説明

違法駐車防止装置

【課題】 駐車可能時間の制限を有する駐車区域に車両を駐車したとき、その駐車時間が駐車可能時間を超えることによって違法駐車となってしまうことを防止することである。
【解決手段】 パーキングメータ8が設置された道路9のように、駐車可能時間が設定された道路9に運転者が車両1を駐車する。駐車検出手段3が車両1の駐車を検出すると、駐車時間計測手段4がその車両1の駐車時間を計測する。そして、駐車可能時間が経過する少し前に、報知手段5が送信手段6によってその旨を運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が所定の駐車許可要件が設定された駐車区域に車両を駐車したとき、その駐車状態が前記駐車許可要件を満足しなくなることによって違法となることを防止するための違法駐車防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(例えば、自動車)の違法駐車防止対策として、法令上の駐車禁止区域所に、赤外線や磁気などを利用して自動車の駐停車を検知するセンサを取り付け、該当場所に車両が駐車した際に、警告を発する装置が公知である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、救急車を含む緊急車両に対しても警告を発してしまうという不具合がある。しかも、このような設備を全国の駐車禁止区域に取り付けるためには多額の費用を必要とする。また、それらの保守費用も発生してしまう。
【0004】
このため、道路側に設備を取り付けるのではなく、車両側に設備を取り付けるだけで違法駐車を防止しようとする技術も開示されている。例えば特許文献2に開示された技術は、駐車禁止区域に駐車した車両に対し、エンジンの駆動状態を維持させて運転者が車両から離れられない状況を作ることにより、駐車禁止区域に駐車することを防止する装置である。
【0005】
しかし、エンジンの駆動状態を維持させたままであれば駐車が可能であるため、確実に違法駐車を防止できるというわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−624号公報
【特許文献2】特開平9−153194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した不具合に鑑み、運転者が、駐車可能時間の制限を有する駐車区域に車両を駐車したとき、その駐車時間が駐車可能時間を超えることによって違法駐車となってしまうことを防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための第1発明は、
運転者が、駐車可能時間の制限を有する駐車区域に車両を駐車したとき、その駐車時間が前記駐車可能時間を超えることを防止する違法駐車防止装置であって、
前記車両に搭載され、前記駐車区域と前記駐車可能時間が予め記憶されたナビゲーション装置と、
前記車両が前記ナビゲーション装置に記憶された駐車区域に駐車していることを検出する駐車検出手段と、
前記車両の駐車時間を計測する駐車時間計測手段と、
前記駐車検出手段が前記駐車区域に前記車両が駐車していることを検出し、かつ前記駐車時間計測手段が、前記車両の駐車時間が前記駐車可能時間を超えることを検出したときに、そのことを運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明は上記のように構成されていて、ナビゲーション装置には駐車可能時間の制限を有する駐車区域(例えば、パーキングメータが設置されている駐車区域)と、その駐車可能時間の情報が記憶されている。そして、運転者がこの駐車区域に車両を駐車したときに、その駐車時間を計測する駐車時間計測手段と、その駐車可能時間を運転者に報知する報知手段とを備えている。即ち、駐車可能時間が接近すると、その旨が運転者に報知される。このため、運転者が駐車可能時間の制限を有する駐車区域に車両を駐車した場合、運転者は駐車可能時間を気にすることなく他の業務を遂行でき、違法駐車となってしまうために絶えず時刻を気にするという心理的負担から解放される。
【0010】
本実施例の違法駐車防止装置は、車両に搭載されるものである。このため、車両側の設備投資だけで済み、道路等のインフラについては何らの設備投資をする必要がない。このため、安価である。
【0011】
同じく第2発明は、
運転者が駐車可能日付の制限を有する駐車区域に車両を駐車しようとするとき、その駐車日付が前記駐車可能日付と異なることを防止する違法駐車防止装置であって、
前記車両に搭載され、前記駐車区域と前記駐車可能日付が予め記憶されたナビゲーション装置と、
前記車両が前記ナビゲーション装置に記憶された駐車区域に駐車していることを検出する駐車検出手段と、
前記車両が駐車をした日付と時刻の情報を取得する計時手段と、
前記駐車検出手段が前記駐車区域に前記車両が駐車していることを検出し、かつ前記計時手段が、前記車両の駐車日付が前記駐車可能日付以外であることを検出したときに、そのことを運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
第2発明の違法駐車防止装置は、日付によって駐車が可能な駐車区域に駐車するときに、その日付を検出することによって違法駐車とならないようにするものである。そして、そのことは予めナビゲーション装置に記憶されているため、運転者は、駐車をする際に道路標識を確認するという作業をしなくても済む。
【0013】
前記報知手段は、前記運転者が所持する携帯電話を含む通信端末機器に情報を送信する送信手段を有し、
前記送信手段を介して前記運転者にそのことを報知することができる。
【0014】
報知手段として、(1)ナビゲーション装置のディスプレイに表示する、(2)車両のアラームを鳴動させる、(3)送信手段を介して運転者の通信端末機器に情報を送信する等の方法がある。運転者が駐車した車両の近くにいる場合には、(1)の方法(ディスプレイ)、(2)の方法(アラーム)が有効であり、運転者が駐車した車両から離れている場合には、(3)の方法(情報送信)が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施例の違法駐車防止装置101のブロック図である。
【図2】違法駐車防止装置101を搭載した車両1を道路9に駐車した状態を示す図である。
【図3】違法駐車防止装置101の作用を説明するフローチャートである。
【図4】ディスプレイ2aの表示例である。
【図5】ディスプレイ2aの別の表示例である。
【図6】第2実施例の違法駐車防止装置102のブロック図である。
【図7】第2実施例の違法駐車防止装置102を搭載した車両1を道路15に駐車した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は第1実施例の違法駐車防止装置101のブロック図、図2は違法駐車防止装置101を搭載した車両1を道路9に駐車した状態を示す図、図3は違法駐車防止装置101の作用を説明するフローチャートである。
【実施例1】
【0017】
図1に示されるように、第1実施例の違法駐車防止装置100は、車両1に搭載されるナビゲーション装置2と、同じく駐車検出手段3と、同じく駐車時間計測手段4と、同じく報知手段5とを備えている。以下、これらを具体的に説明する。
【0018】
ナビゲーション装置1は、車両2の現在位置を計測したり、走行ルートを設定したりするもので、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)を利用するものである。即ち、地球の上空に存する6つの衛星軌道に配置された4機ずつ、計24機の人工衛星のうち、3機以上の人口衛星からの電波を受信することによって、車両1の位置を検出するものである。
【0019】
駐車検出手段3は、例えばエンジンECUであり、車両1のエンジンが停止したことを検出するものである。これにより、車両1のエンジンが停止し、車両1が停車(駐車)していると判断する。
【0020】
駐車時間計測手段4は、例えばタイマである。駐車検出手段3が車両1の駐車状態を検出し、運転者が車両1の駐車を確定させたとき(例えば、イグニッションキーを抜いたとき)から計測を開始し、その経過時間を検出する。
【0021】
報知手段5は、例えばナビゲーション装置1のディスプレイ2a(図4参照)であり、車両1の駐車状態が違法であるか否かを表示したり、経過時間の表示をしたりする。また、報知手段5は送信手段6(例えば、送信アンテナ)を備え、運転者が所持する携帯電話機7等の通信端末機器に、経過時間等の情報を送信することができる。
【0022】
ナビゲーション装置1は図示しない記憶装置(メモリ)を備え、この記憶装置に駐車禁止区域が予め記憶されている。現在の道路交通法においては、この駐車禁止区域として、以下の(1)〜(6)が規定されている。
(1)駐車禁止の道路標識・道路標示により駐車が禁止されている場所
(2)車庫または自動車用の出入口から三メートル以内の部分
(3)道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
(4)消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端またはこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
(5)消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置または消防用防火水槽の吸水口もしくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
(6)火災報知機から一メートル以内の部分
【0023】
また、駐車の認められている道路で、所定の駐車方法に従って駐車した場合であって、3.5m以上の余地がない場合には違法駐車となる。
【0024】
このため、本実施例のナビゲーション装置1には、道路標識等による駐車禁止区域、車庫等の近傍による駐車禁止区域、消防用機械器具、消防用防火水槽又は消火栓等の標識の近傍による駐車禁止区域、火災報知器の近傍による駐車禁止区域、上記の各理由によって駐車禁止とされていない道路の幅員の情報及び上記の各駐車禁止区域に設けられた駐車可能要件が記憶されている。駐車可能要件とは、例えば「所定の料金を支払うことにより、60分以内で駐車が可能である。」等の要件をいう。そして、駐車検出手段2によって車両1の駐車が検出されたとき、ナビゲーション装置1のGPS機能によって検出された車両1の位置と道路の駐車禁止についての情報を照合することにより、車両1が駐車禁止区域に駐車しているか否か及びその道路における駐車可能要件を、報知手段5によって運転者に報知する。
【0025】
本実施例の違法駐車防止装置100の作用について説明する。本明細書では、図2に示されるように、運転者が車両1をパーキングメータ8が設置された駐車禁止の道路9に駐車した場合について説明する。道路9には、駐車禁止であることを示す道路標識11(上側の道路標識)と時間制限駐車区間であることを示す道路標識12(下側の道路標識)が設置されている。これらの道路標識11,12により、この道路9は20時から7時の間は駐車禁止であり、7時から20時の間は60分に限り駐車可能であることを意味している。このため、駐車時間(最大60分)を計測するパーキングメータ8が設置されている。
【0026】
運転者がこの道路9に車両1を停車する。そして、運転者が車両1のイグニッションキーを抜くことによって、車両1の駐車が確定する(ステップS10)。すると、ナビゲーション装置2が、車両1が停車している道路9がメモリに記憶された駐車禁止区域との照合を行い(ステップS20)、かつ同時にその道路9の駐車禁止区域における駐車可能要件(この場合であれば、7時から20時までの間は60分に限り駐車可能であること)の有無を検出する(ステップS30)。そして、その旨(駐車可能要件)をナビゲーション装置2のディスプレイ2aに表示する(ステップS40)。そのときのディスプレイ2aの表示例を、図4に示す。これにより、もし運転者が道路標識11,12とパーキングメータ8を見過ごして、誤って駐車禁止区域に駐車した場合であっても、違法駐車となることを回避する要件が表示されるため、善意の運転者を保護することになる。なお、イグニッションキーが抜かれた後であっても、車両1に搭載されたバックアップ電源により、所定時間だけ違法駐車防止装置100が作動するものとする。
【0027】
もし、ステップS20において、車両1を駐車した道路9が駐車禁止区域でなければ(ステップS20における「No」)、車両1の駐車が許可されるため(ステップS50)、何もせず終了する。
【0028】
車両1からイグニッションキーが抜かれると、運転者が道路9に車両1を駐車したものと判断し、駐車時間計測手段4が作動を開始し、駐車時間を計測する(ステップS60)。そして、一定時間が経過すると(ステップS70)、報知手段5が作動し、そのことがナビゲーション装置2のディスプレイ2aに表示され(ステップS80)、アラーム等を鳴動させるとともに、その情報を送信手段6によって運転者の携帯電話機7に送信する(ステップS90)。この場合の駐車可能時間は60分であり、駐車時間が60分を超えると違法駐車となってしまうため、運転者が車両1に戻るまでの時間を考慮して60分よりも少し短い時間(例えば55分)をステップS70の「一定時間」とすることが望ましい。また、バッテリの消耗を防ぐため、車両1のドアがロック状態であることを検出したら、運転者が不在であると判断し、ディスプレイ2aに表示したり、アラームを鳴動したりすることを省略してもよい。
【0029】
また、ステップS30において、車両1を駐車した道路9に駐車可能要件がなければ(ステップS30における「No」)、その旨(駐車禁止であること)をナビゲーション装置2のディスプレイ2aに表示する(ステップS100)。そのときのディスプレイ2aの表示例を、図5に示す。このとき、「5分を超えない荷物の積みおろし」は駐車とされていないため、その旨を同時に表示し、駐車時間計測手段4を作動し(ステップS60)、フローチャートのステップS70〜S90を実行する。なお、このときのステップS70の「一定時間」は例えば4分である。
【実施例2】
【0030】
次に、第2実施例の違法駐車防止装置102について説明する。第2実施例の違法駐車防止装置102は、図6に示されるように、第1実施例の違法駐車防止装置101と比較して、駐車時間計測手段4に代えて(又は駐車時間計測手段4に加えて)、時刻と日付の情報を取得する計時手段13を備えている。図7に示されるように、道路標識11,14により、日付(曜日)によって駐車が可能な道路15に運転者が車両1を駐車したとき、計時手段13が駐車した時刻と日付の情報を取得する。そして、時刻と日付が駐車可能要件を超える場合に、報知手段5によってその旨を報知するとともに、送信手段6によってその旨を運転者の携帯電話機7に送信する。
【0031】
また、第2実施例の違法駐車防止装置102の場合、運転者が道路15に車両1を駐車した時刻の情報が加味される。第1実施例の違法駐車防止装置101の場合、図2に示される道路9において、例えば運転者が19時40分に車両1を駐車した場合、60分後の20時40分(又はそれより少し前の時間)に運転者に報知すると違法駐車となるおそれがある。しかし、第2実施例の違法駐車防止装置102の場合、20分後の20時(又はそれより少し前の時間)に運転者に報知することができる。これにより、誤って違法駐車をしてしまうことが確実に防止される。
【0032】
本発明は、その道路が駐車禁止であることを知らずに誤って車両を駐車した運転者が、そのまま違法駐車となることを防止することができる。運転者は、車両1を駐車しようとする場所が駐車禁止区域であるか否かを自身で判断することが不要となり、また、道路によって駐車可能要件(駐車可能時間や駐車可能日付)が異なっていてもそれを考慮しなくても済むようになるため、車両1を駐車するときの確認作業が不要になる。また、報知手段によって駐車可能時間が報知されるため、駐車時間を気にする必要がなくなり、誤って違法駐車をしてしまうという心理的負担から解放される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、車両を駐車しようとする運転者が、誤って違法駐車をしてしまうことを防止する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 車両
2 ナビゲーション装置
2a ディスプレイ(報知手段)
3 駐車検出手段
4 駐車時間計測手段
5 報知手段
6 アンテナ(送信手段)
9,15 道路(駐車区域)
13 計時手段
101,102 違法駐車防止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が、駐車可能時間の制限を有する駐車区域に車両を駐車したとき、その駐車時間が前記駐車可能時間を超えることを防止する違法駐車防止装置であって、
前記車両に搭載され、前記駐車区域と前記駐車可能時間が予め記憶されたナビゲーション装置と、
前記車両が前記ナビゲーション装置に記憶された駐車区域に駐車していることを検出する駐車検出手段と、
前記車両の駐車時間を計測する駐車時間計測手段と、
前記駐車検出手段が前記駐車区域に前記車両が駐車していることを検出し、かつ前記駐車時間計測手段が、前記車両の駐車時間が前記駐車可能時間を超えることを検出したときに、そのことを運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする違法駐車防止装置。
【請求項2】
運転者が駐車可能日付の制限を有する駐車区域に車両を駐車しようとするとき、その駐車日付が前記駐車可能日付と異なることを防止する違法駐車防止装置であって、
前記車両に搭載され、前記駐車区域と前記駐車可能日付が予め記憶されたナビゲーション装置と、
前記車両が前記ナビゲーション装置に記憶された駐車区域に駐車していることを検出する駐車検出手段と、
前記車両が駐車をした日付と時刻の情報を取得する計時手段と、
前記駐車検出手段が前記駐車区域に前記車両が駐車していることを検出し、かつ前記計時手段が、前記車両の駐車日付が前記駐車可能日付以外であることを検出したときに、そのことを運転者に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする違法駐車防止装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記運転者が所持する携帯電話を含む通信端末機器に情報を送信する送信手段を有し、
前記送信手段を介して前記運転者にそのことを報知することを特徴とする請求項1又は2に記載の違法駐車防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68182(P2012−68182A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214706(P2010−214706)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】