運転評価システム、車載機及び情報処理センター
【課題】より実情に合った運転の評価を行なうことが可能な運転評価システム、車載機及び情報処理センターを提供する。
【解決手段】エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161及びエコ運転意識度推定部171が、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が再設定した評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【解決手段】エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161及びエコ運転意識度推定部171が、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が再設定した評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転評価システム、車載機及び情報処理センターに関し、特には、車両が運転される状況それぞれに対する車両のドライバーの運転を評価するための運転評価システム、車載機及び情報処理センターに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバーの運転を評価し、ドライバーの安全運転や低燃費運転(以下、エコ運転と呼ぶことがある)に対する意識を高めるための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、車両の運転状況を検出して記録し、記録した車両の運転状況に基づいて運転者の安全運転行為を判定し、その判定結果に基づいて運転者の安全運転度を評価し、評価結果の安全運転度を記録する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−225586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術においては、ドライバーの運転を評価する基準は、一般道路、高速道路、市街路、登坂路及び渋滞路といったそれぞれの運転状況において、一定の基準が設定されている。例えば、安全運転を評価する基準として、一般道路よりも高速道路では、車速の基準値が速く設定される。また、エコ運転を評価する基準として、一般道路よりも渋滞路では、燃費やアクセル操作量の基準値が高く設定される。そして、このような基準値は、通常、一般の車両が通行する道路又はテストコース等の幾つかの模擬コースを測定用の車両が走行し、その走行時に測定されたデータにより決定されている。
【0005】
しかしながら、上記のように、車両が運転される状況それぞれについて、一律に運転を評価する基準を設定した場合、実際の車両の走行においては、ドライバーが安全運転やエコ運転を意識した運転をしようとしても、困難な場合がある。現実には、同じ場所や同じ時刻であっても、速度などの自車両の状況や、渋滞のような周辺車両の影響により、安全運転やエコ運転を行う困難さは多様に変動する。そのため、装置やシステムにより決定された運転の評価結果と、ドライバーの運転に対する努力や意識とは、乖離が生じる。そのため、上記の技術のように、一律に運転を評価する基準を設定した場合には、運転の評価がドライバーの努力に合致していないため、ドライバーが違和感を覚える恐れがある。このような場合、最終的には、ドライバーが装置やシステムに不信感を抱き、装置やシステムを継続的に利用するに至らない。このようなことは、複数のドライバーが長期にわたって取り組む必要があるエコ運転において特に問題となる。
【0006】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能な運転評価システム、車載機及び情報処理センターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットと、評価基準再設定ユニットが再設定した評価基準によって、一の車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットとを備えた運転評価システムである。
【0008】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットが、一の車両が運転される状況、すなわち、道路線形や勾配などの走行路の状態、速度などの自車両の状態及び渋滞等の周辺車両の状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、評価ユニットが、評価基準再設定ユニットが再設定した評価基準によって、一の車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0009】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定し、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における評価値の確率分布と、一の車両が運転された状況における一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0010】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する。このため、統計的に当該状況における運転の困難さを定量化することができる。また、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における評価値の確率分布と、一の車両が運転された状況における一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価するため、統計に基づいて定量的に、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0011】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する。このため、運転の評価基準を、不特定多数の車両の運転の統計に基づいて、当該状況における運転の困難さをより実情に合うように定量化することができる。
【0013】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定することが好適である。
【0014】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定することが好適である。
【0015】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する。混合正規分布は、標本数を減らすことができる。このため、確率密度関数を推定する計算時間を短縮することが可能となる。
【0016】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定し、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における推定された一の車両のドライバーの意識状態と、一の車両が運転された状況における実際の一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0017】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、当該状況におけるドライバーの意識状態を適切に推定することができる。また、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における推定された一の車両のドライバーの意識状態と、一の車両が運転された状況における実際の一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価する。このため、ドライバーの意識状態と実際に行なわれた運転操作との関係においてドライバーの運転を評価することができ、ドライバーの運転に対する意識も含めた運転の評価を行なうことが可能となる。
【0018】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0019】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、一の車両のドライバー自身について、高い精度で意識状態を推定することが可能となる。
【0020】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0021】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、一の車両のドライバー自身について蓄積されたデータが少ない場合でも、ただちに一の車両のドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0022】
また、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定することが好適である。
【0023】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する。このため、ドライバーの意識状態に対する運転操作の因果関係を定量的に推定することが可能となる。
【0024】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定することが好適である。
【0025】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する。このため、推定のために蓄積されたデータが少ない場合でも、ドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0026】
また、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0027】
この構成によれば、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む。このため、車両が運転される時間又は場所に対するドライバーの運転を評価することができる。
【0028】
また、評価ユニットは、一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価することが好適である。
【0029】
上記本発明の運転評価システムは、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能であるため、ドライバーがシステムに対し違和感を抱き難く、当該システムの利用を継続し易い。そのため、長期間の取り組みが重要となるエコ運転を評価する際に特に効力を発揮する。
【0030】
一方、本発明は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価のたびに再設定された自車両のドライバーの運転の評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットを備えた車載機である。
【0031】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して推定された運転の評価値の確率分布であり、評価ユニットは、自車両が運転された状況における評価値の確率分布と、自車両が運転された状況における自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0032】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して推定された不特定多数の車両、及び自車両が運転される状況それぞれに対する自車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布であることが好適である。
【0033】
また、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定されたものであることが好適である。
【0034】
あるいは、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定されたものであることが好適である。
【0035】
また、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であり、評価ユニットは、自車両が運転された状況における推定された自車両のドライバーの意識状態と、自車両が運転された状況における実際の自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0036】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転操作の統計から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であることが好適である。
【0037】
あるいは、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であることが好適である。
【0038】
また、自車両のドライバーの意識状態は動的ベイジアンネットワークにより推定されたものであることが好適である。
【0039】
あるいは、自車両のドライバーの意識状態はサポートベクターマシンにより推定されたものであることが好適である。
【0040】
また、自車両が運転される状況は、自車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0041】
また、評価ユニットは、自車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価することが好適である。
【0042】
一方、本発明は、一の車両のドライバーの運転を評価するための評価基準を設定する情報処理センターであって、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットを備えた情報処理センターである。
【0043】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0044】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0045】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定することが好適である。
【0046】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定することが好適である。
【0047】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0048】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0049】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0050】
また、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定することが好適である。
【0051】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定することが好適である。
【0052】
また、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0053】
また、評価基準は、一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価するためのものであることが好適である。
【発明の効果】
【0054】
本発明の運転評価システム、車載機及び情報処理センターによれば、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態に係る運転診断システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転診断システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】図2のエコ運転確率密度の推定処理の手順を示すフロー図である。
【図4】燃費m、観測変数Z及び確率密度pの関係を示すグラフ図である。
【図5】燃費m、ある時刻tにおける観測変数Ztに対する確率密度pの確率密度関数を示すグラフ図である。
【図6】図2のエコ運転意識事前学習の手順を示すフロー図である。
【図7】エコ運転意識xと運転操作zとに関する状態遷移図である。
【図8】1つのエコ運転意識xに対する運転操作zを示す状態遷移図である。
【図9】運転操作xiの統計量と確率との関係を示すグラフ図である。
【図10】SVMを用いたエコ運転意識事前学習を示すフロー図である。
【図11】観測変数データx1,x2についてのエコ運転意識のサンプルデータを示すグラフ図である。
【図12】図12のグラフにおけるエコ運転意識のクラス分け関数を示す図である。
【図13】図2の熟練度推定の手順を示すフロー図である。
【図14】現在の燃費mtに対するエコ運転可能度を示すグラフ図である。
【図15】エコ運転可能度及び熟練度の表示例を示す図である。
【図16】動的ベイジアンネットワークを用いた図2のエコ運転意識度の推定の手順を示すフロー図である。
【図17】観測変数である運転操作zから意識状態xの事後確率を算出する手法に関する状態遷移図である。
【図18】SVMを用いたエコ運転意識度の推定の手順を示すフロー図である。
【図19】図13のクラス分け関数を用いたエコ運転意識の有無の判定を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転評価システムについて説明する。
【0057】
図1に示すように、本実施形態の運転評価システム10は、車載システム100と情報処理センター200とを備える。本実施形態の運転評価システムは、自車両のドライバーのエコ運転の達成度や、エコ運転に対する意識を評価するためのシステムである。具体的には、本実施形態では、自車両のドライバーに対して、ドライバーのエコ運転可能度、熟練度及びエコ運転意識度が表示され、これらの指標に基づくアドバイスが自車両のドライバーに与えられる。
【0058】
エコ運転可能度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、自車両のドライバーが燃費等の運転の評価値を改善できる度合を示す指標である。エコ運転可能度が小さいときは、ドライバーに対して、現状のままの運転を促すアドバイスが与えられる。一方、エコ運転可能度が大きいときは、ドライバーに対して、エコ運転をより実現するようなアドバイスが与えられる。
【0059】
熟練度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、ドライバーがどのくらいエコ運転に長けているかを表す指標である。熟練度が低いときは、ドライバーに対して、エコ運転の水準が未熟である旨のアドバイスが与えられる。一方、熟練度が高いときは、ドライバーに対して、エコ運転の水準が高い旨のアドバイスが与えられる。
【0060】
エコ運転意識度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、自車両のドライバーがエコ運転を意識して運転操作を行っているか否かの度合を示す指標である。エコ運転意識度が低いときは、ドライバーに対して、エコ運転を意識させるようなアドバイスが与えられる。一方、エコ運転意識度が高いときは、ドライバーに対して、さらにエコ運転意識度を高めるように、より的確なアドバイスが与えられる。
【0061】
車載システム100は、各々の車両に搭載される車載機である。車載システム100は、アクセル開度センサ111、燃料噴出量センサ112、ブレーキセンサ113、車速センサ114、エンジン回転数センサ115、Gセンサ116、GPS(Global Positioning System)117、車間距離計測装置118及びVICS(Vehicle Information and Communication System)119等のセンサ類を有する。アクセル開度センサ111は、自車両のアクセル開度を検出するセンサである。燃料噴出量センサ112は、シリンダー内への燃料噴射量を検出するセンサである。ブレーキセンサ113は、自車両のブレーキペダル操作量や、ホイールへの制動力を検出するセンサである。車速センサ114は、ホイールの車軸の回転速度から自車両の車速を検出するセンサである。エンジン回転数センサ115は、自車両のエンジンの回転数を検出するセンサである。Gセンサ116は、自車両の加速度や、自車両が走行する道路の勾配を検出するセンサである。GPS117は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信し、各々の信号の相違から自車両の位置を測位するためのものである。車間距離計測装置118は、レーザ光やミリ波を用いて前方の車両や障害物との距離を測定するためのものである。VICS119は、FM多重放送や道路上の光ビーコン送信機等から受信した交通情報を図形・文字で表示するためのシステムである。なお、その他のセンサ類を用いて、天候や走行時間帯など、ドライバーの運転操作に影響を与えるであろう他の要因を検出するようにしても良い。
【0062】
車載システム100は、シーン特定部121を有する。アクセル開度センサ111〜GPS117の検出結果は、シーン特定部121に送信される。シーン特定部121では、GPS117等で特定した自車両の位置と、不図示の地図情報とを用いることで、自車両の走行路の特定を行なう。また、シーン特定部121では、走行路の他の自車両が運転される状況や、車速、アクセル開度等のドライバーの運転操作を特定する。
【0063】
車載システム100は、走行データアップロード処理部131を有する。シーン特定部121で特定された走行路や、自車両が運転される状況や、ドライバーの運転操作に関する情報は、走行データアップロード処理部131に送信される。走行データアップロード処理部131は、シーン特定部121で特定された自車両が運転される状況に関する情報を、情報処理センター200にアップロードする形式に変換する。
【0064】
車載システム100は、通信制御部141を有する。走行データアップロード処理部131で変換された走行路や、自車両が運転される状況や、ドライバーの運転操作に関する情報は、通信制御部141により情報処理センター200にアップロードされる。また、通信制御部114は、情報処理センター200から、後述するエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果をダウンロードする。
【0065】
車載システム100は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151を有する。エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151は、情報処理センター200からダウンロードされたエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果が記録される。
【0066】
車載システム100は、エコ運転可能度・熟練度推定部161を有する。エコ運転可能度・熟練度推定部161は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録されたエコ運転確率密度と、アクセル開度センサ111等のセンサから検出された自車両のドライバーの運転とを比較し、後述するエコ運転可能度及び熟練度を求める。
【0067】
車載システム100は、エコ運転意識度推定部171を有する。エコ運転意識度推定部171は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録されたエコ運転意識事前学習結果と、自車両のドライバーの運転操作とから、後述するドライバーのエコ運転意識度の推定を行う。
【0068】
車載システム100は、ディスプレイ181及びスピーカ182を有する。ディスプレイ181及びスピーカ182は、エコ運転可能度・熟練度推定部161が推定したエコ運転可能度及び熟練度、並びにエコ運転意識度推定部171が推定したエコ運転意識度を、ドライバーに表示する。
【0069】
一方、情報処理センター200は、通信制御部211、ユーザ全体走行履歴DB221、エコ運転確率密度推定部231、エコ運転意識事前学習部241、エコ運転可能度DB251及びエコ運転意識事前学習結果DB261を有する。通信制御部211は、自車両やその他の車両に搭載された車載システム100から、本実施形態の運転評価システム10のユーザ(登録された会員とすることができる)それぞれの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報を受信する。
【0070】
ユーザ全体走行履歴DB221は、通信制御部211が受信した各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報を記録する。エコ運転確率密度推定部231は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報に基づいて、後述するように、エコ運転に関する燃費等の評価値の確率分布であるエコ運転確率密度を推定する。
【0071】
エコ運転意識事前学習部241は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報に基づいて、車載システム100でのエコ運転意識度の推定に用いるエコ運転意識事前学習結果を算出する。
【0072】
エコ運転可能度DB251は、エコ運転確率密度推定部231が推定したエコ運転確率密度を記録する。エコ運転意識事前学習結果DB261は、エコ運転意識事前学習部241が算出したエコ運転事前学習結果を記録する。エコ運転可能度DB251に記録されたエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果DB261に記録されたエコ運転意識事前学習結果は、通信制御部211により車載システム100に送信される。
【0073】
以下、本実施形態の運転評価システム10の動作について説明する。まず、図2を参照して、本実施形態の運転評価システム10の動作の概略について説明する。図2に示すように、車載システム100のシーン特定部121は、GPS117等で特定した自車両の位置情報あるいは地図情報を用いることで、自車両の走行路の特定を行なう(S1)。走行路を特定する手法は、GPS117の位置情報で特定する手法、地図情報における経路ごとに特定する手法、所定の時刻ごと特定する手法、及び距離ごとに特定する手法が考えられる。走行路を特定する手法は、情報処理センター200にアップロードするデータ量に対する通信の制約や、エコ運転可能度・熟練度の判定やエコ運転意識度推定で用いるデータ量とドライバーへ提示する情報量とにより決定される。
【0074】
車載システム100の走行データアップロード処理部131は、特定された走行路と、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得した自車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報とを、情報処理センター200にアップロードする形式に変換する。変換されたデータは、通信制御部141により情報処理センター200にアップロードされる(S2)。この場合のアップロードされるデータの形式は、通信の制約や、エコ運転可能度・熟練度の判定やエコ運転意識度推定の処理に依存する。例えば、通信制約がある場合、走行データアップロード処理部131は、走行経路ごとのアクセル開度分布や加速度分布のように、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得したデータを変換する。しかし、通信の制約等がない場合、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得したデータをそのまま情報処理センター200にアップロードすることも可能である。
【0075】
情報処理センター200の通信制御部211は、アップロードされたデータを受信し、ユーザ全体走行履歴DB221に記録する(S3)。このようにして、情報処理センター200では、自車両の他、不特定多数のユーザから同様のデータの収集を行なう。
【0076】
情報処理センター200のエコ運転確率密度推定部231は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された情報を基に、エコ運転確率密度を推定する(S4)。エコ運転確率密度は、後に詳述するように、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻において、1つ、又は複数の加速度、速度、アクセル開度等の観測変数を用いて、不特定多数のドライバーの運転の燃費等の評価値の確率分布を推定することにより行なわれる。但し、一般的に車種ごとに車両特性が変わるため、確率分布の推定は車種ごとに行うことも考えられる。
【0077】
情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された情報を基に、エコ運転意識事前学習結果を算出する(S5)。エコ運転意識事前学習結果の算出は、後に詳述するように、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻における特定のあるいは不特定多数のドライバーの運転操作から、当該ドライバーのエコ運転に関する意識を推定することにより行われる。
【0078】
情報処理センター200の通信制御部211は、エコ運転確率密度推定部231が推定したエコ運転確率密度と、エコ運転意識事前学習部241が算出したエコ運転意識事前学習結果とを、車載システム100に送信する処理を行う(S6)。
【0079】
車載システム100の通信制御部141は、情報処理センター200から送信されたある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果を受信し、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録する(S7)。
【0080】
車載システム100のエコ運転可能度・熟練度推定部161は、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転確率密度と、当該走行経路等における自車両のドライバーの運転とを比較し、エコ運転可能度及び熟練度を求める(S8)。なお、ドライバーの運転を評価するための評価値は、情報処理センター200のエコ運転確率密度推定部231におけるエコ運転確率密度の算出方法や、車載システム100のディスプレイ181等によるドライバーへの情報提示の方法によって決まる。通常は、評価値として燃費、アクセル開度、加速度等が用いられる。
【0081】
車載システム100のエコ運転意識度推定部171は、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転意識事前学習結果と、当該走行経路等におけるドライバーの実際の運転操作(アクセル操作やブレーキ操作等)とから、ドライバーのエコ運転意識度の推定を行う(S9)。
【0082】
この後は、車載システム100のディスプレイ181やスピーカ182は、エコ運転可能度・熟練度推定部161により求められたエコ運転可能度及び熟練度をドライバーに対して表示する。車載システム100のディスプレイ181やスピーカ182は、エコ運転意識度推定部171により求められたエコ運転意識度に従って、ドライバーに対してアドバイスを行なう。
【0083】
以下、本実施形態の運転評価システム10の動作の詳細について、特に、図2におけるS4のエコ運転確率密度推定、S5のエコ運転意識事前学習、S8のエコ運転可能度・熟練度推定、及びS9のエコ運転意識度推定について説明する。
【0084】
(エコ運転確率密度推定)
図2におけるS4のエコ運転確率密度推定では、図3に示すように、エコ運転確率密度推定部231は、ある場所、ある時刻等の走行履歴情報をユーザ全体走行履歴DB221から取得する(S41)。この場合、車載システム100の側で前回の処理により導出されたエコ運転可能度のデータを情報処理センター200が受信することによって、走行履歴情報を時刻や車両ごと等にさらに所得することも可能である。
【0085】
エコ運転確率密度推定部231は、観測変数Zについて、運転の評価値の確率密度関数を推定する(S42)。ここで、観測変数Zとは、ユーザ全体走行履歴DBから取得した運転の状況に関する変数である。観測変数Zには、道路勾配、道路線形当の静的周囲状況と、前後車両との車間距離、渋滞情報等の動的周囲状況と、ステアリング操作、アクセル開度等の運転行動と、速度、加速度等の車両状況とに分けられる。
【0086】
エコ運転確率密度推定部231は、これらの観測変数Zについて、例えば図4に示すような、時刻tにおける観測変数ZがZ=Ztである状況において、図5に示すような確率密度関数p(m|Zt)を推定する。ただし、図4及び図5の例では、運転の評価値として横軸のパラメータを燃費m(L/km)としているが、加速度、アクセル開度等のパラメータを用いることも可能である。
【0087】
エコ運転確率密度推定部231は、確率密度関数pの推定をカーネル密度推定で行う。下式(1)に、k個の多変数の場合の確率密度関数pを示す。
【数1】
【0088】
一方、エコ運転確率密度推定部231は、確率密度関数pの推定を、下式(2)で示される混合正規分布近似を用いて行なっても良い。EM(Exception-Maximization)アルゴリズムを用いた混合正規分布近似によれば、確率密度関数pの推定をリアルタイムに行い、計算時間を短縮することが可能となる。下式(2)によれば、一点の確率を求めるためにN回の計算が必要である。N個点の確率は、N×Nである。
【数2】
【0089】
下式(3)によれば、一点の確率を求めるためにM回の計算が必要である。N個点の確率は、N×Mである。
【数3】
【0090】
初期値μr,ωrが与えられた場合、条件付確率pr(Z=r)は下式(4)のようになる。
【数4】
【0091】
更新値は下式(5)のようになる。再度、式(4)による計算が繰り返される。
【数5】
【0092】
なお、以上の例では、不特定多数のユーザのデータから確率密度関数pを推定したが、自車両のドライバー固有のデータに基づいて、確率密度関数pを推定しても良い。
【0093】
(エコ運転意識事前学習)
図2におけるS5のエコ運転意識事前学習では、図6に示すように、情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241は、動的ベイジアンネットワークの手法を用いて、自車両のドライバーに固有のエコ運転意識の学習データ、あるいは不特定多数のドライバーのエコ運転意識の学習データを算出する。このような動的ベイジアンネットワークあるいは後述のサポートベクターマシンを用いた学習に使用するデータは、図1及び図2に示すように、実際の道路を走行する車両からフィールドデータとして収集することも可能であるし、テストコース等で試走を行い、収集されたデータから学習することも可能である。
【0094】
図6に示すように、動的ベイジアンネットワークの手法によるエコ運転意識事前学習において、エコ運転意識事前学習部241は、尤度モデルの事前学習を行なう(S51)。エコ運転意識事前学習部241は、遷移モデルの学習を行なう(S52)。エコ運転意識事前学習部241は、意識状態の事前確率の学習を行なう(S53)。
【0095】
ここで、図7に示すように、運転操作ztの集合に対する意識状態xtの尤度をp(zt|xt)と定義する。運転操作ztとしては、図8に示すように、例えば、アクセル開度z1、ブレーキ踏み込み量z2等として、ある地点の瞬間値又は統計量(標準偏差等)を用いる。ある地点は、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、尤度分布は、運転操作zt間の独立性を仮定して、下式(6)のようにし、図9に示すようなヒストグラムにてモデル化することができる。
【数6】
【0096】
また、意識状態xの遷移モデルをp(xt|xt−1)と定義する。ここでは、1次マルコフ連鎖を仮定する。しかし、より高次のモデルを仮定しても良い。さらに意識状態xの事前確率をp(x0)と定義する。さらに、以下のように定義する。
n:n番目の走行データ
N:走行データ数、
τ:対象走行データ中のフレーム番号
Tn:n番目の走行データ中のフレーム数
zi,n,τ:n番目の走行データのτ番目のフレームでの運転操作iの統計量
xn,τ:n番目の走行データのτ番目のフレームでのエコ意識状態
δ(C):条件Cが真なら1、偽なら0を返す関数。
【0097】
尤度モデルの事前学習は、下式(7)のようにして行なうことができる。
【数7】
【0098】
遷移モデルの学習は、下式(8)のようにして行なうことができる。
【数8】
【0099】
意識状態xの事前確率の学習は、下式(9)のようにして行なうことができる。
【数9】
【0100】
一方、エコ運転意識事前学習部241は、図10に示すように、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:以下、SVMと呼ぶことがある)を用いてエコ運転意識事前学習を行っても良い(S501)。図11に2つの観測変数x1,x2についてのデータが得られている例を示す。x=[x1 x2]T、a=[a1 a2]T、ξiを2クラスに分類する関数とデータとの距離として、図11のデータにソフトマージンSVMの手法を適用すると、図12に示すようになる。図12に示すソフトマージンSVMでは、下記の下式(10)に示す評価関数Lが最小となるように、a,bを求め、エコ意識のON及びOFFの境界を求める。下式(10)において、lはマージンを破ったデータ数であり、Cは、マージンを破るコストの重み(ペナルティーパラメータ、定数)である。ここでCは定数であり、クラス分けが最適になるように任意に決定される。
【数10】
【0101】
以上のエコ運転意識事前学習においては、自車両のドライバー個人のデータのみを用いてドライバー個人に特化したモデルを算出することができる。この場合、当該ドライバーについての認識精度が高くなる利点がある。一方、不特定多数のドライバーのデータを用いて、汎用のモデルを算出することもできる。この場合、未知のドライバーに対しても、直ちに認識を開始可能であるという利点がある。
【0102】
(エコ運転可能度・熟練度推定)
図2におけるS8のエコ運転可能度・熟練度推定では、図13に示すように、車載システム100のエコ運転可能度・熟練度推定部161は、ある場所及びある時刻のエコ運転可能度をエコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151から取得する(S81)。ここで、ある場所とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、同様に、ある時刻とは、任意に決定する時間帯により定義することができる。S81における処理は、上記のように定義され、図2におけるS4のエコ運転確率密度推定で推定された確率密度に関する情報をエコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151から取得する処理である。
【0103】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、上記のある場所及びある時刻と同じ場所及び時刻におけるアクセル開度センサ111〜GPS117から得られた自車両の情報を計算する(S82)。ここで、ユーザである自車両のドライバーに提示する情報が、燃費に基づく熟練度であるなら、燃費の計算を行う。しかし、前後の加速度、アクセル開度、ブレーキ操作量等のエコ運転に関わる操作量に基づいたエコ運転可能度及び熟練度の計算も可能であるため、そのような場合は、それらの情報を計算する。
【0104】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S81で取得したエコ運転確率密度とS82で計算した自車両の情報とを比較し、エコ運転可能度を計算する(S83)。ある地点及びある時刻のエコ運転可能度ctは、図14及び下式(11)によって求められる。この場合のある場所とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、同様に、ある時刻とは、任意に決定する時間帯により定義することができる。また、図14の例では、エコ運転の評価値として燃費[L/km]を利用しているが、加速度、アクセル開度等の他のパラメータを用いることも可能である。
【数11】
【0105】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S83で求めたエコ運転可能度を利用して熟練度を計算する(S84)。この場合の計算方法は、下式(12)〜(15)の方法が考えられる。
【数12】
【0106】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S83及びS84で求めたエコ運転可能度及び熟練度をユーザである自車両のドライバーにディスプレイ181等で表示する(S85)。ディスプレイ181への表示は、例えば図15に示すようなメータによる表示を模して行なうことができる。また、エコ運転可能度及び熟練度のユーザへの提示は、図15のような態様に限定されず、文字や音声をディスプレイ181やスピーカ182より出力することにより行なうことができる。
【0107】
(エコ運転意識推定)
図2におけるS9のエコ運転意識度推定では、図16に示すように、車載システム100のエコ運転意識推定部171は、動的ベイジアンネットワークの手法を用いて、自車両のドライバーのエコ運転意識を推定する。エコ運転意識推定部171は、時刻t=0での意識状態確率=事前確率とする(S91)。エコ運転意識推定部171は、tに1を加算する(S92)。
【0108】
エコ運転意識推定部171は、現時刻tでの各観測変数の統計量を算出する(S93)。観測変数には、ある地点の自車両の運転に関する情報である例えば、アクセル開度、ブレーキ踏み込み量等を用いる。ある地点とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。現時刻tでの各観測変数の統計量は、現時刻tでの観測変数iの統計量zi,tとした場合に、瞬間値や移動標準偏差などが考えられる。現時刻tでの観測変数iの観測値をOi,tとすると、統計量zi,tの瞬間値及び移動標準偏差は、下式(16)により算出することができる。
【数13】
【0109】
エコ運転意識推定部171は、図17に示すような現時刻tでの意識状態の事後確率を算出する(S94)。事後確率は、下式(17)により算出することができる。上述のように、下式(17)中で、p(zt|xt)は意識状態xtの観測値ztに対する尤度であり、P(xt|xt−1)は意識状態xの遷移モデルである。
【数14】
【0110】
エコ運転意識推定部171は、エコ意識の有無の判定を行う(S95)。エコ意識の有無の判定は、下式(18)により、算出することができる。エコ運転意識推定部171は、推定が終了するまで、S92〜S95の処理を繰り返す(S96)。
【数15】
【0111】
一方、エコ運転意識推定部171は、図18に示すように、サポートベクターマシンを用いてエコ運転意識度推定を行っても良い。エコ運転意識推定部171は、エコ運転意識推定部171は、時刻t=0での意識状態確率=事前確率とする(S901)。エコ運転意識推定部171は、tに1を加算する(S902)。エコ運転意識推定部171は、上記の動的ベイジアンネットワークの場合と同様に、現時刻tでの各観測変数の統計量を算出する(S903)。
【0112】
エコ運転意識推定部171は、SVMによりエコ意識の有無を判定する(S904)。エコ意識の有無は、上述の図12に示すように、情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241がソフトマージンSVMを用いた事前学習結果で求めたエコ意識の有無のクラス分け関数を用いて判定する。図19は、エコ意識の有無の判定結果を示し、観測変数が2変数でエコ意識有りと判定した例である。図19中にプロットされた入力データは、S903で求めた観測変数の統計量である。エコ運転意識推定部171は、このようにエコ運転意識のクラス分け関数により、入力データがエコ運転意識有りのクラスに分類される場合は、エコ運転意識が有ると判定する。エコ運転意識推定部171は、推定が終了するまで、S92〜S95の処理を繰り返す(S905)。
【0113】
本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161及びエコ運転意識度推定部171が、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が再設定した評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0114】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する。このため、統計的に当該状況における運転の困難さを定量化することができる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161は、自車両が運転された状況における評価値の確率分布と、自車両が運転された状況における自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価するため、統計に基づいて定量的に、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0115】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両の運転の評価値の確率分布を推定する。このため、運転の評価基準を、不特定多数の車両の運転の統計に基づいて、当該状況における運転の困難さをより実情に合うように定量化することができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する。
【0117】
あるいは本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転、又は同じ車種の不特定多数のドライバーの運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する。混合正規分布は、標本数を減らすことができる。このため、確率密度関数を推定する計算時間を短縮することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、当該状況におけるドライバーの意識状態を適切に推定することができる。また、エコ運転意識度推定部171は、自車両が運転された状況における推定された自車両のドライバーの意識状態と、自車両が運転された状況における実際の自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、ドライバーの意識状態と実際に行なわれた運転操作との関係においてドライバーの運転を評価することができ、ドライバーの運転に対する意識も含めた運転の評価を行なうことが可能となる。
【0119】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転操作の統計から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、自車両のドライバー自身について、高い精度で意識状態を推定することが可能となる。
【0120】
あるいは、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、自車両のドライバー自身について蓄積されたデータが少ない場合でも、ただちに自車両のドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、自車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する。このため、ドライバーの意識状態に対する運転操作の因果関係を定量的に推定することが可能となる。
【0122】
あるいは、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、自車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する。このため、推定のために蓄積されたデータが少ない場合でも、ドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態によれば、自車両が運転される状況は、自車両の運転される時間及び場所を含む。このため、車両が運転される時間及び場所に対するドライバーの運転を評価することができる。
【0124】
また、本実施形態の運転評価システム10、車載システム100及び情報処理センター200は、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能であるため、ドライバーがシステムに対し違和感を抱き難く、当該システムの利用を継続し易い。そのため、長期間の取り組みが重要となるエコ運転を評価する際に特に効力を発揮する。
【0125】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、車載システム100と情報処理センター200との間のエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果等の情報の交換は、通信制御部141,211による無線通信により行なわれていたが、本発明では、当該情報の交換を、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−R、フラッシュメモリ、USBメモリ、リムーバルハードディスク等のリムーバルメディアを、ドライバーが情報処理センター200に接続可能な端末に取り付けることによっても行なうことが可能である。
【0126】
また、上記実施形態において、車載システム100と情報処理センター200とがそれぞれ有する構成要素は、車載システム100と情報処理センター200とのいずれに備えられていても良い。例えば、車載システム100には、アクセル開度センサ111等のセンサと、ディスプレイ171等のドライバーへの表示手段と、通信制御部141のみが搭載され、それ以外の構成要素は情報処理センター200が全て有するようにされていても良い。あるいは、情報処理センター200を用いず、車載システム100のみに運転評価システム10の全ての構成要素が含まれる態様も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
10…運転評価システム、100…車載システム、111…アクセル開度センサ、112…燃料噴出量センサ、113…ブレーキセンサ、114…車速センサ、115…エンジン回転数センサ、116…Gセンサ、117…GPS、118…車間距離計測装置、119…VICS、121…シーン特定部、131…走行データアップロード処理部、141…通信制御部、151…エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB、161…エコ運転可濃度・熟練度推定部、171…エコ運転意識度推定部、181…ディスプレイ、182…スピーカ、200…情報処理センター、211…通信制御部、221…ユーザ全体走行履歴DB、231…エコ運転確率密度推定部、241…エコ運転意識事前学習部、251…エコ運転可能度DB、261…エコ運転意識事前学習結果DB。
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転評価システム、車載機及び情報処理センターに関し、特には、車両が運転される状況それぞれに対する車両のドライバーの運転を評価するための運転評価システム、車載機及び情報処理センターに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバーの運転を評価し、ドライバーの安全運転や低燃費運転(以下、エコ運転と呼ぶことがある)に対する意識を高めるための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、車両の運転状況を検出して記録し、記録した車両の運転状況に基づいて運転者の安全運転行為を判定し、その判定結果に基づいて運転者の安全運転度を評価し、評価結果の安全運転度を記録する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−225586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術においては、ドライバーの運転を評価する基準は、一般道路、高速道路、市街路、登坂路及び渋滞路といったそれぞれの運転状況において、一定の基準が設定されている。例えば、安全運転を評価する基準として、一般道路よりも高速道路では、車速の基準値が速く設定される。また、エコ運転を評価する基準として、一般道路よりも渋滞路では、燃費やアクセル操作量の基準値が高く設定される。そして、このような基準値は、通常、一般の車両が通行する道路又はテストコース等の幾つかの模擬コースを測定用の車両が走行し、その走行時に測定されたデータにより決定されている。
【0005】
しかしながら、上記のように、車両が運転される状況それぞれについて、一律に運転を評価する基準を設定した場合、実際の車両の走行においては、ドライバーが安全運転やエコ運転を意識した運転をしようとしても、困難な場合がある。現実には、同じ場所や同じ時刻であっても、速度などの自車両の状況や、渋滞のような周辺車両の影響により、安全運転やエコ運転を行う困難さは多様に変動する。そのため、装置やシステムにより決定された運転の評価結果と、ドライバーの運転に対する努力や意識とは、乖離が生じる。そのため、上記の技術のように、一律に運転を評価する基準を設定した場合には、運転の評価がドライバーの努力に合致していないため、ドライバーが違和感を覚える恐れがある。このような場合、最終的には、ドライバーが装置やシステムに不信感を抱き、装置やシステムを継続的に利用するに至らない。このようなことは、複数のドライバーが長期にわたって取り組む必要があるエコ運転において特に問題となる。
【0006】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能な運転評価システム、車載機及び情報処理センターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットと、評価基準再設定ユニットが再設定した評価基準によって、一の車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットとを備えた運転評価システムである。
【0008】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットが、一の車両が運転される状況、すなわち、道路線形や勾配などの走行路の状態、速度などの自車両の状態及び渋滞等の周辺車両の状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、評価ユニットが、評価基準再設定ユニットが再設定した評価基準によって、一の車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0009】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定し、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における評価値の確率分布と、一の車両が運転された状況における一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0010】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する。このため、統計的に当該状況における運転の困難さを定量化することができる。また、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における評価値の確率分布と、一の車両が運転された状況における一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価するため、統計に基づいて定量的に、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0011】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する。このため、運転の評価基準を、不特定多数の車両の運転の統計に基づいて、当該状況における運転の困難さをより実情に合うように定量化することができる。
【0013】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定することが好適である。
【0014】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定することが好適である。
【0015】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する。混合正規分布は、標本数を減らすことができる。このため、確率密度関数を推定する計算時間を短縮することが可能となる。
【0016】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定し、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における推定された一の車両のドライバーの意識状態と、一の車両が運転された状況における実際の一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0017】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、当該状況におけるドライバーの意識状態を適切に推定することができる。また、評価ユニットは、一の車両が運転された状況における推定された一の車両のドライバーの意識状態と、一の車両が運転された状況における実際の一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、一の車両のドライバーの運転を評価する。このため、ドライバーの意識状態と実際に行なわれた運転操作との関係においてドライバーの運転を評価することができ、ドライバーの運転に対する意識も含めた運転の評価を行なうことが可能となる。
【0018】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0019】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、一の車両のドライバー自身について、高い精度で意識状態を推定することが可能となる。
【0020】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0021】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、一の車両のドライバー自身について蓄積されたデータが少ない場合でも、ただちに一の車両のドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0022】
また、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定することが好適である。
【0023】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する。このため、ドライバーの意識状態に対する運転操作の因果関係を定量的に推定することが可能となる。
【0024】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定することが好適である。
【0025】
この構成によれば、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する。このため、推定のために蓄積されたデータが少ない場合でも、ドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0026】
また、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0027】
この構成によれば、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む。このため、車両が運転される時間又は場所に対するドライバーの運転を評価することができる。
【0028】
また、評価ユニットは、一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価することが好適である。
【0029】
上記本発明の運転評価システムは、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能であるため、ドライバーがシステムに対し違和感を抱き難く、当該システムの利用を継続し易い。そのため、長期間の取り組みが重要となるエコ運転を評価する際に特に効力を発揮する。
【0030】
一方、本発明は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価のたびに再設定された自車両のドライバーの運転の評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットを備えた車載機である。
【0031】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して推定された運転の評価値の確率分布であり、評価ユニットは、自車両が運転された状況における評価値の確率分布と、自車両が運転された状況における自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0032】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して推定された不特定多数の車両、及び自車両が運転される状況それぞれに対する自車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布であることが好適である。
【0033】
また、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定されたものであることが好適である。
【0034】
あるいは、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定されたものであることが好適である。
【0035】
また、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であり、評価ユニットは、自車両が運転された状況における推定された自車両のドライバーの意識状態と、自車両が運転された状況における実際の自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価することが好適である。
【0036】
この場合、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転操作の統計から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であることが好適である。
【0037】
あるいは、自車両のドライバーの運転の評価基準は、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から推定された自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態であることが好適である。
【0038】
また、自車両のドライバーの意識状態は動的ベイジアンネットワークにより推定されたものであることが好適である。
【0039】
あるいは、自車両のドライバーの意識状態はサポートベクターマシンにより推定されたものであることが好適である。
【0040】
また、自車両が運転される状況は、自車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0041】
また、評価ユニットは、自車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価することが好適である。
【0042】
一方、本発明は、一の車両のドライバーの運転を評価するための評価基準を設定する情報処理センターであって、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットを備えた情報処理センターである。
【0043】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0044】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定することが好適である。
【0045】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定することが好適である。
【0046】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定することが好適である。
【0047】
また、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0048】
この場合、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0049】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、評価基準として、一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、一の車両が運転される状況それぞれに対する一の車両のドライバーの意識状態を推定することが好適である。
【0050】
また、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定することが好適である。
【0051】
あるいは、評価基準再設定ユニットは、一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定することが好適である。
【0052】
また、一の車両が運転される状況は、一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含むことが好適である。
【0053】
また、評価基準は、一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価するためのものであることが好適である。
【発明の効果】
【0054】
本発明の運転評価システム、車載機及び情報処理センターによれば、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態に係る運転診断システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転診断システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】図2のエコ運転確率密度の推定処理の手順を示すフロー図である。
【図4】燃費m、観測変数Z及び確率密度pの関係を示すグラフ図である。
【図5】燃費m、ある時刻tにおける観測変数Ztに対する確率密度pの確率密度関数を示すグラフ図である。
【図6】図2のエコ運転意識事前学習の手順を示すフロー図である。
【図7】エコ運転意識xと運転操作zとに関する状態遷移図である。
【図8】1つのエコ運転意識xに対する運転操作zを示す状態遷移図である。
【図9】運転操作xiの統計量と確率との関係を示すグラフ図である。
【図10】SVMを用いたエコ運転意識事前学習を示すフロー図である。
【図11】観測変数データx1,x2についてのエコ運転意識のサンプルデータを示すグラフ図である。
【図12】図12のグラフにおけるエコ運転意識のクラス分け関数を示す図である。
【図13】図2の熟練度推定の手順を示すフロー図である。
【図14】現在の燃費mtに対するエコ運転可能度を示すグラフ図である。
【図15】エコ運転可能度及び熟練度の表示例を示す図である。
【図16】動的ベイジアンネットワークを用いた図2のエコ運転意識度の推定の手順を示すフロー図である。
【図17】観測変数である運転操作zから意識状態xの事後確率を算出する手法に関する状態遷移図である。
【図18】SVMを用いたエコ運転意識度の推定の手順を示すフロー図である。
【図19】図13のクラス分け関数を用いたエコ運転意識の有無の判定を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照して、本発明に係る運転評価システムについて説明する。
【0057】
図1に示すように、本実施形態の運転評価システム10は、車載システム100と情報処理センター200とを備える。本実施形態の運転評価システムは、自車両のドライバーのエコ運転の達成度や、エコ運転に対する意識を評価するためのシステムである。具体的には、本実施形態では、自車両のドライバーに対して、ドライバーのエコ運転可能度、熟練度及びエコ運転意識度が表示され、これらの指標に基づくアドバイスが自車両のドライバーに与えられる。
【0058】
エコ運転可能度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、自車両のドライバーが燃費等の運転の評価値を改善できる度合を示す指標である。エコ運転可能度が小さいときは、ドライバーに対して、現状のままの運転を促すアドバイスが与えられる。一方、エコ運転可能度が大きいときは、ドライバーに対して、エコ運転をより実現するようなアドバイスが与えられる。
【0059】
熟練度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、ドライバーがどのくらいエコ運転に長けているかを表す指標である。熟練度が低いときは、ドライバーに対して、エコ運転の水準が未熟である旨のアドバイスが与えられる。一方、熟練度が高いときは、ドライバーに対して、エコ運転の水準が高い旨のアドバイスが与えられる。
【0060】
エコ運転意識度とは、ある運転の状況のときに、ドライバー個人や不特定多数のドライバーから得られた学習サンプルに比べ、自車両のドライバーがエコ運転を意識して運転操作を行っているか否かの度合を示す指標である。エコ運転意識度が低いときは、ドライバーに対して、エコ運転を意識させるようなアドバイスが与えられる。一方、エコ運転意識度が高いときは、ドライバーに対して、さらにエコ運転意識度を高めるように、より的確なアドバイスが与えられる。
【0061】
車載システム100は、各々の車両に搭載される車載機である。車載システム100は、アクセル開度センサ111、燃料噴出量センサ112、ブレーキセンサ113、車速センサ114、エンジン回転数センサ115、Gセンサ116、GPS(Global Positioning System)117、車間距離計測装置118及びVICS(Vehicle Information and Communication System)119等のセンサ類を有する。アクセル開度センサ111は、自車両のアクセル開度を検出するセンサである。燃料噴出量センサ112は、シリンダー内への燃料噴射量を検出するセンサである。ブレーキセンサ113は、自車両のブレーキペダル操作量や、ホイールへの制動力を検出するセンサである。車速センサ114は、ホイールの車軸の回転速度から自車両の車速を検出するセンサである。エンジン回転数センサ115は、自車両のエンジンの回転数を検出するセンサである。Gセンサ116は、自車両の加速度や、自車両が走行する道路の勾配を検出するセンサである。GPS117は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信し、各々の信号の相違から自車両の位置を測位するためのものである。車間距離計測装置118は、レーザ光やミリ波を用いて前方の車両や障害物との距離を測定するためのものである。VICS119は、FM多重放送や道路上の光ビーコン送信機等から受信した交通情報を図形・文字で表示するためのシステムである。なお、その他のセンサ類を用いて、天候や走行時間帯など、ドライバーの運転操作に影響を与えるであろう他の要因を検出するようにしても良い。
【0062】
車載システム100は、シーン特定部121を有する。アクセル開度センサ111〜GPS117の検出結果は、シーン特定部121に送信される。シーン特定部121では、GPS117等で特定した自車両の位置と、不図示の地図情報とを用いることで、自車両の走行路の特定を行なう。また、シーン特定部121では、走行路の他の自車両が運転される状況や、車速、アクセル開度等のドライバーの運転操作を特定する。
【0063】
車載システム100は、走行データアップロード処理部131を有する。シーン特定部121で特定された走行路や、自車両が運転される状況や、ドライバーの運転操作に関する情報は、走行データアップロード処理部131に送信される。走行データアップロード処理部131は、シーン特定部121で特定された自車両が運転される状況に関する情報を、情報処理センター200にアップロードする形式に変換する。
【0064】
車載システム100は、通信制御部141を有する。走行データアップロード処理部131で変換された走行路や、自車両が運転される状況や、ドライバーの運転操作に関する情報は、通信制御部141により情報処理センター200にアップロードされる。また、通信制御部114は、情報処理センター200から、後述するエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果をダウンロードする。
【0065】
車載システム100は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151を有する。エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151は、情報処理センター200からダウンロードされたエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果が記録される。
【0066】
車載システム100は、エコ運転可能度・熟練度推定部161を有する。エコ運転可能度・熟練度推定部161は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録されたエコ運転確率密度と、アクセル開度センサ111等のセンサから検出された自車両のドライバーの運転とを比較し、後述するエコ運転可能度及び熟練度を求める。
【0067】
車載システム100は、エコ運転意識度推定部171を有する。エコ運転意識度推定部171は、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録されたエコ運転意識事前学習結果と、自車両のドライバーの運転操作とから、後述するドライバーのエコ運転意識度の推定を行う。
【0068】
車載システム100は、ディスプレイ181及びスピーカ182を有する。ディスプレイ181及びスピーカ182は、エコ運転可能度・熟練度推定部161が推定したエコ運転可能度及び熟練度、並びにエコ運転意識度推定部171が推定したエコ運転意識度を、ドライバーに表示する。
【0069】
一方、情報処理センター200は、通信制御部211、ユーザ全体走行履歴DB221、エコ運転確率密度推定部231、エコ運転意識事前学習部241、エコ運転可能度DB251及びエコ運転意識事前学習結果DB261を有する。通信制御部211は、自車両やその他の車両に搭載された車載システム100から、本実施形態の運転評価システム10のユーザ(登録された会員とすることができる)それぞれの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報を受信する。
【0070】
ユーザ全体走行履歴DB221は、通信制御部211が受信した各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報を記録する。エコ運転確率密度推定部231は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報に基づいて、後述するように、エコ運転に関する燃費等の評価値の確率分布であるエコ運転確率密度を推定する。
【0071】
エコ運転意識事前学習部241は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された各ユーザの車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報に基づいて、車載システム100でのエコ運転意識度の推定に用いるエコ運転意識事前学習結果を算出する。
【0072】
エコ運転可能度DB251は、エコ運転確率密度推定部231が推定したエコ運転確率密度を記録する。エコ運転意識事前学習結果DB261は、エコ運転意識事前学習部241が算出したエコ運転事前学習結果を記録する。エコ運転可能度DB251に記録されたエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果DB261に記録されたエコ運転意識事前学習結果は、通信制御部211により車載システム100に送信される。
【0073】
以下、本実施形態の運転評価システム10の動作について説明する。まず、図2を参照して、本実施形態の運転評価システム10の動作の概略について説明する。図2に示すように、車載システム100のシーン特定部121は、GPS117等で特定した自車両の位置情報あるいは地図情報を用いることで、自車両の走行路の特定を行なう(S1)。走行路を特定する手法は、GPS117の位置情報で特定する手法、地図情報における経路ごとに特定する手法、所定の時刻ごと特定する手法、及び距離ごとに特定する手法が考えられる。走行路を特定する手法は、情報処理センター200にアップロードするデータ量に対する通信の制約や、エコ運転可能度・熟練度の判定やエコ運転意識度推定で用いるデータ量とドライバーへ提示する情報量とにより決定される。
【0074】
車載システム100の走行データアップロード処理部131は、特定された走行路と、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得した自車両が運転される状況やドライバーの運転操作に関する情報とを、情報処理センター200にアップロードする形式に変換する。変換されたデータは、通信制御部141により情報処理センター200にアップロードされる(S2)。この場合のアップロードされるデータの形式は、通信の制約や、エコ運転可能度・熟練度の判定やエコ運転意識度推定の処理に依存する。例えば、通信制約がある場合、走行データアップロード処理部131は、走行経路ごとのアクセル開度分布や加速度分布のように、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得したデータを変換する。しかし、通信の制約等がない場合、アクセル開度センサ111〜GPS117で取得したデータをそのまま情報処理センター200にアップロードすることも可能である。
【0075】
情報処理センター200の通信制御部211は、アップロードされたデータを受信し、ユーザ全体走行履歴DB221に記録する(S3)。このようにして、情報処理センター200では、自車両の他、不特定多数のユーザから同様のデータの収集を行なう。
【0076】
情報処理センター200のエコ運転確率密度推定部231は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された情報を基に、エコ運転確率密度を推定する(S4)。エコ運転確率密度は、後に詳述するように、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻において、1つ、又は複数の加速度、速度、アクセル開度等の観測変数を用いて、不特定多数のドライバーの運転の燃費等の評価値の確率分布を推定することにより行なわれる。但し、一般的に車種ごとに車両特性が変わるため、確率分布の推定は車種ごとに行うことも考えられる。
【0077】
情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241は、ユーザ全体走行履歴DB221に記録された情報を基に、エコ運転意識事前学習結果を算出する(S5)。エコ運転意識事前学習結果の算出は、後に詳述するように、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻における特定のあるいは不特定多数のドライバーの運転操作から、当該ドライバーのエコ運転に関する意識を推定することにより行われる。
【0078】
情報処理センター200の通信制御部211は、エコ運転確率密度推定部231が推定したエコ運転確率密度と、エコ運転意識事前学習部241が算出したエコ運転意識事前学習結果とを、車載システム100に送信する処理を行う(S6)。
【0079】
車載システム100の通信制御部141は、情報処理センター200から送信されたある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果を受信し、エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151に記録する(S7)。
【0080】
車載システム100のエコ運転可能度・熟練度推定部161は、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転確率密度と、当該走行経路等における自車両のドライバーの運転とを比較し、エコ運転可能度及び熟練度を求める(S8)。なお、ドライバーの運転を評価するための評価値は、情報処理センター200のエコ運転確率密度推定部231におけるエコ運転確率密度の算出方法や、車載システム100のディスプレイ181等によるドライバーへの情報提示の方法によって決まる。通常は、評価値として燃費、アクセル開度、加速度等が用いられる。
【0081】
車載システム100のエコ運転意識度推定部171は、ある走行経路、ある位置、あるいはある時刻におけるエコ運転意識事前学習結果と、当該走行経路等におけるドライバーの実際の運転操作(アクセル操作やブレーキ操作等)とから、ドライバーのエコ運転意識度の推定を行う(S9)。
【0082】
この後は、車載システム100のディスプレイ181やスピーカ182は、エコ運転可能度・熟練度推定部161により求められたエコ運転可能度及び熟練度をドライバーに対して表示する。車載システム100のディスプレイ181やスピーカ182は、エコ運転意識度推定部171により求められたエコ運転意識度に従って、ドライバーに対してアドバイスを行なう。
【0083】
以下、本実施形態の運転評価システム10の動作の詳細について、特に、図2におけるS4のエコ運転確率密度推定、S5のエコ運転意識事前学習、S8のエコ運転可能度・熟練度推定、及びS9のエコ運転意識度推定について説明する。
【0084】
(エコ運転確率密度推定)
図2におけるS4のエコ運転確率密度推定では、図3に示すように、エコ運転確率密度推定部231は、ある場所、ある時刻等の走行履歴情報をユーザ全体走行履歴DB221から取得する(S41)。この場合、車載システム100の側で前回の処理により導出されたエコ運転可能度のデータを情報処理センター200が受信することによって、走行履歴情報を時刻や車両ごと等にさらに所得することも可能である。
【0085】
エコ運転確率密度推定部231は、観測変数Zについて、運転の評価値の確率密度関数を推定する(S42)。ここで、観測変数Zとは、ユーザ全体走行履歴DBから取得した運転の状況に関する変数である。観測変数Zには、道路勾配、道路線形当の静的周囲状況と、前後車両との車間距離、渋滞情報等の動的周囲状況と、ステアリング操作、アクセル開度等の運転行動と、速度、加速度等の車両状況とに分けられる。
【0086】
エコ運転確率密度推定部231は、これらの観測変数Zについて、例えば図4に示すような、時刻tにおける観測変数ZがZ=Ztである状況において、図5に示すような確率密度関数p(m|Zt)を推定する。ただし、図4及び図5の例では、運転の評価値として横軸のパラメータを燃費m(L/km)としているが、加速度、アクセル開度等のパラメータを用いることも可能である。
【0087】
エコ運転確率密度推定部231は、確率密度関数pの推定をカーネル密度推定で行う。下式(1)に、k個の多変数の場合の確率密度関数pを示す。
【数1】
【0088】
一方、エコ運転確率密度推定部231は、確率密度関数pの推定を、下式(2)で示される混合正規分布近似を用いて行なっても良い。EM(Exception-Maximization)アルゴリズムを用いた混合正規分布近似によれば、確率密度関数pの推定をリアルタイムに行い、計算時間を短縮することが可能となる。下式(2)によれば、一点の確率を求めるためにN回の計算が必要である。N個点の確率は、N×Nである。
【数2】
【0089】
下式(3)によれば、一点の確率を求めるためにM回の計算が必要である。N個点の確率は、N×Mである。
【数3】
【0090】
初期値μr,ωrが与えられた場合、条件付確率pr(Z=r)は下式(4)のようになる。
【数4】
【0091】
更新値は下式(5)のようになる。再度、式(4)による計算が繰り返される。
【数5】
【0092】
なお、以上の例では、不特定多数のユーザのデータから確率密度関数pを推定したが、自車両のドライバー固有のデータに基づいて、確率密度関数pを推定しても良い。
【0093】
(エコ運転意識事前学習)
図2におけるS5のエコ運転意識事前学習では、図6に示すように、情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241は、動的ベイジアンネットワークの手法を用いて、自車両のドライバーに固有のエコ運転意識の学習データ、あるいは不特定多数のドライバーのエコ運転意識の学習データを算出する。このような動的ベイジアンネットワークあるいは後述のサポートベクターマシンを用いた学習に使用するデータは、図1及び図2に示すように、実際の道路を走行する車両からフィールドデータとして収集することも可能であるし、テストコース等で試走を行い、収集されたデータから学習することも可能である。
【0094】
図6に示すように、動的ベイジアンネットワークの手法によるエコ運転意識事前学習において、エコ運転意識事前学習部241は、尤度モデルの事前学習を行なう(S51)。エコ運転意識事前学習部241は、遷移モデルの学習を行なう(S52)。エコ運転意識事前学習部241は、意識状態の事前確率の学習を行なう(S53)。
【0095】
ここで、図7に示すように、運転操作ztの集合に対する意識状態xtの尤度をp(zt|xt)と定義する。運転操作ztとしては、図8に示すように、例えば、アクセル開度z1、ブレーキ踏み込み量z2等として、ある地点の瞬間値又は統計量(標準偏差等)を用いる。ある地点は、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、尤度分布は、運転操作zt間の独立性を仮定して、下式(6)のようにし、図9に示すようなヒストグラムにてモデル化することができる。
【数6】
【0096】
また、意識状態xの遷移モデルをp(xt|xt−1)と定義する。ここでは、1次マルコフ連鎖を仮定する。しかし、より高次のモデルを仮定しても良い。さらに意識状態xの事前確率をp(x0)と定義する。さらに、以下のように定義する。
n:n番目の走行データ
N:走行データ数、
τ:対象走行データ中のフレーム番号
Tn:n番目の走行データ中のフレーム数
zi,n,τ:n番目の走行データのτ番目のフレームでの運転操作iの統計量
xn,τ:n番目の走行データのτ番目のフレームでのエコ意識状態
δ(C):条件Cが真なら1、偽なら0を返す関数。
【0097】
尤度モデルの事前学習は、下式(7)のようにして行なうことができる。
【数7】
【0098】
遷移モデルの学習は、下式(8)のようにして行なうことができる。
【数8】
【0099】
意識状態xの事前確率の学習は、下式(9)のようにして行なうことができる。
【数9】
【0100】
一方、エコ運転意識事前学習部241は、図10に示すように、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:以下、SVMと呼ぶことがある)を用いてエコ運転意識事前学習を行っても良い(S501)。図11に2つの観測変数x1,x2についてのデータが得られている例を示す。x=[x1 x2]T、a=[a1 a2]T、ξiを2クラスに分類する関数とデータとの距離として、図11のデータにソフトマージンSVMの手法を適用すると、図12に示すようになる。図12に示すソフトマージンSVMでは、下記の下式(10)に示す評価関数Lが最小となるように、a,bを求め、エコ意識のON及びOFFの境界を求める。下式(10)において、lはマージンを破ったデータ数であり、Cは、マージンを破るコストの重み(ペナルティーパラメータ、定数)である。ここでCは定数であり、クラス分けが最適になるように任意に決定される。
【数10】
【0101】
以上のエコ運転意識事前学習においては、自車両のドライバー個人のデータのみを用いてドライバー個人に特化したモデルを算出することができる。この場合、当該ドライバーについての認識精度が高くなる利点がある。一方、不特定多数のドライバーのデータを用いて、汎用のモデルを算出することもできる。この場合、未知のドライバーに対しても、直ちに認識を開始可能であるという利点がある。
【0102】
(エコ運転可能度・熟練度推定)
図2におけるS8のエコ運転可能度・熟練度推定では、図13に示すように、車載システム100のエコ運転可能度・熟練度推定部161は、ある場所及びある時刻のエコ運転可能度をエコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151から取得する(S81)。ここで、ある場所とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、同様に、ある時刻とは、任意に決定する時間帯により定義することができる。S81における処理は、上記のように定義され、図2におけるS4のエコ運転確率密度推定で推定された確率密度に関する情報をエコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB151から取得する処理である。
【0103】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、上記のある場所及びある時刻と同じ場所及び時刻におけるアクセル開度センサ111〜GPS117から得られた自車両の情報を計算する(S82)。ここで、ユーザである自車両のドライバーに提示する情報が、燃費に基づく熟練度であるなら、燃費の計算を行う。しかし、前後の加速度、アクセル開度、ブレーキ操作量等のエコ運転に関わる操作量に基づいたエコ運転可能度及び熟練度の計算も可能であるため、そのような場合は、それらの情報を計算する。
【0104】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S81で取得したエコ運転確率密度とS82で計算した自車両の情報とを比較し、エコ運転可能度を計算する(S83)。ある地点及びある時刻のエコ運転可能度ctは、図14及び下式(11)によって求められる。この場合のある場所とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。また、同様に、ある時刻とは、任意に決定する時間帯により定義することができる。また、図14の例では、エコ運転の評価値として燃費[L/km]を利用しているが、加速度、アクセル開度等の他のパラメータを用いることも可能である。
【数11】
【0105】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S83で求めたエコ運転可能度を利用して熟練度を計算する(S84)。この場合の計算方法は、下式(12)〜(15)の方法が考えられる。
【数12】
【0106】
エコ運転可能度・熟練度推定部161は、S83及びS84で求めたエコ運転可能度及び熟練度をユーザである自車両のドライバーにディスプレイ181等で表示する(S85)。ディスプレイ181への表示は、例えば図15に示すようなメータによる表示を模して行なうことができる。また、エコ運転可能度及び熟練度のユーザへの提示は、図15のような態様に限定されず、文字や音声をディスプレイ181やスピーカ182より出力することにより行なうことができる。
【0107】
(エコ運転意識推定)
図2におけるS9のエコ運転意識度推定では、図16に示すように、車載システム100のエコ運転意識推定部171は、動的ベイジアンネットワークの手法を用いて、自車両のドライバーのエコ運転意識を推定する。エコ運転意識推定部171は、時刻t=0での意識状態確率=事前確率とする(S91)。エコ運転意識推定部171は、tに1を加算する(S92)。
【0108】
エコ運転意識推定部171は、現時刻tでの各観測変数の統計量を算出する(S93)。観測変数には、ある地点の自車両の運転に関する情報である例えば、アクセル開度、ブレーキ踏み込み量等を用いる。ある地点とは、車載システム100のGPS117の情報による当該地点の情報、地図データの道路情報に合わせて補正した後の当該地点の情報、地図データの走行経路の情報、及び任意に決定することができる一定距離等により定義することができる。現時刻tでの各観測変数の統計量は、現時刻tでの観測変数iの統計量zi,tとした場合に、瞬間値や移動標準偏差などが考えられる。現時刻tでの観測変数iの観測値をOi,tとすると、統計量zi,tの瞬間値及び移動標準偏差は、下式(16)により算出することができる。
【数13】
【0109】
エコ運転意識推定部171は、図17に示すような現時刻tでの意識状態の事後確率を算出する(S94)。事後確率は、下式(17)により算出することができる。上述のように、下式(17)中で、p(zt|xt)は意識状態xtの観測値ztに対する尤度であり、P(xt|xt−1)は意識状態xの遷移モデルである。
【数14】
【0110】
エコ運転意識推定部171は、エコ意識の有無の判定を行う(S95)。エコ意識の有無の判定は、下式(18)により、算出することができる。エコ運転意識推定部171は、推定が終了するまで、S92〜S95の処理を繰り返す(S96)。
【数15】
【0111】
一方、エコ運転意識推定部171は、図18に示すように、サポートベクターマシンを用いてエコ運転意識度推定を行っても良い。エコ運転意識推定部171は、エコ運転意識推定部171は、時刻t=0での意識状態確率=事前確率とする(S901)。エコ運転意識推定部171は、tに1を加算する(S902)。エコ運転意識推定部171は、上記の動的ベイジアンネットワークの場合と同様に、現時刻tでの各観測変数の統計量を算出する(S903)。
【0112】
エコ運転意識推定部171は、SVMによりエコ意識の有無を判定する(S904)。エコ意識の有無は、上述の図12に示すように、情報処理センター200のエコ運転意識事前学習部241がソフトマージンSVMを用いた事前学習結果で求めたエコ意識の有無のクラス分け関数を用いて判定する。図19は、エコ意識の有無の判定結果を示し、観測変数が2変数でエコ意識有りと判定した例である。図19中にプロットされた入力データは、S903で求めた観測変数の統計量である。エコ運転意識推定部171は、このようにエコ運転意識のクラス分け関数により、入力データがエコ運転意識有りのクラスに分類される場合は、エコ運転意識が有ると判定する。エコ運転意識推定部171は、推定が終了するまで、S92〜S95の処理を繰り返す(S905)。
【0113】
本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する。このため、一律に運転を評価する基準を設定する場合に比べて、運転の評価基準を評価時の実情に合わせて設定することが可能となる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161及びエコ運転意識度推定部171が、エコ運転確率密度推定部231及びエコ運転意識事前学習部241が再設定した評価基準によって、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0114】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する。このため、統計的に当該状況における運転の困難さを定量化することができる。また、エコ運転可能度・熟練度推定部161は、自車両が運転された状況における評価値の確率分布と、自車両が運転された状況における自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価するため、統計に基づいて定量的に、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能となる。
【0115】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両の運転の評価値の確率分布を推定する。このため、運転の評価基準を、不特定多数の車両の運転の統計に基づいて、当該状況における運転の困難さをより実情に合うように定量化することができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する。
【0117】
あるいは本実施形態によれば、エコ運転確率密度推定部231は、は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転、又は同じ車種の不特定多数のドライバーの運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する。混合正規分布は、標本数を減らすことができる。このため、確率密度関数を推定する計算時間を短縮することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、当該状況におけるドライバーの意識状態を適切に推定することができる。また、エコ運転意識度推定部171は、自車両が運転された状況における推定された自車両のドライバーの意識状態と、自車両が運転された状況における実際の自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、自車両のドライバーの運転を評価する。このため、ドライバーの意識状態と実際に行なわれた運転操作との関係においてドライバーの運転を評価することができ、ドライバーの運転に対する意識も含めた運転の評価を行なうことが可能となる。
【0119】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの運転操作の統計から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、自車両のドライバー自身について、高い精度で意識状態を推定することが可能となる。
【0120】
あるいは、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、評価基準として、自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、自車両が運転される状況それぞれに対する自車両のドライバーの意識状態を推定する。このため、自車両のドライバー自身について蓄積されたデータが少ない場合でも、ただちに自車両のドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、自車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する。このため、ドライバーの意識状態に対する運転操作の因果関係を定量的に推定することが可能となる。
【0122】
あるいは、本実施形態によれば、エコ運転意識事前学習部241は、自車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する。このため、推定のために蓄積されたデータが少ない場合でも、ドライバーの意識状態を推定することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態によれば、自車両が運転される状況は、自車両の運転される時間及び場所を含む。このため、車両が運転される時間及び場所に対するドライバーの運転を評価することができる。
【0124】
また、本実施形態の運転評価システム10、車載システム100及び情報処理センター200は、より実情に合った運転の評価を行なうことが可能であるため、ドライバーがシステムに対し違和感を抱き難く、当該システムの利用を継続し易い。そのため、長期間の取り組みが重要となるエコ運転を評価する際に特に効力を発揮する。
【0125】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、車載システム100と情報処理センター200との間のエコ運転確率密度及びエコ運転意識事前学習結果等の情報の交換は、通信制御部141,211による無線通信により行なわれていたが、本発明では、当該情報の交換を、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−R、フラッシュメモリ、USBメモリ、リムーバルハードディスク等のリムーバルメディアを、ドライバーが情報処理センター200に接続可能な端末に取り付けることによっても行なうことが可能である。
【0126】
また、上記実施形態において、車載システム100と情報処理センター200とがそれぞれ有する構成要素は、車載システム100と情報処理センター200とのいずれに備えられていても良い。例えば、車載システム100には、アクセル開度センサ111等のセンサと、ディスプレイ171等のドライバーへの表示手段と、通信制御部141のみが搭載され、それ以外の構成要素は情報処理センター200が全て有するようにされていても良い。あるいは、情報処理センター200を用いず、車載システム100のみに運転評価システム10の全ての構成要素が含まれる態様も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
10…運転評価システム、100…車載システム、111…アクセル開度センサ、112…燃料噴出量センサ、113…ブレーキセンサ、114…車速センサ、115…エンジン回転数センサ、116…Gセンサ、117…GPS、118…車間距離計測装置、119…VICS、121…シーン特定部、131…走行データアップロード処理部、141…通信制御部、151…エコ運転確率密度・エコ運転意識事前学習結果DB、161…エコ運転可濃度・熟練度推定部、171…エコ運転意識度推定部、181…ディスプレイ、182…スピーカ、200…情報処理センター、211…通信制御部、221…ユーザ全体走行履歴DB、231…エコ運転確率密度推定部、241…エコ運転意識事前学習部、251…エコ運転可能度DB、261…エコ運転意識事前学習結果DB。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットと、
前記評価基準再設定ユニットが再設定した前記評価基準によって、前記一の車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットと、
を備えた運転評価システム。
【請求項2】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定し、
前記評価ユニットは、前記一の車両が運転された状況における前記評価値の前記確率分布と、前記一の車両が運転された状況における前記一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、前記一の車両のドライバーの運転を評価する、請求項1に記載の運転評価システム。
【請求項3】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する、請求項2に記載の運転評価システム。
【請求項4】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する、請求項2又は3に記載の運転評価システム。
【請求項5】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する、請求項2又は3に記載の運転評価システム。
【請求項6】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定し、
前記評価ユニットは、前記一の車両が運転された状況における推定された前記一の車両のドライバーの意識状態と、前記一の車両が運転された状況における実際の前記一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、前記一の車両のドライバーの運転を評価する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項7】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項6に記載の運転評価システム。
【請求項8】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項6に記載の運転評価システム。
【請求項9】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項10】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項11】
前記一の車両が運転される状況は、前記一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項12】
前記評価ユニットは、前記一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項13】
自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価のたびに再設定された前記自車両のドライバーの運転の評価基準によって、前記自車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットを備えた車載機。
【請求項14】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して推定された運転の評価値の確率分布であり、前記評価ユニットは、前記自車両が運転された状況における前記評価値の前記確率分布と、前記自車両が運転された状況における前記自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、前記自車両のドライバーの運転を評価する、請求項13に記載の車載機。
【請求項15】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して推定された不特定多数の車両、及び前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布である、請求項14に記載の車載機。
【請求項16】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定されたものである、請求項14又は15に記載の車載機。
【請求項17】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定されたものである、請求項14又は15に記載の車載機。
【請求項18】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態であり、
前記評価ユニットは、前記自車両が運転された状況における推定された前記自車両のドライバーの意識状態と、前記自車両が運転された状況における実際の前記自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、前記自車両のドライバーの運転を評価する、請求項13〜17のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項19】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの運転操作の統計から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態である、請求項18に記載の車載機。
【請求項20】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態である、請求項18に記載の車載機。
【請求項21】
前記自車両のドライバーの意識状態は動的ベイジアンネットワークにより推定されたものである、請求項18〜20のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項22】
前記自車両のドライバーの意識状態はサポートベクターマシンにより推定されたものである、請求項18〜20のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項23】
前記自車両が運転される状況は、前記自車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項13〜22のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項24】
前記評価ユニットは、前記自車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価する、請求項13〜23のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項25】
一の車両のドライバーの運転を評価するための評価基準を設定する情報処理センターであって、
前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットを備えた情報処理センター。
【請求項26】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する、請求項25に記載の情報処理センター。
【請求項27】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する、請求項26に記載の情報処理センター。
【請求項28】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する、請求項26又は27に記載の情報処理センター。
【請求項29】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する、請求項26又は27に記載の情報処理センター。
【請求項30】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項25〜29のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項31】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項30に記載の情報処理センター。
【請求項32】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項30に記載の情報処理センター。
【請求項33】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する、請求項30〜32のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項34】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する、請求項30〜32のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項35】
前記一の車両が運転される状況は、前記一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項25〜34のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項36】
前記評価基準は、前記一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価するためのものである、請求項25〜35のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項1】
一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットと、
前記評価基準再設定ユニットが再設定した前記評価基準によって、前記一の車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットと、
を備えた運転評価システム。
【請求項2】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定し、
前記評価ユニットは、前記一の車両が運転された状況における前記評価値の前記確率分布と、前記一の車両が運転された状況における前記一の車両の実際の運転の評価値とに基づいて、前記一の車両のドライバーの運転を評価する、請求項1に記載の運転評価システム。
【請求項3】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する、請求項2に記載の運転評価システム。
【請求項4】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する、請求項2又は3に記載の運転評価システム。
【請求項5】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する、請求項2又は3に記載の運転評価システム。
【請求項6】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定し、
前記評価ユニットは、前記一の車両が運転された状況における推定された前記一の車両のドライバーの意識状態と、前記一の車両が運転された状況における実際の前記一の車両のドライバーの運転操作とに基づいて、前記一の車両のドライバーの運転を評価する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項7】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項6に記載の運転評価システム。
【請求項8】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項6に記載の運転評価システム。
【請求項9】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項10】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項11】
前記一の車両が運転される状況は、前記一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項12】
前記評価ユニットは、前記一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項13】
自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価のたびに再設定された前記自車両のドライバーの運転の評価基準によって、前記自車両のドライバーの運転を評価する評価ユニットを備えた車載機。
【請求項14】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して推定された運転の評価値の確率分布であり、前記評価ユニットは、前記自車両が運転された状況における前記評価値の前記確率分布と、前記自車両が運転された状況における前記自車両の実際の運転の評価値とに基づいて、前記自車両のドライバーの運転を評価する、請求項13に記載の車載機。
【請求項15】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して推定された不特定多数の車両、及び前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布である、請求項14に記載の車載機。
【請求項16】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定されたものである、請求項14又は15に記載の車載機。
【請求項17】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対して、運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定されたものである、請求項14又は15に記載の車載機。
【請求項18】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態であり、
前記評価ユニットは、前記自車両が運転された状況における推定された前記自車両のドライバーの意識状態と、前記自車両が運転された状況における実際の前記自車両のドライバーの運転操作とに基づいて、前記自車両のドライバーの運転を評価する、請求項13〜17のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項19】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの運転操作の統計から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態である、請求項18に記載の車載機。
【請求項20】
前記自車両のドライバーの運転の評価基準は、前記自車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から推定された前記自車両が運転される状況それぞれに対する前記自車両のドライバーの意識状態である、請求項18に記載の車載機。
【請求項21】
前記自車両のドライバーの意識状態は動的ベイジアンネットワークにより推定されたものである、請求項18〜20のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項22】
前記自車両のドライバーの意識状態はサポートベクターマシンにより推定されたものである、請求項18〜20のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項23】
前記自車両が運転される状況は、前記自車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項13〜22のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項24】
前記評価ユニットは、前記自車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価する、請求項13〜23のいずれか1項に記載の車載機。
【請求項25】
一の車両のドライバーの運転を評価するための評価基準を設定する情報処理センターであって、
前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転の評価基準を、運転の評価のたびに再設定する評価基準再設定ユニットを備えた情報処理センター。
【請求項26】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布を推定する、請求項25に記載の情報処理センター。
【請求項27】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両、及び前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両と同一車種の不特定多数の車両の少なくともいずれかの運転の評価値の確率分布を推定する、請求項26に記載の情報処理センター。
【請求項28】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数をカーネル密度推定により推定する、請求項26又は27に記載の情報処理センター。
【請求項29】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転の評価値の確率分布に係る確率密度関数を混合正規分布による近似により推定する、請求項26又は27に記載の情報処理センター。
【請求項30】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する運転操作から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項25〜29のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項31】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項30に記載の情報処理センター。
【請求項32】
前記評価基準再設定ユニットは、前記評価基準として、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する不特定多数の車両のドライバーの運転操作の統計から、前記一の車両が運転される状況それぞれに対する前記一の車両のドライバーの意識状態を推定する、請求項30に記載の情報処理センター。
【請求項33】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態を動的ベイジアンネットワークにより推定する、請求項30〜32のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項34】
前記評価基準再設定ユニットは、前記一の車両のドライバーの意識状態をサポートベクターマシンにより推定する、請求項30〜32のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項35】
前記一の車両が運転される状況は、前記一の車両の運転される時間及び場所の少なくともいずれかを含む、請求項25〜34のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【請求項36】
前記評価基準は、前記一の車両のドライバーの運転が低燃費を達成した度合を評価するためのものである、請求項25〜35のいずれか1項に記載の情報処理センター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−65527(P2011−65527A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217030(P2009−217030)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
2.フロッピー
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
2.フロッピー
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)
【Fターム(参考)】
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