説明

過フッ素化生成物の精製方法

本発明は、パーフルオロメタンおよび三フッ化窒素の少なくとも一方を、イオン性液体を用いてこれらの混合物から精製する方法に関する。この方法は、少なくとも1種のイオン性液体が共留剤または吸収剤としてそれぞれ用いられる抽出蒸留または吸収などの技術によって実施され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべての目的のために、その全体が本明細書の一部として援用される、2006年5月31日に出願された米国仮特許出願第60/809,663号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、パーフルオロメタンおよび/または三フッ化窒素を含む混合物からパーフルオロメタンおよび三フッ化窒素の少なくとも一方を分離する方法に関する。この方法は、混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させることにより実施される。好ましい実施形態において、この方法は、少なくとも1種のイオン性液体がそれぞれ吸収剤または共留剤として用いられる、吸収または抽出蒸留により実施される。
【背景技術】
【0003】
種々の気体状のフッ素含有化合物が、半導体装置を製作するためにケイ素系材料をプラズマエッチングする製造方法において利用されている。テトラフルオロメタン(CFまたはFC−14)の主な使用は、半導体装置製作の最中のプラズマエッチング用である。プラズマエッチング剤は、集積回路ウェハの表面と相互作用して、電気経路を設け、および表面に集積化表面を画定する機能を提供するよう変性する。三フッ化窒素(NF)の主な使用は、半導体装置製造における「化学蒸着」(CVD)チャンバクリーニングガスとしてである。CVDチャンバクリーニングガスは、半導体製作器具の内部表面に相互作用して経時的に蓄積された種々の堆積物を除去するプラズマを形成するために用いられる。
【0004】
半導体製造用途においてエッチング剤またはクリーニングガスとして用いられるCFおよびNFなどの過フッ素化化学物質が、より通例的には「電子ガス」として称される。高純度を有する電子ガスは、このような半導体装置製造用途について重要である。半導体装置製造ツールに進入するこれらのガス中のきわめて微量の不純物でさえも、広い線幅をもたらし、それ故、装置当たりの情報が減る可能性があることが見出された。
【0005】
集積回路製造の最中におけるCFおよびNFなどの化合物が有する効果のより大きい精度および一貫性に対する要求は、このような用途について重要であるきわめて高い純度をもたらしてきた。CFまたはNF中のいずれの他の化合物の存在も意図される使用のほとんどについて好ましくない。CFまたはNFのいずれか一方自体も、他方の生成物流中に存在する場合には、不純物としてみなされ得ることが認識されるべきである。例えば、1モルppm濃度のCFでさえも、NFがクリーニング剤生成として用いられるべきである場合には、NF中においては不純物としてみなされることとなる。同様に、1モルppm濃度のNFでさえも、CFがエッチング剤生成物として用いられるべきである場合には、CF中においては不純物としてみなされることとなる。99.999モルパーセント純度に近似する純度を有するCFまたはNF生成物の製造を可能とする方法が所望されるが、少なくとも99.9999モルパーセント純度を電子ガス用途に提供する方法が好ましい。CFおよびNF生成物中のこのような低濃度の不純物を量るための分析的方法が利用可能である。例えば、NF生成物中の低濃度のCFおよび他の不純物を分析するための方法が、1995年、SEMI規格、149〜153ページ、三フッ化窒素についてのSEMI C3.39.91−規格に開示されている。あるいは、FC−116中の低濃度でのCFおよび他の不純物の濃度を分析するための技術であるが、NFおよびCF生成物の分析にも適用され得る技術が、「高純度Cプロセスガスについての精製および認定ストラテジーの試験(Examining Purification and Certification Strategies for High−Purity C Process Gas)」、ミクロマガジン(Micro Magazine)、1998年4月、35ページに開示されている。
【0006】
NFを製造する従来の方法は、しかしながら、度々、NF生成物流中にCFを構成成分として生成する。従来の方法はCFをNF生成物から分離することができないため、約10ppm−モル未満のCFを含有するNF生成物は、前記NF生成物中におけるより低いCF濃度の望ましさにもかかわらず入手可能ではない。
【0007】
しかも、特にこれらに限定されないが、粒子、金属、水分、およびプラズマエッチング剤中の他のハロカーボンまたはクリーニングガスを含む不純物の存在は、わずかに百万分率のレベルで存在した場合においても、高密度集積回路の製造における欠陥率を高くする。その結果、より高純度のエッチング剤およびクリーニングガスに対する需要の高まりがあり、要求された純度を有する材料に対する市場価値が高まっている。問題を起こす構成成分の特定およびこれらを除去するための方法は、結果的に、このような目的のために用いられる特にフッ素含有化合物といったこれらのガスの調製の相当の側面を表している。
【0008】
エッチング剤およびクリーニングガスは半導体製造方法によっては完全に消費されず、典型的には、集積回路製作器具を有限濃度で出る。これらの製作器具排出流は、異なる量の未反応過フッ素化エッチング剤およびクリーニングガスを含有するのみならず、特に限定されないが、フッ化水素(HF)、テトラフルオロエチレン(CまたはFC−1114)、メチルフッ化物(CHFまたはHFC−41)、トリフルオロメタン(CHFまたはHFC−23)、クロロトリフルオロメタン(CClFまたはCFC−13)、窒素、酸素、二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパンおよび亜酸化窒素(NO)を含む多様な反応生成物および空気構成成分をも含み得る。典型的には、これは、広範囲のCF、NF、および他のフッ素化不純物を広範囲の濃度で含有する流れをもたらし、この排出流はまた、典型的には空気、ヘリウムまたは窒素などの不活性キャリアガスを50体積%超といった比較的高い体積濃度で含有し得る。
【0009】
CFおよびNFなどのガスが用いられるプロセスからの排出流はまた、頻繁に、他の種類の半導体製造作業からの排出流と組み合わされる。これらの他の作業は、ヘキサフルオロエタン(CまたはFC−116)、オクタフルオロシクロブタン(環状CまたはFC−C318)、オクタフルオロプロパン(CまたはFC−218)、六フッ化硫黄(SF)、ペンタフルオロエタン(CHFまたはHFC−125)、トリフルオロメタン(CHFまたはHFC−23)、テトラフルオロエタン(C、またはHFC−134aまたはHFC−134)およびジフルオロメタン(CHまたはHFC−32)などの多様な廃ガスを独立して生成する可能性がある。もたらされる複合排出流は、結果的に、広範囲の化合物を、幅広く異なる濃度で含有し得る。
【0010】
このような材料の可能性のある環境への影響に係る問題およびこれらの材料の使用における高い価格が、このような方法の前記排出流からCFまたはNFを回収する方法への調査を促してきた。構成成分を、このような流れから回収するための従来の方法は、典型的には、排出流を水で洗ってHFおよびHClを除去する工程、次いで、この流れを多様な方法を用いて乾燥させる工程を含んでいる。フッ素化化合物を高濃度の不活性キャリアガスから分離し、回収するための従来の方法は、半透過性メンブランの使用またはフッ素化化合物の液体溶剤への吸着を含む。しかしながら、広範囲のフッ素化有機および無機化合物が、典型的には、このような処理工程の後にも捕捉された流れの中に未だ残留し、その中に含有されるいずれのCFまたはNFも電子ガスとしての再利用を不適当となっている。
【0011】
それ故、製造器具排出流中に存在するフッ素化化合物を捕捉する方法の開発、ならびにこれらの処分についての選択肢の開発にかなりの関心がある。好ましい処分の選択肢は、これらの流れからの一定のフッ素化構成成分を再利用するために再精製することである。数々のこれらの有益なフッ素化化合物の分離は、しかしながら、いずれかの所与の製造場所からの複合排気ガス流に存在し得る多様なフッ素化化合物により、およびこれらの化合物の数々の間に存在する非理想的な相互作用により困難とされている。例えば、数々のこれらの化合物は、これらの流れ中で他の化合物と共に共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を形成し、従来の蒸留による分離を不可能ではなくても少なくとも困難としている。実質的にCFおよび他のフッ素化不純物を含まない、特に、NF生成物中のCF濃度が好ましくは3ppm−モル未満、より好ましくは1ppm−モル未満であるNF生成物を分離し、および回収する能力は、それ故、商業的にかなり注目されている。実質的にフッ素化不純物を含まないCF生成物を分離し、および回収する能力もまた、商業的にかなり注目されている。
【0012】
半導体プロセスの操作において用いられるまたは生成されるフッ素化化合物の多くは、これらが分離され精製された状態においては、きわめて近似する沸点を有する。CFまたはNFと比して選択性が1.0に近似し、またはこれと同等である化合物は、従来の蒸留による前記CFまたはNFからのこれらの分離を困難とする。このような混合物の分離は、回収されたCFまたはNF生成物が実質的に他のフッ素化化合物を含まないことが所望される場合、ならびに、CFまたはNF生成物が高回収効率で第1の混合物から回収される必要がある場合には特に問題である。
【0013】
すべての目的についてその全体が本明細書の一部として援用される米国特許第6,458,249号明細書は、NFおよび/またはCFを含む混合物を亜酸化窒素または塩化水素などの共留剤の存在下に蒸留することにより、CFおよびNFを相互に分離し、あるいは、電子産業において用いられた他の材料を有する混合物から分離する方法を提供する。亜酸化窒素共留剤の使用は、良好な分離を達成するために極低温を必要とする。塩化水素は、廃棄処分の問題がもたらされる強酸である。それ故、環境的に好適で、かつ、エネルギー効率的な、NFおよび/またはCFなどの化合物の分離方法に対する要求が未だある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態においては、本発明は、窒素三フッ化物およびテトラフルオロメタンを含む混合物から三フッ化窒素またはテトラフルオロメタンを分離する方法であって、この混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させる工程であって、その際、三フッ化窒素およびテトラフルオロメタンの群の一方の構成要素が他方の構成要素とは異なる程度(溶解性に優れているまたは劣っているなど)で溶解性である工程と、溶解度が低い方の構成要素を前記混合物から分離する工程とによる方法を提供する。
【0015】
他の実施形態において、本発明は、三フッ化窒素、テトラフルオロメタンおよび他の化合物を含む混合物から三フッ化窒素またはテトラフルオロメタンを分離する方法であって、前記混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させる工程であって、その際、三フッ化窒素およびテトラフルオロメタンの群の一方の構成要素が、この群の他方の構成要素またはこの混合物の他の化合物とは異なる程度(溶解性に優れているまたは劣っているなど)で溶解性である工程と、この群の低溶解性構成要素を前記混合物から分離する工程とによる方法を提供する。
【0016】
本方法において用いられるイオン性液体は、混合物の少なくとも1種の構成成分を吸収し、この混合物からの構成成分の例えば吸収または抽出蒸留などの工程による分離を促進するイオン性液体である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】単純な抽出蒸留方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、CFNFを多様なフッ素化化合物から、および互いから分離するための方法に関する。1種以上のイオン性液体は、例えば、分離が実施され得る、吸収器における吸収剤として、または抽出蒸留システムにおける共留剤として機能することにより、このような分離の効率を高める。
【0019】
本発明の記載においては、明細書中の種々の場所において利用されている一定の用語について以下の定義構造が提供されている。
【0020】
「吸収剤」は、混合物に添加されたときに、次いでこれらの構成成分が吸収法により分離され得るように、混合物の構成成分の比揮発度を相互に変化させるよう混合物中の構成成分と相互作用する化合物である。吸収剤は、所望の生成物と不純物との混合物の存在下に、所望の生成物からの不純物の分離を許容するに十分なほどに、不純物の揮発度を所望の生成物のものと比して増加させ、または低下させる吸収剤の量である「有効量」で用いられる。これは、例えば、不純物および所望の生成物からのより低沸点または高沸点の共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の形成により達成され得る。有効量の量は、混合物が存在する温度および/または圧力などの条件に応じて変化し得る。分離は、例えば吸収法により実施され得る。
【0021】
「吸収器」は、吸収剤が添加されて、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の気体構成成分の分離が補助される吸収分離法を実施する装置である。吸収剤は、ペリー化学技術者ハンドブック(Perry’s Chemical Engineers’ Handbook)、第7版、(マグローヒル(McGraw−Hill)、1997年)における、第13章、「蒸留(Distillation)」により具体的に記載されているとおり、ガス組成物中の構成成分の1種以上と選択的に相互作用する(しかしながら、一緒に反応はしない)。
【0022】
「アルカン」または「アルカン化合物」は、一般式C2n+2を有すると共に、直鎖、分岐または環状であり得る飽和炭化水素である。
【0023】
「アルケン」または「アルケン化合物」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含有すると共に、直鎖、分岐または環状であり得る不飽和炭化水素である。アルケンは、最低でも2個の炭素を必要とする。環状化合物は、最低でも3個の炭素を必要とする。
【0024】
「芳香族」または「芳香族化合物」は、ベンゼンおよび化学的挙動がベンゼンと似ている化合物を含む。
【0025】
「共沸物」または「共沸組成物」は、単一の物質のように挙動する2つ以上の物質の定沸混合物である。共沸組成物は、液体の部分的気化または蒸留により生成される蒸気が気化または蒸発される液体と同一の組成を有する(すなわち、混合物は組成的な変化を伴わずに蒸留/還流される)という事実により特徴付けられ得る。定沸組成物は、これらは、同一の構成成分の非共沸混合物のものと比して最大または最低沸点のいずれかを示すため、共沸として特徴付けられる。共沸組成物はまた、一定の温度での組成に応じた蒸気圧と相対的な、蒸気圧における最低または最大により特徴付けられる。
【0026】
「擬共沸組成物」は、定沸性特徴を有する、または沸騰または気化されたときに分画されない傾向を有する組成物である。従って、形成された蒸気の組成は、元の液体組成物と同一または実質的に同一である。沸騰または気化の最中に、液体組成物は、若し変化するとしても、最低限または無視可能な程度でのみ変化する。擬共沸組成物はまた、所与の温度での、組成物中の構成成分のモル分率の関数での組成物蒸気圧のプロットにおける最大または最低蒸気圧に隣接する領域によって特徴付けられることが可能である。組成物は、元の組成物の約50重量パーセントが気化され、または蒸発されて残留組成物が生成された後に、元の組成物と残留組成物との間での変化が、元の組成物に比して約6重量%以下、および度々約3重量%以下であれば、擬共沸物である。
【0027】
共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物はまた、以下の要因が適用され得る様式によって例示されるとおり、既存の条件に応じて多くの外観で見られ得る沸点が近く、実質的に定沸性または定沸性の混合物としても特徴付けられ得る。
1)異なる圧力では、これらの種類の混合物の組成上の含有量は、沸点温度と同様に、少なくともいくらかの程度で変化するであろう。それ故、このような混合物は、その構成成分間に独自の種類の関係を示すが、典型的には、温度および/または圧力に依存する変動的な組成上の含有量を有するであろう。従って、固定的な組成上の含有量ではなく組成上の含有量の範囲が、度々、混合物を定義するために用いられる。
2)これらの種類の混合物は特定の組成上の含有量ではなく所与の圧力での沸点により特徴付けられることが可能であり、その測定は、測定を行うために利用可能な分析器具により制限されていると共に、これらにのみ応じた精度である。
3)これらの種類の混合物における各構成成分の沸点および重量(またはモル)パーセント含有量の両方は、混合物が異なる圧力で沸騰させられたときに変化し得る。それ故、このような混合物は、その構成成分の間に存在する固有の関係の観点で、または特定の圧力での固定の沸点の観点でのその中の各構成成分の正確な重量(またはモル)パーセントの観点で定義され得る。
【0028】
「共沸蒸留」は、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物などの混合物が形成されるような条件下で蒸留カラムが行われる方法であり、その形成は、その中の構成成分の相互の相対的な揮発度を、構成成分が蒸留によって分離され得るよう変化させる。共沸蒸留は、分離されるべき混合物の構成成分のみが蒸留される場合、または初期の混合物の構成成分の1種以上と共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を形成する共留剤が添加される場合に生じ得る。分離されるべき混合物の構成成分の1種以上と共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を形成する共留剤は、それ故、蒸留によるこれらの構成成分の分離を促進し、さらに、共沸剤または共沸共留剤として機能する。
【0029】
「共留剤」は、混合物に添加されるとき、その後これらの構成成分が蒸留方法により分離され得るよう、混合物中の構成成分の比揮発度を相互に変化させるように、混合物中の構成成分と相互作用する化合物である。共留剤は、所望の生成物と不純物との混合物の存在下に、所望の生成物からの不純物の分離を許容するに十分なほどに、不純物の揮発度を所望の生成物のものと比して増加させ、または低下させる共留剤の量である「有効量」で用いられる。これは、例えば、不純物および所望の生成物からのより低沸点または高沸点の共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の形成により達成され得る。有効量の量は、混合物が存在する温度および/または圧力などの条件に応じて変化し得る。分離は、例えば抽出蒸留法により実施され得る。
【0030】
「抽出蒸留」は、共留剤が添加されて、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物などの混合物の構成成分の分離が補助される方法であり、ペリー化学技術者ハンドブック(Perry’s Chemical Engineers’ Handbook)、第7版、(マグローヒル(McGraw−Hill)、1997年)における、第13章、「蒸留(Distillation)」などの文献により具体的に記載されているとおりである。共留剤は、混合物中の構成成分の1種以上と選択的に相互作用し(しかしながら、一緒に反応はしない)、これは、典型的には、蒸留カラムの上部供給点で導入され、一方、分離が必要とされる混合物は、同じところから、または好ましくは、共留剤のカラムの供給点より比較的下方で導入される。共留剤は、カラム中に配置されたトレーまたは充填材を下方に通過し、分離されるべき混合物の1種以上の構成成分と共にカラム底部を出る。共留剤の存在下にある間、混合物のより揮発性の構成成分がカラム上部から出るよう、分離されるべき構成成分の少なくとも1種が混合物の他の構成成分と比して相対的により揮発性とされる。分離されるべき混合物と同等またはこれより高い点で蒸留カラムに供給され、カラムを下方に通過して蒸留による分離を可能とする共留剤はまた、抽出剤または抽媒としても機能する。
【0031】
「高沸点共沸物」は、いずれかの所与の圧力で、その圧力で、その中の構成成分のいずれか1種が個別に沸騰するであろうより高い温度で沸騰する共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物である。高沸点共沸物はまた、いずれかの所与の温度で、その中の構成成分のいずれか1種がその温度で個別に有するであろうものより低い蒸気圧を有するいずれかの共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物でもあり得る。
【0032】
「イオン性液体」は、「サイエンス(Science)」(2003年)、302:792〜793ページにより具体的に記載されているとおり、約100℃以下で流体である有機塩である。「フッ素化イオン性液体」は、カチオンまたはアニオンの一方に少なくとも1つのフッ素を有するイオン性液体である。「フッ素化カチオン」または「フッ素化アニオン」は、それぞれ、少なくとも1つのフッ素を含むカチオンまたはアニオンである。
「ハロゲン」は、臭素、ヨウ素、塩素またはフッ素である。
「ヘテロアリール」基はヘテロ原子を有するアルキル基である。
「ヘテロ原子」は、アルカニル、アルケニル、環状または芳香族化合物の構造における炭素以外の原子である。
【0033】
「高回収効率」は、混合物中のCFまたはNFが実質的に1種以上のフッ素化不純物を含まない生成物として回収される場合など、90モル%超、好ましくは95モル%超の所望の化合物が、その化合物と不純物との混合物から回収されることを示す。
【0034】
「不純物」は、混合物中に存在し、それ故CF化合物と共に混合物を形成するCF以外のフッ素化化合物、または混合物中に存在し、それ故NF化合物と共に混合物を形成するNF以外のフッ素化化合物などの混合物中のいずれかの所望されない構成成分である。
【0035】
「低沸点共沸物」とは、いずれかの所与の圧力で、これを含む化合物のいずれか1種がその圧力で個別に沸騰するであろう温度より低い温度で沸騰する共沸または擬共沸組成物を意味する。あるいは、低沸点共沸物とは、いずれかの所与の温度で、共沸物を含むいずれか1種の化合物がその温度で個別に有するであろう蒸気圧より高い蒸気圧を有するいずれかの共沸または擬共沸組成物を意味する。
【0036】
「からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で任意により置換される」とは、アルカン、アルケン、アルコキシ、フルオロアルコキシ、パーフルオロアルコキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールラジカルまたは部分を参照している場合には、ラジカルまたは部分の炭素鎖上の1つ以上の水素が、置換基の引用された群の構成要素の1つ以上で独立して置換され得ることを意味する。例えば、置換された−Cラジカルまたは部分は、これらに限定されないが、基または置換基がF、IおよびOHからなる、−CFCF、−CHCHOHまたは−CFCFIであり得る。
【0037】
混合物中の構成成分iおよびjに関する「選択性」∝ijは、構成成分iの無限希釈活動係数対構成成分jの無限希釈活動係数の比であり、構成成分iおよびjは、分離プロセスに供される状態では無限希釈度で混合物中に存在する。
【0038】
「分離する」または「分離するために」とは、1種以上の構成成分を混合物から除去することを指す。種々の実施形態において、分離する、または分離するためには、1種以上の構成成分の混合物からの部分的なまたは完全な除去を指し得る。さらなる精製が必要とされる場合には、完全な除去を達成するために1回以上の追加の分離工程が必要とされ得る。追加の分離工程は、最初の分離工程と同様に、例えば、蒸留、ガスストリッピング、クロマトグラフィおよび/または気化などの方法により実施され得る。
【0039】
CF化合物またはNF化合物は「実質的に純粋」であり、または「実質的に不純物を含まず」、化合物中に存在する場合には、不純物としての他のフッ素化種は、(a)10体積ppm(ppmv)または10モルppm(ppm−モル)未満、より好ましくは1ppmvまたは1ppm−モル未満、および最も好ましくは100体積ppb(体積基準で十億あたりの部)(ppbv)または100モルppb(モル基準で十億あたりの部)(ppb−モル)未満;または(b)10重量ppm(ppmw)未満、より好ましくは1ppmw未満、および最も好ましくは100重量ppb(重量基準で十億あたりの部)(ppbw)未満の量である。
【0040】
「真空」とは、1バール未満の圧力であるが、分離器具における実用的用途については10−4バール超の圧力である。
【0041】
CFおよびNFは、CFまたはNFが実質的に純水な形態で、かつ高回収効率で回収されるような、多様なフッ素化化合物からおよび/または互いから分離され得る公知の化合物である。本発明は、分離効率を高めるためにイオン性液体の使用を含む。後述のとおり、分離を実施するために好適な種々の方法は、イオン性液体が共留剤として役立つ抽出蒸留;またはイオン性液体が吸収剤として役立つ吸収を含む。このような目的のための使用に好適であるイオン性液体は、分離効率を高めるためにCFおよび/またはNFが存在する混合物の構成成分の少なくとも1種と相互作用することとなり、これは、原理上は、このような混合物の少なくとも1種の構成成分を吸収するいずれかのイオン性液体であることが可能である。好ましくは、分離効率を最大とするために、イオン性液体は、混合物の少なくとも1種の構成成分について高い溶解度を有するべきである。
【0042】
イオン性液体は、室温で(およそ25℃)液体である有機化合物である。これらは、これらがきわめて低い融点を有し、これらが広い温度範囲にわたって液体である傾向にあり、および高い熱容量を有することを示している点で、ほとんどの塩とは異なる。イオン性液体は基本的に蒸気圧を有さず、これらは、中性、酸性または塩基性のいれかであることが可能である。イオン性液体の特性は、カチオンおよびアニオンを変えることにより調節されることが可能である。本発明に有用なイオン性液体のカチオンまたはアニオンは、原理上は、カチオンおよびアニオンが一緒になって約100℃以下で液体である有機塩を形成するような、任意のカチオンまたはアニオンであることが可能である。
【0043】
多くのイオン性液体は、好ましくは芳香族複素環といった窒素含有複素環と、アルキル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル)とを反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、イオン交換または種々のルイス酸またはこれらの共役塩基との他の好適な反応を実施してイオン性液体を形成することにより形成される。好適な芳香族複素環の例としては、置換ピリジン、イミダゾール、置換イミダゾール、ピロールおよび置換ピロールが挙げられる。これらの環は、事実上すべての直鎖、分岐または環状C1〜20アルキル基でアルキル化されることが可能であるが、好ましくは、アルキル基は、これより大きい基はイオン性液体ではなく低融点固形分を生成し得るため、C1〜16基である。種々のトリアリールホスフィン、チオエーテルおよび環状および非環状第4級アンモニウム塩もまた本目的のために用いられ得る。用いられ得る対イオンとしては、クロロアルミネート、ブロモアルミネート、塩化ガリウム、テトラフルオロボレート、テトラクロロボレート、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホネート、メチルスルホネート、p−トルエンスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロひ酸、テトラクロロアルミネート、テトラブロモアルミネート、過塩素酸イオン、水酸化物アニオン、二塩化銅アニオン、三塩化鉄アニオン、三塩化亜鉛アニオン、ならびに種々のランタン、カリウム、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、および他の金属含有アニオンが挙げられる。
【0044】
イオン性液体はまた、塩メタセシスにより、酸−塩基中和反応により、または選択された窒素含有化合物の4級化により合成され得;または、これらは、メルック(Merck)(独国、ダルムスタット(Darmstadt,Germany)またはBASF(ニュージャージー州マウントオリーヴ(Mount Olive,NJ)などの数々の会社から商業的に入手し得る。
【0045】
本明細書において有用であるイオン性液体の代表例は、「J.Chem.Tech.Biotechnol.」、68:351〜356ページ(1997年);「Chem.Ind.」、68:249〜263ページ(1996年);「J.Phys.Condensed Matter」、5:(追補34B):B99−B106(1993年);「ケミカルおよびエンジニアリングニュース(Chemical and Engineering News)」、1998年3月30日、32〜37ページ;「J.Mater.Chem.」、8:2627〜2636ページ(1998年);「Chem.Rev.:、99:2071〜2084ページ(1999年);および国際公開第05/113,702号パンフレット(およびその中の引用文献)などの資料に記載されているもののを含む。一実施形態においては、例えば第4級アンモニウムカチオンの種々のアルキル誘導体を調製し、および関連するアニオンを変更することにより、イオン性液体のライブラリ、すなわち複合ライブラリが調製され得る。イオン性液体の酸性度は、モル当量およびタイプならびにルイス酸の組み合わせを変更することにより調節されることが可能である。
【0046】
本発明の種々の実施形態において、使用に好適なイオン性液体は、以下の式から選択されるカチオンを有し得る:
【0047】
【化1】

【0048】
【化2】

【0049】
式中、R、R、R、R、RおよびRは、独立して:
(i)H、
(ii)ハロゲン、
(iii)任意によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で置換される、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(iv)Cl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で任意により置換される、O、N、SiおよびSからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(v)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C20非置換アリール、またはC〜C25非置換ヘテロアリール、および
(vi)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25置換アリール、またはC〜C25置換ヘテロアリールであって、
(1)任意によりCl、Br、F I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で置換される−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(2)OH、
(3)NH、および
(4)SH
からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基を有する前記置換アリールまたは置換ヘテロアリール、
からなる群から選択され、
、R、RおよびR10は、独立して、
(vii)任意によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で置換される、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(viii)Cl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で任意により置換される、O、N、SiおよびSからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(ix)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25非置換アリール、またはC〜C25非置換ヘテロアリール、および
(x)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25置換アリール、またはC〜C25置換ヘテロアリールであって、
(1)任意によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で置換される、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐または環状アルカンまたはアルケン、
(2)OH、
(3)NH,および
(4)SH
からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基を有する前記置換アリールまたは置換ヘテロアリール、
からなる群から選択され、ならびに
式中、任意により、R、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10の少なくとも2つは一緒に環状または二環式アルカニルまたはアルケニル基を形成していてもよい。
【0050】
他の実施形態において、本発明に有用であるイオン性液体はフッ素化カチオンを含み、ここで、R、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10から選択される構成要素の少なくとも1つがFを含む。
【0051】
1つの実施形態において、イオン性液体は、[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCNからなる群から選択されるアニオン;および好ましくは任意のフッ素化ア
ニオンを有する。本発明のフッ素化アニオンとしては、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON];およびFが挙げられる。他の実施形態において、イオン性液体は、上述のとおり、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウム、およびアンモニウムからなる群から選択されるカチオンと;[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN;および任意のフッ素化アニオンからなる群から選択されるアニオンとを含む。さらに他の実施形態において、イオン性液体は、上述のピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウム、およびアンモニウムからなる群から選択されるカチオンと;[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON]、およびFからなる群から選択されるアニオンとを含む。
【0052】
さらに他の実施形態において、イオン性液体は、上述のとおり、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウム、およびアンモニウムからなる群から選択されるカチオンと(ここで、R、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10から選択される構成要素の少なくとも1つがFを含み);および[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN;および任意のフッ素化アニオンからなる群から選択されるアニオンとを含む。さらに他の実施形態において、イオン性液体は、上述のとおり、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウム、およびアンモニウムからなる群から選択されるカチオンと(ここで、R、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10から選択される構成要素の少なくとも1つがFを含む);[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON]、およびFからなる群から選択される
アニオンとを含む。
【0053】
より特定的な実施形態において、少なくとも1種のイオン性液体は、カチオンとして、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジオクチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム、3−メチル−1−プロピルピリジニウム、1−ブチル−3−メチルピリジニウム、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム、またはトリブチル(テトラデシル)ホスホニウムを含み、ならびに、[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、および[(CFCFHCFSON]からなる群から選択されるアニオンを含む。
【0054】
さらなる特定の実施形態において、少なくとも1種のイオン性液体は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸[bmim][PF]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート[bmim][BF]、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド[dmpim][TMeM]、ヨウ化1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム[omim][I]、ヨウ化1,3−ジオクチルイミダゾリウム[doim][I]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド[emim][BEI]、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[dmpim][BMeI]、3−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[pmpy][BMeI]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸[emim][PF]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロエチルスルホニル)イミド[emim][BMeI]、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[bmpy][BMeI]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート[emim][TFES]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート[bmim][TFES]、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート[dmim][TFES]、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート[hmim][TFES]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート[bmim][Ac]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム2−(1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート[bmim][FS]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1、1、2、3、3、3−ヘキサフルオロプロパンスルホネート[bmim][HFPS]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルホネート[bmim][MeSO]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート[bmim][SCN]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1、1、2−トリフルオロ−2−(パーフルオロエトキシ)エタンスルホネート[bmim][TPES]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1、1、2−トリフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)エタンスルホネート[bmim][TTES]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2−トリフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)エタンスルホネート[bmim][TTES]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2−トリフルオロ−2−(パーフルオロエトキシ)エタンスルホネート[bmim][TPES]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド[emim][BEI]、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホネート[bmim][HFPS]、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム1,1,2−トリフルオロ−2−(パーフルオロエトキシ)エタンスルホネート[6,6,6,14−P][TPES]、トリブチル(テトラデシル)ホスホニウム1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホネート[4,4,4,14−P][HFPS]からなる群から選択される。
【0055】
本発明の種々の他の実施形態において、本明細書に記載または開示の個別のカチオンのいずれかを選択することにより、および本明細書に記載または開示の個別のアニオンのいずれかを選択することにより形成されるイオン性液体は、これが含有される混合物からの構成成分としてのCFまたはNFのいずれかの分離をもたらす目的のために用いられ得る。対応して、さらに他の実施形態において、(i)その総ての群の個別の構成要素のすべての種々の異なる組み合わせで本明細書に記載および開示のカチオンの総ての群から得られるカチオンのいずれかのサイズのサブグループ、および(ii)その総ての群の個別の構成要素のすべての種々の異なる組み合わせで本明細書に記載および開示のアニオンの総ての群から得られるアニオンのいずれかのサイズのサブグループ、を選択することにより形成されるイオン性液体のサブグループは、これが含有される混合物からの構成成分としてのCFまたはNFのいずれかの分離をもたらす目的のために用いられ得る。前述のとおり選択を行うことによるイオン性液体、またはイオン性液体のサブグループの形成において、イオン性液体またはサブグループは、選択を行うためにそれらの総ての群から除外されているカチオンおよび/またはアニオンの群の構成要素が無くても用いられることとなり、および、所望の場合には、この選択は、それ故、使用のために包含される群の構成要素ではなく、使用が除外される総ての群の構成要素の観点でなされ得る。
【0056】
本発明において特に興味深い系は、イオン性液体中へのCFまたはNFのいずれかの溶解度を増加させ得る、種々のフッ素化種相互間および/またはこれらの間での有用な相互作用が何であるかという点を考慮した、混合物へのフッ素化アニオン、フッ素化カチオンまたは両方を有するイオン性液体などの少なくとも1種のフッ素化イオン性液体の添加により、CFまたはNFのいずれかが、含有される混合物から構成成分として分離されるものである。
【0057】
CFおよびNFは、多様な好適な製造方法から、または供給源から入手し得る公知の化合物である。CFは、例えば、クロロカーボンまたはクロロフルオロカーボンとHFとを反応させることにより生成され得、およびNFは、アンモニア(NH)と原子フッ素(F)とを反応させることにより生成され得る。度々、これらの化合物の1種を生成する方法または使用する方法は他の化合物を不純物としてもたらし、これは、この場合、2種の化合物の混合物で提示され、一方を他方から分離し、回収する必要が生じる。NFおよびCFは、分離され、純水な状態では、それぞれ、−129.1および−128.1℃の標準沸点を有する。これらの近似する沸点は単独でも、従来の蒸留によるNFとCFとの効率的な分離をきわめて困難とする。しかしながら、加えて、NFおよびCFの混合物は共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物をある範囲の温度および圧力にわたって形成し、これは、従来の蒸留によるこれらの完全な分離を基本的に不可能ではないにしろ、きわめて困難とする。
【0058】
CFおよびNFを従来の蒸留により相互に分離しようと試む場合、これらの化合物によって形成される共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を、部分的な精製を達成するために用いることが可能である。従来の蒸留カラムは、例えば、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の形成をもたらす圧力および温度で操作され得る。カラムにおけるCFに対するNFの量が、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物中におけるものの量より多い場合には、NF生成物はNF/CF出発混合物中のCF濃度と比して低減されたCF濃度でカラムの底から除去されることが可能であり、一方で、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物はカラムの頂部から除去される。逆に、カラムにおけるNFに対するCFの量が、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物中におけるものの量より多い場合には、CF生成物は、NF/CF出発混合物中のNF濃度と比して低減されたNF濃度でカラムの底から除去されることが可能であり、一方で、共沸組成物または擬共沸組成物はカラムの頂部から除去される。単一の蒸留での、低減されたCF濃度を有するNF生成物流の入手または低減されたNF濃度を有するCF生成物流の入手は、それぞれ、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物より多くのNFまたはCFを含む組成物から出発することを必要とするであろうが、いくらかの分量のNFまたはCFが、それぞれ、必然的に、NF/CF共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の形態でその中に残留することとなる。
【0059】
NFはまた、圧力と共に生じるNF/CF共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物における変化をもたらしながら、従来の蒸留カラム中でのNFおよびCFの低沸点、高圧共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の形成を伴う高圧および低圧で交互に実施される一連の多段蒸留によって、CFから部分的に分離されることが可能である。以下のような条件で操作されているカラムから塔頂留出物を得ることにより、1回の蒸留でNFの缶出液生成物、および2回目の蒸留でCFの缶出液生成物を生成することが可能であり、その各々は、各々がNFおよびCFを含有する第1の混合物と比して低減した他の構成成分の濃度を有する。
・1種の構成成分が共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物に対して過剰にあり(1回目の蒸留)、
・次いで、この留出物が、他の構成成分が共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物以上であるような条件下で操作されているカラムに供給され(2回目の蒸留)、
・次いで、2回目の蒸留からの留出物がカラムに供給され、ここでシーケンスが反復される(すなわち、次のカラムが再度、最初の構成成分が過剰量であるような条件下で操作される)。
「圧力スイング」蒸留によるこの分離は、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の圧力または温度との特異な組成的変化によってのみ可能である。しかしながら、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物より過剰量で存在するNFまたはCF構成成分の個々に比したNF/CF共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の相対的な揮発度のみがこれらの分離のための基礎として用いられるこれらの事例において、このような分離は高くおよび高額な蒸留カラムを必要とし、基本的に不可能ではないにしろ、実質的に純水なNFまたはCF生成物をNF/CF出発混合物から生成することは未だきわめて困難である。
【0060】
CFまたはNFのいずれかをこれらの混合物から分離するために従来の蒸留方法を用いることの困難性のために、本発明の方法は、混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させることによる分離労力の効率の向上を含む。これは、混合物の構成成分の少なくとも1種は、他の構成成分より、イオン性液体における溶解性に劣ることとなり、好ましくはかなり溶解性に劣ることとなるために有利である。溶解度におけるこの差異が、この構成成分が揮発などにより除去されるとき、イオン性液体中に溶解性である範囲では、混合物から除去されずにその中に残留する傾向にあることとなるために、より溶解性の構成成分はより制限された程度で除去されることとなり、好ましくは、全く除去されないこととなるために、溶解度のより低い構成成分の混合物からの分離を促進する。
【0061】
本発明の方法は、例えば抽出蒸留などの技術により実施され得る。抽出蒸留においては、従来の蒸留のように、混合物の少なくとも1種の構成成分が、温度および圧力制御を通じて、揮発させられ、この揮発した構成成分が、混合物から離れて凝縮されて個別の流れ中に捕捉され、それ故この混合物から除去される。抽出蒸留においては、しかしながら、混和性の、高沸点の、比較的非揮発性の構成成分混合物には、低い蒸発時の潜熱を有し、混合物中の構成成分のいずれとも共沸物を形成せず、および混合物中の構成成分のいずれとも化学的に反応しない共留剤が添加される。この共留剤は、混合物の種々の構成成分と別々に相互作用し、これにより、これらの比揮発度を変化させると共に、およびそうしなければ存在することとなるであろういずれかの共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を「破壊する」よう、特別に選択される。この共留剤は、混合物の少なくとも1種の他の構成成分よりも、混合物の構成成分の1種以上がより溶解性であり、好ましくはさらにより溶解性である物質であるよう選択される。共留剤に対する溶解性に劣る構成成分は、その結果、共留剤に対してより溶解性である構成成分より容易に揮発され、混合物から分離され得る。液体形態において有するものと基本的に同一の組成比で揮発するという共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物の構成成分が通常有する傾向は、それ故、共留剤の存在により変性され、これは、混合物の少なくとも1種の構成成分を、少なくとも1種の他の構成成分より大きな程度にまで可溶化させることにより、選択された温度および圧力で、混合物から放散された揮発物の流れの組成上の含有量に対応する変化をもたらす。混合物中における共留剤の存在により他のものより揮発性とされる構成成分は、次いで、選択された温度および圧力で、他の構成成分よりかなり高い濃度で、蒸気として混合物から除去される。より溶解性で、揮発性の低い構成成分は混合物中に共留剤と共に残留し、および共留剤の選択のための他の基準は、共留剤が、混合物の残留する高溶解度、低揮発性構成成分から容易に分離される物質であることである。
【0062】
種々の実施形態において、共留剤として、混合物中の2種の構成成分の沸点の低いものをこれらの2種の構成成分のより揮発性のものともする物質を評価することが所望され得る。例えば、2種の構成成分の沸点の高いものよりも、沸点の低いものに対してより大きな化学的類似点を有する物質が、このような実施形態において共留剤として用いられるために評価され得る。種々の他の実施形態において、共留剤としての選択のための物質の評価において考慮され得る判断基準は、その物質が、2種の構成成分の沸点の低いものと共にラウールの法則から正の偏差を生じさせるかどうか、または2種の構成成分の沸点の高いものと共にラウールの法則から負の偏差を生じさせるかどうかである。
【0063】
本発明の分離方法が抽出蒸留によって実施されるとき、イオン性液体が共留剤として用いられる。共留剤の混合物、それ故、共留剤としてのイオン性液体の混合物はまた、所望の程度の分離を達成するために有用であり得る。一実施形態においては、共留剤の混合物は、1種の共留剤が、2種の構成成分の揮発性の高いものについて高い選択性を有すると共に、他の共留剤がその構成成分を可溶化させる高い能力を有するよう選択され得る。他の実施形態において、イオン性液体の混合物は、少なくとも2種のヒドロフルオロカーボン化合物を含む混合物の構成成分を、複数の、個別の分離工程を用いることにより分離するために用いられ得る。
【0064】
本発明の分離方法が抽出蒸留により実施される場合、これは、図1の概略図に示されるものなどの蒸留カラムにおいて有利に実施され得る。図1のカラムにおいて、セパレータ要素1が、混合物中の共留剤の存在によってより揮発性(低溶解性)とされる構成成分混合物である塔頂生成物の共留剤からの分離のために用いられる。イオン性液体の共留剤としての利用は、イオン性液体の無視可能な揮発度のために、塔頂生成物7中における共留剤の存在が基本的に排除されるという利点を有する。カラムを出る塔頂または留出物流は、還流凝縮器を用いて凝縮され得る。この凝縮された流れの少なくとも一部分がカラムの頂部に還流として戻されることが可能であり、残りが生成物として回収され、または任意の処理のために回収される。還流としてカラムの頂部に戻される凝縮された材料対留出物として除去された材料の比は、通例、還流比として称される。
【0065】
好ましくは凝縮器の下のカラムの頂部に近い濃縮セクションに配置されている、または精留セクションの底に配置されている入口2から共留剤の流れが進入し、ここで、意図されず揮発したいずれかの量の共留剤が混合物の高揮発性構成成分から分離される。共留剤としてのイオン性液体は、次いで、カラム中を、高揮発性構成成分およびおそらくは分離されるべき混合物の他の構成成分の上昇流と相対的に向流方向に下方に進む。混合物はストリッピングセクション上の入口4から進入し、未だ共留剤と混合されている高揮発性構成成分のいずれもが最終的に蒸発される。分離されるべき混合物の入口供給物は液体または気体形態であり得、この混合物がカラムに供給されたときに液体形態である場合には、その高揮発性構成成分は、その目的のために選択されるであろうカラムの温度および圧力条件によって揮発されることとなる。カラム中を上方に移動する蒸気は、連続的に混合物の高揮発性構成成分の含有量が富化され、カラム中を下方に移動する液体は、その高揮発性構成成分の含有量が連続的に低減される。
【0066】
セパレータ要素3および5は、缶出生成物6として共留剤と一緒にカラムをでる揮発性の低い構成成分からの、塔頂生成物7としてカラムをでる高揮発性構成成分の大規模な分離を達成する目的のために所望される十分な気体−液体接触がもたらされる、カラムの高さに沿った有用な数のステージを含有する。セパレータ要素は、プレート、または並んでいるあるいは無秩序な充填材のいずれかであることが可能である。いずれの事象においても、目的は、蒸気化された揮発性の高い構成成分の上昇流と接触させるための液体共留剤の下向きのカスケードをもたらすことである。プレートが用いられる場合には、液体は、1枚のプレートからその縁部上を次々に流れ得、または液体は、揮発された構成成分が中を通って上昇してくるプレート中の同一の孔を通って流れ得る。いずれの事象においても、目的は、落下してくる液体によるカラムの冠水を防ぐに十分に高いが、蒸気が、液体との十分な接触時間が得られずにカラムから押し出されてしまうほどには高くない上方蒸気流の流速をもたらすことで、一貫した気体−液体接触の最大残留時間を達成することである。
【0067】
分離されるべき混合物の量の観点では、存在し得るいずれかの共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物を「破壊」するために必要である、ならびに、商業的に実行可能な収率および割合での混合物からの構成成分の少なくとも1種の他のものからの分離を可能とする最低量の共留剤がある。共留剤の量対供給物量の比(ここで比中の用いられた共留剤の量が上述の最低量である)においては、比の値は、約2〜約4の範囲に設定され得る。5を超える供給物比は、時々、カラム中のステージ数を減らす観点では特別な利点をもたらさないことが見出されているが、より高いまたは低い供給物比が、状況に決定されるとおり、本明細書において用いられ得る。
【0068】
共留剤は、次いで、高揮発性構成成分と一緒の混合物から別の工程において除去され、入口2でのカラムへの再導入のためにカラムに再利用される。この共留剤は、単純な気化による再生を含む種々の分離操作を用いて缶出生成物6から分離され得る。流下膜式または回転式蒸発器などの薄膜蒸発器が、連続的な気化のために通例用いられる。非連続的な濃縮方法においては、再生された共留剤としてのイオン性液体が連続的に蒸留カラムに戻されることが可能であるよう、2つの蒸発器ステージが相互に実施される。共留剤はまた、イオン性液体の蒸気圧は基本的にはゼロであるため、ストリッピングカラムにより再生されることが可能である。イオン性液体を共留剤として回収するための代替的な手段は、多くのイオン性液体は0℃未満では固化することが可能であるという事実による利点を利用する。これらの事例において、経済的なイオン性液体の分離は、冷却して固体相を形成することにより達成することが可能である。缶出生成物はまた、冷却、蒸発、または真空結晶化などの技術を用いて析出させることが可能である。
【0069】
例えば、本明細書において提供される方法の一実施形態においては、(a)CFおよびNFの混合物がイオン性液体と接触されて第2の混合物が形成され得、(b)この第2の混合物が蒸留により処理され得、(c)CFが蒸留−カラム塔頂流として回収され得、および(d)NFおよびイオン性液体が、蒸留−カラム底流として回収され得る。逆に、他の実施形態においては、(a)CFおよびNFの混合物がイオン性液体と接触されて第2の混合物が形成され得、(b)この第2の混合物が蒸留により処理され得、(c)NFが蒸留−カラム塔頂流として回収され得、および(d)CFおよびイオン性液体が蒸留−カラム底流として回収され得る。
【0070】
抽出蒸留のこれらおよび他の態様が、ペリー化学技術者ハンドブック(Perry’s Chemical Engineers’ Handbook)、第7版、(マグローヒル(McGraw−Hill)、1997年における、第13章、「蒸留(Distillation)」)などの周知の文献においてさらに検討されている。本発明の分離方法が吸収技術により実施される場合、抽出蒸留について上述したものと類似の器具および手法が利用され得る。
【0071】
本発明の分離方法が抽出蒸留により実施される場合、混合物が複数の分離されるべき構成成分を含有する系においては、2つ以上の蒸留カラムが必要とされ得る。例えば、沸点が近似しない構成成分が、第1の蒸留カラムを用いて混合物から分離され除去され得、共沸物、共沸組成物または擬共沸組成物が、次いで、第2の蒸留カラムを用いて分離されることが可能である。イオン性液体は、蒸留カラムの一方または両方について共留剤として使用され得る。例えば、CFまたはNFのいずれかを1種のイオン性液体を用いて分離することが所望される場合、構成成分の一方は、カラムの頂部から回収され得、一方で、第2の構成成分およびイオン性液体はカラムの底から回収されることが可能である。第2の構成成分およびイオン性液体を含む混合物は、次いで、第2の蒸留カラム(またはフラッシュタンク)を用いて分離されることが可能であり;第2の構成成分は、第2のカラム(またはフラッシュタンク)の頂部から回収されることが可能であり、およびイオン性液体は、カラムの底(またはフラッシュタンク)から回収され、第1の蒸留カラムに再利用して戻されることが可能である。
【0072】
2種の構成成分iおよびjの2元混合物の蒸留による分離能は、これらの選択性を計算することにより判定することが可能である。一方の値に選択性が近似するほど、混合物のこの構成成分を従来の蒸留によって分離されることがより困難である。従って、抽出蒸留方法は、分離効率を高めるために用いられ得る。抽出蒸留において、共留剤は、混合物中の構成成分の1種以上を選択的に吸収または溶解することにより分離に作用する。本発明によれば、iおよびjから構成される2元混合物に対するイオン性液体の選択性は、構成成分iの無限活動係数対構成成分jの無限活動係数の比として定義され、ここで、構成成分iおよびjは、無限希釈度でイオン性液体共留剤中に存在する。普通、選択性は、低沸点溶剤または高沸点溶剤が分子中にあるかどうかに応じて1を超えるまたは1未満であることが可能である。通常、選択性が1を超えるの値として示されるように、低沸点溶剤が分子に置かれる。分離を達成するために、約1.0を超える選択性が必要とされる。本発明の一実施形態において、イオン性液体の混合物への添加は約1.5を超える選択性をもたらし;および本発明の他の実施形態において、イオン性液体の混合物への添加は約3.0を超えるまたは約5.0を超える選択性をもたらす。
【0073】
本発明の分離方法が抽出蒸留により実施されるとき、分離されるべき混合物の個別の構成成分は、いずれかの特定の時間でのカラム中のそれらの位置(これらの位置および時間で、これらは、再沸器温度〜凝縮器温度の範囲の温度、ならびに真空〜臨界圧の範囲の圧力に供され得る)に応じて、混合物中のすべての構成成分と共留剤との総重量と相対的に、約0.05〜約99.95モルパーセントの範囲の対応する濃度を有し得る。
【0074】
抽出蒸留方法は、至適な分離のための適切な条件に応じて供給物、再沸器および凝縮器温度を変更して操作される。典型的な抽出蒸留方法は、水で5〜10℃の温度に冷却された、または塩水あるいはエチレングリコールによって0〜−40℃のさらに低い温度に冷却された凝縮器および/または供給組成物で操作され得る。いくつかの場合において、抽出蒸留カラムが約1気圧での化合物の標準沸点に近い温度で作動する場合、供給物および/または凝縮器は、ガスを−40〜−80℃のより低い温度に冷却し得る。再沸器は、カラムの作動圧力および分離される化合物の同一性に応じて広い温度範囲で作動することが可能であり、フッ素化化合物の場合には、約−80〜約240℃の温度範囲であることが可能である。蒸留システムの作動圧力は、約0.10〜約3.45MPa(約15〜500psia)、通常は、約0.35〜約2.76MPa(50〜400psia)の範囲であり得る。典型的には、分離されるべき混合物の供給割合に比した共留剤供給割合の増加は、これらの除去される化合物に関しては、回収される生成物の純度を高める。通常、還流比を高めると高い留出物流純度がもたらされるが、一般には、還流比は1/1〜200/1の範囲である。カラムの頂部に隣接して配置される凝縮器の温度は、通常、カラムの頂部から出る留出物を実質的に完全に凝縮するために十分であり、またはこの温度は、部分的凝縮により所望の還流比を達成するために必要とされる温度である。
【0075】
以下の実施例は、本発明の利点を例示すると共に、これの形成および使用において当業者を補助するために提示されている。これらの実施例は、開示または添付の特許請求の範囲の範囲をいずれの方法で、そうでなくても制限することを意図しない。本発明の作動が、イオン性液体におけるCFおよびNFの溶解度に関する試験により例示されている。摂氏は「C」と略記され、ケルビンは「K」と略記される。
【実施例】
【0076】
一般的方法および材料
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸([bmim][PF]、C15P、分子量284g モル−1)を、フルカケミカ(Fluka
Chemika)(ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri)から入手し得る)から>97%の純度で入手した。テトラフルオロメタン(FC−14、CF、分子量88.005g モル−1)および三フッ化窒素(NF、分子量71.019g モル−1)は、デュポンフルオロケミカルズ(DuPont Fluorochemicals)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware))から99.99%の最低純度で入手した。
【0077】
ガス溶解度計測を、ガラス平衡セル(E.W.スロカム(E.W.Slocum)、「Ind.Eng.Chem.Fundam.」、14、126、1975年)を用いて行った。ガラス平衡セルは既知の体積を有し、これを上相(気体または液体)が下の液体相中に混合されるよう攪拌した。既知の量のイオン性液体をセル中に充填し、加熱下に排気して脱気し、イオン性液体中のあらゆる残存水を除去した。イオン性液体の密度を知ることで、イオン性液体の体積を算出することが可能であり、初期ガラスセル体積からの差を用いて蒸気空間容積を算出した。既知の量のガスがセルに供給され、循環油浴で温度が一定に保持される。セルの圧力が計測され、記録される。圧力がこれ以上変化しないと判定されたとき、セルは平衡状態にあり、吸収されたガスの量は、平衡セル蒸気空間中のガスの量を考慮することにより算出される。実験器具および手法の詳細は出版されている(W.スコット(W.Schotte)、「Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.」、19、432〜439ページ、1980年)。
【0078】
実施例1
テトラフルオロメタン(FC−14)および三フッ化窒素(NF)を含む混合物の分離
この実施例は、無限希釈状態での熱力学的特徴に注目している。無限希釈での活動係数γおよびヘンリー則定数κΗを、[bmim][PF]中のFC−14およびNFについて判定した。
【0079】
ヘンリー則定数κΗを得るために溶解度データを分析した。ヘンリー定数は、無限希釈での溶質の過剰な化学ポテンシャルに直接的に関係しており、
【数1】


式中、μは、無限希釈溶液状態(この場合においては、系TおよびP→0)での溶質の化学ポテンシャルであり、およびμは、系Tおよび1気圧の圧力での純水なガス(種1)に関する化学ポテンシャルである。ヘンリー定数κΗは、適切な標準状態圧力(または1気圧)で正規化(または無次元)されているとして理解されるべきである。
【0080】
ヘンリー則定数を、以下の関係を用いて、実施例2および3に示される実験溶解度データから得た。
【数2】


式中、fは純水なガス(y=1)の気相散逸能であり、所与の実験的(T、P)で、適切な状態方程式モデル(レモンE.W.(Lemmon,E.W.);マックリンデンM.O.(McLinden,M.O.);フーバーM.L.(Huber,M.L.)、NIST文献、流体熱力学および輸送特性−REFPROP、バージョン7.0ユーザーズガイド。米商務省技術庁国家標準技術局、標準参照データプログラム、メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg,Maryland)、2002年]。)によって算出されることが可能である。式(2)を用いるために散逸能をxの二次多項式に当てはめた。このようにして得た本系についてのヘンリー則定数が表1に示されている。
【0081】
ヘンリー則定数κΗと無限希釈での活動係数γとの間の関係は:
【数3】


によりκΗに関連している。
【0082】
この関係は、本溶剤についてはx→0およびP[式5の]→0(イオン性液体については、P≒0)という条件で、式2、4および5から導くことが可能である。
【0083】
PΦi=χiγii
[ガス(FC−14またはNF)についてはi=1ならびにイオン性液体についてはi=2]
【0084】
本発明の系について、P≒0およびy≒0(またはy≒1)。それ故、式(4)はi=1で単に1つの式となり、非理想的な補正因数Φは、
【数4】


と表記することが可能である。
【0085】
純水種1の二次ビリアル係数β11(T)は適切な状態方程式モデル(レモンE.W.(Lemmon,E.W.)ら、(前述の))により算出されることが可能であり、飽和モル液体体積
【数5】


は、シフレットM.B.(Shiflett,M.B.)およびヨコゼキA.(Yokozeki,A.)(「室温イオン性液体中のヒドロフルオロカーボンの溶解度および拡散係数(Solubility and Diffusivity of Hydrofluorocarbons in Room−Temperature Ionic Liquids.)」、AIChE J.、(2006年)、52(3)、1205〜1219ページ)に記載の方法を用いて算出され、およびRは、一般気体定数である。純水種1の蒸気圧は下記式によってモデル化される。
【0086】
【数6】

【0087】
FC−14についての式(6)中の係数は(A=8.1686、B=1659.12、C=14.6821)であり、およびNFについては(A=7.45885、B=1387.00、C=−1.7795)であり、ならびに式(6)は、VLE(蒸気液体平衡)臨界温度Tを超えても、挿入された仮定的蒸気圧として維持されると仮定した。
【0088】
表1は、温度(T)、ヘンリー定数(κΗ)、飽和蒸気圧(Pi)、二次ビリアル係数(β11(T))および無限希釈での活動係数(γi)を提供する。
【表1】

【0089】
表1の得られたヘンリー定数は、経験的形態と良好に相関した(κΗの約2%の誤差で)。
【数7】


式(7)を用いて、ヘンリー定数を、10C(283.15K)〜75C(348.15K)の温度範囲にわたって算出した。無限希釈活動係数を、次いで、同一の温度範囲にわたって式(1)〜(6)を用いて算出し、ならびに結果が、表2に提供されている。
【0090】
これらの無限希釈での活動係数γを用いて、選択性(αij)を算出した。
【数8】


式中、構成成分iおよびjは無限希釈度で共留剤に存在し、iはFC−14を表すことが可能であり、jはNFを表すことが可能である。分離を達成するために、約1.0を超える選択性が必要である。表2中の選択性(αij)は、[bmim][PF]の共留剤としての使用は、一例においては、348.15Kの温度では3.0を超える選択性で、およびより低い温度(すなわち283.15K)では5.0を超える選択性でFC−14およびNFを分離するであろうことを示す。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例2〜3は、それぞれ、テトラフルオロメタン(FC−14)および三フッ化窒素(NF)についての溶解度結果を提供する。これらのデータは、ヘンリー則定数(κΗ)および無限希釈での活動係数(γ)を、実施例1に示されているとおり、算出するために用いられる。
【0093】
実施例2
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸中へのテトラフルオロメタン(FC−14)の溶解度
溶解度試験を、24.99、49.97、および74.84℃の温度で0〜約1.4MPaの圧力範囲にわたって行い、ここで、溶解度(xmeas.)は、容積視認セル(volumetric view cell)を用いて計測した。
【0094】
表3a、3bおよび3cは、それぞれ、24.99、49.97および74.84℃の温度での、T、P、fおよびxmeasについてのデータを提供する。
【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
実施例3
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸中への三フッ化窒素(NF3)の溶解度
溶解度試験を14.16および55.05℃の温度で0〜約1.4MPaの圧力範囲にわたって行い、ここで、溶解度(xmeas.)は、容積視認セルを用いて計測した。
【0099】
表4aおよび4bは、それぞれ、14.16および55.05℃の温度での、T、P、fおよびxmeasについてのデータを提供する。
【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
本発明の一定の特徴が、開示または図面の1つのいずれに記載されていても、種々のこのような特徴を一緒に組み合わせる実施形態の文脈において本明細書に記載されている。しかしながら、本発明の範囲はいずれかの特定の実施形態中の一定の特徴のみの記載によっては限定されず、本発明はまた、(1)いずれかの記載の実施形態の特徴のすべてより少数のサブコンビネーションであって、サブコンビネーションの形成のために省略された特徴の不在に特徴を有するサブコンビネーション;(2)記載の実施形態の組み合わせ中に個別に包含される特徴の各々;および(3)記載の実施形態の特徴の1つ以上またはすべてから形成される特徴と本明細書の他の箇所に開示の他の特徴との他の組み合わせを包含する。
【0103】
この明細書においては、本発明の実施形態が、一定の特徴または要素を包含し、含有し、有し、これらを含んでなり、またはこれらから構成されるとして記述または説明されている用法の文脈によって、明確にそうでないと記載されていない、または反対に示されていない限りにおいて、明らかに記述または説明されているものに追加する特徴または要素の1つ以上が実施形態において存在していてもよい。本発明の代替的実施形態は、しかしながら、基本的に、一定の特徴または要素から構成されるとして記述または説明され得、この実施形態においては、作動の原理、または実施形態の特色的な特徴を物的要素的に変更するであろう特徴または要素はそこには存在しない。本発明のさらなる代替的実施形態は、一定の特徴または要素から構成されるとして記述または説明され得、この実施形態またはそのわずかな変形においては、特定的に記述または説明された特徴または要素のみが存在する。
【0104】
この明細書において、用法の文脈により明確にそうでないと記載されていない、または反対に示されていない限りにおいて、本発明の要素または特徴の存在の記述または記載に関する不定冠詞「a」または「an」の使用は、要素または特徴の存在を1の数に限定しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三フッ化窒素およびテトラフルオロメタンを含む混合物から三フッ化窒素またはテトラフルオロメタンのいずれかを分離する方法であって、この混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させる工程であって、その際、三フッ化窒素およびテトラフルオロメタンの群の一方の構成要素が他方の構成要素とは異なる程度で溶解性である工程と、溶解度が低い方の構成要素を該混合物から分離する工程とを含む方法。
【請求項2】
イオン性液体が、以下の11種のカチオン:
【化1】


【化2】


【化3】


からなる群から選択されるカチオンを含み、
ここで、R、R、R、R、RおよびRは、独立して:
(i)H、
(ii)ハロゲン、
(iii)場合によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で置換された、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(iv)Cl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択される少なくとも1つの構成要素で場合により置換された、O、N、SiおよびSからなる群から選択された1〜3個のヘテロ原子を含む、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(v)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択された1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C20非置換アリール、またはC〜C25非置換ヘテロアリール、および
(vi)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択された1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25置換アリール、またはC〜C25置換ヘテロアリールであって、
(1)場合によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択された少なくとも1つの構成要素で置換された−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(2)OH、
(3)NH、および
(4)SH
からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基を有する上記置換アリールまたは置換ヘテロアリール、
からなる群から選択され;
、R、RおよびR10は、独立して:
(vii)場合によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択された少なくとも1つの構成要素で置換された、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(viii)Cl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択された少なくとも1つの構成要素で場合により置換された、O、N、SiおよびSからなる群から選択された1〜3個のヘテロ原子を含む、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(ix)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択された1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25非置換アリール、またはC〜C25非置換ヘテロアリール、および
(x)O、N、SiおよびSからなる群から独立して選択された1〜3個のヘテロ原子を有するC〜C25置換アリール、またはC〜C25置換ヘテロアリールであって、
(1)場合によりCl、Br、F、I、OH、NHおよびSHからなる群から選択された少なくとも1つの構成要素で置換された、−CH、−C、またはC〜C25直鎖、分岐もしくは環状アルカンまたはアルケン、
(2)OH、
(3)NH、および
(4)SH
からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基を有する上記置換アリールまたは置換ヘテロアリール、
からなる群から選択され、
ここで、R、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10の少なくとも2つは、場合により一緒になって環状もしくは二環式アルカニルまたはアルケニル基を形成していてもよい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、R、R、R、R6、、R、RおよびR10の少なくとも1つがFを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
イオン性液体が、[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、および任意のフッ素化アニオンからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
イオン性液体が、[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、および任意のフッ素化アニオンからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
イオン性液体が、[CHCO、[HSO、[CHOSO、[C
OSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、および任意のフッ素化アニオンからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
イオン性液体が、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON]、およびFからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イオン性液体が、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON]、およびFからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
イオン性液体が、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、[(CFCFHCFSON]、およびFからなる群から選択されたアニオンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
イオン性液体が、ピリジニウムイオン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、チアゾリウムイオン、オキサゾリウムイオン、トリアゾリウムイオン、ホスホニウムイオンまたはアンモニウムイオンからなる群から選択されたカチオンと;[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、および[(CFCFHCFSON]からなる群から選択されたアニオンとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
イオン性液体が、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジオクチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、3−メチル−1−プロピルピリジニウムイオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムイオン、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムイオン、またはトリブチル(テトラデシル)ホスホニウムイオンからなる群から選択されたカチオンと;[CHCO、[HSO、[CHOSO、[COSO、[AlCl、[CO2−、[HCO、[NO、[NO、[SO2−、[PO3−、[HPO2−、[HPO、[HSO、[CuCl、Cl、Br、I、SCN、[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、[CFOCFHCFSO、[CFCFOCFHCFSO、[CFCFHOCFCFSO、[CFHCFOCFCFSO、[CFICFOCFCFSO、[CFCFOCFCFSO、[(CFHCFSON]、および[(CFCFHCFSON]からなる群から選択されたアニオンとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
抽出蒸留により実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
吸収により実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
三フッ化窒素が、溶解度が低い方の構成要素として回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
テトラフルオロメタンが、溶解度が低い方の構成要素として回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
イオン性液体が回収され、そして共に再循環される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
10モルppm未満のテトラフルオロメタンを含有する三フッ化窒素生成物が回収される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
10モルppm未満の三フッ化窒素を含有するテトラフルオロメタン生成物が回収される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
三フッ化窒素、テトラフルオロメタンおよび混合物の構成成分としての1種またはそれ以上の他の化合物を含む混合物から三フッ化窒素またはテトラフルオロメタンのいずれかを分離する方法であって、該混合物を少なくとも1種のイオン性液体と接触させる工程であって、その際、三フッ化窒素およびテトラフルオロメタンの群の一方の構成要素が、この群の他方の構成要素または該混合物の他の構成成分とは異なる程度で溶解性である工程と、この群の低溶解性構成要素を該混合物から分離する工程とを含む方法。
【請求項20】
混合物の他の構成成分が、フッ化水素(HF)、テトラフルオロエチレン(CまたはFC−1114)、メチルフッ化物(CHFまたはHFC−41)、トリフルオロメタン(CHFまたはHFC−23)、クロロトリフルオロメタン(CClFまたはCFC−13)、ペンタフルオロエタン(CHFまたはHFC−125)、テトラフルオロエタン(C、またはHFC−134aまたはHFC−134)、ジフルオロメタン(CHまたはHFC−32)、ヘキサフルオロエタン(CまたはFC−116)、オクタフルオロシクロブタン(環状CまたはFC−C318)、オクタフルオロプロパン(CまたはFC−218)、六フッ化硫黄(SF)、窒素、酸素、二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパンおよび亜酸化窒素(NO)からなる群における1種またはそれ以上の化合物または成分から選択されてもよい、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−541212(P2009−541212A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513281(P2009−513281)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/012873
【国際公開番号】WO2007/143055
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】