説明

過酢酸およびアミンオキサイドの相乗作用を有する組成物、その使用およびそれにより堅固表面を消毒する方法

【課題】過酢酸を含む新規の消毒剤組成物を提供すること。
【解決手段】0.25重量%から0.75重量%の過酢酸、6重量%から10重量%の過酸化水素、2重量%から10重量%の酢酸、0.015重量%から0.75重量%の少なくとも1つの式(I)(R1)(R2)(R3)N→O(I)の化合物、および所望により、0.15重量%までの式(II)R5−O−[CH(R8)−CH(R6)−O]n−R7のノニオン性界面活性剤を含み、前記式(I)の化合物と過酢酸との重量比が0.2以下である水溶液の形態にある組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酢酸を含む新規の消毒剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような溶液は現在、多くの工業分野において広く用いられる。過酢酸において増大する関心は、特に細菌類、藻類、酵母、黴、菌類、およびウイルスに関するその広範な殺生物活性において存在する。しかしながら、過酢酸の希釈溶液は、例えば、医療および病院の分野、農業食品、製薬、化粧品およびマイクロエレクトロニクス産業、バイオ産業、集団企業体(collectives)および、より一般的には、微生物の数を制御する事を必要とするいかなる活動においても、一般に処理される表面における濡れ性能が不十分である。処理される表面はきわめて多様であり、例えば、建物、設備、装置、道具および器具、タンクのような容器、パッケージ包装材料および管に言及することができる。従って、界面活性剤を添加する事によりこれらの消毒剤溶液の表面張力を低くする事が求められてきた。先行技術の文書の中では、例えば、WO88/08667、WO93/10088およびWO94/14321の番号の下で発行された特許協力条約による出願または欧州特許出願EP193,416およびEP596,493のような、特に過酸およびノニオン性界面活性剤を含む組成物を記載するものについて言及がなされ得る。
【0003】
しかしながら、それら先行技術において記載されている過酢酸系消毒剤溶液は、商業的に受け入れられるために必要とされるひとまとまりの特性を有していない。それらの特性とは次のようなものである。すなわち、溶液は過酢酸および界面活性剤をともに含むべきであり、それは時間を経過しても安定であるべきであり、それは高い濡れ性能および低い泡立ち性能を有するべきであり、それは容易にすすぎ落とせるべきであり、外観において透明であり、それは最小量の化学物質を含むべきであり、一方同時に希釈後微生物に対して十分に活性を有し、そして最後に、用いられる界面活性剤は過酢酸に対して相容性であるべきである。さらにその上、設備を消毒し、殺菌する問題のときは、消毒剤溶液は改善された殺菌活性を有する事が必須である。この必要は、例えば、挿入的であるとともに診査的な、最大限の開発がなされている内視鏡検査のような医療外科的な活動に関する場合に避ける事ができない。実際、したがって、内視鏡による挿入の増加が、内視鏡検査後の感染の増加を伴うであろうことが恐れられている。この理由のために、再使用可能な医療機器に適用される消毒手順は、感染の危険性に対して患者と医療スタッフの両方を防御する事が大変に重要である。
【0004】
再使用可能な医療機器の中で、可撓性内視鏡は特に高価である。病院において、これらの品目の機器の数が限られているとすると、それらの再使用は増加的に頻繁となり、従って、2回の挿入の間の時間は漸増的に短くなる。この理由のために、これらの実施は、その単純性、その速さおよびその減少したコストを主に特徴とする新規の消毒手順を生じさせる。
【0005】
しかしながら、殺菌剤として、過酢酸単独の使用では、大きな有効投与量を必要とする。通常、この溶液には残留効果がない。このことは、消毒浴の寿命を長くし、用いられる有効投与量を減少させるために、殺菌剤を添加する事によりそれらを強化する事に関心を起こさせる。
【0006】
抗微生物活性の原理は異なる様式の作用を有する。一般的に、それらは細胞内構成要素(酵素、ミトコンドリア、その他)または細胞外構成要素(細胞膜および細胞壁)のいずれかに作用する。細胞の内部で働く化合物は、その標的に達するために、細胞膜により形成される障壁を越えなければならず、したがって、後者に対して作用する事について関心が置かれる。第4級アンモニウムは、それらが正に荷電した界面活性剤であるという事実により、顕著な抗微生物能力を有するものとして認められている。細胞膜は負に荷電しているので、それらはそこに急速に吸収され、結合するようになり、それにより細胞膜を崩壊させ、細胞の透過性を変え、細胞の構成要素を沈殿させ、それにより小さな投与量でさえ細胞の急速な死に導くであろう。このように、高分子量の正に負荷した化合物は関心に値する事が分かる(ベタイン、ホスホニウム塩、双極性イオン、第4級アンモニウム、その他)。第4級アンモニウムの産業上の利用について多くの参照文献が存在する。アミンオキサイドは、酸性溶液内に置かれたときカチオン性になるので好都合な化合物である。
【0007】
アミンオキサイドは多くの研究の主題であった。それらは一般的に生分解性であり、洗剤およびシャンプー、ならびに消毒剤においてきわめて有効な成分である事が分かっている。参照として、カークオスマー化学技術百科事典(KirkOthmer’s Encyclopaedia of ChemicalTechnology)第2版に対する増補として発行されたものの32ページから50ページのS.H.シャピロ(Shapiro)による概説において言及がなされている。
【0008】
アミンオキサイドは、今まで、濃度を高くした組成物において補助界面活性剤としてのみ用いられてきた。この点においては、例えば、WO96/19558、WO96/19559およびWO96/17044の番号の下で発行された特許協力条約による特許出願および米国特許第5,078,896号において言及がなされている。
【発明の開示】
【0009】
本出願人は、この度、意外にも、溶液について感知できる増粘に導かない溶液中の濃度で、アミンオキサイドが過酢酸と相乗作用を有して働く事を見出した。
【0010】
従って、本発明の主題は、
a)0.0005重量%から20重量%の過酢酸、
b)0.001重量%から45重量%の酢酸、
c)0.001重量%から35重量%の過酸化水素、
d)0.0001重量%から2重量%の次式(I)の少なくとも1つの化合物
【化3】

【0011】
(式中、R1は、1から40個の炭素原子および場合に応じて酸素、硫黄および窒素から選択される1から6個のヘテロ原子を含む直鎖もしくは分岐、環式もしくは非環式ラジカルを表し、R2およびR3は、同一もしくは異なり、1から4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐したアルキルラジカルもしくは1から4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐したヒドロキシアルキルラジカルを表すかまたは、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子とともに、5から8個の炭素原子および酸素、窒素および硫黄から選択される1から4個のヘテロ原子を含む飽和もしくは不飽和の、置換もしくは非置換のヘテロ環を表し、およびR3は、1から4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐したアルキルラジカルもしくは1から4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐したヒドロキシアルキルラジカルを表す)、
e)所望により、2.5重量%までの少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含み、
f)式(I)の化合物と過酢酸との重量比が1以下であり、
g)ノニオン性界面活性剤と過酢酸との重量比が0.2以下である
ことを特徴とし、
但し、前記組成物中に場合に応じて含まれるノニオン性界面活性剤が次の一般式(III)
【化4】

【0012】
(式中、R9およびR10はそれぞれ、水素であるか、またはR9とR10が合計で7から22個の炭素原子を有するような直鎖または分岐したアルキルであり、nは、(R9とR10における炭素原子):nの数比が3:1以上であるように1から15の範囲において選択される)を有する化合物でなく、かつノニオン性界面活性剤は4から8のOEのジノニルフェノールエトキシレートではないことを特徴とする水溶液の形態における組成物である。
【0013】
1が非環式ラジカルを表すとき、それは特に直鎖または分岐したアルキルラジカルである。このラジカルは非置換、1置換または多置換されたものであり得る。このラジカルが置換されているとき、置換基は、互いに独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキシルおよびアルコキシカルボニルラジカル、ハロゲン原子、またはシクロアルキルもしくはフェニルラジカルから選択される。R1が環式ラジカルを表すとき、それは単核または多核ラジカルである。このラジカルは非置換、1置換または多置換されたものであり得る。このラジカルが置換されているとき、置換基は、互いに独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキシルおよびアルコキシカルボニルラジカル、ハロゲン原子、またはシクロアルキルもしくはフェニルラジカル、またはアルキルラジカルから選択される。R1が単核ラジカルを表すとき、それはフェニルまたはシクロアルキルラジカルである。R1が多核ラジカルを表すとき、それは、特に、芳香族であるかまたは芳香族環を含む飽和二環に関する。R1およびR2が、それらが結合する窒素原子とともにヘテロ環を表すとき、それは、飽和しているかまたは芳香族単核ラジカルであるかまたは、芳香族であるかまたは芳香族環を含む飽和多核ラジカルである。この単核または多核ラジカルは、非置換、1置換または多置換されたものであり得る。このラジカルが置換されているとき、置換基は、互いに独立に、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキシルおよびアルコキシカルボニルラジカル、ハロゲン原子、またはシクロアルキルもしくはフェニルラジカル、またはアルキルラジカルから選択される。
【0014】
非限定的な例の目的で、R1が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリル、ベンジル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペリジル、オキサゾリニル、ピペラジニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノルボルニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、チアゾリル、オキサゾリル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェネチル、ピリジル、キノリル、1−カルボキシピリジル、1−メトキシカルボニルピリジルまたは1−エトキシカルボニルピリジルラジカルを表す上記定義の式(I)の化合物、またはR1およびR2が、それらが結合する原子とともに、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペリジル、オキサゾリニル、ピペラジニル、ピリジル、キノリル、1−カルボキシピリジル、1−メトキシカルボニルピリジル、1−エトキシカルボニルピリジル、チアゾリルまたはオキサゾリルラジカルを表す式(I)の化合物を挙げることができる。
【0015】
そのような式(I)の化合物は、対応するアミンから当業者にとって既知の方法により調製し得るし、または化合物アロモックス(Aromox、登録商標)MCD−Wのような商品名アロモックス(登録商標)の下に商業的に入手可能である。
【0016】
式(I)の少なくとも1つの化合物という表現は、式(I)の単独の化合物または式(I)の化合物の混合物のいずれかを指すものとして理解される。後者の場合においては、示される重量パーセンテージは全体としての混合物に対して適用される事が明確に理解される。
【0017】
少なくとも1つのノニオン性界面活性剤と言う表現は、水溶液においてごくわずかにイオン化しているかまたはまったくイオン化していない1以上の界面活性剤を意味するものと理解される。例えば、アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化脂肪アミンおよびアルコキシル化ポリプロピレングリコールを挙げることができ、これらの化合物のヒドロキシル官能基が遊離しているかまたはブロックされている事が可能である。
【0018】
非限定的な例の目的で、ノニオン性界面活性剤は、ゲナポール(Genapol)2822、ゲナポール2908、ゲナポール2908D、ゲナポール2909、トライトン(Triton)DF12、トライトンDF16、ダウファックス(Dowfax)20B102、アカイポ(Akypo)RO90、アカイポLF2、アカイポLF4、シンペロニック(Synperonic)LFRA30、またはサイマルゾル(Simulsol)NW900でありえ、これらの製品はすべて商業的に入手可能でありその化学的組成は次のとおりである。
【表1】

【0019】
本発明の第1の変形の主題は、ノニオン性界面活性剤として、少なくとも1つの次式(II)
【化5】

【0020】
(但し式(II)の化合物が上記定義の式(III)の化合物ではないと言う条件で、式中、R5は5から31個の炭素原子、好ましくは10から16個の炭素原子を含む直鎖または分岐した、飽和または不飽和の脂肪族ラジカルを表す。R6は水素原子、メチルラジカルまたはエチルラジカルを表し、R8は水素原子、メチルラジカルまたはエチルラジカルを表し、2つのラジカルR6またはR8の少なくとも1つは水素原子を表し、R7は水素原子または1から4個の炭素原子を含む直鎖または分岐したアルキルラジカル、またはベンジルラジカルを表し、nは1ないし50の数を表し、好ましくはnは20未満である)の化合物を含む上記定義の組成物である。
【0021】
式(II)の少なくとも1つの化合物という表現は、式(II)の1つの化合物または式(II)の化合物の混合物のいずれかを指すものと理解される。後者の場合においては、重量パーセンテージは全体としての混合物に対して適用される事が明確に理解される。
【0022】
式(II)の定義において、官能基[CH(R8)−CH(R6)−O]nは、エトキシ基(R6およびR8=H)のみ、プロポキシ基(R6またはR8=CH3)のみ、ブトキシ基(R6またはR8=CH2−CH3)のみまたはこれらの2つのタイプの混合物またはこれらの3つのタイプの官能基の混合物から構成される鎖でありうることを意味する。
【0023】
後者の場合において、さまざまな断片がランダムまたはブロックの形態で分布する。
【0024】
本発明の主題は、特に、式(I)において、R1が8から18個の炭素原子を含む直鎖または分岐した脂肪族ラジカルを表し、R2およびR3がそれぞれメチルラジカルを表す上記定義の組成物である。
【0025】
本発明の第2の好ましい変形において、上記定義の組成物は、0.0001重量%から2重量%、特に0.0002重量%から2重量%の少なくとも1つのノニオン性界面活性剤を含む。
【0026】
本発明の第3の好ましい変形において、式(I)において、R1はオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシルおよびヘキサデシルラジカルから選択される。
【0027】
本発明において適切である式(I)の化合物として、特に、ココジメチルアミンオキサイド、ミリストアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルココアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、およびジエチルステアリルアミンオキサイドがある。
【0028】
本発明の第4の好ましい変形において、式(II)において、R7は水素原子を表す。
【0029】
本発明の第5の好ましい変形において、式(II)において、官能基[CH(R8)−CH(R6)−O]nは単に[CH2−CH2−O]n構造単位を表すか、または官能基[CH(R8)−CH(R6)−O]nは、ほぼ5ないし8個の−(CH2−CH2−O)−構造単位およびほぼ1ないし5個の−(CH2−CH(CH3)−O)−構造単位からなる鎖を表すかのいずれかであり、前記構造単位は、ランダムまたはブロック形式の形態で前記鎖において分布している。
【0030】
本発明による水溶液は、安定化剤のような当業者に知られている標準化合物をもまた含みうる。そのような化合物は、一般的に、本発明による組成物の調製に用いられる過酢酸と過酸化水素との溶液中に存在する。それらは、例えばその強酸またはそのアルカリ塩、封鎖剤またはフリーラジカル捕捉剤である。硫酸、リン酸、ピロリン酸ナトリウムまたはジピコリン酸、ホスホン酸、またはブチルヒドロキシトルエンをも例示することができる。予見される使用に依存して、本発明による組成物は、染料および/または香料もまた含みうる。
【0031】
本発明による水溶液は、染料、特にモノアゾ官能基−N=N−を含む化合物または特にフタロシアニン族の顔料である、調製済みの分散液の形態において売られている顔料のような色素をもまた含みうる。
【0032】
本発明の主題は、特に、0.0001重量%から1重量%の色素を含む水溶液の形態における上記定義の組成物である。色素と言う術語は、過酢酸と相容性を有するいかなる薬剤をも称すると理解され、特に、1995年6月21日に発行された欧州特許出願EP0,658,309において記載されているものであり、特に、次の化合物、すなわちワッカー(Wacker)社により売られているオランジュソレイユ[サンバーストオレンジ]W2002またはルージュビフ[ブライトレッド]W3002、ヘキストAG社により売られているホスタファイン(Hostafine)ブルーB26またはホスファタイングリーンGNまたはダイE102である。
【0033】
本発明の主題はまた、リン酸塩、好ましくはリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムから選択された腐食防止剤をもまた含む上記定義の組成物である。
【0034】
腐食防止剤の濃度は、過酢酸および過酸化水素のそれに依存する。それは特に0.01重量%ないし10重量%であり、好ましくは0.5重量%ないし5重量%である。
【0035】
本発明の主題は、特に、式(I)の化合物と過酢酸との重量比が0.2以下である上記定義の組成物である。
【0036】
推奨される用途に依存して、本発明による組成物は、過酢酸について、多少濃縮されるであろう。
【0037】
使用の前に希釈される事を意図した上記定義の組成物は、2重量%から6重量%の過酢酸、10重量%から20重量%の過酸化水素、10重量%から20重量%の酢酸、0.01重量%から0.3重量%の少なくとも1つの式(I)の化合物および所望により、0.1重量%から0.3重量%の少なくとも1つのノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0038】
上記定義の調製済み(ready−to−use)組成物は、例えば、0.0005重量%から0.05重量%の過酢酸、0.01重量%から0.30重量%の酢酸、0.3%から5%の過酸化水素、0.0005重量%から0.01重量%の少なくとも1つの式(I)の化合物および0.0001重量%から0.005重量%の少なくとも1つの式(II)の化合物を含む組成物(A)、または0.1重量%から1重量%の過酢酸、4重量%から10重量%の過酸化水素、1重量%から20重量%の酢酸、0.01重量%から1重量%の少なくとも1つの式(I)の化合物および所望により、0.02%から0.2%の少なくとも1つのノニオン性界面活性剤を含む組成物(B)、または、0.25重量%から0.75重量%の過酢酸、6重量%から10重量%の過酸化水素、2重量%から10重量%の酢酸、0.015重量%から0.75重量%の少なくとも1つの式(I)の化合物および所望により、0.15重量%までのノニオン性界面活性剤を含む組成物(B1 )のような、それがなされる用途に依存して、0.0005重量%から5重量%の過酢酸、0.001重量%から10重量%の過酸化水素、0.001重量%から20重量%の酢酸、0.0001重量%から1重量%の少なくとも1つの式(I)の化合物および所望により0.0001重量%から0.2重量%の少なくとも1つの式(II)の化合物を含むことが好ましい。
【0039】
本発明の主題は特に、0.001重量%から3重量%の過酢酸、0.001重量%から10重量%の過酸化水素、0.001重量%から10重量%の酢酸、0.001重量%から1重量%の式(I)の化合物、0.001重量%から0.1重量%の式(II)の化合物、0.01重量%から10重量%の腐食防止剤および所望により、0.001重量%から1重量%の安定化剤を含む水溶液の形態における組成物である。
【0040】
そのような組成物の例として、0.05重量%から0.1重量%の過酢酸、3重量%から4重量%の過酸化水素、2重量%から3重量%の酢酸、0.003重量%から0.006重量%の式(I)の化合物、0.001重量%から0.005重量%の式(II)の化合物、0.1重量%から0.8重量%のリン酸二水素ナトリウム、0.05重量%から0.1重量%のピロリン酸ナトリウムおよび、所望により、0.0001重量%から0.05重量%の色素を含む組成物(C)がある。
【0041】
そのような調製済み組成物は、1未満の(過酢酸+酢酸)/(過酸化水素)の重量比を有する事が好ましい。
【0042】
本発明による組成物は、特に商業的に入手可能であるかまたは文献において記載されている溶液および界面活性剤を用いて、当業者に既知の方法により調製される。例えば、過酢酸、過酸化水素、および酢酸を含む水溶液に式(I)の生成物を加えることか、または前記溶液に式(I)の生成物に対応する第3級アミンを加えることのいずれかが可能である。この場合において、式(I)の化合物は、第3級アミンに対する過酸化水素の作用により「その場」で調製される。
【0043】
本発明のもう一つの側面において、その主題は、堅固表面(hard surface)を消毒するための上記定義の組成物である。堅固表面と言う術語は、例えば、床、壁、容器の壁、テーブルトップ、および棚、例えば、食品および農業食品産業または食品および飲料を調製し、輸送し、パッケージする活動、バイオ産業、製薬産業、化粧品産業、クリーンルーム、温室および培養または栽培施設、または健康および衛生の分野において用いられるいかなる材料、容器または設備の表面をも指称すると理解される。本発明による組成物は、この場合において、病院の建物、医療外科的設備、歯科設備を消毒するために用いられる。堅固表面と言う術語はまた、例えば、滑らかであるかまたは粗い外観を有する平滑で平坦な表面かまたは窪んだ表面のいずれかを指称し、または、管またはカテーテルのような特に空洞を含む複雑な形状を有する物体の表面さえ指称すると理解される。
【0044】
処理される表面は、どんな材料でできていてもよく、特に木材、ガラス、例えばエナメル化スチールまたはステンレススチールのような金属、セラミック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、ポリウレタン、PTFE、PVDFまたはPFAのようなフルオロポリマー、またはポリ塩化ビニル(PVC)のような有機高分子からできていてもよい。また、グリセロフタル、アクリルまたはビニル系塗料で塗装された表面であってもよい。
【0045】
本発明の好ましい側面において、上記定義の組成物は、食品産業において用いられる容器を清浄にするために用いられ、食品製品、特に牛乳または牛乳系製品と接触するようになることが意図される。
【0046】
もう一つの好ましい側面において、上記の組成物は、ボトリング産業、特にポリエチレンテレフタレート(PET)から作られたボトルを清浄にする事において、例えば、ミネラルウォーター、フルーツジュースおよびビールのような、例えば飲料のような液状食品を入れる事を意図したボトルまたはいずれの容器の消毒のために用いられる。
【0047】
本発明のもう一つの好ましい側面において、上記の調製済み組成物は、透析ラインの全ステージにおいて用いられる機器、特に血液透析のための水処理回路のようなもの、さらに具体的には、再循環ループ、透析ジェネレーター、透析膜、血液フィルター、血液透析膜または血液透析フィルターを消毒および脱スケールするために用いられうる。上記の組成物(B)が、特に欧州特許出願EP0,370,850において記載されたように用いられうる。
【0048】
本発明のもう一つの好ましい側面において、上記定義の組成物は、特に例えば内視鏡のような再使用される医療外科的機器を消毒するために、病院衛生において用いられる。上記の組成物(C)は特に、そのような使用について適切である。
【0049】
それらの安定性およびそれらの無害性のために、上記定義の組成物は、特に個人営業の開業医により、例えば歯科機器または鍼治療用の鍼のようなかれらの再使用する診察機器の清浄化および消毒をするために、病院でない環境においてもまた用いられうる。上記の組成物(A)または(C)もまた特にそのような使用について適切である。
【0050】
上記定義の組成物B1 は、消毒が機械において達成されるとき、例えば、内視鏡のような医療外科装置の消毒について特に適切である。この場合において、組成物B1 は水により1/3ないし1/10に希釈され、とくに5分の1に希釈される。
【0051】
本発明の最後の好ましい側面において、上記定義の組成物は、生木、特に黴のために青い変色が起きた生木の処理のために用いられうる。
【0052】
そのなされる使用に応じて、本発明による組成物は、例えばその内壁が消毒されるべき設備において、スプレー、浸漬、振り掛け、リサイクルにより、マニュアルで、半自動的に、または自動的に用いられる。
【0053】
本発明の最後の側面において、希釈溶液または組成物は、例えばワイプ(wipe)のような固体支持体上での調製済み製品を形成するために、スポンジ、紙またはティッシュのような多孔性材料に吸収される。
【0054】
以下の実施例は、本発明を例証するが、しかしながら、それを限定することはない。
【実施例】
【0055】
A−本発明による組成物の調製過酢酸の商業的溶液に、ゲナポール2908D(II)および商品名アロモックスの下で販売されているココジメチルアミンオキサイド(Ia)またはテトラデシルジメチルアミンオキサイド(Ib)のいずれかを加える事により次の組成物が調製された。
【表2】

【0056】
本発明による組成物1から6で出発して、本発明の主題でもある次の組成物が水における希釈により調製された。
【表3】

【0057】
式(I)の化合物が化合物(Ib)であることのために溶液6Aをのぞいて、すべての他の溶液は化合物(Ia)を含む。
【0058】
B−本発明による組成物の殺菌特性の解析本発明による組成物の殺菌活性を、AFNORプロシーデュアNFT72201(接触時間:15分;温度20℃)にしたがってカンディーダ・パラプシローシスで評価した。次の対数的減少が得られる。
【表4】

【0059】
C−比較例次の水溶液について、殺菌活性をAFNOR標準NFT72201(接触時間15分;温度20℃)にしたがってカンディーダ・パラプシローシスで評価した。
【表5】

【0060】
次の対数的減少が得られる。
【表6】

【0061】
結果は次のことを示す。
【0062】
−4.6の対数的減少を得るためには、アミンオキサイドのない溶液において、0.29%(溶液B)のPAAの濃度を必要とする。
【0063】
−5.5の対数的減少を得るためには、過酢酸のない溶液において、酸性溶媒において0.003%(溶液A)のアミンオキサイドの濃度を必要とする。
【0064】
−半分量の過酢酸(0.14%)および2.5倍小さい量のアミンオキサイド(0.0012%)をともに含む溶液については、7を超える対数的減少が得られた、すなわち、約100倍大きい殺菌活性である(溶液4C)。
【0065】
得られた優れた結果は、このように、同じ組成物における過酢酸とアミンオキサイドの存在により、相乗作用により誘導される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.25重量%から0.75重量%の過酢酸、6重量%から10重量%の過酸化水素、2重量%から10重量%の酢酸、0.015重量%から0.75重量%の少なくとも1つの式(I)
【化1】

(式中、R1は8から18個の炭素原子を含む直鎖または分岐した脂肪族ラジカルを表し、R2およびR3はそれぞれメチルラジカルを表す)
の化合物、および所望により、0.15重量%までの式(II)
【化2】

(式中、R5は10から16個の炭素原子を含む直鎖または分岐した、飽和または不飽和の脂肪族ラジカルを表し、R7は水素原子を表し、nは1〜20未満の数を表し、および基[CH(R8)−CH(R6)−O]nは単に[CH2−CH2−O]n構造単位を表すかまたは基[CH(R8)−CH(R6)−O]nは、ほぼ5ないし8個の−(CH2−CH2−O)−構造単位およびほぼ1ないし5個の−(CH2−CH(CH3)−O)−構造単位からなる鎖を表すかのいずれかであり、前記構造単位は、ランダムまたはブロック状に前記鎖において分布している)
のノニオン性界面活性剤を含み、前記式(I)の化合物と過酢酸との重量比が0.2以下である水溶液の形態にある組成物。
【請求項2】
医療外科装置を消毒するための機械において消毒するための請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項3】
消毒のための機械において、内視鏡を消毒するための請求項1に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2009−68018(P2009−68018A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291149(P2008−291149)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【分割の表示】特願平10−113898の分割
【原出願日】平成10年4月23日(1998.4.23)
【出願人】(594204066)
【氏名又は名称原語表記】CHEMOXAL S.A.
【出願人】(500327267)
【氏名又は名称原語表記】BIOXAL
【Fターム(参考)】