過給機の冷却構造
【課題】従来より、過給機のタービンハウジングからの輻射熱を減少するため、該タービンハウジングを、水冷したり、遮熱材で覆って閉じこめるようにしていたが、排気タービンの駆動に使用される排気ガスの熱損失が大きくなってタービン効率が低下したり、過給機の長時間駆動時には、熱伝導により遮熱板の外表面が高温となって過給機周囲への輻射熱が増加する、という問題があった。
【解決手段】エンジン1からの排気ガスによって回転するタービンホイール35を備えた過給機2において、該タービンホイール35を収容するタービンハウジング40の周囲に、内側断熱部である空気層45と、外側低温部であるタービンカバー39とから成る冷却構造体47を設けた。
【解決手段】エンジン1からの排気ガスによって回転するタービンホイール35を備えた過給機2において、該タービンホイール35を収容するタービンハウジング40の周囲に、内側断熱部である空気層45と、外側低温部であるタービンカバー39とから成る冷却構造体47を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機に関し、特に、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの過剰な冷却によるタービン効率の低下を防ぎつつ、過給機周囲への輻射熱を確実に減少可能な過給機の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンからの排気ガスでタービンホイールを回転し、該タービンホイールと一体となったタービンシャフトを介してインペラを回転させることにより、吸入した空気(以下、「吸気」とする。)を圧縮してシリンダヘッドの各気筒に送る過給機が知られているが、該過給機では、前記タービンホイールを収容するタービンハウジングが排気ガスの熱によって極めて高温になるため、過給機周囲にある他のエンジン構成部品や周辺部材を該タービンハウジングの輻射熱から保護する必要がある。特に、船舶用のエンジンでは、燃えやすい部品やオイルが輻射熱で引火しないようにして船舶内での火災発生を確実に防止する観点から、タービンハウジングからの輻射熱を減少させる技術が求められている。
そこで、従来より、タービンハウジングに冷却用ジャケットを形成し、該冷却用ジャケットに低温の清水等の冷媒を循環させることにより、タービンハウジングを強制的に冷却し、該タービンハウジングから過給機周囲への輻射熱を減少させる技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。また、タービンハウジングを、石綿等の断熱材や、該断熱材を閉じこめて成るラギング材や、あるいは該断熱材を金属板材間に密閉して成る遮蔽板等の遮熱体によって覆うことにより、タービンハウジングから過給機周囲への輻射を遮断する技術も公知となっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平4−76932号公報
【特許文献2】実開平6−73337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前者の技術の場合、冷却用ジャケット中を流れる冷媒によりタービンハウジングの熱が奪われて温度が低下し、該タービンハウジングからの輻射熱は減少するものの、該タービンハウジング内部のタービン室内を流れる高温高圧の排気ガスの熱損失が大きくなるためにタービン効率が低下したり、多量の熱を奪った冷媒の温度が上昇するために該冷媒を使用してエンジン等を冷却する際の冷却効率が低下する、という問題があった。
また、後者の技術の場合、過給機を長時間駆動すると熱がこもってタービンハウジングが著しく高温となり、該タービンハウジングから外部への熱伝導を十分に抑制できなくなるために、遮熱体の外表面も高温となって過給機周囲への輻射熱が著しく増加する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたものである。
請求項2においては、前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とするものである。
請求項3においては、前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成るものである。
請求項4においては、前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成するものである。
請求項5においては、前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とするものである。
請求項6においては、前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設するものである。
請求項7においては、前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたので、前記タービンハウジングと外側低温部との間に内側断熱部を介設し、該タービンハウジングが外側低温部に直接接触しないようにすることができ、該タービンハウジングのタービン室内の排気ガスの熱が過剰に奪われるのを防ぎ、タービン効率の低下を防止することができる。そして、前記外側低温部に低温の清水等の冷媒を使用した場合には、該冷媒の温度上昇が前記内側断熱部によって適度に緩和されるため、該冷媒を使ったエンジン等の冷却効率の低下も防止することができる。また、過給機の長時間駆動に伴いタービンハウジングから熱伝導や対流により伝達されてきた熱は、外側低温部によって効果的に奪われると同時に、タービンハウジングからの輻射も、外側低温部によって確実に遮断されるため、外側低温部の外表面、すなわち冷却構造体の外表面はそれほど高温になることはなく、過給機周囲への輻射熱を確実に減少させることができる。
請求項2においては、前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とするので、前記タービンハウジングと外側低温部との間に所定の大きさの隙間を設けるだけで済み、石綿等の断熱材や該断熱材を閉じこめて成るラギング材等の遮熱体を新たに設ける必要がなく、前記冷却構造体の部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。更には、前記隙間の厚さを変更するだけで断熱性能を自在に調節することができ、様々な仕様の過給機の冷却への対応が可能となる。
請求項3においては、前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成るので、前記外側低温部はカバー部材を利用して設けることができ、冷却構造体の部品数を減らして、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4においては、前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成するので、前記カバー部材の外表面に冷却配管等を周設する必要がなく、外側低温部に必要な設置空間を縮小することができ、冷却構造体のコンパクト化を図ることができる。
請求項5においては、前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とするので、前記冷媒、及び該冷媒を循環路に供給するためのポンプやタンク等を別途に設けることなく、従来のエンジン冷却用の水冷システムを利用することができ、過給機の冷却に必要な部品を減らして、更なる、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上、及びエンジンのコンパクト化を図ることができる。
請求項6においては、前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設するので、タービンハウジングで特に高温となる部分に沿って冷媒の循環路を配置することができ、外側低温部による冷却効率を向上させることができる。
請求項7においては、前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置するので、前記冷媒出入口と排気取入口を排気タービンの取付位置近傍に集約して配置し、冷媒の給排と排気ガスの導入に必要な接続空間を縮小することができ、排気タービンのコンパクト化、ひいては過給機のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係わるエンジンの全体構成を示す右側面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく平面図、図4は同じく背面図、図5はタービンカバーの前方斜視図、図6はタービンカバーにおける循環路の前方斜視図、図7はタービンカバーの後方斜視図、図8は排気タービンの左側面図、図9はタービンカバーの右側面図、図10は同じく平面図、図11は同じく背面図、図12は同じく正面図である。
なお、以下の説明においては、エンジン1のクランク軸方向を前後方向とし、エンジン1の出力側の方向(後述するクラッチ11の配置側)を後方、その反対側を前方(図3の矢印3の方向)とする。更に、エンジン1のクランク軸方向に対して水平に直交する方向を左右方向とし、背面から見て右手側(図3の矢印21の方向)を右方、その反対側を左方とする。
【0007】
まず、本発明に係わる過給機2を備えたエンジン1の全体構成について、図1乃至図4により説明する。
該エンジン1には、前後方向に長い長形のシリンダブロック4が備えられ、該シリンダブロック4の上端部にはシリンダヘッド5が、シリンダブロック4の下端部にはオイルパン6が、それぞれ設けられている。そして、該オイルパン6と前記シリンダヘッド5のいずれも、前記シリンダブロック4に沿って前後方向に長く形成されており、このうちのシリンダヘッド5の上面は、固設した弁腕室ケース7・7によって被装され、該弁腕室ケース7・7内には、弁腕や燃料噴射弁等を収容するための図示せぬ弁腕室が形成されている。
【0008】
前記シリンダブロック4の内部には、クランク軸8が略水平に前後方向に延びるようにして備えられ、該クランク軸8の後端部には、フライホイール9が取り付けられており、該フライホイール9は、シリンダブロック4の後端に固設したフライホイールハウジング10によって覆われている。更に、該フライホイールハウジング10の後端面には、クラッチ11が連動連結されており、該クラッチ11により、前記クランク軸8からのエンジン出力を断接できるようにしている。
【0009】
また、前記シリンダヘッド5の右側面には、該シリンダヘッド5と略同じ長さに渡り該右側面に沿うようにして排気マニホールド13が設けられ、該排気マニホールド13の右外方に、各種リレーやヒューズ等の収納ボックス26が設けられており、これら排気マニホールド13と収納ボックス26は、それぞれ、カバー15とカバー16によって覆われている。このうちの排気マニホールド13の下方には、前から順に、海水を冷却水として汲み上げるための海水ポンプ27と、前記エンジン1の本体部の冷却用ジャケットへ供給する冷却用の清水を海水と熱交換して冷却するための清水クーラ28とが配設され、該清水クーラ28の機体内方には、エンジン1の潤滑油を冷却するためのオイルクーラ29が配設されている。
【0010】
そして、前記排気マニホールド13の後方に、本発明に係わる過給機2が設けられ、該過給機2には、後述するようにして、前記清水クーラ28からの清水の一部が供給されており、該清水によって、前記過給機2のタービンカバー39が冷却されるようにしている。
【0011】
また、前記シリンダヘッド5の左側面には、前記排気マニホールド13と同様に、該シリンダヘッド5と略同じ長さに渡って該左側面に沿うようにして吸気マニホールド12が設けられ、更に、該吸気マニホールド12の後方には、前記弁腕室ケース7の後方で左右方向に延設された吸気通路17の左端部が配置されている。そして、該吸気通路17の右端部は前記過給機2のコンプレッサ18に連通されると共に、これら吸気マニホールド12と吸気通路17は、それぞれ、トップカバー14bとトップカバー14cによって覆われている。更に、前記吸気マニホールド12の後部から吸気通路17の左端部に跨る部分の直下方には、前記過給機2からの吸気を海水との熱交換によって冷却するためのインタークーラ22が、前後方向に長く形成されている。
【0012】
前記トップカバー14b内にはコモンレール23も設けられており、該コモンレール23からの燃料吐出側は、燃料を燃焼室内に噴射する図示せぬインジェクタに接続されると共に、該コモンレール23への燃料供給側は、シリンダブロック4の左側面前部に配設した高圧燃料ポンプ24に接続されている。更に、前記トップカバー14bの前方には、エンジン1の前端部の上面を左右方向全幅で覆うトップカバー14aが配設されており、該トップカバー14a内に、エンジン1の燃料噴射系の制御全般を行うエンジン制御ユニット20が収容されると共に、エンジン1の左側面の略中央には、インジェクタドライバユニット25が配設されている。
【0013】
このような構成において、前記高圧燃料ポンプ24により加圧して得た高圧燃料が、コモンレール23を介して各インジェクタに分配されると共に、その際のインジェクタからの燃料噴射量や噴射時期等を、前記エンジン制御ユニット20やインジェクタドライバユニット25によって適切に制御するようにして、燃費や燃焼性に優れたコモンレール式の電子制御燃料噴射システムがエンジン1に形成されている。
【0014】
次に、以上のようなエンジン1における冷却構成について、図1乃至図4により説明する。
熱交換のための冷却用の海水が、図示せぬ海水取入口から前記海水ポンプ27によって汲み上げられる。この汲み上げられた海水は、海水ポンプ27とオイルクーラ29とを接続する冷却水管30を通って、前記オイルクーラ29に流入して潤滑油を冷却する。冷却後の海水は、該オイルクーラ29の後端と前記インタークーラ22の後端とを接続するゴムホース50から冷却水管51を通って、前記インタークーラ22に流入する。
【0015】
該インタークーラ22には、インタークーラ22の外形を構成する略円筒状のクーラケース22aと、該クーラケース22a内で前後方向に互いに平行に並設される多数の冷却管22b・22b・・・とが備えられ、該冷却管22b・22b・・・の各給水端は、前記冷却水管51の端部に接続されると共に、冷却管22b・22b・・・の各排水端は、冷却水管32の端部に接続されており、これにより、オイルクーラ29からの海水は、クーラケース22a内の冷却管22b・22b・・・を通って該冷却管22b・22b・・・の周囲空間を冷却した後に、前記冷却水管32から排出される。
【0016】
一方、前記クーラケース22aの後部上端は、前記過給機2のコンプレッサ18に連通する吸気通路17の左端部に接続されると共に、該クーラケース22aの前部上端は、前記吸気マニホールド12の後部下端に接続されている。これにより、前記過給機2のコンプレッサ18で圧縮されて温度が上昇した高温の吸気は、吸気通路17を通ってクーラケース22aに流入し、冷却管22b・22b・・・の周囲空間を流れる間に冷却され、この冷却された吸気が、前記吸気マニホールド12を介してシリンダヘッド5の各気筒に分配される。
【0017】
そして、前記冷却水管32は、前記クラッチ11の潤滑油を冷却するためのオイルクーラ49を介して冷却水管31に接続され、該冷却水管31の前端に前記清水クーラ28が接続されている。これにより、インタークーラ22からの海水は、冷却水管32を通ってオイルクーラ49に流入し、該オイルクーラ49内でクラッチ11の潤滑油を冷却した後、冷却水管31を通って前記清水クーラ28に流入する。該清水クーラ28内においては、清水循環系統を循環する清水が低温の海水との熱交換によって冷却され、この冷却された清水が、エンジン1の冷却用ジャケットや、本発明に係わる過給機2の排気タービン19に供給されるのである。
【0018】
次に、本発明に係わる過給機2の構成と、その冷却構造について、図1乃至図12により説明する。
図1乃至図4に示すように、該過給機2は、コンプレッサ18と排気タービン19とから成り、前述のように、排気マニホールド13の後方において、左右方向に連設されている。そして、前記コンプレッサ18の羽根車であるインペラ33と、排気タービン19の羽根車であるタービンホイール35とは、図示せぬ軸受けによって回動可能に支持されたタービンシャフト34を介して連結されている。
【0019】
このうちの排気タービン19においては、前記タービンホイール35はタービンハウジング40に収容され、該タービンハウジング40の前部には、連結管41の後端が接続され、該連結管41の前端は、前記排気マニホールド13の後端に接続されている。更に、タービンハウジング40は、本発明に係わるタービンカバー39によって覆われており、該タービンカバー39の右側面には、タービンハウジング40の右側面の開口40dと側面視で重なるように、円形の排気口39aが開口されている。
【0020】
前記コンプレッサ18においては、前記トップカバー14cの後方で左右方向に、左から順に、エアクリーナ37、及びインペラハウジング38が連設され、該インペラハウジング38に前記インペラ33が収容されると共に、該インペラハウジング38の前端部は、前記吸気通路17の右端部に連通されている。
【0021】
このような構成において、前記排気マニホールド13から連結管41を介してタービンハウジング40に導入された排気ガスは、タービンホイール35を回転させた後、タービンハウジング40の開口40dを通って、タービンカバー39の排気口39aから外部に排出される。それに伴い、タービンシャフト34を介して前記タービンホイール35と一体的にインペラ33が回転し、外部から吸気が取り込まれ、該吸気は前記エアクリーナ37によって浄化された後にインペラハウジング38に流入し、流入した吸気は、前記インペラ33によって圧縮されてから前記吸気通路17に送出される。
【0022】
そして、この圧縮によって温度が上昇した高温の吸気は、前述したように、前記吸気通路17を通ってクーラケース22aに流入し、冷却管22b・22b・・・の周囲空間を流れる間に冷却され、この冷却された吸気が、圧縮空気として、前記吸気マニホールド12を介してシリンダヘッド5の各気筒に対して送り込まれるようにしており、エンジン出力や燃費の向上を図ることができる。
【0023】
図3、図8に示すように、前記タービンハウジング40は、左右水平方向に軸心を有する円筒部40aと、該円筒部40aの外周面40eの前斜め上部より前方に先細り円錐状に突設された排気導入部40bとから成り、これら円筒部40aと排気導入部40bとは一体的に構成されている。そして、該排気導入部40bの前端開口部にはフランジ40cが形成され、該フランジ40cが、前記連結管41の後端の後フランジ41aに、複数のボルト等の締結具43によって締結固定されるようにして、タービンハウジング40が連結管41に接続されている。
【0024】
更に、該連結管41の前端にも、排気取入口41cを開口した前フランジ41bが形成されており、該前フランジ41bが、前記排気マニホールド13の後端に、複数の締結具44によって締結固定されるようにして、連結管41が排気マニホールド13に接続されている。
【0025】
このようにして前記排気マニホールド13に接続固定されたタービンハウジング40は、該タービンハウジング40の外周面40eが前記タービンカバー39の内周面39bと直接接触しないようにした状態で、タービンカバー39のカバー室39c内に保持されている。そして、この外周面40eと内周面39bとの間には、所定の厚さの隙間が確保され、該隙間に空気層45が充填されている。
【0026】
該空気層45が、熱伝動に対する抵抗に優れた材料、いわゆる断熱材として機能するため、タービンハウジング40の熱は、主に輻射と対流だけでタービンカバー39に伝達される。従って、タービンハウジング40のタービン室40f内を流れる排気ガスには、熱伝導によっては放出されない熱が残存するため、排気ガスの著しい温度低下は抑制される。同時に、後述の如く清水で冷却されたタービンカバー39への入熱も軽減されるため、タービンハウジング40の冷却に使用された後の清水の温度上昇は抑制されることとなる。
【0027】
ただし、この空気層45の断熱性能は、前記外周面40eと内周面39bとの間の隙間の厚さを変えて空気層45の厚さを変更するだけで、所定の性能に設定することができ、使用する過給機2に適した断熱性能を容易に確保することができる。
【0028】
図3、図5乃至図12に示すように、前記タービンカバー39においては、右側面に円形の前記排気口39aが開口されると共に、左側面は開放されて前記インペラハウジング38の右側面に覆設されている。そして、タービンカバー39の前端部には左右両側に拡幅されて取付部39dが形成され、該取付部39dの左右両凸部には、それぞれに一対の締結孔39e・39eが上下位置に穿孔されている。該複数の締結孔39e・39e・・・に、複数の図示せぬボルト等を螺挿することにより、前記取付部39dは、前記排気マニホールド13を収容するカバー15の後端に締結固定されている。
【0029】
前記取付部39dの前面には、左右一対の清水入口39fと清水出口39gが開口され、これらの清水入口39fと清水出口39gは、タービンカバー39内に一体的に形成された図6に示す循環路46内に連通されている。該循環路46は、前記清水入口39fに前端部で連通する水平水路46aと、該水平水路46aの後端に接続する下降水路46bと、該下降水路46bの前端に接続する上昇水路46cとから成り、該上昇水路46cの前端部には前記清水出口39gが連通されている。
【0030】
ここで、前記排気マニホールド13からの排気ガスは、タービンホイール35の回転外周面に沿って流れるため、タービンハウジング40において該回転外周面近傍に位置する前記外周面40eが特に高温となるが、該外周面40eに沿うようにして、前記タービンカバー39内に循環路46が設けられている。これにより、該循環路46近傍の冷却効率の高い部分が、タービンハウジング40で特に温度の高い部分に近接配置されることとなり、タービンハウジング40を効果的に冷却できるようにしている。
【0031】
更に、前記タービンカバー39の清水入口39fと清水出口39gを前端に開口する取付部39dと、前記タービンハウジング40への排気取入口41cを前端に開口する連結管41の前フランジ41bとは、タービンカバー39の前側面39hを通る略同一の鉛直平面48に沿って、上下に並列に配置されている。これにより、該清水入口39f、清水出口39g及び排気取入口41cは、排気タービン19の取付位置である、排気マニホールド13とそのカバー15の後端近傍に集約して配置できるようにしている。
【0032】
このような構成において、エンジン1を冷却するための清水が、前記清水クーラ28から、カバー15内に設けられた図示せぬ配管と前記清水入口39fを通って、タービンカバー39内の循環路46に流入し、水平水路46a、下降水路46b、上昇水路46cを順に通りながらタービンカバー39を水冷する。その後、清水出口39gから吐出された清水は、そのままエンジン1の冷却用ジャケットに供給されてエンジン1の水冷に使用される。なお、この吐出後の清水は、エンジン1の冷却用ジャケットに供給せずに、清水の循環系統に戻すようにしてもよい。
【0033】
そして、このようにして低温に水冷されたタービンカバー39は、タービンハウジング40を汚染と腐食等から守る通常の保護機能に加え、高温のタービンハウジング40から熱伝導や対流によって伝達されてきた熱を積極的に奪うと同時に、タービンハウジング40からの輻射を遮断するといった冷却のための外側低温部としての機能も有するものであり、該タービンカバー39が、断熱性能に優れた内側断熱部として機能する前記空気層45を取り囲むようにして、本発明に係わる冷却構造体47が構成されている。
【0034】
従って、該冷却構造体47の外表面に相当するタービンカバー39の外表面は、過給機2を長時間駆動する場合であっても、清水による十分な冷却作用によって低温に保たれており、タービンカバー39からは輻射熱がほとんど放出されない。
【0035】
すなわち、エンジン1からの排気ガスによって回転するタービンホイール35を備えた過給機2において、該タービンホイール35を収容するタービンハウジング40の周囲に、内側断熱部である空気層45と、外側低温部であるタービンカバー39とから成る冷却構造体47を設けたので、前記タービンハウジング40とタービンカバー39との間に空気層45を介設し、該タービンハウジング40がタービンカバー39に直接接触しないようにすることができ、該タービンハウジング40のタービン室40f内の排気ガスの熱が過剰に奪われるのを防ぎ、タービン効率の低下を防止することができる。そして、前記タービンカバー39に低温の清水を使用した場合には、該清水の温度上昇が前記空気層45によって適度に緩和されるため、該清水を使ったエンジン1等の冷却効率の低下も防止することができる。また、過給機2の長時間駆動に伴いタービンハウジング40から熱伝導や対流により伝達されてきた熱は、タービンカバー39によって効果的に奪われると同時に、タービンハウジング40からの輻射も、タービンカバー39によって確実に遮断されるため、タービンカバー39の外表面、すなわち冷却構造体47の外表面はそれほど高温になることはなく、過給機2周囲への輻射熱を確実に減少させることができる。
【0036】
更に、前記内側断熱部は、前記タービンハウジング40の外周面40eと、外側低温部であるタービンカバー39の内周面39bとの間に介在する空気層45とするので、前記タービンハウジング40とタービンカバー39との間に所定の大きさの隙間を設けるだけで済み、石綿等の断熱材や該断熱材を閉じこめて成るラギング材等の遮熱体を新たに設ける必要がなく、前記冷却構造体47の部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。更には、前記隙間の厚さを変更するだけで断熱性能を自在に調節することができ、様々な仕様の過給機2の冷却への対応が可能となる。
【0037】
加えて、前記外側低温部は、前記タービンハウジング40を覆って保護するカバー部材であるタービンカバー39を兼用して成るので、前記外側低温部はタービンカバー39を利用して設けることができ、冷却構造体47の部品数を減らして、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0038】
そして、前記カバー部材であるタービンカバー39は、冷媒である清水の循環路46を内部に一体的に形成して構成するので、前記タービンカバー39の外表面に冷却配管等を周設する必要がなく、タービンカバー39に必要な設置空間を縮小することができ、冷却構造体47のコンパクト化を図ることができる。
【0039】
更に、前記冷媒である清水は、前記エンジン1を冷却するための冷却水とするので、前記清水、及び該清水を循環路46に供給するためのポンプやタンク等を別途に設けることなく、従来のエンジン冷却用の水冷システムを利用することができ、過給機2の冷却に必要な部品を減らして、更なる、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上、及びエンジン1のコンパクト化を図ることができる。
【0040】
加えて、前記循環路46は、前記タービンホイール35の回転外周面に沿って周設するので、タービンハウジング40で特に高温となる部分に沿って冷媒である清水の循環路46を配置することができ、外側低温部であるタービンカバー39による冷却効率を向上させることができる。
【0041】
そして、前記循環路46に冷媒である清水を給排する冷媒出入口である清水出入口39f・39gと、前記タービンハウジング40にエンジン1からの排気ガスを導入する排気取入口41cを、前記カバー部材であるタービンカバー39の同じ側で該タービンカバー39の前側面39hに沿って並列配置するので、前記清水出入口39f・39gと排気取入口41cを排気タービン19の取付位置である、排気マニホールド13とそのカバー15の後端近傍に集約して配置し、清水の給排と排気ガスの導入に必要な接続空間を縮小することができ、排気タービン19のコンパクト化、ひいては過給機2のコンパクト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた全ての過給機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係わるエンジンの全体構成を示す右側面図である。
【図2】同じく左側面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じく背面図である。
【図5】タービンカバーの前方斜視図である。
【図6】タービンカバーにおける循環路の前方斜視図である。
【図7】タービンカバーの後方斜視図である。
【図8】排気タービンの左側面図である。
【図9】タービンカバーの右側面図である。
【図10】同じく平面図である。
【図11】同じく背面図である。
【図12】同じく正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン
2 過給機
35 タービンホイール
39 タービンカバー(外側低温部、カバー部材)
39b 内周面
39f・39g 清水出入口(冷媒出入口)
39h 前側面(側面)
40 タービンハウジング
40e 外周面
41c 排気取入口
45 空気層(内側断熱部)
46 循環路
47 冷却構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機に関し、特に、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの過剰な冷却によるタービン効率の低下を防ぎつつ、過給機周囲への輻射熱を確実に減少可能な過給機の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンからの排気ガスでタービンホイールを回転し、該タービンホイールと一体となったタービンシャフトを介してインペラを回転させることにより、吸入した空気(以下、「吸気」とする。)を圧縮してシリンダヘッドの各気筒に送る過給機が知られているが、該過給機では、前記タービンホイールを収容するタービンハウジングが排気ガスの熱によって極めて高温になるため、過給機周囲にある他のエンジン構成部品や周辺部材を該タービンハウジングの輻射熱から保護する必要がある。特に、船舶用のエンジンでは、燃えやすい部品やオイルが輻射熱で引火しないようにして船舶内での火災発生を確実に防止する観点から、タービンハウジングからの輻射熱を減少させる技術が求められている。
そこで、従来より、タービンハウジングに冷却用ジャケットを形成し、該冷却用ジャケットに低温の清水等の冷媒を循環させることにより、タービンハウジングを強制的に冷却し、該タービンハウジングから過給機周囲への輻射熱を減少させる技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。また、タービンハウジングを、石綿等の断熱材や、該断熱材を閉じこめて成るラギング材や、あるいは該断熱材を金属板材間に密閉して成る遮蔽板等の遮熱体によって覆うことにより、タービンハウジングから過給機周囲への輻射を遮断する技術も公知となっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平4−76932号公報
【特許文献2】実開平6−73337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前者の技術の場合、冷却用ジャケット中を流れる冷媒によりタービンハウジングの熱が奪われて温度が低下し、該タービンハウジングからの輻射熱は減少するものの、該タービンハウジング内部のタービン室内を流れる高温高圧の排気ガスの熱損失が大きくなるためにタービン効率が低下したり、多量の熱を奪った冷媒の温度が上昇するために該冷媒を使用してエンジン等を冷却する際の冷却効率が低下する、という問題があった。
また、後者の技術の場合、過給機を長時間駆動すると熱がこもってタービンハウジングが著しく高温となり、該タービンハウジングから外部への熱伝導を十分に抑制できなくなるために、遮熱体の外表面も高温となって過給機周囲への輻射熱が著しく増加する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたものである。
請求項2においては、前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とするものである。
請求項3においては、前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成るものである。
請求項4においては、前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成するものである。
請求項5においては、前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とするものである。
請求項6においては、前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設するものである。
請求項7においては、前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたので、前記タービンハウジングと外側低温部との間に内側断熱部を介設し、該タービンハウジングが外側低温部に直接接触しないようにすることができ、該タービンハウジングのタービン室内の排気ガスの熱が過剰に奪われるのを防ぎ、タービン効率の低下を防止することができる。そして、前記外側低温部に低温の清水等の冷媒を使用した場合には、該冷媒の温度上昇が前記内側断熱部によって適度に緩和されるため、該冷媒を使ったエンジン等の冷却効率の低下も防止することができる。また、過給機の長時間駆動に伴いタービンハウジングから熱伝導や対流により伝達されてきた熱は、外側低温部によって効果的に奪われると同時に、タービンハウジングからの輻射も、外側低温部によって確実に遮断されるため、外側低温部の外表面、すなわち冷却構造体の外表面はそれほど高温になることはなく、過給機周囲への輻射熱を確実に減少させることができる。
請求項2においては、前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とするので、前記タービンハウジングと外側低温部との間に所定の大きさの隙間を設けるだけで済み、石綿等の断熱材や該断熱材を閉じこめて成るラギング材等の遮熱体を新たに設ける必要がなく、前記冷却構造体の部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。更には、前記隙間の厚さを変更するだけで断熱性能を自在に調節することができ、様々な仕様の過給機の冷却への対応が可能となる。
請求項3においては、前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成るので、前記外側低温部はカバー部材を利用して設けることができ、冷却構造体の部品数を減らして、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4においては、前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成するので、前記カバー部材の外表面に冷却配管等を周設する必要がなく、外側低温部に必要な設置空間を縮小することができ、冷却構造体のコンパクト化を図ることができる。
請求項5においては、前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とするので、前記冷媒、及び該冷媒を循環路に供給するためのポンプやタンク等を別途に設けることなく、従来のエンジン冷却用の水冷システムを利用することができ、過給機の冷却に必要な部品を減らして、更なる、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上、及びエンジンのコンパクト化を図ることができる。
請求項6においては、前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設するので、タービンハウジングで特に高温となる部分に沿って冷媒の循環路を配置することができ、外側低温部による冷却効率を向上させることができる。
請求項7においては、前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置するので、前記冷媒出入口と排気取入口を排気タービンの取付位置近傍に集約して配置し、冷媒の給排と排気ガスの導入に必要な接続空間を縮小することができ、排気タービンのコンパクト化、ひいては過給機のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係わるエンジンの全体構成を示す右側面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく平面図、図4は同じく背面図、図5はタービンカバーの前方斜視図、図6はタービンカバーにおける循環路の前方斜視図、図7はタービンカバーの後方斜視図、図8は排気タービンの左側面図、図9はタービンカバーの右側面図、図10は同じく平面図、図11は同じく背面図、図12は同じく正面図である。
なお、以下の説明においては、エンジン1のクランク軸方向を前後方向とし、エンジン1の出力側の方向(後述するクラッチ11の配置側)を後方、その反対側を前方(図3の矢印3の方向)とする。更に、エンジン1のクランク軸方向に対して水平に直交する方向を左右方向とし、背面から見て右手側(図3の矢印21の方向)を右方、その反対側を左方とする。
【0007】
まず、本発明に係わる過給機2を備えたエンジン1の全体構成について、図1乃至図4により説明する。
該エンジン1には、前後方向に長い長形のシリンダブロック4が備えられ、該シリンダブロック4の上端部にはシリンダヘッド5が、シリンダブロック4の下端部にはオイルパン6が、それぞれ設けられている。そして、該オイルパン6と前記シリンダヘッド5のいずれも、前記シリンダブロック4に沿って前後方向に長く形成されており、このうちのシリンダヘッド5の上面は、固設した弁腕室ケース7・7によって被装され、該弁腕室ケース7・7内には、弁腕や燃料噴射弁等を収容するための図示せぬ弁腕室が形成されている。
【0008】
前記シリンダブロック4の内部には、クランク軸8が略水平に前後方向に延びるようにして備えられ、該クランク軸8の後端部には、フライホイール9が取り付けられており、該フライホイール9は、シリンダブロック4の後端に固設したフライホイールハウジング10によって覆われている。更に、該フライホイールハウジング10の後端面には、クラッチ11が連動連結されており、該クラッチ11により、前記クランク軸8からのエンジン出力を断接できるようにしている。
【0009】
また、前記シリンダヘッド5の右側面には、該シリンダヘッド5と略同じ長さに渡り該右側面に沿うようにして排気マニホールド13が設けられ、該排気マニホールド13の右外方に、各種リレーやヒューズ等の収納ボックス26が設けられており、これら排気マニホールド13と収納ボックス26は、それぞれ、カバー15とカバー16によって覆われている。このうちの排気マニホールド13の下方には、前から順に、海水を冷却水として汲み上げるための海水ポンプ27と、前記エンジン1の本体部の冷却用ジャケットへ供給する冷却用の清水を海水と熱交換して冷却するための清水クーラ28とが配設され、該清水クーラ28の機体内方には、エンジン1の潤滑油を冷却するためのオイルクーラ29が配設されている。
【0010】
そして、前記排気マニホールド13の後方に、本発明に係わる過給機2が設けられ、該過給機2には、後述するようにして、前記清水クーラ28からの清水の一部が供給されており、該清水によって、前記過給機2のタービンカバー39が冷却されるようにしている。
【0011】
また、前記シリンダヘッド5の左側面には、前記排気マニホールド13と同様に、該シリンダヘッド5と略同じ長さに渡って該左側面に沿うようにして吸気マニホールド12が設けられ、更に、該吸気マニホールド12の後方には、前記弁腕室ケース7の後方で左右方向に延設された吸気通路17の左端部が配置されている。そして、該吸気通路17の右端部は前記過給機2のコンプレッサ18に連通されると共に、これら吸気マニホールド12と吸気通路17は、それぞれ、トップカバー14bとトップカバー14cによって覆われている。更に、前記吸気マニホールド12の後部から吸気通路17の左端部に跨る部分の直下方には、前記過給機2からの吸気を海水との熱交換によって冷却するためのインタークーラ22が、前後方向に長く形成されている。
【0012】
前記トップカバー14b内にはコモンレール23も設けられており、該コモンレール23からの燃料吐出側は、燃料を燃焼室内に噴射する図示せぬインジェクタに接続されると共に、該コモンレール23への燃料供給側は、シリンダブロック4の左側面前部に配設した高圧燃料ポンプ24に接続されている。更に、前記トップカバー14bの前方には、エンジン1の前端部の上面を左右方向全幅で覆うトップカバー14aが配設されており、該トップカバー14a内に、エンジン1の燃料噴射系の制御全般を行うエンジン制御ユニット20が収容されると共に、エンジン1の左側面の略中央には、インジェクタドライバユニット25が配設されている。
【0013】
このような構成において、前記高圧燃料ポンプ24により加圧して得た高圧燃料が、コモンレール23を介して各インジェクタに分配されると共に、その際のインジェクタからの燃料噴射量や噴射時期等を、前記エンジン制御ユニット20やインジェクタドライバユニット25によって適切に制御するようにして、燃費や燃焼性に優れたコモンレール式の電子制御燃料噴射システムがエンジン1に形成されている。
【0014】
次に、以上のようなエンジン1における冷却構成について、図1乃至図4により説明する。
熱交換のための冷却用の海水が、図示せぬ海水取入口から前記海水ポンプ27によって汲み上げられる。この汲み上げられた海水は、海水ポンプ27とオイルクーラ29とを接続する冷却水管30を通って、前記オイルクーラ29に流入して潤滑油を冷却する。冷却後の海水は、該オイルクーラ29の後端と前記インタークーラ22の後端とを接続するゴムホース50から冷却水管51を通って、前記インタークーラ22に流入する。
【0015】
該インタークーラ22には、インタークーラ22の外形を構成する略円筒状のクーラケース22aと、該クーラケース22a内で前後方向に互いに平行に並設される多数の冷却管22b・22b・・・とが備えられ、該冷却管22b・22b・・・の各給水端は、前記冷却水管51の端部に接続されると共に、冷却管22b・22b・・・の各排水端は、冷却水管32の端部に接続されており、これにより、オイルクーラ29からの海水は、クーラケース22a内の冷却管22b・22b・・・を通って該冷却管22b・22b・・・の周囲空間を冷却した後に、前記冷却水管32から排出される。
【0016】
一方、前記クーラケース22aの後部上端は、前記過給機2のコンプレッサ18に連通する吸気通路17の左端部に接続されると共に、該クーラケース22aの前部上端は、前記吸気マニホールド12の後部下端に接続されている。これにより、前記過給機2のコンプレッサ18で圧縮されて温度が上昇した高温の吸気は、吸気通路17を通ってクーラケース22aに流入し、冷却管22b・22b・・・の周囲空間を流れる間に冷却され、この冷却された吸気が、前記吸気マニホールド12を介してシリンダヘッド5の各気筒に分配される。
【0017】
そして、前記冷却水管32は、前記クラッチ11の潤滑油を冷却するためのオイルクーラ49を介して冷却水管31に接続され、該冷却水管31の前端に前記清水クーラ28が接続されている。これにより、インタークーラ22からの海水は、冷却水管32を通ってオイルクーラ49に流入し、該オイルクーラ49内でクラッチ11の潤滑油を冷却した後、冷却水管31を通って前記清水クーラ28に流入する。該清水クーラ28内においては、清水循環系統を循環する清水が低温の海水との熱交換によって冷却され、この冷却された清水が、エンジン1の冷却用ジャケットや、本発明に係わる過給機2の排気タービン19に供給されるのである。
【0018】
次に、本発明に係わる過給機2の構成と、その冷却構造について、図1乃至図12により説明する。
図1乃至図4に示すように、該過給機2は、コンプレッサ18と排気タービン19とから成り、前述のように、排気マニホールド13の後方において、左右方向に連設されている。そして、前記コンプレッサ18の羽根車であるインペラ33と、排気タービン19の羽根車であるタービンホイール35とは、図示せぬ軸受けによって回動可能に支持されたタービンシャフト34を介して連結されている。
【0019】
このうちの排気タービン19においては、前記タービンホイール35はタービンハウジング40に収容され、該タービンハウジング40の前部には、連結管41の後端が接続され、該連結管41の前端は、前記排気マニホールド13の後端に接続されている。更に、タービンハウジング40は、本発明に係わるタービンカバー39によって覆われており、該タービンカバー39の右側面には、タービンハウジング40の右側面の開口40dと側面視で重なるように、円形の排気口39aが開口されている。
【0020】
前記コンプレッサ18においては、前記トップカバー14cの後方で左右方向に、左から順に、エアクリーナ37、及びインペラハウジング38が連設され、該インペラハウジング38に前記インペラ33が収容されると共に、該インペラハウジング38の前端部は、前記吸気通路17の右端部に連通されている。
【0021】
このような構成において、前記排気マニホールド13から連結管41を介してタービンハウジング40に導入された排気ガスは、タービンホイール35を回転させた後、タービンハウジング40の開口40dを通って、タービンカバー39の排気口39aから外部に排出される。それに伴い、タービンシャフト34を介して前記タービンホイール35と一体的にインペラ33が回転し、外部から吸気が取り込まれ、該吸気は前記エアクリーナ37によって浄化された後にインペラハウジング38に流入し、流入した吸気は、前記インペラ33によって圧縮されてから前記吸気通路17に送出される。
【0022】
そして、この圧縮によって温度が上昇した高温の吸気は、前述したように、前記吸気通路17を通ってクーラケース22aに流入し、冷却管22b・22b・・・の周囲空間を流れる間に冷却され、この冷却された吸気が、圧縮空気として、前記吸気マニホールド12を介してシリンダヘッド5の各気筒に対して送り込まれるようにしており、エンジン出力や燃費の向上を図ることができる。
【0023】
図3、図8に示すように、前記タービンハウジング40は、左右水平方向に軸心を有する円筒部40aと、該円筒部40aの外周面40eの前斜め上部より前方に先細り円錐状に突設された排気導入部40bとから成り、これら円筒部40aと排気導入部40bとは一体的に構成されている。そして、該排気導入部40bの前端開口部にはフランジ40cが形成され、該フランジ40cが、前記連結管41の後端の後フランジ41aに、複数のボルト等の締結具43によって締結固定されるようにして、タービンハウジング40が連結管41に接続されている。
【0024】
更に、該連結管41の前端にも、排気取入口41cを開口した前フランジ41bが形成されており、該前フランジ41bが、前記排気マニホールド13の後端に、複数の締結具44によって締結固定されるようにして、連結管41が排気マニホールド13に接続されている。
【0025】
このようにして前記排気マニホールド13に接続固定されたタービンハウジング40は、該タービンハウジング40の外周面40eが前記タービンカバー39の内周面39bと直接接触しないようにした状態で、タービンカバー39のカバー室39c内に保持されている。そして、この外周面40eと内周面39bとの間には、所定の厚さの隙間が確保され、該隙間に空気層45が充填されている。
【0026】
該空気層45が、熱伝動に対する抵抗に優れた材料、いわゆる断熱材として機能するため、タービンハウジング40の熱は、主に輻射と対流だけでタービンカバー39に伝達される。従って、タービンハウジング40のタービン室40f内を流れる排気ガスには、熱伝導によっては放出されない熱が残存するため、排気ガスの著しい温度低下は抑制される。同時に、後述の如く清水で冷却されたタービンカバー39への入熱も軽減されるため、タービンハウジング40の冷却に使用された後の清水の温度上昇は抑制されることとなる。
【0027】
ただし、この空気層45の断熱性能は、前記外周面40eと内周面39bとの間の隙間の厚さを変えて空気層45の厚さを変更するだけで、所定の性能に設定することができ、使用する過給機2に適した断熱性能を容易に確保することができる。
【0028】
図3、図5乃至図12に示すように、前記タービンカバー39においては、右側面に円形の前記排気口39aが開口されると共に、左側面は開放されて前記インペラハウジング38の右側面に覆設されている。そして、タービンカバー39の前端部には左右両側に拡幅されて取付部39dが形成され、該取付部39dの左右両凸部には、それぞれに一対の締結孔39e・39eが上下位置に穿孔されている。該複数の締結孔39e・39e・・・に、複数の図示せぬボルト等を螺挿することにより、前記取付部39dは、前記排気マニホールド13を収容するカバー15の後端に締結固定されている。
【0029】
前記取付部39dの前面には、左右一対の清水入口39fと清水出口39gが開口され、これらの清水入口39fと清水出口39gは、タービンカバー39内に一体的に形成された図6に示す循環路46内に連通されている。該循環路46は、前記清水入口39fに前端部で連通する水平水路46aと、該水平水路46aの後端に接続する下降水路46bと、該下降水路46bの前端に接続する上昇水路46cとから成り、該上昇水路46cの前端部には前記清水出口39gが連通されている。
【0030】
ここで、前記排気マニホールド13からの排気ガスは、タービンホイール35の回転外周面に沿って流れるため、タービンハウジング40において該回転外周面近傍に位置する前記外周面40eが特に高温となるが、該外周面40eに沿うようにして、前記タービンカバー39内に循環路46が設けられている。これにより、該循環路46近傍の冷却効率の高い部分が、タービンハウジング40で特に温度の高い部分に近接配置されることとなり、タービンハウジング40を効果的に冷却できるようにしている。
【0031】
更に、前記タービンカバー39の清水入口39fと清水出口39gを前端に開口する取付部39dと、前記タービンハウジング40への排気取入口41cを前端に開口する連結管41の前フランジ41bとは、タービンカバー39の前側面39hを通る略同一の鉛直平面48に沿って、上下に並列に配置されている。これにより、該清水入口39f、清水出口39g及び排気取入口41cは、排気タービン19の取付位置である、排気マニホールド13とそのカバー15の後端近傍に集約して配置できるようにしている。
【0032】
このような構成において、エンジン1を冷却するための清水が、前記清水クーラ28から、カバー15内に設けられた図示せぬ配管と前記清水入口39fを通って、タービンカバー39内の循環路46に流入し、水平水路46a、下降水路46b、上昇水路46cを順に通りながらタービンカバー39を水冷する。その後、清水出口39gから吐出された清水は、そのままエンジン1の冷却用ジャケットに供給されてエンジン1の水冷に使用される。なお、この吐出後の清水は、エンジン1の冷却用ジャケットに供給せずに、清水の循環系統に戻すようにしてもよい。
【0033】
そして、このようにして低温に水冷されたタービンカバー39は、タービンハウジング40を汚染と腐食等から守る通常の保護機能に加え、高温のタービンハウジング40から熱伝導や対流によって伝達されてきた熱を積極的に奪うと同時に、タービンハウジング40からの輻射を遮断するといった冷却のための外側低温部としての機能も有するものであり、該タービンカバー39が、断熱性能に優れた内側断熱部として機能する前記空気層45を取り囲むようにして、本発明に係わる冷却構造体47が構成されている。
【0034】
従って、該冷却構造体47の外表面に相当するタービンカバー39の外表面は、過給機2を長時間駆動する場合であっても、清水による十分な冷却作用によって低温に保たれており、タービンカバー39からは輻射熱がほとんど放出されない。
【0035】
すなわち、エンジン1からの排気ガスによって回転するタービンホイール35を備えた過給機2において、該タービンホイール35を収容するタービンハウジング40の周囲に、内側断熱部である空気層45と、外側低温部であるタービンカバー39とから成る冷却構造体47を設けたので、前記タービンハウジング40とタービンカバー39との間に空気層45を介設し、該タービンハウジング40がタービンカバー39に直接接触しないようにすることができ、該タービンハウジング40のタービン室40f内の排気ガスの熱が過剰に奪われるのを防ぎ、タービン効率の低下を防止することができる。そして、前記タービンカバー39に低温の清水を使用した場合には、該清水の温度上昇が前記空気層45によって適度に緩和されるため、該清水を使ったエンジン1等の冷却効率の低下も防止することができる。また、過給機2の長時間駆動に伴いタービンハウジング40から熱伝導や対流により伝達されてきた熱は、タービンカバー39によって効果的に奪われると同時に、タービンハウジング40からの輻射も、タービンカバー39によって確実に遮断されるため、タービンカバー39の外表面、すなわち冷却構造体47の外表面はそれほど高温になることはなく、過給機2周囲への輻射熱を確実に減少させることができる。
【0036】
更に、前記内側断熱部は、前記タービンハウジング40の外周面40eと、外側低温部であるタービンカバー39の内周面39bとの間に介在する空気層45とするので、前記タービンハウジング40とタービンカバー39との間に所定の大きさの隙間を設けるだけで済み、石綿等の断熱材や該断熱材を閉じこめて成るラギング材等の遮熱体を新たに設ける必要がなく、前記冷却構造体47の部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。更には、前記隙間の厚さを変更するだけで断熱性能を自在に調節することができ、様々な仕様の過給機2の冷却への対応が可能となる。
【0037】
加えて、前記外側低温部は、前記タービンハウジング40を覆って保護するカバー部材であるタービンカバー39を兼用して成るので、前記外側低温部はタービンカバー39を利用して設けることができ、冷却構造体47の部品数を減らして、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0038】
そして、前記カバー部材であるタービンカバー39は、冷媒である清水の循環路46を内部に一体的に形成して構成するので、前記タービンカバー39の外表面に冷却配管等を周設する必要がなく、タービンカバー39に必要な設置空間を縮小することができ、冷却構造体47のコンパクト化を図ることができる。
【0039】
更に、前記冷媒である清水は、前記エンジン1を冷却するための冷却水とするので、前記清水、及び該清水を循環路46に供給するためのポンプやタンク等を別途に設けることなく、従来のエンジン冷却用の水冷システムを利用することができ、過給機2の冷却に必要な部品を減らして、更なる、部品コストの低減や組立性・メンテナンス性の向上、及びエンジン1のコンパクト化を図ることができる。
【0040】
加えて、前記循環路46は、前記タービンホイール35の回転外周面に沿って周設するので、タービンハウジング40で特に高温となる部分に沿って冷媒である清水の循環路46を配置することができ、外側低温部であるタービンカバー39による冷却効率を向上させることができる。
【0041】
そして、前記循環路46に冷媒である清水を給排する冷媒出入口である清水出入口39f・39gと、前記タービンハウジング40にエンジン1からの排気ガスを導入する排気取入口41cを、前記カバー部材であるタービンカバー39の同じ側で該タービンカバー39の前側面39hに沿って並列配置するので、前記清水出入口39f・39gと排気取入口41cを排気タービン19の取付位置である、排気マニホールド13とそのカバー15の後端近傍に集約して配置し、清水の給排と排気ガスの導入に必要な接続空間を縮小することができ、排気タービン19のコンパクト化、ひいては過給機2のコンパクト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた全ての過給機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係わるエンジンの全体構成を示す右側面図である。
【図2】同じく左側面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】同じく背面図である。
【図5】タービンカバーの前方斜視図である。
【図6】タービンカバーにおける循環路の前方斜視図である。
【図7】タービンカバーの後方斜視図である。
【図8】排気タービンの左側面図である。
【図9】タービンカバーの右側面図である。
【図10】同じく平面図である。
【図11】同じく背面図である。
【図12】同じく正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン
2 過給機
35 タービンホイール
39 タービンカバー(外側低温部、カバー部材)
39b 内周面
39f・39g 清水出入口(冷媒出入口)
39h 前側面(側面)
40 タービンハウジング
40e 外周面
41c 排気取入口
45 空気層(内側断熱部)
46 循環路
47 冷却構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたことを特徴とする過給機の冷却構造。
【請求項2】
前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とすることを特徴とする請求項1に記載の過給機の冷却構造。
【請求項3】
前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過給機の冷却構造。
【請求項4】
前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成することを特徴とする請求項3に記載の過給機の冷却構造。
【請求項5】
前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とすることを特徴とする請求項4に記載の過給機の冷却構造。
【請求項6】
前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の過給機の冷却構造。
【請求項7】
前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置することを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか一項に記載の過給機の冷却構造。
【請求項1】
エンジンからの排気ガスによって回転するタービンホイールを備えた過給機において、該タービンホイールを収容するタービンハウジングの周囲に、内側断熱部と外側低温部とから成る冷却構造体を設けたことを特徴とする過給機の冷却構造。
【請求項2】
前記内側断熱部は、前記タービンハウジングの外周面と外側低温部の内周面との間に介在する空気層とすることを特徴とする請求項1に記載の過給機の冷却構造。
【請求項3】
前記外側低温部は、前記タービンハウジングを覆って保護するカバー部材を兼用して成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過給機の冷却構造。
【請求項4】
前記カバー部材は、冷媒の循環路を内部に一体的に形成して構成することを特徴とする請求項3に記載の過給機の冷却構造。
【請求項5】
前記冷媒は、前記エンジンを冷却するための冷却水とすることを特徴とする請求項4に記載の過給機の冷却構造。
【請求項6】
前記循環路は、前記タービンホイールの回転外周面に沿って周設することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の過給機の冷却構造。
【請求項7】
前記循環路に冷媒を給排する冷媒出入口と、前記タービンハウジングにエンジンからの排気ガスを導入する排気取入口を、前記カバー部材の同じ側で該カバー部材側面に沿って並列配置することを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか一項に記載の過給機の冷却構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−59807(P2010−59807A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224144(P2008−224144)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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