説明

運転支援装置

【課題】切り返しを行わずに最初から駐車枠に平行に駐車を行うことをより容易にできるようにする運転支援装置を提供する。
【解決手段】車載カメラによって撮像された車両後方画像から検出した車幅方向の駐車区画線をもとに、自車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定し、駐車枠に自車両が駐車を完了する前において、ステアリングセンサで検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、且つ、駐車支援ECUでの駐車傾き判定処理で自車両が当該駐車区画線に対して略平行になったタイミングを判定した場合に、表示器に切り戻し案内表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの運転操作を補助する運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両後方の画像を車内のディスプレイに表示し、この画像にステアリングの舵角の状態により変化する予想進路を重畳して表示することによって、駐車時の運転操作を補助する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ステアリングの舵角に応じた予想進路を示す進路予測曲線(予想進路線)と車体の両側を延長したガイドライン(車幅延長線)とを後方映像に重畳して表示する技術が開示されている。
【0004】
なお、後方駐車時における予想進路線および車幅延長線の利用の仕方としては、まず、予想進路線が後方映像中の駐車枠に入るようステアリングを切った後、そのステアリングの角度を固定したまま後退する。続いて、車幅延長線が駐車枠のうちの車幅方向の駐車区画線に平行となるタイミングを運転者自身がディスプレイを見て判断する。そして、車幅延長線が当該駐車区画線に平行となったところでステアリングの正位置への切り戻し操作を行い、駐車枠に対して真っ直ぐ後退して車体を駐車枠に入れる。
【0005】
また、特許文献2には、駐車枠の車幅方向の白線に対する駐車完了後の車両の傾き角度を計算し、駐車枠のアイコンに対して車両のアイコンを上記計算で得られた傾き角度をもって合成表示する技術が開示されている。なお、特許文献2には、車両のシフトポジションが前進位置になったときに上記傾き角度が所定角度以上であればブザー音を鳴らすとともに、車両が前進して上記傾き角度が小さくなるにつれてブザー音の周波数を変えることによって、運転者に車両の傾きの解消度合いを知らせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−6097号公報
【特許文献2】特開2006−88827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、歪んだ広角画像であることが一般的な後方映像をもとに、運転者自身が目視で車幅方向の駐車区画線と車幅延長線とが平行になったことを判断するため、誤差が生じやすく安定した駐車動作を行うことができないという問題点を有していた。なお、後方駐車時の運転操作においては、左右ミラー、後方および周辺の目視確認など、常に注意を周辺に配らなければならず、ディスプレイを注視する余裕がない。よって、特許文献1に開示の技術を利用して駐車枠に平行に駐車するのは、運転操作に不慣れな運転者にとって特に困難である。
【0008】
なお、車幅方向の駐車区角線に対して車体が傾いた駐車は、ステアリングの切り戻しのタイミングが適切でないことによって起きることが多い。従って、車幅方向の駐車区画線に平行に駐車するためには、ステアリングの切り戻しを適切なタイミングで行うことが重要となる。
【0009】
ここで、特許文献2に開示の技術は、一旦傾いて駐車してしまった車体の向きを修正するためのものであり、駐車完了後の車両と車幅方向の駐車区画線との角度関係を報知するだけのものである。よって、特許文献2に開示の技術では、駐車枠に入れる前に、車幅方向の駐車区画線に平行に駐車するのに適切なステアリングの切り戻しのタイミングを知ることは困難である。従って、特許文献2に開示の技術は、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車できるようにすることが困難であるという問題点を有していた。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車を行うことをより容易にできるようにする運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の運転支援装置によれば、車載カメラによって撮像された進行方向画像から検出した駐車区画線をもとに、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定することになる。よって、目視によらずに、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを装置によって判定することができ、誤差が生じにくい安定した駐車動作を運転者がより容易に行うことが可能になる。
【0012】
また、以上の構成によれば、ステアリング角度検出部で検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、且つ、駐車傾き判定部で車両が当該駐車区画線に対して略平行になったタイミングを判定した場合に、車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを示す報知(以下、切り戻し案内と呼ぶ)を行うので、ステアリングの切り戻しが必要な場合に限り、車両が当該駐車区画線に対して略平行になったタイミングで切り戻し案内を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、必要に応じてステアリングの切り戻しを適切なタイミングで運転者に行わせることが可能になる。
【0013】
さらに、以上の構成によれば、駐車枠に車両が駐車を完了する前に切り戻し案内を行うことができるので、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車を行うことを可能にすることができる。その結果、以上の構成によれば、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車を行うことをより容易に行わせることが可能になる。
【0014】
また、請求項2の構成によれば、進行方向画像から検出した駐車区画線と、平行線算出部で求めた車両の前後方向に略平行な直線とをもとに、車両の当該駐車区画線に対する傾きの度合いを算出し、算出した傾きの度合いが規定値の範囲内に達したときを、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングとして判定することになる。よって、目視によらずに、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを画像処理で得られたデータを用いて装置によって判定することができ、誤差が生じにくい安定した駐車動作を運転者がより容易に行うことができる。
【0015】
さらに、以上の構成によれば、算出した傾きの度合いが規定値の範囲内に達したときを、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングとして判定するので、車両が駐車区画線に対して平行になる直前に切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0016】
また、請求項3のように、平行線算出部は、車両の前後方向に略平行な直線として、車両の車体の側面に平行な線を求める態様としてもよい。
【0017】
また、請求項4のように、平行線算出部は、車両の前後方向に略平行な直線として、車両の車幅の路面上での延長線を示す車幅延長線を求める態様としてもよい。
【0018】
なお、ステアリングの操作速度がより速い場合には、切り戻し案内を行うタイミングを早めにしなければ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに報知を行うことが困難である。
【0019】
これに対して、請求項5の構成によれば、ステアリング操作速度検出部で検出したステアリングの操作速度が速くなるほど規定値の範囲を広く設定するので、ステアリングの操作速度が速くなるほど切り戻し案内のタイミングを早くすることができ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0020】
なお、車両の速度がより速い場合には、切り戻し案内を行うタイミングを早めにしなければ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが困難である。
【0021】
これに対して、請求項6の構成によれば、車速検出部で検出した車両の速度が速くなるほど規定値の範囲を広く設定するので、車両の速度が速くなるほど切り戻し案内のタイミングを早くすることができ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0022】
なお、車両の運転者ごとのステアリングの操作速度のばらつきなど、車両の運転者ごとに運転操作の傾向が異なるため、切り戻し案内を行うタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に合わせなければ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが困難である。
【0023】
これに対して、請求項7の構成によれば、個人情報取得部で取得した車両の運転者についての運転操作の傾向の情報に応じて規定値の範囲を設定するので、切り戻し案内のタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に応じたタイミングにすることができ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0024】
また、請求項8の構成によれば、学習部での車両の運転者についての運転操作の傾向の学習結果に応じて規定値の範囲を設定するので、切り戻し案内のタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に応じたタイミングにすることができ、車両が駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0025】
また、請求項9の構成によれば、駐車傾き判定部で算出した車両の駐車区画線に対する傾きの度合いが規定値の範囲内に達した後に、切り戻し操作が行われず、規定値の範囲内を超えたときは、直ちに報知を止めて、再度駐車の操作が行われるようにすることができる。
【0026】
また、請求項10の構成のように、ステアリング角度検出部で検出したステアリング角度が所定値よりも小さい値で駐車を開始するときは、切り戻し案内を必要としないと判断し、駐車区画線の傾きが規定値の範囲内達した場合であっても、切り戻し案内の表示を行わない態様としてもよい。
【0027】
また、請求項11の構成によれば、駐車区画線検出部は、検出を行う範囲を進行方向画像のうちの一部に限定しているので、進行方向画像の全面に亘って駐車区画線の検索を行って駐車区画線を検出しなくてもよくなる。よって、以上の構成によれば、駐車区画線の検出の処理の時間を短縮することが可能になる。
【0028】
また、請求項12の構成によれば、記憶部に記憶されている過去に駐車区画線検出部が検出した駐車区画線のデータを用いることによって、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定するので、駐車傾き判定部での判定を行うために常に進行方向画像から駐車区画線を検出する必要がなくなる。さらに、進行方向画像そのものを扱うわけでなく駐車区画線のデータを扱うので、駐車傾き判定部での処理に用いるデータ量を抑えることができる。従って、以上の構成によれば、運転支援装置における処理時間をより短縮することが可能になる。
【0029】
なお、この場合には、請求項13のように、駐車傾き判定部が、挙動情報取得部で取得した車両の挙動に関する情報と記憶部に記憶されている駐車区画線のデータとをもとに、車両の挙動に合わせた駐車区画線に変換するとともに、変換によって得られた駐車区画線のデータを用いることによって、車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定する態様としてもよい。
【0030】
また、請求項14のように、表示、音声出力、および前記車両のステアリングの振動のうちの少なくともいずれかによって報知を行う態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】駐車支援装置100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】後方駐車時に表示される画面を説明する図である。
【図3】車載カメラ1で撮像された生画像を仮に表示器5の表示画面全体に示すとした場合の図である。
【図4】走行予想軌跡および舵角線の表示の態様を示すための模式図である。
【図5】(a)は車両平行線の一例を示すための模式図であり、(b)は駐車傾き角度の算出について説明するための模式図である。
【図6】(a)および(b)は車両平行線の一例を示すための模式図である。
【図7】駐車支援装置100での動作フローを示すフローチャートである。
【図8】駐車支援装置100aの概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された駐車支援装置100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す駐車支援装置100は、車両に搭載されるものであり、車載カメラ1、メモリ2、ステアリングセンサ3、車輪速センサ4、表示器5、音声出力装置6、振動装置7、支援開始スイッチ8、およびこれらと接続された駐車支援ECU9を備えている。また、車載カメラ1、メモリ2、ステアリングセンサ3、車輪速センサ4、表示器5、音声出力装置6、振動装置7、および支援開始スイッチ8と駐車支援ECU9とは、例えばCAN(Controller AreaNetwork)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されている。なお、駐車支援装置100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。また、駐車支援装置100が請求項の運転支援装置に相当する。
【0033】
車載カメラ1は、自車両の後部バンパーよりも上方に設置され、自車両後方に所定角範囲で広がる領域を撮像するものである。また、車載カメラ1は、光軸が車体後部の路面を向くように設置される。例えば車載カメラ1としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。また、車載カメラ1が撮像した自車両後方周辺の画像情報は、駐車支援ECU9に供給される。なお、以下、車載カメラ1によって撮像された画像を車両後方画像という。よって、車両後方画像が請求項の進行方向画像に相当する。
【0034】
メモリ2は、例えばRAM等を有し、駐車支援ECU9が車載カメラ1から受け取った画像データを保存する。メモリ2は、車載カメラ1によって撮影された過去の車両後方画像に関する画像データを車両後方画像上の位置情報と対応付けて履歴データとして記憶するとともに、予め自車両の後部画像を記憶している。自車両の後部画像は、車両後方画像に対して正確な位置関係となるように描画された画像である。メモリ2に予め記憶されている自車両の後部画像は、自車両の後部バンパー等を含む画像であり、ここでは一例として、車両上方の所定位置に設定された所定の視点から見たときの予めコンピュータグラフィックスによって作成された画像(以下、車両のCGともいう)を用いる。
【0035】
ステアリングセンサ3は、例えばメカニカルな複数のギヤを備え、各ギヤの回転数に基づいて自車両の図示しないステアリングの操舵角(つまり、ステアリング角度)や操作速度を検出する。よって、ステアリングセンサ3が請求項のステアリング角度検出部およびステアリング操作速度検出部に相当する。
なお、ステアリング角度の検出に関しては、赤外線やレーザを利用して検出することとしてもよい。
【0036】
車輪速センサ4は、自車両の車輪の回転速度を検出することによって自車両の速度を検出するセンサである。よって、車輪速センサ4が請求項の車速検出部に相当する。なお、本実施形態では、自車両の速度の検出に車輪速センサ4を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両の速度を検出する車速センサを車輪速センサ4の代わりに用いる構成としてもよい。
【0037】
表示器5は、車室内に設けられており、車載カメラ1によって撮像された車両後方画像を表示する。また、表示器5は、駐車支援ECU9の指示に従って、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを報知するためのテキストや画像(以下、切り戻し案内表示)を表示する。例えば表示器5は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。
【0038】
また、表示器5は、自車両のトランスミッションのシフト位置がリバースポジションであるときに車両後方の画像が表示画面に映し出されるものである。表示器5の表示画面は、例えば、車載カメラ1によって撮像される現在の車両後方画像がその画像の歪みを補正されることなく表示される後方画像表示領域20(図2参照)と、後方画像表示領域に隣接し履歴データを用いて作成される画像が表示される履歴表示領域30(図2参照)と、を含んで構成されるものとする。なお、表示器5としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられたディスプレイを利用する構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置のディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0039】
音声出力装置6は、スピーカ等から構成され、駐車支援ECU9の指示に従って、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを報知するための音声案内(以下、切り戻し音声案内)を出力する。なお、音声出力装置6としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられた音声出力装置を利用することができる。
【0040】
振動装置7は、振動を発生させる周知の振動子から構成されている。また、上記振動子はステアリングホイール上に設けられている。そして、振動装置7は、上記振動子を振動させることによって、ステアリングホイールを握った運転者に皮膚感覚を生じさせる刺激を発生させる。また、振動装置7は、駐車支援ECU9の指示に従って、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを報知するための振動(以下、切り戻し案内振動)を発生させる。
【0041】
なお、ここでは、上記振動子をステアリングホイール上に設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。上記振動子は、ステアリングホイールを握った運転者に皮膚感覚を生じさせる刺激を発生させることが可能な位置であれば、ステアリングホイール上以外の位置に設けてもよく、例えば、ステアリングホイール内部に設ける構成としてもよい。
【0042】
支援開始スイッチ8は、自車両の乗員が駐車支援制御の開始を指示するために操作するスイッチであり、この支援開始スイッチ4のオンオフ操作により、駐車支援ECU9は駐車支援制御を開始・停止する。なお、例えばハザードスイッチやリバース信号などを支援開始スイッチ8とする構成としてもよい。
【0043】
駐車支援ECU9は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコン)を主体として構成され、車載カメラ1、メモリ2、ステアリングセンサ3、車輪速センサ4、支援開始スイッチ8から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、駐車支援制御などの各種の処理を実行する。また、駐車支援ECU9には、ステアリングセンサ3や車輪速センサ4以外の各種センサからのセンサ信号も入力される構成としてもよい。例えば、ヨーレートセンサからのセンサ信号、シフトポジションセンサからのセンサ信号等が入力される構成としてもよい。なお、駐車支援ECU9は、表示器5に表示する画像を描画する描画回路と、車載カメラ1からのアナログ信号をデジタル信号に変換した画像信号として描画回路に送るNTSCデコーダとを含んでいる。
【0044】
駐車支援ECU9のマイコンは、各種センサからの信号、メモリ2や描画回路からの信号等を受信して所定の演算を実行し、その演算結果に基づく画像データを描画回路に出力する。また、NTSCデコーダは、画像信号をメモリ2に送って画像情報として保存させる。さらに、描画回路は、描画した画像を表示器5に出力する描画手段として機能する。
【0045】
描画回路は、車載カメラ1によって撮像された車両後方の生画像を後方画像表示領域20に配置するように出力し、さらに履歴データから抽出された自車両後方周辺の駐車区画線とCGの車両画像とを前述の所定の視点からみるように履歴表示領域30に重畳して描画して表示器5に出力する。また、描画回路は、後方画像表示領域20の車両後方画像の歪みを履歴表示領域30の画像に与え、抽出された駐車区画線を、後方画像表示領域20に表示されている駐車区画線に対して連続して表示されるように履歴表示領域30に描画する。よって、駐車支援ECU9は、請求項の表示制御部に相当する。
【0046】
なお、履歴データ用いた駐車区画線の検出方法としては、様々な方法を採用することができる。ここでは、駐車区画線としての白線を検出する場合を以下に説明する。駐車支援ECU9のマイコンは、自車両の移動とともにメモリ2に保存された過去画像の履歴データから画像の明度の変化を読み取って、表示画面に設定した仮想の2次元座標上にプロットする。そして、2次元座標における明度分布を作成することにより、表示画面上の白線の存在を検出する。よって、駐車支援ECU9は請求項の駐車区画線検出部にも相当する。
【0047】
まず、2次元座標上のあるY座標値を固定して、X軸だけを変位させて画像の明度変化を抽出し、X座標の変位に伴う明度分布を作成する。このX座標の変位に伴う明度分布において、白線が表示されている部位のX座標の明度は他のX座標の明度よりも高くなる。これは画像において路面が駐車区画線である白線よりも濃い色(例えばアスファルトの黒色)で表示されるからである。この周囲よりも明度の高い部分は、白線がX軸方向に延びる幅分、継続するように抽出されるようになる。
【0048】
さらに、このように作成したX座標の変位に伴う明度分布を、Y座標の値を変化させて複数抽出し作成する。そして、作成されたX座標の変位に伴う明度分布における明度の高い部分は、Y座標値の個数を増やすほど、画像上の実際の白線の軌跡に近づいていくようになるが、マイコンでは、図2に示すように、履歴表示領域30に、後方画像表示領域20の白線21に対して連続的な白線31を描画できれば目的を果たせるため、白線の軌跡を線として形成するよりも非常に少ない数量のプロット数を抽出すればよい。なお、図2は、後方駐車時に表示される画面を説明する図である。また、図2中のAは、自車両の後端部を模式的に示した画像を示している。
【0049】
このようにマイコンで実行される白線検出は、画像上の白線を「線」として検出するのではなく、複数個の点のプロットとして検出するため、そのデータ処理量およびデータ処理の作業領域および時間を大幅に省力化することができる。
【0050】
また、白線検出は、上記2次元座標上の明度分布のうち、白線21のエッジ部分のみを抽出してその座標を記憶するようにしてもよい。これによれば、さらにそのデータ処理量およびデータ処理の作業領域および時間を低減することができる。
【0051】
なお、白線検出(つまり、駐車区画線の検出)は、車両後方画像のうちの一部に範囲を限定して行う構成とすることが好ましい。これによれば、検出を行う範囲を車両後方画像のうちの一部に限定するので、車両後方画像の全面に亘って白線(つまり、駐車区画線)の検索を行って駐車区画線を検出しなくてもよくなり、検出の処理の時間を短縮することが可能になる。また、自車両を駐車枠に向けて後退させていく場合には、駐車区画線は自車両の後端部の近傍に存在する可能性が高いため、車両後方画像において白線検出を行う範囲を自車両の後端部(特に自車両の左後角部と右後角部)の近傍に限定することが好ましい。
【0052】
続いて、後方画像表示領域20と履歴表示領域30とのそれぞれに画像を表示する画像処理について説明を行う。
【0053】
まず、車載カメラ1で撮像した車両後方画像の画像データを駐車支援ECU9が取得する。そして、車載カメラ1によって撮像された車両後方画像の信号は、NTSCデコーダ、描画回路を介して、画像データとしてメモリ2およびマイコンに入力される。このときメモリ2には、自車両の移動とともに表示画面上の仮想座標に落とし込まれた画像データが保存され、蓄積される。そして、取得された画像データは、実際に表示器5には表示されないが、仮に描画したとすると、図3に示すように画面上方の上半分に後方画像が映し出され、画面下方の下半分に自車両の後部が映し出されるようになる。図3は、車載カメラ1で撮像された生画像を仮に表示器5の表示画面全体に示すとした場合の図である。また、図3中のBは、自車両の後端部の画像を示している。
【0054】
次に、駐車支援ECU9では、描画回路が、履歴表示領域30および後方画像表示領域20を生成する処理を実行し、各領域を画面に割り付ける。図2に示すように、後方画像表示領域20は画面上方に配置され、履歴表示領域30は後方画像表示領域20に隣接して画面下方に配置される。
【0055】
また、マイコンは、メモリ2に送られた画像データを読み込み、前述の白線検出方法等によって駐車区画線(ここでは駐車枠のうちの車幅方向の駐車区画線としての白線21)の存在を検出する。白線21は、表示画面の仮想座標上に複数のプロットによって落とし込まれる形式で検出される。そして、マイコンは、仮想座標上に落とし込まれた白線21を履歴データとしてメモリ2に移動し保存する。よって、メモリ2は請求項の記憶部に相当する。
【0056】
続いて、描画回路は、予めメモリ2に記憶された車両のCGを読み出し、生成した履歴表示領域30に前述の所定の視点からみたCGの車両を描画する。この描画の際には、車両のCGに対して、後方画像表示領域20の生画像の歪みと同様の歪みを与え、敢えて車両のCGを歪ませて描画する。
【0057】
次に、描画回路は、メモリ2に保存した白線21を読み出し、生成した履歴表示領域30に、所定の視点からみた白線31を描画する。この描画では、車両のCGと同じ位置の所定の視点で公知の視点変換を行い、さらに、白線に対して後方画像表示領域20の生画像の歪みと同様の歪みを与え、車両のCGと同様に敢えて歪ませた白線31を描画する。
【0058】
なお、画像に歪みを与えるための具体的処理としては、例えば、以下のようにする。まず、車載カメラ1によって撮像された過去の画像データに対して、画像の歪みを取る補正処理を行う。さらに、これを3次元の座標空間の画像データに変換する。そして、自車両の走行に合わせ、自車両の移動(つまり、挙動)に関わる各種センサからの信号(移動量、回転量)を用いて3次元空間を変換移動(回転、平行移動等)させ、自車両に対する正確な位置を保持する。よって、駐車支援ECU9は、請求項の挙動情報取得部にも相当する。
【0059】
なお、移動量については、車輪速センサ4で検出した車輪の回転数をもとに検出すればよいし、回転量については、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度をもとに検出すればよい。また、これらの移動量、回転量は、車両後方画像を俯瞰変換し、その過去の車両後方画像と現在の車両後方画像をマッチングして演算することから求めてもよい。
【0060】
続いて、3次元座標に変換された画像データを表示画面上の仮想座標に落とし込むことにより2次元化する。そして、この2次元化した画像に対して生画像の歪みを与える処理を実行すると、履歴表示領域30に生画像の歪みと同様の歪みをもつCGの車両や白線31を描画することができる。
【0061】
そして、描画された履歴表示領域30の画像と、後方画像表示領域20の画像とを合成する処理を経て、隣接する2つの領域の画像を一体にして表示器5に出力し、表示器5で表示させる。
【0062】
以上の画像処理を実行することにより、図2に示すように、後方画像表示領域20の白線21を含む生画像と、履歴表示領域30の白線31とが2つの領域の境界部において連続して表示されるようになる。このとき白線31は、白線21に対して後方画像表示領域20との境界位置でほぼ同じ太さ、同じ色彩で描画され、一致するように表示される。換言すれば、車載カメラ1の視野外に消えている車体周囲の白線31と、現在撮影されている車両後方の白線21とが、表示器5の表示画面上に一体的に表示されるようになる。
【0063】
このように、運転者に対して、自車の正確な位置確認にとって有効な目印(白線31)を表した過去の画像と、現在の画像とをその境界部を明確に表示しつつ、一つの画像として違和感なく見せることができる。したがって、運転者は、車体、車体周囲に描画した駐車区画線、および現在の車両後方画像の位置関係を明確かつ正確に把握することができる。
【0064】
また、描画回路は、後方画像表示領域20の画像に重畳して自車両10の予想進路線、車幅延長線等を描画するようにしてもよい。予想進路線は、車幅およびハンドルの舵角に
基づき、後退する車両の走行軌跡を予想した指標である。また、車幅延長線は、自車両の車幅の路面上での延長線を示す指標である。予想進路線と車幅延長線とは、異なる色で描画されており、運転者にとって容易に判別可能となっている。
【0065】
ここで、自車両が後退する際に通ると予想される予想新路線(以下、後退予想線)の求め方について説明を行う。なお、後退予想線とは、自車両の車幅に対応する左右一対の軌跡であって、例えば自車両の進行方向側の左右輪(本実施形態の例では左右の後輪)の予想轍であってもよいし、自車両の車幅に沿った左右一対の軌跡であってもよい。また、自車両最外周の軌跡円弧と自車両最内周の軌跡円弧との左右一対の軌跡であってもよい。
【0066】
後退予想線の求め方については、公知の方法を用いて求める構成とすればよい。例えば、低速時(例えば、10km/h以下)に自車両後方の車軸の延長線上に存在する旋回中心O、およびステアリング角度θとホイールベースLとした場合にR=L/tanθという関係式により導かれる旋回半径Rをもとに、ステアリング角度に応じた後退予想線を逐次求める構成とすればよい。
【0067】
また、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度および車輪速センサ4で検出した自車両の速度に基づいて自車両最外周の軌跡円弧を算出し、算出した軌跡円弧を、自車両の左後角部と右後角部との各々、もしくは自車両の左後輪と右後輪との各々を通るように配置することによって求める構成としてもよい。さらに、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度および車輪速センサ4で検出した自車両の速度に基づいて自車両最外周の軌跡円弧および自車両最内周の軌跡円弧をそれぞれ算出することによって求める構成としてもよい。
【0068】
なお、後退予想線は、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度、車速センサで検出した自車両の速度、および図示しないヨーレートセンサで検出した自車両のヨーレートに基づいて求める構成としてもよい。
【0069】
また、駐車支援ECU9は、後退予想線を求めるとともに、車幅方向に左右一対の後退予想線(つまり、左右一対の軌跡)に挟まれた領域を後退予想エリアとして求める。さらに、駐車支援ECU9は、ステアリング角度をもとに、自車両の幅方向の中心(例えば車軸)を通る1本の舵角線を求める。なお、舵角線は、ステアリング角度の中立点(つまり、ステアリングが正位置にあるときのステアリング角度)においては曲率が「0」の直線となり、ステアリング角度の中立点から離れるほどに曲率が増すようになっている。なお、ステアリング角度の中立点は、所定速度(例えば10km/h)以上のときに左右の車輪のパルス差がほぼ同一となるステアリング角度をもって定めるなど、公知の方法によって定める構成とすればよい。
【0070】
ここで、舵角線の求め方について説明を行う。例えば、ステアリング角度と舵角線の曲率とが、ステアリング角度の中立点においては曲率が「0」となり、ステアリング角度の中立点から離れるほどに曲率が増すように予め対応付けられており、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度とこの対応関係をもとに、ステアリング角度に応じた自車両の幅方向の中心を通る1本の舵角線を求める構成とすればよい。
【0071】
また、例えば、前述の旋回中心Oおよび旋回半径Rをもとに、自車両の車幅方向の中心が通過する予想進路を舵角線として求める構成としてもよい。さらに、後退予想線をもとに舵角線を求める構成としてもよい。例えば、車幅方向に左右一対に並んでいる後退予想線の座標をもとに、当該左右一対の後退予想線の車幅方向の中心線の座標を求め、この中心線を舵角線として求める構成とすればよい。
【0072】
なお、以上のように、後退予想線と同様の方法によって舵角線を求めたり、後退予想線をもとに舵角線を求めたりする構成によれば、舵角線の曲率と後退予想線の曲率とが同様の挙動を示すことになるため、舵角線と後退予想線とをともに表示する場合に見栄えが良く、より好ましい。
【0073】
続いて、駐車支援ECU9は、求めた後退予想線の座標と後退予想エリアの座標と舵角線の座標とを車両後方画像と同じ座標系の座標に変換する変換処理を行なう。なお、この変換処理については、求めた後退予想線の座標と後退予想エリアの座標と舵角線の座標とを公知の座標変換式を用いて車両後方画像と同じ座標系の座標に変換する構成とすればよい。
【0074】
そして、駐車支援ECU9は、車両後方画像と同じ座標系の座標に変換された後退予想線と後退予想エリアと舵角線とに基づいて、後退予想線と後退予想エリアとを一体にして車両後方画像に重畳して表示器5で表示させるとともに、後退予想エリアの幅方向中心に舵角線が位置するよう舵角線も車両後方画像に重畳して表示器5で表示させる。
【0075】
つまり、表示制御部として機能する駐車支援ECU9は、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度をもとに、ステアリング角度に応じた、自車両の車幅に対応する走行予想軌跡(後退予想線や後退予想エリア)を求め、当該走行予想軌跡を車両後方画像(つまり、進行方向画像)に重畳して表示させる。
【0076】
ここで、表示器5での走行予想軌跡および舵角線の表示の態様について図4を用いて説明を行う。図4は、走行予想軌跡および舵角線の表示の態様を示すための模式図である。なお、図4中のAが自車両の後端部を模式的に示した画像、Cが走行予想軌跡、Dが舵角線を示している。また、図4では、説明の便宜上、駐車区画線の表示を省略している。
【0077】
まず、走行予想軌跡については、駐車支援ECU9は、図4に示すように、車両後方画像との区別が可能となるよう走行予想軌跡の範囲を所定の色で塗りつぶして表示器5で表示させる。なお、ここでは、走行予想軌跡の範囲を所定の色で塗りつぶすことによって車両後方画像との区別を可能にする態様を示したが、必ずしもこれに限らない。走行予想軌跡の表示の態様は、車両後方画像との区別が可能となっていれば他の態様でもよく、例えば、走行予想軌跡の範囲を網がけで表示したり、斜線で表示したりする態様であってもよい。
【0078】
続いて、舵角線については、駐車支援ECU9は、図4に示すように、走行予想軌跡との区別が可能となるよう舵角線を走行予想軌跡の色と異なる色にして表示器5で表示させる。また、駐車支援ECU9は、図4に示すように、走行予想軌跡の幅方向中心に位置するよう舵角線を表示器5で表示させる。なお、ここで言うところの走行予想軌跡の色と異なる色とは、走行予想軌跡の色と色相、彩度、および明度のうちの少なくともいずれかが異なる色を示している。
【0079】
ここでは、舵角線を走行予想軌跡の色と異なる色とすることによって走行予想軌跡との区別を可能にする態様を示したが、必ずしもこれに限らない。舵角線の表示の態様は、走行予想軌跡との区別が可能となっていれば他の態様でもよく、例えば、走行予想軌跡の幅方向中心にスリットを設けることによって舵角線を表示する態様であってもよい。なお、走行予想軌跡を履歴表示領域30に表示させる場合にも、履歴表示領域30に表示させる車両のCGや白線と同様にして歪みを与える構成とすればよい。
【0080】
なお、前述の実施形態では、後退予想線と後退予想エリアとを一体にしたものを走行予想軌跡として表示器5で表示する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、後退予想エリアを表示せず、左右一対の後退予想線を走行予想軌跡として表示する構成としてもよい。
【0081】
さらに、前述の実施形態では、後退予想線や後退予想エリアや舵角線を車両後方画像に重畳して表示器5で表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らず、後退予想線や後退予想エリアや舵角線を表示器5で表示させない構成としてもよい。
【0082】
また、駐車支援ECU9のマイコンは、検出した駐車区画線に基づいて、駐車枠(詳しくは、車幅方向の駐車区画線)に対する自車両の傾き角度(以下、駐車傾き角度)を算出する。具体的には、マイコンは、駐車枠のうちの車幅方向の左右それぞれに存在する駐車区画線の双方から等距離にある駐車枠の中心線を算出する駐車傾き角度算出処理を行う。なお、駐車枠のうちの車幅方向の左右それぞれに存在する駐車区画線が左右それぞれにつき2本ずつ存在する場合(つまり、二重線である場合)には、外側の駐車区画線それぞれから等距離にある駐車枠の中心線を算出するか、内側の駐車区画線それぞれから等距離にある駐車枠の中心線を算出すればよい。また、マイコンは、自車両の車体の右側面および左側面の双方(つまり、自車両の左右の車幅延長線)から等距離にある自車両の前後方向の中心線を算出する。そして、駐車傾き角度として、駐車枠の中心線と自車両の前後方向の中心線とがなす角度を算出する。よって、駐車支援ECU9は、請求項の平行線算出部にも相当する。
【0083】
ここで、駐車傾き角度の算出に用いる駐車区画線としては、データ処理量およびデータ処理の作業領域および時間の省力化の観点から、前述の仮想座標上に落とし込まれた履歴データとしての駐車区画線(つまり、メモリ2に記憶されている駐車区画線のデータ)を用いることが好ましい。なお、駐車傾き角度の算出に用いる駐車区画線として、車両後方画像の生画像から検出した駐車区画線をそのまま用いる構成としてもよい。
【0084】
ちなみに、本実施の形態では、自車両の前後方向の中心線と駐車枠の中心線とが平行である場合、駐車傾き角度は「0」として算出する。また、自車両の前後方向の中心線を基準として、時計回り方向を「正(+)」とし、反時計回りを「負(−)」とする。
【0085】
なお、本実施の形態では、駐車枠の中心線と自車両の前後方向の中心線とがなす角度を駐車傾き角度として算出する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両の前後方向の中心線の代わりに、自車両の前後方向に略平行な直線を用いる構成としてもよい。また、自車両の左右いずれかの側面に沿った直線(つまり、自車両の左右の車幅延長線のうちのいずれかの直線)を用いる構成としてもよいし、自車両の左右いずれかの側面に平行な直線を用いる構成としてもよい。
【0086】
さらに、駐車枠の中心線の代わりに、駐車枠のうちの車幅方向のいずれか1本の駐車区画線を用いる構成としてもよいし、駐車枠のうちの車幅方向の駐車区画線に平行な直線を用いる構成としてもよい。
【0087】
また、駐車支援ECU9は、車幅延長線を車両後方画像(つまり、進行方向画像)に重畳して表示させる構成としてもよい。
【0088】
ここで、図5(a)および図5(b)を用いて、駐車傾き角度算出処理についてさらに説明を行う。なお、図5(a)は、車両平行線の一例を示すための模式図であり、図5(b)は駐車傾き角度の算出について説明するための模式図である。また、図5(a)中のAが自車両の後端部を模式的に示した画像、Cが走行予想軌跡、Dが舵角線、Eが車両平行線を示している。なお、車両平行線については、仮想的なものであり、表示器5に実際には表示しないものとする。また、図5(b)の図は、図5(a)の撮像画像系の画像を鳥瞰座標系の画像に変換したとした場合のイメージを示している。なお、図5(b)中のAが自車両の後端部を模式的に示した画像、Eが車両平行線を示している。また、ここでは、車幅方向の駐車区画線のうちの1本(図5(b)中のF)と自車両の右側面に沿った直線(図5(b)中のG)とがなす角度を駐車傾き角度として算出する場合を例に挙げて説明を行う。
【0089】
駐車傾き角度を算出する場合には、撮像画像系の画像を鳥瞰座標系の画像に変換した後に、公知のハフ変換を行なうことで直線を検出することになる。よって、この点においても、駐車支援ECU9は請求項の駐車区画線検出部に相当する。なお、本例において検出する直線は、図5(b)のFの駐車区画線とGの自車両の右側面に沿った直線となる。
【0090】
また、ハフ変換によって直線の検出を行う範囲は、図5(b)の破線で示した四角の枠の範囲に限定するといったように、画像全体のうちの一部の範囲に限定することが、データ処理量およびデータ処理の作業領域および時間の省力化の観点から好ましい。また、駐車区画線は自車両の後端部の近傍に存在する可能性が高いため、検出を行う範囲は自車両の後端部(特に自車両の左後角部と右後角部)の近傍に限定することが好ましい。
【0091】
なお、図5(b)の例では、自車両の後輪車軸を基点として車両の後方150cmまでの範囲であって、自車両の側面を基点に車幅方向の内側に50cm、外側に180cmまでの範囲を直線の検出を行う範囲としている。
【0092】
そして、駐車支援ECU9のマイコンは、ハフ変換によって検出された駐車区画線Fと自車両の右側面に沿った直線Gとがなす角度を駐車傾き角度として算出することになる。
【0093】
また、駐車支援ECU9のマイコンは、算出した駐車傾き角度をもとに、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定する駐車傾き判定処理を行う。よって、駐車支援ECU9は、請求項の駐車傾き判定部にも相当する。詳しくは、マイコンは、算出した駐車傾き角度(つまり、傾きの度合い)が規定値の範囲内に達したときを、自車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングとして判定する。なお、ここで言うところの規定値の範囲とは、自車両が当該駐車区画線に対して明らかに傾いていると見える角度とならない範囲であればよく、任意に設定可能な範囲である。以降では、規定値の範囲は例えば±3度以下の範囲であるものとして以降の説明を行う。
【0094】
さらに、駐車支援ECU9のマイコンは、駐車枠に自車両が駐車を完了する前において、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、且つ、駐車傾き判定処理で自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になったタイミングを判定した場合に、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを示す報知を行う切り戻し案内処理を行う。なお、ここで言うところの所定値とは、少なくともステアリングが実質的に正位置にあると言える場合のステアリング角度よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。
【0095】
また、マイコンは、図示しないシフト位置センサからシフト位置がリバースポジション(R)であることを示す信号を受信した後、例えばドライブポジション(D)などリバースポジション以外のシフト位置を示す信号を受信するまでを、駐車枠への車両の駐車が完了する前として判断する構成とすればよい。また、シフト位置センサからシフト位置がリバースポジションであることを示す信号を受信した後、自車両が停止するまでを、駐車枠への車両の駐車が完了する前として判断する構成としてもよい。この場合、例えば車輪速センサ4や車速センサで検出することができる限界の速度に自車両の速度が達したときに自車両が停止したものと判断する構成とすればよい。他にも、車両後方画像の駐車枠に対する車両の位置を画像認識によって検出し、当該駐車枠に対する車両の位置が所定位置(例えば車止めの位置など)に達するまでを、駐車枠への車両の駐車が完了する前として判断する構成としてもよい。
【0096】
駐車枠に自車両が駐車を完了する前において、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、例えば、図6(a)に示すように、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行となった場合には、図6(b)に示すように、表示器5の表示画面に「ハンドルを戻してください」等の切り戻し案内表示を行わせることによって報知を行うことになる。
【0097】
なお、図6(a)および図6(b)は、切り戻し案内表示の一例を説明するための模式図である。また、図6(a)および図6(b)中の符号については、図5(a)および図5(b)の符号と同様のものであるため説明を省略する。なお、図6(a)のHで示す直線は自車両の側面に平行な直線であって、図6(a)では自車両の車体が車幅方向の駐車区画線に平行になったことを示している。
【0098】
また、切り戻し案内表示としては、図6(b)に示すようなテキスト表示に限らず、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを示すアイコンや図などを表示するといった画像表示によって行う構成としてもよい。また、車両後方画像を表示する表示器5とは別の表示器で切り戻し案内表示を行う構成としてもよい。さらに、例えばメータパネル等に設けられたLEDなどの照明の点灯や点滅によって切り戻し案内表示を行う構成としてもよい。
【0099】
他にも、音声出力装置6から「ハンドルを戻してください」等の切り戻し音声案内を出力させることによって報知を行う構成としてもよいし、振動装置7に切り戻し案内振動を発生させることによって報知を行う構成としてもよい。さらに、前述した各種の報知のいずれかのみを行う構成としてもよいし、前述した各種の報知を組み合わせた報知を行う構成としてもよい。
【0100】
また、駐車支援ECU9のマイコンは、駐車傾き判定処理で算出した駐車傾き角度が前述の規定値の範囲内に達した後に当該規定値の範囲内を超えたときに、表示器5や音声出力装置6や振動装置7に指示を送って報知を止めさせる。
【0101】
これによれば、駐車傾き角度が規定値の範囲内に達した後にも切り戻し操作が行われず、規定値の範囲内を超えた場合に、直ちに報知を止めて、再度駐車の操作が行われるようにすることができる。また、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になった状態で切り戻しを停止させ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になった状態で駐車を行うことも可能にする。
【0102】
また、駐車支援ECU9のマイコンは、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度が所定値よりも小さい値で駐車を開始するときは、切り戻し案内を必要としないと判断し、駐車傾き角度が規定値の範囲内に達した場合であっても、表示器5や音声出力装置6や振動装置7での報知を行わせない。
【0103】
なお、駐車支援ECU9は、例えばハザードスイッチがオンされたことやシフト位置センサからシフト位置がリバースポジションであることを示す信号を受信したことをもって、駐車が開始されることを検出する構成とすればよい。
【0104】
次に、図7を用いて、駐車支援装置100による駐車支援制御についての説明を行う。なお、図7は、駐車支援装置100での動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、支援開始スイッチ8がオンになったときに開始されるものとする。また、
まず、ステップS1では、車両後方画像の表示処理を行って、ステップS2に移る。車両後方画像の表示処理では、駐車支援ECU9が、車載カメラ1によって撮像された車両後方の生画像を後方画像表示領域20に配置するように出力し、さらに履歴データから抽出された自車両後方周辺の駐車区画線とCGの車両画像とを前述の所定の視点からみるように履歴表示領域30に重畳して描画して表示器5に出力する。
【0105】
ステップS2では、駐車区画線の検出処理を行って、ステップS3に移る。駐車区画線の検出処理では、駐車区画線について履歴データが存在する場合にはこの履歴データをもとに駐車支援ECU9が駐車区画線の検出を行い、駐車区画線について履歴データが存在しない場合には車両後方画像の生画像から駐車支援ECU9が駐車区画線を検出する。
【0106】
ステップS3では、駐車支援ECU9が前述の駐車傾き角度算出処理を行って、ステップS4に移る。ステップS4では、駐車支援ECU9が前述の駐車傾き判定処理を行って、ステップS5に移る。ステップS5では、駐車傾き判定処理において、駐車傾き角度が前述の規定値の範囲内であると駐車支援ECU9が判定した場合(ステップS5でYes)には、ステップS6に移る。また、駐車傾き角度が前述の規定値の範囲内であると駐車支援ECU9が判定しなかった場合(ステップS5でNo)には、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。
【0107】
ステップS6では、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度が所定値以上であるか否かを駐車支援ECU9が判定する。そして、ステアリング角度が所定値以上であると判定した場合(ステップS6でYes)には、ステップS7に移る。また、ステアリング角度が所定値以上であると判定しなかった場合(ステップS6でNo)には、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。
【0108】
ステップS7では、報知処理を行って、ステップS2に戻ってフローを繰り返す。報知処理では、駐車支援ECU9が表示器5や音声出力装置6や振動装置7に指示を送って、表示器5に切り戻し案内表示を行わせたり、音声出力装置6に切り戻し音声案内の出力を行わせたり、振動装置7に切り戻し案内振動を発生させたりする。
【0109】
なお、本フローは、支援開始スイッチ8がオフされたときやイグニッションスイッチがオフされたときなどに終了する。また、例えば、駐車支援ECU9が、シフトポジションセンサで検出したシフト位置をもとに、シフト位置が駐車位置「P」となったと判定した場合に本フローを終了してもよい。
【0110】
以上の構成によれば、目視によらずに、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になるタイミングを画像処理で得られたデータを用いて装置での演算処理によって判定することができるので、誤差が生じにくい安定した駐車動作を運転者がより容易に行うことができる。
【0111】
また、以上の構成によれば、ステアリングセンサ3で検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、且つ、駐車傾き判定処理で自車両が車幅方向の駐車区画線に対して略平行になったタイミングを判定した場合に、自車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを示す報知(以下、切り戻し案内と呼ぶ)を行うので、ステアリングの切り戻しが必要な場合に限り、自車両が当該駐車区画線に対して略平行になったタイミングで切り戻し案内を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、必要に応じてステアリングの切り戻しを適切なタイミングで運転者に行わせることが可能になる。
【0112】
さらに、以上の構成によれば、駐車枠に自車両が駐車を完了する前に切り戻し案内を行うことができるので、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車を行うことを可能にすることができる。その結果、以上の構成によれば、切り返しを行わずに最初から車幅方向の駐車区画線に平行に駐車を行うことをより容易に行わせることが可能になる。
【0113】
なお、前述の実施形態では、駐車傾き判定処理に用いる規定値の範囲を固定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うために、自車両の挙動や運転者の運転操作の傾向に応じて規定値の範囲を設定する構成としてもよい。
【0114】
例えば、ステアリングの操作速度がより速い場合には、切り戻し案内を行うタイミングを早めにしなければ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに報知を行うことが困難である。よって、ステアリングセンサ3で検出したステアリングの操作速度が速くなるほど駐車支援ECU9が規定値の範囲を広く設定する構成とすることが好ましい。これによれば、ステアリングの操作速度が速くなるほど切り戻し案内のタイミングを早くすることができ、自車両が当該駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0115】
また、自車両の速度がより速い場合には、切り戻し案内を行うタイミングを早めにしなければ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが困難である。よって、車輪速センサ4で検出した車両の速度が速くなるほど規定値の範囲を広く設定する構成とすることが好ましい。これによれば、自車両の速度が速くなるほど切り戻し案内のタイミングを早くすることができ、自車両が当該駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0116】
以上のように、自車両の挙動に関する情報を検出するセンサで検出した自車両の挙動に関する情報に応じて規定値の範囲を設定する構成とすることが好ましい。
【0117】
また、車両の運転者ごとのステアリングの操作速度のばらつきなど、車両の運転者ごとに運転操作の傾向が異なるため、切り戻し案内を行うタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に合わせなければ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが困難である。
【0118】
よって、運転者の運転操作の傾向に関する情報を取得し、取得した運転者の運転操作の傾向に関する情報に応じて規定値の範囲を設定する構成とすることが好ましい。ここで、この構成の一例について図8を用いて説明を行う。なお、図8は、駐車支援装置100aの概略的な構成を示すブロック図である。また、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0119】
操作スイッチ群10は、メカニカルなスイッチや例えば表示器5と一体になったタッチスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により運転者の運転操作の傾向に関する情報の入力を行うことが可能な入力手段である。なお、入力手段として操作スイッチ群10の他に、音声入力装置やリモコン等を用いる構成としてもよい。また、外部入力I/F11は、外部の機器から送られてくる運転者の運転操作の傾向に関する情報を駐車支援ECU9に送るためのインターフェースである。なお、ここで言うところの運転者の運転操作の傾向に関する情報は、例えばステアリングの操作速度の傾向や後方駐車時の車両の速度の傾向などである。
【0120】
駐車支援ECU9は、例えば操作スイッチ群10によって入力される運転者の運転操作の傾向に関する情報や外部入力I/F11から送られてくる運転者の運転操作の傾向に関する情報を取得し、取得した運転者の運転操作の傾向に関する情報に応じて規定値の範囲を設定する。よって、駐車支援ECU9は、請求項の個人情報取得部にも相当する。なお、規定値の範囲の設定の一例としては、ステアリングの操作速度が速い傾向にあるほど規定値の範囲を広く設定したり、後方駐車時の車両の速度が速い傾向にあるほど規定値の範囲を広く設定したりすればよい。
【0121】
以上の構成によれば、切り戻し案内のタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に応じたタイミングにすることができ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0122】
また、駐車支援ECU9は、車両の運転者についての運転操作の傾向を学習し、学習結果に応じて前記規定値の範囲を設定する。よって、駐車支援ECU9は、請求項の学習部にも相当する。例えば、駐車支援ECU9は、後方駐車時にステアリングセンサ3で検出したステアリングの操作速度や車輪速センサ4で検出した自車両の速度の複数回分の情報をもとに、ステアリングの操作速度や車両の速度の分布を求めることによって後方駐車時におけるステアリングの操作速度や車両の速度の傾向を学習する構成とすればよい。なお、運転者ごとに運転操作の傾向の学習を行う場合には、操作スイッチ群10などで運転者の登録を行うことによって、運転者別に運転操作の傾向の学習を行うことができるようにすればよい。
【0123】
以上の構成によれば、運転者についての運転操作の傾向の学習結果に応じて規定値の範囲を設定するので、切り戻し案内のタイミングを運転者ごとの運転操作の傾向に応じたタイミングにすることができ、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になるタイミングに遅れずに切り戻し案内を行うことが可能になる。
【0124】
なお、前述のように自車両の挙動や運転者の運転操作の傾向に応じて規定値の範囲を設定する場合に、規定値の範囲ステアリングを正位置から時計回り方向に切った状態の場合には、規定値の範囲を−3度〜6度の範囲に設定するといったように、自車両の前後方向の中心線を基準として、時計回り方向の規定値の範囲のみを広く設定する構成とすることがより好ましい。また、ステアリングを正位置から反時計回り方向に切った状態の場合には、規定値の範囲を−6度〜3度の範囲に設定するといったように、自車両の前後方向の中心線を基準として、反時計回り方向の規定値の範囲のみを広く設定する構成とすることがより好ましい。
【0125】
以上の構成によれば、自車両が車幅方向の駐車区画線に対して平行になった後の、自車両が当該駐車区画線に対して略平行になった状態で切り戻しを停止させるための規定値の範囲については、広く設定せずに済む。よって、以上の構成によれば、切り戻し案内を行うタイミングを運転者ごとに合わせながらも、自車両が当該駐車区画線に対してより平行に近い状態で切り戻しを終えさせることが可能になる。
【0126】
また、前述の実施形態では、支援開始スイッチ6のオンオフ操作によって駐車支援装置100による駐車支援制御を開始・停止する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、駐車支援ECU9が、車輪速センサで検出した自車両の速度およびシフトポジションセンサで検出したシフト位置をもとに、所定の速度(例えば、10km/h)以下においてシフト位置が後退位置「R」となったと判定した場合に駐車支援制御を開始するとともに、シフト位置が駐車位置「P」となったと判定した場合に駐車支援制御を停止するなどの構成としてもよい。
【0127】
なお、前述の実施形態では、表示器5の表示画面が後方画像表示領域20と履歴表示領域30とを含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、表示器5の表示画面が後方画像表示領域20と履歴表示領域30とのうちの後方画像表示領域のみを含む構成としてもよい。
【0128】
また、前述の実施形態では、自車両の後退時の駐車支援に本発明を適用する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両の前進時の駐車支援に本発明を適用する構成としてもよい。
【0129】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 車載カメラ、2 メモリ(記憶部)、3 ステアリングセンサ(ステアリング角度検出部、ステアリング操作速度検出部)、4 車輪速センサ(車速検出部)、5 表示器、6 音声出力装置、7 振動装置、8 支援開始スイッチ、9 駐車支援ECU(表示制御部、駐車区画線検出部、平行線算出部、駐車傾き判定部、学習部、個人情報取得部、挙動情報取得部)、10 操作スイッチ群、11 外部入力I/F、100・100a 駐車支援装置(運転支援装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向を撮像する車載カメラと、
前記車載カメラによって撮像された進行方向画像を表示する表示器と、
前記車両のステアリング角度を検出するステアリング角度検出部と、
前記進行方向画像を前記表示器に表示させる表示制御部と、を備えている運転支援装置であって、
前記進行方向画像から、路面上の駐車枠のうちの車幅方向の駐車区画線を検出する駐車区画線検出部と、
前記駐車区画線検出部で検出した駐車区画線をもとに、前記車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定する駐車傾き判定部とを備え、
前記駐車枠に前記車両が駐車を完了する前において、前記ステアリング角度検出部で検出したステアリング角度が所定値以上であった場合であり、且つ、前記駐車傾き判定部で前記車両が当該駐車区画線に対して略平行になったタイミングを判定した場合に、前記車両のステアリングの切り戻し操作が必要であることを示す報知を行うことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記車両の前後方向に略平行な直線を求める平行線算出部を備え、
前記駐車傾き判定部は、
前記駐車区画線検出部で検出した駐車区画線と前記平行線算出部で求めた当該直線とをもとに、前記車両の当該駐車区画線に対する傾きの度合いを算出し、
算出した傾きの度合いが規定値の範囲内に達したときを、前記車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングとして判定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記平行線算出部は、前記車両の前後方向に略平行な直線として、前記車両の車体の側面に平行な線を求めることを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記平行線算出部は、前記車両の前後方向に略平行な直線として、前記車両の車幅の路面上での延長線を示す車幅延長線を求めることを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記ステアリングの操作速度を検出するステアリング操作速度検出部を備え、
前記ステアリング操作速度検出部で検出したステアリングの操作速度が速くなるほど前記規定値の範囲を広く設定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項において、
前記車両の速度を検出する車速検出部を備え、
前記車速検出部で検出した車両の速度が速くなるほど前記規定値の範囲を広く設定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項において、
前記車両の運転者についての運転操作の傾向の情報を取得する個人情報取得部を備え、
前記個人情報取得部で取得した車両の運転者についての運転操作の傾向の情報に応じて前記規定値の範囲を設定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項において、
前記車両の運転者についての運転操作の傾向を学習する学習部を備え、
前記学習部での学習結果に応じて前記規定値の範囲を設定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項において、
前記駐車傾き判定部で算出した前記車両の駐車区画線に対する傾きの度合いが前記規定値の範囲内に達した後に前記規定値の範囲内を超えたときに、前記報知を止めることを特徴とする運転支援装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記ステアリング角度検出部で検出したステアリング角度が前記所定値以上で駐車を開始するときに前記報知を行い、前記所定値よりも小さい値で駐車を開始するときは、前記報知を行わないことを特徴とする運転支援装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項において、
前記駐車区画線検出部は、検出を行う範囲を前記進行方向画像のうちの一部に限定していることを特徴とする運転支援装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項において、
前記駐車区画線検出部が検出した駐車区画線のデータを記憶する記憶部を備え、
前記駐車傾き判定部は、前記記憶部に記憶されている前記駐車区画線のデータを用いることによって、前記車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記車両の挙動に関する情報を取得する挙動情報取得部を備え、
前記駐車傾き判定部は、
前記挙動情報取得部で取得した前記車両の挙動に関する情報と前記記憶部に記憶されている前記駐車区画線のデータとをもとに、前記車両の挙動に合わせた前記駐車区画線のデータに変換するとともに、
変換によって得られた駐車区画線のデータを用いることによって、前記車両が当該駐車区画線に対して略平行になるタイミングを判定することを特徴とする運転支援装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項において、
前記報知は、表示、音声出力、および前記車両のステアリングの振動のうちの少なくともいずれかによって行うことを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−148369(P2011−148369A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10220(P2010−10220)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】