説明

過給機及び過給機の冷却方法

【課題】ベアリングハウジングを均等に冷却することができる過給機及び過給機の冷却方法を提供する。
【解決手段】潤滑油供給路15と冷却路19との間に、冷却路19に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路からなる潤滑油供給孔を配置し、かつ、これら流路を略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置する。流路は、駆動シャフトの径方向に沿う同一平面内にてV字状に配置される。傾斜角度は、45〜60度の範囲内に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の内燃機関に適用される過給機に関し、ハウジングを均一に冷却するできる過給機及び過給機の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の過給機に関連する技術として、特許文献1に示されるタービンロータの冷却装置が知られている。この特許文献1に示される技術は、タービンロータのタービンハウジング背面部に向けてベアリングハウジング内の潤滑油の一部を噴射する噴射ノズルを設け、この潤滑油の吹き付けによりタービンロータ背面部を冷却し、該タービンロータの熱変形を防止するようにしている。
【特許文献1】特開平9‐250353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のように構成されたタービンロータの冷却装置では、ベアリングハウジング内にて駆動シャフトの周方向に沿って環状の冷却路が形成されており、この冷却路に沿うように、噴射ノズルから噴射された潤滑油を循環させるようにしている。
しかし、実際には、噴射ノズルから噴射された潤滑油による冷却効果は、ハウジングの上半分のみで、下半分にまでは及ばず、このような不均一な冷却によって、駆動シャフトのシールリングの耐熱温度を越えた温度上昇が生じ、該シールリングのシール効果が低下するという問題が発生する。
【0004】
また、上述したような不均一な冷却によってベアリングハウジング及びこれに接するタービンハウジングに歪が生じ、このような歪によって生じるハウジングの変形が原因で、駆動シャフトに支持されるタービンインペラがタービンハウジングに接触するという問題も発生する。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、該ベアリングハウジングの冷却路内に供給された潤滑油の温度を各所において均一とすることができ、これによってシールリングの温度上昇に伴うシール効果の低下を防止し、かつハウジングの変形が原因で生じるインペラとハウジングとの衝突を防止することができる過給機及び過給機の冷却方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る過給機及び過給機の冷却方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、タービンハウジング及びコンプレッサハウジングの間に配置されたベアリングハウジングと、これら各ハウジング内に配置されて前記タービンハウジング内で発生した動力をコンプレッサハウジング内に伝達させる駆動シャフトと、前記ベアリングハウジングに形成されて前記駆動シャフトとベアリングとの間に油膜を形成するための潤滑油を供給する潤滑油供給路と、前記ベアリングハウジング内でかつ前記駆動シャフトを中心として周方向に形成されて前記潤滑油供給路によって供給された潤滑油の一部を導き入れて前記ハウジングを冷却する冷却路と、を具備する過給機であって、前記潤滑油供給路と冷却路との間に、該冷却路に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路からなる潤滑油供給孔を配置し、かつ、該潤滑油供給孔の各流路を互いに略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置することを特徴とする。
【0007】
上記のように構成された過給機によれば、周方向に沿う冷却路にて潤滑油を循環させることができ、該冷却路内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
これによってシールリングの温度上昇に伴うシール効果の低下を防止することができ、かつ、ハウジングの変形が原因で生じるインペラとハウジングとの衝突を防止することができる。
【0008】
また、前記潤滑油供給孔を2本の流路によって構成するとともに、該2本の流路を、前記駆動シャフトの径方向に沿う同一平面内にて予め設定した傾斜角度でV字状に配置することを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された過給機によれば、該2本の流路を通じた潤滑油の噴出によって、冷却路内にて相異なる周方向に潤滑油を循環させることができ、該冷却路内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
これによってシールリングの温度上昇に伴うシール効果の低下を防止することができ、かつハウジングの変形が原因で生じるインペラとハウジングとの衝突を防止することができる。
【0010】
また、本発明の過給機では、45〜60度の範囲内に設定されることを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された過給機によれば、該冷却路内の潤滑油の温度を各所において最大限に均一とすることができ、その冷却効果を最大に高めることができる。
【0012】
第2の発明は、タービンハウジング及びコンプレッサハウジングの間に配置されたベアリングハウジングと、これら各ハウジング内に配置されて前記タービンハウジング内で発生した動力をコンプレッサハウジング内に伝達させる駆動シャフトと、前記ベアリングハウジングに形成されて前記駆動シャフトとベアリングとの間に油膜を形成するための潤滑油を供給する潤滑油供給路と、前記ベアリングハウジング内でかつ前記駆動シャフトを中心として周方向に形成されて前記潤滑油供給路によって供給された潤滑油の一部を導き入れて前記ハウジングを冷却する冷却路と、を具備する過給機において、前記潤滑油供給路と冷却路との間に該冷却路に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路からなる潤滑油供給孔を配置し、かつ、該潤滑油供給孔の各流路を互いに略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置したことを特徴とする。
【0013】
上記のように構成された過給機の冷却方法によれば、周方向に沿う冷却路にて潤滑油を循環させることができ、該冷却路内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
これによってシールリングの温度上昇に伴うシール効果の低下を防止することができ、かつハウジングの変形が原因で生じるインペラとハウジングとの衝突を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、周方向に沿う冷却路にて潤滑油を循環させることができ、該冷却路内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
これによってシールリングの温度上昇に伴うシール効果の低下を防止することができ、かつ、ハウジングの変形が原因で生じるインペラとハウジングとの衝突を防止することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る過給機及び過給機の冷却方法の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である過給機1の全体構成を示す正断面図であり、図2は、図1のII-II断面図である。
【0016】
過給機1は、タービン部100内のタービンインペラ2と、コンプレッサ部101内のコンプレッサインペラ3と、ベアリング部102で回転自在に支持されかつこれらタービンインペラ2とコンプレッサインペラ3とが固定された駆動シャフト4と、これらを収容するハウジング5とから概略構成されている。
【0017】
タービンインペラ2と駆動シャフト4とは溶接により一体化され、コンプレッサインペラ3と駆動シャフト4とはナット6を介して結合されている。また、ハウジング5は、タービンインペラ2が収容されるタービンハウジング7と、駆動シャフト4のベアリング等が収容されるベアリングハウジング8と、ベアリングハウジング8とコンプレッサハウジング10とを区画するシールプレート9と、コンプレッサインペラ3が収容されるコンプレッサハウジング10とが順に連結された構成からなる。
【0018】
過給機1は、駆動シャフト4とこれを支持するベアリング等とを円滑に摺動させるため、また、ハウジング5を冷却するために、ベアリングハウジング8の内部に潤滑油が給油される。
そのため、ベアリングハウジング8の上部には、外部から潤滑油を供給するための給油口11が、ベアリングハウジング8の下部には、内部から潤滑油を排出するための排油口12が備えられている。
【0019】
ベアリングハウジング8は、外側に位置してタービンハウジング7とコンプレッサハウジング10に連結されるハウジング本体部8Aと、該ハウジング本体部8A内の内側に配置されて潤滑油を用途に応じて分配するベアリングブッシュ8Bとから構成される。
ベアリングハウジング8のベアリングブッシュ8B内には、駆動シャフト4が挿通されてコンプレッサ側の径が大きく形成される軸支持部13と、この軸支持部13の周囲を取り巻く排油室14と、軸支持部13の上部においてこの軸支持部13に沿って穿孔されて、給油口11に直交するように連通する潤滑油供給路15とが備えられている。
【0020】
軸支持部13には、タービン側に不図示のフローティングメタルが、コンプレッサ側に不図示のフローティングメタルが設けられている。このフローティングメタルは、周面に複数の貫通孔を備える円筒部材であり、これらを介して駆動シャフト4がラジアル方向に支持され、回動可能になっている。
すなわち、後述の給油孔20及び給油孔21からフローティングメタルに潤滑油が供給されるとフローティングメタルと軸支持部13との間及び駆動シャフト4とフローティングメタルとの間に潤滑油が行き渡り、高い回転数でも駆動シャフト4を円滑に回転させることが可能である。
なお、フローティングメタルは、軸支持部13に設けられるリテーニングリングや軸受スペーサ等により軸方向に移動ができないようになっている。
【0021】
排油室14は、排油口12に連通する下部排油空間18、軸支持部13の周囲に冷却路19を備えている。冷却路19は、ベアリングハウジング8内にて駆動シャフト4の周方向に沿うように配置されたものであって、該冷却路19を通じて供給される潤滑油によって、ベアリングハウジング8及び該ベアリングハウジング8に隣接するタービンハウジング7を冷却する。これによってシール部30のシールブッシュ(後述する)の温度上昇に伴うシール効果の低下を防止し、かつハウジング7・8の変形が原因で生じるタービンインペラ2とタービンハウジング7との衝突を防止する。
【0022】
潤滑油供給路15は、ベアリングブッシュ8B内にて駆動シャフト4の軸方向に沿うように配置されたものであって、該軸方向に沿う中間位置には、潤滑油供給路15からフローティングメタルへ潤滑油を供給する給油孔20及び給油孔21と、フローティングメタルに供給された潤滑油を下部排油空間18へと排出させる排油穴22が形成されている。
【0023】
駆動シャフト4のスラスト方向の荷重は、ベアリングブッシュ8Bとシールプレート9との間に固定されたスラストベアリング23により支持される。このスラストベアリング23は、駆動シャフト4に固定されたスラストカラー24と摺動するように設けられるものであって、潤滑油供給路15を通じて供給された潤滑油によって、スラストベアリング23とスラストカラー24間に油膜を発生させ、スラストカラー24を駆動シャフト4とともに円滑に回転させるようにしている。
これによって駆動シャフト4に加わる空気圧力、ガス圧力や振動による軸方向の力を支える構成となっている。
【0024】
一方、ベアリングハウジング8のタービン部100側にはシール部30が、また、ベアリングハウジング8のコンプレッサ部101側にはシール部31がそれぞれ設けられている。シール部30はリング状のシールブッシュにより構成されるものであって、タービン100内部に潤滑油が漏出しないように、ベアリングハウジング8と駆動シャフト4との間をシールする。
【0025】
シール部31は、駆動シャフト4の外周面に固定された円筒型のシール部材32と、シールプレート9に固定されその先端部がシール部材32に形成されたシール溝内に位置するシールリング33とを有するものであって、シール部材32のベアリング部102側はスラストカラー24に隣接され、また、シール部材32のコンプレッサ部101側はコンプレッサインペラ3に隣接されている。
そして、このようなシール部材32及び該シール部材32に設けられたシールリング33によって、ベアリング部102からコンプレッサ部101内に潤滑油が漏出しないようにシールされる。
【0026】
また、上記に示した構成により、ベアリングハウジング8内には、第一の流路、第二の流路、第三の流路が形成される。
第一の流路は、給油口11から給油されて潤滑油供給路15に至った潤滑油が、給油孔20及び給油孔21を経た後に軸支持部13に流入して、排油穴22を介して下部排油空間18に至り排油口12から排出される油路である。
第二の流路は、潤滑油供給路15を経てコンプレッサ方向に流れた潤滑油が、スラストカラー24の周囲を経由してスラストベアリング23とスラストカラー24間に至った後、下部排油空間18に流れ落ちて排油口12から排出される油路である。
第三の流路は、潤滑油供給路15を経てタービン方向に流れた潤滑油が、冷却路19に至った後に下部排油空間18に流れ落ちて排油口12から排出される油路である。
【0027】
次に、図2を参照して、潤滑油供給路15から冷却路19に潤滑油を噴出させるための潤滑油供給手段50について説明する。
この潤滑油供給手段50は、潤滑油供給路15と冷却路19との間に、該冷却路19に対して上方に潤滑油を噴出させる2本の流路51A,51Bを有する潤滑油供給孔51を配置し、かつこれら流路51A,51Bを、互いに略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置したものである。これら潤滑油供給孔51の流路51A,51Bは、駆動シャフト4の径方向に沿う同一の平面内にて、分岐点Oを中心としてかつ垂直な基準線Mからそれぞれ設定角度α傾斜するように配置されているものであって、全体としてV字を形成している。
【0028】
そして、このような2本の流路51A,51Bを通じた潤滑油の噴出によって、冷却路19内にて相異なる周方向(図2(A)〜図2(C)に矢印A、矢印Bで示す)に潤滑油を循環させることができ、該冷却路19内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
なお、基準線Mから傾斜した流路51A,51Bの設定角度αは、45〜60度の範囲内に設定することが好ましい。
【0029】
次に、上記のように構成された潤滑油供給手段50の冷却効果の試験結果について、図2及び図3を参照して説明する。
図2(A)は2本の流路51A,51Bの設定角度αをそれぞれ30度とした第1実施例、図2(B)は2本の流路51A,51Bの設定角度αをそれぞれ45度とした第2実施例、図2(C)は2本の流路51A,51Bの設定角度αをそれぞれ60度とした第3実施例、図2(D)は一つの流路によって潤滑油供給孔(符号25で示す)を構成し、該流路を垂直として、潤滑油を冷却路19内に真上に向けて噴出させるようにした従来例である。
図3(A)〜(D)は、ベアリングハウジング8の温度変化の測定結果を示す図であって、図2(A)〜(D)に対応している。
【0030】
この試験では、図3に太線で示すように、まず、タービンによって駆動シャフト4の出力を徐々に上げて行き、該駆動シャフト4の回転数が7万回転となった時点で、その回転数をおよそ30分間維持し、その後、駆動シャフト4を停止する。そして、このように駆動シャフト4の回転及び停止に伴う、冷却路19内の周方向に沿う温度変化を各所で測定することで、潤滑油供給手段50の冷却効果を確認した。
なお、ベアリングハウジング8(B/H)内の冷却路19内の周方向に沿う温度変化の測定箇所は、冷却路19の上側、右側、下側、左側(方向は図2に対応)4ヶ所である。また、給油口11を通じて潤滑油供給路15に供給される潤滑油の初期温度は60度である。
【0031】
そして、図3(A)〜(D)を参照して分かるように、図2(D)に示すように潤滑油を冷却路19内に真上に向けて噴出する比較例では、冷却路19の上側だけが冷却されるのに対して、図2(A)〜(C)に示すような2本の流路51A,51Bにより冷却路19内に、異なる傾斜角度αで噴出させるようにした第1〜第3実施例では、比較例と比較して、冷却路19の上側、右側、下側、左側の温度のばらつきが小さく、かつ傾斜角度αが大きくなる程、そのばらつきも徐々に小さくなることが確認された。
【0032】
特に、図2(C)に示すような、流路51A,51Bの傾斜角度αが60度の比較例では、冷却路19の上側、右側、下側、左側の温度のばらつきはほぼ僅かであり、該冷却路19内の潤滑油の温度を各所にて均一にできることが確認された。
また、基準線Mからの傾斜角度αが60度を越えた場合には、図示してはいないが、再び冷却路19の上側、右側、下側、左側の温度のばらつきが再び大きくなることが確認されている。
【0033】
上記のように構成された過給機1によれば、潤滑油供給路15と冷却路19との間に、該冷却路19に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路51A,51Bからなる潤滑油供給孔51を配置し、かつ該潤滑油供給孔51の各流路51A,51Bを、略鉛直方向に対して傾斜角度αを有するように配置した。具体的には、潤滑油供給孔51を構成する2本の流路51A,51Bを、駆動シャフト4の径方向に沿う同一平面内にて予め設定した傾斜角度αでV字状に配置したので、該2本の流路51A,51Bを通じた潤滑油の噴出によって、冷却路19内にて相異なる周方向に潤滑油を循環させることができ、該冷却路19内の潤滑油の温度を各所において均一とすることができる。
これによってシール部30の温度上昇に伴うシール効果の低下を防止することができ、かつ、ハウジングの変形が原因で生じるタービンインペラ2とタービンハウジング7との衝突を防止することができる。
【0034】
また、上記のように構成された過給機1では、潤滑油供給孔51を構成する流路51A,51Bについて、分岐点Oを中心としてかつ垂直な基準線Mからの傾斜角度αを45〜60度の範囲内に設定、最も好ましくは、60度に設定することによって、冷却路19内の潤滑油の温度を各所において最大限に均一とすることができ、その冷却効果を最大に高めることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では以下のように変形しても良い。
例えば、基準線Mを垂直としたが、必ずしも垂直ではなく、冷却路19の特性に応じて若干傾斜するように配置しても良い。
例えば、該潤滑油供給孔51の各流路を2本としたが、これに限定されず、3本以上であっても良い。この場合、冷却路19に対して所定の潤滑油の噴出するように、流路の本数に応じて該潤滑油の供給圧力を上昇させても良い。
【0036】
例えば、潤滑油供給孔51を構成する2本の流路51A,51Bが、基準線Mを中心として線対称となるように、これら2本の流路51A,51Bの各傾斜角度αを等しくしたが、必ずしも等しくすることは必須ではなく、流路51A,51Bの各傾斜角は異なっていても良い。
例えば、基準線M、潤滑油供給孔51をタービン側に向かって傾斜させても良い。そうすれば、潤滑油を潤滑油供給孔51からタービン側に向かって斜めに噴射させることができ、これにより、冷却路19のタービン側の部分を効率的に冷却させることができる。
【0037】
例えば、冷却路19をベアリングハウジング8のタービン部100に近い箇所に設けることで、特に、該ベアリングハウジング8とタービンハウジング7、これらの間のシール部30の温度上昇を抑制したが、これに限定されず、冷却路19をベアリングハウジング8のコンプレッサ部101に近い箇所に設けることで、特に、該ベアリングハウジング8とコンプレッサハウジング10、これらの間のシール部31の温度上昇を抑制しても良い。
【0038】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態である過給機の全体構成を示す正断面図。
【図2】流路51A,51Bを示す図(図1のII-II断面図)であって、(A)〜(C)は本発明の実施例、(D)は従来例である。
【図3】冷却路の温度変化を示す試験結果である。
【符号の説明】
【0040】
1…過給機、 4…駆動シャフト、 5…ハウジング、
7…タービンハウジング、 8…ベアリングハウジング、 10…コンプレッサハウジング、 15…潤滑油供給路、 19…冷却路、 50…潤滑油供給手段、
51…潤滑油供給孔、 51A…流路、 51B…流路、 O…分岐点、 M…基準線、 α…傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンハウジング及びコンプレッサハウジングの間に配置されたベアリングハウジングと、これら各ハウジング内に配置されて前記タービンハウジング内で発生した動力をコンプレッサハウジング内に伝達させる駆動シャフトと、前記ベアリングハウジングに形成されて前記駆動シャフトとベアリングとの間に油膜を形成するための潤滑油を供給する潤滑油供給路と、前記ベアリングハウジング内でかつ前記駆動シャフトを中心として周方向に形成されて前記潤滑油供給路によって供給された潤滑油の一部を導き入れて前記ハウジングを冷却する冷却路と、を具備する過給機であって、
前記潤滑油供給路と冷却路との間に、該冷却路に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路からなる潤滑油供給孔を配置し、かつ、該潤滑油供給孔の各流路を互いに略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置することを特徴とする過給機。
【請求項2】
前記潤滑油供給孔は2本の流路によって構成されるとともに、該2本の流路が前記駆動シャフトの径方向に沿う同一平面内にて予め設定した傾斜角度でV字状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の過給機。
【請求項3】
前記傾斜角度は、45〜60度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2記載の過給機。
【請求項4】
タービンハウジング及びコンプレッサハウジングの間に配置されたベアリングハウジングと、これら各ハウジング内に配置されて前記タービンハウジング内で発生した動力をコンプレッサハウジング内に伝達させる駆動シャフトと、前記ベアリングハウジングに形成されて前記駆動シャフトとベアリングとの間に油膜を形成するための潤滑油を供給する潤滑油供給路と、前記ベアリングハウジング内でかつ前記駆動シャフトを中心として周方向に形成されて前記潤滑油供給路によって供給された潤滑油の一部を導き入れて前記ハウジングを冷却する冷却路と、を具備する過給機の冷却方法であって、
前記潤滑油供給路と冷却路との間に、該冷却路に対して上方に潤滑油を噴出させる複数の流路からなる潤滑油供給孔を配置し、かつ、該潤滑油供給孔の各流路を互いに略鉛直方向に対して傾斜角度を有するように配置したことを特徴とする過給機の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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