説明

過電流表示器、巡視用端末装置、端末装置の制御方法および事故点特定支援方法

【課題】過電流発生の検知結果を簡易に伝達する手法を提供すること。
【解決手段】過電流表示器1は、架空配電線に取り付けられて当該電線に流れる電流を検出し、過電流検知部14が過電流の発生を検知した際に表示状態を事故表示状態とする。また、時刻情報取得・書込部23は、過電流検知部14による検知がなされた場合に、時計機能部21から時刻情報を取得して記憶部27に累積記憶させる。また、ICタグ部25は、当該過電流表示器1の識別情報及び記憶部27に記憶されている時刻情報を発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空配電線に取り付けられて当該電線に流れる電流を検出し、過電流の発生を検知した際に表示状態を事故表示状態とする過電流表示器等に関する。
【背景技術】
【0002】
架空配電線に取り付けられ、当該電線に流れる電流を検出し、過電流の発生を検知した際に表示状態を事故表示状態とする過電流表示器(OCI:Over Current Indicator)が知られている(例えば特許文献1参照)。電力供給事業者の作業員は、雷害等による事故が発生した場合、過電流表示器の表示状態を頼りに、事故点及び事故区間を特定する。
【0003】
図6(1)は、作業員が行っている従来の巡視方法を説明するための図である。配電網構成を一般的な樹枝状方式(放射状方式ともいう)として図示している。また、説明を分かり易くするために電線を1本として図示しているが、実際には三相3線式や単相2線式で構成され、各電線に過電流表示器が取り付けられる。雷害等の事故が発生した場合、事故点と変電所SS間との間に過電流が伝搬するため、作業員は、変電所SSから配電線を辿るようにして過電流表示器1つ1つの表示状態を視認していく。図6(1)の例では、過電流表示器101の表示状態が事故表示状態(ハッチング有り)であり、過電流表示器102の表示状態が正常状態(ハッチング無し)である。従って、作業員は、過電流表示器102よりも負荷側(変電所とは反対側)には事故点はないと判断し、過電流表示器102よりも先の巡視は不要と判断する。そして、事故表示状態である過電流表示器101に戻り、配電網に沿って別の経路を辿り、過電流表示器103の事故表示状態を視認することで、更にその先(負荷側)の過電流表示器を巡視していく。
このようにして図6(1)においては、過電流表示器104の先に事故点P1があると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−175375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、過電流表示器を巡視する必要がある状況の大半は、天候が雷雨の時である。電線に取り付けられている過電流表示器を懐中電灯等で下から照らし、過電流表示器の動作状態を視認する必要があるが、雨の影響で視認することが困難であったり、時間がかかる場合がある。
【0006】
また、夕立時等の落雷が多発する場合には、事故点の把握そのものが困難になるケースがある。図6(2)を参照して説明する。図6(2)は、短時間(例えば2〜3時間)の間に2度の落雷が発生して2カ所の事故点P1,P2がある場合を示している。従来の過電流表示器は、過電流が発生したか否かを表示状態で示すものであり、過電流の発生回数は示さない。そのため、過電流表示器101,103は、過電流の発生を2度検知しているが、それを表示できない。図6(1)と同じく巡視をした場合、作業員は、事故点P1を判断することは可能であるが、事故点P2を判断することは困難である。すなわち、全ての事故点を完全無欠に把握するためには、数多くの事故点が分散して存在する可能性があることを念頭において配電網を巡視していく必要があるからであり、具体的には配電網の全ての分岐先において正常状態の過電流表示器を視認するまで巡視をする必要があるためである。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、過電流発生の検知結果を簡易に伝達する手法を提供することである。また、第2の目的は、検知結果の有用性を向上させ、事故点の特定の便宜に供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための第1の形態は、架空配電線に取り付けられて当該電線に流れる電流を検出し、過電流検知部(例えば、図1の過電流検知部14)が過電流の発生を検知した際に表示状態を事故表示状態とする過電流表示器であって、
時計機能部(例えば、図1の時計機能部21)と、
前記過電流検知部による検知がなされた場合に、前記時計機能部から時刻情報を取得して記憶部に累積記憶させる時刻情報取得・書込部(例えば、図1の時刻情報取得・書込部23)と、
当該過電流表示器の識別情報及び前記記憶部に記憶されている時刻情報を発信する通信部(例えば、図1の通信部26)と、
を備えた過電流表示器である。
【0009】
この第1の形態によれば、過電流の発生が検知された場合に、時計機能部から時刻情報を取得して累積記憶され、この累積記憶された時刻情報が当該過電流表示器の識別情報とともに発信される。従って、作業員が過電流表示器の表示状態を視認できなくとも、過電流表示器の発信情報を受信することができれば、過電流表示器が過電流の発生を検知したか否かを知ることができる。更に、過電流の発生を検知した時刻情報が検知した数だけ含めて発信されるため、過電流の通過回数をも把握することができる。
【0010】
また、第2の形態として、第1の形態において、
前記時計機能部は、GPS衛星信号を受信して時刻情報を算出するGPS受信部(例えば、図1のGPS受信部22)を有して構成され、
前記通信部及び前記記憶部は、無線ICタグ(例えば、図1のICタグ部25)として構成され、
前記時刻情報取得・書込部は、前記過電流検知部による検知に応じて前記時計機能部から時刻情報を取り込んで一時記憶部(例えば、図1のメモリ24)に記憶させて後、当該一時記憶部に記憶された時刻情報を前記記憶部に累積的に書き込む、
過電流表示器を構成することとしてもよい。
【0011】
この第2の形態によれば、時計機能部はGPS受信部を有して構成される。従って、本形態の過電流表示器それぞれの時刻は正確な時刻に同期されることとなる。また、通信部及び記憶部が無線ICタグとして構成される。そして、過電流の発生が検知されると、時計機能部から時刻情報を取り込んで一時記憶部に記憶させて後、その一時記憶部に記憶された時刻情報を無線ICタグの記憶部に書き込む。一時記憶部への記憶は、無線ICタグの記憶部への書き込みよりも十分短い時間で済むため、過電流の発生を検知した時刻を高精度に取得することが可能となる。
【0012】
また、第3の形態として、第1又は第2の形態において、
前記過電流検知部による最後の検知の後、所定時間が経過した場合に、表示状態を正常状態に復帰させる自動復帰機能(例えば、図1のタイマ15等)を有し、
前記自動復帰機能による表示状態の復帰に合わせて、前記記憶部に記憶されている時刻情報をリセットするリセット部(例えば、図1の記憶情報リセット部29)を更に備えた過電流表示器を構成することとしてもよい。
【0013】
この第3の形態によれば、過電流の発生が最後に検知されてから所定時間(例えば5時間)経過した場合に、表示状態が正常状態に復帰する自動復帰機能を有する過電流表示器が構成される。そして、自動復帰機能による復帰に合わせて、記憶部に記憶されている時刻情報がリセットされる。これにより、過電流表示器が正常状態に復帰した場合には、記憶部には時刻情報が記憶されていない状態となって、通信部により発信される情報には時刻情報が含まれないこととなり、正常状態であることが示される。
【0014】
また、上述した過電流表示器に対応する端末装置として次のような装置を構成することとしてもよい。
すなわち、第4の形態として、
上述した過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び時刻情報を受信する受信部(例えば、図2の受信部52)と、
前記受信部で受信された内容を表示する表示部(例えば、図2表示部54)と、
を備えた巡視用端末装置を構成することとしてもよい。
【0015】
また、第7の形態として、
上述した過電流表示器の通信部と通信可能な端末装置の制御方法であって、
前記過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び検知時刻情報を受信する受信ステップ(例えば、図4のステップA3)と、
前記受信ステップで受信された内容を表示制御する表示制御ステップ(例えば、図4のステップA7)と、
を含む制御方法を構成することとしてもよい。
【0016】
さらには、第10の形態として、
上述した過電流表示器の通信部を通信可能としておき、
前記過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び検知時刻情報を受信し、
前記受信した内容を表示することで、事故点の特定を支援することを特徴とする事故点特定支援方法を構成することとしてもよい。
【0017】
この第4、第7又は第10の形態によれば、上述した過電流表示器から発信される情報を受信し、その内容が表示されるため、巡視する作業員にとって至便であり、事故点の特定に役立てることができる。
【0018】
また、第5の形態として、第4の形態において、
前記受信部により受信された識別情報及び時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録する登録部(例えば、図2の登録部511、登録データテーブル65)と、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データ(例えば、図2の配電網情報データ61)と、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定する推定部(例えば、図2の推定部512、図5のステップB13)と、
を備えた巡視用端末装置を構成することとしてもよい。
【0019】
また、第8の形態として、第7の形態において、
前記受信ステップで受信された識別情報及び検知時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録する登録制御ステップ(例えば、図4のステップA5)と、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データと、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定する推定ステップ(例えば、図5の推定処理)と、
を含む制御方法を構成することとしてもよい。
【0020】
また、第11の形態として、第10の形態において、
前記受信した識別情報及び検知時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録し、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データと、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定することで、事故点の特定を支援することを特徴とする事故点特定支援方法を構成することとしてもよい。
【0021】
この第5、第8又は第11の形態によれば、過電流表示器から識別情報及び時刻情報を受信すると、受信した情報を受信時刻と対応付けて登録する。そして、登録された情報と、配電網情報データとに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定する。従って、作業員は、検索された過電流表示器を参考にして、事故点を探すことができる。また、巡視中に、情報未受信の過電流表示器から情報を受信して追加登録していくことで、検索される過電流表示器の数を絞り込むことができ、巡視の効率化が図れる。
【0022】
また、第6の形態として、第5の形態において、
前記推定部は、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定する事故数推定手段(例えば、図5のステップB1)と、
前記事故数推定手段により推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定する時間サーチ範囲設定手段(例えば、図5のステップB3)と、
前記事故数推定手段により推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定する伝搬経路候補推定手段(例えば、図5のステップB11)と、
前記事故数推定手段により推定された各事故について、前記伝搬経路候補推定手段により推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録部に登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出する検知候補表示器抽出手段(例えば、図5のステップB13)と、
を有する、
巡視用端末装置を構成することとしてもよい。
【0023】
また、第9の形態として、第8の形態において、
前記推定ステップは、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定する事故数推定ステップ(例えば、図5のステップB1)と、
前記推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定する時間サーチ範囲設定ステップ(例えば、図5のステップB3)と、
前記推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定する伝搬経路候補推定ステップ(例えば、図5のステップB7〜B11)と、
前記推定された各事故について、前記推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録データに登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出する検知候補表示器抽出ステップ(例えば、図5のステップB13)と、
を含む、
制御方法を構成することとしてもよい。
【0024】
また、第12の形態として、第11の形態において、
前記過電流表示器を推定することは、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定し、
前記推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定し、
前記推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定し、
前記推定された各事故について、前記推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録データに登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出することを含むことで、
事故点の特定を支援することを特徴とする事故点特定支援方法を構成することとしてもよい。
【0025】
この第6、第9又は第12の形態によれば、登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数が推定され、各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲が設定される。そして、推定された各事故について、時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とが登録データの登録内容から検索されて、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補が推定されることとなる。
【0026】
そして、推定された各事故について、推定された伝搬経路候補と、配電網情報データとに基づき、未だ登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器が抽出される。すなわち、事故によって生じた過電流の伝搬経路候補上に配置されている過電流表示器であって、未だ登録されていない、すなわち巡視されていない過電流表示器が抽出されることとなる。従って、1つ1つの事故に対して、過電流の伝搬経路候補が推定され、巡視すべき過電流表示器が抽出されるため、巡視の一層の効率化が図れ、事故点の特定の便宜に供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る過電流表示器の概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る巡視用端末装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】登録データテーブルのデータ構造の一例を示す図。
【図4】データ受信処理の流れを示すフローチャート。
【図5】推定処理の流れを示すフローチャート。
【図6】従来の巡視方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明を適用した一実施形態を説明するが、本発明が適用可能な形態は以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0029】
[過電流表示器]
図1は、本実施形態に係る過電流表示器1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の過電流表示器1は、従来機能に係る機能ブロックとして、線路電流センサ部11と、電源部12と、蓄電回路部13と、過電流検知部14と、タイマ15と、表示体駆動部16とを備える。
【0030】
線路電流センサ部11は、ヒンジを介して開閉可能に構成された上部コア及び下部コアからなる鉄芯と当該鉄芯に巻回された巻線等を有して構成され、上部コア及び下部コアで架空電線Wを挟持することで、架空電線Wに流れる線路電流を検出するとともに、過電流表示器1が架空電線Wに取り付けられる。また、線路電流センサ部11によって検出された線路電流は電源部12及び過電流検知部14に出力される。
【0031】
電源部12は、整流回路、平滑回路、定電圧回路等を有し、正常時には線路電流センサ部11が検出した線路電流から過電流表示器1の動作用電力を変換・生成し、過電流が検知された事故時には蓄電回路部13の蓄電電力から過電流表示器1の動作用電力を変換・生成して、過電流表示器1の各部へ給電する。蓄電回路部13は、コンデンサや二次電池等から構成され、正常時には電源部12から供給される電力を蓄電(充電)し、事故時には蓄電した電力を電源部12に供給(放電)する。
【0032】
過電流検知部14は、整流回路や過電流判定回路等を有し、線路電流センサ部11が検出した線路電流が過電流を示す所定の過電流閾値以上か否かを判定することで、過電流の発生を検知する。検知信号は、タイマ15及び表示体駆動部16の他、時刻情報取得・書込部23に出力される。また、過電流検知部14は、過電流を検知する度に、検知信号を出力する。
【0033】
表示体駆動部16は、ソレノイド或いはモータ等を有し、過電流検知部14から検知信号が入力されると、不図示の表示体を回転駆動させて表示状態を正常状態から事故表示状態へ変位させる。また、タイマ15から復帰信号が入力されると、表示体の表示状態を正常状態に復帰させる。
【0034】
タイマ15は、過電流検知部14から検知信号が入力される度にタイマをリセット・再スタートさせて、所定の復帰時間(例えば5時間)の経過を計時すると、復帰信号を表示体駆動部16及び記憶情報リセット部29へ出力する。従って、復帰時間(例えば5時間)が経過する前に過電流検知部14から新たな検知信号が入力されると、その新たな検知信号から復帰時間の経過を計時することとなる。
【0035】
過電流表示器1は、以上の従来機能に係る機能ブロックの他に、追加機能に係る機能ブロックとして、時計機能部21と、時刻情報取得・書込部23と、ICタグ部25と、記憶情報リセット部29とを備えて構成される。
【0036】
時計機能部21は、現在時刻を計時する機能部であり、GPS受信部22を有して構成される。過電流表示器1は、架空電線に取り付けられ、位置は固定である。従って、GPS衛星信号の受信には好適である。GPS受信部22は、GPS衛星信号に基づいて三次元の位置座標と時刻とを算出するが、位置座標が固定であるため、より正確な時刻を算出することが可能である。具体的には、1μsオーダーの誤差範囲での時刻も算出可能であるが、本実施形態で用いる時刻情報は10msオーダーとする。時計機能部21は、GPS受信部22により算出された正確な時刻に基づいて現在時刻を計時し、時刻情報取得・書込部23に随時、時刻信号を出力する。
【0037】
時刻情報取得・書込部23は、CPUやDSP等のプロセッサーと、高速に書込動作が可能なRAM等のメモリ24とを有して構成され、過電流検知部14からの検知信号に基づいて2段階の処理を実行する。まず、第1段階として、過電流検知部14から検知信号が入力されると、時刻情報取得・書込部23は、即座に時計機能部21からの時刻情報を取得してメモリ24に記憶させる。次いで、第2段階として、メモリ24に記憶した時刻情報をICタグ部25の記憶部27に追加記憶させる。この2段階の処理によって、過電流の発生を検知した正確な時刻を即時に取得することが可能となる。
また、時刻情報取得・書込部23は、過電流検知部14から検知信号が入力される度に上述の2段階の処理を実行する。
【0038】
ICタグ部25は、アクティブ型のICタグであり、近距離無線通信回路でなる通信部26と、フラッシュメモリ等でなる記憶部27とを有して構成される。記憶部27には、固定データとして過電流表示器1の識別情報(例えばIDや取付位置情報等)が記憶されている他、時刻情報取得・書込部23により書き込まれる時刻情報が蓄積記憶される。但し、蓄積記憶された時刻情報は、記憶情報リセット部29によって消去(リセット)される。通信部26は、記憶部27に記憶されている過電流表示器1の識別情報及び時刻情報を、周期的(例えば1秒間隔)に発信する。
【0039】
記憶情報リセット部29は、CPUやDSP等のプロセッサーを有して構成され、タイマ15から復帰信号が入力されると、ICタグ部25の記憶部27に記憶されている時刻情報を消去(リセット)する。なお、記憶情報リセット部29を、時刻情報取得・書込部23の一機能として組み込んで、時刻情報取得・書込部23及び記憶情報リセット部29を1つの回路で構成することとしてもよい。
【0040】
本実施形態に係る過電流表示器1は以上のように構成されており、次のように動作する。すなわち、過電流検知部14によって、架空電線Wに過電流が流れたことが検知されると、表示体の表示状態が事故表示状態とされ、タイマ15が正常状態への復帰までの計時を開始する。また、過電流検知部14は、過電流の発生を検知する度に、検知信号を出力する。
【0041】
一方、時計機能部21はGPS受信部22によって正確な時刻を計時している。時刻情報取得・書込部23は、過電流検知部14から検知信号を入力すると、時計機能部21が計時している時刻情報を即座に取得してメモリ24に記憶させた後、ICタグ部25の記憶部27に当該時刻情報を追加記憶させるという2段階の処理を実行する。検知信号が入力される度に、時刻情報取得・書込部23は2段階の処理を実行する。
【0042】
また、ICタグ部25は、記憶部27に記憶されている過電流表示器1の識別情報の他、記憶部27に時刻情報が記憶されていれば、その時刻情報も併せて周期的に発信する。
従って、過電流表示器1は、過電流を検知すると、表示状態を事故表示状態とした上で、検知した時刻情報及び当該過電流表示器1の識別情報を周期的に発信する。
【0043】
タイマ15が所定の復帰時間(例えば5時間)を計時すると、復帰信号を出力して、表示体の表示状態を正常状態へ復帰させる。また、記憶情報リセット部29が、ICタグ部25の記憶部27に記憶されている時刻情報を消去する。これにより、過電流を検知していない正常状態においては、過電流表示器1は識別情報のみを発信することとなる。
【0044】
[巡視用端末装置]
次に、巡視を行う作業員が携帯する巡視用端末装置5について説明する。
図2は、巡視用端末装置5の概略構成を示すブロック図である。巡視用端末装置5は、処理部51と、受信部52と、操作部53と、表示部54と、音出力部55と、記憶部60とを備えた小型のコンピュータシステムである。
【0045】
処理部51は、巡視用端末装置5の動作を統括的に制御するプロセッサーであり、機能部として登録部511と、推定部512とを有する。登録部511は、データ受信処理(図4参照)において受信したデータを登録データテーブル65に登録する機能をなし、推定部512は、推定処理(図5参照)を実行する機能をなす。
受信部52は、過電流表示器1のICタグ部25と通信を行う近距離無線通信装置であり、ICタグ部25から発信される過電流表示器1の識別情報及び時刻情報を受信する。操作部53は操作ボタンやスイッチ等で構成され、表示部54がタッチパネルとして構成されるのであれば、そのタッチパネルが操作部53に相当する。表示部54は小型の液晶表示装置等で構成され、タッチパネルとして構成されてもよい。音出力部55はスピーカ及びその駆動回路を有して構成され報知音などを音出力する。
【0046】
記憶部60は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成され、メモリカード及びその読み書き装置を備えることとしてもよい。記憶部60には、処理部51により実行されるデータ受信プログラム67及び推定処理プログラム68の他、データとして、配電網情報データ61と、登録データテーブル65とが記憶される。
【0047】
配電網情報データ61には、変電所を含む配電網に関するデータである配電網データ62と、各過電流表示器の取り付け位置に関する取付位置データ63とが含まれる。配電網データ62は、例えば、電線に沿った電柱の相互関係を、電柱番号の連関データとして規定されたデータである。取付位置データ63は、例えば、過電流表示器の識別情報と、当該過電流表示器が取り付けられている最寄りの電柱の番号と、取り付けられている電線の番号とが対応付けて規定されたデータである。
【0048】
登録データテーブル65は、受信部52によって受信された過電流表示器の識別情報及び時刻情報を1つ1つ登録データとして格納したデータテーブルであり、図3にデータ構造の一例を示す。
【0049】
図3において、登録データテーブル65は、過電流表示器の識別情報と、その過電流表示器が取り付けられている最寄りの電柱番号と、その過電流表示器からデータを受信したデータ受信時刻と、その過電流表示器が過電流を検知した時刻情報である検知時刻とが対応づけて記憶されている。図3において、例えば過電流表示器の識別情報が「001」の登録データは2つあり、共にデータ受信時刻が同じである。従って、同時に受信したデータであることが分かる。また、検知時刻が異なっている。従って、この「001」の過電流表示器は過電流を2回検知していることが分かる。
【0050】
また、過電流表示器の識別情報が「002」の登録データには、検知時刻のデータが記憶されていない。従って、「002」の過電流表示器は、データ受信時刻以前には過電流を検知していないことが分かる。
【0051】
次に、巡視用端末装置5の動作を説明する。
図4は、データ受信処理の流れを示すフローチャートである。所定の起動・実行操作がなされることで、巡視用端末装置5は、データ受信プログラム67を実行することでデータ受信処理を開始する。まず、過電流表示器1のICタグ部25からの発信信号の捕捉を定期的に試みる。そして、発信信号を捕捉することができた場合には(ステップA1:YES)、ICタグ部25から過電流表示器の識別情報と、記憶部27に時刻情報が記憶されていればその時刻情報とを受信する(ステップA3)。そして、取付位置データ63を参照して、過電流表示器が取り付けられている最寄りの電柱の番号を読み出して、受信したデータを登録データとして登録データテーブル65に登録する(ステップA5)。その後、表示部54に受信したデータ内容を示す所定の信号受信報知画面を表示したり、音出力55から所定の報知音を出力する等して、信号の受信及び登録が完了した旨を報知して(ステップA7)、ステップA1に処理を移行する。
【0052】
以上のデータ受信処理によって、過電流表示器から識別情報と、過電流を検知した時の時刻情報とを受信・登録する。
【0053】
図5は、推定処理の流れを示すフローチャートである。推定処理は、登録データテーブル65に登録されているデータに基づいて、過電流が発生した回数(事故発生回数)や、過電流が伝搬した経路候補を推定する処理である。所定の起動・実行操作がなされることで、巡視用端末装置5は、推定処理プログラム68を実行することで推定処理を開始する。先ず、登録データテーブル65に登録されている検知時刻と、予め定められている過電流の伝搬時間(例えば1秒間)とに基づいて、過電流が発生した回数、すなわち事故が発生した回数を推定する(ステップB1)。具体的には、検知時刻の相対時間差が過電流伝搬時間以内の検知時刻をグループに纏めることで、事故発生回数を推定する。
【0054】
次に、各事故に対する時間サーチ範囲を設定する(ステップB3)。具体的には、例えば、各事故毎に纏めたグループの平均検知時刻を中心として、前後2秒間の期間を時間サーチ範囲として設定する。そして、各時刻毎にループB5〜B15の処理を行う。
【0055】
すなわち、登録データテーブル65に登録されている検知時刻が当該事故に係る時間サーチ範囲内の登録データを抽出する(ステップB7)。この登録データは、過電流の発生を検知した過電流表示器の登録データである。
【0056】
次に、登録データテーブル65に登録されている受信時刻が当該事故に係る時間サーチ範囲以降の登録データを抽出する(ステップB9)。
そして、ステップB7、B9で抽出された登録データに係る過電流表示器の取付位置と、配電網データ62とに基づいて、当該事故に係る過電流が伝搬した経路の候補を推定する(ステップB11)。事故が生じた場合、事故点と変電所間に過電流が伝搬するため、過電流の発生が検知された場所、検知されなかった場所が分かれば、過電流の伝搬経路候補を推定することができる。
【0057】
具体的に説明する。ステップB9で抽出された登録データに基づいて、処理部51は、次の判断を行う。すなわち、当該事故の後に、作業員が既に巡回した過電流表示器については、ステップB9で登録データが抽出されるが、未だ巡回していない過電流表示器については、ステップB9では抽出されない。従って、巡回した場所か否かを判断する。
また、処理部51は、ステップB7で抽出された登録データと、ステップB9で抽出された登録データとを組み合わせることで、次の判断を行う。すなわち、ステップB9で抽出されたが、ステップB7で抽出されなかった登録データについては、対応する過電流表示器が当該事故に関する過電流を検知しなかった、と判断する(図3の過電流表示器識別情報「002」に相当)。従って、その場所は当該事故に関する過電流伝搬経路上にはないと判断する。
また、処理部51は、ステップB7で抽出された登録データに基づいて、当該登録データに係る過電流表示器の場所は、当該事故に関する過電流伝搬経路上にあると判断する。
これらの判断結果を総合し、配電網データ62を参酌して、過電流の伝搬経路候補を推定する。
【0058】
次に、ステップB11で推定された各過電流伝搬経路候補上に位置し、未だ登録されていない過電流表示器1を、配電網情報データ61を参照して抽出する(ステップB13)。
【0059】
各事故についてループB5〜B15の処理を実行すると、巡視用端末装置5は、作業員の操作入力に従って、事故回数や、各事故に係る時間サーチ範囲(すなわち事故発生時刻)、各事故に係る過電流伝搬経路候補、各事故に係る未登録の過電流表示器などの推定結果を表示する(ステップB17)。
【0060】
以上のように、巡視用端末装置5を携帯する作業員は、過電流表示器1それぞれのICタグ部25の通信圏内に移動することで、過電流表示器1から識別情報と、過電流を検知していた場合にはその検知時刻とを受信することができる。従って、過電流表示器1の表示状態を直接視認することが困難な場合であっても、過電流表示器1の表示状態を把握することが可能となる。
【0061】
また、巡視用端末装置5は、識別情報及び時刻情報を受信すると、受信した情報を受信時刻と対応付けて登録する。そして、登録された情報と、配電網情報データ61とに基づいて、事故の発生回数や、各事故が発生した時刻、各事故に係る過電流伝搬経路候補、各事故に係る未登録の過電流表示器などを推定する。従って、作業員は、推定結果に基づいて事故点や事故区間を効率的に探すことができる。また、巡視中に、未だ登録されていない過電流表示器から情報を受信して追加登録していくことで、推定結果を随時更新することができ、巡視の効率化が図れる。
【0062】
また、図4,5を参照して、巡視用端末装置5の動作について説明したが、この動作は事故点の特定を支援する方法でもあることは勿論である。すなわち、所定位置に設置された各過電流表示器1を作動状態として通信部26による通信を可能な状態としておき、作業員が巡視用端末装置5を携行して各過電流表示器1の通信圏内に位置するように巡視し、図4及び図5に従って巡視用端末装置5を動作させることで、事故点の特定を支援することができる。
【0063】
以上、本発明を適用した一実施形態について説明したが、本発明が適用可能な形態は上述の実施形態に限られるものではない。
例えば、過電流表示器1のICタグ部25の代わりに、ZIGBEE(登録商標)等の他の近距離無線通信回路を採用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 過電流表示器
14 過電流検知部
21 時計機能部
22 GPS受信部
23 時刻情報所得・書込部
24 メモリ
25 ICタグ部
26 通信部
27 記憶部
5 巡視用端末装置
61 配電網情報データ
65 登録データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空配電線に取り付けられて当該電線に流れる電流を検出し、過電流検知部が過電流の発生を検知した際に表示状態を事故表示状態とする過電流表示器であって、
時計機能部と、
前記過電流検知部による検知がなされた場合に、前記時計機能部から時刻情報を取得して記憶部に検知時刻情報として累積記憶させる時刻情報取得・書込部と、
当該過電流表示器の識別情報及び前記記憶部に記憶されている検知時刻情報を発信する通信部と、
を備えた過電流表示器。
【請求項2】
前記時計機能部は、GPS衛星信号を受信して時刻情報を算出するGPS受信部を有して構成され、
前記通信部及び前記記憶部は、無線ICタグとして構成され、
前記時刻情報取得・書込部は、前記過電流検知部による検知に応じて前記時計機能部から時刻情報を取り込んで一時記憶部に記憶させて後、当該一時記憶部に記憶された時刻情報を検知時刻情報として前記記憶部に累積的に書き込む、
請求項1に記載の過電流表示器。
【請求項3】
前記過電流検知部による最後の検知の後、所定時間が経過した場合に、表示状態を正常状態に復帰させる自動復帰機能を有し、
前記自動復帰機能による表示状態の復帰に合わせて、前記記憶部に記憶されている検知時刻情報をリセットするリセット部を更に備えた請求項1又は2に記載の過電流表示器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び検知時刻情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信された内容を表示する表示部と、
を備えた巡視用端末装置。
【請求項5】
前記受信部により受信された識別情報及び検知時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録する登録部と、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データと、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定する推定部と、
を備えた請求項4に記載の巡視用端末装置。
【請求項6】
前記推定部は、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定する事故数推定手段と、
前記事故数推定手段により推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定する時間サーチ範囲設定手段と、
前記事故数推定手段により推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定する伝搬経路候補推定手段と、
前記事故数推定手段により推定された各事故について、前記伝搬経路候補推定手段により推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録データに登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出する検知候補表示器抽出手段と、
を有する、
請求項5に記載の巡視用端末装置。
【請求項7】
請求項1〜3の何れか一項に記載の過電流表示器の通信部と通信可能な端末装置の制御方法であって、
前記過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び検知時刻情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された内容を表示制御する表示制御ステップと、
を含む制御方法。
【請求項8】
前記受信ステップで受信された識別情報及び検知時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録する登録制御ステップと、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データと、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定する推定ステップと、
を含む請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記推定ステップは、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定する事故数推定ステップと、
前記推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定する時間サーチ範囲設定ステップと、
前記推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定する伝搬経路候補推定ステップと、
前記推定された各事故について、前記推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録データに登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出する検知候補表示器抽出ステップと、
を含む、
請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
請求項1〜3の何れか一項に記載の過電流表示器の通信部を通信可能としておき、
前記過電流表示器の通信部の通信圏内に位置することで、当該通信部から発信される識別情報及び検知時刻情報を受信し、
前記受信した内容を表示することで、事故点の特定を支援することを特徴とする事故点特定支援方法。
【請求項11】
前記受信した識別情報及び検知時刻情報を受信時刻と対応付けて登録データに登録し、
配電網の情報と当該配電網における前記過電流表示器の取り付け位置情報及び当該過電流表示器の識別情報とが定められた配電網情報データと、前記登録データの登録内容とに基づいて、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を推定することで、事故点の特定を支援することを特徴とする請求項10に記載の事故点特定支援方法。
【請求項12】
前記過電流表示器を推定することは、
前記登録データに登録された検知時刻情報と所定の過電流伝搬時間とに基づいて発生事故数を推定し、
前記推定された各事故に係る過電流が伝搬した時間サーチ範囲を設定し、
前記推定された各事故について、前記時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されている過電流表示器と、登録されている受信時刻が当該時間サーチ範囲以降であって当該時間サーチ範囲内の検知時刻情報が登録されていない過電流表示器とを前記登録データの登録内容から検索して、当該事故に係る過電流の伝搬経路候補を推定し、
前記推定された各事故について、前記推定された伝搬経路候補と、前記配電網情報データとに基づき、未だ前記登録データに登録されていない過電流表示器であって、過電流の発生を検知した可能性のある過電流表示器を抽出することを含むことで、
事故点の特定を支援することを特徴とする請求項11に記載の事故点特定支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208018(P2012−208018A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74022(P2011−74022)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】