運転室を作業機械フレームに懸架するための機構
本発明は、作業機械フレーム(204)に対する運転室(114)の被制御動作を可能にするため該フレームに該運転室を懸架する機構に関する。該機構は、該運転室を該フレームに支持するため該運転室の下側と該フレームとの間に設けられた少なくとも一つの第1懸架手段(205)を包含している。該機構はさらに、該運転室の後側と剛性支持構造(117,817)との間に設けられた少なくとも一つの第2懸架手段(213,813)を包含して、該第2懸架手段が該運転室の下側に対して高い位置に配置されている。前記第2懸架手段(213)は、前記作業機械の作業中に該機械の縦と横の両方向における運転室の運動に対する高剛性を提供するのに適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械フレームに対する運転室の被制御動作を可能にするためフレームに運転室を懸架する機構に関連する。この機構は、フレームに運転室を支持するため運転室の下側とフレームとの間に設けられた少なくとも一つの第1懸架手段を包含する。この機構はさらに、運転室の後側と剛性支持構造との間に設けられた少なくとも一つの第2懸架手段を包含する。第2懸架手段は、運転室の下側に対して高い位置に配置されている。本発明はさらに、懸架機構を包含する作業機械に関連する。
【背景技術】
【0002】
「作業機械」の語は、ホイールローダ、バックホウローダ、モータグレーダ、掘削機といった建設機械などの様々なタイプの材料処理車両を包含する。作業機械について頻繁に使用される別の語は、「土工機械」と「オフロード作業機械」である。ホイールローダを構成するフレーム操縦作業機械に適用される場合について、本発明を以下で説明する。これは、好適な用途の単なる一例と見なされるべきである。
【0003】
フレーム操縦作業機械は一般的に、後方フレームを備える後方車両区分と、前方フレームを備える前方車両区分とを包含する。機械を操縦するため垂直軸を中心とする旋回を可能にする連結ジョイントにより、後方フレームは前方フレームに接続されている。2本の油圧シリンダは、操縦を実施するため連結ジョイントの各側に一つずつ設けられている。
【0004】
作業機械は、強い振動と衝撃を引き起こす大きな凹凸のある表面を持つ地面で利用されることが多い。ドライバの作業環境を快適にするため、振動および衝撃が軽減または除去されることで機械のフレームから運転室へ直接伝達されないように運転室は懸架されなければならない。これは、構造的に発生する音をうまく遮断することで達成されなければならない。
【0005】
ホイールローダは、材料を動かす/運搬するため、作業器具、例えばバケットを包含する。一例によれば、ホイールローダは土、砂利、石を動かすのに使用される。バケットを充填するおよび/または空にする作業による衝撃およびショックから生じる運転室の運動/振動を軽減するため、運転室を懸架することが望ましい。
【0006】
安全上の理由から、運転室はさらに、運転室を下にして機械が転倒しても人が生存するスペースをドライバに与えるのに充分な強度を持たなければならない。これに関しては、ROPS要件についてしばしば言及されるが、ROPSは車両転倒時保護構造を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、遮音に実質的にマイナスの影響を与えることなく作業中に運転室の相対な運動を軽減することでドライバのための作業環境を向上させる、作業機械フレームに運転室を懸架する機構を実現することである。特に、本発明は安定性を強化した懸架機構をねらいとする。さらに本発明は、ROPS要件に実質的にマイナスの影響を与えるべきでない。本発明は特に、凹凸のある地面での移動から生じる運転室の相対的な運動を軽減するための状態が得られる作業機械のための懸架機構に関連している。本発明は特に、作業器具(例えばバケット)の動作から生じる運転室の相対的な運動を軽減するための状態が得られる、作業機械のための懸架機構に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、作業機械の作業中に機械の縦と横の両方向における運転室の運動に対する高剛性を提供するのに第2懸架手段が適していることで達成される。
【0009】
ホイールローダなど、ある作業機械は、フレームに剛性接続された前方車軸と、後方振子車軸とを有する。こうして、機械の後輪は相互に対して垂直に移動できることになる。しかし、前輪はフレームに剛性支持されているので、凹凸のある道路など不均一な地面を移動中には地面から運転室へ衝撃を伝達することになる。本発明によれば、このような衝撃が軽減される。
【0010】
さらに作業機械は、負荷および/または材料を動かすための(バケットなどの)作業器具を備える。負荷および/または材料と接触する作業器具の動作中の反力の結果、運転室の運動が生じる。本発明によれば、作業器具の動作から生じる衝撃が軽減される。
【0011】
バケット充填作業中には、土、石、砂利、その他へバケットが食い込むようにホイールローダは前進する。さらに、バケット充填作業中には、ホイールローダはしばしば傾斜状態にあって、そのため、機械の縦方向に対して傾斜した方向に負荷から反力を受ける。ホイールローダでは通常、機械フレームに平行な面において縦方向に対して±40°の角度範囲でバケット充填の作業が行なわれる。
【0012】
さらに、バケットを空にする作業中には、破片および泥を除去するためバケットは横向きに叩きつけられて、ショックおよび横方向の運転室の運動につながる。
【0013】
機械の縦方向、つまり実質的な水平面に対して傾斜した方向における運転室の運動に抵抗する実質的に等しい剛性が得られるように第2懸架手段を適応させることによって、ドライバのための作業環境が実質的に向上する。言い換えると、作業中の反力の方向と関係なく、運転室は実質的に同じように運動/振動するのである。
【0014】
好適な実施例によれば、第2懸架手段は遮音性を持ち、剛性支持構造との相互作用によって運転室への音の伝達を軽減するのに適している。作業中の運転室への音の伝達を軽減するため、剛性構造を使用する必要がある。ROPS要件に適応した既存の剛性支持構造を運転室の後方に使用すると、遮音性にマイナスの影響を与えることなく運転室の被制御動作を向上させるための状態が得られる。
【0015】
さらに好適な実施例によれば、第2懸架手段および第1懸架手段が組み合わされると、機械の縦と横の両方向において実質的に等しい懸架剛性に適応する。
【0016】
さらに好適な実施例によれば、二つの第2懸架手段は運転室の横方向に相互に距離を置いて配置される。車両の縦方向とは別の方向における運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、二つの第2懸架手段の各々は運転室の中心に向かう配向の高剛性軸を有することが好ましい。
【0017】
さらに好適な実施例によれば、運転室の重心の付近の高さに第2懸架手段が配置される。こうして、振動/運動に関する運転室の固有振動数が最適化される/好都合となる。
【0018】
さらに好適な実施例によれば、運転室の横方向に相互に距離を置いた2本の後方ポストを運転室が包含し、各ポストに一つの第2懸架手段が接続される。
【0019】
さらに好適な実施例によれば、支持構造は、フレームに対して運転室がかなり傾斜した場合に運転室を支持するのに適している。こうして支持構造は、運転室の固有傾斜または勾配を超えた場合に運転室構造へ力を伝達するように配置されている。固有傾斜は、傾斜を経験したドライバが不快に感じる、および/または車両が転倒する危険が生じるようなものに対応すると適当である。ゆえに、この特徴はROPS要件を満たす。
【0020】
運転室構造は、支持構造に対して運転室構造が若干傾斜したに過ぎない場合には、支持構造に対して本質的に自由に運動するように配置されることが好ましい。
【0021】
本発明の他の好都合な実施例および関連の長所は、他の特許請求項および以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図面に示された実施例を参照して、以下で本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図1は、ホイールローダ101を示す。ホイールローダ101のボデーは、前方フレームを備える前方ボデー区分102と、後方フレームを備える後方ボデー区分103とを包含する。後方車軸112は、左右の車輪が相互に対して垂直方向に運動するようにする振子車軸を形成する。前方車軸113は、前方フレームに剛性接続されている。後方ボデー区分103は、運転室114を包含する。ボデー区分102,103は、垂直軸601を中心として相互に旋回できるように連結ジョイントを介して相互に接続されている。図6を参照。二つの区分の間に配置された油圧シリンダ104,105の形の2本の第1アクチュエータによって旋回動作が実施される。ゆえに、ホイールローダは連結作業車である。こうして、ホイールローダ101を転回させるため、車両移動方向において車両の水平方向中心線の各側に油圧シリンダ104,105が一つずつ配置されるのである。
【0024】
ホイールローダ101は、物体または材料を扱うための装備111を包含する。装備111は、ロードアームユニット106またはブームと、ロードアームユニットに装着されたバケットの形の器具107とを包含する。ロードアームユニット106の第1端部は、前方車両区分102に旋回自在に接続されている。器具107は、ロードアームユニット106の第2端部に旋回自在に接続されている。
【0025】
一端部で前方車両区分102に、他端部でロードアームユニット106に各々が接続された2本の油圧シリンダ108,109の形の二つの第2アクチュエータにより、ロードアームユニット106は車両の前方区分102に対して上昇および下降が可能である。一端部で前方車両区分102に、他端部でリンクアームシステム115を介してバケット107に接続された油圧シリンダ110の形の第3アクチュエータにより、バケット107はロードアームユニット106に対して傾斜できる。
【0026】
支持構造117は、車両101のフレームに対して運転室がかなり傾斜した場合に運転室114を支持するように配置されている。こうして支持構造117は力を吸収し、運転室114とともに、ROPS要件を満たすのに十分な強度の構造を形成する。
【0027】
図2は、運転室構造214および剛性支持構造117の背面からの斜視図を示す。運転室構造214は運転室114の骨組を形成する、つまりドライバの作業エリアを画定する。ここでは、フレームは底板204によって図示されている。
【0028】
運転室構造214は、一緒に矩形ボックス形状を成すように結合された複数の長形構造要素またはビームを包含する。言い換えると、運転室構造214は直角ブロックの形である。より詳しく述べると、4本の垂直方向長形構造要素207,217またはポストが直角ブロックの角部を画定するように配置されているのである。追加の長形構造要素が、水平方向上面208と下面209とを画定する。
【0029】
懸架機構は、フレーム204に運転室114を弾性的に支持するため運転室の下側とフレームの上面との間に設けられた第1懸架手段205または弾性取付手段を包含する。第1懸架手段205は、運転室とフレームとの間に設けられた弾性緩衝手段を形成する。より詳しく述べると、運転室構造214の各角部に実質的に隣接して一つの第1懸架手段205が配置されているのである。第1懸架手段205は、車両のフレーム204からの振動、ショック、および/または騒音などを減衰するのに適している。第1懸架手段205は、運転室の上向き方向に平行な配向の剛性主軸(つまり高剛性軸)を有する。減衰要素205は、弾性部材またはゴム絶縁体で構成されることが好ましい。ゆえに、第1懸架手段205は振動防止マウントを形成する。さらに、第1懸架手段205は運転室を安定させるのに適している。
【0030】
剛性支持構造117は、運転室構造214の後方に距離を置いて配置されている。支持構造117は、一緒にフレームまたはアーチを形成するように一緒に結合された複数の長形構造要素またはビームを包含する。二つの垂直方向長形構造要素210は、支持構造の側縁を画定する。二つの水平方向長形構造要素211は、垂直構造要素210またはポストの間に配置されてこれらを一緒に接続する。支持構造117は、運転室構造214の背面側と平行な面に延在する。直立ポスト210の各々は、運転室構造214の後方ポスト217の1本に隣接して配置される。支持構造117は、さらに、車両のフレーム204に支持構造117を確実に接続するための手段206を包含する。こうして、フレームと調和した運動のため、剛性支持構造117はフレーム204に剛性装着されるのである。接続手段206は、各々がボルト接続を包含する、距離を置いた二つの接続具216を包含する。
【0031】
支持構造117は、垂直方向において運転室構造214の高さよりも本質的に低い高さまで延出する。より詳しく述べると、支持構造117は、運転室構造214の高さの75%未満の高さまで、適切には、運転室構造の高さのおよそ50%の高さまで延出する。ここで高さとは、車両が通常位置にある時、つまり平坦面上にある時の垂直方向の長さを意味する。支持構造117の適切な設計により、支持構造が設けられる方向、通常は後方にドライバの視界が遮られることはない。
【0032】
機構1はさらに、車両が使用されている時に運転室構造214に作用する、衝撃吸収システム205が対処できる力を超える力を支持構造117が吸収するように、運転室構造を支持構造に接続するための手段212を包含する。より詳しく述べると、この接続手段212は、全方向、つまり上下、横方向、前後の力を吸収するのに適している。
【0033】
作用モードでは、接続手段212は、運転室構造214と剛性支持構造117との間に力伝達接続を設けるのに適している。作用モードとは、運転室構造の一定の傾斜または勾配を超えるように車両が駆動されることを意味する。また、非作用モードでは、剛性支持構造117から力を伝達せずに、少なくとも本質的な自由運動を運転室構造214に付与するように接続手段212は配置されている。ここで非作用モードとは、一定の傾斜または勾配を超えていない車両の通常運転のための通常モードを意味する。この手段により、運転室の通常衝撃吸収システムは通常運転中にはノーマルとして機能する、つまりこの時には接続手段が非作用モードなのである。しかし、運転室の傾斜または勾配が大きい場合には、支持構造は予定された支持を行なう、つまりこの時に接続手段は作用モードである。
【0034】
接続手段212はこうして、運転室構造214と支持構造117とが相互接続される前に支持構造117に対する運転室構造214の一定の運動を可能にするタイプの接続機構を形成する。しかし、「相互接続」モードでは、単体ユニットとして作用する。接続手段212は、支持構造117の上部に配置される。
【0035】
懸架機構はさらに、運転室構造214の後側と剛性支持構造117との間に設けられる少なくとも一つの第2懸架手段213を包含する。第2懸架手段213は、運転室の下側に対して高い位置に配置される。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、運転室の重心付近の高さに配置されるのである。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、支持構造117の上部において、接続手段212と実質的に同じ高さに配置される。
【0036】
さらに、二つの第2懸架手段213は、運転室の横方向に相互から距離を置いて配置される。より詳しく述べると、運転室114の後方ポスト217の各々に、一つの第2懸架手段が接続されるのである。こうして、懸架機構は、運転室を6点で懸架する。
【0037】
運転室構造214および支持構造117に対する接続手段212および第2懸架手段213の配置の第一実施例について、図3乃至5を参照して以下に説明する。
【0038】
平坦接続部品または板の形の構造要素304が、支持構造117の上部の直上で後方ポスト217に剛性装着され、後方ポスト217から、支持構造117の関連後方ポスト210の上の位置まで実質的に水平方向に延在する。接続要素304は、二つの離間した開口部305,307を包含する。さらに、支持構造117の後方ポスト210の上部には装着板302が装着される。装着板302も、二つの離間した開口部309,311を備える。さらに、開口部305,309,307,311が対になって一致するように、接続要素304および装着板302が相対的に配置される。接続手段212は第1対の開口部305,309に配置され、第2懸架手段213は第2対の開口部307,311に配置される。接続手段212と第2懸架手段213とは、接続部品304および装着板302の開口部を介して相互に隣接して配置される。
【0039】
第2懸架手段213は、各後方運転室ポストの支持構造の接続手段212から離間している。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、各後方運転室ポストの支持構造の接続手段212から分離されているのである。そのため、第2懸架手段213と接続手段212の各々は、それぞれの機能に適した設計および寸法を持つ。懸架手段213は懸架作用のみのために設計され、車両転倒の場合には破損に適していることが好ましい。さらに、接続手段212は、フレームに対する運転室の一定の相対的傾斜を超えた時と、転倒中のみに作用する。
【0040】
第2懸架手段213は、円筒形ゴム要素の形の弾性緩衝部材308を包含する。弾性緩衝部材308は、接続部品304の開口部において開口部壁と接触状態で配置された外側スリーブ306に収容される。弾性緩衝部材308は中空であって、中空貫通孔を有し、内側スリーブ310を収容し、この内側スリーブがねじ312を収容する。ねじは装着板302の開口部311に延在して、支持構造117を運転室構造214に機械的に接続する。
【0041】
接続手段212は、装着板302を介して支持構造117に剛性固定された力伝達要素320を包含する。力伝達要素320は、フレーム204に対する運転室114の傾斜が所定の角度を超えない限り、運転室114が支持構造117からの力を伝達することなく少なくとも本質的な自由運動を行なうように、運転室に対して配置される。より詳しく述べると、力伝達要素320は、開口部305の内寸よりも小さな外側範囲を有して、自由運動のための間隙を残している。さらに、力伝達要素320の上部には、ねじ324を介して座金322が装着されている。
【0042】
第2懸架手段213の各々は、運転室の上向き方向と平行な配向の高剛性軸を有する。より詳しく述べると、中心軸502(図5参照)が運転室の上向き方向つまり垂直方向に平行な状態で、円筒形弾性緩衝部材308が配置されるのである。言い換えると、円筒形弾性緩衝部材308は、中心軸502が運転室角部ポスト217の延出方向に平行な状態で配置されるのである。
【0043】
さらに弾性緩衝部材308は、中心軸502に対して垂直に、つまり水平方向に、別の高剛性軸701(図7参照)を設けるための構造309を包含する。より詳しく述べると、中心軸502の両側において弾性緩衝部材308には二つの凹部309が均一に設けられているのである。凹部309は、中心軸と平行に円筒形緩衝部材へある距離だけ延在して、中心軸を通る中心面について均一に分散されている。剛性軸701の機能について、図6乃至7を参照にして以下でさらに説明する。
【0044】
第2懸架手段213は、車両101の縦方向618と横方向における運転室の運動に対する剛性を高めるのに適している。そのため第2懸架手段213は、車両101の縦方向618の成分を持つ配向の高剛性軸701を有する。図7を参照。弾性緩衝部材308が二つの両側凹部309という構造を包含することで、これが達成される。より詳しく述べると、中心線502と凹部309とを通る面は弱軸を画定し、弱軸に対して垂直な平面は高剛性軸701を画定するのである。より詳しく述べると、高剛性軸701は運転室の重心に向かっている。さらに弾性緩衝部材308は、車両101の縦方向618の成分を含む配向を高剛性軸が持つような角度配置を持つ。図7を参照。
【0045】
バケット充填作業中のホイールローダ101が、図6の上面図で概略的に示されている。より詳しく述べると、ホイールローダ101は、バケットが土、石、砂利などに食い込むように前進する。ホイールローダ101は、材料から反力Fを受ける。車両区分102,103は相互に傾斜しているので、反力Fは車両の縦軸618に対して傾斜した方向に作用する。ホイールローダ101では通常、縦方向618に対して±40°の角度範囲でバケット充填作業が行なわれる。
【0046】
作業中の反力Fの方向と無関係に運転室114が実質的に同じように運動/振動するように、運転室懸架を設計することが望ましい。そのため第2懸架手段213は、車両の縦方向に対して傾斜した方向の運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するのに適している。車両の縦方向から分離した方向の運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、二つの第2懸架手段213の各々は運転室の中心702に向かう配向の高剛性軸701を有する。
【0047】
さらに、第2懸架手段213は、車両のフレーム204からの振動、衝撃、および/または騒音を減衰するため、運転室の下側で第1懸架手段205を支持するのに適している。
【0048】
さらに、垂直方向の運転室の運動に関して実質的に均一な弾性を得るために実質的に明瞭な垂直方向固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。
【0049】
さらに、縦方向ピッチ運動に関して実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。さらに、横揺れのための実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。さらに、縦揺れ運動と横揺れ運動のための固有振動は(少なくとも相互の付近では)実質的に同じであるべきである。
【0050】
さらに、偏揺れ運動に関して実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。
【0051】
図8乃至13は、懸架機構の第二実施例を示す。剛性支持構造817(図8参照)は、図2に関して上述したのと同様に、車両フレームに剛性装着され、後方運転室ポスト217の後ろに配置されている。剛性支持構造の直立ポスト810は、運転室の後方ポスト217の各々の付近でこのポストと平行である。ROPS接続手段812と第2懸架手段813とが、機能的に相互作用するように運転室と剛性支持構造817との間に配置されている。懸架機構の第二実施例について、図9乃至13を参照して以下でさらに説明する。
【0052】
平坦接続部品または板904の形の構造要素は、支持構造817の上部の直上で後方ポスト217に剛性装着され、後方ポスト217から、支持構造の関連後方ポスト810より上の位置まで実質的に水平方向に延在している。接続要素904は、二つの離間した開口部905,907を包含する。図13を参照。さらに、支持構造の後方ポスト810の上部には、装着板902が装着されている。装着板902も二つの離間した開口部909,911を備える。開口部の一方909は、装着板902から延出する直立剛性部品920に配置され、他の開口部911は板902を貫通する孔を形成する。接続要素904と装着板902とは、開口部905,909,907,911が対になって一致するように相対的に配置される。直立剛性部品920は開口部905に収容される。直立剛性部品920がボルト812および座金922を介して運転室ポスト217に固定されていることで接続手段812の機能が達成される。第2懸架手段813は、開口部の第2対907,911に配置される。接続手段812と第2懸架手段813とは、接続部品904と装着板902との開口部を介して相互に隣接して配置される。
【0053】
第2懸架手段813は、運転室方向についてそれぞれのポスト810の内側に配置される。より正確に述べると、接続要素904は、第1脚部914と、第1脚部に対して傾斜した第2脚部916とを包含するのである。開口部の一方905は傾斜エリアに配置され、他の開口部907は第2脚部916に配置される。図13を参照。このようにして、剛性支持構造の左右のポスト810よりも相互に対して短い距離に、左右の第2懸架手段813が配置されるのである。
【0054】
第2懸架手段813は、ゴム要素の形の弾性緩衝部材908を包含する。弾性緩衝部材908は、ボルト接続906を介して装着板902に剛性固定されている。弾性緩衝部材908は中空で、ねじ912を収容するための中央貫通孔を有する。ねじ912は、接続要素904の開口部907と、弾性緩衝部材908の貫通孔とに延在して、支持構造817を運転室構造に機械的に接続する。ねじ912をこの位置に固定するのにはナット913が使用される。ねじヘッドと接続要素904との間、およびナット913と装着板902との間には、座金915,917がそれぞれ配置されている。
【0055】
第二実施例による緩衝部材908は、高剛性軸701に関して、第一実施例による緩衝部材208と同様の特徴を提供するのに適している。図7を参照。第一実施例による緩衝部材208について開示されたのと同様にゴム要素が凹部(不図示)を備えていることで、この特徴が達成される。さらに緩衝部材908は、高剛性軸が図7に見られる方向に配向されるように角度配置される。
【0056】
接続手段812は、装着板902を介して支持構造117に剛性固定された力伝達要素920を包含する。フレームに対する運転室の傾斜が所定角度を超えない限り、支持構造817からの力を伝達することなく運転室が少なくとも本質的な自由運動を行なうように、力伝達要素920は運転室に対して配置される。より詳しく述べると、力伝達要素920は開口部905の内寸よりも小さな外側範囲を持っていて、自由運動のための間隙を残す。さらに、力伝達要素920の上部には、ねじ924を介して座金922が装着されている。
【0057】
本発明は、上述した実施例に限定されると考えられるべきでなく、上記特許請求項の枠組内においていくつかの付加的な変形および修正が可能である。
【0058】
例えば、ROPS要件のための接続手段212は、ピン、フォーク状要素、爪状要素を包含することが可能である。フォーク状要素の場合には、例えば、フォーク状要素が運転室構造から水平方向に突出して、支持構造から垂直方向に突出する対応形状の嵌合要素と嵌合することが可能である。爪状要素の場合には、運転室構造214に剛性装着されて、関連の長形要素と平行に下向きに延在してもよい。下向きに延出する爪状要素を収容するため、支持構造の垂直ビームが上向きに開口する。接続手段には多くの変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ホイールローダの側面図を概略的に示す。
【図2】運転室懸架機構の第一実施例の背面からの斜視図を示す。
【図3】図2の後方懸架手段およびROPS接続手段の拡大図を示す。
【図4】図3の後方懸架手段およびROPS接続手段の断面図を示す。
【図5】図3の後方懸架手段およびROPS接続手段の分解図を示す。
【図6】フレーム部品が相互に傾斜した位置における図1のホイールローダの上面図を概略的に示す。
【図7】水平面における後方懸架手段の剛性軸を概略的に示す。
【図8】運転室懸架機構の第二実施例の背面からの斜視図を示す。
【図9】図8の後方懸架手段およびROPS接続手段の拡大図を示す。
【図10】図9の後方懸架手段の側面図を示す。
【図11】図10のROPS接続手段の断面図を示す。
【図12】図10の後方懸架手段の断面図を示す。
【図13】図9の後方懸架手段およびROPS接続手段の分解図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械フレームに対する運転室の被制御動作を可能にするためフレームに運転室を懸架する機構に関連する。この機構は、フレームに運転室を支持するため運転室の下側とフレームとの間に設けられた少なくとも一つの第1懸架手段を包含する。この機構はさらに、運転室の後側と剛性支持構造との間に設けられた少なくとも一つの第2懸架手段を包含する。第2懸架手段は、運転室の下側に対して高い位置に配置されている。本発明はさらに、懸架機構を包含する作業機械に関連する。
【背景技術】
【0002】
「作業機械」の語は、ホイールローダ、バックホウローダ、モータグレーダ、掘削機といった建設機械などの様々なタイプの材料処理車両を包含する。作業機械について頻繁に使用される別の語は、「土工機械」と「オフロード作業機械」である。ホイールローダを構成するフレーム操縦作業機械に適用される場合について、本発明を以下で説明する。これは、好適な用途の単なる一例と見なされるべきである。
【0003】
フレーム操縦作業機械は一般的に、後方フレームを備える後方車両区分と、前方フレームを備える前方車両区分とを包含する。機械を操縦するため垂直軸を中心とする旋回を可能にする連結ジョイントにより、後方フレームは前方フレームに接続されている。2本の油圧シリンダは、操縦を実施するため連結ジョイントの各側に一つずつ設けられている。
【0004】
作業機械は、強い振動と衝撃を引き起こす大きな凹凸のある表面を持つ地面で利用されることが多い。ドライバの作業環境を快適にするため、振動および衝撃が軽減または除去されることで機械のフレームから運転室へ直接伝達されないように運転室は懸架されなければならない。これは、構造的に発生する音をうまく遮断することで達成されなければならない。
【0005】
ホイールローダは、材料を動かす/運搬するため、作業器具、例えばバケットを包含する。一例によれば、ホイールローダは土、砂利、石を動かすのに使用される。バケットを充填するおよび/または空にする作業による衝撃およびショックから生じる運転室の運動/振動を軽減するため、運転室を懸架することが望ましい。
【0006】
安全上の理由から、運転室はさらに、運転室を下にして機械が転倒しても人が生存するスペースをドライバに与えるのに充分な強度を持たなければならない。これに関しては、ROPS要件についてしばしば言及されるが、ROPSは車両転倒時保護構造を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、遮音に実質的にマイナスの影響を与えることなく作業中に運転室の相対な運動を軽減することでドライバのための作業環境を向上させる、作業機械フレームに運転室を懸架する機構を実現することである。特に、本発明は安定性を強化した懸架機構をねらいとする。さらに本発明は、ROPS要件に実質的にマイナスの影響を与えるべきでない。本発明は特に、凹凸のある地面での移動から生じる運転室の相対的な運動を軽減するための状態が得られる作業機械のための懸架機構に関連している。本発明は特に、作業器具(例えばバケット)の動作から生じる運転室の相対的な運動を軽減するための状態が得られる、作業機械のための懸架機構に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、作業機械の作業中に機械の縦と横の両方向における運転室の運動に対する高剛性を提供するのに第2懸架手段が適していることで達成される。
【0009】
ホイールローダなど、ある作業機械は、フレームに剛性接続された前方車軸と、後方振子車軸とを有する。こうして、機械の後輪は相互に対して垂直に移動できることになる。しかし、前輪はフレームに剛性支持されているので、凹凸のある道路など不均一な地面を移動中には地面から運転室へ衝撃を伝達することになる。本発明によれば、このような衝撃が軽減される。
【0010】
さらに作業機械は、負荷および/または材料を動かすための(バケットなどの)作業器具を備える。負荷および/または材料と接触する作業器具の動作中の反力の結果、運転室の運動が生じる。本発明によれば、作業器具の動作から生じる衝撃が軽減される。
【0011】
バケット充填作業中には、土、石、砂利、その他へバケットが食い込むようにホイールローダは前進する。さらに、バケット充填作業中には、ホイールローダはしばしば傾斜状態にあって、そのため、機械の縦方向に対して傾斜した方向に負荷から反力を受ける。ホイールローダでは通常、機械フレームに平行な面において縦方向に対して±40°の角度範囲でバケット充填の作業が行なわれる。
【0012】
さらに、バケットを空にする作業中には、破片および泥を除去するためバケットは横向きに叩きつけられて、ショックおよび横方向の運転室の運動につながる。
【0013】
機械の縦方向、つまり実質的な水平面に対して傾斜した方向における運転室の運動に抵抗する実質的に等しい剛性が得られるように第2懸架手段を適応させることによって、ドライバのための作業環境が実質的に向上する。言い換えると、作業中の反力の方向と関係なく、運転室は実質的に同じように運動/振動するのである。
【0014】
好適な実施例によれば、第2懸架手段は遮音性を持ち、剛性支持構造との相互作用によって運転室への音の伝達を軽減するのに適している。作業中の運転室への音の伝達を軽減するため、剛性構造を使用する必要がある。ROPS要件に適応した既存の剛性支持構造を運転室の後方に使用すると、遮音性にマイナスの影響を与えることなく運転室の被制御動作を向上させるための状態が得られる。
【0015】
さらに好適な実施例によれば、第2懸架手段および第1懸架手段が組み合わされると、機械の縦と横の両方向において実質的に等しい懸架剛性に適応する。
【0016】
さらに好適な実施例によれば、二つの第2懸架手段は運転室の横方向に相互に距離を置いて配置される。車両の縦方向とは別の方向における運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、二つの第2懸架手段の各々は運転室の中心に向かう配向の高剛性軸を有することが好ましい。
【0017】
さらに好適な実施例によれば、運転室の重心の付近の高さに第2懸架手段が配置される。こうして、振動/運動に関する運転室の固有振動数が最適化される/好都合となる。
【0018】
さらに好適な実施例によれば、運転室の横方向に相互に距離を置いた2本の後方ポストを運転室が包含し、各ポストに一つの第2懸架手段が接続される。
【0019】
さらに好適な実施例によれば、支持構造は、フレームに対して運転室がかなり傾斜した場合に運転室を支持するのに適している。こうして支持構造は、運転室の固有傾斜または勾配を超えた場合に運転室構造へ力を伝達するように配置されている。固有傾斜は、傾斜を経験したドライバが不快に感じる、および/または車両が転倒する危険が生じるようなものに対応すると適当である。ゆえに、この特徴はROPS要件を満たす。
【0020】
運転室構造は、支持構造に対して運転室構造が若干傾斜したに過ぎない場合には、支持構造に対して本質的に自由に運動するように配置されることが好ましい。
【0021】
本発明の他の好都合な実施例および関連の長所は、他の特許請求項および以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図面に示された実施例を参照して、以下で本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図1は、ホイールローダ101を示す。ホイールローダ101のボデーは、前方フレームを備える前方ボデー区分102と、後方フレームを備える後方ボデー区分103とを包含する。後方車軸112は、左右の車輪が相互に対して垂直方向に運動するようにする振子車軸を形成する。前方車軸113は、前方フレームに剛性接続されている。後方ボデー区分103は、運転室114を包含する。ボデー区分102,103は、垂直軸601を中心として相互に旋回できるように連結ジョイントを介して相互に接続されている。図6を参照。二つの区分の間に配置された油圧シリンダ104,105の形の2本の第1アクチュエータによって旋回動作が実施される。ゆえに、ホイールローダは連結作業車である。こうして、ホイールローダ101を転回させるため、車両移動方向において車両の水平方向中心線の各側に油圧シリンダ104,105が一つずつ配置されるのである。
【0024】
ホイールローダ101は、物体または材料を扱うための装備111を包含する。装備111は、ロードアームユニット106またはブームと、ロードアームユニットに装着されたバケットの形の器具107とを包含する。ロードアームユニット106の第1端部は、前方車両区分102に旋回自在に接続されている。器具107は、ロードアームユニット106の第2端部に旋回自在に接続されている。
【0025】
一端部で前方車両区分102に、他端部でロードアームユニット106に各々が接続された2本の油圧シリンダ108,109の形の二つの第2アクチュエータにより、ロードアームユニット106は車両の前方区分102に対して上昇および下降が可能である。一端部で前方車両区分102に、他端部でリンクアームシステム115を介してバケット107に接続された油圧シリンダ110の形の第3アクチュエータにより、バケット107はロードアームユニット106に対して傾斜できる。
【0026】
支持構造117は、車両101のフレームに対して運転室がかなり傾斜した場合に運転室114を支持するように配置されている。こうして支持構造117は力を吸収し、運転室114とともに、ROPS要件を満たすのに十分な強度の構造を形成する。
【0027】
図2は、運転室構造214および剛性支持構造117の背面からの斜視図を示す。運転室構造214は運転室114の骨組を形成する、つまりドライバの作業エリアを画定する。ここでは、フレームは底板204によって図示されている。
【0028】
運転室構造214は、一緒に矩形ボックス形状を成すように結合された複数の長形構造要素またはビームを包含する。言い換えると、運転室構造214は直角ブロックの形である。より詳しく述べると、4本の垂直方向長形構造要素207,217またはポストが直角ブロックの角部を画定するように配置されているのである。追加の長形構造要素が、水平方向上面208と下面209とを画定する。
【0029】
懸架機構は、フレーム204に運転室114を弾性的に支持するため運転室の下側とフレームの上面との間に設けられた第1懸架手段205または弾性取付手段を包含する。第1懸架手段205は、運転室とフレームとの間に設けられた弾性緩衝手段を形成する。より詳しく述べると、運転室構造214の各角部に実質的に隣接して一つの第1懸架手段205が配置されているのである。第1懸架手段205は、車両のフレーム204からの振動、ショック、および/または騒音などを減衰するのに適している。第1懸架手段205は、運転室の上向き方向に平行な配向の剛性主軸(つまり高剛性軸)を有する。減衰要素205は、弾性部材またはゴム絶縁体で構成されることが好ましい。ゆえに、第1懸架手段205は振動防止マウントを形成する。さらに、第1懸架手段205は運転室を安定させるのに適している。
【0030】
剛性支持構造117は、運転室構造214の後方に距離を置いて配置されている。支持構造117は、一緒にフレームまたはアーチを形成するように一緒に結合された複数の長形構造要素またはビームを包含する。二つの垂直方向長形構造要素210は、支持構造の側縁を画定する。二つの水平方向長形構造要素211は、垂直構造要素210またはポストの間に配置されてこれらを一緒に接続する。支持構造117は、運転室構造214の背面側と平行な面に延在する。直立ポスト210の各々は、運転室構造214の後方ポスト217の1本に隣接して配置される。支持構造117は、さらに、車両のフレーム204に支持構造117を確実に接続するための手段206を包含する。こうして、フレームと調和した運動のため、剛性支持構造117はフレーム204に剛性装着されるのである。接続手段206は、各々がボルト接続を包含する、距離を置いた二つの接続具216を包含する。
【0031】
支持構造117は、垂直方向において運転室構造214の高さよりも本質的に低い高さまで延出する。より詳しく述べると、支持構造117は、運転室構造214の高さの75%未満の高さまで、適切には、運転室構造の高さのおよそ50%の高さまで延出する。ここで高さとは、車両が通常位置にある時、つまり平坦面上にある時の垂直方向の長さを意味する。支持構造117の適切な設計により、支持構造が設けられる方向、通常は後方にドライバの視界が遮られることはない。
【0032】
機構1はさらに、車両が使用されている時に運転室構造214に作用する、衝撃吸収システム205が対処できる力を超える力を支持構造117が吸収するように、運転室構造を支持構造に接続するための手段212を包含する。より詳しく述べると、この接続手段212は、全方向、つまり上下、横方向、前後の力を吸収するのに適している。
【0033】
作用モードでは、接続手段212は、運転室構造214と剛性支持構造117との間に力伝達接続を設けるのに適している。作用モードとは、運転室構造の一定の傾斜または勾配を超えるように車両が駆動されることを意味する。また、非作用モードでは、剛性支持構造117から力を伝達せずに、少なくとも本質的な自由運動を運転室構造214に付与するように接続手段212は配置されている。ここで非作用モードとは、一定の傾斜または勾配を超えていない車両の通常運転のための通常モードを意味する。この手段により、運転室の通常衝撃吸収システムは通常運転中にはノーマルとして機能する、つまりこの時には接続手段が非作用モードなのである。しかし、運転室の傾斜または勾配が大きい場合には、支持構造は予定された支持を行なう、つまりこの時に接続手段は作用モードである。
【0034】
接続手段212はこうして、運転室構造214と支持構造117とが相互接続される前に支持構造117に対する運転室構造214の一定の運動を可能にするタイプの接続機構を形成する。しかし、「相互接続」モードでは、単体ユニットとして作用する。接続手段212は、支持構造117の上部に配置される。
【0035】
懸架機構はさらに、運転室構造214の後側と剛性支持構造117との間に設けられる少なくとも一つの第2懸架手段213を包含する。第2懸架手段213は、運転室の下側に対して高い位置に配置される。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、運転室の重心付近の高さに配置されるのである。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、支持構造117の上部において、接続手段212と実質的に同じ高さに配置される。
【0036】
さらに、二つの第2懸架手段213は、運転室の横方向に相互から距離を置いて配置される。より詳しく述べると、運転室114の後方ポスト217の各々に、一つの第2懸架手段が接続されるのである。こうして、懸架機構は、運転室を6点で懸架する。
【0037】
運転室構造214および支持構造117に対する接続手段212および第2懸架手段213の配置の第一実施例について、図3乃至5を参照して以下に説明する。
【0038】
平坦接続部品または板の形の構造要素304が、支持構造117の上部の直上で後方ポスト217に剛性装着され、後方ポスト217から、支持構造117の関連後方ポスト210の上の位置まで実質的に水平方向に延在する。接続要素304は、二つの離間した開口部305,307を包含する。さらに、支持構造117の後方ポスト210の上部には装着板302が装着される。装着板302も、二つの離間した開口部309,311を備える。さらに、開口部305,309,307,311が対になって一致するように、接続要素304および装着板302が相対的に配置される。接続手段212は第1対の開口部305,309に配置され、第2懸架手段213は第2対の開口部307,311に配置される。接続手段212と第2懸架手段213とは、接続部品304および装着板302の開口部を介して相互に隣接して配置される。
【0039】
第2懸架手段213は、各後方運転室ポストの支持構造の接続手段212から離間している。より詳しく述べると、第2懸架手段213は、各後方運転室ポストの支持構造の接続手段212から分離されているのである。そのため、第2懸架手段213と接続手段212の各々は、それぞれの機能に適した設計および寸法を持つ。懸架手段213は懸架作用のみのために設計され、車両転倒の場合には破損に適していることが好ましい。さらに、接続手段212は、フレームに対する運転室の一定の相対的傾斜を超えた時と、転倒中のみに作用する。
【0040】
第2懸架手段213は、円筒形ゴム要素の形の弾性緩衝部材308を包含する。弾性緩衝部材308は、接続部品304の開口部において開口部壁と接触状態で配置された外側スリーブ306に収容される。弾性緩衝部材308は中空であって、中空貫通孔を有し、内側スリーブ310を収容し、この内側スリーブがねじ312を収容する。ねじは装着板302の開口部311に延在して、支持構造117を運転室構造214に機械的に接続する。
【0041】
接続手段212は、装着板302を介して支持構造117に剛性固定された力伝達要素320を包含する。力伝達要素320は、フレーム204に対する運転室114の傾斜が所定の角度を超えない限り、運転室114が支持構造117からの力を伝達することなく少なくとも本質的な自由運動を行なうように、運転室に対して配置される。より詳しく述べると、力伝達要素320は、開口部305の内寸よりも小さな外側範囲を有して、自由運動のための間隙を残している。さらに、力伝達要素320の上部には、ねじ324を介して座金322が装着されている。
【0042】
第2懸架手段213の各々は、運転室の上向き方向と平行な配向の高剛性軸を有する。より詳しく述べると、中心軸502(図5参照)が運転室の上向き方向つまり垂直方向に平行な状態で、円筒形弾性緩衝部材308が配置されるのである。言い換えると、円筒形弾性緩衝部材308は、中心軸502が運転室角部ポスト217の延出方向に平行な状態で配置されるのである。
【0043】
さらに弾性緩衝部材308は、中心軸502に対して垂直に、つまり水平方向に、別の高剛性軸701(図7参照)を設けるための構造309を包含する。より詳しく述べると、中心軸502の両側において弾性緩衝部材308には二つの凹部309が均一に設けられているのである。凹部309は、中心軸と平行に円筒形緩衝部材へある距離だけ延在して、中心軸を通る中心面について均一に分散されている。剛性軸701の機能について、図6乃至7を参照にして以下でさらに説明する。
【0044】
第2懸架手段213は、車両101の縦方向618と横方向における運転室の運動に対する剛性を高めるのに適している。そのため第2懸架手段213は、車両101の縦方向618の成分を持つ配向の高剛性軸701を有する。図7を参照。弾性緩衝部材308が二つの両側凹部309という構造を包含することで、これが達成される。より詳しく述べると、中心線502と凹部309とを通る面は弱軸を画定し、弱軸に対して垂直な平面は高剛性軸701を画定するのである。より詳しく述べると、高剛性軸701は運転室の重心に向かっている。さらに弾性緩衝部材308は、車両101の縦方向618の成分を含む配向を高剛性軸が持つような角度配置を持つ。図7を参照。
【0045】
バケット充填作業中のホイールローダ101が、図6の上面図で概略的に示されている。より詳しく述べると、ホイールローダ101は、バケットが土、石、砂利などに食い込むように前進する。ホイールローダ101は、材料から反力Fを受ける。車両区分102,103は相互に傾斜しているので、反力Fは車両の縦軸618に対して傾斜した方向に作用する。ホイールローダ101では通常、縦方向618に対して±40°の角度範囲でバケット充填作業が行なわれる。
【0046】
作業中の反力Fの方向と無関係に運転室114が実質的に同じように運動/振動するように、運転室懸架を設計することが望ましい。そのため第2懸架手段213は、車両の縦方向に対して傾斜した方向の運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するのに適している。車両の縦方向から分離した方向の運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、二つの第2懸架手段213の各々は運転室の中心702に向かう配向の高剛性軸701を有する。
【0047】
さらに、第2懸架手段213は、車両のフレーム204からの振動、衝撃、および/または騒音を減衰するため、運転室の下側で第1懸架手段205を支持するのに適している。
【0048】
さらに、垂直方向の運転室の運動に関して実質的に均一な弾性を得るために実質的に明瞭な垂直方向固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。
【0049】
さらに、縦方向ピッチ運動に関して実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。さらに、横揺れのための実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。さらに、縦揺れ運動と横揺れ運動のための固有振動は(少なくとも相互の付近では)実質的に同じであるべきである。
【0050】
さらに、偏揺れ運動に関して実質的に明瞭な固有振動数を達成するように、第2懸架手段213は第1懸架手段205に対して調整される。
【0051】
図8乃至13は、懸架機構の第二実施例を示す。剛性支持構造817(図8参照)は、図2に関して上述したのと同様に、車両フレームに剛性装着され、後方運転室ポスト217の後ろに配置されている。剛性支持構造の直立ポスト810は、運転室の後方ポスト217の各々の付近でこのポストと平行である。ROPS接続手段812と第2懸架手段813とが、機能的に相互作用するように運転室と剛性支持構造817との間に配置されている。懸架機構の第二実施例について、図9乃至13を参照して以下でさらに説明する。
【0052】
平坦接続部品または板904の形の構造要素は、支持構造817の上部の直上で後方ポスト217に剛性装着され、後方ポスト217から、支持構造の関連後方ポスト810より上の位置まで実質的に水平方向に延在している。接続要素904は、二つの離間した開口部905,907を包含する。図13を参照。さらに、支持構造の後方ポスト810の上部には、装着板902が装着されている。装着板902も二つの離間した開口部909,911を備える。開口部の一方909は、装着板902から延出する直立剛性部品920に配置され、他の開口部911は板902を貫通する孔を形成する。接続要素904と装着板902とは、開口部905,909,907,911が対になって一致するように相対的に配置される。直立剛性部品920は開口部905に収容される。直立剛性部品920がボルト812および座金922を介して運転室ポスト217に固定されていることで接続手段812の機能が達成される。第2懸架手段813は、開口部の第2対907,911に配置される。接続手段812と第2懸架手段813とは、接続部品904と装着板902との開口部を介して相互に隣接して配置される。
【0053】
第2懸架手段813は、運転室方向についてそれぞれのポスト810の内側に配置される。より正確に述べると、接続要素904は、第1脚部914と、第1脚部に対して傾斜した第2脚部916とを包含するのである。開口部の一方905は傾斜エリアに配置され、他の開口部907は第2脚部916に配置される。図13を参照。このようにして、剛性支持構造の左右のポスト810よりも相互に対して短い距離に、左右の第2懸架手段813が配置されるのである。
【0054】
第2懸架手段813は、ゴム要素の形の弾性緩衝部材908を包含する。弾性緩衝部材908は、ボルト接続906を介して装着板902に剛性固定されている。弾性緩衝部材908は中空で、ねじ912を収容するための中央貫通孔を有する。ねじ912は、接続要素904の開口部907と、弾性緩衝部材908の貫通孔とに延在して、支持構造817を運転室構造に機械的に接続する。ねじ912をこの位置に固定するのにはナット913が使用される。ねじヘッドと接続要素904との間、およびナット913と装着板902との間には、座金915,917がそれぞれ配置されている。
【0055】
第二実施例による緩衝部材908は、高剛性軸701に関して、第一実施例による緩衝部材208と同様の特徴を提供するのに適している。図7を参照。第一実施例による緩衝部材208について開示されたのと同様にゴム要素が凹部(不図示)を備えていることで、この特徴が達成される。さらに緩衝部材908は、高剛性軸が図7に見られる方向に配向されるように角度配置される。
【0056】
接続手段812は、装着板902を介して支持構造117に剛性固定された力伝達要素920を包含する。フレームに対する運転室の傾斜が所定角度を超えない限り、支持構造817からの力を伝達することなく運転室が少なくとも本質的な自由運動を行なうように、力伝達要素920は運転室に対して配置される。より詳しく述べると、力伝達要素920は開口部905の内寸よりも小さな外側範囲を持っていて、自由運動のための間隙を残す。さらに、力伝達要素920の上部には、ねじ924を介して座金922が装着されている。
【0057】
本発明は、上述した実施例に限定されると考えられるべきでなく、上記特許請求項の枠組内においていくつかの付加的な変形および修正が可能である。
【0058】
例えば、ROPS要件のための接続手段212は、ピン、フォーク状要素、爪状要素を包含することが可能である。フォーク状要素の場合には、例えば、フォーク状要素が運転室構造から水平方向に突出して、支持構造から垂直方向に突出する対応形状の嵌合要素と嵌合することが可能である。爪状要素の場合には、運転室構造214に剛性装着されて、関連の長形要素と平行に下向きに延在してもよい。下向きに延出する爪状要素を収容するため、支持構造の垂直ビームが上向きに開口する。接続手段には多くの変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ホイールローダの側面図を概略的に示す。
【図2】運転室懸架機構の第一実施例の背面からの斜視図を示す。
【図3】図2の後方懸架手段およびROPS接続手段の拡大図を示す。
【図4】図3の後方懸架手段およびROPS接続手段の断面図を示す。
【図5】図3の後方懸架手段およびROPS接続手段の分解図を示す。
【図6】フレーム部品が相互に傾斜した位置における図1のホイールローダの上面図を概略的に示す。
【図7】水平面における後方懸架手段の剛性軸を概略的に示す。
【図8】運転室懸架機構の第二実施例の背面からの斜視図を示す。
【図9】図8の後方懸架手段およびROPS接続手段の拡大図を示す。
【図10】図9の後方懸架手段の側面図を示す。
【図11】図10のROPS接続手段の断面図を示す。
【図12】図10の後方懸架手段の断面図を示す。
【図13】図9の後方懸架手段およびROPS接続手段の分解図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械フレーム(204)に対する運転室(114)の被制御動作を可能にするため該フレームに該運転室を懸架する機構であって、該運転室を該フレームに支持するため該運転室の下側と該フレームとの間に設けられた少なくとも一つの第1懸架手段(205)と、該運転室の後側と剛性支持構造(117,817)との間に設けられた少なくとも一つの第2懸架手段(213,813)とを包含して、該第2懸架手段が該運転室の下側に対して高い位置に配置される、機構において、
前記第2懸架手段(213,813)が、前記作業機械の作業中に該機械の縦と横の両方向における運転室の運動に対する高剛性を提供するのに適していることを特徴とする機構。
【請求項2】
前記第2懸架手段(213,813)が、遮音性を有するとともに、前記剛性支持構造(117,817)との相互作用により前記運転室(114)への音の伝達を軽減するのに適していることを特徴とする、請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記第2懸架手段(213,813)と前記第1懸架手段(205)とが組み合わされると、前記機械の前記縦および横方向に実質的に等しい懸架剛性に適していることを特徴とする、請求項1または2に記載の機構。
【請求項4】
該機械の該縦方向(618)における運転室の運動に対する高剛性を提供するため、該第2懸架手段(213,813)が該機械の該縦方向の成分を含む配向の高剛性軸(701)を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の機構。
【請求項5】
二つの第2懸架手段(213,813)が該運転室の横向きに相互に距離を置いて配置されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の機構。
【請求項6】
該機械の該縦方向とは別の方向における運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、該第2懸架手段(213,813)の各々が該運転室の中心(702)に向かう配向の高剛性軸(701)を有することを特徴とする、請求項4または5に記載の機構。
【請求項7】
前記第2懸架手段(213,813)が、前記運転室の上向き方向に対して平行な配向の高剛性軸(502)を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の機構。
【請求項8】
前記運転室の重心付近の高さに前記第2懸架手段(213,813)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の機構。
【請求項9】
前記運転室の横向きに相互に距離を置いた2本の後方ポスト(217)を該運転室が包含することと、一つの第2懸架手段(213,813)が各ポストに接続されることとを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の機構。
【請求項10】
前記支持構造(117)が、前記フレームに対して前記運転室がかなり傾斜した場合に該運転室を支持するのに適していることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の機構。
【請求項11】
前記フレームに対して前記運転室がかなり傾斜した場合に該運転室を前記支持構造(117)に機械的に接続するための手段(212,812)を前記機構が包含することを特徴とする、請求項10に記載の機構。
【請求項12】
前記接続手段(212,812)が、作用モードでは前記運転室と前記支持構造との間に力伝達接続を提供するように、非作用モードでは該支持構造からの力の伝達を伴わない少なくとも本質的な自由運動を該運転室に付与するように配置されることを特徴とする、請求項11に記載の機構。
【請求項13】
前記2本の後方運転室ポストの各々に一つの接続手段(212,812)が設けられることと、各後方運転室ポストにおいて各第2懸架手段(213,813)が該接続手段(212,812)から分離されていることとを特徴とする、請求項9または11または12のいずれかに記載の機構。
【請求項14】
前記第2懸架手段(213,813)が、前記運転室(114)および前記剛性支持構造(117)との機能的接触状態にある弾性緩衝部材(308,908)を包含することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の機構。
【請求項15】
前記弾性緩衝部材(308,908)が、少なくとも1本の剛性主軸(701)を設けるための構造(309)を包含することを特徴とする、請求項14に記載の機構。
【請求項16】
前記支持構造(117)が、前記機械の予定駆動方向において前記運転室の後方に少なくとも実質的に配置されることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載の機構。
【請求項17】
前記運転室の各角部に一つの第1懸架手段(205)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれかに記載の機構。
【請求項18】
前記運転室が四つの角部を有し、各角部に実質的に隣接して一つの第1懸架手段(205)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれかに記載の機構。
【請求項19】
フレーム(204)と、運転室(114)と、請求項1乃至18のいずれかに記載の懸架機構とを包含する作業機械(101)。
【請求項20】
前方フレームと、後方フレームと、該前方フレームを該後方フレームに接続して作業機械の操縦のため垂直軸を中心とする旋回を可能にする連結ジョイント(601)とを包含する、請求項19に記載の作業機械(101)。
【請求項21】
車両フレームに剛性接続された前方車軸(113)と、該車両フレームに接続された振子車軸を形成する後方車軸(112)とを包含する、請求項19または20に記載の作業機械(101)。
【請求項22】
負荷および/または材料(116)を動かす、および/または、該負荷および/または材料(116)に作用するための作業器具(107)を包含する、請求項19乃至21のいずれかに記載の作業機械(101)。
【請求項23】
フレームと、運転室と、請求項1乃至19のいずれかに記載の懸架機構とを包含する、ホイールローダ(101)。
【請求項1】
作業機械フレーム(204)に対する運転室(114)の被制御動作を可能にするため該フレームに該運転室を懸架する機構であって、該運転室を該フレームに支持するため該運転室の下側と該フレームとの間に設けられた少なくとも一つの第1懸架手段(205)と、該運転室の後側と剛性支持構造(117,817)との間に設けられた少なくとも一つの第2懸架手段(213,813)とを包含して、該第2懸架手段が該運転室の下側に対して高い位置に配置される、機構において、
前記第2懸架手段(213,813)が、前記作業機械の作業中に該機械の縦と横の両方向における運転室の運動に対する高剛性を提供するのに適していることを特徴とする機構。
【請求項2】
前記第2懸架手段(213,813)が、遮音性を有するとともに、前記剛性支持構造(117,817)との相互作用により前記運転室(114)への音の伝達を軽減するのに適していることを特徴とする、請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記第2懸架手段(213,813)と前記第1懸架手段(205)とが組み合わされると、前記機械の前記縦および横方向に実質的に等しい懸架剛性に適していることを特徴とする、請求項1または2に記載の機構。
【請求項4】
該機械の該縦方向(618)における運転室の運動に対する高剛性を提供するため、該第2懸架手段(213,813)が該機械の該縦方向の成分を含む配向の高剛性軸(701)を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の機構。
【請求項5】
二つの第2懸架手段(213,813)が該運転室の横向きに相互に距離を置いて配置されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の機構。
【請求項6】
該機械の該縦方向とは別の方向における運転室の運動に対して実質的に等しい剛性を提供するため、該第2懸架手段(213,813)の各々が該運転室の中心(702)に向かう配向の高剛性軸(701)を有することを特徴とする、請求項4または5に記載の機構。
【請求項7】
前記第2懸架手段(213,813)が、前記運転室の上向き方向に対して平行な配向の高剛性軸(502)を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の機構。
【請求項8】
前記運転室の重心付近の高さに前記第2懸架手段(213,813)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の機構。
【請求項9】
前記運転室の横向きに相互に距離を置いた2本の後方ポスト(217)を該運転室が包含することと、一つの第2懸架手段(213,813)が各ポストに接続されることとを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の機構。
【請求項10】
前記支持構造(117)が、前記フレームに対して前記運転室がかなり傾斜した場合に該運転室を支持するのに適していることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の機構。
【請求項11】
前記フレームに対して前記運転室がかなり傾斜した場合に該運転室を前記支持構造(117)に機械的に接続するための手段(212,812)を前記機構が包含することを特徴とする、請求項10に記載の機構。
【請求項12】
前記接続手段(212,812)が、作用モードでは前記運転室と前記支持構造との間に力伝達接続を提供するように、非作用モードでは該支持構造からの力の伝達を伴わない少なくとも本質的な自由運動を該運転室に付与するように配置されることを特徴とする、請求項11に記載の機構。
【請求項13】
前記2本の後方運転室ポストの各々に一つの接続手段(212,812)が設けられることと、各後方運転室ポストにおいて各第2懸架手段(213,813)が該接続手段(212,812)から分離されていることとを特徴とする、請求項9または11または12のいずれかに記載の機構。
【請求項14】
前記第2懸架手段(213,813)が、前記運転室(114)および前記剛性支持構造(117)との機能的接触状態にある弾性緩衝部材(308,908)を包含することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の機構。
【請求項15】
前記弾性緩衝部材(308,908)が、少なくとも1本の剛性主軸(701)を設けるための構造(309)を包含することを特徴とする、請求項14に記載の機構。
【請求項16】
前記支持構造(117)が、前記機械の予定駆動方向において前記運転室の後方に少なくとも実質的に配置されることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載の機構。
【請求項17】
前記運転室の各角部に一つの第1懸架手段(205)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれかに記載の機構。
【請求項18】
前記運転室が四つの角部を有し、各角部に実質的に隣接して一つの第1懸架手段(205)が配置されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれかに記載の機構。
【請求項19】
フレーム(204)と、運転室(114)と、請求項1乃至18のいずれかに記載の懸架機構とを包含する作業機械(101)。
【請求項20】
前方フレームと、後方フレームと、該前方フレームを該後方フレームに接続して作業機械の操縦のため垂直軸を中心とする旋回を可能にする連結ジョイント(601)とを包含する、請求項19に記載の作業機械(101)。
【請求項21】
車両フレームに剛性接続された前方車軸(113)と、該車両フレームに接続された振子車軸を形成する後方車軸(112)とを包含する、請求項19または20に記載の作業機械(101)。
【請求項22】
負荷および/または材料(116)を動かす、および/または、該負荷および/または材料(116)に作用するための作業器具(107)を包含する、請求項19乃至21のいずれかに記載の作業機械(101)。
【請求項23】
フレームと、運転室と、請求項1乃至19のいずれかに記載の懸架機構とを包含する、ホイールローダ(101)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−533275(P2009−533275A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505320(P2009−505320)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000437
【国際公開番号】WO2007/117183
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000437
【国際公開番号】WO2007/117183
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】
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