説明

運転操作評価装置

【課題】
本発明では、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させた運転操作評価装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る運転操作評価装置では、車両の運転操作に関係する操作データに基づき、前記運転操作の評価を行う運転操作評価装置であって、地図を表示する地図表示手段と、前記車両を運転する運転者の前記操作データに関する時系列グラフを表示する運転者操作表示手段と、当該運転操作評価装置で定める模範的な前記操作データに関する時系列グラフを表示する模範操作表示手段と、を有し、前記地図表示手段により表示される所定の場所に関する地図と、前記運転者操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフと、前記模範操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフとを、一の画面に並列して表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に対し、地図情報と模範的運転操作に関する情報と運転者の運転操作に関する情報とを同時に提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転状態(車両挙動、車両操作)を客観的に診断評価して、この評価結果を運転者に報知する技術が知られている。例えば、特許文献1では、カーブ走行時の挙動を記録し、その時のステアリング操作、ブレーキ操作の時系列データをグラフ表示する技術が公開されている。特許文献2では、危険認知テストにおいて、危険場面とそのときの運転者のテスト結果と指導員のテスト結果を一緒に表示させる技術が公開されている。特許文献3では、ドライビングシミュレーターにおいて、教習者の操作した走行軌跡をマップ形式で作成し、危険運転があった場所を強調表示する技術や、当該危険運転と評価された場所毎にアドバイスを出力する技術が公開されている。
【特許文献1】特開2000−185676号公報
【特許文献2】特開2002−260146号公報
【特許文献3】特開2003−288003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術においては、運転者による運転操作がその運転操作を行う場所や交通環境等によって変化することに起因して、当該運転者が行った操作状態を正確に伝えられないという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明では、上記問題点に鑑み、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させた運転操作評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る運転操作評価装置では、車両の運転操作に関係する操作データに基づき、前記運転操作の評価を行う運転操作評価装置であって、地図を表示する地図表示手段と、前記車両を運転する運転者の前記操作データに関する時系列グラフを表示する運転者操作表示手段と、当該運転操作評価装置で定める模範的な前記操作データに関する時系列グラフを表示する模範操作表示手段と、を有し、前記地図表示手段により表示される所定の場所に関する地図と、前記運転者操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフと、前記模範操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフとを、一の画面に並列して表示することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る運転操作評価装置の一形態では、前記地図表示手段により表示される前記地図上に所定の位置を示す目印と、前記模範操作表示手段により表示される前記時系列グラフ上に前記位置に対応した時点の目印とを表示する目印表示手段を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る運転操作評価装置の一形態では、前記車両の運転操作に関する機器の画像であって、前記時点の前記操作データに対応する前記機器の画像を、前記時系列グラフと並列して、表示する機器画像表示手段を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る運転操作評価装置の一形態では、前記運転者が運転する前記車両の速度に基づいて、前記模範的な運転操作をした場合の操作データを生成する模範操作データ生成手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る運転操作評価装置の一形態では、前記運転者の操作データに基づき、警告音を報知する警告報知手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る運転操作評価装置の一形態では、前記位置に応じた前記運転操作に関する情報を、前記時系列グラフと並列して表示するアドバイス表示手段を有することを特徴とする。
【0011】
従って、本発明では、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させた運転操作評価装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させた運転操作評価装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0014】
(本実施の形態に係る運転操作評価装置の動作原理)
図1を用いて、本実施の形態に係る運転操作評価装置の動作原理を説明する。図1は、本実施の形態に係る運転操作評価装置100の動作原理を説明する図である。なお、本件のメイン実施例は実際の車両に搭載されたとして説明をしているが、その他にドライビングシミュレーターを本件のような構成とすることも可能である。
【0015】
運転操作評価装置100は、車両300の一部を構成し、運転者操作データ記録手段110、運転操作評価手段120、模範操作データ生成手段130、地図表示手段140、運転者操作表示手段150、模範操作表示手段160、目印表示手段170、機器画像表示手段180、警告報知手段190、アドバイス表示手段200、ドライバ現状モデルDB(DataBase)210、運転規範モデルDB220、環境情報認識ECU(Electric Control Unit)400、車両情報認識ECU500、運転支援ECU600を有する。
【0016】
環境情報認識ECU400は、車両300の置かれた環境に関する情報を収集するためのECUであり、本実施の形態では、ナビゲーション装置360を有する。ナビゲーション装置360は、道路等の地図情報を有し、車両300に対して当該地図情報を提供する。車両情報認識ECU500は、車両300の機器に関する情報等、車両300自身に関する情報を収集するためのECUであり、本実施の形態では、舵角センサ351、アクセル開度センサ352、ブレーキ踏み込み度センサ353、前後・左右・上下G(Gravity)センサ354、ウィンカ操作センサ355を有する。
【0017】
舵角センサ351は、車両300が有するステアリングの舵角を検出するためのセンサである。舵角センサ351の検知結果を用いて、一般的には悪い運転操作と評価される、いわゆる急ハンドル等を検知することができる。アクセル開度センサ352は、車両300が有するアクセルペダルを踏み込んだ量(アクセル開度)を検知するためのセンサである。通常走行では、アクセル開度が大きくなるにつれて、車両300が有するエンジンへの燃料供給量が増加し、車両300の加速度は大きくなる。アクセル開度センサ352の検知結果を用いて、一般的には悪い運転操作と評価される、いわゆる急発進や急加速を検知することができる。
【0018】
ブレーキ踏み込み度センサ353は、車両300が有するブレーキペダルを踏み込んだ量(ブレーキ踏み込み度)を検知するためのセンサである。通常走行では、ブレーキ踏み込み度が大きくなるにつれて、車両300の制動力は大きくなる。ブレーキ踏み込み度センサ353の検知結果を用いて、一般的には悪い運転操作と評価される、いわゆる急ブレーキを検知することができる。前後・左右・上下Gセンサ354は、車両300が受ける前後方向、横方向、上下方向の加速度の大きさを検知するためのセンサである。
【0019】
ウィンカ操作センサ355は、車両300が有するウィンカが操作されたことを検知するためのセンサである。車速センサ356は、車両300の走行速度を検知するためのセンサである。運転支援ECU600は、運転者の五感に何らかの刺激を与えることで、運転者の運転操作を支援するためのECUであり、表示装置371、スピーカ372を有する。表示装置371は、画像データを出力する装置である。スピーカ372は、音声データを出力する装置である。
【0020】
また、ドライバ現状モデルDB210は、車両300の運転者が運転操作に関わる機器を操作した操作データを時系列データとしてデータベース化したものである。また、運転規範モデルDB220は、運転操作評価装置100で定める模範的な運転操作をしたと想定した場合に、車両300が有する運転操作に関わる機器の操作データを時系列データとしてデータベース化したものである。
【0021】
運転者操作データ記録手段110は、運転者が車両300の運転操作を行った場合に、当該運転操作に関わる機器の操作データを車両情報認識ECU500の各センサから取得し、ドライバ現状モデルDB210に当該取得した操作データを記録する。
【0022】
具体的には、運転者操作データ記録手段110は、舵角センサ351から取得したステアリングの舵角に関する時系列データ、アクセル開度センサ352から取得したアクセル開度に関する時系列データ、ブレーキ踏み込み度センサ353から取得したブレーキ踏み込み度に関する時系列データ、前後・左右・上下Gセンサ354から取得した車両300の各方向の加速度に関する時系列データ、ウィンカ操作センサ355から取得したウィンカ操作に関する時系列データ、車速センサ356から取得した車両300の走行速度に関する時系列データをドライバ現状モデルDB210に記録する。
【0023】
運転操作評価手段120は、ドライバ現状モデルDB210に記憶される時系列データに基づき、車両300の運転者に関する運転操作の評価を行う。ここで、運転操作評価手段120による運転操作の評価方法は、急ブレーキの回数、急発進の回数、急ハンドルの回数に基づいて行う形態であっても良い。これらの運転操作の回数が多くなると、運転操作の評価は低くなる。
【0024】
また、運転操作評価手段120による運転操作の評価方法は、ドライバ現状モデルDB210に記録される操作データと運転規範モデルDB220に記録される操作データを比較して評価する形態であっても良い。実際の運転操作に関する操作データと模範的な運転操作に関する操作データとの差異に基づき、運転操作の評価をすることができる。
【0025】
また、運転操作評価手段120による運転操作の評価は、1日単位で評価を行っても良く、車両300のエンジンが始動してから停止するまでの期間で評価を行っても良い。また、運転操作評価手段120による運転操作の評価は、交差点やカーブ等を走行した際の操作データに基づいて、当該交差点毎やカーブ毎に評価を行う形態としても良い。つまり、運転操作の評価区間は、交差点毎やカーブ毎に設けても良い。なお、運転操作評価手段120による運転操作の評価区間は、交差点毎やカーブ毎等、予め定められた場所(例えば、交通事故が多い場所)であっても良い。
【0026】
また、運転操作評価手段120は、運転操作の評価区間を決める際に、評価区間の始期をブレーキ踏み込みの開始1秒〜2秒前とし、評価区間の終期を舵角が0°となった1秒〜2秒後とする形態としても良い。
【0027】
運転操作評価手段120は、運転操作の評価を行った場合に、ナビゲーション装置360が表示する地図上へ目印(運転操作評価フラグ)を表示する。例えば、運転操作評価手段120は、良い評価となった地点(交差点、カーブ等)に青い旗の目印を表示し、悪い評価となった地点(交差点、カーブ等)に赤い旗の目印を表示する。
【0028】
そして、運転操作評価手段120により表示された運転操作評価フラグを運転者が選択することで、後述する地図表示手段140、運転者操作表示手段150、模範操作表示手段160により当該評価区間に係る地図や操作データが表示装置371に表示される。上記運転操作評価フラグの選択は、運転操作の安全を担保するために、車両300の停車している場合にのみ行うことができる形態としても良い。
【0029】
模範操作データ生成手段130は、運転操作評価装置100で定める模範的な運転操作に関する各種機器の操作データ(模範操作データ)を生成し、運転規範モデルDB220に記録する。当該模範操作データは、運転者が模範的操作を行った場合の操作データを基に生成する形態であっても良い。具体的には、模範操作データ生成手段130は、交差点又はカーブへの進入速度、交差点又はカーブの曲率半径等道路の形状に関する情報に基づき、当該模範操作データを生成する。
【0030】
模範操作データ生成手段130は、同一の評価区間に対して、異なる複数の走行速度に基づき、複数の模範操作データを生成する形態としても良い。例えば、模範操作データ生成手段130は、走行速度が40km/h未満である場合の操作データと、走行速度が40km〜60km/hである場合の操作データと、走行速度が60km/hより速い場合の操作データとを生成する形態が考えられる。
【0031】
地図表示手段140は、ナビゲーション装置360から取得した地図情報を、表示装置371に表示する。また、地図表示手段140の別形態では、車両300の外部にある地図情報を発信するサーバから地図情報を取得し、表示装置371に表示する形態としても良い。
【0032】
運転者操作表示手段150は、ドライバ現状モデルDB210から取得した車両300の運転者に関する操作データを時系列のグラフとして、表示装置371に表示する。また、運転者操作表示手段150は、複数の機器に関するグラフを重畳的に表示する形態としても良い。運転者操作表示手段150は、例えば、図2で示すように、各機器の操作データを時系列グラフとして表示する。
【0033】
模範操作表示手段160は、運転規範モデルDB220から取得した模範操作データを時系列のグラフとして、表示装置に表示する。また、模範操作表示手段160は、複数の機器に関するグラフを重畳的に表示する形態としても良い。模範操作表示手段160は、例えば、図3で示すように、各機器の模範操作データを時系列グラフとして表示する。図2、3で示すように、運転者による実際の操作データ(図2)と模範操作データ(図3)との間には差異が存在し、当該差異を運転者へ明示的に提示することで運転操作の向上を図ることができる。
【0034】
ここで、模範操作表示手段160は、時系列グラフを表示させる都度、模範操作データ生成手段130に模範操作データを生成させて表示させる形態としても良い。また、模範操作表示手段160は、模範操作データ生成手段130により予め生成された複数の模範操作データパターンの中から、ブレーキペダル踏み込み時の車両速度に応じて一の操作データパターンを選択して、当該模範操作データに係る時系列グラフを表示する形態としても良い。
【0035】
そして、本実施の形態に係る運転操作評価装置100は、地図表示手段140により表示される地図と、運転者操作表示手段150により表示される時系列グラフと、模範操作表示手段160により表示される時系列グラフとを、一つの画面に並列して表示する。
【0036】
運転操作評価装置100は、例えば、図4で示すように、画面左側に地図表示手段140により表示される地図を表示し、画面右側の上方に模範操作表示手段160により表示される時系列グラフを表示し、さらに、画面右側の下方に運転者操作表示手段150により表示される時系列グラフを表示する。
【0037】
こうすることにより、運転者に対し、特定の場所に関する模範的な運転操作と実際の運転操作との差異を明示的に提示することができる。また、これに地図を連動させることで、さらに、特定の場所における運転の振り返りが可能となり、運転者に対する教示効果が画期的に向上する。
【0038】
目印表示手段170は、地図表示手段140により表示される地図上に、自車位置を示す目印(自車マーク)を表示する。例えば、目印表示手段170は、図5で示すように、地図上に自車マークを表示する。
【0039】
また、目印表示手段170は、模範操作表示手段160により表示される時系列データ上に、上記地図上に示された自車位置と対応する時点を示す目印(操作目印)を表示する。例えば、目印表示手段170は、図3で示すように操作目印を表示する。そして、目印表示手段170により表示される2つの目印(自車マーク、操作目印)は、時刻の経過と共に地図上及びグラフ上を移動する。こうすることで、運転操作に関する機器について、特定の場所での適切な操作量を、運転者へ容易に理解させることができる。
【0040】
また、目印表示手段170により表示される目印(自車マーク、操作目印)は、図3、図5に示したようなポインタの形態でも良く、地図上の線や時系列グラフの色が徐々に変化していく形態としても良い。こうすることで、特定の場所における運転の振り返りが可能となり、運転者に対する教示効果を向上させることができる。
【0041】
また、目印表示手段170は、運転者操作表示手段150により表示される時系列データ上にも、地図上に示された自車位置と対応する時点を示す目印を表示しても良い。
【0042】
機器画像表示手段180は、ブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング等の運転操作に関する機器の画像であって、各機器の操作量(操作データ)に応じた画像を表示する。つまり、機器画像表示手段180は、各機器の操作量に応じた動画(例えばブレーキペダルが大きく踏み込まれた様子を示す)を表示する。例えば、機器画像表示手180は、ブレーキペダルが大きく踏み込込まれた際には、ブレーキペダルが大きく踏み込まれた画像を表示装置371に表示する。
【0043】
また、機器画像表示手段180は、目印表示手段170により表示される目印(自車マーク又は操作目印)が示す位置又は時点と連動して、上記機器の画像を表示する。さらに、機器画像表示手段180は、運転者操作表示手段150及び模範操作表示手段160により表示される時系列グラフと並列して上記機器の画像を表示する(図2、3中に示す各機器に関する画像を参照)。こうすることで、模範的な機器の操作量と実際の操作量の差異を、より分かり易く運転者に教示することができる。
【0044】
警告報知手段190は、運転者の操作データに基づき、警告音をスピーカ372から出力する。具体的には、警告報知手段190は、運転者の操作データが一定の閾値を超えた場合に、警告音を出力する。例えば、警告報知手段190は、運転者がステアリングを急に切った場合、急ブレーキ、急発進を行った場合等に、警告音を出力する。警告報知手段190は、操作データに関する機器に合わせて、複数の警告音を使い分けて報知する形態としても良い。例えば、急ハンドル、急ブレーキ、急アクセルで警告音を使い分けることが考えられる。こうすることで、運転者に対し、実際の運転操作に関する問題点を効果的に教示することができる。
【0045】
アドバイス表示手段200は、運転者操作表示手段150及び模範操作表示手段160により表示される時系列グラフと並列して、運転操作に関するアドバイスを表示する。また、アドバイス表示手段200は、目印表示手段170により表示される目印(自車マーク又は操作目印)の移動に伴い、当該目印が示す位置又は時点の運転環境に応じた種々のアドバイスを表示する。こうすることで、運転環境に応じた運転操作に関するアドバイスを適切に提示することができる。
【0046】
ここで、運転操作評価装置100は、運転操作評価手段120による評価が低かった場合に限り、上記各手段が処理を行う形態としても良い。こうすることで、運転操作の評価が低かった場所における運転者の操作状態と模範操作状態とを容易に比較して提示することができ、運転者に対する教示効果をより向上させることができる。
【0047】
以下で、運転操作評価装置100の処理の流れを説明する。はじめに、運転者が通常の運転操作を行っている間の処理について説明する。運転者操作データ記録手段110が、運転者による車両300の運転操作が行われている間、車両情報認識ECU500が有する各センサから操作データを取得し、当該操作データをドライバ現状モデルDB210に記録する。
【0048】
また、上記処理と平行して、運転操作評価手段120が、ドライバ現状モデルDB210に記憶される操作データに基づき、運転操作の評価を行う。そして、運転操作評価手段120が、ナビゲーション装置360が表示する地図上に、運転操作の評価を行った目印(運転操作評価フラグ)を表示する。一方、模範操作データ生成手段130が、交差点やカーブ毎に、模範的運転操作を行った場合の操作データを生成し、運転規範モデルDB220に記録する。
【0049】
ここからは、運転者が、運転操作評価手段120により表示された運転操作評価フラグを選択した後の処理に関して説明する。地図表示手段140が、ナビゲーション装置360から、上記選択された運転操作評価フラグに関する評価区間についての地図情報を取得し、その地図情報を表示装置371に表示する。
【0050】
また、運転者操作表示手段150が、ドライバ現状モデルDB210から、上記選択された運転操作評価フラグに関する評価区間についての運転者の操作データを取得し、その操作データに関する時系列グラフを表示装置371に表示する。さらに、模範操作表示手段160が、運転規範モデルDB220から、上記選択された運転操作評価フラグに関する評価区間についての模範操作データを取得し、この操作データに関する時系列グラフを表示装置371に表示する。
【0051】
ここで、運転操作評価装置100は、地図表示手段140が表示する地図と、運転者操作表示手段150が表示する時系列グラフと、模範操作表示手段160が表示する時系列グラフとを、一の画面に並列して表示する(図4に例示)。
【0052】
また、目印表示手段170が、上記地図上に自車位置を示す目印(自車マーク)と、上記模範的運転操作に関する時系列データ上に当該自車位置に対応する時点の目印(操作目印)を表示する。そして、機器画像表示手段180が、上記時系列グラフと並列して、上記目印(自車マーク又は操作目印)が示す時点の操作データに対応した機器の画像を表示する。つまり、機器画像表示手段180は、各機器の操作量に応じた動画(例えばブレーキペダルが大きく踏み込まれた様子を示す)を表示する。
【0053】
また、警告報知手段190が、上記目印(自車マーク又は操作目印)が示す時点の運転者に関する操作データが一定の閾値を超えた場合に、スピーカ372から警告音を報知する。また、アドバイス表示手段200が、上記時系列グラフと並列して、運転操作に関するアドバイスを表示装置371に表示する。
【0054】
この様な処理をすることによって、本発明に関する運転操作評価装置100は、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させることができる。
【0055】
(本実施の形態に係る運転操作評価装置のハードウェア構成)
図6を用いて、本実施の形態に係る運転操作評価装置のハードウェア構成について説明する。図6は、本実施の形態に係る運転操作評価装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0056】
運転操作評価装置100は、CPU(Central Processing Unit)310、ROM(Read−Only Memory)320、RAM(Ramdom Access Memory)330、HDD(Hard Disk Drive)340、各種センサ350、ナビゲーション装置360、出力装置370を有する。
【0057】
CPU310は、ROM320に記憶されたプログラムを実行する装置で、RAM330に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、運転操作評価装置100の全体を制御する。ROM320は、CPU310が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM330は、CPU310でROM320に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0058】
HDD340は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、本実施の形態に関係するアプリケーションプログラムや機能拡張用のプラグインなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。また、本実施の形態では、HDD340には、ドライバ現状モデルDB210、運転規範モデルDB220が記憶されている。
【0059】
各種センサ350は、車両300の動作に関する情報や車両300が有する運転操作に関わる機器の操作量を時系列データとして取得する装置である。本実施の形態では、各種センサ350として、舵角センサ351、アクセル開度センサ352、ブレーキ踏み込み度センサ353、前後・左右・上下Gセンサ354、ウィンカ操作センサ355、車速センサ356がある。
【0060】
出力装置370は、表示装置371、スピーカ372のように、音声データ又は画像データを運転操作評価装置100の外部に出力する装置である。表示装置371は、ハードキーによるキースイッチとLCD(Liquid Crystal Display)とから構成され、運転操作評価装置100が有する機能をユーザが利用する際や、各種設定を行う際などのユーザインタフェースとして機能する装置である。また、表示装置371には、ナビゲーション装置360により運転者にルート案内をするための地図等の画像データが表示される。また、スピーカ372では、ナビゲーション装置360により運転者にルート案内をするための音声案内に関する音声データが出力される。
【0061】
運転操作評価装置100の各手段は、CPU210が、ROM220又はHDD240に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される。
【0062】
(運転操作評価装置の動作処理(その1))
図7を用いて、本実施の形態に係る運転操作評価装置の動作処理(その1)を説明する。図7は、本実施の形態に係る運転操作評価装置100の処理例(その1)を示すフローチャートである。
【0063】
はじめに運転者の操作データを蓄積し、当該操作データの評価を行う第1のフェーズを説明した後、運転者に対して、地図情報、模範操作データ、及び実際の操作データを同時に提示する第2のフェーズについて説明する。また、模範操作表示手段160により表示される時系列グラフに係る操作データは、当該模範操作表示手段160による表示処理が行われる都度、模範操作データ生成手段130によって生成されるものとする。
【0064】
S1で運転操作評価装置100は処理を開始する。例えば、IGオン時もしくは運転者による開始処理(ナビ画面上に開始スイッチが備えられている等)が行われた場合に、運転操作評価装置100は処理を開始する。
【0065】
S2で運転操作データ記録手段110が、車両情報認識ECU500を構成する各センサから運転者の操作データを取得し、当該操作データをドライバ現状モデルDB210に記録する。
【0066】
S3で運転操作評価手段120が、ドライバ現状モデルDB210に記憶されている運転者の操作データに基づき、運転操作の評価を行う。そして、運転操作評価手段120は、当該評価を行う毎に、ナビゲーション装置360が表示する地図上に、当該評価に対応する目印(運転操作評価フラグ)を表示する。ここで、運転者が、ナビゲーション装置360が表示する地図上にある上記評価に対応する運転操作評価フラグを選択したものとする。
【0067】
S4で地図表示手段140と運転者操作表示手段150と模範操作表示手段160とが、運転者が選択した上記運転操作評価フラグに対応する評価区間に関する情報を取得する。
【0068】
S5で模範データ生成手段130が、上記評価区間において模範的な運転操作を行った場合の操作データ(模範操作データ)を生成し、運転規範モデルDB220に記録する。
【0069】
S6で地図表示手段140が、ナビゲーション装置360から上記評価区間に対応する地図情報を取得し、図4における地図画面の位置に、当該地図情報に関する地図を表示する。
【0070】
またS6で模範操作表示手段160が、運転規範モデルDB220から上記評価区間に対応する模範操作データを取得し、図4における模範操作データ画面の位置に、当該模範操作データを時系列グラフで表示する。
【0071】
またS6で運転者操作表示手段150が、ドライバ現状モデルDB210から上記評価期間に対応する運転者の操作データを取得し、図4における運転者操作データ画面の位置に、当該運転者の操作データを時系列グラフで表示する。
【0072】
S6で表示される上記地図、模範操作を示す時系列グラフ及び運転者の操作を示す時系列グラフは、上記の通り、同一画面に並列して表示される。
【0073】
S7で目印表示手段170が、地図表示手段140により表示された地図上に、図5に示すような自車マークを表示する。また、目印表示手段170が、模範操作表示手段160により表示された時系列グラフ上に、上記自車マークが示す位置に対応した時点の操作目印を表示する。また、目印表示手段170は、上記自車マーク及び操作目印を、評価区間の開始時点から終了時点に向かって移動するように表示する。
【0074】
またS7で機器画面表示手段180が、図4における模範操作データ画面及び運転者操作データ画面に、運転操作に関する機器(ブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング等)に関する画像であって、上記自車マーク又は操作目印が示す時点の操作データ(各機器の操作量)に応じた画像を表示する。つまり、機器画像表示手段180は、各機器の操作量に応じた動画(例えばブレーキペダルが大きく踏み込まれた様子を示す)を表示する。
【0075】
またS7で警告報知手段190が、上記自車マーク又は操作目印が示す時点の運転者の操作データ(各機器の操作量)が一定の閾値を超えた場合に、スピーカ372から警告音を報知する。
【0076】
またS7でアドバイス表示手段200が、上記自車マーク又は操作目印が示す時点に応じて、図4の地図画面、模範操作データ画面、運転者操作データ画面と並列に、運転操作のアドバイス情報を表示する。
【0077】
S8で運転操作評価装置100が処理終了の命令を受信した場合(S8でYesの場合)、S9で運転操作評価装置100は処理を終了する。
【0078】
S8で運転操作評価装置100が処理終了の命令を受信しない場合(S8でNoの場合)、S2で運転操作評価装置100は待機する。
【0079】
なお、本件のメイン実施例は実際の車両に搭載されたとして説明をしているが、その他にドライビングシミュレーターを本件のような構成とすることも可能である。
【0080】
(運転操作評価装置の動作処理(その2))
図8を用いて、本実施の形態に係る運転操作評価装置の動作処理(その2)を説明する。図8は、本実施の形態に係る運転操作評価装置100の処理例(その2)を示すフローチャートである。
【0081】
はじめに運転者の操作データを蓄積し、当該操作データの評価を行う第1のフェーズを説明した後、運転者に対して、地図情報、模範操作データ、及び実際の操作データを同時に提示する第2のフェーズについて説明する。また、上記処理例(その1)と異なる点は、模範操作データ生成手段130により予め複数の操作データを生成しデータベースに記憶させておいて、模範操作表示手段160による表示処理が行われる際には、当該データベースから適当な操作データを選択して表示する処理が行われる点である。
【0082】
S11で運転操作評価装置100は処理を開始する。例えば、IGオン時もしくは運転者による開始処理(ナビ画面上に開始スイッチが備えられている等)が行われた場合に、運転操作評価装置100は処理を開始する。
【0083】
S12で運転操作データ記録手段110が、車両情報認識ECU500を構成する各センサから運転者の操作データを取得し、当該操作データをドライバ現状モデルDB210に記録する。
【0084】
S13で運転操作評価手段120が、ドライバ現状モデルDB210に記憶されている運転者の操作データに基づき、運転操作の評価を行う。そして、運転操作評価手段120は、当該評価を行う毎に、ナビゲーション装置360が表示する地図上に、当該評価に対応する目印(運転操作評価フラグ)を表示する。
【0085】
S14で模範データ生成手段130が、上記運転操作評価フラグに対応する交差点又はカーブについて、模範的な運転操作を行った場合の操作データ(模範操作データ)を生成し、運転規範モデルDB220に記録する。ここで、模範データ生成手段130は、ブレーキ踏み込み時の車速に応じて、複数の模範操作データのパターンを生成する。ここで、運転者が、ナビゲーション装置360が表示する地図上にある上記評価に対応する運転操作評価フラグを選択したものとする。
【0086】
S15で地図表示手段140と運転者操作表示手段150と模範操作表示手段160とが、運転者が選択した上記運転操作評価フラグに対応する評価区間に関する情報を取得する。
【0087】
S16で地図表示手段140が、ナビゲーション装置360から上記評価区間に対応する地図情報を取得し、図4における地図画面の位置に、当該地図情報に関する地図を表示する。
【0088】
またS16で模範操作表示手段160が、運転規範モデルDB220から上記評価区間に対応し、かつ、ブレーキ踏み込み時の車速に応じた模範操作データを取得し、図4における模範操作データ画面の位置に、当該模範操作データを時系列グラフで表示する。
【0089】
またS16で運転者操作表示手段150が、ドライバ現状モデルDB210から上記評価期間に対応する運転者の操作データを取得し、図4における運転者操作データ画面の位置に、当該運転者の操作データを時系列グラフで表示する。
【0090】
S16で表示される上記地図及び時系列グラフは、上記の通り、同一画面に並列して表示される。
【0091】
S17で目印表示手段170が、地図表示手段140により表示された地図上に、図5に示すような自車マークを表示する。また、目印表示手段170が、模範操作表示手段160により表示された時系列グラフ上に、上記自車マークが示す位置に対応した時点の操作目印を表示する。また、目印表示手段170は、上記自車マーク及び操作目印を、評価区間の開始時点から終了時点に向かって移動するように表示する。
【0092】
またS17で機器画面表示手段180が、図4における模範操作データ画面及び運転者操作データ画面に、運転操作に関する機器(ブレーキペダル、アクセルペダル、ステアリング等)に関する画像であって、上記自車マーク又は操作目印が示す時点の操作データ(各機器の操作量)に応じた画像を表示する。つまり、機器画像表示手段180は、各機器の操作量に応じた動画(例えばブレーキペダルが大きく踏み込まれた様子を示す)を表示する。
【0093】
またS17で警告報知手段190が、上記自車マーク又は操作目印が示す時点の運転者の操作データ(各機器の操作量)が一定の閾値を超えた場合に、スピーカ372から警告音を報知する。
【0094】
またS17でアドバイス表示手段200が、上記自車マーク又は操作目印が示す時点に応じて、図4の地図画面、模範操作データ画面、運転者操作データ画面と並列に、運転操作のアドバイス情報を表示する。
【0095】
S18で運転操作評価装置100が処理終了の命令を受信した場合(S18でYesの場合)、S19で運転操作評価装置100は処理を終了する。
【0096】
S18で運転操作評価装置100が処理終了の命令を受信しない場合(S18でNoの場合)、S12で運転操作評価装置100は待機する。
【0097】
なお、本件のメイン実施例は実際の車両に搭載されたとして説明をしているが、その他にドライビングシミュレーターを本件のような構成とすることも可能である。
【0098】
(総括)
上記のように、本発明に係る運転操作評価装置100は、地図と模範的運転操作と運転者の運転操作とを並列して提示することにより、各地点での運転の振り返りを可能とし、運転者に対する教示効果を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態に係る運転操作評価装置の動作原理を説明する図である。
【図2】本実施の形態に係る運転者操作データの表示例を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る模範操作データの表示例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る地図と2つの操作データとが1つの画面上に同時に表示される例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る地図における自車位置を示す目印の一例を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る運転操作評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る運転操作評価装置の処理例(その1)を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態に係る運転操作評価装置の処理例(その2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
100 運転操作評価装置
110 運転者操作データ記録手段
120 運転操作評価手段
130 模範操作データ生成手段
140 地図表示手段
150 運転者操作表示手段
160 模範操作表示手段
170 目印表示手段
180 機器画像表示手段
190 警告報知手段
200 アドバイス表示手段
210 ドライバ現状モデルDB
220 運転規範モデルDB
310 CPU
320 ROM
330 RAM
340 HDD
350 各種センサ
351 舵角センサ
352 アクセル開度センサ
353 ブレーキ踏み込み度センサ
354 前後・左右・上下Gセンサ
355 ウィンカ操作センサ
356 車速センサ
360 ナビゲーション装置
370 出力装置
371 表示装置
372 スピーカ
400 環境情報認識ECU
500 車両情報認識ECU
600 運転支援ECU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転操作に関する操作データに基づき、前記運転操作の評価を行う運転操作評価装置であって、
地図を表示する地図表示手段と、
前記車両を運転する運転者の前記操作データに関する時系列グラフを表示する運転者操作表示手段と、
当該運転操作評価装置で定める模範的な前記操作データに関する時系列グラフを表示する模範操作表示手段と、を有し、
前記地図表示手段により表示される所定の場所に関する地図と、前記運転者操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフと、前記模範操作表示手段により表示される前記場所に対応する前記時系列グラフとを、一の画面に並列して表示することを特徴とする運転操作評価装置。
【請求項2】
前記地図表示手段により表示される前記地図上に所定の位置を示す目印と、前記模範操作表示手段により表示される前記時系列グラフ上に前記位置に対応した時点の目印とを表示する目印表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の運転操作評価装置。
【請求項3】
前記車両の運転操作に関する機器の画像であって、前記時点の前記操作データに対応する前記機器の画像を、前記時系列グラフと並列して、表示する機器画像表示手段を有することを特徴とする請求項2に記載の運転操作評価装置。
【請求項4】
前記車両の速度に基づいて、前記模範的な運転操作をした場合の操作データを生成する模範操作データ生成手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の運転操作評価装置。
【請求項5】
前記運転者の操作データに基づき、警告音を報知する警告報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の運転操作評価装置。
【請求項6】
前記位置に応じた前記運転操作に関する情報を、前記時系列グラフと並列して表示するアドバイス表示手段を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一に記載の運転評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−294250(P2009−294250A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144908(P2008−144908)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】