説明

道路付帯設備用反射シート

【課題】道路付帯設備の種類や設置場所の状況に応じて好適に取り付けることができる道路付帯設備用反射シートを提供する。
【解決手段】最表面側に再帰反射シート2を備え、この再帰反射シート2の裏面側に第一の弾性層3を備え、この第一の弾性層3の裏面側に第二の弾性層4を備え、前記第二の弾性層4を前記第一の弾性層3より柔らかい材料で形成させる。第一の弾性層3の裏面側にこれより柔らかい材料で形成した第二の弾性層4を備えるので、これを貼着させる道路付帯設備の表面の凸凹の吸収や車両などの接触時の衝撃の緩衝が、前記第一の弾性層3と第二の弾性層4との2段階でなされるので、前記の表面凸凹の吸収や衝撃の緩衝がより効率的になされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁石や街路灯、防護柵、高欄など、道路に付帯して設置している設備等に取り付けて、その視認性を高めるための反射シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路付帯設備の視認性を高めるための物品については、種々の構成が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、合成樹脂発泡体を素材として構成された肉厚の筒状体を上下方向に2分した構成に型成された緩衝体(1A1,1B1)と、この緩衝体の外周面を被覆した合成樹脂スプレーエラストマーの層(1A2,1B2)とから構成され、かつ、表面には反射シート(1D)が付着されている前後の緩衝体単体(1A,1B)を、標識・照明ポール、電柱などの道路施設(2)におけるポール(2A)に対し、外方からはさみ込むように取付けることで当該ポールの衝突、接触部分を覆うように構成され、ジョイント部は樹脂ボルトで締付けられることを特徴とする視線誘導型緩衝柱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登2515266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の如き視線誘導型緩衝柱は、ポールや電柱等に取り付ける緩衝体を予めその大きさと形状に合わせて成形する必要があり、それ以外の物品への取り付け等が難しいという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、道路付帯設備の種類や設置場所の状況に応じて好適に取り付けることができる道路付帯設備用反射シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路付帯設備用反射シートは、光の再帰反射性を有する道路付帯設備用反射シートであって、
最表面側に再帰反射シートを備え、
該再帰反射シートの裏面側に第一の弾性層を備え、該第一の弾性層の裏面側に第二の弾性層を備え、
前記第二の弾性層が前記第一の弾性層より柔らかい材料で形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路付帯設備用反射シートによれば、再帰反射シートの裏面側に第一の弾性層を備え、この第一の弾性層の裏面側に第二の弾性層を備えるので、これを取り付ける道路付帯設備の外面形状に沿わせて道路付帯設備用反射シートを貼り付けて取り付け可能であるとともに、各弾性層がそれぞれ道路付帯設備表面の凸凹を吸収し、道路付帯設備用反射シートの表面をなだらかなものとできる。
また、前記第一の弾性層と第二の弾性層を備えるので、取り付けた道路付帯設備用反射シートに車両などが接触して表面側から力が加えられたときに、各弾性層がそれぞれ弾性的に変形して衝撃を和らげる。また、これによって、接触した車両に生じる傷を軽減させる効果も期待できる。
また、前記再帰反射シートの裏面側に第一の弾性層を備え、この第一の弾性層の裏面側に第一の弾性層より柔らかい材料で形成した第二の弾性層を備えるので、前記の道路付帯設備の表面の凸凹の吸収や車両などの接触時の衝撃の緩衝が、前記第一の弾性層と第二の弾性層との2段階でなされるので、前記の表面凸凹の吸収や衝撃の緩衝がより効率的になされる。
また、前記再帰反射シートの裏面側に第一の弾性層を備え、この第一の弾性層の裏面側に第一の弾性層より柔らかい材料で形成した第二の弾性層を備えるので、取り付けた道路付帯設備用反射シートに車両などが接触して表面側から力が加えられたときに、前記第二の弾性層がより大きく変形して前記再帰反射シートの裏面側の第一の弾性層の変形が抑制され、前記再帰反射シートにひび割れや破断が生じるなどの問題が生じ難くなる。
【0009】
また、前記第一の弾性層を、非発泡の合成ゴムで形成させ、
前記第二の弾性層を、合成樹脂又は合成ゴムの、発泡体で形成すれば、取り付けた道路付帯設備用反射シートに車両などが接触して表面側から力が加えられたときに、前記第二の弾性層がより柔軟に大きな変形をしても、前記第一の弾性層がより硬い非発泡合成ゴムであるためその変形が抑制され、表面側の再帰反射シートの変形がより小さくなされて、再帰反射シートにひび割れや破断が生じるなどの問題がより生じ難くなり、好ましい。
【0010】
尚、本願における第一の弾性層と第二の弾性層の柔らかさの比較は、第一の弾性層を形成する材料と第二の弾性層を形成する材料とを、日本工業規格 JIS K 6253に基づくデュロメータ硬さの測定によって行ない、その結果を基にその柔らかさの度合いの比較を行なう。
【発明の効果】
【0011】
本発明の道路付帯設備用反射シートによれば、道路付帯設備の種類や設置場所の状況に応じて好適に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る道路付帯設備用反射シートの実施の一形態を外観図である。
【図2】図1のA−A断面の拡大断面図である。
【図3】図1の道路付帯設備用反射シートを縁石に取り付けた状況を示す外観図である。
【図4】本発明に係る道路付帯設備用反射シートの実施の他の一形態を外観図である。
【図5】図4のA−A断面の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1及び図2によって、本発明に係る道路付帯設備用反射シートの全体的な構成について説明する。
図面において1は道路付帯設備用反射シートである。
道路付帯設備用反射シート1はシート状に形成されており、本実施形態では巻物状に巻いた状態に形成させている。
【0014】
2は再帰反射シートである。
再帰反射シート2は道路付帯設備用反射シート1の表面側に設けられている。
再帰反射シート2は光の再帰反射性を有し、夜間の車両からのヘッドライトの光を照射方向へ反射させ、車両のドライバーなどからの視認性を高める。
再帰反射シート2は道路付帯設備に取り付ける際にその外面形状に沿って取り付け可能な程度の柔軟性を有するものであって、一例として、シート内部にガラスビーズ等の再帰反射成分を封入した構成のものや、シート内部にキューブコーナープリズム等のプリズム素子を形成させた構成のものを好適に用いることができる。
【0015】
3は第一の弾性層である。
第一の弾性層3は、外部から力が加えられた時に弾性的に変形する弾性材料で形成されており、再帰反射シート2の裏側全面に層状に形成されている。
【0016】
4は第二の弾性層である。
第二の弾性層4は、外部から力が加えられた時に弾性的に変形する弾性材料で形成されており、前記の第一の弾性層3の裏側全面に層状に形成されている。
【0017】
第二の弾性層4は、第一の弾性層3より柔らかい材料で形成されている。
具体的には、外部から同じ大きさの力が加えられたとき、第二の弾性層4は第一の弾性層3より大きく変形する材料で形成されている。
第一の弾性層3と第二の弾性層4とを上記のように構成させることで、道路付帯設備用反射シート1を縁石などの道路付帯設備に取り付けた後、これ車両などが接触して表面側から力が加えられたときに、前記第二の弾性層4は大きく変形してその力をより吸収し、前記第一の弾性層3はこれより硬い材料で形成させることでより小さく変形して力を吸収する。前記第一の弾性層3と第二の弾性層4は、それぞれの材料の柔らかさに応じた変形で外部から加えられた力を総合的に吸収するとともに、再帰反射シート2に近い第一の弾性層3がより小さく変形することで、再帰反射シート2の裏側の変形が小さく抑制され、再帰反射シート2にひび割れや破断が生じるなどの問題が生じ難くなる。
【0018】
本実施形態では、第一の弾性層3をゴムで形成させており、第二の弾性層4をより柔らかい発泡合成樹脂で形成させている。
具体的には、本実施形態の第一の弾性層3を非発泡エチレンプロピレンゴム(EPDM)で形成させ、第二の弾性層4を発泡倍率20倍のポリエチレンで形成させている。
第一の弾性層3の材料はEPDMに限るものではなく、第二の弾性層4より硬ければよく、SBRやクロロプレンゴム、ネオプレンゴムなどの他の合成ゴムや天然ゴム、エラストマーなどを非発泡又は第二の弾性層4よりも小さな発泡倍率で発泡させたものを好適に用いることができる。
また、第二の弾性層4の材料もポリエチレンに限るものではなく、第一の弾性層3より柔らかければよく、ポリウレタンやポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂を5〜60倍程度に発泡させた材料やその他の材料などを好適に用いることができる。
【0019】
本実施形態の道路付帯設備用反射シート1は、予め別のシート体に形成させた再帰反射シート2、第一の弾性層3、第二の弾性層4をそれぞれ接着剤で接着固定させているが、これに限るものではなく、再帰反射シート2の裏面にそれぞれ硬化前の弾性体組成物を塗着させて成形固化させて各弾性層を設けても良く、他の方法を用いても良い。
【0020】
図3は図1の道路付帯設備用反射シートを縁石に取り付けた状況を示す外観図である。
図面において、5は縁石である。
道路に沿って設置される縁石5は、一般的には略直方体形状に形成され、道路側に面した角部がアール形状に形成されているものが多い。
図3は、このような縁石5の道路側の角部に道路付帯設備用反射シート1を取り付けた状況を示しており、予め第二の弾性層4の裏側に粘着剤とこれを保護する離型紙とを貼着させた道路付帯設備用反射シート1を用意し、縁石5の角部の取り付け範囲の大きさに合わせて切断した後、離型紙を剥がして粘着剤側を押し付け、縁石5の角部の外面に沿わせて貼着させて固定させている。
【0021】
本実施形態の道路付帯設備用反射シート1は、離型紙を除いた厚みが2mm程度に形成させている。一般的な縁石5はおおむねR10〜30程度の丸みをつけて角部が形成されており、これに取り付ける道路付帯設備用反射シート1はその厚みを3mm以下に形成すれば、前記の丸みに追随して容易に取り付け可能である。また、縁石5の表面から突出する道路付帯設備用反射シート1の厚みが3mm以下と小さいので、道路付帯設備用反射シート1を取り付けることで車両が接触しやすくなるなどの問題が生じない。また、道路付帯設備用反射シート1はその厚みを3mm以下に形成することで、施工時の切断加工が容易に実施できるという効果も期待できる。
また、縁石5は、利用する材質によっては使用当初から表面に微細な凸凹が形成されており、また使用する過程の経年劣化や車両などの接触によって傷などの凸凹が更に形成されている。このため、これに取り付ける道路付帯設備用反射シート1は、第一の弾性層3と第二の弾性層4とを備えると共に、その厚みを1mm以上に形成すれば、このような凸凹が各弾性層に吸収されて再帰反射シート2の表面がなめらかになされ、その美観と車両からの視認性を向上させる。
また、道路付帯設備用反射シート1を縁石5や他の道路付帯設備に取り付ける方法は、前記の如く予め粘着剤と離型紙を設ける方法に限るものではなく、取り付け時に設置面や道路付帯設備用反射シート1の裏面に接着剤を塗布して接着固定させてもよく、他の方法を用いても良い。
【0022】
図4は本発明に係る道路付帯設備用反射シートの実施の他の一形態を外観図であり、図5は図4のA−A断面の拡大断面図である。
本実施形態の道路付帯設備用反射シート1は、第一の弾性層3の表面に再帰反射シート2側へ突出する突条31が形成されている点が図1の実施形態と異なる事項である。
具体的には、突条31は突出するほど先細りとなる略三角形の断面でその根元と突出する先端部分の角には丸みが付けられており、道路付帯設備用反射シート1の幅方向に沿って一方の端から他方の端に至るまで直線状に形成されている。また、前記の突条31は道路付帯設備用反射シート1の長手方向に等間隔で並設されて形成されている。
再帰反射シート2は、突条31上においてはその突出部分に沿うようにして、第一の弾性層3の表面に設けられている。
突条31の角部分に丸みをつけているのは、その表面に設ける再帰反射シート2がこの角部分に追随して取り付け可能にするためである。
【0023】
道路付帯設備用反射シート1は表面の再帰反射シート2によってその視認性が高められているが、光の入射方向と道路付帯設備用反射シート1との角度が小さくなると、反射光が弱くなる。これに対応して、突条31を形成し、再帰反射シート2をその表面に沿って設けることで、道路付帯設備用反射シート1の表面に対して小さな角度で光が入射しても、突条31の表面の再帰反射シート2にはより大きな角度で入射され、強い反射光を反射させてその視認性を高めることができる。
また、突条31を第一の弾性層3で形成させることで、車両などが接触しても突条31が弾性的に変形し、容易に破壊され難いものとしている。
【0024】
突条31は突出の大きさが大きいほどその視認性は良好なものとなるが、反面、道路付帯設備用反射シート1の柔軟性が低下し、取り付け面の外面形状への追随性が損なわれたり、取り付けた道路付帯設備用反射シート1からの突出が大きくなり車両などが接触しやすくなる、等の問題点が生じる恐れがあるので、突条31の突出大きさは3mm以上10mm以下にするのが好ましい。
また、本実施形態の突条31は略三角形の断面形状に形成しているが、これに限るものではなく、その表面に再帰反射シート2を追随させて取り付け可能であればよく、その断面形状を四角形形状や半円形などに形成させてもよく、他の形状に形成させてもよい。
【0025】
また前記の実施形態において、道路付帯設備用反射シート1を3層構造に形成しているが、これに限るものではなく4層以上の構造に形成させてもよい。この場合、再帰反射シート2の裏側に設ける層は、裏側に至るほど柔らかい材料で形成するのが好ましく、具体的には、裏側に至るほど発泡倍率の大きな材料で形成するのが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 道路付帯設備用反射シート
2 再帰反射シート
3 第一の弾性層
31 突条
4 第二の弾性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の再帰反射性を有する道路付帯設備用反射シートであって、
最表面側に再帰反射シートを備え、
該再帰反射シートの裏面側に第一の弾性層を備え、該第一の弾性層の裏面側に第二の弾性層を備え、
前記第二の弾性層が前記第一の弾性層より柔らかい材料で形成されていることを特徴とする道路付帯設備用反射シート。
【請求項2】
前記第一の弾性層が、非発泡の合成ゴムで形成され、
前記第二の弾性層が、合成樹脂又は合成ゴムの、発泡体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路付帯設備用反射シート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−174300(P2011−174300A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39469(P2010−39469)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】