説明

道路用看板

【課題】車両が接触しても破損し難く、また、接触した車両に損傷を生じさせ難い道路用看板を提供すること。
【解決手段】道路用看板1は、道路を走行する車両に対して情報を表示する表示部2と、表示部2を支持する支持部3で大略構成される。支持部3は、高欄11の上端部に固定される固定手段4と、表示部2を揺動可能に支持する支持部本体5を有する。固定手段4は、縦部が第1挟持部材62に形成されたL字状の主部材6と、主部材6の横部61にスライド可能に固定された第2挟持部材7及び圧迫具8を有する。圧迫具8は、横部61にスライド固定部材81で固定され、反力部材82に螺合する圧迫ボルト83で第2挟持部材7を高欄11に圧迫し、第1挟持部材62と第2挟持部材7で高欄11の両側を挟んで高欄11に固定される。主部材6の横部61に、表示部2を道路の延在方向に対して45°の角度に付勢して支持する支持部本体5を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路における例えば工事や通行規制等に用いる道路用看板に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事が行われる際、道路を走行する車両に対して工事の存在を知らせて注意を促すために、工事中である旨を示した看板を設置している。工事用看板としては、従来、側面視においてA字状の支持部材の正面に、板状の表示部材を固定して構成したものがある。この種の工事用看板は、支持部材の高さに対して奥行きが小さいので、物が接触したり強風を受けた場合に倒れ易く、安定性に欠ける問題があった。
【0003】
そこで、従来、支持部材の下端に、矩形の接地枠体を連結した工事用看板が提案されている(特許文献1参照)。この工事用看板は、接地枠体の奥行を、支持部材の高さと略同等の寸法に設定することにより、安定性を高めて、物が接触したり強風を受けた場合に倒れ難くするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−131927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の工事用看板は、車両が接触した場合に破損しやすく、また、接触した車両が損傷しやすいという問題がある。また、上記従来の工事用看板は、強風を受けた場合に転倒したり、飛散しやすいという問題がある。また、表示部材の裏側に、表示部材と同程度の幅を有すると共に、表示部材の高さと同程度の奥行きを有する支持部材を固定しているので、高架道路のように、走行路に近接した高欄を備える道路では、設置スペースが不足して設置し難いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、車両が接触しても破損し難く、また、接触した車両に損傷を生じさせ難い道路用看板を提供することにある。また、強風による転倒や飛散を効果的に防止できる道路用看板を提供することにある。さらに、高欄等の構造物が走行路に近接して設けられた道路であっても、効果的に設置できる道路用看板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の道路用看板は、道路を走行する車両に対して情報を表示する表示部と、
上記表示部を支持する支持部とを備え、
上記支持部は、
道路の側部構造物に固定される固定手段と、
上記固定手段に連なり、上記表示部を揺動可能に支持する支持部本体と、
上記表示部の情報を表示する面の法線が道路の延在方向と傾斜するように、上記表示部を付勢する付勢手段とを有することを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、道路の側部構造物に固定手段で固定された支持部により、表示部が支持される。表示部は、支持部の支持本体によって揺動可能に支持され、付勢手段により、情報を表示する面の法線が道路の延在方向と傾斜するように付勢される。付勢手段で付勢された表示部は、情報を表示する面の法線が道路の延在方向と傾斜しているので、道路側への突出量が少なく、また、道路を走行する車両から、情報を表示する面に表示された情報が視認し易い。したがって、この道路用看板は、比較的狭いスペースに表示部を配置でき、しかも、車両に情報を確実に伝達することができる。
【0009】
上記表示部に、道路を走行する車両が衝突した場合、表示部は、車両から受けた力により、付勢力に抗して揺動する。したがって、車両から表示部及び支持部に作用する衝撃力が緩和されるので、道路用看板は、従来の工事用看板よりも破損し難い。また、車両から表示部に作用する衝撃力が緩和されるので、衝撃力の反作用による車両の破損を、従来よりも少なくできる。
【0010】
また、道路用看板の設置位置に強風が生じた場合、表示部は、風の力により、付勢力に抗して揺動する。したがって、表示部及び支持部の全体に作用する風の力が緩和されるので、道路用看板が転倒や飛散する不都合を防止できる。
【0011】
なお、上記道路の側部構造物とは、道路の側部に位置する構造物を意味し、例えば高欄、境界壁、遮音壁、手摺及び仕切り壁等が広く該当する。また、本発明の道路用看板は、道路の工事用看板に限らず、道路に関連して設置する種々の目的の看板に適用することができる。
【0012】
一実施形態の道路用看板は、上記支持部の固定手段は、
上記側部構造物の一方の側に接する第1挟持部と、
上記側部構造物の他方の側に接する第2挟持部と、
上記第1挟持部と第2挟持部とに対向方向の力を作用し、これらの第1挟持部と第2挟持部挟持具に側部構造物の両側を圧迫させる圧迫具と
を有する。
【0013】
上記実施形態によれば、比較的簡易な構成の固定手段により、支持部を側部構造物に固定することができる。
【0014】
一実施形態の道路用看板は、上記道路の側部構造物は、高欄である。
【0015】
上記実施形態によれば、高欄に支持部を固定手段で固定することにより、車両の走行路に近接して設置スペースが少ない位置に、表示部を車両から視認されやすい状態で配置することができる。
【0016】
一実施形態の道路用看板は、上記支持部の支持部本体は、上記表示部材を揺動可能に連結する揺動連結部材を有し、
上記揺動連結部材が、付勢力を生成する付勢部材を内蔵して上記付勢手段を兼ねている。
【0017】
上記実施形態によれば、支持部の支持部本体に、揺動連結部材で表示部を連結することにより、支持部が表示部を安定して揺動自在に支持できる。また、揺動連結部材が付勢手段を兼ねることにより、道路用看板の部品点数の削減とコンパクト化を行うことができる。なお、付勢部材としては、例えば、ねじりコイルバネ、板バネ及びぜんまいバネ等を用いることができる。
【0018】
一実施形態の道路用看板は、上記支持部の固定手段は、
横部と縦部を有する略L字状の主部材を有し、
上記第1挟持部が、上記主部材の縦部に形成され、この縦部の上記側部構造物の一方の側に接する面に密着部材が設けられており、
上記圧迫具が、上記主部材の横部に沿ってスライド可能に取り付けられると共に所定のスライド位置に固定可能なスライド固定部材と、このスライド固定部材に固定されてボルト孔が設けられた反力部材と、この反力部材のボルト孔に螺合するボルトを有し、
上記第2挟持部が、上記主部材の横部に沿ってスライド可能に取り付けられ、かつ、上記圧迫具のボルトによって第1挟持部の方向に圧迫力が付与される断面L字状の板状部材体で形成され、この板状部材体の上記側部構造物の他方の側に接する面に密着部材が設けられており、
上記支持部の支持部本体は、上記固定手段の主部材の横部に沿ってスライド可能、かつ、所定のスライド位置に固定可能に取り付けられている。
【0019】
上記実施形態によれば、支持部の固定手段が有する主部材の縦部に第1挟持部が形成され、上記主部材の横部に、圧迫具のスライド固定部材がスライド可能かつ所定のスライド位置に固定可能に取り付けられ、かつ、第2挟持部がスライド可能に取り付けられ、さらに、支持部本体がスライド可能かつ所定のスライド位置に固定可能に取り付けられる。これにより、側部構造物の厚みに応じて第1挟持部と第2挟持部の間の距離を調節でき、しかも、第2挟持部に圧迫力を与えることができる。また、支持部本体の横部に対する固定位置を調節することにより、表示部の配置位置を調節できる。
【0020】
一実施形態の道路用看板は、上記主部材の横部の先端と、上記第2挟持部とを線材で連結可能に形成されている。
【0021】
支持部を道路の側部構造物に固定する際、第1挟持部と第2挟持部を側部構造物の一方の側と他方の側に夫々配置し、圧迫具のスライド固定部材を主部材に固定していない状態で、固定手段の主部材が傾斜した場合、スライド固定部材と主部材が相対移動し、スライド固定部材又は主部材が、側部構造物の一方の側又は他方の側に落下するおそれがある。ここで、上記実施形態によれば、主部材の横部の先端と第2挟持部とが線材で連結されることにより、主部材が縦部側に傾斜した場合、側部構造物に係止した第2挟持部によって線材を介して主部材を吊り下げて、主部材の落下を防止することができる。また、主部材が横部側に傾斜した場合、側部構造物に係止した主部材によって線材を介して第2挟持部を吊り下げて、第2挟持部の落下を防止することができる。
【0022】
一実施形態の道路用看板は、
上記線材は、端部に固定された環状の接続具を有し、
上記主部材の横部は、先端から突出する係止具を有し、
上記線材の接続具が上記主部材の横部の先端部に挿通した状態で上記係止具が突出することにより、上記接続具が係止具に係止して、上記主部材の横部に線材が接続される。
【0023】
上記実施形態によれば、線材の端部の接続具を、主部材の横部の先端部に挿通させ、この横部の先端の係止具を突出させることにより、簡易な構造で主部材の横部に線材を確実に接続することができる。
【0024】
ここで、上記環状の接続具は、一部が切り欠かれて切り欠き部を開閉するフックを有するリングや、切り欠きの無いリング等、種々の形態のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の道路用看板を示す斜視図である。
【図2】道路用看板の主要部を示す平面図である。
【図3】道路用看板の固定手段を示す正面図である。
【図4】道路用看板の支持部の支持部本体と表示部との接続部を示す背面図である。
【図5】道路用看板の支持部の支持部本体を示す模式断面図である。
【図6】道路用看板を高欄に取り付ける工程を示す正面図である。
【図7】図6に続く工程を示す正面図である。
【図8】図7に続く工程を示す正面図である。
【図9】図8に続く工程を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
本実施形態の道路用看板は、道路を走行する車両に道路工事の存在を知らせるための工事用看板であり、道路の車線に隣接して設置された高欄に固定されるものである。図1は、本実施形態の道路用看板の斜視図であり、図2は、道路用看板の主要部を示す平面図である。
【0028】
この道路用看板1は、道路を走行する車両に対して情報を表示する表示部2と、この表示部2を支持する支持部3で大略構成されている。
【0029】
表示部2は、プラスチック製の縦長矩形の板状体で形成され、背面に、補強枠21と、支持部3に連結されるための角チューブ22が設けられている。表示部2は、正面に例えば「工事中」等の文字を記載して、道路用看板1の設置位置の先で道路工事が行われていることを示すようになっている。なお、表示部2には、他の文字を記載してもよく、あるいは、文字以外の図形等を記載してもよい。また、表示部2に文字や図形等を記載する方法は、塗料やカッティングシート等、種々の手法を用いることができ、また、LED(発光ダイオード)や有機EL(有機エレクトロルミネセンス)等により、文字や図形を発光させて情報を表示してもよい。
【0030】
角チューブ22は、後述する支持部本体5の連結棒57が挿入され、これにより、表示部2が支持本体5に連結される。角チューブ22は表示部2の裏面の全幅にわたって延在しており、両端に開口が設けられている。これにより、角チューブ22の両端のいずれからも連結棒57を挿入でき、したがって、表示部2を幅方向のいずれの側も支持本体5に連結可能になっている。その結果、高欄11のいずれの側にも、支持部3によって表示部2を配置できるように形成されている。
【0031】
支持部3は、高欄11の上端部に固定される固定手段4と、固定手段4に連なって表示部2を揺動可能に支持する支持部本体5を有する。
【0032】
図3は、固定手段4を示す正面図である。図3では、固定手段4の構成部品の一部を、断面によって示している。固定手段4は、ステンレス角材で形成された横部と縦部を有するL字状の主部材6を備え、この主部材6の縦部が、第1挟持部材62に形成されている。第1挟持部材62は高欄11の外側面に接するように配置され、第1挟持部材62の高欄11の外側面に接する面に、密着部材としてのゴムシート63が貼り付けられている。なお、密着部材は、高欄11の表面との間に密着力を生成するものであれば、ゴム以外の他の素材で形成されてもよい。また、密着部材は、シート状に限らず、高欄11の形状や素材に応じて他の形態のものを採用することもできる。
【0033】
固定手段4は、主部材6の横部61にスライド可能に連結された第2挟持部材7を有する。第2挟持部材7は、上端部71と側方部72とを有する断面L字状のステンレス製の板材で形成され、上端部71の上側面に固定された角チューブで形成されたガイド73によって、主部材の横部61にスライド可能に連結されている。第2挟持部材7の上端部71と側方部72には、互いに臨む側の面に、高欄11の上端面と内側面とに各々接する密着部材としてのゴムシート74が貼り付けられている。第2挟持部材7の側方部72の上端の縁には、ワイヤを接続するためのアイボルト75が固定されている。
【0034】
また、固定手段4は、第2挟持部材7を高欄11に向かって圧迫する圧迫具8を有する。圧迫具8は、主部材6の横部61にスライド可能に連結されたスライド固定部材81と、スライド固定部材81に固定された反力部材82と、反力部材82に形成されたボルト孔82aに螺合する圧迫ボルト83を有する。
【0035】
スライド固定部材81は、ステンレス角材で形成されて鉛直方向に延びるスライド棒84の上端に、角チューブで形成されたガイド85が固定されており、このガイド85が、主部材6の横部61に挿通されて横部61に沿ってスライド可能に連結されている。ガイド85の上端にはボルト孔が形成され、このボルト孔にボルト86が螺合している。このボルト86をボルトハンドル87で螺進させてボルト86の先端を主部材6の横部61に押圧して、スライド固定部材81を横部61の所定のスライド位置に固定するように形成されている。
【0036】
反力部材82はステンレス板材で形成され、スライド棒84に溶接されている。反力部材のボルト孔82aに螺合した圧迫ボルト83をボルトハンドル88で螺進させて、圧迫ボルト83の先端を第2挟持部材7の側方部72に押圧する。これにより、第2挟持部材7を高欄11の内側面に圧迫すると共に、この反力を主部材6の第1挟持部材62に伝達し、第1挟持部材62を高欄11の外側面に圧迫する。こうして、第2挟持部材7で高欄11の両側面を圧迫し、固定手段4を高欄11に固定するようになっている。
【0037】
主部材6の横部61の先端には、ステンレス製の丸棒によって形成された突出棒64が、横部61の端面から突出して設けられている。この突出棒64の先端部には、軸方向に延びるスリット状の切り欠きが形成され、この切り欠き内に、係止具としての係止板65が、回転軸66で軸支されて収容されている。係止板65が回転軸66回りに回動し、突出棒64の軸方向に対して略直角をなすことにより、突出棒64の外側に係止板65が突出する。突出した係止板65に、スライド固定部材81のガイド85や、後述する支持部本体5のガイド53が係止することにより、主部材6からのスライド固定部材81や支持本体5の脱落を防止している。これにより、道路用看板1を設置する際に固定手段4の構成部品が高欄11から落下する不都合や、車両の接触や強風が生じた際に表示部2が支持部3と分離する不都合を防止している。
【0038】
図4は、支持部本体5と表示部2との接続部を示す背面図である。支持部本体5は、ステンレス角材で形成されて鉛直方向に延びるスライド支持棒51と、スライド支持棒51の上部と下部に設けられて、表示部2を揺動可能に連結する2つの揺動連結部材52を有する。
【0039】
スライド支持棒51の上端には、角チューブで形成されたガイド53が固定されており、このガイド53が、主部材6の横部61に挿通されて横部61に沿ってスライド可能に連結されている。ガイド53の上端にはボルト孔が形成され、このボルト孔にボルト54が螺合している。このボルト54をボルトハンドル55で螺進させてボルト54の先端を主部材6の横部61に押圧し、スライド支持棒51を横部61の所定のスライド位置に固定するように形成されている。スライド支持棒51は、主部材6の横部61に固定されたとき、この横部61の軸方向に対して側面が約45°の角度をなすように、ガイド53に固定されている。
【0040】
図5は、支持部本体5を揺動連結部材52の高さで切断した様子を模式的に示す模式断面図である。揺動連結部材52は、円筒形の蝶番で形成され、ねじりコイルバネ56で構成された付勢部材を内蔵している。揺動連結部材52を形成する一方の蝶番部材52aが、スライド支持棒51の側面に固定されており、他方の蝶番部材52bが、略水平に延在する連結棒57に固定されている。この連結棒57を表示部2の角チューブ22に挿入して、表示部2を支持部本体5に連結している。
【0041】
揺動連結部材52は、ねじりコイルバネ56により、一方の蝶番部材52aと他方の蝶番部材52bとが閉じる方向に付勢する。これにより、連結棒57をスライド支持棒51の側面と平行に保持して、連結棒57に連結された表示部2を、主部材6の横部61の軸方向に対して約45°の角度をなすように保持する。主部材6の横部61は、高欄11の延在方向と略直角に固定され、高欄11は道路の延在方向と概ね平行に設置されるので、表示部2は道路の延在方向と略45°の角度をなすように保持される。こうして、揺動連結部材52は、連結棒57を介して表示部2を鉛直方向の軸回りに揺動可能に支持すると共に、ねじりコイルバネ56によって表示部2を道路の延在方向と略45°の角度をなすように付勢している。このように、揺動連結部材52は、本発明の付勢手段を兼ねており、道路用看板の部品点数の削減とコンパクト化が可能になっている。なお、付勢手段を構成する付勢部材は、ねじりコイルバネ56以外に、板バネやぜんまいバネ等の他のバネを用いてもよく、あるいは、弾性力を発揮する他の部品や機構を用いてもよい。
【0042】
本実施形態の道路用看板1は、表示部2の文字が記載された正面の法線が、道路の延在方向に対して傾斜しているので、道路側への突出量が少なく、また、道路を走行する車両から、正面に表示された文字が視認し易い。したがって、この道路用看板1は、比較的狭いスペースに表示部2を配置でき、しかも、車両に情報を確実に伝達することができる。
【0043】
また、この道路用看板1は、表示部2に車両が衝突した場合、表示部2は、車両から受けた力により、揺動連結部材52のねじりコイルバネ56の付勢力に抗して、表示部2の法線が道路の延在方向となす角度が増大する方向に揺動する。したがって、車両から表示部2及び支持部3に作用する衝撃力が緩和されるので、道路用看板1は、従来の工事用看板よりも破損し難い。また、車両から表示部2に作用する衝撃力が緩和されるので、衝撃力の反作用による車両の破損を、従来よりも少なくできる。
【0044】
また、道路用看板1の設置位置に強風が生じた場合、表示部2は、風の力により、揺動連結部材52のねじりコイルバネ56の付勢力に抗して揺動する。したがって、表示部2及び支持部3の全体に作用する風の力が緩和されるので、道路用看板が転倒や飛散する不都合を防止できる。また、支持部3の固定手段4に集中する力を削減できるので、固定手段4が高欄11から脱落し難くできる。
【0045】
次に、本実施形態の道路用看板1を高欄11に取り付ける工程を、図6乃至9を参照しながら説明する。
【0046】
まず、図6に示すように、高欄11の外側面に主部材6の第1挟持部材62が対向し、高欄11の内側面に圧迫具8の第2挟持部材7が対向するように、圧迫具8及び主部材6を高欄11に配置する。このとき、第2挟持部材7のアイボルト75と、主部材6の突出棒64との間に、線材としてのワイヤ13を掛けておく。ワイヤ13の両端には、接続具としてのリング14が設けられている。ワイヤ13の一端のリング14をアイボルト75に鎖状に連結させると共に、ワイヤ13の他端のリング14を突出棒64に挿通させて係止板65で抜け止めをする。上記リング14は、切り欠きと、この切り欠きをバネの付勢力で閉鎖するフックとを有して、フックの操作によって切り欠きを開閉可能なものを用いることができる。あるいは、上記リング14として、切り欠き及びフックを有しない無端のリングを用いてもよい。また、線材として、ワイヤ13以外にチェーン等を用いてもよい。
【0047】
このように、第2挟持部材7と主部材6の先端部とをワイヤ13で接続するので、圧迫具8及び主部材6を高欄11に配置する際に主部材6が傾斜しても、主部材6や圧迫具8が互いに分離して落下する不都合を防止できる。詳しくは、第1挟持部材62が下側となるように主部材6が傾斜し、主部材6が高欄11の外側に移動しても、主部材6の突出棒64の係止板65に、ワイヤ13のリング14とスライド固定部材81のガイド85が係止する。したがって、主部材6が高欄11の外側に落下する不都合を防止できる。また、圧迫具8が下側となるように主部材6が傾斜し、圧迫具8が主部材6の横部61の先端側に移動しても、主部材6の突出棒64の係止板65に、ワイヤ13のリング14とスライド固定部材81のガイド85が係止する。したがって、圧迫具8が高欄11の内側に落下する不都合を防止できる。
【0048】
圧迫具8及び主部材6を高欄11に配置した後、図7に示すように、圧迫具8及び第2挟持部材7を、主部材6の横部61に沿って第1挟持部材62の側にスライドさせ、第2挟持部材7のゴムシート74を高欄11の内側面に接触させる。このとき、圧迫ボルト83の反力部材82からの突出量を少なくしておき、第2挟持部材7を圧迫する際の圧迫ボルト83の突出代を確保しておく。この後、圧迫具8のスライド固定部材81の上端のボルトハンドル87を操作し、ボルト86を主部材6の横部61側に螺進させて先端を横部61に押圧させ、スライド固定部材81を横部61に固定する。さらに、反力部材82に螺合するボルトハンドル88を操作し、圧迫ボルト83を第2挟持部材7の側方部72側に螺進させて先端を側方部72に押圧させ、第2挟持部材7を高欄11に圧迫させる。これにより、高欄11の両側面を、第2挟持部材7と第1挟持部材62とで圧迫して、固定手段4を高欄11に固定する。
【0049】
続いて、図8に示すように、主部材6の横部61の突出棒64からワイヤ13のリング14を取り外し、主部材6の横部61の先端から支持本体5のガイド53を挿通させて、支持本体5を横部61に取り付ける。支持本体5の位置を調節した後、ハンドル55を操作してボルト54の先端を横部61に押圧し、支持本体5を横部61に固定する。そして、支持本体5の連結棒57に、表示部2の背面の角チューブ22を挿入させて、表示部2を支持本体5に取り付ける。
【0050】
この後、図9に示すように、主部材6の横部61の突出棒64から取り外したリング14を、表示部2の背面の角チューブ22に固定されたアイボルト23に接続して、第2挟持部材7と表示部2の背面との間をワイヤ13で接続する。また、新たなワイヤ15を、第2挟持部材7のアイボルト75と、表示部2の背面の補強枠21に固定されたアイボルト24との間に掛け渡す。ワイヤ15は、両端に設けられた接続具としてのリング16により、アイボルト24,75に連結する。これら二本のワイヤ13,15により、第2挟持部材7と表示部2の背面とを接続するので、表示部2が車両の接触や強風を受け、支持本体5から脱落しても、表示部2の紛失や飛散を防止することができる。
【0051】
このように、本実施形態の道路用看板1は、道路の側部構造物としての高欄11に、道路用看板11の構成部品の落下を防止しながら取り付けることができる。
【0052】
上記実施形態において、道路の側部構造物としての高欄11に道路用看板1を取り付けた場合について説明したが、道路用看板1は、高欄以外の例えば境界壁、遮音壁、手摺及び仕切り壁等に取り付けてもよい。また、本実施形態の道路用看板1は、道路工事に限らず、道路に関連する種々の目的に用いることができる。例えば、渋滞時の車線規制の通知や、事故の発生の通知や、路側の施設及び店舗の案内等に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 道路用看板
2 表示部
3 支持部
4 固定手段
5 支持部本体
6 主部材
7 第2挟持部材
8 圧迫具
62 第1挟持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両に対して情報を表示する表示部と、
上記表示部を支持する支持部とを備え、
上記支持部は、
道路の側部構造物に固定される固定手段と、
上記固定手段に連なり、上記表示部を揺動可能に支持する支持部本体と、
上記表示部の情報を表示する面の法線が道路の延在方向と傾斜するように、上記表示部を付勢する付勢手段とを有することを特徴とする道路用看板。
【請求項2】
請求項1に記載の道路用看板において、
上記支持部の固定手段は、
上記側部構造物の一方の側に接する第1挟持部と、
上記側部構造物の他方の側に接する第2挟持部と、
上記第1挟持部と第2挟持部とに対向方向の力を作用し、これらの第1挟持部と第2挟持部に側部構造物の両側を圧迫させる圧迫具と
を有することを特徴とする道路用看板。
【請求項3】
請求項1に記載の道路用看板において、
上記道路の側部構造物は、高欄であることを特徴とする道路用看板。
【請求項4】
請求項1に記載の道路用看板において、
上記支持部の支持部本体は、上記表示部材を揺動可能に連結する揺動連結部材を有し、
上記揺動連結部材が、付勢力を生成する付勢部材を内蔵して上記付勢手段を兼ねていることを特徴とする道路用看板。
【請求項5】
請求項2に記載の道路用看板において、
上記支持部の固定手段は、
横部と縦部を有する略L字状の主部材を有し、
上記第1挟持部が、上記主部材の縦部に形成され、この縦部の上記側部構造物の一方の側に接する面に密着部材が設けられており、
上記圧迫具が、上記主部材の横部に沿ってスライド可能に取り付けられると共に所定のスライド位置に固定可能なスライド固定部材と、このスライド固定部材に固定されてボルト孔が設けられた反力部材と、この反力部材のボルト孔に螺合するボルトを有し、
上記第2挟持部が、上記主部材の横部に沿ってスライド可能に取り付けられ、かつ、上記圧迫具のボルトによって第1挟持部の方向に圧迫力が付与される断面L字状の板状部材で形成され、この板状体の上記側部構造物の他方の側に接する面に密着部材が設けられており、
上記支持部の支持部本体は、上記固定手段の主部材の横部に沿ってスライド可能、かつ、所定のスライド位置に固定可能に取り付けられていることを特徴とする道路用看板。
【請求項6】
請求項5に記載の道路用看板において、
上記主部材の横部の先端と、上記第2挟持部とを線材で連結可能に形成されていることを特徴とする道路用看板。
【請求項7】
請求項6に記載の道路用看板において、
上記線材は、端部に固定された環状の接続具を有し、
上記主部材の横部は、先端から突出する係止具を有し、
上記線材の接続具が上記主部材の横部の先端部に挿通した状態で上記係止具が突出することにより、上記接続具が係止具に係止して、上記主部材の横部に線材が接続されることを特徴とする道路用看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−47185(P2011−47185A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196022(P2009−196022)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(508061549)阪神高速技術株式会社 (20)
【Fターム(参考)】