運転席
【課題】 乗り物運転操作の操作性向上を図ることができる運転席を提供する。
【解決手段】 車両の運転席3は、操作系(例えば操舵、加速、減速及びシフト位置変更等)と座席部分とが一体化された操作系一体型運転席であり、運転者が座って運転操作を行う座席ユニット4と、その座席ユニット4を相対移動可能に支持する支持台5とを備える。運転席3は、車両がカーブ走行や悪路走行等で揺動(傾斜)した際に座席ユニット4を振り子運動させる振り子機構44を備えている。走行中の車両がカーブを曲がるなどして揺動すると、この揺動によって車両には外側方向(横方向)に振られる力、つまり慣性モーメントMが生じる。この慣性モーメントMは座席ユニット4に作用し、座席ユニット4はレール機構46に案内された状態で振り子運動する。
【解決手段】 車両の運転席3は、操作系(例えば操舵、加速、減速及びシフト位置変更等)と座席部分とが一体化された操作系一体型運転席であり、運転者が座って運転操作を行う座席ユニット4と、その座席ユニット4を相対移動可能に支持する支持台5とを備える。運転席3は、車両がカーブ走行や悪路走行等で揺動(傾斜)した際に座席ユニット4を振り子運動させる振り子機構44を備えている。走行中の車両がカーブを曲がるなどして揺動すると、この揺動によって車両には外側方向(横方向)に振られる力、つまり慣性モーメントMが生じる。この慣性モーメントMは座席ユニット4に作用し、座席ユニット4はレール機構46に案内された状態で振り子運動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物を運転する際に座する運転席に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転席は、運転操作(例えば操舵操作、加速操作、制動操作)の操作性向上や、運転者の運転時における視界性向上を目的として、前後移動可能或いは上下移動可能である。この種の前後移動機構及び上下移動機構を備えた運転席が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の運転席は、運転席に走行操作レバー、アクセルペダル及びブレーキペダル等を一体に設け、これら操作系を位置調整可能とすることで、さらなる操作性及び視認性の向上を図っている。
【特許文献1】特開平10−131235号(第3−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、運転席は車両に固定されているため、例えば走行車両がカーブを曲がる際には、車両の揺動によって運転者には外側方向に慣性モーメントが働く。このため、運転者が外側方向に振られることになり、走行操作レバーや各種ペダルと運転者との間の距離が変わってしまう。車両操舵時において運転姿勢を維持するには、ステアリング強く握って体を支えたり、アームレストで体を支えたりする必要があり、例え操作系を運転席に一体に設けてもこの問題は解消されるものではなく、運転操作時の操作性を向上するためには何らかの対策が必要であった。
【0004】
本発明の目的は、乗り物運転操作の操作性向上を図ることができる運転席を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、乗り物の乗員が座する座部を備えた運転席において、前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座部を振り子運動又は回転運動させる揺動吸収機構を備えたことを要旨とする。
【0006】
この発明によれば、例えば乗り物がカーブ走行して揺動した際、車両には揺動の度合いに応じた慣性モーメントが生じることになるが、この車両揺動時においては揺動吸収機構が振り子運動又は回転運動することから、慣性モーメントが座部全体で吸収される。従って、乗員には外方に振られる力が働き難くなることから、車両が揺動したとしても、運転者は運転姿勢(乗車姿勢)を保持するために、例えばステアリングを強く握って体を支えたり、アームレストに肘を立てて体を支えたりするような動作を行わずに済み、乗り物運転操作の操作性が確保される。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記乗り物の加減速時に操作される速度操作部、及び前記乗り物の走行時に操作される操舵操作部のうち少なくとも一方と、前記座部とを一体に備えたことを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、運転席は速度操作部及び操舵操作部の少なくとも一方と座部とを一体に備えた構造であるので、例えば運転席自体を上下方向又は前後方向に位置調整しても、運転者と操作部(速度操作部や操舵操作部)との間の距離は一定の状態を維持する。よって、このように運転席の位置調整の前後で運転者と操作部との間の距離が変わらなければ、常に同じ距離感で速度操作部や操舵操作部を操作することが可能となり、乗り物運転操作の操作性が確保される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動時に発生する慣性モーメントを基に、前記座部を振り子運動又は回転運動させる機械式の機構であることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、揺動吸収機構が機械式であるので、例えば電気式に比べて、揺動吸収機構を簡単な構造とすることが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動量を検出する検出手段と、前記座部を振り子運動又は回転運動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記駆動手段を駆動して前記座部を振り子運動又は回転運動させる制御手段とを備えた電気式の機構であることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、例えば乗り物がカーブ走行して揺動した際、その揺動量が検出手段によって検出され、検出手段の検出信号を基に制御手段が駆動手段を駆動することにより、揺動吸収機構の振り子運動又は回転運動が行われる。このように、本発明の揺動吸収機構は電気式であるので、車両の揺動量に対する揺動吸収機構の作動量(即ち、振り子量や回転量)を適宜設定することが可能となり、例えば車両が大きく揺動した際には揺動吸収機構を大きな運動量で作動させたり、或いは微量揺動の際には揺動吸収機構を非作動状態にしたりすることが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記乗り物の揺動時において前記座部に加わる慣性モーメントを減衰させるダンパ機構を備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、例えば走行車両が急カーブを曲がって大きく揺動した場合、ダンパ機構が作用することから、揺動吸収機構が急激に作動、つまり早くて大きな振り子運動や回転運動を行わずに済む。ところで、揺動吸収機構が急激に作動すると、運転者の運転目線が大きく変わることになり、乗り物運転操作の操作性に悪影響を及ぼすが、本発明のようにダンパ機構を設ければ、揺動吸収機構の急激な作動が抑制され、乗り物運転操作の操作性確保に寄与する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、乗り物運転操作の操作性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した運転席の第1実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は車両1の室内2を斜め後方から見た斜視図であり、図2は運転席3の側面図である。車両1の室内2には、運転時のコクピットとなる運転席3が配設されている。運転席3は、運転者が座って運転操作を行う座席ユニット4と、その座席ユニット4を相対移動可能に支持する支持台5とを備えている。本例の運転席3は、操作系(例えば、操舵、加速、減速及びシフト位置変更等)と座席部分とが一体化された操作系一体型運転席である。なお、車両1が乗り物に相当する。
【0017】
座席ユニット4は、運転者が座する座部6と、各種操作系を取り付けるための操作系フレーム7と、運転者の肘置き部分となるアームレスト8とを備えている。操作系フレーム7は、運転者が足を載せる足載部9と、各種計器類を有するインストルメントパネル部10と、インストルメントパネル部10を反ドア11側で片持ち支持するアーム部12とを有する。操作系フレーム7は、足載部9の基端(図1では手前側端部)が座部6の下部に固着されることにより、座部6と一体化されている。
【0018】
インストルメントパネル部10は座部6と向き合う位置に配置され、このインストルメントパネル部10には、座部6の対向位置(前方位置)にステアリング13が取り付けられている。ステアリング13は車両1を操舵する際に操作される部材であり、本例においては右に回転すると車両1が右転舵し、左に回転すると車両1が左転舵する回転式である。このように、ステアリング13が座部6の前方に位置していることから、運転者はステアリング13を前方おいて両手で握った状態で操作する。なお、ステアリング13が操舵操作部に相当する。
【0019】
また、アーム部12がインストルメントパネル部10を片持ち支持していることから、インストルメントパネル部10の下方には足を載置するスペース14が形成され、そのスペース14の片側(即ち、ドア11側)が開放状態となる。従って、インストルメントパネル部10の下方にスペース14が存在するため、運転席3の運転スペースが広くとれ、しかもスペース14の片側が開放状態となっていることから、運転者はこの開放部分を介して運転席3の乗り降りを行うことになる。
【0020】
図3は、インストルメントパネル部10の周辺を拡大した斜視図である。運転席3は、インストルメントパネル部10、つまりステアリング13を上下及び前後方向で位置調整する第1位置調整機構15を備えている。第1位置調整機構15の概略を説明すると、例えば図4に示す手動式の機構が挙げられる。これを詳述すると、インストルメントパネル部10とアーム部12との間には、これら両者に対して相対移動可能な状態で介装部材16が取り付けられている。介装部材16には、アーム部12側の壁部に第1ネジ孔16aが貫設され、インストルメントパネル部10側の壁部に第2ネジ孔16bが貫設されている。
【0021】
一方、アーム部12の内壁には、ステアリング13の位置調整方向(本例は上下方向)に沿って延びる第1ガイド溝12aが貫設されている。第1ネジ孔16aには第1ガイド溝12aを貫通した状態で上下調整ノブ17が螺合され、上下調整ノブ17を第1ネジ孔16aに螺着して同ノブ17の鍔部17aと介装部材16の内壁とでアーム部12の内壁をきつく挟み込むと、アーム部12に対する介装部材16(即ち、ステアリング13)の上下位置が固定される。また、上下調整ノブ17の螺着を解除すると、介装部材16(即ち、ステアリング13)が第1ガイド溝12aに沿って上下方向に位置調整可能となる。
【0022】
また、インストルメントパネル部10の前後位置調整についても同様の機構が採用され、インストルメントパネル部10の内壁には、インストルメントパネル部10の位置調整方向(本例は前後方向)に沿って延びる第2ガイド溝10aが貫設されている。そして、前後調整ノブ18を第2ネジ孔16bに螺着し、同ノブ18の鍔部18aと介装部材16の内壁とでインストルメントパネル部10の内壁をきつく挟み込むと、介装部材16(即ち、アーム部12)に対するインストルメントパネル部10(即ち、ステアリング13)の前後位置が固定される。また、前後調整ノブ18の螺着を解除すると、インストルメントパネル部10(即ち、ステアリング13)が第2ガイド溝10aに沿って前後方向に位置調整可能となる。
【0023】
なお、第1位置調整機構15は手動式の機構に限らず、例えば図5に示す電気式の機構でもよい。なお、ここでは上下位置調整の機構のみ説明するが、前後位置調整の機構は上下位置調整のものに比べ移動方向が異なるのみで基本構造は同じであるので、前後位置調整の機構については説明を省略する。介装部材16の内壁には、ボールネジ孔16cが貫設されている。アーム部12にはモータ19を駆動源として回転可能なボールネジ20が取り付けられ、このボールネジ20はボールネジ孔16cに螺合されている。ボールネジ20が回転すると、介装部材16(即ち、ステアリング13)が位置調整方向(本例は上下方向)に沿って移動する。
【0024】
運転席3には上下位置調整用のスイッチ21が配設され、このスイッチ21はスイッチ回路22を介してモータ19に接続されている。従って、スイッチ21が上操作(UP操作)されると、スイッチ回路22が図5の実線で示す接点状態となってモータ19が一方向に回転し、介装部材16(即ち、ステアリング13)が上方移動する。また、スイッチ21が下操作(DOWN操作)されると、スイッチ回路22が図5の破線で示す接点状態となってモータ19が他方向に回転し、介装部材16(即ち、ステアリング13)が下方移動する。
【0025】
また、第1位置調整機構15はモータを用いた機構に限らず、例えば図6に示すシリンダを用いた機構でもよい。なお、ここでも上下位置調整の機構のみ説明するが、前後位置調整の機構も上下位置調整の機構と同様の構造をなしている。アーム部12と介装部材16との間には、介装部材16(即ち、ステアリング13)を移動方向(本例は上下方向)に沿って移動させる空圧シリンダ23が介装されている。空圧シリンダ23はバルブ24を介して空気ポンプ25に接続され、バルブ24のソレノイドがコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、位置調整用のスイッチ21の操作を基にバルブ24を制御する。
【0026】
例えば、スイッチ21が上操作されると、コントローラ26はバルブ24を制御して空気ポンプ25の空気を空圧シリンダ23に送り、空圧シリンダ23を内部のバネ23aに抗して伸長させることで介装部材16(即ち、ステアリング13)を上方移動させる。一方、スイッチ21が下操作されると、コントローラ26はバルブ24を制御して空圧シリンダ23内の空気を抜き、空圧シリンダ23を縮ませることで介装部材16(即ち、ステアリング13)を下方移動させる。なお、スイッチ21は例えばインストルメントパネル部10等に配置されるが、この配置位置は特に限定されない。なお、コントローラ26が制御手段を構成する。
【0027】
図3に示すように、ステアリング13はインストルメントパネル部10に対して着脱可能であり、このようにステアリング13を着脱可能とすることで、異なる種類のステアリング13aをインストルメントパネル部10に取り付けることが可能である。なお、ステアリング13の着脱構造としては、ステアリング13がインストルメントパネル部10に取り付けられた際には同パネル部10に対し係止状態となり、ステアリング近傍に設けた取外ボタン(図示略)が押されると前記係止状態が解除され、ステアリング13が取外可能となる構造が用いられる。
【0028】
図7は、操作系フレーム7(足載部9)の先端部分を拡大した斜視図である。足載部9の先端には、車両1を加減速させる際に操作する加減速操作ユニット27が配設されている。加減速操作ユニット27は、加速操作時に踏み込むアクセルペダル28と、減速操作時(制動操作時)に踏み込むブレーキペダル29とを備えている。アクセルペダル28及びブレーキペダル29は左右方向に並んだ状態で配置され、踏み込みを解除すると初期位置(踏込開始位置)に復帰する。なお、アクセルペダル28及びブレーキペダル29が速度操作部を構成する。
【0029】
運転席3は、加減速操作ユニット27を前後方向で位置調整する第2位置調整機構30を備えている。なお、この第2位置調整機構30は上述した第1位置調整機構15を1軸にのみ移動可能な構造としたものであるため、詳細については省略する。また、第2位置調整機構30は1軸(本例は前後方向)にのみ加減速操作ユニット27を位置調整する構造のものに限らず、上述した第1位置調整機構15と同様に上下方向及び左右方向の両方で位置調整可能な構造としてもよい。
【0030】
図8は、運転席3のアームレスト8を拡大した斜視図である。アームレスト8には、車両1の変速機31(図9参照)を変速させる際に操作するシフトレバー32が配設されている。シフトレバー32は、例えば運転時に位置するドライブ位置、変速機31が2速の際に位置するセカンド位置、変速機が3速の際に位置するサード位置、駐車時に位置するパーキング位置、車両1の後退時に位置するリバース位置等を有する。なお、シフトレバー32が速度操作部を構成する。
【0031】
運転席3は、アームレスト8、つまりシフトレバー32の位置を前後方向及び上下方向で位置調整する第3位置調整機構33を備えている。なお、この第3位置調整機構33も、基本的には上述した第1位置調整機構15と同様の構造であるため、詳細については省略する。また、第3位置調整機構33の上下位置調整の機構は、アームレスト8の基端を支点に回転することでシフトレバー32の上下方向位置を調整する回転式の機構であるが、これは上述した第1位置調整機構の直線移動を回転移動に変えたのみ構造である。
【0032】
図9は、車両1の電気構成を示すブロック図である。本例の車両1は、メカニカル・リンケージの代わりに電気信号を用いて各種操作(本例は操舵操作、加速操作、制動操作、シフト位置変更操作等)を行うバイワイヤ方式を採用している。これを以下に詳述すると、上述したコントローラ26は上述したバルブ24を制御する機能の他に、車両1の各種装置を統括制御する機能を兼ねている。
【0033】
車両1は、ステアリング13の操舵量を検出するアングルセンサ34と、アクセルペダル28の踏込量を検出するアクセル踏込量検出センサ35と、ブレーキペダル29の踏込量を検出するブレーキ踏込量検出センサ36と、シフトレバー32のシフト位置を検出するシフト位置検出センサ37とを備えている。車両1は、同車両1の進行方向を変えるために車輪38を操舵する操舵装置39と、エンジン40を制御するエンジン制御装置41と、車輪38に制動力を付与する制動装置42とを備えている。
【0034】
コントローラ26は、入力回路43aを介してアングルセンサ34から検出信号を入力し、その検出信号を基にステアリング13の操舵量を認識し、車輪38が操舵量に応じた操舵角をとるように操舵装置39を制御する。また、コントローラ26は、入力回路43bを介してアクセル踏込量検出センサ35から検出信号を入力し、その検出信号を基にアクセルペダル28の踏込量を認識し、その踏込量に応じた加速指令をエンジン制御装置41に出力する。エンジン制御装置41は、その加速指令を基にエンジン40を制御する。
【0035】
コントローラ26は、入力回路43cを介してブレーキ踏込量検出センサ36から検出信号を入力し、その検出信号を基にブレーキペダル29の踏込量を認識し、その踏込量に応じた制動力が車輪38に付与されるように制動装置42を制御する。コントローラ26は、入力回路43dを介してシフト位置検出センサ37から検出信号を入力し、その検出信号を基にシフトレバー32の操作位置を認識し、その操作位置に応じたギヤ位置をとるように変速機31を制御する。
【0036】
図10は、運転席3の正面図である。運転席3は、車両1がカーブ走行や悪路走行等で揺動(傾斜)した際に座席ユニット4を振り子運動させる振り子機構44を備えている。これを詳述すると、座部6の後方には、車内の床面2aから上方に延出する支持体45(図1及び図2参照)が形成されている。座部6の背面上部には、前後方向に延びる支軸45aが形成され、座部6はその上部が支軸45aを介して支持体45に相対回転可能な状態で連結されている。従って、前後方向に延びる線(即ち、支軸45a)を軸線Laとした場合、座席ユニット4は支軸45aを支点として軸線La回りに振り子運動可能な状態で車体に支持されている。なお、振り子機構44が揺動吸収機構に相当する。
【0037】
座席ユニット4(座部6)と支持台5との間には、座席ユニット4が振り子運動した際にその移動を案内するレール機構46が配設されている。本例のレール機構46は、座席ユニット4(座部6)の底面において左右方向に沿って凹設されたレール溝46aと、そのレール溝46a内で回転可能な複数(本例は左右2つずつ)の車輪46b,46b,…とを備えている。本例の車輪46bは、支持台5に回転可能な状態で取り付けられている。車両1が揺動すると、座席ユニット4はレール溝46a及び車輪46bに案内され、図10の中立状態から図11に示す状態のように振り子運動する。
【0038】
図12は、図10のII−II線断面図である。運転席3は、車両1が揺動して座席ユニット4が振り子運動する際に、同ユニット4に加わる力(慣性モーメント)を減衰させるダンパ機構47を備えている。これを詳述すると、座席ユニット4の底面中央部には、下方に延びる一対の延出部4aが形成されている。この延出部4aと支持台5の内壁との間には、左右各々2つずつ計4つのダンパ48a〜48dが配設されている。これらダンパ48a〜48dは、同じダンパ力(減衰力)を有するものが使用されている。なお、ダンパ48a〜48dの数は適宜変更可能である。
【0039】
これらダンパ48a〜48dは、中空状のシリンダ49と、そのシリンダ49から先端が露出するとともに同シリンダ49に対してスライド移動可能なロッド50とを備えている。シリンダ49はその基端が支持台5の内面に係止ピン49a回動可能に連結され、ロッド50はその先端が延出部4a(即ち、座席ユニット4)に係止ピン50aを介し回動可能に連結されている。シリンダ49とロッド50との間には、ロッド50を突出する側に常時付勢するバネ51が介装されている。
【0040】
これらダンパ48a〜48dは、図12の紙面から見て左2つのダンパ48a,48bと紙面から見て右2つのダンパ48c,48dとを各々組として見た場合、以下の配置向きをとる。即ち、ダンパ48a,48b(48c,48d)の先端(即ち、ロッド50の先端)同士の間隔が狭く、ダンパ48a,48b(48c,48d)の基端(即ち、シリンダ49の基端)同士の間隔が広くなるように、斜めを向いた状態で配置される。また、同じダンパ力のダンパ48a〜48dが使用されていることから、座席ユニット4は車両1が揺動していない状態において中立位置に位置した状態(図10及び図12の状態)となる。
【0041】
車両1が揺動して座席ユニット4が振り子運動すると、2組のうち一方の組のダンパ(図11はダンパ48a,48b)はロッド50が延出部4aによって押される。このとき、ダンパ48a,48bは係止ピン49aを支点として回動しつつバネ51に抗して縮み、一方でダンパ48c,48dも同じく係止ピン49aを支点として回動するものの延びた状態となる。また、図11の状態から座席ユニット4が元の中立位置側に戻る振り子運動をとると、ダンパ48a,48bは延びる動作をとるとともに、ダンパ48c,48dは縮む動作をとる。このようにダンパ機構47を設ければ、車両1が揺動した際に座席ユニット4が急速な振り子運動をとり難い。
【0042】
図10及び図11に示すように、車体の床面2aと支持台5との間には、走行時に車輪38から車体に伝わる振動を減衰させるサスペンション機構52が配設されている。なお、このサスペンション機構52は、上述したダンパ機構47とほぼ同様の構造をとるものであるため、詳細については省略する。このように車体の床面2aと支持台5との間にサスペンション機構52を設ければ、車両走行時に車輪38から車体に伝わる振動は座席ユニット4に伝わり難くなる。
【0043】
次に、本例の運転席3の作用について説明する。
走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、この揺動によって車両1には外側方向(横方向)に振られる力、つまり慣性モーメントM(図11参照)が生じる。この慣性モーメントMは座席ユニット4に作用し、座席ユニット4はレール機構46に案内された状態で振り子運動を開始する。例えば、車両1が左転舵すると座席ユニット4が右方向に振り子運動を開始し、車両1が右転舵すると座席ユニット4が左方向に振り子運動を開始する。そして、ステアリング13が直線走行操作位置に立て直されて車両1が直線走行に復帰すると、座席ユニット4は中立位置に復帰する。
【0044】
また、座席ユニット4が振り子運動する際には、ダンパ機構47が作用して急激な振り子運動の開始が抑制される。上述したように例えば車両1が左転舵すると、運転席3から見て右側のダンパ48a,48bが縮むとともに、運転席3から見て左側のダンパ48c,48dが伸びた状態となる。従って、車両揺動時に生じる慣性モーメントの一部がダンパ48a,48bの縮みによって吸収されるので、座席ユニット4が急速な振り子運動を開始する状況になり難い。そして、ダンパ48a〜48dは座席ユニット4の振り子位置に応じた伸縮状態をとることになる。
【0045】
従って、車両1が揺動した際には、そのとき生じる慣性モーメントMによって座席ユニット4が振り子運動するが、車両揺動時に生じる慣性モーメントMは、振り子運動する座席ユニット4で吸収され、同モーメントMによる影響は運転者に伝わり難くなる。即ち、座席ユニット4が振り子運動するため、運転者の座部6に対する姿勢位置変化が生じ難い。このため、車両1が揺動した際に、運転者がこの慣性モーメントMに抗して運転姿勢を保持するために、ステアリング13を強く握って体を支えたりアームレスト8に肘を立てて体を支えたりする動作を行わずに済み、運転操作の操作性が確保される。
【0046】
また、振り子運動する座席ユニット4と、それを支持する支持台5との間にダンパ機構47を設けている。従って、座席ユニット4の振り子運動が勢いよく急に開始せずに済むことの他に、振り子運動の振り子速度が高速とならずに済み、運転操作に支障を来さない程度の速度となる。さらに、車両1の揺動が、座席ユニット4を振り子運動させるまでもない微量な程度の場合、その際の慣性モーメントMはダンパ機構47で吸収されるため、座席ユニット4を無駄に振り子運動させずに済む。
【0047】
第1実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)例えば車両1がカーブ走行して揺動した際、車両1には揺動の度合いに応じた慣性モーメントMが働くが、運転席3には振り子機構44が設けられているので、車両揺動時においては振り子機構44が作動して座席ユニット4が振り子運動するため、慣性モーメントMが座席ユニット4で吸収される。従って、運転席3に座した運転者には外方に振られる力が働き難くなり、車両1が揺動しても、運転姿勢を保持するためにステアリング13を強く握ったり、アームレスト8に肘を立てたりして体を支える必要がなくなり、車両運転操作の操作性向上に寄与する。
【0048】
(2)振り子運動する座席ユニット4と、それを支持する支持台5との間にダンパ機構47を設けた。従って、座席ユニット4の振り子運動が勢いよく急に開始せずに済み、また、振り子運動の振り子速度も、運転操作に支障を来さない程度の速度とすることができる。
【0049】
(3)本例においては、座部6と各種操作系(ステアリング13、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32)とを一体化するので、例えば運転席3自体を前後左右で位置調整したとしても運転者と操作系との距離は変わらず、車両運転操作の操作性を確保することができる。また、座部6に操作系フレーム7を取り付け、ステアリング13が運転者の前方に位置するように、ステアリング13をその操作系フレーム7に取り付けた。従って、運転者は前方でステアリング13を両手で握った状態で操作するので、運転操作時の操作姿勢が安定し易くなり、操舵操作の操作性を一層向上することができる。
【0050】
(4)ここで、例えば操作系を車体に取り付けて座部6と操作系とを別々とし、座部6と車体との間にサスペンション機構52が存在する構造を考えてみる。この構造の場合、悪路走行時の際にはサスペンション機構52が働いて、車輪38から伝わる振動は座部6に伝わり難くなるものの、サスペンション機構52が働いた際には、程度にもよるが座部6が上下方向に動くことになる。よって、座部6と操作系とが別々であると、悪路走行時においては運転者と操作系との距離(相対位置)が変化し、車両運転操作の操作性に支障を来す。
【0051】
しかし、座部6と操作系とを一体とした本例の運転席3をサスペンション機構52で振動吸収させるようにすれば、悪路走行時にサスペンション機構52が働いて、運転席3全体が上下方向に動いたとしても、運転者と操作系との距離は一定の状態を維持する。従って、本例の構成においては、悪路走行時にサスペンション機構52が働いて運転席3が上下動する状況となっても、車両運転操作の操作性に支障を来す状況になり難く、このような状況からも座部6と操作系との一体化は効果が高い。
【0052】
(5)本例の振り子機構44は、車両揺動時の自然力を利用して振り子運動する機械式である。従って、例えば振り子機構44が電気式の場合には、電気制御するための各種部品が必要となるが、振り子機構44を機械式とすればこの種の部品が不要となり、振り子機構44を簡単な構造とすることができ、部品点数削減や低コスト化等の効果を得ることができる。
【0053】
(6)本例においては、回転操作式のステアリング13を用い、このステアリング13を座部6の前方に配置したので、運転者は前方にあるステアリング13を両手で握った状態で操作することになる。従って、例えばレバー式の操舵部材を用いた場合には、同レバーを片手で握って操作することになり、操作時の姿勢が安定し難い問題が発生する。しかし、本例の構成を用いれば、前方において両手で握ってステアリング操作することが可能となり、運転操作時(特に操舵操作時)の姿勢が安定し易く、車両運転操作の操作性が確保される。
【0054】
(7)ステアリング13の取付先であるインストルメントパネル部10がアーム部12によって片持ち支持されているので、インストルメントパネル部10の下方には運転者の足を載置するスペース14が形成され、しかも、そのスペース14の片側(本例はドア11側)が開放状態となる。従って、インストルメントパネル部10の下方を足置き場のスペースとしても、運転席3の乗り降りがし易くなる。
【0055】
(8)ステアリング13の位置を調整する第1位置調整機構15を設けたので、運転者の最も好適な位置にステアリング13を配置することができる。また、加減速操作ユニット27の位置を調整する第2位置調整機構30、シフトレバー32の位置を調整する第3位置調整機構33を各々設けたので、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32についても運転者の最も好適な位置に配置することができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図13に従って説明する。なお、本例は第1実施形態と比較して、振り子機構44を電気式とした点が異なっており、他の基本的な構成については同じである。従って、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図13は、車両1の電気構成を示すブロック図である。車両1には、車両1に加わる揺動(傾斜)を検出する傾斜角センサ53が配設されている。傾斜角センサ53は、例えばポテンショメータ式、トルクバランス式、静電容量式等のセンサが使用され、例えば車体の左右方向の一方の端部に配置されている。傾斜角センサ53は検出信号をコントローラ26に出力し、コントローラ26は傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1の揺動量(傾斜角)を算出する。なお、傾斜角センサ53が検出手段に相当する。
【0058】
運転席3は、座席ユニット4を振り子運動させる際の駆動源となる駆動モータ54と、駆動モータ54の回転を座席ユニット4に伝達する伝達機構55と、座席ユニット4が振り子運動した際の振り子位置を検出する位置検出センサ56とを備えている。駆動モータ54は、例えば直流モータが使用され、駆動回路57を介してコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)を基に駆動回路57を介して駆動モータ54を駆動制御する。なお、駆動モータ54が駆動手段を構成する。
【0059】
伝達機構55は、駆動モータ54の回転を、軸線La回りに座席ユニット4を振り子運動させる方向の回転に変更して支軸45aに伝達する機構である。位置検出センサ56は、例えばリニアエンコーダやロータリエンコーダ等のセンサが使用され、振り子位置に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、位置検出センサ56からの検出信号を基に座席ユニット4の振り子位置を認識し、例えば中立位置を基準として右側にどれだけ振り子移動したか、或いは右側にどれだけ振り子移動したかを認識する。
【0060】
コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4がその揺動量に応じた振り子位置(振り子量)をとるように駆動モータ54を駆動制御する。即ち、コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)に応じて決まる振り子位置を目標位置とし、位置検出センサ56の検出信号を見ながら、座席ユニット4が目標位置をとるように駆動モータ54を駆動制御する。コントローラ26は、この座席ユニット4の振り子制御、つまり揺動量算出(傾斜角算出)に基づく駆動モータ54の駆動制御を、例えばコンマ数秒間隔で行う。
【0061】
さて、走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、その揺動した車両1には、外側方向に慣性モーメントM(図11参照)が生じる。ここで、傾斜角センサ53は車両1に加わる揺動を常時検出しており、車両1が揺動した際には、その揺動量に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号に基づく座席ユニット4の振り子制御を、所定のコンマ数秒間隔で繰り返し行う。
【0062】
この振り子制御として、まずコントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1に加わった揺動の揺動方向(傾斜方向)及び揺動量(傾斜角)を算出する。揺動方向及び揺動量算出後、コントローラ26は算出した揺動方向を基に座席ユニット4の振り子方向を設定するとともに、算出した揺動量を基にその振り子運動の目標位置を設定する。そして、コントローラ26は、振り子運動する座席ユニット4がその目標位置をとるように、位置検出センサ56の検出信号を見ながら駆動モータ54を駆動制御する。
【0063】
ここで、例えば車両1が左転舵して右側外方に慣性モーメントMが働いたとすると、コントローラ26は駆動モータ54を一方向に回転(例えば正転)させ、座席ユニット4を右側外方に振り子運動させる。また、車両1が右転舵した際には、コントローラ26は駆動モータ54を他方向に回転(例えば逆転)させ、座席ユニット4を左側外方に振り子運動させる。コントローラ26は、座席ユニット4を目標位置に位置させた後、算出した揺動量に変化がなければ座席ユニット4の振り子位置をその位置で保持させる。コントローラ26は、算出した揺動量が変わる度に座席ユニット4の振り子位置を変更し、揺動量が「0」となった際には座席ユニット4を中立位置に復帰させる。
【0064】
従って、車両1が揺動した際には、駆動モータ54を駆動源として座席ユニット4が振り子運動するので、車両揺動時に生じる慣性モーメントMが座席ユニット4で吸収されることになり、この慣性モーメントMは座席ユニット4に座する運転者に伝わり難くなる。よって、運転者は車両揺動時において運転姿勢を保持すべく体を支える必要がなく、運転操作の操作性が確保される。
【0065】
また、本例は座席ユニット4の振り子運動を電気的に制御するので、車両1に生じる揺動量(傾斜角)と、座席ユニット4の振り子量(振り子位置)との関係を適宜自由に設定することが可能となる。例えば、車両1が高速で急カーブを曲がって大きく揺動した際に、自然力では無理な振り子位置まで座席ユニット4を振り子運動させることも可能となり、こうすることで揺動時の慣性モーメントMを運転者へ一層伝達し難くすることも可能である。
【0066】
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4),(6)〜(8)の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(9)本例においては、座席ユニット4の振り子運動が電気的に制御されるので、車両1に生じる揺動量(傾斜角)と、座席ユニット4の振り子量(振り子位置)との関係を適宜自由に設定することが可能となる。従って、例えば車両1が大きく揺動した際には座席ユニット4を大きく振り子運動させて、慣性モーメントMの運転者への伝達を低減したり、或いは微量揺動の際には座席ユニット4を振り子運動しない状態にして、必要のないときに座席ユニットを振り子運動させないようにすることもできる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図14に従って説明する。なお、本例は第2実施形態と比較して、電気式の振り子機構44を2軸で振り子運動させる点が異なっており、本例においても異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図14は、車両1の電気構成を示すブロック図である。車両1の床面2aには、座席ユニット4及び支持台5を支持する台座58がサスペンション機構52を介して取り付けられている。従って、走行時において車輪38から車体に伝わる振動は、この台座58に取り付けられたサスペンション機構52によって吸収されることになり、座席ユニット4には車輪38からの振動が伝達され難くなる。
【0069】
支持台5の底面には、車体の上下方向に沿って延びる第2支軸59aが突設され、この第2支軸59aは相対回転可能な状態で台座58に連結されている。従って、上下方向に延びる線(即ち、第2支軸59a)を軸線Lbとした場合、座席ユニット4は第2支軸59aを支点として第2軸線Lb回りに振り子運動可能な状態で車体(台座58)に支持されている。
【0070】
運転席3は、座席ユニット4を第2軸線Lb回りに振り子運動させる際の駆動源となる第2駆動モータ60と、第2駆動モータ60の回転を座席ユニット4に伝達する第2伝達機構61と、座席ユニット4が第2軸線Lb回りに振り子運動した際の振り子位置を検出する第2位置検出センサ62とを備えている。第2駆動モータ60は、例えば直流モータが使用され、駆動回路63を介してコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)を基に駆動回路63を介して第2駆動モータ60を駆動制御する。なお、第2駆動モータ60が駆動手段を構成する。
【0071】
第2伝達機構61は、第2駆動モータ60の回転を、第2軸線Lb回りに座席ユニット4を振り子運動させる方向の回転に変更して第2支軸59aに伝達する機構である。第2位置検出センサ62は、例えばリニアエンコーダやロータリエンコーダ等のセンサが使用され、第2軸線La回りの振り子位置に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、第2位置検出センサ62からの検出信号を基に座席ユニット4の軸心Lb回り方向の振り子位置を認識する。
【0072】
コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4がその揺動量に応じた振り子位置をとるように駆動モータ54及び第2駆動モータ60を駆動制御する。即ち、コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4の軸線La回りの振り子運動と軸線Lb回りの振り子運動の振り子運動方向と、これら振り子運動の目標位置とを設定する。そして、コントローラ26は、位置検出センサ56及び第2位置検出センサ62の検出信号を見ながら、座席ユニット4が軸線La,Lbの各々において目標位置をとるように駆動モータ54及び第2駆動モータ60を駆動制御する。
【0073】
さて、走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、その揺動した車両1には、外側方向に慣性モーメントM(図11参照)が生じる。このとき、コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1に加わった揺動の揺動方向(傾斜方向)及び揺動量(傾斜角)を算出する。揺動方向及び揺動量算出後、コントローラ26は算出した揺動方向を基に、座席ユニット4の軸線La回りの振り子運動方向と、軸線Lb回りの振り子運動方向とを設定し、それぞれの振り子運動における目標位置を設定する。
【0074】
そして、コントローラ26は、座席ユニット4が軸線La回り及び軸線Lb回りの各振り子運動で各々目標位置をとるべく、位置検出センサ56の検出信号を見ながら駆動モータ54を駆動制御し、第2位置検出センサ62の検出信号を見ながら第2駆動モータ60を駆動制御する。例えば、車両1が左転舵して右側外方に慣性モーメントMが働いたとすると、コントローラ26は駆動モータ54及び第2駆動モータ60を一方向に回転(例えば正転)させ、座席ユニット4を軸線La回りにおいては右側外方に振り子運動させ、軸線Lb回りにおいては左側内方に振り子運動させる。
【0075】
一方、車両1が右転舵した際には、コントローラ26は駆動モータ54及び第2駆動モータ60を他方向に回転(逆転)させ、座席ユニット4を軸線La回りにおいては左側外方に振り子運動させ、軸線Lb回りにおいては右側内方に振り子運動させる。なお、本例の座席ユニット4の振り子制御においては2軸で座席ユニット4を振り子運動させるが、その際の各軸の振り子量、つまり軸線La回り及び軸線Lb回りの振り子量は、車両揺動時に生じる慣性モーメントMが運転者に伝わり難くなる振り子量に設定され、これは実験等で求められる値である。
【0076】
従って、車両1が揺動した際には駆動モータ54及び第2駆動モータ60によって座席ユニット4が振り子運動するので、車両1が揺動しても、その際に生じる慣性モーメントMが運転者に伝わり難くなり、運転操作の操作性確保に寄与する。また、本例においては、座席ユニット4の振り子運動が複数軸(本例は軸線La回り及び軸線Lb回りの2軸)で行われるので、座席ユニット4での慣性モーメントMの吸収性が高まり、車両揺動時に外側に振られる力が運転者に一層伝わり難くなることから、運転操作の操作性向上に寄与する。
【0077】
第3実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4),(6)〜(8)の効果と、第2実施形態に記載の(9)の効果とに加え、以下に記載の効果を得ることができる。
【0078】
(10)座席ユニット4の振り子運動が複数軸(本例は軸線La回り及び軸線Lb回りの2軸)で行われるので、座席ユニット4での慣性モーメントMの吸収性が高くなり、車両1に加わる慣性モーメントMを座席ユニット4で一層吸収することができ、車両揺動時において外側に振られる力を運転者に一層伝わり難くすることができる。従って、車両揺動時に運転者が姿勢を崩して運転姿勢を確保する頻度を一層低減でき、運転操作の操作性を向上することができる。
【0079】
なお、実施形態は上記構成に限らず、例えば次の態様に変更してもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、揺動吸収機構は振り子式(即ち、振り子機構44)に限らず、例えば支軸45aを座部6の背もたれの中央部に位置させたり、第2支軸59aを支持台5の下面中央部に位置させたりすることで回転式としてもよい。
【0080】
・ 第1〜第3実施形態において、第1位置調整機構15、第2位置調整機構30及び第3位置調整機構33の機構として空圧シリンダ23を用いた場合、それは3位置切り換えのシリンダでもよい。このシリンダにおいては、空気ポンプ25の空気圧を空圧シリンダ23のボトム側又はヘッド側に切り換えて送ることにより、シリンダが伸縮動作をとる。
【0081】
・ 第1〜第3実施形態において、第1位置調整機構15、第2位置調整機構30及び第3位置調整機構33は、上述した図4の手動式、図5のモータ式、図6のシリンダ式に限らず、各種操作系の位置を調整可能な機構であれば、特に限定されない。
【0082】
・ 第2及び第3実施形態において、車両に加わった揺動量を算出する方法は、車両1に傾斜角センサ53を取り付け、その傾斜角センサ53の検出信号を基に算出する方法に限定されない。例えば、これ以外の一例として、ステアリング13の操舵量からでも車両1に加わった揺動量を見ることが可能であるので、ステアリング13の操舵量を検出するアングルセンサ34の検出信号を基に車両1の揺動量を算出する方法を用いてもよい。この場合、傾斜角センサ53を省略することができ、部品点数を低減できる。
【0083】
・ 第2及び第3実施形態において、座席ユニット4の振り子制御は、位置検出センサ56(62)の検出信号を基に、実際の振り子位置を見ながら駆動モータ54(60)を制御する方式に限定されない。例えば、座席ユニット4の振り子位置を検出する位置検出センサ56(62)を省略(但し、実際のところ座席ユニット4の中立位置を見るセンサは必要)し、算出した揺動量を基にして、駆動モータ54(60)に供給すべき電流量の値及び流す時間を設定し、これらパラメータで駆動モータ54(60)を制御する方法でもよい。
【0084】
・ 第1〜第3実施形態において、加速操作や制動操作は、足で踏み込むペダル式に限らず、例えば座部6のアームレスト8に加速操作用レバーや制動操作用レバーを設けることにより、レバー式としてもよい。この場合、アームレスト8にレバーを1つ設け、それを前方に傾倒すると加速操作、後方に傾倒すると制動操作が行われるようにしてもよい。
【0085】
・ 第1〜第3実施形態において、シフトレバー32は、アームレスト8に取り付けられることに限らず、例えば操作系フレーム7に取り付けてもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、ステアリング13、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32の全てが座席ユニット4として座部6とユニット化されていることに限らず、これら操作系のうち少なくとも1つが座部6とユニット化されていればよい。
【0086】
・ 第1〜第3実施形態において、乗り物が車両1の場合、それは自動車に限らず、産業車両や二輪車等の他の車両でもよい。また、乗り物は車両1に限らず、例えば船舶、飛行機、電車等の他の乗り物でもよい。
【0087】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記速度操作部及び操舵操作部の少なくとも一方を支持するフレーム部と前記座部とを一体化することで前記座部及び前記フレーム部が座席ユニットとしてユニット化され、前記操舵操作部は回転操作式であるとともに前記座部の前方に配置され、前記揺動吸収機構は前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座席ユニットを振り子運動又は回転運動させる。
【0088】
(2)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記揺動吸収機構は、前記振り子運動又は回転運動の一方を行う動作を、複数の軸周りで行う多軸構造である。
(3)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記速度操作部の操作量を検出する速度操作量検出手段と、前記速度操作量検出手段の検出信号を基にしてバイワイヤ方式で速度制御を行う速度制御手段とを備えた。
【0089】
(4)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記操舵操作部の操作量を検出する操舵操作量検出手段と、前記操舵操作量検出手段の検出信号を基にしてバイワイヤ方式で操舵制御を行う操舵制御手段とを備えた。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態における車両の室内を斜め後方から見た斜視図。
【図2】運転席の側面図。
【図3】インストルメントパネル部の周辺を拡大した斜視図。
【図4】ステアリング位置を調整する第1位置調整機構の一例を示す斜視図。
【図5】第1位置調整機構の他の例を示す概略図。
【図6】第1位置調整機構の他の例を示す概略図。
【図7】操作系フレームの先端部分を拡大した斜視図。
【図8】運転席のアームレストを拡大した斜視図。
【図9】車両の電気構成を示すブロック図。
【図10】運転席の正面図。
【図11】運転席が振り子運動した状態を示す運転席の正面図。
【図12】図10のII−II線断面図。
【図13】第2実施形態における車両の電気構成を示すブロック図。
【図14】第3実施形態における車両の電気構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0091】
1…乗り物としての車両、3…運転席、6…座部、13…操舵操作部としてのステアリング、26…制御手段としてのコントローラ、28…速度操作部を構成するアクセルペダル、29…速度操作部を構成するブレーキペダル、32…速度操作部を構成するシフトレバー、45a,59a…支軸、44…揺動吸収機構としての振り子機構、47…ダンパ機構、53…検出手段としての傾斜角センサ、54,60…駆動手段としての駆動モータ、M…慣性モーメント。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物を運転する際に座する運転席に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転席は、運転操作(例えば操舵操作、加速操作、制動操作)の操作性向上や、運転者の運転時における視界性向上を目的として、前後移動可能或いは上下移動可能である。この種の前後移動機構及び上下移動機構を備えた運転席が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の運転席は、運転席に走行操作レバー、アクセルペダル及びブレーキペダル等を一体に設け、これら操作系を位置調整可能とすることで、さらなる操作性及び視認性の向上を図っている。
【特許文献1】特開平10−131235号(第3−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、運転席は車両に固定されているため、例えば走行車両がカーブを曲がる際には、車両の揺動によって運転者には外側方向に慣性モーメントが働く。このため、運転者が外側方向に振られることになり、走行操作レバーや各種ペダルと運転者との間の距離が変わってしまう。車両操舵時において運転姿勢を維持するには、ステアリング強く握って体を支えたり、アームレストで体を支えたりする必要があり、例え操作系を運転席に一体に設けてもこの問題は解消されるものではなく、運転操作時の操作性を向上するためには何らかの対策が必要であった。
【0004】
本発明の目的は、乗り物運転操作の操作性向上を図ることができる運転席を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、乗り物の乗員が座する座部を備えた運転席において、前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座部を振り子運動又は回転運動させる揺動吸収機構を備えたことを要旨とする。
【0006】
この発明によれば、例えば乗り物がカーブ走行して揺動した際、車両には揺動の度合いに応じた慣性モーメントが生じることになるが、この車両揺動時においては揺動吸収機構が振り子運動又は回転運動することから、慣性モーメントが座部全体で吸収される。従って、乗員には外方に振られる力が働き難くなることから、車両が揺動したとしても、運転者は運転姿勢(乗車姿勢)を保持するために、例えばステアリングを強く握って体を支えたり、アームレストに肘を立てて体を支えたりするような動作を行わずに済み、乗り物運転操作の操作性が確保される。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記乗り物の加減速時に操作される速度操作部、及び前記乗り物の走行時に操作される操舵操作部のうち少なくとも一方と、前記座部とを一体に備えたことを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、運転席は速度操作部及び操舵操作部の少なくとも一方と座部とを一体に備えた構造であるので、例えば運転席自体を上下方向又は前後方向に位置調整しても、運転者と操作部(速度操作部や操舵操作部)との間の距離は一定の状態を維持する。よって、このように運転席の位置調整の前後で運転者と操作部との間の距離が変わらなければ、常に同じ距離感で速度操作部や操舵操作部を操作することが可能となり、乗り物運転操作の操作性が確保される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動時に発生する慣性モーメントを基に、前記座部を振り子運動又は回転運動させる機械式の機構であることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、揺動吸収機構が機械式であるので、例えば電気式に比べて、揺動吸収機構を簡単な構造とすることが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動量を検出する検出手段と、前記座部を振り子運動又は回転運動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記駆動手段を駆動して前記座部を振り子運動又は回転運動させる制御手段とを備えた電気式の機構であることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、例えば乗り物がカーブ走行して揺動した際、その揺動量が検出手段によって検出され、検出手段の検出信号を基に制御手段が駆動手段を駆動することにより、揺動吸収機構の振り子運動又は回転運動が行われる。このように、本発明の揺動吸収機構は電気式であるので、車両の揺動量に対する揺動吸収機構の作動量(即ち、振り子量や回転量)を適宜設定することが可能となり、例えば車両が大きく揺動した際には揺動吸収機構を大きな運動量で作動させたり、或いは微量揺動の際には揺動吸収機構を非作動状態にしたりすることが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記乗り物の揺動時において前記座部に加わる慣性モーメントを減衰させるダンパ機構を備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、例えば走行車両が急カーブを曲がって大きく揺動した場合、ダンパ機構が作用することから、揺動吸収機構が急激に作動、つまり早くて大きな振り子運動や回転運動を行わずに済む。ところで、揺動吸収機構が急激に作動すると、運転者の運転目線が大きく変わることになり、乗り物運転操作の操作性に悪影響を及ぼすが、本発明のようにダンパ機構を設ければ、揺動吸収機構の急激な作動が抑制され、乗り物運転操作の操作性確保に寄与する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、乗り物運転操作の操作性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した運転席の第1実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は車両1の室内2を斜め後方から見た斜視図であり、図2は運転席3の側面図である。車両1の室内2には、運転時のコクピットとなる運転席3が配設されている。運転席3は、運転者が座って運転操作を行う座席ユニット4と、その座席ユニット4を相対移動可能に支持する支持台5とを備えている。本例の運転席3は、操作系(例えば、操舵、加速、減速及びシフト位置変更等)と座席部分とが一体化された操作系一体型運転席である。なお、車両1が乗り物に相当する。
【0017】
座席ユニット4は、運転者が座する座部6と、各種操作系を取り付けるための操作系フレーム7と、運転者の肘置き部分となるアームレスト8とを備えている。操作系フレーム7は、運転者が足を載せる足載部9と、各種計器類を有するインストルメントパネル部10と、インストルメントパネル部10を反ドア11側で片持ち支持するアーム部12とを有する。操作系フレーム7は、足載部9の基端(図1では手前側端部)が座部6の下部に固着されることにより、座部6と一体化されている。
【0018】
インストルメントパネル部10は座部6と向き合う位置に配置され、このインストルメントパネル部10には、座部6の対向位置(前方位置)にステアリング13が取り付けられている。ステアリング13は車両1を操舵する際に操作される部材であり、本例においては右に回転すると車両1が右転舵し、左に回転すると車両1が左転舵する回転式である。このように、ステアリング13が座部6の前方に位置していることから、運転者はステアリング13を前方おいて両手で握った状態で操作する。なお、ステアリング13が操舵操作部に相当する。
【0019】
また、アーム部12がインストルメントパネル部10を片持ち支持していることから、インストルメントパネル部10の下方には足を載置するスペース14が形成され、そのスペース14の片側(即ち、ドア11側)が開放状態となる。従って、インストルメントパネル部10の下方にスペース14が存在するため、運転席3の運転スペースが広くとれ、しかもスペース14の片側が開放状態となっていることから、運転者はこの開放部分を介して運転席3の乗り降りを行うことになる。
【0020】
図3は、インストルメントパネル部10の周辺を拡大した斜視図である。運転席3は、インストルメントパネル部10、つまりステアリング13を上下及び前後方向で位置調整する第1位置調整機構15を備えている。第1位置調整機構15の概略を説明すると、例えば図4に示す手動式の機構が挙げられる。これを詳述すると、インストルメントパネル部10とアーム部12との間には、これら両者に対して相対移動可能な状態で介装部材16が取り付けられている。介装部材16には、アーム部12側の壁部に第1ネジ孔16aが貫設され、インストルメントパネル部10側の壁部に第2ネジ孔16bが貫設されている。
【0021】
一方、アーム部12の内壁には、ステアリング13の位置調整方向(本例は上下方向)に沿って延びる第1ガイド溝12aが貫設されている。第1ネジ孔16aには第1ガイド溝12aを貫通した状態で上下調整ノブ17が螺合され、上下調整ノブ17を第1ネジ孔16aに螺着して同ノブ17の鍔部17aと介装部材16の内壁とでアーム部12の内壁をきつく挟み込むと、アーム部12に対する介装部材16(即ち、ステアリング13)の上下位置が固定される。また、上下調整ノブ17の螺着を解除すると、介装部材16(即ち、ステアリング13)が第1ガイド溝12aに沿って上下方向に位置調整可能となる。
【0022】
また、インストルメントパネル部10の前後位置調整についても同様の機構が採用され、インストルメントパネル部10の内壁には、インストルメントパネル部10の位置調整方向(本例は前後方向)に沿って延びる第2ガイド溝10aが貫設されている。そして、前後調整ノブ18を第2ネジ孔16bに螺着し、同ノブ18の鍔部18aと介装部材16の内壁とでインストルメントパネル部10の内壁をきつく挟み込むと、介装部材16(即ち、アーム部12)に対するインストルメントパネル部10(即ち、ステアリング13)の前後位置が固定される。また、前後調整ノブ18の螺着を解除すると、インストルメントパネル部10(即ち、ステアリング13)が第2ガイド溝10aに沿って前後方向に位置調整可能となる。
【0023】
なお、第1位置調整機構15は手動式の機構に限らず、例えば図5に示す電気式の機構でもよい。なお、ここでは上下位置調整の機構のみ説明するが、前後位置調整の機構は上下位置調整のものに比べ移動方向が異なるのみで基本構造は同じであるので、前後位置調整の機構については説明を省略する。介装部材16の内壁には、ボールネジ孔16cが貫設されている。アーム部12にはモータ19を駆動源として回転可能なボールネジ20が取り付けられ、このボールネジ20はボールネジ孔16cに螺合されている。ボールネジ20が回転すると、介装部材16(即ち、ステアリング13)が位置調整方向(本例は上下方向)に沿って移動する。
【0024】
運転席3には上下位置調整用のスイッチ21が配設され、このスイッチ21はスイッチ回路22を介してモータ19に接続されている。従って、スイッチ21が上操作(UP操作)されると、スイッチ回路22が図5の実線で示す接点状態となってモータ19が一方向に回転し、介装部材16(即ち、ステアリング13)が上方移動する。また、スイッチ21が下操作(DOWN操作)されると、スイッチ回路22が図5の破線で示す接点状態となってモータ19が他方向に回転し、介装部材16(即ち、ステアリング13)が下方移動する。
【0025】
また、第1位置調整機構15はモータを用いた機構に限らず、例えば図6に示すシリンダを用いた機構でもよい。なお、ここでも上下位置調整の機構のみ説明するが、前後位置調整の機構も上下位置調整の機構と同様の構造をなしている。アーム部12と介装部材16との間には、介装部材16(即ち、ステアリング13)を移動方向(本例は上下方向)に沿って移動させる空圧シリンダ23が介装されている。空圧シリンダ23はバルブ24を介して空気ポンプ25に接続され、バルブ24のソレノイドがコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、位置調整用のスイッチ21の操作を基にバルブ24を制御する。
【0026】
例えば、スイッチ21が上操作されると、コントローラ26はバルブ24を制御して空気ポンプ25の空気を空圧シリンダ23に送り、空圧シリンダ23を内部のバネ23aに抗して伸長させることで介装部材16(即ち、ステアリング13)を上方移動させる。一方、スイッチ21が下操作されると、コントローラ26はバルブ24を制御して空圧シリンダ23内の空気を抜き、空圧シリンダ23を縮ませることで介装部材16(即ち、ステアリング13)を下方移動させる。なお、スイッチ21は例えばインストルメントパネル部10等に配置されるが、この配置位置は特に限定されない。なお、コントローラ26が制御手段を構成する。
【0027】
図3に示すように、ステアリング13はインストルメントパネル部10に対して着脱可能であり、このようにステアリング13を着脱可能とすることで、異なる種類のステアリング13aをインストルメントパネル部10に取り付けることが可能である。なお、ステアリング13の着脱構造としては、ステアリング13がインストルメントパネル部10に取り付けられた際には同パネル部10に対し係止状態となり、ステアリング近傍に設けた取外ボタン(図示略)が押されると前記係止状態が解除され、ステアリング13が取外可能となる構造が用いられる。
【0028】
図7は、操作系フレーム7(足載部9)の先端部分を拡大した斜視図である。足載部9の先端には、車両1を加減速させる際に操作する加減速操作ユニット27が配設されている。加減速操作ユニット27は、加速操作時に踏み込むアクセルペダル28と、減速操作時(制動操作時)に踏み込むブレーキペダル29とを備えている。アクセルペダル28及びブレーキペダル29は左右方向に並んだ状態で配置され、踏み込みを解除すると初期位置(踏込開始位置)に復帰する。なお、アクセルペダル28及びブレーキペダル29が速度操作部を構成する。
【0029】
運転席3は、加減速操作ユニット27を前後方向で位置調整する第2位置調整機構30を備えている。なお、この第2位置調整機構30は上述した第1位置調整機構15を1軸にのみ移動可能な構造としたものであるため、詳細については省略する。また、第2位置調整機構30は1軸(本例は前後方向)にのみ加減速操作ユニット27を位置調整する構造のものに限らず、上述した第1位置調整機構15と同様に上下方向及び左右方向の両方で位置調整可能な構造としてもよい。
【0030】
図8は、運転席3のアームレスト8を拡大した斜視図である。アームレスト8には、車両1の変速機31(図9参照)を変速させる際に操作するシフトレバー32が配設されている。シフトレバー32は、例えば運転時に位置するドライブ位置、変速機31が2速の際に位置するセカンド位置、変速機が3速の際に位置するサード位置、駐車時に位置するパーキング位置、車両1の後退時に位置するリバース位置等を有する。なお、シフトレバー32が速度操作部を構成する。
【0031】
運転席3は、アームレスト8、つまりシフトレバー32の位置を前後方向及び上下方向で位置調整する第3位置調整機構33を備えている。なお、この第3位置調整機構33も、基本的には上述した第1位置調整機構15と同様の構造であるため、詳細については省略する。また、第3位置調整機構33の上下位置調整の機構は、アームレスト8の基端を支点に回転することでシフトレバー32の上下方向位置を調整する回転式の機構であるが、これは上述した第1位置調整機構の直線移動を回転移動に変えたのみ構造である。
【0032】
図9は、車両1の電気構成を示すブロック図である。本例の車両1は、メカニカル・リンケージの代わりに電気信号を用いて各種操作(本例は操舵操作、加速操作、制動操作、シフト位置変更操作等)を行うバイワイヤ方式を採用している。これを以下に詳述すると、上述したコントローラ26は上述したバルブ24を制御する機能の他に、車両1の各種装置を統括制御する機能を兼ねている。
【0033】
車両1は、ステアリング13の操舵量を検出するアングルセンサ34と、アクセルペダル28の踏込量を検出するアクセル踏込量検出センサ35と、ブレーキペダル29の踏込量を検出するブレーキ踏込量検出センサ36と、シフトレバー32のシフト位置を検出するシフト位置検出センサ37とを備えている。車両1は、同車両1の進行方向を変えるために車輪38を操舵する操舵装置39と、エンジン40を制御するエンジン制御装置41と、車輪38に制動力を付与する制動装置42とを備えている。
【0034】
コントローラ26は、入力回路43aを介してアングルセンサ34から検出信号を入力し、その検出信号を基にステアリング13の操舵量を認識し、車輪38が操舵量に応じた操舵角をとるように操舵装置39を制御する。また、コントローラ26は、入力回路43bを介してアクセル踏込量検出センサ35から検出信号を入力し、その検出信号を基にアクセルペダル28の踏込量を認識し、その踏込量に応じた加速指令をエンジン制御装置41に出力する。エンジン制御装置41は、その加速指令を基にエンジン40を制御する。
【0035】
コントローラ26は、入力回路43cを介してブレーキ踏込量検出センサ36から検出信号を入力し、その検出信号を基にブレーキペダル29の踏込量を認識し、その踏込量に応じた制動力が車輪38に付与されるように制動装置42を制御する。コントローラ26は、入力回路43dを介してシフト位置検出センサ37から検出信号を入力し、その検出信号を基にシフトレバー32の操作位置を認識し、その操作位置に応じたギヤ位置をとるように変速機31を制御する。
【0036】
図10は、運転席3の正面図である。運転席3は、車両1がカーブ走行や悪路走行等で揺動(傾斜)した際に座席ユニット4を振り子運動させる振り子機構44を備えている。これを詳述すると、座部6の後方には、車内の床面2aから上方に延出する支持体45(図1及び図2参照)が形成されている。座部6の背面上部には、前後方向に延びる支軸45aが形成され、座部6はその上部が支軸45aを介して支持体45に相対回転可能な状態で連結されている。従って、前後方向に延びる線(即ち、支軸45a)を軸線Laとした場合、座席ユニット4は支軸45aを支点として軸線La回りに振り子運動可能な状態で車体に支持されている。なお、振り子機構44が揺動吸収機構に相当する。
【0037】
座席ユニット4(座部6)と支持台5との間には、座席ユニット4が振り子運動した際にその移動を案内するレール機構46が配設されている。本例のレール機構46は、座席ユニット4(座部6)の底面において左右方向に沿って凹設されたレール溝46aと、そのレール溝46a内で回転可能な複数(本例は左右2つずつ)の車輪46b,46b,…とを備えている。本例の車輪46bは、支持台5に回転可能な状態で取り付けられている。車両1が揺動すると、座席ユニット4はレール溝46a及び車輪46bに案内され、図10の中立状態から図11に示す状態のように振り子運動する。
【0038】
図12は、図10のII−II線断面図である。運転席3は、車両1が揺動して座席ユニット4が振り子運動する際に、同ユニット4に加わる力(慣性モーメント)を減衰させるダンパ機構47を備えている。これを詳述すると、座席ユニット4の底面中央部には、下方に延びる一対の延出部4aが形成されている。この延出部4aと支持台5の内壁との間には、左右各々2つずつ計4つのダンパ48a〜48dが配設されている。これらダンパ48a〜48dは、同じダンパ力(減衰力)を有するものが使用されている。なお、ダンパ48a〜48dの数は適宜変更可能である。
【0039】
これらダンパ48a〜48dは、中空状のシリンダ49と、そのシリンダ49から先端が露出するとともに同シリンダ49に対してスライド移動可能なロッド50とを備えている。シリンダ49はその基端が支持台5の内面に係止ピン49a回動可能に連結され、ロッド50はその先端が延出部4a(即ち、座席ユニット4)に係止ピン50aを介し回動可能に連結されている。シリンダ49とロッド50との間には、ロッド50を突出する側に常時付勢するバネ51が介装されている。
【0040】
これらダンパ48a〜48dは、図12の紙面から見て左2つのダンパ48a,48bと紙面から見て右2つのダンパ48c,48dとを各々組として見た場合、以下の配置向きをとる。即ち、ダンパ48a,48b(48c,48d)の先端(即ち、ロッド50の先端)同士の間隔が狭く、ダンパ48a,48b(48c,48d)の基端(即ち、シリンダ49の基端)同士の間隔が広くなるように、斜めを向いた状態で配置される。また、同じダンパ力のダンパ48a〜48dが使用されていることから、座席ユニット4は車両1が揺動していない状態において中立位置に位置した状態(図10及び図12の状態)となる。
【0041】
車両1が揺動して座席ユニット4が振り子運動すると、2組のうち一方の組のダンパ(図11はダンパ48a,48b)はロッド50が延出部4aによって押される。このとき、ダンパ48a,48bは係止ピン49aを支点として回動しつつバネ51に抗して縮み、一方でダンパ48c,48dも同じく係止ピン49aを支点として回動するものの延びた状態となる。また、図11の状態から座席ユニット4が元の中立位置側に戻る振り子運動をとると、ダンパ48a,48bは延びる動作をとるとともに、ダンパ48c,48dは縮む動作をとる。このようにダンパ機構47を設ければ、車両1が揺動した際に座席ユニット4が急速な振り子運動をとり難い。
【0042】
図10及び図11に示すように、車体の床面2aと支持台5との間には、走行時に車輪38から車体に伝わる振動を減衰させるサスペンション機構52が配設されている。なお、このサスペンション機構52は、上述したダンパ機構47とほぼ同様の構造をとるものであるため、詳細については省略する。このように車体の床面2aと支持台5との間にサスペンション機構52を設ければ、車両走行時に車輪38から車体に伝わる振動は座席ユニット4に伝わり難くなる。
【0043】
次に、本例の運転席3の作用について説明する。
走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、この揺動によって車両1には外側方向(横方向)に振られる力、つまり慣性モーメントM(図11参照)が生じる。この慣性モーメントMは座席ユニット4に作用し、座席ユニット4はレール機構46に案内された状態で振り子運動を開始する。例えば、車両1が左転舵すると座席ユニット4が右方向に振り子運動を開始し、車両1が右転舵すると座席ユニット4が左方向に振り子運動を開始する。そして、ステアリング13が直線走行操作位置に立て直されて車両1が直線走行に復帰すると、座席ユニット4は中立位置に復帰する。
【0044】
また、座席ユニット4が振り子運動する際には、ダンパ機構47が作用して急激な振り子運動の開始が抑制される。上述したように例えば車両1が左転舵すると、運転席3から見て右側のダンパ48a,48bが縮むとともに、運転席3から見て左側のダンパ48c,48dが伸びた状態となる。従って、車両揺動時に生じる慣性モーメントの一部がダンパ48a,48bの縮みによって吸収されるので、座席ユニット4が急速な振り子運動を開始する状況になり難い。そして、ダンパ48a〜48dは座席ユニット4の振り子位置に応じた伸縮状態をとることになる。
【0045】
従って、車両1が揺動した際には、そのとき生じる慣性モーメントMによって座席ユニット4が振り子運動するが、車両揺動時に生じる慣性モーメントMは、振り子運動する座席ユニット4で吸収され、同モーメントMによる影響は運転者に伝わり難くなる。即ち、座席ユニット4が振り子運動するため、運転者の座部6に対する姿勢位置変化が生じ難い。このため、車両1が揺動した際に、運転者がこの慣性モーメントMに抗して運転姿勢を保持するために、ステアリング13を強く握って体を支えたりアームレスト8に肘を立てて体を支えたりする動作を行わずに済み、運転操作の操作性が確保される。
【0046】
また、振り子運動する座席ユニット4と、それを支持する支持台5との間にダンパ機構47を設けている。従って、座席ユニット4の振り子運動が勢いよく急に開始せずに済むことの他に、振り子運動の振り子速度が高速とならずに済み、運転操作に支障を来さない程度の速度となる。さらに、車両1の揺動が、座席ユニット4を振り子運動させるまでもない微量な程度の場合、その際の慣性モーメントMはダンパ機構47で吸収されるため、座席ユニット4を無駄に振り子運動させずに済む。
【0047】
第1実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)例えば車両1がカーブ走行して揺動した際、車両1には揺動の度合いに応じた慣性モーメントMが働くが、運転席3には振り子機構44が設けられているので、車両揺動時においては振り子機構44が作動して座席ユニット4が振り子運動するため、慣性モーメントMが座席ユニット4で吸収される。従って、運転席3に座した運転者には外方に振られる力が働き難くなり、車両1が揺動しても、運転姿勢を保持するためにステアリング13を強く握ったり、アームレスト8に肘を立てたりして体を支える必要がなくなり、車両運転操作の操作性向上に寄与する。
【0048】
(2)振り子運動する座席ユニット4と、それを支持する支持台5との間にダンパ機構47を設けた。従って、座席ユニット4の振り子運動が勢いよく急に開始せずに済み、また、振り子運動の振り子速度も、運転操作に支障を来さない程度の速度とすることができる。
【0049】
(3)本例においては、座部6と各種操作系(ステアリング13、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32)とを一体化するので、例えば運転席3自体を前後左右で位置調整したとしても運転者と操作系との距離は変わらず、車両運転操作の操作性を確保することができる。また、座部6に操作系フレーム7を取り付け、ステアリング13が運転者の前方に位置するように、ステアリング13をその操作系フレーム7に取り付けた。従って、運転者は前方でステアリング13を両手で握った状態で操作するので、運転操作時の操作姿勢が安定し易くなり、操舵操作の操作性を一層向上することができる。
【0050】
(4)ここで、例えば操作系を車体に取り付けて座部6と操作系とを別々とし、座部6と車体との間にサスペンション機構52が存在する構造を考えてみる。この構造の場合、悪路走行時の際にはサスペンション機構52が働いて、車輪38から伝わる振動は座部6に伝わり難くなるものの、サスペンション機構52が働いた際には、程度にもよるが座部6が上下方向に動くことになる。よって、座部6と操作系とが別々であると、悪路走行時においては運転者と操作系との距離(相対位置)が変化し、車両運転操作の操作性に支障を来す。
【0051】
しかし、座部6と操作系とを一体とした本例の運転席3をサスペンション機構52で振動吸収させるようにすれば、悪路走行時にサスペンション機構52が働いて、運転席3全体が上下方向に動いたとしても、運転者と操作系との距離は一定の状態を維持する。従って、本例の構成においては、悪路走行時にサスペンション機構52が働いて運転席3が上下動する状況となっても、車両運転操作の操作性に支障を来す状況になり難く、このような状況からも座部6と操作系との一体化は効果が高い。
【0052】
(5)本例の振り子機構44は、車両揺動時の自然力を利用して振り子運動する機械式である。従って、例えば振り子機構44が電気式の場合には、電気制御するための各種部品が必要となるが、振り子機構44を機械式とすればこの種の部品が不要となり、振り子機構44を簡単な構造とすることができ、部品点数削減や低コスト化等の効果を得ることができる。
【0053】
(6)本例においては、回転操作式のステアリング13を用い、このステアリング13を座部6の前方に配置したので、運転者は前方にあるステアリング13を両手で握った状態で操作することになる。従って、例えばレバー式の操舵部材を用いた場合には、同レバーを片手で握って操作することになり、操作時の姿勢が安定し難い問題が発生する。しかし、本例の構成を用いれば、前方において両手で握ってステアリング操作することが可能となり、運転操作時(特に操舵操作時)の姿勢が安定し易く、車両運転操作の操作性が確保される。
【0054】
(7)ステアリング13の取付先であるインストルメントパネル部10がアーム部12によって片持ち支持されているので、インストルメントパネル部10の下方には運転者の足を載置するスペース14が形成され、しかも、そのスペース14の片側(本例はドア11側)が開放状態となる。従って、インストルメントパネル部10の下方を足置き場のスペースとしても、運転席3の乗り降りがし易くなる。
【0055】
(8)ステアリング13の位置を調整する第1位置調整機構15を設けたので、運転者の最も好適な位置にステアリング13を配置することができる。また、加減速操作ユニット27の位置を調整する第2位置調整機構30、シフトレバー32の位置を調整する第3位置調整機構33を各々設けたので、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32についても運転者の最も好適な位置に配置することができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図13に従って説明する。なお、本例は第1実施形態と比較して、振り子機構44を電気式とした点が異なっており、他の基本的な構成については同じである。従って、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図13は、車両1の電気構成を示すブロック図である。車両1には、車両1に加わる揺動(傾斜)を検出する傾斜角センサ53が配設されている。傾斜角センサ53は、例えばポテンショメータ式、トルクバランス式、静電容量式等のセンサが使用され、例えば車体の左右方向の一方の端部に配置されている。傾斜角センサ53は検出信号をコントローラ26に出力し、コントローラ26は傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1の揺動量(傾斜角)を算出する。なお、傾斜角センサ53が検出手段に相当する。
【0058】
運転席3は、座席ユニット4を振り子運動させる際の駆動源となる駆動モータ54と、駆動モータ54の回転を座席ユニット4に伝達する伝達機構55と、座席ユニット4が振り子運動した際の振り子位置を検出する位置検出センサ56とを備えている。駆動モータ54は、例えば直流モータが使用され、駆動回路57を介してコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)を基に駆動回路57を介して駆動モータ54を駆動制御する。なお、駆動モータ54が駆動手段を構成する。
【0059】
伝達機構55は、駆動モータ54の回転を、軸線La回りに座席ユニット4を振り子運動させる方向の回転に変更して支軸45aに伝達する機構である。位置検出センサ56は、例えばリニアエンコーダやロータリエンコーダ等のセンサが使用され、振り子位置に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、位置検出センサ56からの検出信号を基に座席ユニット4の振り子位置を認識し、例えば中立位置を基準として右側にどれだけ振り子移動したか、或いは右側にどれだけ振り子移動したかを認識する。
【0060】
コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4がその揺動量に応じた振り子位置(振り子量)をとるように駆動モータ54を駆動制御する。即ち、コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)に応じて決まる振り子位置を目標位置とし、位置検出センサ56の検出信号を見ながら、座席ユニット4が目標位置をとるように駆動モータ54を駆動制御する。コントローラ26は、この座席ユニット4の振り子制御、つまり揺動量算出(傾斜角算出)に基づく駆動モータ54の駆動制御を、例えばコンマ数秒間隔で行う。
【0061】
さて、走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、その揺動した車両1には、外側方向に慣性モーメントM(図11参照)が生じる。ここで、傾斜角センサ53は車両1に加わる揺動を常時検出しており、車両1が揺動した際には、その揺動量に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号に基づく座席ユニット4の振り子制御を、所定のコンマ数秒間隔で繰り返し行う。
【0062】
この振り子制御として、まずコントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1に加わった揺動の揺動方向(傾斜方向)及び揺動量(傾斜角)を算出する。揺動方向及び揺動量算出後、コントローラ26は算出した揺動方向を基に座席ユニット4の振り子方向を設定するとともに、算出した揺動量を基にその振り子運動の目標位置を設定する。そして、コントローラ26は、振り子運動する座席ユニット4がその目標位置をとるように、位置検出センサ56の検出信号を見ながら駆動モータ54を駆動制御する。
【0063】
ここで、例えば車両1が左転舵して右側外方に慣性モーメントMが働いたとすると、コントローラ26は駆動モータ54を一方向に回転(例えば正転)させ、座席ユニット4を右側外方に振り子運動させる。また、車両1が右転舵した際には、コントローラ26は駆動モータ54を他方向に回転(例えば逆転)させ、座席ユニット4を左側外方に振り子運動させる。コントローラ26は、座席ユニット4を目標位置に位置させた後、算出した揺動量に変化がなければ座席ユニット4の振り子位置をその位置で保持させる。コントローラ26は、算出した揺動量が変わる度に座席ユニット4の振り子位置を変更し、揺動量が「0」となった際には座席ユニット4を中立位置に復帰させる。
【0064】
従って、車両1が揺動した際には、駆動モータ54を駆動源として座席ユニット4が振り子運動するので、車両揺動時に生じる慣性モーメントMが座席ユニット4で吸収されることになり、この慣性モーメントMは座席ユニット4に座する運転者に伝わり難くなる。よって、運転者は車両揺動時において運転姿勢を保持すべく体を支える必要がなく、運転操作の操作性が確保される。
【0065】
また、本例は座席ユニット4の振り子運動を電気的に制御するので、車両1に生じる揺動量(傾斜角)と、座席ユニット4の振り子量(振り子位置)との関係を適宜自由に設定することが可能となる。例えば、車両1が高速で急カーブを曲がって大きく揺動した際に、自然力では無理な振り子位置まで座席ユニット4を振り子運動させることも可能となり、こうすることで揺動時の慣性モーメントMを運転者へ一層伝達し難くすることも可能である。
【0066】
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4),(6)〜(8)の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(9)本例においては、座席ユニット4の振り子運動が電気的に制御されるので、車両1に生じる揺動量(傾斜角)と、座席ユニット4の振り子量(振り子位置)との関係を適宜自由に設定することが可能となる。従って、例えば車両1が大きく揺動した際には座席ユニット4を大きく振り子運動させて、慣性モーメントMの運転者への伝達を低減したり、或いは微量揺動の際には座席ユニット4を振り子運動しない状態にして、必要のないときに座席ユニットを振り子運動させないようにすることもできる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図14に従って説明する。なお、本例は第2実施形態と比較して、電気式の振り子機構44を2軸で振り子運動させる点が異なっており、本例においても異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図14は、車両1の電気構成を示すブロック図である。車両1の床面2aには、座席ユニット4及び支持台5を支持する台座58がサスペンション機構52を介して取り付けられている。従って、走行時において車輪38から車体に伝わる振動は、この台座58に取り付けられたサスペンション機構52によって吸収されることになり、座席ユニット4には車輪38からの振動が伝達され難くなる。
【0069】
支持台5の底面には、車体の上下方向に沿って延びる第2支軸59aが突設され、この第2支軸59aは相対回転可能な状態で台座58に連結されている。従って、上下方向に延びる線(即ち、第2支軸59a)を軸線Lbとした場合、座席ユニット4は第2支軸59aを支点として第2軸線Lb回りに振り子運動可能な状態で車体(台座58)に支持されている。
【0070】
運転席3は、座席ユニット4を第2軸線Lb回りに振り子運動させる際の駆動源となる第2駆動モータ60と、第2駆動モータ60の回転を座席ユニット4に伝達する第2伝達機構61と、座席ユニット4が第2軸線Lb回りに振り子運動した際の振り子位置を検出する第2位置検出センサ62とを備えている。第2駆動モータ60は、例えば直流モータが使用され、駆動回路63を介してコントローラ26に接続されている。コントローラ26は、算出した揺動量(傾斜角)を基に駆動回路63を介して第2駆動モータ60を駆動制御する。なお、第2駆動モータ60が駆動手段を構成する。
【0071】
第2伝達機構61は、第2駆動モータ60の回転を、第2軸線Lb回りに座席ユニット4を振り子運動させる方向の回転に変更して第2支軸59aに伝達する機構である。第2位置検出センサ62は、例えばリニアエンコーダやロータリエンコーダ等のセンサが使用され、第2軸線La回りの振り子位置に応じた検出信号をコントローラ26に出力する。コントローラ26は、第2位置検出センサ62からの検出信号を基に座席ユニット4の軸心Lb回り方向の振り子位置を認識する。
【0072】
コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4がその揺動量に応じた振り子位置をとるように駆動モータ54及び第2駆動モータ60を駆動制御する。即ち、コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、座席ユニット4の軸線La回りの振り子運動と軸線Lb回りの振り子運動の振り子運動方向と、これら振り子運動の目標位置とを設定する。そして、コントローラ26は、位置検出センサ56及び第2位置検出センサ62の検出信号を見ながら、座席ユニット4が軸線La,Lbの各々において目標位置をとるように駆動モータ54及び第2駆動モータ60を駆動制御する。
【0073】
さて、走行中の車両1がカーブを曲がるなどして揺動すると、その揺動した車両1には、外側方向に慣性モーメントM(図11参照)が生じる。このとき、コントローラ26は、傾斜角センサ53の検出信号を基に、車両1に加わった揺動の揺動方向(傾斜方向)及び揺動量(傾斜角)を算出する。揺動方向及び揺動量算出後、コントローラ26は算出した揺動方向を基に、座席ユニット4の軸線La回りの振り子運動方向と、軸線Lb回りの振り子運動方向とを設定し、それぞれの振り子運動における目標位置を設定する。
【0074】
そして、コントローラ26は、座席ユニット4が軸線La回り及び軸線Lb回りの各振り子運動で各々目標位置をとるべく、位置検出センサ56の検出信号を見ながら駆動モータ54を駆動制御し、第2位置検出センサ62の検出信号を見ながら第2駆動モータ60を駆動制御する。例えば、車両1が左転舵して右側外方に慣性モーメントMが働いたとすると、コントローラ26は駆動モータ54及び第2駆動モータ60を一方向に回転(例えば正転)させ、座席ユニット4を軸線La回りにおいては右側外方に振り子運動させ、軸線Lb回りにおいては左側内方に振り子運動させる。
【0075】
一方、車両1が右転舵した際には、コントローラ26は駆動モータ54及び第2駆動モータ60を他方向に回転(逆転)させ、座席ユニット4を軸線La回りにおいては左側外方に振り子運動させ、軸線Lb回りにおいては右側内方に振り子運動させる。なお、本例の座席ユニット4の振り子制御においては2軸で座席ユニット4を振り子運動させるが、その際の各軸の振り子量、つまり軸線La回り及び軸線Lb回りの振り子量は、車両揺動時に生じる慣性モーメントMが運転者に伝わり難くなる振り子量に設定され、これは実験等で求められる値である。
【0076】
従って、車両1が揺動した際には駆動モータ54及び第2駆動モータ60によって座席ユニット4が振り子運動するので、車両1が揺動しても、その際に生じる慣性モーメントMが運転者に伝わり難くなり、運転操作の操作性確保に寄与する。また、本例においては、座席ユニット4の振り子運動が複数軸(本例は軸線La回り及び軸線Lb回りの2軸)で行われるので、座席ユニット4での慣性モーメントMの吸収性が高まり、車両揺動時に外側に振られる力が運転者に一層伝わり難くなることから、運転操作の操作性向上に寄与する。
【0077】
第3実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4),(6)〜(8)の効果と、第2実施形態に記載の(9)の効果とに加え、以下に記載の効果を得ることができる。
【0078】
(10)座席ユニット4の振り子運動が複数軸(本例は軸線La回り及び軸線Lb回りの2軸)で行われるので、座席ユニット4での慣性モーメントMの吸収性が高くなり、車両1に加わる慣性モーメントMを座席ユニット4で一層吸収することができ、車両揺動時において外側に振られる力を運転者に一層伝わり難くすることができる。従って、車両揺動時に運転者が姿勢を崩して運転姿勢を確保する頻度を一層低減でき、運転操作の操作性を向上することができる。
【0079】
なお、実施形態は上記構成に限らず、例えば次の態様に変更してもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、揺動吸収機構は振り子式(即ち、振り子機構44)に限らず、例えば支軸45aを座部6の背もたれの中央部に位置させたり、第2支軸59aを支持台5の下面中央部に位置させたりすることで回転式としてもよい。
【0080】
・ 第1〜第3実施形態において、第1位置調整機構15、第2位置調整機構30及び第3位置調整機構33の機構として空圧シリンダ23を用いた場合、それは3位置切り換えのシリンダでもよい。このシリンダにおいては、空気ポンプ25の空気圧を空圧シリンダ23のボトム側又はヘッド側に切り換えて送ることにより、シリンダが伸縮動作をとる。
【0081】
・ 第1〜第3実施形態において、第1位置調整機構15、第2位置調整機構30及び第3位置調整機構33は、上述した図4の手動式、図5のモータ式、図6のシリンダ式に限らず、各種操作系の位置を調整可能な機構であれば、特に限定されない。
【0082】
・ 第2及び第3実施形態において、車両に加わった揺動量を算出する方法は、車両1に傾斜角センサ53を取り付け、その傾斜角センサ53の検出信号を基に算出する方法に限定されない。例えば、これ以外の一例として、ステアリング13の操舵量からでも車両1に加わった揺動量を見ることが可能であるので、ステアリング13の操舵量を検出するアングルセンサ34の検出信号を基に車両1の揺動量を算出する方法を用いてもよい。この場合、傾斜角センサ53を省略することができ、部品点数を低減できる。
【0083】
・ 第2及び第3実施形態において、座席ユニット4の振り子制御は、位置検出センサ56(62)の検出信号を基に、実際の振り子位置を見ながら駆動モータ54(60)を制御する方式に限定されない。例えば、座席ユニット4の振り子位置を検出する位置検出センサ56(62)を省略(但し、実際のところ座席ユニット4の中立位置を見るセンサは必要)し、算出した揺動量を基にして、駆動モータ54(60)に供給すべき電流量の値及び流す時間を設定し、これらパラメータで駆動モータ54(60)を制御する方法でもよい。
【0084】
・ 第1〜第3実施形態において、加速操作や制動操作は、足で踏み込むペダル式に限らず、例えば座部6のアームレスト8に加速操作用レバーや制動操作用レバーを設けることにより、レバー式としてもよい。この場合、アームレスト8にレバーを1つ設け、それを前方に傾倒すると加速操作、後方に傾倒すると制動操作が行われるようにしてもよい。
【0085】
・ 第1〜第3実施形態において、シフトレバー32は、アームレスト8に取り付けられることに限らず、例えば操作系フレーム7に取り付けてもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、ステアリング13、アクセルペダル28、ブレーキペダル29及びシフトレバー32の全てが座席ユニット4として座部6とユニット化されていることに限らず、これら操作系のうち少なくとも1つが座部6とユニット化されていればよい。
【0086】
・ 第1〜第3実施形態において、乗り物が車両1の場合、それは自動車に限らず、産業車両や二輪車等の他の車両でもよい。また、乗り物は車両1に限らず、例えば船舶、飛行機、電車等の他の乗り物でもよい。
【0087】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記速度操作部及び操舵操作部の少なくとも一方を支持するフレーム部と前記座部とを一体化することで前記座部及び前記フレーム部が座席ユニットとしてユニット化され、前記操舵操作部は回転操作式であるとともに前記座部の前方に配置され、前記揺動吸収機構は前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座席ユニットを振り子運動又は回転運動させる。
【0088】
(2)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記揺動吸収機構は、前記振り子運動又は回転運動の一方を行う動作を、複数の軸周りで行う多軸構造である。
(3)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記速度操作部の操作量を検出する速度操作量検出手段と、前記速度操作量検出手段の検出信号を基にしてバイワイヤ方式で速度制御を行う速度制御手段とを備えた。
【0089】
(4)請求項2〜5のいずれかにおいて、前記操舵操作部の操作量を検出する操舵操作量検出手段と、前記操舵操作量検出手段の検出信号を基にしてバイワイヤ方式で操舵制御を行う操舵制御手段とを備えた。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態における車両の室内を斜め後方から見た斜視図。
【図2】運転席の側面図。
【図3】インストルメントパネル部の周辺を拡大した斜視図。
【図4】ステアリング位置を調整する第1位置調整機構の一例を示す斜視図。
【図5】第1位置調整機構の他の例を示す概略図。
【図6】第1位置調整機構の他の例を示す概略図。
【図7】操作系フレームの先端部分を拡大した斜視図。
【図8】運転席のアームレストを拡大した斜視図。
【図9】車両の電気構成を示すブロック図。
【図10】運転席の正面図。
【図11】運転席が振り子運動した状態を示す運転席の正面図。
【図12】図10のII−II線断面図。
【図13】第2実施形態における車両の電気構成を示すブロック図。
【図14】第3実施形態における車両の電気構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0091】
1…乗り物としての車両、3…運転席、6…座部、13…操舵操作部としてのステアリング、26…制御手段としてのコントローラ、28…速度操作部を構成するアクセルペダル、29…速度操作部を構成するブレーキペダル、32…速度操作部を構成するシフトレバー、45a,59a…支軸、44…揺動吸収機構としての振り子機構、47…ダンパ機構、53…検出手段としての傾斜角センサ、54,60…駆動手段としての駆動モータ、M…慣性モーメント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の乗員が座する座部を備えた運転席において、
前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座部を振り子運動又は回転運動させる揺動吸収機構を備えたことを特徴とする運転席。
【請求項2】
前記乗り物の加減速時に操作される速度操作部、及び前記乗り物の走行時に操作される操舵操作部のうち少なくとも一方と、前記座部とを一体に備えたことを特徴とする請求項1に記載の運転席。
【請求項3】
前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動時に発生する慣性モーメントを基に、前記座部を振り子運動又は回転運動させる機械式の機構であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転席。
【請求項4】
前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動量を検出する検出手段と、前記座部を振り子運動又は回転運動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記駆動手段を駆動して前記座部を振り子運動又は回転運動させる制御手段とを備えた電気式の機構であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転席。
【請求項5】
前記乗り物の揺動時において前記座部に加わる慣性モーメントを減衰させるダンパ機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の運転席。
【請求項1】
乗り物の乗員が座する座部を備えた運転席において、
前記乗り物が揺動した際、支軸を支点に前記座部を振り子運動又は回転運動させる揺動吸収機構を備えたことを特徴とする運転席。
【請求項2】
前記乗り物の加減速時に操作される速度操作部、及び前記乗り物の走行時に操作される操舵操作部のうち少なくとも一方と、前記座部とを一体に備えたことを特徴とする請求項1に記載の運転席。
【請求項3】
前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動時に発生する慣性モーメントを基に、前記座部を振り子運動又は回転運動させる機械式の機構であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転席。
【請求項4】
前記揺動吸収機構は、前記乗り物の揺動量を検出する検出手段と、前記座部を振り子運動又は回転運動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記検出手段の検出信号を基に前記駆動手段を駆動して前記座部を振り子運動又は回転運動させる制御手段とを備えた電気式の機構であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転席。
【請求項5】
前記乗り物の揺動時において前記座部に加わる慣性モーメントを減衰させるダンパ機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の運転席。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−199118(P2006−199118A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12049(P2005−12049)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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