遠心式血液ポンプおよび遠心式血液ポンプ装置
【課題】インペラの回転時におけるインペラの過剰上昇およびハウジング内面との接触を防止し、インペラの回転抵抗および発熱が少ない遠心式血液ポンプを提供する。
【解決手段】遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2と、インペラ3とを備える。ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート21と、ハウジング2の側部に設けられた血液流出ポート23と、内面底部より上方に延びる棒状突出部25とを備える。インペラ3は、磁性体41と、インペラ3の中央部の下部に設けられた突出部収納部34とを備える。インペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25を離脱不能に収納するとともに、突出部収納部34が棒状突出部25を収納した状態にて、インペラ3の回転を可能とし、かつ、インペラ3の中央部付近の上面のハウジング2の内面への接触を防止している。
【解決手段】遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2と、インペラ3とを備える。ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート21と、ハウジング2の側部に設けられた血液流出ポート23と、内面底部より上方に延びる棒状突出部25とを備える。インペラ3は、磁性体41と、インペラ3の中央部の下部に設けられた突出部収納部34とを備える。インペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25を離脱不能に収納するとともに、突出部収納部34が棒状突出部25を収納した状態にて、インペラ3の回転を可能とし、かつ、インペラ3の中央部付近の上面のハウジング2の内面への接触を防止している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を送液するための遠心式血液ポンプおよびそれを用いた遠心式血液ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、人工心肺装置における体外血液循環、人工心臓用ポンプなどに遠心式血液ポンプを使用する例が増加している。遠心ポンプとしては、外部とポンプ内の血液室との物理的な連通を完全に排除し、細菌等の侵入を防止できることにより、外部モータからの駆動トルクを磁気結合を用いて伝達する方式のものが用いられている。
そして、このような遠心式血液ポンプとして、特開2002−349482号公報(特許文献1)に示される人工心臓用遠心ポンプがある。
この人工心臓用遠心ポンプは、インペラ軸部を円筒部1とし、その下部に遠心羽根3を配置し、底部に永久磁石11を設け、ケーシング底部に設けた回転磁界を発生する駆動装置によってインペラを回転させる。インペラの底部中心にはピボット軸受を設け、図示実施例においてはインペラ側にピボット軸6を、ケーシングの底壁側にはピボット受け10を設けている。ピボット軸6とピボット受け10の材質は、例えばセラミックスと超高分子量ポンプの組のように、互いに硬度の異なる材質のものを選択する。また、ピボット軸とピボット受けの球面の直径を略等しく形成するものとなっている。
【0003】
そして、遠心式血液ポンプでは、インペラの回転時に、インペラの基部の一側から血液を吸い込んだ際、基部の一側よりも他側が高い圧力になる圧力差が生じ、インペラを一側に押す軸スラスト荷重が作用することにより、軸心がずれて血液ポンプの作動不良を招来すること、また、インペラの回転時にインペラの下面側が上面側より圧力が高くなることに起因するインペラの上昇により、インペラ上面がハウジング内面に当接することがある。
ターボ式血流ポンプとして、特開2008−183229号公報(特許文献2)に示される人工心臓用遠心ポンプがある。
この血液ポンプでは、インペラ22は、上部軸受け9と下部軸受け10により上下端で回転自在に支持された回転軸7と、複数のベーン6と、ベーンの内周側を回転軸に結合するアーム18と、各ベーンの外周側に連結された環状連結部8と、環状連結部の下部に配置された従動磁石部12とを有する。ロータ13に設けられた駆動磁石部16と従動磁石部12とが、ハウジングの底部壁を挟んで対向し、磁気結合を介してロータの回転がインペラに伝達される。ベーンの下方に封鎖部材23が配置され、回転軸と環状連結部の間に亘る領域の空間を、少なくとも回転軸の周囲に開口部24を残して封鎖している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−349482号公報
【特許文献2】特開2008−183229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、ピボット軸とピボット受けにより構成されたハウジング内でのインペラの軸受機構を有しているため、ベアリング機構等が不要であり、小型化等の利点を備えている。しかし、特許文献1のものでは、インペラの回転時にインペラの下面側が上面側より圧力が高くなることがあり、この圧力差により、インペラが上昇し、インペラ上面がハウジング内面に当接することがある。また、特許文献2のものでは、上部軸受けを有することにより、インペラの回転時におけるインペラの上昇を防止している。しかし、特許文献2のものでは、上下において軸受けが設けられており、摩擦抵抗が高く、かつ、2つの軸受け部での発熱が生じる可能性がある。
そこで、本発明は、インペラの回転時におけるインペラの過剰上昇を防止し、インペラのハウジング内面との接触を抑制し、かつ、インペラの回転抵抗および発熱が少ない遠心式血液ポンプおよびそれを用いた遠心式血液ポンプ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、前記ハウジングの外部より前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段による前記インペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプであって、前記ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、前記ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、前記インペラは、前記インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、前記インペラの中央部の下部に設けられ、前記棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、前記ハウジングおよび前記インペラは、前記突出部収納部が前記棒状突出部を収納した状態にて、前記インペラの回転を可能とし、かつ、前記インペラの中央部付近の上面の前記ハウジング内面への接触を防止するものである遠心式血液ポンプ。
【0007】
(2) 前記棒状突出部は、先端側部分に設けられた大径部を有し、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部の前記大径部を収納する大径部収納部と、前記大径部の外径より小さい内径を有する小径部とを備えている上記(1)に記載の遠心式血液ポンプ。
(3) 前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた環状突出部により形成されている上記(2)に記載の遠心式血液ポンプ。
(4) 前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた複数のリブにより形成されている上記(2)に記載の遠心式血液ポンプ。
(5) 前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた環状リブにより形成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(6) 前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた複数のリブにより形成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(7) 前記棒状突出部は、先端方向に向かって拡径するテーパー部を備え、該テーパー部により、前記大径部が形成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(8) 前記突出部収納部は、前記インペラの下面から上面に到達する連通路となっている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(9) 前記棒状突出部は、前記血液流入ポート方向に突出している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(10) 前記ハウジングの前記血液流入ポートの中心軸の延長線上に、前記ハウジングの前記棒状突出部が位置するものとなっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプと、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生手段とからなる遠心式血液ポンプ装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遠心式血液ポンプは、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、ハウジングの外部よりインペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段によるインペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプである。そして、ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、インペラは、インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、インペラの中央部の下部に設けられ、棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、インペラの突出部収納部は、棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、ハウジングおよびインペラは、突出部収納部が棒状突出部を収納した状態にて、インペラの回転を可能とし、かつ、インペラの中央部付近の上面のハウジング内面への接触を防止している。
このため、インペラの回転時においてインペラが上昇しても、インペラの中央部上面がハウジングの内面に当接することがなく、また、インペラの基部の一側から血液を吸い込んだ際、基部の一側よりも他側が高い圧力になる圧力差が生じ、インペラを一側に押す軸スラスト荷重が作用しても、棒状突出部が、軸心として機能することにより、血液ポンプの作動不良を招くことがなく、そして、インペラの回転時には、棒状部材と接触する可能性があるのみであり、発熱の発生が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例の遠心式血液ポンプの正面図である。
【図2】図2は、図1に示した遠心式血液ポンプの平面図である。
【図3】図3は、図1に示した遠心式血液ポンプの斜視図である。
【図4】図4は、図2のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図1に示した遠心式血液ポンプに用いられるインペラの斜視図である。
【図6】図6は、図2のB−B線でのインペラの断面図である。
【図7】図7は、図2に示した遠心式血液ポンプの断面のインペラ中央部付近の拡大図である。
【図8】図8は、図2に示した遠心式血液ポンプの平面図の血液流入ポート付近の拡大図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図10】図10は、図9に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図12】図12は、図11に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図14】図14は、図13に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図16】図16は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の部分破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の遠心式血液ポンプおよび遠心式血液ポンプ装置を図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明の遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2と、ハウジング2内に回転可能に収納されたインペラ3とを備え、かつ、ハウジング2の外部よりインペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段50によるインペラ3の回転によって血液を送液するものである。
ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート22と、ハウジング2(具体的には、上部ハウジング20)の側部に設けられた血液流出ポート23と、内面底部より上方に延びる棒状突出部25とを備える。インペラ3は、インペラ回転トルク発生手段50との磁気的結合のための磁性体41と、インペラ3の中央部の下部に設けられた突出部収納部34とを備える。そして、インペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25を離脱不能に収納するとともに、ハウジング2およびインペラ3は、突出部収納部34が棒状突出部25を収納した状態にて、インペラ3の回転を可能とし、かつ、突出部収納部34と棒状突出部25の接触により、インペラ3の中央部付近の上面のハウジング2の内面への接触を防止している。
【0012】
図1ないし図8に示すように、この実施例の遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2とその内部に回転可能に収納されたインペラ3とからなる。インペラ3は、ハウジング2内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液する。
そして、ハウジング2は、図1ないし図4に示すように、上部ハウジング20と上部ハウジングに液密に固定された下部ハウジング21とを備える。ハウジング2内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通するインペラ収納室(血液室)が形成されている。特に、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート22と、ハウジング2の側部に設けられた血液流出ポート23と、ハウジング2(具体的には、下部ハウジング21)の内部底面より、上方、具体的には、血液流入ポート方向に所定長延びる棒状突出部25とを備える。
【0013】
上部ハウジング20は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを備え、非磁性材料により形成されている。上部ハウジング20内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通する血液室が形成されている。血液流入ポート22は、上部ハウジング20の上面の中央付近よりほぼ垂直に突出するように設けられている。なお、血液流入ポート22は、このようなストレート管に限定されるものでなく、湾曲管もしくは屈曲管でもよい。血液流出ポート23は、図1ないし図3に示すように、薄くかつほぼ円筒状に形成された上部ハウジング20の側面よりほぼ接線方向に突出するように設けられている。
また、下部ハウジング21は、図1および図4に示すように、上部ハウジングの血液流入ポート22方向に窪んだ凹部形状の底部と、底部の内部底面より、上方、具体的には、血液流入ポート22方向に突出する棒状突出部25と、棒状突出部25が固定される部分に形成され、下面下方に延びる膨出部21aを備えている。そして、この実施例では、ハウジング(上部ハウジング)の血液流入ポート22の中心軸の延長線上に、棒状突出部25が位置するものとなっている。よって、上述した膨出部21aも血液流入ポート22の中心軸の延長線上に位置するものとなっている。
【0014】
この実施例における棒状突出部25は、図7および図8に示すように、下部ハウジングに埋設された下端部26と、上端部27と、上端部27に設けられた膨出部28と、下端部26と上端部27間に位置する小径部26a(軸部)を備えている。この実施例における棒状突出部25は、ハウジング内に露出する部分であり、かつ先端側部分に設けられた大径部(具体的には、最大外径部)である膨出部28を有している。そして、後述するインペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25の大径部28を収納する大径部収納部と、大径部28の外径より小さい内径を有する小径部35を備えている。
この実施例の棒状突出部25では、大径部28は、上端部27の側部に設けられた環状突出部(膨出部28の外周部分)により形成されている。また、この棒状突出部25では、膨出部28を含む上端部27は、先端方向に向かって拡径するテーパー部となっており、テーパー部が、最大外径部を形成している。また、小径部26aは、後述するインペラ3の小径部35より、外径が小径なものとなっている。また、棒状突出部の先端27aは、図11に示し後述する棒状突出部25aのように、略半球状となっているもの、また、エッジが面取りされたものであってもよい。
【0015】
インペラ3は、図2、図4ないし図6に示すように、インペラ本体と、インペラ本体内に収納された複数の磁性体41を備える。
また、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、インペラ3は、中央部の上面に設けられた開口部30と、開口部30と連通し、インペラの下面方向に延びる突出部収納部34を備える。
さらに、この実施例では、インペラ3は、中央部の上面に設けられた開口部30と連通し、インペラ3の側部まで延びる複数の血液流路31と、インペラ回転トルク発生手段50との磁気的結合のための磁性体41とを備える。そして、本発明のポンプでは、特別な軸受機構を持たないものとなっている。
なお、インペラ3としては、クローズドタイプの血液流路を有するものに限定されるものではなく、上面が開口したタイプの血液流路を有するものであってもよい。例えば、インペラとしては、いわゆる羽根タイプのものであってもよい。
【0016】
この実施例のインペラ本体は、インペラ上部部材32と、インペラ上部部材32の下面に取り付けられるとともに、内部に磁性体41を収納したインペラ下部部材33を備えている。そして、インペラ上部部材32とインペラ下部部材33間に、上面および下面が開口せず、かつ、一端が開口部30と連通し、他端がインペラ3の側部にて開口する複数の血液流路31が形成されている。この実施例では、血液流路31は、ほぼ同じ幅にて直線状に延びるものとなっており、かつ、血液流路は、開口部30の中心に対して、ほぼ等角度となるように設けられている。さらに、インペラ3は、図5に示すように、血液流路間に形成された複数の突出部32bを備えている。
インペラ上部部材32は、図4ないし図7に示すように、中心部に開口部30を有する所定の肉厚を有し、若干中央部に向かって盛り上がる傘状となっている円盤状部材であり、底面には、開口部30と連通する複数の凹部32aが形成されており、この凹部32aが、血液流路31を構成している。
【0017】
また、インペラ下部部材33は、中心部に貫通する突出部収納部34を構成する所定の肉厚を有し、若干中央部に向かって盛り上がる傘状となっている円盤状部材であり、上面には、インペラ上部部材32の凹部32a内に進入する複数のリブを備えている。そして、インペラ下部部材33の上部開口部は、インペラの開口部30の下部および突出部収納部34の上部を形成する。また、インペラ下部部材33は、図4および図6に示すように、複数の磁性体収納用凹部を備えている。また、この実施例では、複数(好ましくは、3〜10)の磁性体収納用凹部は、インペラの中心に対して等角度となるように配置されている。また、凹部の数(言い換えれば、磁性体の数)は、好ましくは、3〜10であり、特に、好ましくは、4〜8である。そして、各磁性体収納用凹部には、磁性体41が収納されている。磁性体41としては、磁性ステンレス、永久磁石等が使用される。
【0018】
そして、インペラ3は、ハウジング2に設けられ、ハウジング2内に突出する棒状突出部25を収納する突出部収納部34を備えている。この実施例の突出部収納部34は、図4、図7および図8に示すように、上方に向かって拡径するテーパー状の空洞部となっている。さらに、収納部34は、収納部34の下部に設けられかつ、収納部34の内面より、中心方向に突出する環状リブ35を備えている。そして、この環状リブ35により、小径部が形成されている。さらに、この実施例のポンプ1では、棒状突出部25の大径部(具体的には、最大外径部)である膨出部28の外径より、環状リブ35の内径が小さいものとなっており、棒状突出部25のインペラ3の収納部34からの離脱を不能なものとしている。さらに、インペラ3の環状リブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)とハウジング2の棒状突出部25の膨出部28が当接する状態において、インペラ3の上面は、上部ハウジング20の内面に接触せず、インペラ3の上面と上部ハウジング20間に空隙が形成されているものとなっている。具体的には、インペラ3が下部ハウジング21上に載置された状態における突出部収納部34のリブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)と棒状突出部25の大径部28間の距離が、インペラ3が下部ハウジング21上に載置された状態におけるインペラ3の上面と上部ハウジング20の内面間の距離より短いものとなっている。このため、インペラ3の回転時に、インペラが上昇したとしても、インペラ3の中央部の上面が上部ハウジングの内面(ハウジングの上部内面)に当接する前に、インペラ3の突出部収納部34のリブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)と棒状突出部25の大径部28が当接し、それ以上のインペラ3の上昇を阻止するものとなっている。よって、本発明のポンプ1では、インペラの中央部付近のハウジング内面への接触が防止されていることにより、インペラ3の中央部上面がハウジング内面に接触した状態にて、インペラが回転することを防止し、さらに、インペラの揺動時のインペラ上面の周縁部のハウジング2の内面に接触することも抑制されている。
【0019】
そして、この実施例のポンプ1では、上述したように、突出部収納部34は、インペラ3の上面より下面に到達する連通路を形成しており、突出部収納部34内には、血液流入ポート22よりハウジング2内に流入した血液が流入するものとなっている。このため、棒状突出部25の大径部28およびインペラ3の突出部収納部34のリブ35を冷却するため、両者の当接部における発熱、ひいては、棒状突出部25およびインペラ3の突出部収納部34の内面における発熱を防止する。
なお、この突出部収納部34としては、上述したようなリブ35を有するものが好ましいが、テーパー状の突出部収納部34の下端部の内径を棒状突出部25の大径部28の外径より、小さいものとすることにより、リブを持たないものとしてもよい。この場合、テーパー状の突出部収納部34の下端部が、小径部を形成するものとなる。
そして、棒状突出部25の形成材料としては、ステンレス鋼、アルミ、アルミ合金、チタン、チタン合金、超硬合金などの金属、セラミックス、ダイアモンドライクカーボンなどが好ましい。また、インペラ3の突出部収納部34を形成する部分(この実施例では、下部ハウジング)の形成材料としては、樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリアセタール)、金属、セラミックスなどが好ましく、特に、上述した樹脂が好ましい。
【0020】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、上述したものに限定されるものではなく、図9および図10に示すようなものであってもよい。
図9および図10に示すものと、図7および図8に示し上述したものとの相違は、突出部収納部34の内面形状のみであり、棒状突出部25としては、上述したものと同じである。
そして、この実施例のポンプでは、図9および図10に示すように、突出部収納部34の小径部は、突出部収納部34の内面に設けられ、収納部34の中心方向に突出する複数のリブ35aにより形成されている。リブ35aの先端面は、図9に示すように、半球状となっていることが好ましい。また、リブ35aは、3以上、特に、3〜5であることが好ましく、さらに、収納部34の中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。突出部収納部34の小径部をこのような複数のリブ35aにより形成することにより、インペラ3の突出部収納部34のリブ35aと棒状突出部25の大径部28が当接し、インペラが回転した状態において、突出部収納部34のリブ35aと棒状突出部25間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部をより確実に冷却することできる。
【0021】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、図11および図12に示すようなものであってもよい。
なお、この実施例のポンプでは、図11および図12に示すように、棒状突出部25aは、ほぼ同一外径にて先端方向に延びるものとなっており、かつ、上端部に、複数のリブ29を備えている。そして、この複数のリブ29により、大径部が形成されている。リブ29の先端面は、図11に示すように、半球状となっていることが好ましい。また、リブ29は、3以上、特に、3〜5であることが好ましく、さらに、突出部25aの中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。また、この実施例のポンプでは、図11および図12に示すように、突出部収納部34は、上述したようなリブ35を持たず、テーパー状の突出部収納部34の下端部35bの内径が、棒状突出部25aの大径部29の外径より、小さいものとなっている。そして、この実施例のポンプにおいても、インペラ3の突出部収納部34の小径部と棒状突出部25aのリブ29が当接し、かつインペラが回転した状態において、突出部収納部34と棒状突出部25a間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部のより確実な冷却が可能となる。
【0022】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、図13および図14に示すようなものであってもよい。
なお、この実施例のポンプでは、図13および図14に示すように、棒状突出部25bは、ほぼ同一外径にて先端方向に延びる軸部と、その先端に設けられたフランジ状の大径部27bを備えている。さらに、フランジ状大径部27bの下面には、複数のリブ29aが設けられている。また、リブ29aは、3以上、特に、3〜8であることが好ましく、さらに、突出部25bの中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。また、この実施例のポンプでは、図13および図14に示すように、突出部収納部34は、上述したような環状リブ35をするものとなっている。そして、この実施例のポンプにおいても、インペラ3の突出部収納部34の小径部と棒状突出部25bのリブ29aが当接し、かつインペラが回転した状態において、突出部収納部34と棒状突出部25b間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部のより確実に冷却できるものとなる。
そして、上述したすべての実施例において、インペラ3の突出部収納部34の内面は、図15に示すように、インペラ3の中央部開口内に取り付けられた筒状部材37により形成してもよい。この場合、筒状部材37は、インペラ3のインペラ下部部材33と異なる材料により、形成することができる。筒状部材37の形成材料としては、樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、PEEK)、金属、セラミックスなどを用いることができる。そして、突出部収納部34(筒状部材37)および棒状突出部25の形成材料は、両者間の摺動抵抗が少ないものであることが好ましい。
【0023】
また、本発明の遠心式血液ポンプの血液接触面には、抗血栓性材料が固定されていることが好ましい。
抗血栓性材料としては、ヘパリン、ポリアルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体(例えば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタクリレート])、疎水性セグメントと親水性セグメントの両者を有するブロックまたはグラフト共重合体(例えば、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアクリレート]のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピロリドン]−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体、さらにこのブロック共重合体にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使用できる。好ましくは、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体などが好ましい。そして、上記のヘパリンを除く親水性樹脂を血液接触面に被覆した後、さらにその上にヘパリンを固定することが好ましい。この場合、ヘパリンをこの親水性樹脂の表面に固定するためには、親水性樹脂は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、アルデヒド基および炭素−炭素二重結合のうちのいずれかを有するか、もしくは容易にこれらの基に変換可能な基を有していることが好ましい。特に好ましくは、上記親水性樹脂にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマーを用いることであり、アミノ基を有するポリマーとしては、ポリアミン、特にPEI[ポリエチンイミン]が好ましい。
【0024】
上述した実施例の血液ポンプでは、血液流入ポート22より流入した血液は、回転するインペラ3の中央部の開口部30に流入し、分流し、各血液流路31内に流入する。また、一部血液は、突出部収納部34内に流入するとともに、棒状突出部25にも当接するため、両者は、当接する血液により冷却されるとともに、血液流との当接は継続するため、両者間での発熱の発生を防止する。
【0025】
そして、本発明の遠心式血液ポンプ装置は、遠心式血液ポンプ1と、インペラ3の磁性体41を吸引するとともにインペラ3を回転させるためのインペラ回転トルク発生手段50とからなる。
遠心式血液ポンプ1としては、上述した実施例のものを用いることができる。
インペラ回転トルク発生手段50は、図16に示すように、ハウジング内に収納されたロータ51とロータ51を回転させるためのモータ(図示せず)を備える。ハウジングは、血液ポンプ1の下部ハウジングの外方突出部を収納する凹部を備えている。ロータ51は、血液遠心ポンプ1側の面に設けられ、インペラ3に設けられた磁性体41の傾斜配置形態に対応して、傾斜配置された複数の永久磁石52を備える。ロータ51の中心は、モータの回転軸に固定されている。永久磁石52は、インペラ3の磁性体41の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。また、ロータ51を回転駆動させるモータとしては、DCブラシレスモータを含む同期モータ、インダクションモータを含む非同期モータなどが使用されるが、モータの種類はどのようなものであってもよい。また、モータの回転時における複数の永久磁石52の中心とロータの中心は一致している。
【符号の説明】
【0026】
1 遠心式血液ポンプ
2 ハウジング
3 インペラ
25 棒状突出部
34 突出部収納部
36 開口部
48 突出部収納部
28,39 ピボット軸受機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を送液するための遠心式血液ポンプおよびそれを用いた遠心式血液ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、人工心肺装置における体外血液循環、人工心臓用ポンプなどに遠心式血液ポンプを使用する例が増加している。遠心ポンプとしては、外部とポンプ内の血液室との物理的な連通を完全に排除し、細菌等の侵入を防止できることにより、外部モータからの駆動トルクを磁気結合を用いて伝達する方式のものが用いられている。
そして、このような遠心式血液ポンプとして、特開2002−349482号公報(特許文献1)に示される人工心臓用遠心ポンプがある。
この人工心臓用遠心ポンプは、インペラ軸部を円筒部1とし、その下部に遠心羽根3を配置し、底部に永久磁石11を設け、ケーシング底部に設けた回転磁界を発生する駆動装置によってインペラを回転させる。インペラの底部中心にはピボット軸受を設け、図示実施例においてはインペラ側にピボット軸6を、ケーシングの底壁側にはピボット受け10を設けている。ピボット軸6とピボット受け10の材質は、例えばセラミックスと超高分子量ポンプの組のように、互いに硬度の異なる材質のものを選択する。また、ピボット軸とピボット受けの球面の直径を略等しく形成するものとなっている。
【0003】
そして、遠心式血液ポンプでは、インペラの回転時に、インペラの基部の一側から血液を吸い込んだ際、基部の一側よりも他側が高い圧力になる圧力差が生じ、インペラを一側に押す軸スラスト荷重が作用することにより、軸心がずれて血液ポンプの作動不良を招来すること、また、インペラの回転時にインペラの下面側が上面側より圧力が高くなることに起因するインペラの上昇により、インペラ上面がハウジング内面に当接することがある。
ターボ式血流ポンプとして、特開2008−183229号公報(特許文献2)に示される人工心臓用遠心ポンプがある。
この血液ポンプでは、インペラ22は、上部軸受け9と下部軸受け10により上下端で回転自在に支持された回転軸7と、複数のベーン6と、ベーンの内周側を回転軸に結合するアーム18と、各ベーンの外周側に連結された環状連結部8と、環状連結部の下部に配置された従動磁石部12とを有する。ロータ13に設けられた駆動磁石部16と従動磁石部12とが、ハウジングの底部壁を挟んで対向し、磁気結合を介してロータの回転がインペラに伝達される。ベーンの下方に封鎖部材23が配置され、回転軸と環状連結部の間に亘る領域の空間を、少なくとも回転軸の周囲に開口部24を残して封鎖している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−349482号公報
【特許文献2】特開2008−183229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、ピボット軸とピボット受けにより構成されたハウジング内でのインペラの軸受機構を有しているため、ベアリング機構等が不要であり、小型化等の利点を備えている。しかし、特許文献1のものでは、インペラの回転時にインペラの下面側が上面側より圧力が高くなることがあり、この圧力差により、インペラが上昇し、インペラ上面がハウジング内面に当接することがある。また、特許文献2のものでは、上部軸受けを有することにより、インペラの回転時におけるインペラの上昇を防止している。しかし、特許文献2のものでは、上下において軸受けが設けられており、摩擦抵抗が高く、かつ、2つの軸受け部での発熱が生じる可能性がある。
そこで、本発明は、インペラの回転時におけるインペラの過剰上昇を防止し、インペラのハウジング内面との接触を抑制し、かつ、インペラの回転抵抗および発熱が少ない遠心式血液ポンプおよびそれを用いた遠心式血液ポンプ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、前記ハウジングの外部より前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段による前記インペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプであって、前記ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、前記ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、前記インペラは、前記インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、前記インペラの中央部の下部に設けられ、前記棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、前記ハウジングおよび前記インペラは、前記突出部収納部が前記棒状突出部を収納した状態にて、前記インペラの回転を可能とし、かつ、前記インペラの中央部付近の上面の前記ハウジング内面への接触を防止するものである遠心式血液ポンプ。
【0007】
(2) 前記棒状突出部は、先端側部分に設けられた大径部を有し、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部の前記大径部を収納する大径部収納部と、前記大径部の外径より小さい内径を有する小径部とを備えている上記(1)に記載の遠心式血液ポンプ。
(3) 前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた環状突出部により形成されている上記(2)に記載の遠心式血液ポンプ。
(4) 前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた複数のリブにより形成されている上記(2)に記載の遠心式血液ポンプ。
(5) 前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた環状リブにより形成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(6) 前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた複数のリブにより形成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(7) 前記棒状突出部は、先端方向に向かって拡径するテーパー部を備え、該テーパー部により、前記大径部が形成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(8) 前記突出部収納部は、前記インペラの下面から上面に到達する連通路となっている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(9) 前記棒状突出部は、前記血液流入ポート方向に突出している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
(10) 前記ハウジングの前記血液流入ポートの中心軸の延長線上に、前記ハウジングの前記棒状突出部が位置するものとなっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプと、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生手段とからなる遠心式血液ポンプ装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遠心式血液ポンプは、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、ハウジングの外部よりインペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段によるインペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプである。そして、ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、インペラは、インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、インペラの中央部の下部に設けられ、棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、インペラの突出部収納部は、棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、ハウジングおよびインペラは、突出部収納部が棒状突出部を収納した状態にて、インペラの回転を可能とし、かつ、インペラの中央部付近の上面のハウジング内面への接触を防止している。
このため、インペラの回転時においてインペラが上昇しても、インペラの中央部上面がハウジングの内面に当接することがなく、また、インペラの基部の一側から血液を吸い込んだ際、基部の一側よりも他側が高い圧力になる圧力差が生じ、インペラを一側に押す軸スラスト荷重が作用しても、棒状突出部が、軸心として機能することにより、血液ポンプの作動不良を招くことがなく、そして、インペラの回転時には、棒状部材と接触する可能性があるのみであり、発熱の発生が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例の遠心式血液ポンプの正面図である。
【図2】図2は、図1に示した遠心式血液ポンプの平面図である。
【図3】図3は、図1に示した遠心式血液ポンプの斜視図である。
【図4】図4は、図2のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図1に示した遠心式血液ポンプに用いられるインペラの斜視図である。
【図6】図6は、図2のB−B線でのインペラの断面図である。
【図7】図7は、図2に示した遠心式血液ポンプの断面のインペラ中央部付近の拡大図である。
【図8】図8は、図2に示した遠心式血液ポンプの平面図の血液流入ポート付近の拡大図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図10】図10は、図9に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図12】図12は、図11に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図14】図14は、図13に示した遠心式血液ポンプの血液流入ポート付近の拡大平面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の遠心式血液ポンプのインペラ中央部付近の拡大断面図である。
【図16】図16は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の部分破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の遠心式血液ポンプおよび遠心式血液ポンプ装置を図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明の遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2と、ハウジング2内に回転可能に収納されたインペラ3とを備え、かつ、ハウジング2の外部よりインペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段50によるインペラ3の回転によって血液を送液するものである。
ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート22と、ハウジング2(具体的には、上部ハウジング20)の側部に設けられた血液流出ポート23と、内面底部より上方に延びる棒状突出部25とを備える。インペラ3は、インペラ回転トルク発生手段50との磁気的結合のための磁性体41と、インペラ3の中央部の下部に設けられた突出部収納部34とを備える。そして、インペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25を離脱不能に収納するとともに、ハウジング2およびインペラ3は、突出部収納部34が棒状突出部25を収納した状態にて、インペラ3の回転を可能とし、かつ、突出部収納部34と棒状突出部25の接触により、インペラ3の中央部付近の上面のハウジング2の内面への接触を防止している。
【0012】
図1ないし図8に示すように、この実施例の遠心式血液ポンプ1は、ハウジング2とその内部に回転可能に収納されたインペラ3とからなる。インペラ3は、ハウジング2内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液する。
そして、ハウジング2は、図1ないし図4に示すように、上部ハウジング20と上部ハウジングに液密に固定された下部ハウジング21とを備える。ハウジング2内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通するインペラ収納室(血液室)が形成されている。特に、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、ハウジング2は、中央部上方に延びる血液流入ポート22と、ハウジング2の側部に設けられた血液流出ポート23と、ハウジング2(具体的には、下部ハウジング21)の内部底面より、上方、具体的には、血液流入ポート方向に所定長延びる棒状突出部25とを備える。
【0013】
上部ハウジング20は、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを備え、非磁性材料により形成されている。上部ハウジング20内には、血液流入ポート22および血液流出ポート23と連通する血液室が形成されている。血液流入ポート22は、上部ハウジング20の上面の中央付近よりほぼ垂直に突出するように設けられている。なお、血液流入ポート22は、このようなストレート管に限定されるものでなく、湾曲管もしくは屈曲管でもよい。血液流出ポート23は、図1ないし図3に示すように、薄くかつほぼ円筒状に形成された上部ハウジング20の側面よりほぼ接線方向に突出するように設けられている。
また、下部ハウジング21は、図1および図4に示すように、上部ハウジングの血液流入ポート22方向に窪んだ凹部形状の底部と、底部の内部底面より、上方、具体的には、血液流入ポート22方向に突出する棒状突出部25と、棒状突出部25が固定される部分に形成され、下面下方に延びる膨出部21aを備えている。そして、この実施例では、ハウジング(上部ハウジング)の血液流入ポート22の中心軸の延長線上に、棒状突出部25が位置するものとなっている。よって、上述した膨出部21aも血液流入ポート22の中心軸の延長線上に位置するものとなっている。
【0014】
この実施例における棒状突出部25は、図7および図8に示すように、下部ハウジングに埋設された下端部26と、上端部27と、上端部27に設けられた膨出部28と、下端部26と上端部27間に位置する小径部26a(軸部)を備えている。この実施例における棒状突出部25は、ハウジング内に露出する部分であり、かつ先端側部分に設けられた大径部(具体的には、最大外径部)である膨出部28を有している。そして、後述するインペラ3の突出部収納部34は、棒状突出部25の大径部28を収納する大径部収納部と、大径部28の外径より小さい内径を有する小径部35を備えている。
この実施例の棒状突出部25では、大径部28は、上端部27の側部に設けられた環状突出部(膨出部28の外周部分)により形成されている。また、この棒状突出部25では、膨出部28を含む上端部27は、先端方向に向かって拡径するテーパー部となっており、テーパー部が、最大外径部を形成している。また、小径部26aは、後述するインペラ3の小径部35より、外径が小径なものとなっている。また、棒状突出部の先端27aは、図11に示し後述する棒状突出部25aのように、略半球状となっているもの、また、エッジが面取りされたものであってもよい。
【0015】
インペラ3は、図2、図4ないし図6に示すように、インペラ本体と、インペラ本体内に収納された複数の磁性体41を備える。
また、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、インペラ3は、中央部の上面に設けられた開口部30と、開口部30と連通し、インペラの下面方向に延びる突出部収納部34を備える。
さらに、この実施例では、インペラ3は、中央部の上面に設けられた開口部30と連通し、インペラ3の側部まで延びる複数の血液流路31と、インペラ回転トルク発生手段50との磁気的結合のための磁性体41とを備える。そして、本発明のポンプでは、特別な軸受機構を持たないものとなっている。
なお、インペラ3としては、クローズドタイプの血液流路を有するものに限定されるものではなく、上面が開口したタイプの血液流路を有するものであってもよい。例えば、インペラとしては、いわゆる羽根タイプのものであってもよい。
【0016】
この実施例のインペラ本体は、インペラ上部部材32と、インペラ上部部材32の下面に取り付けられるとともに、内部に磁性体41を収納したインペラ下部部材33を備えている。そして、インペラ上部部材32とインペラ下部部材33間に、上面および下面が開口せず、かつ、一端が開口部30と連通し、他端がインペラ3の側部にて開口する複数の血液流路31が形成されている。この実施例では、血液流路31は、ほぼ同じ幅にて直線状に延びるものとなっており、かつ、血液流路は、開口部30の中心に対して、ほぼ等角度となるように設けられている。さらに、インペラ3は、図5に示すように、血液流路間に形成された複数の突出部32bを備えている。
インペラ上部部材32は、図4ないし図7に示すように、中心部に開口部30を有する所定の肉厚を有し、若干中央部に向かって盛り上がる傘状となっている円盤状部材であり、底面には、開口部30と連通する複数の凹部32aが形成されており、この凹部32aが、血液流路31を構成している。
【0017】
また、インペラ下部部材33は、中心部に貫通する突出部収納部34を構成する所定の肉厚を有し、若干中央部に向かって盛り上がる傘状となっている円盤状部材であり、上面には、インペラ上部部材32の凹部32a内に進入する複数のリブを備えている。そして、インペラ下部部材33の上部開口部は、インペラの開口部30の下部および突出部収納部34の上部を形成する。また、インペラ下部部材33は、図4および図6に示すように、複数の磁性体収納用凹部を備えている。また、この実施例では、複数(好ましくは、3〜10)の磁性体収納用凹部は、インペラの中心に対して等角度となるように配置されている。また、凹部の数(言い換えれば、磁性体の数)は、好ましくは、3〜10であり、特に、好ましくは、4〜8である。そして、各磁性体収納用凹部には、磁性体41が収納されている。磁性体41としては、磁性ステンレス、永久磁石等が使用される。
【0018】
そして、インペラ3は、ハウジング2に設けられ、ハウジング2内に突出する棒状突出部25を収納する突出部収納部34を備えている。この実施例の突出部収納部34は、図4、図7および図8に示すように、上方に向かって拡径するテーパー状の空洞部となっている。さらに、収納部34は、収納部34の下部に設けられかつ、収納部34の内面より、中心方向に突出する環状リブ35を備えている。そして、この環状リブ35により、小径部が形成されている。さらに、この実施例のポンプ1では、棒状突出部25の大径部(具体的には、最大外径部)である膨出部28の外径より、環状リブ35の内径が小さいものとなっており、棒状突出部25のインペラ3の収納部34からの離脱を不能なものとしている。さらに、インペラ3の環状リブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)とハウジング2の棒状突出部25の膨出部28が当接する状態において、インペラ3の上面は、上部ハウジング20の内面に接触せず、インペラ3の上面と上部ハウジング20間に空隙が形成されているものとなっている。具体的には、インペラ3が下部ハウジング21上に載置された状態における突出部収納部34のリブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)と棒状突出部25の大径部28間の距離が、インペラ3が下部ハウジング21上に載置された状態におけるインペラ3の上面と上部ハウジング20の内面間の距離より短いものとなっている。このため、インペラ3の回転時に、インペラが上昇したとしても、インペラ3の中央部の上面が上部ハウジングの内面(ハウジングの上部内面)に当接する前に、インペラ3の突出部収納部34のリブ35(インペラ3の突出部収納部34の小径部)と棒状突出部25の大径部28が当接し、それ以上のインペラ3の上昇を阻止するものとなっている。よって、本発明のポンプ1では、インペラの中央部付近のハウジング内面への接触が防止されていることにより、インペラ3の中央部上面がハウジング内面に接触した状態にて、インペラが回転することを防止し、さらに、インペラの揺動時のインペラ上面の周縁部のハウジング2の内面に接触することも抑制されている。
【0019】
そして、この実施例のポンプ1では、上述したように、突出部収納部34は、インペラ3の上面より下面に到達する連通路を形成しており、突出部収納部34内には、血液流入ポート22よりハウジング2内に流入した血液が流入するものとなっている。このため、棒状突出部25の大径部28およびインペラ3の突出部収納部34のリブ35を冷却するため、両者の当接部における発熱、ひいては、棒状突出部25およびインペラ3の突出部収納部34の内面における発熱を防止する。
なお、この突出部収納部34としては、上述したようなリブ35を有するものが好ましいが、テーパー状の突出部収納部34の下端部の内径を棒状突出部25の大径部28の外径より、小さいものとすることにより、リブを持たないものとしてもよい。この場合、テーパー状の突出部収納部34の下端部が、小径部を形成するものとなる。
そして、棒状突出部25の形成材料としては、ステンレス鋼、アルミ、アルミ合金、チタン、チタン合金、超硬合金などの金属、セラミックス、ダイアモンドライクカーボンなどが好ましい。また、インペラ3の突出部収納部34を形成する部分(この実施例では、下部ハウジング)の形成材料としては、樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリアセタール)、金属、セラミックスなどが好ましく、特に、上述した樹脂が好ましい。
【0020】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、上述したものに限定されるものではなく、図9および図10に示すようなものであってもよい。
図9および図10に示すものと、図7および図8に示し上述したものとの相違は、突出部収納部34の内面形状のみであり、棒状突出部25としては、上述したものと同じである。
そして、この実施例のポンプでは、図9および図10に示すように、突出部収納部34の小径部は、突出部収納部34の内面に設けられ、収納部34の中心方向に突出する複数のリブ35aにより形成されている。リブ35aの先端面は、図9に示すように、半球状となっていることが好ましい。また、リブ35aは、3以上、特に、3〜5であることが好ましく、さらに、収納部34の中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。突出部収納部34の小径部をこのような複数のリブ35aにより形成することにより、インペラ3の突出部収納部34のリブ35aと棒状突出部25の大径部28が当接し、インペラが回転した状態において、突出部収納部34のリブ35aと棒状突出部25間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部をより確実に冷却することできる。
【0021】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、図11および図12に示すようなものであってもよい。
なお、この実施例のポンプでは、図11および図12に示すように、棒状突出部25aは、ほぼ同一外径にて先端方向に延びるものとなっており、かつ、上端部に、複数のリブ29を備えている。そして、この複数のリブ29により、大径部が形成されている。リブ29の先端面は、図11に示すように、半球状となっていることが好ましい。また、リブ29は、3以上、特に、3〜5であることが好ましく、さらに、突出部25aの中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。また、この実施例のポンプでは、図11および図12に示すように、突出部収納部34は、上述したようなリブ35を持たず、テーパー状の突出部収納部34の下端部35bの内径が、棒状突出部25aの大径部29の外径より、小さいものとなっている。そして、この実施例のポンプにおいても、インペラ3の突出部収納部34の小径部と棒状突出部25aのリブ29が当接し、かつインペラが回転した状態において、突出部収納部34と棒状突出部25a間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部のより確実な冷却が可能となる。
【0022】
また、本発明の遠心式血液ポンプにおける棒状突出部と突出部収納部の形態は、図13および図14に示すようなものであってもよい。
なお、この実施例のポンプでは、図13および図14に示すように、棒状突出部25bは、ほぼ同一外径にて先端方向に延びる軸部と、その先端に設けられたフランジ状の大径部27bを備えている。さらに、フランジ状大径部27bの下面には、複数のリブ29aが設けられている。また、リブ29aは、3以上、特に、3〜8であることが好ましく、さらに、突出部25bの中心軸に対して、ほぼ等角度となるように配置されていることが好ましい。また、この実施例のポンプでは、図13および図14に示すように、突出部収納部34は、上述したような環状リブ35をするものとなっている。そして、この実施例のポンプにおいても、インペラ3の突出部収納部34の小径部と棒状突出部25bのリブ29aが当接し、かつインペラが回転した状態において、突出部収納部34と棒状突出部25b間に若干の流路が形成されるため、両者間の接触部のより確実に冷却できるものとなる。
そして、上述したすべての実施例において、インペラ3の突出部収納部34の内面は、図15に示すように、インペラ3の中央部開口内に取り付けられた筒状部材37により形成してもよい。この場合、筒状部材37は、インペラ3のインペラ下部部材33と異なる材料により、形成することができる。筒状部材37の形成材料としては、樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリアセタール、PEEK)、金属、セラミックスなどを用いることができる。そして、突出部収納部34(筒状部材37)および棒状突出部25の形成材料は、両者間の摺動抵抗が少ないものであることが好ましい。
【0023】
また、本発明の遠心式血液ポンプの血液接触面には、抗血栓性材料が固定されていることが好ましい。
抗血栓性材料としては、ヘパリン、ポリアルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体(例えば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタクリレート])、疎水性セグメントと親水性セグメントの両者を有するブロックまたはグラフト共重合体(例えば、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアクリレート]のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピロリドン]−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体、さらにこのブロック共重合体にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使用できる。好ましくは、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体などが好ましい。そして、上記のヘパリンを除く親水性樹脂を血液接触面に被覆した後、さらにその上にヘパリンを固定することが好ましい。この場合、ヘパリンをこの親水性樹脂の表面に固定するためには、親水性樹脂は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、アルデヒド基および炭素−炭素二重結合のうちのいずれかを有するか、もしくは容易にこれらの基に変換可能な基を有していることが好ましい。特に好ましくは、上記親水性樹脂にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマーを用いることであり、アミノ基を有するポリマーとしては、ポリアミン、特にPEI[ポリエチンイミン]が好ましい。
【0024】
上述した実施例の血液ポンプでは、血液流入ポート22より流入した血液は、回転するインペラ3の中央部の開口部30に流入し、分流し、各血液流路31内に流入する。また、一部血液は、突出部収納部34内に流入するとともに、棒状突出部25にも当接するため、両者は、当接する血液により冷却されるとともに、血液流との当接は継続するため、両者間での発熱の発生を防止する。
【0025】
そして、本発明の遠心式血液ポンプ装置は、遠心式血液ポンプ1と、インペラ3の磁性体41を吸引するとともにインペラ3を回転させるためのインペラ回転トルク発生手段50とからなる。
遠心式血液ポンプ1としては、上述した実施例のものを用いることができる。
インペラ回転トルク発生手段50は、図16に示すように、ハウジング内に収納されたロータ51とロータ51を回転させるためのモータ(図示せず)を備える。ハウジングは、血液ポンプ1の下部ハウジングの外方突出部を収納する凹部を備えている。ロータ51は、血液遠心ポンプ1側の面に設けられ、インペラ3に設けられた磁性体41の傾斜配置形態に対応して、傾斜配置された複数の永久磁石52を備える。ロータ51の中心は、モータの回転軸に固定されている。永久磁石52は、インペラ3の磁性体41の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。また、ロータ51を回転駆動させるモータとしては、DCブラシレスモータを含む同期モータ、インダクションモータを含む非同期モータなどが使用されるが、モータの種類はどのようなものであってもよい。また、モータの回転時における複数の永久磁石52の中心とロータの中心は一致している。
【符号の説明】
【0026】
1 遠心式血液ポンプ
2 ハウジング
3 インペラ
25 棒状突出部
34 突出部収納部
36 開口部
48 突出部収納部
28,39 ピボット軸受機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、前記ハウジングの外部より前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段による前記インペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプであって、
前記ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、前記ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、
前記インペラは、前記インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、前記インペラの中央部の下部に設けられ、前記棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、
前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、
前記ハウジングおよび前記インペラは、前記突出部収納部が前記棒状突出部を収納した状態にて、前記インペラの回転を可能とし、かつ、前記インペラの中央部付近の上面の前記ハウジング内面への接触を防止するものであることを特徴とする遠心式血液ポンプ。
【請求項2】
前記棒状突出部は、先端側部分に設けられた大径部を有し、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部の前記大径部を収納する大径部収納部と、前記大径部の外径より小さい内径を有する小径部とを備えている請求項1に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項3】
前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた環状突出部により形成されている請求項2に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項4】
前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた複数のリブにより形成されている請求項2に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項5】
前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた環状リブにより形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項6】
前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた複数のリブにより形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項7】
前記棒状突出部は、先端方向に向かって拡径するテーパー部を備え、該テーパー部により、前記大径部が形成されている請求項2ないし6のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項8】
前記突出部収納部は、前記インペラの下面から上面に到達する連通路となっている請求項1ないし7のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項9】
前記棒状突出部は、前記血液流入ポート方向に突出している請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記血液流入ポートの中心軸の延長線上に、前記ハウジングの前記棒状突出部が位置するものとなっている請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の遠心式血液ポンプと、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生手段とからなることを特徴とする遠心式血液ポンプ装置。
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に収納されたインペラとを備え、かつ、前記ハウジングの外部より前記インペラを吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生手段による前記インペラの回転によって血液を送液する遠心式血液ポンプであって、
前記ハウジングは、中央部上方に延びる血液流入ポートと、前記ハウジングの側部に設けられた血液流出ポートと、内面底部より上方に延びる棒状突出部とを備え、
前記インペラは、前記インペラ回転トルク発生手段との磁気的結合のための磁性体と、前記インペラの中央部の下部に設けられ、前記棒状突出部を収納する突出部収納部とを備え、
前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部を離脱不能に収納するとともに、
前記ハウジングおよび前記インペラは、前記突出部収納部が前記棒状突出部を収納した状態にて、前記インペラの回転を可能とし、かつ、前記インペラの中央部付近の上面の前記ハウジング内面への接触を防止するものであることを特徴とする遠心式血液ポンプ。
【請求項2】
前記棒状突出部は、先端側部分に設けられた大径部を有し、前記インペラの前記突出部収納部は、前記棒状突出部の前記大径部を収納する大径部収納部と、前記大径部の外径より小さい内径を有する小径部とを備えている請求項1に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項3】
前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた環状突出部により形成されている請求項2に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項4】
前記棒状突出部の前記大径部は、前記棒状突出部の側部に設けられた複数のリブにより形成されている請求項2に記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項5】
前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた環状リブにより形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項6】
前記突出部収納部の前記小径部は、前記突出部収納部の内面に設けられた複数のリブにより形成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項7】
前記棒状突出部は、先端方向に向かって拡径するテーパー部を備え、該テーパー部により、前記大径部が形成されている請求項2ないし6のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項8】
前記突出部収納部は、前記インペラの下面から上面に到達する連通路となっている請求項1ないし7のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項9】
前記棒状突出部は、前記血液流入ポート方向に突出している請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記血液流入ポートの中心軸の延長線上に、前記ハウジングの前記棒状突出部が位置するものとなっている請求項1ないし8のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の遠心式血液ポンプと、前記インペラの前記磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生手段とからなることを特徴とする遠心式血液ポンプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−161525(P2012−161525A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25263(P2011−25263)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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