説明

遠隔操作装置

【課題】誤操作及び誤入力を抑制し、操作感覚に優れた遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】実施の形態に係る遠隔操作装置2は、2次元操作及びプッシュ操作可能な操作ノブ220と、操作ノブ220に力を付与するZ軸モータ226と、表示部300上のカーソル301が表示部300に表示されたプッシュ操作が許容される領域外に位置し、さらに、プッシュ操作が操作ノブ220になされるとき、プッシュ操作とは逆向きの力を操作ノブ220に付与するようにZ軸モータ226を制御する制御ECU200と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、操作部と、操作部の操作状態を検出する位置センサと、操作部に外力を付与するアクチュエータと、位置センサより出力される位置信号に基づいたアクチュエータ駆動信号を出力してアクチュエータの駆動を制御する制御部とを備えた力覚付与型入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この力覚付与型入力装置は、制御部が、位置信号より操作部の現在位置及び現在速度を算出し、算出された現在位置に算出された現在速度を係数倍して加算したものに弾性係数を乗算してアクチュエータ駆動信号の算出された現在位置に応じた成分を算出するので、操作部の操作に対して、操作部の力覚の付与がタイミング良く行われ、力覚の制御が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−252734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の力覚付与型入力装置は、プッシュ操作には対応しておらず、プッシュ操作が行える領域なのか否かを操作部の操作感覚からは判断できなかった。
【0006】
本発明の目的は、誤操作及び誤入力を抑制し、操作感覚に優れた遠隔操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、2次元操作及びプッシュ操作可能な操作部と、前記操作部に力を付与する駆動部と、表示画面上のカーソルが前記表示画面に表示されたプッシュ操作が許容される領域外に位置し、さらに、前記プッシュ操作が前記操作部になされるとき、前記プッシュ操作とは逆向きの力を前記操作部に付与するように前記駆動部を制御する制御部と、を備えた遠隔操作装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤操作及び誤入力を抑制し、操作感覚に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、第1の実施の形態に係る遠隔操作装置が搭載された車両内部の概略図であり、(b)は、遠隔操作装置の機械的な構成の概要を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係る遠隔操作装置のブロック図である。
【図3】図3(a)は、第1の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、表示部の長手方向の一点鎖線上の力覚パターンを示す図であり、(c)は、表示部の短手方向の二点鎖線の線上の力覚パターンを示す図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態に係るフローチャートである。
【図5】図5(a)は、第2の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、停車中の表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合の力覚パターンを示す図であり、(c)は、走行中の表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合の力覚パターンを示す図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態に係るフローチャートである。
【図7】図7(a)は、第3の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合のZ方向の力覚パターンを示す図であり、(c)は、プッシュ操作がなされた場合のXY方向の力覚パターンを示す図であり、(d)は、プッシュ操作がなされていない場合のXY方向の力覚パターンを示す図である。
【図8】図8は、第3の実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る遠隔操作装置は、2次元操作及びプッシュ操作可能な操作部と、操作部に力を付与する駆動部と、表示画面上のカーソルが表示画面に表示されたプッシュ操作が許容される領域外に位置し、さらに、プッシュ操作が操作部になされるとき、プッシュ操作とは逆向きの力を操作部に付与するように駆動部を制御する制御部と、を備える。
[第1の実施の形態]
図1(a)は、第1の実施の形態に係る遠隔操作装置が搭載された車両内部の概略図であり、(b)は、遠隔操作装置の機械的な構成の概要を示す斜視図である。図2は、第1の実施の形態に係る遠隔操作装置のブロック図である。図1(b)に示すXYZ座標は、直交座標であるものとする。
【0011】
車両1は、図1(a)に示すように、運転者が着座する運転席12の運転者から見て左側に、シフト装置等が設置されたセンターコンソール13が配置され、このセンターコンソール13の上面に遠隔操作装置2が設置されている。また、センターコンソール13の運転者から見て前方には、計器類が設置されたインスツルメントパネル10が配置されている。遠隔操作装置2は、運転者の前方のインスツルメントパネル10近傍にステアリング11が配置されている。
【0012】
このインスツルメントパネル10は、運転席12に着座した運転者から視認可能な位置に、液晶モニター等の表示部300が配置されている。この表示部300は、例えば、遠隔操作装置2によって操作可能な被制御装置の表示部である。
【0013】
この被制御装置は、図2に示すように、一例として、カーナビゲーション装置401、空調装置402及びオーディオ装置403等である。カーナビゲーション装置401の場合、表示部300には、例えば、現在位置周辺の地図、各種設定が可能なメニュー画面等が表示される。空調装置402の場合、表示部300には、例えば、温度等を設定するためのメニュー画面等が表示される。被制御装置がオーディオ装置403の場合、表示部300には、例えば、再生可能な音楽ファイル名及び音量等を設定可能なメニュー画面等が表示される。
【0014】
また、表示部300には、例えば、メニュー画面に表示されたアイコン等を選択するためのカーソルが表示される。遠隔操作装置2は、例えば、操作部としての操作ノブ220の2次元操作に応じてこのカーソルを移動させ、プッシュ操作によってアイコンの選択等を行わせる。なお、カーソルによる選択とは、アイコン上にカーソルを重ねただけでなく、操作ノブ220のプッシュ操作による決定動作が含まれるものとする。
【0015】
(遠隔操作装置2の概要)
遠隔操作装置2は、図1(b)に示すように、ベース210及びベース210を覆うカバー211と、操作者が操作できるようにこのカバー211から突出して取付けられた操作ノブ220が設けられている。この操作ノブ220は、ベース210に取付けられたXY軸受224に支持されたノブシャフト225に取付けられている。
【0016】
X方向には、ノブシャフト225と接触し、Y方向には、ノブシャフト225と接触しながらX方向へスライド移動可能なXキャリッジ240と、Xキャリッジ240と直交し、Y方向には、ノブシャフト225と接触し、X方向には、ノブシャフト225と接触しながらY方向へスライド移動可能なYキャリッジ245により、スライド操作機構が構成されている。操作ノブ220のXY操作により、ノブシャフト225は、このスライド操作機構をX方向及びY方向に移動する。
【0017】
一方、Xキャリッジ240、Yキャリッジ245は、それぞれの両端がX軸スライドガイド280とY軸スライドガイド285にそれぞれ支持されている。それぞれの一端側には、X軸ラックギア230及びY軸ラックギア235が取付けられており、このX軸ラックギア230及びY軸ラックギア235は、ベース210側に装着されたX軸モータ250の出力軸に設けられたX軸モータギア260及びY軸モータ255の出力軸に設けられたY軸モータギア265と噛み合うことで、X軸モータ250及びY軸モータ255の駆動力をX軸ラックギア230及びY軸ラックギア235に伝達させてXキャリッジ240及びYキャリッジ245を駆動する。遠隔操作装置2は、後述する制御部としての制御ECU(Electric Control Unit)200の制御により、力覚パターンに基づいたXY操作(2次元操作)方向の反力を操作ノブ220に付与する。
【0018】
X軸エンコーダ270とY軸エンコーダ275は、操作ノブ220のXY操作によるX方向移動信号及びY方向移動信号を制御ECU200に出力する。
【0019】
ノブシャフト225の端部には、入力スイッチ290が配置されている。この入力スイッチ290は、操作ノブ220になされたプッシュ操作を検出するように構成されている。また、入力スイッチ290は、プッシュ操作を検出するまでのストロークが設定されており、後述する位置センサ229は、入力スイッチ290がプッシュ操作を検出する前にプッシュ操作がなされたことを示すZ方向移動信号を出力するものとする。
【0020】
さらに、ノブシャフト225の側面には、Z軸ラックギア228が設けられている。Z軸ラックギア228は、駆動部としてのZ軸モータ226の出力軸に設けられたZ軸モータギア227と噛み合うことで、Z軸モータ226の駆動力をZ軸ラックギア228に伝達させてノブシャフト225を駆動する。遠隔操作装置2は、制御ECU200の制御により、力覚パターンに基づいたプッシュ操作方向(Z操作方向)とは逆向きの力を操作ノブ220に付与する。以下では、このプッシュ操作方向とは逆向きの力を反力と呼ぶものとする。
【0021】
位置センサ229は、操作ノブ220のプッシュ操作によるZ方向移動信号を制御ECU200に出力する。
【0022】
遠隔操作装置2は、スライド操作機構及びノブシャフト225を介してX軸モータ250、Y軸モータ255の駆動力を操作ノブ220に作用させて反力を生成する。また、遠隔操作装置2は、Z軸モータ226の駆動力を操作ノブ220に作用させて反力を生成する。すなわち、遠隔操作装置2は、操作ノブ220に力覚制御を行い、操作者が操作ノブ220を操作する際に適度な操作感覚を付与する。なお、スライド操作機構は、図1(b)に示すスライド操作可能な機構に限定されず、ジョイステックのような傾倒操作可能な機構等であっても良い。
【0023】
制御ECU200は、主に、判断処理を行なうマイコン(CPU:Central Processing Unit)、処理演算プログラム、メニュー画面の位置データ、力覚付与のための力覚パターン等を記憶しておく記憶部、演算処理の作業領域としてのRAM(Random Access Memory)等から構成される。また、制御ECU200は、X軸モータ250、Y軸モータ255及びZ軸モータ226の駆動の制御、X軸モータ250、Y軸モータ255及びZ軸モータ226を用いた反力の制御を行うように構成されている。
【0024】
この制御ECU200は、車両通信バス400を介して表示部300に接続され、メニュー画面の位置データに基づいて表示部300に画像表示を行なうと共に、操作ノブ220のXY操作によるカーソルを表示部300に表示する。
【0025】
また、制御ECU200は、CAN(Controller Area Network)通信等の車載LAN(Local Area Network)の車両通信バス400を介して被制御装置、例えば、カーナビゲーション装置401、空調装置402、オーディオ装置403等と接続されている。これにより、操作者は、例えば、表示部300に表示されたメニュー画面に対する遠隔操作装置2の操作に基づいて、車両通信バス400を介してカーナビゲーション装置401、空調装置402、オーディオ装置403等が遠隔制御される。また、車両通信バス400には、車速センサ404が接続されている。この車速センサ404は、例えば、車両1の速度を示す車速信号を出力するように構成されている。
【0026】
(力覚パターン200aについて)
図3(a)は、第1の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、表示部の長手方向の一点鎖線上の力覚パターンを示す図であり、(c)は、表示部の短手方向の二点鎖線の線上の力覚パターンを示す図である。図3(b)は、縦軸が反力F、横軸が長手方向のカーソル位置であり、(c)は、横軸が反力F、横軸が短手方向のカーソル位置となっている。
【0027】
力覚パターン200aは、表示部300の表示領域をプッシュ操作が許容される領域と、許容されない領域とに分け、許容される領域は反力を付与せず、許容されない領域にはプッシュ操作の反力を操作ノブ220に付与するためのパターンである。この力覚パターン200aは、例えば、表示部300に表示されるメニュー画面ごとに、遠隔操作装置2が、被制御装置から取得して記憶部に記憶されても良いし、記憶部に記憶されていても良い。
【0028】
制御ECU200は、力覚パターンに応じた操作ノブ220に付与する反力を生成するためにX軸モータ250、Y軸モータ255及びZ軸モータ226を制御する。なお、力覚パターン200aは、Z軸モータ226を駆動するためのものであり、X軸モータ250及びY軸モータ255を駆動するための力覚パターンは別に設定されるものとする。
【0029】
図3(a)に示すアイコン303、アイコン304及びアイコン305の選択は、例えば、カーソル301が重ね合わせられ、さらに、操作ノブ220にプッシュ操作が行われることにより行われる。つまり、アイコン303、アイコン304及びアイコン305は、例えば、プッシュ操作が許容される領域であり、それ以外の領域は、プッシュ操作が許容されない領域(反力領域302)である。
【0030】
アイコン303は、図3(a)の紙面に対して表示部300の左側に表示され、表示部300の長手方向のカーソル位置は、左端のカーソル位置がd、右端のカーソル位置がdである。
【0031】
アイコン304は、図3(a)の紙面に対して表示部300の中央に表示され、表示部300の長手方向のカーソル位置は、左端のカーソル位置がd、右端のカーソル位置がdである。
【0032】
アイコン305は、図3(a)の紙面に対して表示部300の右側に表示され、表示部300の長手方向のカーソル位置は、左端のカーソル位置がd、右端のカーソル位置がdである。
【0033】
また、上記のアイコン303、アイコン304及びアイコン305は、例えば、同じ形状を有し、表示部300の長手方向の一点鎖線に沿って整列しているので、図3(c)に示す短手方向の各アイコンのカーソル位置は、図3(c)の紙面の下側のカーソル位置がD、上側のカーソル位置がDである。なお、アイコン303、アイコン304及びアイコン305の形状及び配置等は、これに限定されず、自由に設定可能である。
【0034】
以下に、本実施の形態に係る遠隔操作装置2の動作について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0035】
(動作)
図4は、第1の実施の形態に係るフローチャートである。なお、以下の各実施の形態において、簡単のため、カーソル301は、表示部300に示す一点鎖線及び二点鎖線上に沿って移動するものとするが、一点鎖線及び二点鎖線以外の領域を移動するカーソル301についても、力覚パターン200aに基づいて反力が操作ノブ220に付与される。まず、カーソル301の移動について説明する。
【0036】
遠隔操作装置2の制御ECU200は、例えば、カーソル301が表示部300に表示された後、操作ノブ220の操作位置をX軸エンコーダ270、Y軸エンコーダ275及び位置センサ229から出力されたX方向移動信号、Y方向移動信号及びZ方向移動信号に基づいて算出し、カーソル301のカーソル位置に換算する。制御ECU200は、例えば、上記の処理を所定の時間の周期(例えば1ms)ごとに繰り返し実行する。
【0037】
次に、制御ECU200は、ステップ1のYesが成立する(S1:Yes)、すなわち、プッシュ操作がなされると、カーソル301のカーソル位置を確認する。
【0038】
次に、制御ECU200は、カーソル301のカーソル位置が、アイコン303、アイコン304及びアイコン305のいずれかの領域にあるとき(S2:Yes)、力覚パターン200aに基づいて反力を操作ノブ220に付与せず、入力スイッチ290が押し下げされた後、プッシュ操作に基づく制御信号を車両通信バス400に出力する(S3)。車両通信バス400を介して制御信号を受信した被制御装置は、制御信号に基づいて動作を行う。
【0039】
ここで、ステップ2において、カーソル301のカーソル位置が反力領域302にあるとき(S2:No)、制御ECU200は、Z軸モータ226を制御して操作ノブ220にプッシュ操作と逆向きの反力Fを付与する(S4)。この反力Fは、操作者の操作方向とは逆向きの反力を操作者に付与するので、操作者は、プッシュ操作可能な領域外で操作したことを、操作ノブ220の感触から判断する。
【0040】
(第1の実施の形態の効果)
上記の第1の実施の形態に係る遠隔操作装置2によれば、プッシュ操作が許容される領域外にカーソル301が位置するとき、操作ノブ220にプッシュ操作方向とは逆方向の反力を付与するので、反力を付与しない場合と比べて、操作者は、プッシュ操作可能な領域外で操作したことを、操作ノブ220の感触から判断することができる。
【0041】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、車両1が走行中であるか、停車中であるかに基づいて力覚パターンを切り替える点で第1の実施の形態と異なっている。なお、以下の各実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分については、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。遠隔操作装置2の構成は、第1の実施の形態と同じであるので、第2の実施の形態の動作を説明する。なお、以下の各実施の形態において、アイコン303、アイコン304及びアイコン305の形状及び配置は、第1の実施の形態と同じであるものとする。
【0042】
図5(a)は、第2の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、停車中の表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合の力覚パターンを示す図であり、(c)は、走行中の表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合の力覚パターンを示す図である。図5(b)及び(c)は、縦軸が反力F、横軸が長手方向のカーソル位置である。
【0043】
図5(b)に示す力覚パターン200aは、車両1が停車中である場合に用いられる力覚パターンであり、第1の実施の形態の力覚パターンと同一である。
【0044】
図5(c)に示す力覚パターン200bは、車両1が走行中である場合に用いられる力覚パターンである。この力覚パターン200bは、図5(b)示すように、プッシュ操作が許容される領域においても反力Fを操作ノブ220に付与するように構成されている。この反力Fは、プッシュ操作が許容されない反力領域302における反力Fよりも小さい反力となる。
【0045】
以下に、本実施の形態に係る遠隔操作装置2の動作について説明する。
【0046】
(動作)
図6は、第2の実施の形態に係るフローチャートである。制御ECU200は、ステップ10のYesが成立する(S10:Yes)、すなわち、プッシュ操作がなされると、カーソル301のカーソル位置を確認する。
【0047】
次に、制御ECU200は、カーソル301のカーソル位置が反力領域302にあるとき(S11:No)、力覚パターン200aに基づいて操作ノブ220にプッシュ操作と逆向きの反力Fを付与する(S12)。なお、車両1の走行中又は停止中において、反力領域302におけるプッシュ操作に対する反力の付与は、力覚パターン200a及び力覚パターン200bのそれぞれで同一の反力Fとしているので、本実施の形態では、走行中又は停止中に関わらず力覚パターン200aを用いるものとする。なお、走行中の操作が好ましくない被制御装置等に対する操作がなされたことを警告する場合等において、走行中と停車中とで、反力領域302の反力が異なるものとしても良い。
【0048】
ここで、ステップ11において、制御ECU200は、カーソル301のカーソル位置が、アイコン303、アイコン304及びアイコン305のいずれかの領域にあるとき(S11:Yes)、さらに、車両通信バス400を介して車速センサ404から取得した車速信号に基づいて車両1が走行中か否かを確認する。
【0049】
制御ECU200は、車両1が走行中であるとき(S13:Yes)、力覚パターン200bに切り替えてZ軸モータ226を制御し、反力Fを操作ノブ220に付与する(S14)。制御ECU200は、入力スイッチ290が押し下げされた後、プッシュ操作に基づく制御信号を車両通信バス400に出力する(S15)。車両通信バス400を介して制御信号を受信した被制御装置は、制御信号に基づいて動作を行う。
【0050】
(第2の実施の形態の効果)
上記の第2の実施の形態に係る遠隔操作装置2によれば、車両1の走行中にプッシュ操作がなされたとき、操作ノブ220にプッシュ操作方向とは逆方向の反力を付与するので、反力を付与しない場合と比べて、操作者は、走行中の操作が好ましくない被制御装置を操作していることを、操作ノブ220の感触から判断することができる。
【0051】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、XY方向の反力を生成する点で上記の他の実施の形態と異なっている。
【0052】
図7(a)は、第3の実施の形態に係る表示部の概略図であり、(b)は、表示部の長手方向の一点鎖線の線上をカーソルが移動する場合のZ方向の力覚パターンを示す図であり、(c)は、プッシュ操作がなされた場合のXY方向の力覚パターンを示す図であり、(d)は、プッシュ操作がなされていない場合のXY方向の力覚パターンを示す図である。図7(b)〜(d)は、縦軸が反力F、横軸が長手方向のカーソル位置である。また、カーソル位置dとdの中点をd、カーソル位置dとdの中点をdとする。
【0053】
図7(b)に示す力覚パターン200cは、Z方向、すなわち、プッシュ操作方向とは逆向きの方向の反力を操作ノブ220に付与するためのパターンである。この力覚パターン200cは、アイコンに近づくにつれて反力がF(例えば、カーソル位置d又はd)からF(例えば、カーソル位置d又はd)へと連続的に変化し、プッシュ操作が許容される領域では反力がゼロとなる。なお、この力覚パターン200cは、表示部300の短手方向にも同様の力覚パターンを有し、例えば、表示部300の短手方向の上方から最も近いアイコンに近づくにつれて反力が小さくなるように構成されている。
【0054】
図7(c)に示す力覚パターン200dは、プッシュ操作がなされた場合のX軸モータ250及びY軸モータ255を介して付与されるスライド反力のパターンである。この力覚パターン200dは、Z方向の力覚パターン200cと共に制御ECU200により実行される。
【0055】
この力覚パターン200dは、例えば、アイコン303とアイコン304の中点dより図7(a)の紙面の左側にカーソル301が位置するとき、アイコン303にカーソル301が引き込まれるスライド反力Fを操作ノブ220に付与するパターンである。また、力覚パターン200dは、例えば、アイコン303とアイコン304の中点dより図7(a)の紙面の右側にカーソル301が位置するとき、アイコン304にカーソル301が引き込まれるスライド反力−Fを操作ノブ220に付与するパターンである。
【0056】
制御ECU200は、アイコン304とアイコン305の中点dについても同様にカーソル301のカーソル位置により、アイコン304又はアイコン305に向けてスライド反力F又はスライド反力−Fを生成させる。なお、図7(c)及び(d)は、図の左方向のスライド反力を+とし、右方向のスライド反力を?として表示している。また、操作者が意図するXY方向の操作方向とは異なる操作方向の力をスライド反力と呼ぶものとする。
【0057】
図7(d)に示す力覚パターン200eは、プッシュ操作がなされていない場合のスライド反力のパターンである。この力覚パターン200dは、Z方向の力覚パターン200cと共に制御ECU200により実行される。
【0058】
この力覚パターン200eは、例えば、アイコンの領域内にカーソル301が位置するとき、アイコンの中央に向けてスライド反力F又はスライド反力−Fを操作ノブ220に付与するパターンである。
【0059】
以下に、本実施の形態に係る遠隔操作装置2の動作について説明する。
【0060】
(動作)
図8は、第3の実施の形態に係るフローチャートである。制御ECU200は、プッシュ操作がなされたとき(S30:Yes)、カーソル301のカーソル位置を確認する。
【0061】
次に、制御ECU200は、カーソル301のカーソル位置がアイコン上に位置するとき(S31:Yes)、力覚パターン200dに基づいてカーソル301を当該アイコンの中央に向かうスライド反力を操作ノブ220に付与する(S32)。
【0062】
次に、制御ECU200は、入力スイッチ290が押し下げされた後、プッシュ操作に基づく制御信号を車両通信バス400に出力する(S33)。車両通信バス400を介して制御信号を受信した被制御装置は、制御信号に基づいて動作を行う。
【0063】
ここで、ステップ30において、プッシュ操作がなされない期間(S30:No)、制御ECU200は、力覚パターン200eに基づいて、カーソル301がアイコン上にあるときは、当該アイコンの中央に向かうスライド反力を操作ノブ220に付与し、アイコン上に位置しないときは、操作ノブ220にスライド反力を付与しない(S34)。
【0064】
また、ステップ31において、カーソル301のカーソル位置がアイコン上に位置しないとき(S31:No)、プッシュ操作がなされていることから力覚パターン200dに基づいて、カーソル301に最も近いアイコンに向かうスライド反力を操作ノブ220に付与し、さらに、カーソル301が当該アイコン上に移動すると当該アイコンの中央に向かうスライド反力を操作ノブ220に付与する(S35)。
【0065】
(第3の実施の形態の効果)
上記の第3の実施の形態に係る遠隔操作装置2によれば、プッシュ操作がなされたときは、カーソル301をアイコンに導くスライド反力を生成し、かつ、当該アイコンに近づくにつれてプッシュ操作の反力を小さくし、また、プッシュ操作がなされていないときは、カーソル301がアイコン上にある場合のみアイコン中央に向かうスライド反力を生成するので、操作者は、主に、操作ノブ220から伝わる感覚により、カーソル301が当該アイコン上に位置するか否かを容易に判断できる。
【0066】
上記に記載の各実施の形態によれば、プッシュ操作が許容される領域と許容されない領域とにおいて操作ノブ220に異なる反力を付与することで、操作感覚に優れた遠隔操作装置2を実現することができる。また、上記に記載の各実施の形態によれば、誤操作及び誤入力の抑制効果に優れた遠隔操作装置2を実現することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…車両、2…遠隔操作装置、10…インスツルメントパネル、11…ステアリング、12…運転席、13…センターコンソール、200…制御ECU、200a〜200e…力覚パターン、210…ベース、211…カバー、220…操作ノブ、224…XY軸受、225…ノブシャフト、226…Z軸モータ、227…Z軸モータギア、228…Z軸ラックギア、229…位置センサ、230…X軸ラックギア、235…X軸ラックギア、240…Xキャリッジ、245…Yキャリッジ、250…X軸モータ、255…Y軸モータ、260…X軸モータギア、265…Y軸モータギア、270…X軸エンコーダ、275…Y軸エンコーダ、280…X軸スライドガイド、285…Y軸スライドガイド、290…入力スイッチ、300…表示部、301…カーソル、302…反力領域、303〜305…アイコン、400…車両通信バス、401…カーナビゲーション装置、402…空調装置、403…オーディオ装置、404…車速センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元操作及びプッシュ操作可能な操作部と、
前記操作部に力を付与する駆動部と、
表示画面上のカーソルが前記表示画面に表示されたプッシュ操作が許容される領域外に位置し、さらに、前記プッシュ操作が前記操作部になされるとき、前記プッシュ操作とは逆向きの力を前記操作部に付与するように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた遠隔操作装置。
【請求項2】
前記制御部は、遠隔操作装置が搭載された車両が走行中に、前記プッシュ操作が許容される領域においてプッシュ操作がなされるとき、前記プッシュ操作とは逆向きの力よりも小さい力を前記操作部に付与する請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部にプッシュ操作がなされたとき、前記プッシュ操作が許容される領域外から前記プッシュ操作が許容される領域に前記カーソルが移動するような2次元操作方向の力を前記操作部に付与し、前記プッシュ操作がなされないとき、前記プッシュ操作が許容される領域内において前記プッシュ操作が許容される領域の中央に前記カーソルが移動するような2次元操作方向の力を前記操作部に付与する請求項1に記載の遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−63831(P2012−63831A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205439(P2010−205439)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】