示す車載装置の構成は、本実施形態ではフル仕様の構成を示すものであり、車両によってはフル仕様構成でない車載装置を備えるものもある。つまり、車両によっては、図1(b)の構成全てを含んだ車載装置を備えるものもあり、図1(b)の構成を部分的に含まない車載装置を備えるものもある。部分的に含まない車載装置とは、例えば、GPS受信機250、カメラ220、マイク270、外部スイッチ280、AVMシステム290のいずれかを含まない構成のものである。
【0017】
ドライブレコーダ210は、予め定める所定の条件が成立したとき、各種情報や各種信号を取得し、それを運行データとしてメモリカード230に記録する。予め定める所定の条件が成立したときとは、各種あるが、本実施形態では特に、危険運転を検知したときのことである。危険運転の種類には、急加速、急減速、急ハンドル、速度超過の4つがある。ドライブレコーダ210は、所定時間内に所定の速度差以上の加速を検出すると急加速と判定し、また所定時間内に所定の速度差以上の減速を検出すると急減速と判定し、また所定時間内に所定のG値の変化を検出すると急ハンドルと判定し、また所定時間に所定速度を超えると速度超過と判定する。そしてそれらの判定のとき、判定した危険運転の種類とともに、日付、日時、G値、GPS位置情報等を1つの運行データとしてメモリカード230に記録する。なお、各危険運転の判定に用いる閾値は、ユーザが設定できるよう構成されているが、例えば、急加速は、1秒の間に時速差10kmを超える加速があったとき、急減速は1秒の間に時速差13kmを超える減速があったときに設定されている。車速センサからは、例えば、100m秒毎に1回の割合で車速が取得されるので、ドライブレコーダ210は、1秒間内に取得した各車速のうちの最低速度と最高速度との差と、最低速度と最高速度の時間的な前後関係を見て、最低速度が最高速度よりも先で速度差が10km以上であれば急加速と判定し、最低速度が最高速度よりも後で速度差が13km以上であれば急減速と判定すればよい。なお、この判定方法は一例であって、この方法に限るものではない。
<メモリカードのデータ構造>
図2は、メモリカード230に記録される運行データのデータ構造を示す。
【0018】
同図において、運行データは、種別、日付、時刻、G値(X)、G値(Y)、車速、座標(X)、座標(Y)、動態、スイッチ(SW)、測位状態、付加情報を含む。
【0019】
本実施形態に関係する主なものを説明すると、種別は、運行データの種別を示し、特に、運行データが各種危険運転の検知にともなって記録されたものである場合には、その危険運転の種別を示す符号を含む。
【0020】
日付及び時刻は、危険運転の検知等、運行データを記録するトリガが発生した日付及び時刻、または運行データを記録する日付及び時刻を示す。
【0021】
G値(X)及びG値(Y)は、Gセンサにより検知されたX軸方向及びY軸方向のG値である。軸方向は車両の進行方向に対応し、Y軸方向は、進行方向に垂直する方向に対応する。
【0022】
車速は、車速センサより取得される車両の速度を示す。
【0023】
座標(X)及び座標(Y)は、GPSセンサにより取得される位置情報を示す。
【0024】
動態は、運行業務における車両の動態を示す。
【0025】
では、このような記録内容が運行管理装置でどのように表示されるかということを説明する。
【0026】
なお、図示を省略しているが、メモリカード230の記録には、他に車番や乗務員番号が含まれ、これらのデータも運行管理装置に読み出されてデータベース120に記録される。
<表示画面の構成>
図3は、表示画面の一構成例を示す。
【0027】
PC110は、各車両から回収したメモリカード230の記録をメモリカードリーダ130で読み込んでデータベース120に蓄積した後、ユーザの操作指示に応じてディスプレイに図3のような、各運転者の危険運転の回数と危険運転の傾向を示す画面を作成して表示する。
【0028】
同図において、上方部分は、ユーザ入力を受け付けて危険運転の運行データの中から条件を満たすものを検索するための領域で、危険運転の運行データの時間帯、乗務員毎の危険運転回数の下限、危険運転の種類等についてユーザの入力を受け付ける。同図の例では、危険運転回数が0回以上の運転者で、全ての種類の危険運転について検索することを検索条件としている。
【0029】
下方部分は、検索結果を表示するための領域で、左側は、検索された運転者のリストを示し、中央は、運転者のリストから選択された運転者についての危険運転の経歴を示し、右側は各種危険運転の回数から分析した危険運転の傾向を示している。
【0030】
ここで、表示にかかる運転者は、急加速と急減速の回数が多いが、この回数の計数の方法に特徴がある。上述したが加速及び減速の長さに関係なく、一連の急加速の動作及び急減速の動作を一回分の急加速及び急減速とみなして計数する方法である。ドライブレコーダによる急加速の検知は、所定時間毎に速度差が所定の閾値を超えたかどうかで行われるものであるので、一連の急加速の動作でも、所定時間毎で区切って急加速と検知して運行データとして記録するので、急加速の時間に応じて急加速の回数が多くなる。急減速についても同様である。これでは、各運転者の運転の仕方によっては、急加速及び急減速の回数に不公平が生じることがあるから、これを防ぐために、運行管理装置は、ドライブレコーダが記録した連続した急加速及び急減速にかかる複数の運行データを、まとめて1つの急加速及び急減速として計数するよう構成した。
<動作>
図4は、危険運転の計数の動作を示すフローチャートである。
【0031】
PC110は、データベース120に記録された運行データを、運転者別に、カウンタiが示すi番目(初期値は1)から順番に読み出して以下の動作を行う。
【0032】
PC110は、読み出した運行データの種別を参照し、種別が急加速、急減速、速度超過、急ハンドルのいずれかに該当するか識別する(ステップS410、S420)。そして、急加速の場合は急加速カウンタC1、急減速の場合は急減速カウンタC2、速度超過の場合は速度超過カウンタC3、急ハンドルの場合は急ハンドルカウンタC4にそれぞれ1を加える(ステップS430、S440、S450、S460)。これらカウンタの値が最終的に各種危険運転の回数となる。
【0033】
ここで、急加速の場合には、後続する運行データを参照して、急加速の運行データが連続しているかどうかを識別する(ステップS470)。連続しているかどうかは、後続する運行データが急加速かどうか、急加速である場合には時刻が前の運行データに続く時刻であるかどうかを見て行う。前の運行データに続く時刻であるかどうか、というのは、具体的には、ドライブレコーダ210による急加速を判定する単位時間が1秒の場合、前の急加速の運行データの時刻と次の急加速の運行データの時刻との差が1秒であれば、それは前の運行データの時刻に続く時刻であるとするものである。これは、ドライブレコーダ210で予め設定されている急加速判定の単位時間に応じて変わるものとする。そして識別の結果、連続している場合には、連続している運行データの数を数えてその数をカウンタiに加える(ステップS490)。例えば急加速の運行データが3つ連続している場合にはカウンタiに3を加える。これによって、3つの急加速の運行データがそのまま急加速の回数として計数されるのではなく、1回の急加速として計数されるようにしている。
【0034】
急減速の場合も同様にして、後続する運行データを参照して、急減速の運行データが連続しているかどうかを識別する(ステップS470)。そして連続している場合には、連続している運行データの数を数えてその数をカウンタiに加える(ステップS490)。
【0035】
急加速及び急減速が連続していない場合、速度超過の場合、急ハンドルの場合、及びいずれの危険運転でもないその他の場合には、カウンタiに1を加えて次に進む(ステップS500)。
【0036】
こうしてPC110は、最後の運行データを処理するまで上述の処理を繰り返し(ステップS510)、各種危険運転の数を計数する。計数後、PC110は、各種危険運転の回数を全て足し合わせた合計を求めたり、合計と各種危険運転の回数とから各種危険運転の割合を求めたり等、各種表示の態様に応じた処理を行う。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本実施形態の運行管理装置の機能は、ドライブレコーダ側に備えるようにしてもよい。また、ドライブレコーダは、急加速、急減速の時間的な長さに関係なく、一連の急加速及び急減速を、1回の急加速及び急減速として、1つの運行データとして記録するよう構成してもよい。
【0038】
上記各実施形態の各機能は、その機能をコンピュータ読み取り可能なプログラム言語で記述してそのプログラムをコンピュータに実行させることで実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示す図であり、図1(a)はセンタ側の運行管理装置の概略構成を示し、図1(b)は移動局側のドライブレコーダと周辺装置からなる車載装置の概略構成を示す。
【図2】メモリカード230に記録される運行データのデータ構造を示す。
【図3】表示画面の一構成例を示す。
【図4】危険運転の計数の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
110 PC
120 データベース
130 メモリカードリーダ
140 プリンタ
210 ドライブレコーダ
220 カメラ
230 メモリカード
240 車両信号取得部
250 GPSアンテナ
260 カメラ
270 マイク
280 外部スイッチ
290 AVMシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダのデータを収集・分析して運転者の運行管理を行う運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやタクシー等の業務用車両に搭載されたドライブレコーダが、急加速、急ハンドル等の発生を契機に記録した車速やGPS(Global Positioning System)位置情報などの運行データを、回収・分析して、乗務員の運転教育に活用する運行管理装置が旅客運送事業者に普及しつつある。運転教育とは、例えば、運行管理者等が、各車両のドライブレコーダに記録された運行データを回収し、内容をチェックして各乗務員の運転の仕方等を分析し、より安全な運転の仕方等を指導するというものである。
【0003】
従来の運行管理装置としては、例えば、特願2005−329525に示されるように、運行データを基に運転者毎の各種危険運転の回数を数えて表示するものがある。
【0004】
ここで危険運転とは、例えば、急加速や急減速、速度超過、急ハンドル等である。ドライブレコーダは、Gセンサや車速センサの値から各種の危険運転を検出し、検出したときにその検出値を時刻等他のデータとともに1つの運行データとして記録する。よって運行管理装置が危険運転の回数を数えるには、危険運転として記録された運行データの数を数えれば良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の運行管理装置は、危険運転の回数の数え方に問題がある。
【0006】
具体的に説明すると、ドライブレコーダは、例えば1秒間に時速10km以上の加速があれば、急加速としてその運行データを記録する。よって例えば車速が1秒毎に時速10kmから20km、20kmから30km、30kmから40kmと変化した場合には、ドライブレコーダは各秒毎に急加速として運行データを記録し、運行管理装置は、運行データの数から急加速の数を3回と数えることになる。
【0007】
この数え方だと、2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度を上げる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから30kmと速度を上げる加速の仕方をする運転者がいた場合、両者の加速の仕方は、加速にかける期間に違いはあるものの、どちらも一回の加速で行う一連の操作であることには変わりない。にもかかわらず、従来の運行管理装置は、前者の急加速を2回と数え、後者の急加速を1回と数えるので、運転者の安全運転の評価に不公平が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
よって本発明は、危険運転の回数の数え方を改善した運行管理装置を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成する運行管理装置は、単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される内容から速度変化の数を計数する手段であって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この構成により、急加速や急減速の速度変化が連続する場合に連続する複数の急加速又は急減速を1回の急加速又は急減速として計数するので、運転者の運転の仕方の違い等に起因する回数の差が生じず、運転者の安全運転の評価を適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示す図であり、図1(a)はセンタ側の運行管理装置の概略構成を示し、図1(b)は移動局側のドライブレコーダと周辺装置からなる車載装置の概略構成を示す。
【0012】
図1(a)において、運行管理装置は、運行管理ソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)110、メモリカードからの運行データ等を蓄積したデータベース120、メモリカードリーダ130、表示画像を紙面に印刷するプリンタ140等から構成される。
【0013】
PC110は、図示を省略しているが、CPUやメモリ等の一般的なPC本体の構成と、マウスやキーボード、ディスプレイ等の入出力装置を備える。CPUは、運行管理ソフトに含まれるプログラムを解釈実行して運行管理装置の各構成要素を動作させ、本発明の特徴部分にかかる各種機能を実現する。この機能の具体例については、後に図3以降の図面を用いて説明するが、簡単に説明すると、以下のようなものである。
【0014】
すなわち、各車両の車載装置から回収されたメモリカードから運行データを読み込み、運転者毎に各種危険運転の回数を数え、見やすい形に整形してディスプレイに表示する。このとき、急加速の回数については、加速にかかった時間に関係なく、一連の加速の動作を一回として計数する。急減速についても同様で、減速にかかった時間に関係なく、一連の減速の動作を一回として計数する。
【0015】
図3、4の理解を容易にするために、先に、図1(b)、図2、図3を用いて、車載装置の構成と運行データのデータ構造について説明する。
【0016】
図1(b)において、車載装置は、ドライブレコーダ210、車両の前方を撮影するよう車両に設置されたカメラ220、メモリカード230、車両の各種情報や車速等を取得してドライブレコーダに入力する車両信号取得部240、車両の位置情報を測位するGPS受信機250車両内部又は外部の音声を集音するマイク270、ユーザ操作によりメモリカード220に運行データの記録を指示するための外部スイッチ280及びAVMシステム(AutomaticVehicleMonitoringSystem)290から構成される。ここで図1(b)に示す車載装置の構成は、本実施形態ではフル仕様の構成を示すものであり、車両によってはフル仕様構成でない車載装置を備えるものもある。つまり、車両によっては、図1(b)の構成全てを含んだ車載装置を備えるものもあり、図1(b)の構成を部分的に含まない車載装置を備えるものもある。部分的に含まない車載装置とは、例えば、GPS受信機250、カメラ220、マイク270、外部スイッチ280、AVMシステム290のいずれかを含まない構成のものである。
【0017】
ドライブレコーダ210は、予め定める所定の条件が成立したとき、各種情報や各種信号を取得し、それを運行データとしてメモリカード230に記録する。予め定める所定の条件が成立したときとは、各種あるが、本実施形態では特に、危険運転を検知したときのことである。危険運転の種類には、急加速、急減速、急ハンドル、速度超過の4つがある。ドライブレコーダ210は、所定時間内に所定の速度差以上の加速を検出すると急加速と判定し、また所定時間内に所定の速度差以上の減速を検出すると急減速と判定し、また所定時間内に所定のG値の変化を検出すると急ハンドルと判定し、また所定時間に所定速度を超えると速度超過と判定する。そしてそれらの判定のとき、判定した危険運転の種類とともに、日付、日時、G値、GPS位置情報等を1つの運行データとしてメモリカード230に記録する。なお、各危険運転の判定に用いる閾値は、ユーザが設定できるよう構成されているが、例えば、急加速は、1秒の間に時速差10kmを超える加速があったとき、急減速は1秒の間に時速差13kmを超える減速があったときに設定されている。車速センサからは、例えば、100m秒毎に1回の割合で車速が取得されるので、ドライブレコーダ210は、1秒間内に取得した各車速のうちの最低速度と最高速度との差と、最低速度と最高速度の時間的な前後関係を見て、最低速度が最高速度よりも先で速度差が10km以上であれば急加速と判定し、最低速度が最高速度よりも後で速度差が13km以上であれば急減速と判定すればよい。なお、この判定方法は一例であって、この方法に限るものではない。
<メモリカードのデータ構造>
図2は、メモリカード230に記録される運行データのデータ構造を示す。
【0018】
同図において、運行データは、種別、日付、時刻、G値(X)、G値(Y)、車速、座標(X)、座標(Y)、動態、スイッチ(SW)、測位状態、付加情報を含む。
【0019】
本実施形態に関係する主なものを説明すると、種別は、運行データの種別を示し、特に、運行データが各種危険運転の検知にともなって記録されたものである場合には、その危険運転の種別を示す符号を含む。
【0020】
日付及び時刻は、危険運転の検知等、運行データを記録するトリガが発生した日付及び時刻、または運行データを記録する日付及び時刻を示す。
【0021】
G値(X)及びG値(Y)は、Gセンサにより検知されたX軸方向及びY軸方向のG値である。軸方向は車両の進行方向に対応し、Y軸方向は、進行方向に垂直する方向に対応する。
【0022】
車速は、車速センサより取得される車両の速度を示す。
【0023】
座標(X)及び座標(Y)は、GPSセンサにより取得される位置情報を示す。
【0024】
動態は、運行業務における車両の動態を示す。
【0025】
では、このような記録内容が運行管理装置でどのように表示されるかということを説明する。
【0026】
なお、図示を省略しているが、メモリカード230の記録には、他に車番や乗務員番号が含まれ、これらのデータも運行管理装置に読み出されてデータベース120に記録される。
<表示画面の構成>
図3は、表示画面の一構成例を示す。
【0027】
PC110は、各車両から回収したメモリカード230の記録をメモリカードリーダ130で読み込んでデータベース120に蓄積した後、ユーザの操作指示に応じてディスプレイに図3のような、各運転者の危険運転の回数と危険運転の傾向を示す画面を作成して表示する。
【0028】
同図において、上方部分は、ユーザ入力を受け付けて危険運転の運行データの中から条件を満たすものを検索するための領域で、危険運転の運行データの時間帯、乗務員毎の危険運転回数の下限、危険運転の種類等についてユーザの入力を受け付ける。同図の例では、危険運転回数が0回以上の運転者で、全ての種類の危険運転について検索することを検索条件としている。
【0029】
下方部分は、検索結果を表示するための領域で、左側は、検索された運転者のリストを示し、中央は、運転者のリストから選択された運転者についての危険運転の経歴を示し、右側は各種危険運転の回数から分析した危険運転の傾向を示している。
【0030】
ここで、表示にかかる運転者は、急加速と急減速の回数が多いが、この回数の計数の方法に特徴がある。上述したが加速及び減速の長さに関係なく、一連の急加速の動作及び急減速の動作を一回分の急加速及び急減速とみなして計数する方法である。ドライブレコーダによる急加速の検知は、所定時間毎に速度差が所定の閾値を超えたかどうかで行われるものであるので、一連の急加速の動作でも、所定時間毎で区切って急加速と検知して運行データとして記録するので、急加速の時間に応じて急加速の回数が多くなる。急減速についても同様である。これでは、各運転者の運転の仕方によっては、急加速及び急減速の回数に不公平が生じることがあるから、これを防ぐために、運行管理装置は、ドライブレコーダが記録した連続した急加速及び急減速にかかる複数の運行データを、まとめて1つの急加速及び急減速として計数するよう構成した。
<動作>
図4は、危険運転の計数の動作を示すフローチャートである。
【0031】
PC110は、データベース120に記録された運行データを、運転者別に、カウンタiが示すi番目(初期値は1)から順番に読み出して以下の動作を行う。
【0032】
PC110は、読み出した運行データの種別を参照し、種別が急加速、急減速、速度超過、急ハンドルのいずれかに該当するか識別する(ステップS410、S420)。そして、急加速の場合は急加速カウンタC1、急減速の場合は急減速カウンタC2、速度超過の場合は速度超過カウンタC3、急ハンドルの場合は急ハンドルカウンタC4にそれぞれ1を加える(ステップS430、S440、S450、S460)。これらカウンタの値が最終的に各種危険運転の回数となる。
【0033】
ここで、急加速の場合には、後続する運行データを参照して、急加速の運行データが連続しているかどうかを識別する(ステップS470)。連続しているかどうかは、後続する運行データが急加速かどうか、急加速である場合には時刻が前の運行データに続く時刻であるかどうかを見て行う。前の運行データに続く時刻であるかどうか、というのは、具体的には、ドライブレコーダ210による急加速を判定する単位時間が1秒の場合、前の急加速の運行データの時刻と次の急加速の運行データの時刻との差が1秒であれば、それは前の運行データの時刻に続く時刻であるとするものである。これは、ドライブレコーダ210で予め設定されている急加速判定の単位時間に応じて変わるものとする。そして識別の結果、連続している場合には、連続している運行データの数を数えてその数をカウンタiに加える(ステップS490)。例えば急加速の運行データが3つ連続している場合にはカウンタiに3を加える。これによって、3つの急加速の運行データがそのまま急加速の回数として計数されるのではなく、1回の急加速として計数されるようにしている。
【0034】
急減速の場合も同様にして、後続する運行データを参照して、急減速の運行データが連続しているかどうかを識別する(ステップS470)。そして連続している場合には、連続している運行データの数を数えてその数をカウンタiに加える(ステップS490)。
【0035】
急加速及び急減速が連続していない場合、速度超過の場合、急ハンドルの場合、及びいずれの危険運転でもないその他の場合には、カウンタiに1を加えて次に進む(ステップS500)。
【0036】
こうしてPC110は、最後の運行データを処理するまで上述の処理を繰り返し(ステップS510)、各種危険運転の数を計数する。計数後、PC110は、各種危険運転の回数を全て足し合わせた合計を求めたり、合計と各種危険運転の回数とから各種危険運転の割合を求めたり等、各種表示の態様に応じた処理を行う。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本実施形態の運行管理装置の機能は、ドライブレコーダ側に備えるようにしてもよい。また、ドライブレコーダは、急加速、急減速の時間的な長さに関係なく、一連の急加速及び急減速を、1回の急加速及び急減速として、1つの運行データとして記録するよう構成してもよい。
【0038】
上記各実施形態の各機能は、その機能をコンピュータ読み取り可能なプログラム言語で記述してそのプログラムをコンピュータに実行させることで実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る運行管理システムの概略構成を示す図であり、図1(a)はセンタ側の運行管理装置の概略構成を示し、図1(b)は移動局側のドライブレコーダと周辺装置からなる車載装置の概略構成を示す。
【図2】メモリカード230に記録される運行データのデータ構造を示す。
【図3】表示画面の一構成例を示す。
【図4】危険運転の計数の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
110 PC
120 データベース
130 メモリカードリーダ
140 プリンタ
210 ドライブレコーダ
220 カメラ
230 メモリカード
240 車両信号取得部
250 GPSアンテナ
260 カメラ
270 マイク
280 外部スイッチ
290 AVMシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される内容から速度変化の数を計数する手段であって、
時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数手段と
を備えることを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
コンピュータに読み取り可能な運行管理プログラムであって、当該プログラムはコンピュータに、
単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を運行データとして記憶する記録媒体から運行データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された運行データを基に速度変化の数を計数するステップであって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数ステップと
を実行させることを特徴とする運行管理プログラム。
【請求項3】
運行管理方法であって、単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を運行データとして記憶する記録媒体から運行データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された運行データを基に速度変化の数を計数するステップであって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数ステップと
を含むことを特徴とする運行管理方法。
【請求項1】
単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される内容から速度変化の数を計数する手段であって、
時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数手段と
を備えることを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
コンピュータに読み取り可能な運行管理プログラムであって、当該プログラムはコンピュータに、
単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を運行データとして記憶する記録媒体から運行データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された運行データを基に速度変化の数を計数するステップであって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数ステップと
を実行させることを特徴とする運行管理プログラム。
【請求項3】
運行管理方法であって、単位時間内の速度差が閾値以上のときの事象を速度変化として、少なくともその事象の発生の時刻を運行データとして記憶する記録媒体から運行データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された運行データを基に速度変化の数を計数するステップであって、時刻をもとに速度変化の事象が連続しているか否かを判定し、連続している場合には連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する計数ステップと
を含むことを特徴とする運行管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−40766(P2008−40766A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213926(P2006−213926)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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