説明

遠隔USB装置と自動接続する処理システム及びその方法

【課題】ユーザコンピュータが、ネットワークシステム及びUSB装置が接続されたUSBサーバを介してUSB装置との接続確立又は切断を行うようにするための、遠隔USB装置と自動接続する処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】ユーザコンピュータがネットワークシステムを介してUSBサーバよりユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索する工程と、ユーザコンピュータからの要求メッセージを検知した場合、USBサーバが、ユーザコンピュータとUSB装置との接続確立を行うとともに、USB装置がユーザコンピュータからの要求メッセージに基づいて対応するサービスを実行する工程と、最後に、USB装置がユーザコンピュータからの全ての要求メッセージに基づいて対応するサービスの実行が完了したしたことを検知した後、USBサーバがユーザコンピュータとUSB装置との接続を切断する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔USB装置と自動接続する処理システム、及びその方法に関し、より詳しくは、USB over IP技術を利用して、ユーザコンピュータとUSB装置との接続確立及び切断を行う遠隔USB装置と自動接続する処理システム、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、コンピュータ周辺機器の種類が増加している。各機器間における共通の通信チャネル及び好ましい伝送スピードを維持するために、USB技術によって接続が行われるコンピュータ周辺機器がますます普及してきている。例えば、プリンター、ファックス機器又は事務機器等のUSB装置は、コンピュータが利用できるように、いずれもUSBを介してコンピュータと接続される。しかも、ネットワーク技術の発展及びUSB装置共用への需要に伴い、USB over IPという技術が開発されるに至った。
【0003】
USB over IP技術は、主に複数のコンピュータをネットワーク及び中継サーバにより相互に繋ぎ、該中継サーバをUSBポート及びUSB装置により繋いで、それらのコンピュータのいずれかがこのUSB装置を使用する際に限って接続が行われるようにする技術である。言い換えれば、コンピュータとUSB装置との間は、ネットワーク及びケーブルを介して相互に繋がれるが、このUSB装置は、コンピュータが接続を要求した際に限って接続が行われ、接続を要求していないその他のコンピュータは、接続によるサービスを得ることができない。
【0004】
USB over IP技術を利用することで、複数のコンピュータがネットワークを介してUSB装置を共用することを実現できるが、コンピュータとUSB装置との接続方法は、中継サーバを介してUSB装置とUSB接続を行うものであるため、接続を要求したコンピュータが、USB装置との接続を確立したとして、該USB装置から接続サービスが提供された後に接続を解除するのを忘れてしまった場合、その他のコンピュータは、該USB装置との接続を確立できなくなってしまう。
【0005】
具体的には、USB装置を使用しようとするその他のコンピュータは、該USB装置への接続要求の送信を、既に接続されているコンピュータが接続を解除するまで待たなければならない。そのため、ユーザは、遠隔USB装置の接続状態を持続的に観察せざるを得ず、従って、既存のUSB over IP技術による遠隔USB装置への接続には使用上の不便があった。
【0006】
図1に示すように、従来の遠隔USB装置接続システムは、手動接続ツール30のユーザ操作インタフェースを有し、手動接続ツール30は接続(connect)と切断(disconnect)の2つの機能を有している。ただし、これらの機能は、ユーザが手動で遠隔USB装置との接続又は切断をする際にのみ用いられる。
【0007】
さらに、操作インタフェースには単にユーザが選択するための使用可能な装置リストのみが表示されるため、ユーザは接続しようとするUSB装置を自ら選択しなければならない。上述のように、既存の遠隔USB装置接続システムでは、ユーザが接続しようとするUSB装置を手動で設定し、ユーザがUSB装置との接続又は切断を手動で行わなければならないため、ユーザの操作には不便があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、複数のコンピュータへの接続サービスを可能にすると同時に、それらのコンピュータのいずれかがUSB装置との接続関係を確立させてから、該USB装置から接続サービスが提供された後も依然として接続を占有し続ける問題を回避することができるUSB装置を提供することは、現在解決すべき極めて重要な課題となっている。
【0009】
上記の従来技術の欠点に鑑みて、本発明は、遠隔USB装置の使用上の利便性を向上させるために、いずれか一台のコンピュータがUSB装置との接続関係を確立させてから、かつ該USB装置から接続サービスが提供された後も依然として接続を占有し続ける問題を回避することができる、遠隔USB装置と自動接続する処理システム及びその方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、以上の課題を解決するために、本発明は、ユーザコンピュータに内蔵され、ユーザコンピュータの待ち行列領域に蓄積されかつ伝送されていない要求メッセージを検知し、ユーザコンピュータがUSBサーバを介してUSB装置との接続確立又は切断を行うようにする、遠隔USB装置と自動接続する処理システムであって、USBサーバを介してUSB装置の装置情報を取得し、かつユーザコンピュータ内における駆動情報と照合することにより、それに対応したものをユーザコンピュータが利用できるUSB装置として検索するための対応ユニットと、待ち行列領域に要求メッセージが蓄積された状況を検知するための検知ユニットと、ユーザコンピュータからの要求メッセージに基づいて接続確立要求を生成し、検知ユニットによって検知された状況が待ち行列領域に蓄積された要求メッセージが消去されている状況であることに基づいて切断要求を生成するための制御ユニットと、制御ユニットによって生成された接続確立要求又は切断要求をUSBサーバに伝送することで、USBサーバによって接続確立要求に基づいてユーザコンピュータが検知ユニットによって検索された対応するUSB装置との接続を確立し、若しくは切断要求に基づいてユーザコンピュータとUSB装置との接続を切断するための伝送ユニットと、を備えることを特徴とする遠隔USB装置と自動接続する処理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、ユーザコンピュータがネットワークシステム、及びUSB装置が接続されたUSBサーバを介してUSB装置との接続確立又は切断を行うための、遠隔USB装置と自動接続する処理方法であって、(1)ユーザコンピュータがネットワークシステムを介してUSBサーバよりユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索する工程と、(2)ユーザコンピュータからの要求メッセージを検知した場合、ユーザコンピュータが、要求メッセージに基づいてUSBサーバを介してUSB装置の接続状態を検知し、接続状態の検知結果がアイドル状態であれば、USBサーバが、ユーザコンピュータとUSB装置との接続確立を行うとともに、工程(3)に進み、接続状態の検知結果が使用中状態であれば、引き続きUSB装置の接続状態を検知し、接続状態の検知結果がアイドル状態になってから、工程(3)に進む工程と、(3)USB装置がユーザコンピュータからの要求メッセージに基づいて対応するサービスを実行する工程と、(4)USB装置がユーザコンピュータからの全ての要求メッセージに基づいて対応するサービスの実行が完了したことを検知した後、USBサーバがユーザコンピュータとUSB装置との接続を切断する工程と、を備えることを特徴とする遠隔USB装置と自動接続する処理方法を提供する。
【0012】
一つの実施例として、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理方法では、工程(1)において、ユーザコンピュータは、USBサーバ内に蓄積されたそれと接続するUSB装置の装置情報に基づいて、ネットワークシステムを介してUSBサーバからユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索し、装置情報をユーザコンピュータ内に蓄積された駆動情報と照合し、その結果両者が対応関係にある場合、ユーザコンピュータが利用できるUSB装置とみなす。
【発明の効果】
【0013】
従来の技術と比較して、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム及びその方法によれば、従来の技術においてUSB over IP技術を利用する際にはユーザが接続確立又は切断を自ら行わなければならないという問題を解決することができるとともに、USB装置が使用されていないにもかかわらず、接続が占有され、接続スタンバイ状態となる問題や、使用可能な対応USB装置等を自ら検索しなければならないという問題を回避することができるため、ユーザによる接続サービスへの要求プロセスがより簡便になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の遠隔USB装置接続システムにおける手動接続ツールを有するユーザ操作インタフェースを示す図である。
【図2】コンピュータ側のユーザが本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システムを適用してUSB装置と接続を行うことを説明するためのシステム構成図である。
【図3】本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システムの基本構成ブロック図である。
【図4】本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理方法の工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的な実施例を用いて本発明の実施形態を説明する。この技術分野に精通した者は、本明細書の記載内容によって簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。本発明は、その他の異なる実施例によって応用を加えることが可能であり、本明細書の記載内容も、異なる観点や応用に基づき、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な修正や変更が可能である。そうした修正や変更は、本発明の特許請求の範囲に入るものである。
【0016】
図2は、コンピュータ側のユーザが、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システムを用いて、USB装置との接続を行うことを示すシステム構成図である。図2に示すように、ユーザコンピュータ1と遠隔のUSB装置2との接続は、USBポートによる物理的な接続ではなく、USB over IP技術による接続である。USB装置2とUSBサーバ3との接続は、USBポートによる物理的な接続である。USBサーバ3は、ユーザコンピュータ1とUSB装置2との間のコマンド又はデータの伝送媒介として用いられる。ユーザコンピュータ1とUSBサーバ3とは、ネットワーク4、例えばローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)を介して接続が行われる。ネットワーク4は、無線ネットワークであってもよいし、有線ネットワークであってもよい。従って、USBサーバ3は、ネットワーク4と通信するためのネットワークプロトコルと、USB装置と接続するためのUSBポートと、本発明に係る処理システム14と通信するためのファームウェア(firmware)とを有し、IP USB Hub、USBポートを有するIP共用器又はUSBポートを有するルータ(router)等のネットワーク機器によりUSBサーバ3を構成することができる。このように、USBサーバ3を介することで複数のユーザコンピュータ1が、遠隔のUSB装置2を共用することができる。
【0017】
本発明に係る具体的な実施例において、ユーザコンピュータ1には、USB装置駆動プログラム11と、USB over IP駆動プログラム12と、オペレーティングシステム(operating system)13と、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム14とがインストールされている。ユーザコンピュータ1がスタートアップした場合、遠隔USB装置と自動接続する処理システム14は、オペレーティングシステム13に常駐し、オペレーティングシステム13によって制御された要求メッセージを随時検知し、該要求メッセージに基づいてUSB装置駆動プログラム11及びUSB over IP駆動プログラム12を適時駆動させる。
【0018】
具体的には、ユーザコンピュータ1が遠隔のUSB装置2を使用しようとする場合、遠隔USB装置と自動接続する処理システム14は、オペレーティングシステム13からの要求メッセージを検知し、USB over IP駆動プログラム12を介して接続メッセージを伝送し、これにより、ユーザコンピュータ1とUSB装置2との接続確立を行う。この場合、遠隔USB装置と自動接続する処理システム14は、検知された要求メッセージにより、オペレーティングシステム13にUSB装置駆動プログラム11を制御させて該要求メッセージに対応するコマンド又はデータを生成させ、次に、該コマンド又はデータがUSB over IP駆動プログラム12によって分析された後、ネットワーク4を介してUSBサーバ3に伝送され、最後に、USBサーバ3によって受信された後、遠隔のUSB装置2に伝送されることで、要求メッセージの内容が実行される。
【0019】
図2に示すように、ユーザコンピュータ1内における遠隔USB装置と自動接続する処理システム14、オペレーティングシステム13、USB装置駆動プログラム11、USB over IP駆動プログラム12との間で伝送されるメッセージコマンドは、ユーザがUSB装置2に対して実行しようとするコマンド、例えばプリント、ファックス等であり、遠隔USB装置と自動接続する処理システム14とUSB over IP駆動プログラム12との間で伝送されるメッセージコマンドは、USB装置2との接続確立又は切断のコマンドである。
【0020】
一方、遠隔USB装置と自動接続する処理システム14は、USB装置2からユーザコンピュータ1に返送されたコマンドメッセージを随時検知し、USB over IP駆動プログラム12によって分析した後、USB装置駆動プログラム11に伝送する。これにより、USB装置2が該要求メッセージのサービスを完了したことを検知した後、ユーザコンピュータ1とUSB装置2との接続を自動的に切断する。従って、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システムがUSB over IP技術を利用することによって、ユーザは、オペレーティングシステム13からの要求メッセージのみにより、ローカルのユーザコンピュータ1と遠隔のUSB装置2との自動的な接続確立又は切断が可能であるため、操作が極めて簡易である。
【0021】
図3は、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システムの基本構成ブロック図である。図3に示すように、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム21は、ユーザコンピュータ20がUSBサーバ23を介して遠隔のUSB装置22に対する接続を行えるようにするものである。遠隔USB装置と自動接続する処理システム21は、対応ユニット211と、検知ユニット212と、制御ユニット213と、伝送ユニット214とを備える。遠隔USB装置と自動接続する処理システム21は、主にユーザコンピュータ20と遠隔のUSB装置22との間の接続制御を行うことにより、使用時における自動接続の確立、非使用時における自動切断の機能を達成する。
【0022】
ここで、オペレーティングシステム26、USB装置駆動プログラム25、及びUSB over IP駆動プログラム27は、従来のコンピュータ周辺機器制御処理技術であるため、その機能や内部の構成についての詳細な説明を省略する。図面及び説明の簡略化のために、ここでは、システム構成について本発明に関するシステム部材のみを説明する。
【0023】
対応ユニット211は、USBサーバ23を介して遠隔のUSB装置22の装置情報を取得し、ユーザコンピュータ20のUSB装置駆動プログラム25の駆動情報と照合することにより、ユーザコンピュータ20が利用できる遠隔USB装置22を検索する。さらに詳しくは、対応ユニット211は、ユーザコンピュータ20が利用できるUSB装置22を検索するのを支援し、遠隔のUSB装置22(即ち物理的な装置)をユーザコンピュータ20内に蓄積された装置駆動情報に対応させることにより、使用可能な装置を検索し、自動接続の機能を行う。
【0024】
ここでは、USBサーバ23を介して遠隔のUSB装置22のベンダーID(vendor ID)、プロダクトID(product ID)、及びシリアル番号(serial number)等の装置情報を取得する。USBサーバ23とUSB装置22との間はUSBインターフェースを介して接続されているため、USB規格により装置情報を取得し、最後に、ユーザコンピュータ20内における装置駆動情報、例えばユーザコンピュータ20のオペレーティングシステム26内に蓄積されたレジストリ(Registry)と比較することにより、遠隔のUSB装置22による接続又はサービスが実行可能であるかを確認することができる。
【0025】
検知ユニット212は、ユーザコンピュータ20からの要求メッセージを検知する。対応ユニット211がユーザコンピュータ20によって使用可能なUSB装置22の設定作業を完了した後、検知ユニット212は、ユーザコンピュータ20を検知し続け、ユーザコンピュータ20から要求メッセージが出されているかどうかを確認する。言い換えれば、オペレーティングシステム26における、該要求メッセージを受信するための待ち行列領域24に該要求メッセージが蓄積されているかどうかをモニターし始めることで、遠隔のUSB装置22への接続が必要であるかを確認し、該要求メッセージに基づいて対応するサービスを提供する。
【0026】
また、検知ユニット212が待ち行列領域24に要求メッセージが蓄積されたことを検知した場合、同時にUSBサーバ23を介してUSB装置22の状態を取得する。USBサーバ23によって、USB装置22とユーザコンピュータのいずれかとの接続が制御されるため、USBサーバ23を介してUSB装置22の接続状態を確認することができる。
【0027】
制御ユニット213は、ユーザコンピュータ20からの要求メッセージに基づいて接続確立要求を生成し、該検知ユニット212によって検知された状況が待ち行列領域24に蓄積された要求メッセージが消去されている状況であることに基づいて切断要求を生成する。
【0028】
伝送ユニット214は、制御ユニット213によって生成された接続確立要求及び接続切断要求をUSBサーバ23に伝送することにより、ユーザコンピュータ20がUSB装置22との自動接続確立又は切断を行う。具体的な実施例において、USB装置22がユーザコンピュータ20と接続されていない場合、制御ユニット213は、伝送ユニット214を介して接続しようとする接続確立要求を伝送し、USB over IP駆動プログラム27によって受信された後、USBサーバ23に転送されることにより、USBサーバ23がユーザコンピュータ20とUSB装置22との接続関係を確立する。
【0029】
一方、ローカルのユーザコンピュータ20の制御ユニット213が該接続確立要求を生成したと同時に、遠隔のUSB装置22が他端にあるユーザコンピュータ(図示せず)によって占有された場合、ローカルのユーザコンピュータ20における待ち行列領域24には、他端にあるユーザコンピュータがUSB装置22との接続を切断するまで、該接続確立要求に対応する要求メッセージが蓄積され、USB装置22の使用権がリリースされた後、USBサーバ23は、ローカルのユーザコンピュータ20の制御ユニット213からの接続確立要求に基づいてユーザコンピュータ20とUSB装置22との接続確立を行うことができる。
【0030】
また、USB装置22と接続したローカルのユーザコンピュータ20からの要求メッセージのすべてがUSB装置22によって実行され、且つローカルのユーザコンピュータ20の待ち行列領域24に蓄積された内容が消去されている場合、即ちローカルのユーザコンピュータ20の検知ユニット212が待ち行列領域24に要求メッセージが蓄積されていないことを検知した場合、制御ユニット213は、伝送ユニット214を介して接続を切断する要求を伝送する。こうすることによって、ローカルのユーザコンピュータ20がUSB装置22を使用する必要のない場合には、ローカルユーザコンピュータ20とUSB装置22との接続を自動的に切断させることにより、USB over IP技術の応用においてUSBインタフェースを介した両端機器間のデータ伝送で生じていた接続の占有という問題を回避することができる。
【0031】
具体的な実施例において、USB装置はプリンター又は複合機であり、該要求メッセージはプリント要求であり、これにより自動接続を達成し、プリントの工程を実行することができる。
【0032】
さらに、他の具体的な実施例において、USB装置はファックス機器であってもよく、要求メッセージはファックス要求であり、これにより自動接続を達成し、ファックスの工程を実行することができる。言い換えれば、USBポートを有するファックス機器では、USB over IP技術の応用においてその接続方法は前述したものと同様、要求の有無を検知方法によって取得することにより、ユーザコンピュータとUSBポートを有するファックス機器との自動接続又は自動切断を決定するため、前述した技術内容はファックスの工程に適用することも可能である。
【0033】
また、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム21がインストールされたユーザコンピュータ20とUSB装置22との接続使用状況及び記録を確認するために、USBサーバ23にはモニターシステム(図示せず)がインストールされている。このモニターシステムは、少なくとも一つのユーザ識別アカウント及び上記ユーザ識別アカウントに対応するパスワードを含むユーザ識別モジュールと、使用時間管理モジュールと、使用記録蓄積モジュールとを有し、該ユーザ識別アカウントは、ユーザコンピュータ20がUSBサーバ23に対してユーザコンピュータ20とUSB装置22との接続確立を要求するための権限の識別に用いられる。
【0034】
言い換えれば、ユーザコンピュータ20側のユーザは、USB装置22を使用しようとする場合、ユーザ識別アカウント及び該ユーザ識別アカウントに対応するパスワードを入力しなければ、USB装置22を使用することができない。従って、ユーザコンピュータ20とUSBサーバ23との接続認証のためのアカウントやパスワードを使用することにより、システム使用上の安全性を向上させることができる。ユーザコンピュータ20のUSB装置22とUSBサーバ23とがTCP/IP接続である場合、ユーザコンピュータ20は、ユーザ識別アカウント及びパスワードをUSBサーバ23のユーザ識別モジュールに伝送して照合し、照合の結果、エラーである場合、エラーコードをユーザコンピュータ20に返送し、このTCP/IP接続を直ちに終了させる。
【0035】
使用時間管理モジュールは、ユーザ識別アカウントに対して対応する使用時間所定情報を蓄積するためのものである。この使用時間所定情報は、機器管理者が設定すればよい。この使用時間所定情報は、接続使用を制限又は許可する時間であってよい。例えば、ユーザAに対して接続使用の許可時間を設定した場合、この接続使用許可時間が毎朝午前8時〜午後6時だとすると、ユーザAがUSB装置22との接続を行おうとする際、USBサーバ23の使用時間管理モジュールは、ユーザAによる接続確立要求の時間が該接続使用許可時間と一致しているかどうかを認証し、一致しない場合、USBサーバは、エラーコードをユーザコンピュータ20に返送し、このTCP/IP接続を直ちに終了させる。
【0036】
使用記録蓄積モジュールは、接続確立を要求した、若しくは接続又は切断を確立したユーザ識別アカウントに対して記録を行うためのものである。この記録は、ユーザがUSB装置22を使用する際の確認に用いられ、これにより、ユーザがUSB装置を使用した状況を効果的に把握することができる。
【0037】
図4は、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理方法の工程フロー図である。図4に示すように、工程S401においては、ユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索し、即ち、まずユーザコンピュータ側において使用可能なUSB装置を検索し、それを所定の自動接続対象とすることにより、この後、要求メッセージが生成された場合に自動接続が行われる。前述した検索では、USBサーバに蓄積されたUSB装置情報をユーザコンピュータに蓄積された駆動情報と照合し、その結果両者が一致した場合、ユーザコンピュータが利用できるUSB装置とみなし、且つその使用可能なUSB装置のうちのいずれか一つを所定の自動接続対象とし、次に工程S402に進む。
【0038】
工程S402においては、ユーザコンピュータから要求メッセージが出され、待ち行列領域に蓄積されているかを検知し、ユーザコンピュータから要求メッセージが出されている場合、工程S403に進み、逆にユーザコンピュータから要求メッセージが出されていない場合、工程S402を続ける。
【0039】
工程S403において、ユーザコンピュータは、USBサーバを介して遠隔のUSB装置の接続状態を検知する。この場合には、アイドル状態と、使用中状態とがある。遠隔のUSB装置がアイドル状態であれば、工程S405に進み、遠隔のUSB装置が使用中状態であれば、工程S404に進む。
【0040】
工程S404において、遠隔のUSB装置が使用中状態であるため、要求メッセージを提出したユーザコンピュータは、他端にあるユーザコンピュータが遠隔USB装置との接続状態を解除するのを待ち、工程S403に戻る。
【0041】
工程S405において、遠隔のUSB装置がアイドル状態であるため、要求メッセージを提出したユーザコンピュータは、USB over IP技術によりネットワークシステム及びUSBサーバを介して遠隔のUSB装置と自動接続し、そして工程S406に進む。
【0042】
工程S406において、遠隔のUSB装置は、要求メッセージを提出したユーザコンピュータに基づいて対応するサービスを実行し、そして工程S407に進む。
【0043】
工程S407においては、ユーザコンピュータのローカル側にその他の要求メッセージがあるかどうかを検知し、即ち、ローカルの待ち行列領域が空になっているかどうかを検知し、待ち行列領域が空になっていない場合、即ち、その他の要求メッセージがある場合は、工程S406に戻り、これにより遠隔USB装置が該要求メッセージに基づいて対応するサービスを実行する。逆に、ローカルの待ち行列領域が空になっている場合、即ち、その他の要求メッセージがない場合は、工程S408に進む。
【0044】
工程S408において、要求メッセージを提出したユーザコンピュータと遠隔USB装置との接続を解除することにより、他の端にあるユーザコンピュータが、接続を行うことができるようになり、接続の占有を回避することができる。
【0045】
ここで、上記工程S401において、USBサーバに蓄積されたUSB装置情報をユーザコンピュータ内に蓄積された駆動情報と照合する前に、USBサーバは、事前にユーザコンピュータのユーザ識別アカウントをチェックしなければならない。要するに、USBサーバ及びユーザコンピュータのいずれにもユーザ識別アカウントが設けられているため、ユーザコンピュータのユーザ識別アカウントがUSBサーバのユーザ識別アカウントに一致した場合にのみ、USBサーバは、ユーザコンピュータが利用可能なUSB装置を検索して照合を行うことを許可する。
【0046】
さらに、前述した工程S403を実行する前、即ち、ユーザコンピュータが遠隔のUSB装置の接続状態を検知する前に、USBサーバは、事前にユーザコンピュータからの要求メッセージの時間がUSB装置の使用可能な時間に一致するかどうかをチェックしなければならない。これにより、各ユーザコンピュータがUSB装置を使用するタイミングを効果的に管理することができる。
【0047】
また、工程S405及び工程S408を実行する場合、即ちユーザコンピュータと遠隔USB装置との接続確立又は切断を行う場合、USBサーバは、ユーザコンピュータによるUSB装置の使用状況を記録する。これにより、ユーザコンピュータによるUSB装置の使用状況を効果的に把握することができる。
【0048】
上述のように、従来の技術と比較して、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム及びその方法によれば、当該処理システムによって、ユーザコンピュータからの要求メッセージを検知し、遠隔USB装置の接続状態に基づいて、ユーザコンピュータがUSB over IP技術により遠隔USB装置との自動接続を実現し、必要とするサービスを得ている。そのため、ユーザは遠隔USB装置と接続を確立した後も手動で接続を切断する処理を行う必要がなく、接続の占有という問題を解決することができるメリットを有するほか、ユーザがユーザコンピュータ上で遠隔USB装置を自ら対応させる必要はないという効果をも有している。また、この処理システムは、安全メカニズムを有するUSBサーバと組合わせて使用することで、ユーザコンピュータと遠隔USB装置との接続を効果的に制御することができるとともに、接続記録を蓄積することも可能である。これにより、本発明に係る遠隔USB装置と自動接続する処理システム及びその方法がより好適に使用される。
【0049】
上記のように、これらの実施形態は本発明の原理および効果・機能を例示的に説明するに過ぎず、本発明は、これらによって限定されるものではない。本発明に係る実質的な技術内容は、特許請求の範囲に定義される。本発明は、この技術分野に精通した者により本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に修正や変更されることが可能であり、そうした修正や変更は、本発明の特許請求の範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0050】
1、20 ユーザコンピュータ
11、25 USB装置駆動プログラム
12、27 USB over IP駆動プログラム
13、26 オペレーティングシステム
14、21 遠隔USB装置と自動接続する処理システム
2、22 USB装置
211 対応ユニット
212 検知ユニット
213 制御ユニット
214 伝送ユニット
24 待ち行列領域
3、23 USBサーバ
30 ツール
4 ネットワーク
S401〜S408 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザコンピュータに内蔵され、前記ユーザコンピュータの待ち行列領域に蓄積されかつ伝送されていない要求メッセージを検知し、前記ユーザコンピュータがUSBサーバを介してUSB装置との接続確立又は切断を行うようにする、遠隔USB装置と自動接続する処理システムであって、
前記USBサーバを介して前記USB装置の装置情報を取得し、前記ユーザコンピュータ内における駆動情報と照合することにより、それに対応したものを前記ユーザコンピュータが利用できるUSB装置として検索するための対応ユニットと、
前記待ち行列領域に前記要求メッセージが蓄積された状況を検知するための検知ユニットと、
前記ユーザコンピュータからの要求メッセージに基づいて接続確立要求を生成し、前記検知ユニットによって検知された状況が前記待ち行列領域に蓄積された要求メッセージが消去されている状況であることに基づいて切断要求を生成するための制御ユニットと、
前記制御ユニットによって生成された接続確立要求又は切断要求を前記USBサーバに伝送することにより、前記USBサーバが前記接続確立要求に基づいて前記ユーザコンピュータが前記検知ユニットによって検索された対応するUSB装置との接続を確立し、若しくは前記切断要求に基づいて前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続を切断するための伝送ユニットと、を備えることを特徴とする、遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項2】
前記USBサーバは、少なくとも一つのユーザ識別アカウント及び前記ユーザ識別アカウントに対応するパスワードを含むユーザ識別モジュールを有し、
前記ユーザ識別アカウントは、前記ユーザコンピュータが前記USBサーバに対して前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続確立を要求するための権限の識別に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項3】
前記USBサーバは、前記ユーザ識別アカウントに対して対応する使用時間所定情報を蓄積し、前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続時間を決めるための使用時間管理モジュールをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項4】
前記使用時間所定情報は、接続使用を制限又は許可する時間であることを特徴とする、請求項3に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項5】
前記USBサーバは、接続確立又は切断を要求したユーザ識別アカウントに対して記録を行うための使用記録蓄積モジュールをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項6】
前記USBサーバは、ネットワークシステムと通信するためのネットワークプロトコル(protocol)と、
前記USB装置と接続するためのUSBポートと、
前記処理システムと通信するためのファームウェア(firmware)と、を有するネットワーク機器であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理システム。
【請求項7】
ユーザコンピュータが、ネットワークシステム、及びUSB装置が接続されたUSBサーバを介して前記USB装置との接続確立又は切断を行うための、遠隔USB装置と自動接続する処理方法であって、
(1)前記ユーザコンピュータが、前記ネットワークシステムを介して前記USBサーバより前記ユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索する工程と、
(2)前記ユーザコンピュータからの要求メッセージを検知した場合、前記ユーザコンピュータは、前記要求メッセージに基づいて前記USBサーバを介して前記USB装置の接続状態を検知し、接続状態の検知結果がアイドル状態であれば、前記USBサーバは、前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続確立を行うとともに、工程(3)に進み、前記接続状態の検知結果が使用中状態であれば、引き続き前記USB装置の接続状態を検知し、前記接続状態の検知結果がアイドル状態になってから、工程(3)に進む工程と、
(3)前記USB装置が、前記ユーザコンピュータからの要求メッセージに基づいて対応するサービスを実行する工程と、
(4)前記USB装置が前記ユーザコンピュータからの全ての要求メッセージに基づいて対応するサービスの実行が完了したことを検知した後、前記USBサーバが前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続を切断する工程と、を備えることを特徴とする、遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項8】
前記工程(1)において、前記ユーザコンピュータは、前記USBサーバ内に蓄積されたそれと接続するUSB装置の装置情報に基づいて、前記ネットワークシステムを介して前記USBサーバから前記ユーザコンピュータが利用できるUSB装置を検索し、前記装置情報を前記ユーザコンピュータ内に蓄積された駆動情報と照合し、その結果両者が対応関係にある場合、ユーザコンピュータが利用できるUSB装置とみなすことを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項9】
前記工程(1)を実行する前に、前記USBサーバは、前記ネットワークシステムを介して使用可能なUSB装置を検索しようとする前記ユーザコンピュータのユーザ識別アカウントをチェックすることを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項10】
前記工程(2)を実行して前記ユーザコンピュータが前記要求メッセージに基づいて前記USBサーバを介して前記USB装置の接続状態を検知する前に、前記USBサーバは、前記ユーザコンピュータからの要求メッセージの時間がUSB装置の使用可能な時間に一致するかどうかをチェックすることを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項11】
前記工程(2)を実行して前記USBサーバが前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続を確立した場合、前記USBサーバは、前記ユーザコンピュータに対して、それと前記USB装置との接続時間を記録することを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項12】
前記工程(4)を実行して前記USBサーバが前記ユーザコンピュータと前記USB装置との接続を切断した場合、前記USBサーバは、前記ユーザコンピュータに対して、それと前記USB装置との接続が切断された時間を記録することを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。
【請求項13】
前記工程(4)において、前記ユーザコンピュータの待ち行列領域が空の状態であることを検知したことに基づいて、送信された全ての前記要求メッセージについて対応するサービスが完了したことを検知することを特徴とする、請求項7に記載の遠隔USB装置と自動接続する処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−170839(P2011−170839A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290041(P2010−290041)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(511001035)盈碼科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】