説明

運転支援装置

【課題】運転状況に応じて後方車両との衝突と交差点での右左折による巻込みとを運転者に容易に注意喚起することができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】判定部13が交差点での左折を判定した場合、映像合成部12は自車両の左前端より左前方の位置から後方を見たときの合成映像を作成するとともに舵角に応じた自車両の左後輪の予想軌跡線を重畳し、判定部13が交差点での右折を判定した場合、映像合成部12は自車両の右前端より右前方の位置から左方を見たときの合成映像を作成し、判定部13が車線変更での左折を判定した場合、映像合成部12は自車両の左側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成し、判定部13が車線変更での右折を判定した場合、映像合成部12は自車両の右側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交差点右左折時、車線変更時に適切な視界支援を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の右左折や車線変更の状況を運転者に容易に把握させるために、ウインカや車速等の走行情報を用いて運転状況に応じた適切なタイミングでカメラ表示を切替える運転支援装置がある(例えば特許文献1を参照)。また、自車両の右左折や車線変更の際に他車との位置関係を運転者に容易に把握させるために、距離のガイド線をカメラ画像に重畳表示する運転支援装置が知られている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−055100号公報
【特許文献2】特開2006−051850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の運転支援装置では、カメラ表示の切替によって後方車両との衝突を判断できるが、交差点での右左折による巻込みは考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、運転状況に応じて後方車両との衝突と交差点での右左折による巻込みとを運転者に容易に注意喚起することができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、制御手段が交差点での左折を判定した場合、映像合成手段は自車両の左前端より左前方の位置から後方を見たときの合成映像を作成するとともに舵角に応じて変化する自車両の左後輪の予想軌跡線を重畳し、制御手段が交差点での右折を判定した場合、映像合成手段は自車両の右前端より右前方の位置から左方を見たときの合成映像を作成し、制御手段が車線変更での左折を判定した場合、映像合成手段は自車両の左側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成し、制御手段が車線変更での右折を判定した場合、映像合成手段は自車両の右側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転状況に応じて後方車両との衝突と交差点での右左折による巻込みとを運転者に容易に注意喚起することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における運転支援装置の構成を示すブロック図
【図2】同図1の要部である撮像手段の撮像領域をイメージで説明する図
【図3】同図1の要部である制御手段による映像合成処理を説明するフローチャート図
【図4】同図1の要部である制御手段が交差点での左折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図
【図5】同図1の要部である制御手段が交差点での右折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図
【図6】同図1の要部である制御手段が車線変更での左折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図
【図7】同図1の要部である制御手段が車線変更での右折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の運転支援装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態の運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、運転支援装置1は、撮像手段2、表示手段3、舵角センサ4、車速度センサ5、ギアポジションセンサ6、入力手段7、ウインカ8とそれぞれ接続する。なお、撮像手段2、表示手段3、舵角センサ4、車速度センサ5、ギアポジションセンサ6、入力手段7、ウインカ8は運転支援装置1に含まれてもよい。
【0012】
運転支援装置1は、映像取得手段9と、記憶手段10と、制御手段11とを有する。運転支援装置1は、撮像手段2と、表示手段3と、舵角センサ4と、車速度センサ5と、ギアポジションセンサ6と、入力手段7と、ウインカ8と接続する。運転支援装置1は、少なくとも車速度センサ5とウインカ8からの入力信号に基づいて撮像手段2から入力された自車両周囲の撮像映像を用いた合成映像を作成して表示手段3に出力する。なお、運転支援装置1は、さらに舵角センサ4、ギアポジションセンサ6、入力手段7からの入力信号を合成映像の作成に利用してもよい。
【0013】
撮像手段2は、自車両前端部に設けられたフロントカメラ2A、自車両左右端部のサイドミラー近傍にそれぞれ設けられた左サイドカメラ2Bおよび右サイドカメラ2C、自車両後端部に設けられたリアカメラ2Dによって構成される。図2は、撮像手段2の各カメラの撮像領域をイメージで説明する図である。図2に示すように、フロントカメラ2Aは、自車両200の左右前方の領域201を撮像する。左サイドカメラ2Bは自車両200の左前方、左側方、左後方の領域202を撮像する。右サイドカメラ2Cは自車両200の右前方、右側方、右後方の領域203を撮像する。リアカメラ2Dは、自車両200の左右後方の領域204を撮像する。
【0014】
表示手段3は、例えばナビゲーション装置やリアシートに設けられたディスプレイで構成される。表示手段3は、運転支援装置1から入力された合成映像を表示する。
【0015】
舵角センサ4と、車速度センサ5と、ギアポジションセンサ6と、入力手段7と、ウインカ8は、それぞれハンドルの切れ角を示す舵角信号、自車両の車速を示す車速度信号、シフトレバーの状態を示すシフトレバー状態信号、ユーザの指示命令を示す入力信号、ウインカの状態を示す信号を運転支援装置1に出力する。入力手段7は、例えばタッチパネルやリモコン、スイッチ、操作ボタンで構成される。入力手段7は、タッチパネルで構成される場合、表示手段3に設けられてもよい。
【0016】
映像取得手段9は、揮発性メモリで構成される。例えばビデオメモリやRAM(Random Access Memory)で構成される。映像取得手段9は撮像手段2と接続する。映像取得手段9は、撮像手段2から入力された撮像映像によって得られる映像データを一時記憶する。映像取得手段9に記憶された映像データは、制御手段11に読み出される。
【0017】
記憶手段10は、不揮発性メモリで構成される。例えばフラッシュメモリやROM(Read Only Memory)で構成される。記憶手段10は、自車両の画像データ
、予想軌跡線や距離指標等自車両に固有な画像データや制御手段10の各種プログラム、を記憶する。
【0018】
制御手段11は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やVLSI(Very Large Scale Integration)、CPU(Central Processing Unit)で構成される。制御手段11は、映像合成部12と判定部13とを有する。制御手段11は、表示手段3、舵角センサ4、車速度センサ5、ギアポジションセンサ6、入力手段7、ウインカ8、映像取得手段9、記憶手段10と接続する。制御手段11は、入力手段7からの入力信号によって運転支援処理を開始し、車速度センサ5、ウインカ8からの入力信号に基づいて運転支援のための映像作成等の各種処理を行う。また、制御手段11は、舵角センサ4、ギアポジションセンサ6からの入力信号をさらに用いて処理を行っても良い。
【0019】
映像合成部12は、表示手段3、映像取得手段9、記憶手段10と接続する。映像合成部12は、映像取得手段9から入力された撮像映像に画像処理を施して表示手段3に表示可能な映像信号に変換するとともに、記憶手段10から読み出した予想軌跡線や固定軌跡線、距離指標等の画像データを重畳する。映像合成部12は、所定時間毎に作成したこの重畳映像を映像として表示手段3に出力する。
【0020】
判定部13は、舵角センサ4、車速度センサ5、ギアポジションセンサ6、入力手段7、ウインカ8、映像合成部12と接続する。判定部13は、少なくとも車速度センサ5、ウインカ8からの入力信号に基づいて、自車両の運転状態を判定する。例えば、判定部13は、ウインカ8、車速度センサ5から入力された信号に基づいて、自車両が交差点で右左折しようとしているか、車線変更で右左折しようとしているかを判定する。判定部13は、舵角センサ4、ギアポジションセンサ6、入力手段7からの入力信号をさらに用いて自車両の運転状態を判定してもよい。判定部13は、自車両の運転状態の判定結果に基づいて、映像合成部12に対して予想軌跡線や固定軌跡線、距離指標等の画像データの重畳や表示手段3への合成映像の出力等の命令を行う。
【0021】
次に、運転支援装置1による運転支援処理について説明する。
【0022】
図3は、制御手段11による運転支援処理を説明するフローチャート図である。
【0023】
まず、ステップS101に示すように、判定部13は、入力手段7から入力された運転支援処理の指示を検出して処理を開始する。
【0024】
次に、ステップS102に示すように、判定部13は、ウインカ8からの入力信号に基づいてウインカ8が点灯しているか判定する。ステップS102でNOの場合、所定時間後に再度ステップS102の処理を行う。ステップS102でYESの場合、ステップS103に示すように、判定部13は、車速度センサ5から入力された車速が所定の閾値以下であるか判定する。
【0025】
ステップS103でYESの場合、判定部13は、自車両が交差点を曲がろうとしていると判定する。そして、ステップS104に示すように、判定部13は、ウインカ8からの入力信号に基づいてウインカ8の指示先が左方向であるか判定する。
【0026】
ステップS104でYESの場合、判定部13は、自車両が交差点での左折を行おうとしていると判定して、映像合成部12に交差点左折用の合成映像を作成する命令を行う。
【0027】
そして、ステップS105に示すように、映像合成部12は、交差点の左折用合成映像を作成する。具体的には、映像合成部12は、映像取得手段9から取得した自車両左前方、左側方、左後方の撮像映像を用いて自車両の左前端より左前方の位置から後方を見たときの合成映像を作成する。例えば、映像合成部12は、左サイドカメラ2Bの撮像映像を視点変換して自車両の左前端より左前方の位置から後方を見たときの合成映像を作成する。なお、映像合成部12は、さらにフロントカメラ2Aの撮像映像を用いてもよい。そして、映像合成部12は、舵角に応じて変化する交差点左折用の予想軌跡線をこの合成映像に重畳する。交差点左折用の予想軌跡線は、自車両の左後輪の予想軌跡線に設定される。判定部13は、舵角センサ4から入力された舵角に基づいて、映像合成部12に対して、舵角に対応する予想軌跡線の画像データと固定軌跡線の画像データを記憶手段10から読み出す旨の命令を行う。この固定軌跡線は、自車両が最大舵角で進行するときの予想軌跡線を意味する。
【0028】
次に、ステップS106に示すように、映像合成部12は、ステップS105で作成した合成映像に記憶手段10から読み出した左折用距離指標を重畳する。左折用距離指標は、自車両後端から後方に向かった距離を示す指標であり、所定距離毎に設けられる。そして、映像合成部12は、ステップS105、ステップS106で作成した映像を表示手段3に出力する。
【0029】
一方、ステップS104でNOの場合、判定部13は、自車両が交差点での右折を行おうとしていると判定して、映像合成部12に交差点右折用の合成映像を作成する命令を行う。そして、ステップS107に示すように、映像合成部12は、交差点の右折用合成映像を作成する。具体的には、映像合成部12は、映像取得手段9から取得した左右を含む前方の撮像映像を用いて自車両の右前端より右前方の位置から左方を見たときの合成映像を作成する。例えば、映像合成部12は、フロントカメラ2Aの撮像映像を視点変換して自車両の右前端より右前方の位置から左方を見たときの合成映像を作成する。そして、映像合成部12は、舵角に応じて変化する交差点右折用の予想軌跡線をこの合成映像に重畳する。交差点右折用の予想軌跡線は、自車両の左右前輪の予想軌跡線、または、左前輪と右後輪の予想軌跡線に設定される。判定部13は、舵角センサ4から入力された舵角に基づいて、映像合成部12に対して、舵角に対応する予想軌跡線の画像データを記憶手段10から読み出す旨の命令を行う。なお、この交差点右折用の予想軌跡線は、自車両の左右前端の予想軌跡線に設定されてもよい。
【0030】
次に、ステップS108に示すように、映像合成部12は、ステップS107で作成した合成映像に記憶手段10から読み出した右折用距離指標を重畳する。右折用距離指標は、自車両左端から左方に向かった距離を示す指標であり、所定距離毎に設けられる。そして、映像合成部12は、ステップS107、ステップS108で作成した映像を表示手段3に出力する。
【0031】
また、ステップS103でNOの場合、判定部13は、自車両が車線変更を行おうとしていると判定する。そして、ステップS109に示すように、判定部13は、ウインカ8からの入力信号に基づいてウインカ8の指示先が左方向であるか判定する。
【0032】
ステップS109でYESの場合、判定部13は、自車両が左車線変更を行おうとしていると判定して、映像合成部12に左車線変更用の合成映像を作成する命令を行う。
【0033】
そして、ステップS110に示すように、映像合成部12は、左車線変更用合成映像を作成する。具体的には、映像合成部12は、映像取得手段9から取得した自車両左方、後方の映像を並列に並べた合成映像を作成する。例えば、映像合成部12は、左サイドカメラ2Bの撮影映像と、リアカメラ2Dの撮影映像とを並列に並べる。
【0034】
次に、ステップS111に示すように、映像合成部12は、ステップS110で作成した合成映像に記憶手段10から読み出した左車線変更用距離指標を重畳する。左車線変更用距離指標は、自車両後端から後方に向かった距離を示す指標であり、所定距離毎に設けられる。そして、映像合成部12は、ステップS110、ステップS111で作成した映像を表示手段3に出力する。
【0035】
一方、ステップS109でYESの場合、判定部13は、自車両が右車線変更を行おうとしていると判定して、映像合成部12に右車線変更用の合成映像を作成する命令を行う。
【0036】
そして、ステップS112に示すように、映像合成部12は、右車線変更用合成映像を作成する。具体的には、映像合成部12は、映像取得手段9から取得した自車両右方、後方の映像を並列に並べた合成映像を作成する。例えば、映像合成部12は、右サイドカメラ2Cが撮影した自車両右側方と後方を含んだ映像と、リアカメラ2Dが撮影した自車両後方の映像とを並列に並べる。
【0037】
次に、ステップS113に示すように、映像合成部12は、ステップS112で作成した合成映像に記憶手段10から読み出した右車線変更用距離指標を重畳する。右車線変更用距離指標は、自車両後端から後方に向かった距離を示す指標であり、所定距離毎に設けられる。そして、映像合成部12は、ステップS112、ステップS113で作成した映像を表示手段3に出力する。
【0038】
そして、ステップS114に示すように、判定部13は、ウインカ8からの入力信号に基づいてウインカ8が消灯しているか判定する。ステップS114でNOの場合、判定部13は、所定時間後に再度ステップS114の処理を繰り返す。一方、ステップS114でYESの場合、判定部13は、映像合成部12に映像出力の終了を命令して処理を終了する。これによって、表示手段3は、映像合成部12がステップS105、S107、S110、S112で作成した合成映像と、ステップS106、S108、S111、S113で重畳した距離指標とを画面から消去する。
【0039】
次に、交差点右左折用、右左折車線変更用の合成画像や距離指標の作成についてそれぞれ説明する。
【0040】
図4は、制御手段11が交差点での左折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図である。図5は、制御手段11が交差点での右折を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図である。図6は、制御手段11が左車線変更を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図である。図7は、制御手段11が右車線変更を判定した場合の合成画像をイメージで説明する図である。なお、図4〜図7において、紙面の上下の方向が実際の前後の方向を示し、紙面の左右の方向が実際の左右の方向を示す。
【0041】
まず、交差点左折時の合成画像や距離指標について説明する。
【0042】
図4に示すように、交差点左折時、映像合成部12は、自車両400の左前方、左側方、左後方を含んだ領域401を映す合成映像を作成する。このとき、映像合成部12は、左サイドカメラ2Bの撮像映像を用いて、自車両400の左前端よりも左前方から後方を見る視点402で視点変換した合成映像を作成する。
【0043】
この視点変換に際し、映像合成部12は、視点402から路面に対して垂直な投影面に左サイドカメラ2Bの撮像映像を投影する変換を行う。仮にこの投影面が垂直から傾いて
いる場合、合成映像中の領域401の接近物や障害物が実世界の形状に比べて倒れこんだ形状となる。このとき、合成映像中の領域401の接近物や障害物と実世界の形状との差異が大きくなって運転者の直感的な把握を妨げる。これを防ぐため、視点変換の際には、路面に対して垂直な投影面が用いられる。この垂直な投影面の利用によって、視点402が多少俯瞰方向のベクトル成分を有していても、領域401は自車両400の後方の領域を遠方まで含めることができる。したがって、交差点左折時、自車両400の左後方の障害物や接近物を漏れなく合成画像に含めることができる。これにより、運転者は、巻込み対象物を運転者が早期に認識することができる。
【0044】
領域401における自車両400の左前方に相当する部分には、少なくとも運転席から自車両400のピラーとを結んだ線が含まれていればよい。これにより、運転者にとって自車両400のピラー部分で隠れた死角領域を交差点左折用の合成映像で把握することができる。
【0045】
図4に示すように、交差点左折用合成映像には、現在の舵角に対応した自車両400の左後輪の予想軌跡線403と所定の舵角で固定されたときの自車両400の左後輪の固定軌跡線404とが重畳される。予想軌跡線403と固定軌跡線404が重なっている部分は、自車両400の左後輪を車軸方向外側に余裕値分延長した部分に相当する。交差点左折用合成映像への予想軌跡線403と固定軌跡線404の重畳によって、内輪差による自車両400の左後輪の路肩乗り上げ防止を図ることができる。
【0046】
また、図4に示すように、交差点左折用合成映像には、距離指標405〜407が重畳される。距離指標405〜407はそれぞれ水平方向の直線形状で構成される。その上で、距離指標405〜407は互いに区別できる形態に構成しても良い。例えば、色分け、実線/点線/破線による区別を行っても良い。また、距離指標405〜407には自車両400後端からの距離の値を重畳しても良い。以下の図面における距離指標についても同様なので、同様な点については詳細な説明を省略する。
【0047】
次に、交差点右折時の合成画像や距離指標について説明する。
【0048】
図5に示すように、交差点右折時、映像合成部12は、自車両500の右前方、左前方を含む領域501を映す合成映像を作成する。このとき、映像合成部12は、フロントカメラ2Aの撮像映像を用いて、自車両500の右前端より右前方の位置から左方を見る視点502で視点変換した合成映像を作成する。自車両500が位置する車線と交差する車線を走行する車両は、右折時に運転者の死角となりやすい左前方から接近する。視点502から見た合成映像によって、領域501は自車両500の左前方を遠方まで含めることができる。したがって、交差点右折時、自車両500の左前方の障害物や接近物を漏れなく合成画像に含めることができる。これにより、運転者は、右折時に自車両500への追突対象車両を早期に認識することができる。
【0049】
領域501における自車両500の左前方に相当する部分には、少なくとも運転席から自車両500のピラーとを結んだ線が含まれていればよい。これにより、運転者にとって自車両500のピラー部分で隠れた死角領域を交差点左折用の合成映像で把握することができる。
【0050】
図5に示すように、交差点右折用合成映像には、現在の舵角に対応した自車両500の左前輪の予想軌跡線503、右前輪の予想軌跡線504とが重畳される。予想軌跡線503と予想軌跡線504は、自車両500の左右前輪を車軸方向外側に余裕値分延長した位置から開始する。交差点右折用合成映像への予想軌跡線503と予想軌跡線504の重畳によって、自車両500の進行経路上の障害物を確認することができる。なお、判定部1
3は、運転状況に応じて映像合成部12による予想軌跡線503と予想軌跡線504の重畳を消しても良い。例えば、判定部13は、舵角センサ4から入力される舵角が所定以上になったとき、入力手段7から消去信号が入力されたとき、ギアポジションセンサ6から入力されるギア信号がパーキングからフォワードに変化したとき、運転者にとって予想軌跡線503と予想軌跡線504の必要性が低いと判定する。そして、判定部13は、映像合成部12に予想軌跡線503と予想軌跡線504の消去命令を行う。必要性の低い重畳画像の消去によって、合成画像の視認性を向上することができる。なお、この予想軌跡線503、504は、自車両の左右前端の予想軌跡線に設定されてもよい。
【0051】
また、図5に示すように、交差点右折用合成映像には、距離指標505〜507が重畳される。距離指標505〜507はそれぞれ垂直方向の直線形状で構成される。
【0052】
次に、左車線変更時の合成画像や距離指標について説明する。
【0053】
図6に示すように、左車線変更時、映像合成部12は、自車両600の左サイドカメラ2Bの撮像映像から一部を切り出した映像とリアカメラ2Dの撮像映像から一部を切り出した映像とを並列に並べた合成映像を作成する。領域601、領域602は、それぞれ左サイドカメラ2Bの撮像領域から一部を切り出した領域、リアカメラ2Dの撮像映像領域から一部を切り出した領域を示す。運転者にとって、車線変更時には自車両前方の映像を視認する必要性は低い。映像合成部12が左サイドカメラ2B、リアカメラ2Dの撮像映像を視点変換せずに必要性の高い特定の領域を並べただけの合成映像を表示手段3に出力することによって、表示手段3は左サイドカメラ2B、リアカメラ2Dの撮像映像を2画面表示することができる。そして、交差点右左折時よりも立体物の注視の必要性が高い車線変更時には、合成映像の表示による映像中の立体物の歪みや、合成映像の継ぎ目部分に死角が生じることを回避することができる。したがって、運転者は必要性の高い自車両の左側方と後方の領域について実世界と違和感無く視認することができる。
【0054】
また、図6に示すように、左車線変更用合成映像中、左サイドカメラ2Bの撮像映像には第1の距離指標603〜605、リアカメラ2Dの撮像映像には第2の距離指標606〜608が自車両後端から後方に向かって所定距離毎に重畳されている。映像合成部12がこの第1の距離指標603〜605、第2の距離指標606〜608の上下の位置をそれぞれ合わせた形態に設定することによって、表示手段3に2画面表示されている互いの表示映像の対応関係を運転者は容易に把握することができる。
【0055】
次に、右車線変更時の合成画像や距離指標について説明する。
【0056】
図7に示すように、右車線変更時、映像合成部12は、自車両700の右サイドカメラ2Cの撮像映像から一部を切り出した映像とリアカメラ2Dの撮像映像から一部を切り出した映像とを並列に並べた合成映像を作成する。領域701、領域702は、それぞれ右サイドカメラ2Cの撮像領域から一部を切り出した領域、リアカメラ2Dの撮像映像領域から一部を切り出した領域を示す。運転者にとって、車線変更時には自車両前方の映像を視認する必要性は低い。映像合成部12が右サイドカメラ2C、リアカメラ2Dの撮像映像を視点変換せずに必要性の高い特定の領域を並べただけの合成映像を表示手段3に出力することによって、表示手段3は右サイドカメラ2C、リアカメラ2Dの撮像映像を2画面表示することができる。したがって、運転者は必要性の高い自車両の右側方と後方の領域について実世界と違和感無く視認することができる。
【0057】
また、図7に示すように、右車線変更用合成映像中、右サイドカメラ2Cの撮像映像には第1の距離指標703〜705、リアカメラ2Dの撮像映像には第2の距離指標706〜708が重畳される。映像合成部12がこの第1の距離指標703〜705、第2の距
離指標706〜708の上下の位置をそれぞれ合わせた形態に設定することによって、表示手段3に2画面表示されている互いの表示映像の対応関係を運転者は容易に把握することができる。
【0058】
以上のように、本発明の映像合成部12、判定部13を有する制御手段11によれば、交差点での左折時には巻込みを考慮した合成映像、交差点での右折時には自車両の位置する車線に交差する車線の走行車両からの追突を考慮した合成映像、車線変更時には後方車両との衝突を考慮した合成映像、を表示手段3に出力することができる。したがって、交差点右左折時、右左折車線変更時に応じてそれぞれ異なる事故の危険性を運転者に注意喚起することができる。また、交差点右左折時、右左折車線変更時でそれぞれ異なる危険な領域を運転者は能動的な操作を必要とせずに確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の運転支援装置は、交差点右左折時、車線変更時に適切な視界支援を行うものとして有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 運転支援装置
2 撮像手段
3 表示手段
9 映像取得手段
12 映像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周囲の撮像映像を複数取得する映像取得手段と、
この映像取得手段が取得した複数の撮像映像を用いた合成映像を作成するとともにこの合成映像に案内画像を重畳可能な映像合成手段と
自車両の運転状況を取得する運転状況取得手段と、
この運転状況取得手段が取得した運転状況に基づいて、自車両が交差点で右左折するか、車線変更で右左折するかを判定し、この判定結果に基づいて前記映像合成手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が交差点での左折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両の左前端より左前方の位置から後方を見たときの合成映像を作成するとともに舵角に応じた自車両の左後輪の予想軌跡線を重畳し、
前記制御手段が交差点での右折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両の右前端より右前方の位置から左方を見たときの合成映像を作成し、
前記制御手段が車線変更での左折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両の左側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成し、
前記制御手段が車線変更での右折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両の右側方を撮影した撮像映像と自車両の後方を撮影した撮像映像とを並列した合成映像を作成することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記制御手段が交差点での左折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両後端から後方に向かって所定距離毎に距離指標を重畳し、
前記制御手段が交差点での右折を判定した場合、前記映像合成手段は自車両左端から左方に向かって所定距離毎に距離指標を重畳し、
前記制御手段が車線変更での左折を判定した場合、前記映像合成手段は並列した合成映像のそれぞれに対して自車両後端から後方に向かって所定距離毎に距離指標を重畳し、
前記制御手段が車線変更での右折を判定した場合、前記映像合成手段は並列した合成映像のそれぞれに対して自車両後端から後方に向かって所定距離毎に距離指標を重畳することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御手段が交差点での左折を判定した場合、前記映像合成手段はさらに自車両の左後輪の固定軌跡線を重畳することを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
自車両周囲を撮像する撮像手段と、前記映像合成手段が合成した合成映像を表示する表示手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168752(P2012−168752A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29360(P2011−29360)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】