適合された基礎インスリン送達システム
本発明は、使用者にインスリンを送達するためのシステムを開示する。このシステムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニットと、既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構とを備え、この基礎注入パターンは、複数の既定の基礎注入パターン(102)から選択される。いくつかの実施形態では、基礎注入パターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の諸実施形態は、医療装置に関し、より詳細には、患者の体内に医薬を投与し、かつ/または体液中の検体レベルを感知する装置に関する。さらに詳細には、本開示は、基礎インスリン(およびその他の治療流体)用量をポンプによって送達するための、装置および方法に関する。いくつかの実施形態では、ブドウ糖値を持続監視するためのセンサを備える、インスリンポンプ組立体が設けられる。ポンプは、患者の要求に適合されたパターンまたは分布に従って、基礎インスリン用量を送達するように構成することができる。
【0002】
本出願は、2007年6月25日出願の「適合された基礎インスリン送達システムおよび方法(TAILORED BASAL INSULIN DELIVERY SYSTEM AND METHOD)」という名称の、米国仮特許出願第60/937,157号の優先権を主張する。その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
[糖尿病および血糖制御]
真性糖尿病は、2006年現在の世界的な患者数が1億7000万人であり、今後10〜15年にわたり少なくとも2倍になると予想されているほど世界的に重大な疾患であり、ほとんど流行的な速度で発症数が増大している。糖尿病は、膵臓ホルモンすなわちインスリンの相対的または絶対的な不足による、慢性的な血糖濃度の上昇(高血糖)を特徴とする。健康な膵臓内では、ランゲルハンス島内にあるβ細胞が血糖値に従ってインスリンを継続的に産生および分泌し、体内のブドウ糖値をほぼ一定に維持する。
【0004】
この疾患の患者および医療財源への負担のほとんどが、小血管(眼、腎臓、および神経の損傷を生じる微小血管症)および大血管(加速化アテローム硬化症を生じ、冠動脈性心疾患、末梢血管疾患、および脳卒中の発生率を上昇させる)の両方に悪影響を及ぼす、長期的な組織合併症による。DCCT(糖尿病制御と合併症トライアル(Diabetes Control and Complications Trial))は、糖尿病の慢性合併症の発生および進行が、グリコヘモグロビン(HbA1c)の測定によって定量化されるような、血糖の変化(altered glycemia)の程度に大いに関係があることを実証した。(DCCT Trial,N Engl J Med 1993;329:977−986,UKPDS Trial, Lancet 1998;352:837−853、BMJ 1998;317,(7160):703−13およびthe EDIC Trial,N Engl J Med 2005;353,(25):2643−53)。したがって、頻繁なブドウ糖の測定およびそれに従ったインスリン送達の調整により、正常血糖を維持することがこの上なく重要である。
【0005】
インスリンポンプは、皮下配置されたカテーテルを通して、即効型インスリンを1日24時間送達する。1日のインスリン総用量は、基礎用量およびボーラス(多量一回投与)用量に分割される。
【0006】
インスリンボーラス用量は、糖質負荷を抑えるために食前または食後に、あるいは高血糖値の出現中に送達される。
【0007】
基礎インスリンは、食間および夜間に血糖値をある範囲内に維持するために、24時間にわたり持続的に送達される。基礎速度は、食物の影響を受けないインスリン要求を統制し、肝臓における糖新生、身体活動、睡眠/覚醒概日周期などに主に依存する。
【0008】
一般に、入手可能なポンプは、様々な基礎プロファイル(たとえば4つ〜8つの異なるプロファイル)を設定する能力を、使用者にもたらす。使用者は、自分の基礎インスリン要求に最も合う1つまたは複数のプロファイルを選択する。いくつかのポンプは、使用者が、使用者の固有の日課および概日基礎インスリン要求に従って、1時間毎の間隔の基礎プロファイルをプログラムすることを可能にする。いくつかのポンプはまた、(たとえば計画外の身体活動など)通常と異なる短時間の活動または状態中の血糖値を管理するのに役立つ、一時的基礎速度装置を有する。
【0009】
図1を参照すると、たとえば現在販売されているインスリンポンプとともに使用される、例示的な基礎パターンのグラフが示されている。この基礎パターンは、患者が常にインスリンを投与されるようにその患者が受けることになる24時間にわたる一連の基礎速度である。基礎速度は、一般に単位/時で測定され、30分間隔で変化させることができる。しかしこの例で示されるように、いくつかの実施形態では、使用されるパターンは通常3〜6区間に分割され、各区間は、単一の速度を指定する。図1の例で図示されるパターンは、夜および早朝に、こうした時間中の使用者の相対的なインスリン抵抗性に合わせてより高いインスリン用量を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、患者は、正常血糖値を実質的に達成するインスリン注入パターンを決定するために、試行錯誤のプロセスを通じて自分のポンプをこのパターンに設定することができる。そのような試行錯誤の手法は、頻繁な血糖上昇および血糖上昇事象を伴うおそれがある。
【0011】
いくつかの研究は、患者の年齢が、異なる基礎インスリン注入分布の使用に関連することを示してきた。たとえば、青年および若年成人には、特に早朝(暁現象)、およびより程度は低いが夕方近く(薄暮現象)に、インスリン感受性の低下が見られる。これは、典型的な二波の基礎速度プロファイル(「暁−薄暮」パターンと呼ばれる)をもたらす。リバウンド効果(いわゆるソモギ現象)を伴う夜間低血糖により生じる、高いブドウ糖値も明白であるが、これは持続皮下インスリン注入療法(CSII)よりもMDIにおいて、より一般的である。PedPump Study Group、Conradら、およびBolandらの研究結果はまた、低年齢の小児が、夜中前(21:00から0:00の間)により多い用量の基礎インスリンを必要とすることが多いと述べている(Pediatric Diabetes 2006:7(Suppl.4):25−31,2006)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステム、方法、および装置を開示する。いくつかの実施形態では、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニットと、既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構とを備え、この基礎注入パターンは、複数の既定の基礎注入パターンから選択される。基礎注入パターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0013】
1200件を超える1型真性糖尿病小児および青年のポンプ使用者の基礎注入速度を分析した大規模な研究は、7つのインスリン注入パターンを認識した(たとえばDiabetes Care:Mar 2007;30,3;568−573参照)。年齢は、基礎インスリン注入速度パターンの重要な決定要素として説明されてきた。インスリン注入速度パターンに影響を与える追加因子または予測変数として、患者の肥満指数(BMI)およびボーラスインスリン要求が挙げられる。性別、糖尿病の継続期間、および代謝制御は、基礎インスリンパターンの重要な予測変数であるとみなされなかった。思春期および思春期後の患者のインスリン要求のほとんどは、2波(暁−薄暮)パターンと一致した。より低い年齢は、プログラムされた暁ピーク基礎速度を早め、薄暮ピークと暁ピークの融合(単一(1相性)のパターン)をもたらすようであった。
【0014】
上述の因子は、インスリン感受性したがってインスリン要求の概日変化に影響を与えるので、特に小児のインスリンポンプ使用者にとって極めて重要である。
【0015】
インスリン注入が頻繁に変化可能であることは、一定の注入と比べてブドウ糖利用をより効率的にするようである(J.Clin Invest1995:95:1464−1471)。Hovorkaによって行われた研究(Diabetic Medicine 23,90−93,2006)は、15分毎に変わる最適基礎注入速度をモデル化した。現在使用されている基礎プロファイルは一般に、注入速度の1時間毎の変化を可能にし、したがって、食間の最適な血糖制御を可能にするには十分ではないことがある。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、基礎インスリンを送達するための装置、および、より良好な血糖制御を達成するために、使用者の日周インスリン要求に従って適当な基礎送達を可能にするための方法が提供される。使用者の日周インスリン要求に基づく基礎送達は、「適合された基礎インスリンプロファイル」と呼ぶことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、改善された血糖制御を達成するために、1つまたは複数の適合された基礎インスリンパターンを時間とともに設定することを可能にするための、基礎インスリンを送達する装置および方法が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを持続的に送達する装置、および適合された基礎インスリンプロファイルを設定するための方法が提供される。装置は、携帯インスリンポンプ、皮膚に固定可能なインスリン投薬器、あるいは、その他の任意の周期的かつ/または持続的なインスリン送達のための投薬機構とすることができる(そのような送達方法は、持続皮下インスリン注入またはCSIIと呼ばれる)。
【0019】
いくつかの実施形態では、インスリン投薬装置、および適合された基礎インスリンパターンの適合性を判定し、血糖制御を改善するためにパターンを必要に応じて更新するための方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬する装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを追跡および更新し、治療調整の推奨を糖尿病患者に提供するための方法が提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬しブドウ糖値を持続的に監視する装置、および、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルに従って、基礎インスリン用量を投薬する装置が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、持続的に基礎インスリンを投薬し、ブドウ糖値を監視し、ブドウ糖示度に従ってインスリンを投薬することができる装置と、そのような装置とともに使用するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつコスト効率の高い装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、皮膚に固定することができ、周期的かつ/または持続的にインスリンを投薬することができる小型パッチとして構成される装置と、そのような装置の制御および動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、遠隔制御することができるインスリン注入パッチユニットを備える装置、および、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルは、装置の制御を促進するために使用される遠隔ユニット内に記憶される。
【0027】
いくつかの実施形態では、インスリンを持続的に投薬し体内のブドウ糖濃度を監視することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備える装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ブドウ糖値を監視し感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬する半閉ループシステムを備える装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、半閉ループシステムを備え、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつコスト効率の高い装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。
【0030】
本開示の実施形態は、基礎インスリンを周期的/持続的に投薬し、持続ブドウ糖監視装置に結合することができるポンプと、基礎インスリンパターンを、使用者の基礎インスリン概日要求に適合させるための方法とを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の適合された基礎インスリンパターンを時間とともに設定することおよび血糖制御の達成を可能にするための、基礎インスリンを送達するためのシステムおよび方法が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、確立された適合された基礎インスリンプロファイルに従って、基礎インスリンを持続的かつ/または周期的に送達するためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、携帯インスリンポンプ、皮膚に固定可能なインスリン投薬器、あるいは、持続的(または周期的)なインスリン送達を可能にして持続皮下インスリン注入(CSII)を実施する、その他の任意のモジュールまたは装置を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンの適合性を判定し、必要に応じてパターンを調整(たとえば更新)して、血糖制御を改善するためのシステムおよび方法が開示される。
【0034】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬するために開示されるシステムおよび方法が開示される。このシステムは、適合された基礎インスリンプロファイルの有効性を判定し、治療調整に関する推奨を糖尿病患者に提供するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬するためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、ブドウ糖値を持続的に(またはその他の任意の適当な頻度で周期的に)監視し、基礎インスリンプロファイルを適合させるように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、インスリン注入パッチユニットが遠隔制御され、注入パッチが適合されたプロファイルに従ってインスリンを投薬するように構成されたシステムおよび方法が開示される。基礎インスリンプロファイルの適合を担当する機構(装置)の少なくとも一部を、遠隔ユニット内に配置することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、小型の皮膚に接着可能なパッチが、適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを投薬する(たとえば持続的にまたは投薬する)、システムおよび方法が開示される。このシステムはまた、体内のブドウ糖濃度を監視するための感知装置を備えることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、半閉ループシステムが、ブドウ糖値を監視し、感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬し、インスリン投薬の制御および動作を促進するために適合された基礎インスリンプロファイルをさらに組み込むシステムおよび方法が開示される。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態による適合された基礎プロファイルを備えるシステムは、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつ支払者にとってコスト効率の高い、半閉ループシステムを備えることができる。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、体内のブドウ糖値を持続的に(または半持続的など周期的に)監視し、同時にインスリンを、使用者用に適合された基礎インスリンパターンに少なくとも部分的に基づいて体内に送達するシステムおよび/または装置を提供することである。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使用者用に適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを持続的または周期的に投薬することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備えるシステムを提供することである。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使用者用に適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを持続的または周期的に投薬することができ、さらに体内のブドウ糖値を監視することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備えるシステムを提供することである。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、ブドウ糖値を監視し、感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬し、かつまた、初期基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための閉または半閉ループシステムを提供することである。そのようなシステムは、目立たず、経済的で、コスト効率の高い、小型の単一装置として実装することができる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使い捨て部品および再使用可能な部品を有するインスリン注入パッチユニットを備える装置を提供することである。再使用可能な部品は、比較的高価な構成要素を備えることができ、使い捨て可能な部品は、比較的安価な構成要素を備えることができ、コスト効率の高い治療流体(たとえばインスリン)投薬装置を使用者に提供する。この装置は、基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための手順を実施することができる。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使い捨て部品および再使用可能な部品を有する、インスリン注入および持続ブドウ糖監視パッチユニットを備える装置を提供することである。再使用可能な部品は、比較的高価な構成要素を備えることができ、使い捨て可能な部品は、比較的安価な構成要素を備えることができ、したがってコスト効率の高い装置を使用者に提供する。この装置は、基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための手順を実施することができる。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、遠隔制御することができるインスリン注入パッチユニットを備える装置、および基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための方法を提供することである。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、遠隔制御することができるインスリン注入および持続ブドウ糖監視装置パッチユニットを備える装置、および基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための方法を提供することである。
【0048】
いくつかの実施形態では、いくつかの既定の基礎インスリン注入パターンが利用可能である。制御者(または使用者)はまず、自分自身の日周インスリン感受性(すなわち1単位のインスリンによって低減される血糖の量)を最も近く模倣するパターンを選択することができる。既定の利用可能なパターンからのパターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンは、以下の特定の使用者の個人的特徴(パラメータ)、すなわち年齢、肥満指数(BMI)、および/またはボーラスインスリン要求のうちの1つまたは複数に基づく。たとえば性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターンおよび睡眠時間(たとえば、IGF−1の産生を制御する成長ホルモンなど、インスリンを逆調節するホルモンは、睡眠中に分泌される)、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病発現時の年齢、食事インスリン/kg/日、および総インスリン/kg/日などのさらなる特徴もまた、初期基礎パターンを選択するときに考慮することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンの決定(たとえば選択)は、年齢のみに基づくことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンは、(たとえば1時間毎など)時間区分毎の絶対用量ではなく、基礎インスリン注入速度変化のパターンを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、使用者は、自分の1日総用量(TDD)を入力することができ、装置はそのTDDを、(たとえば装置内にプログラムされたコンピュータプログラム命令に基づいて決定されるような)適当な基礎インスリンパターンに従って分布させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、即効型インスリンと異なる薬物動態を有するインスリン製剤が使用される場合、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態に合うように、たとえば時間をずらすなどして調整される。
【0054】
いくつかの実施形態では、即効型インスリン(たとえばノボラピッド、フマログ)ではなく通常のインスリンが使用される場合、使用者固有の基礎インスリン要求を満たすために、基礎インスリン注入速度パターンを(1時間など)所定の時間単位だけ先にずらすことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、小児および青年(たとえば18歳まで)は、主にその年齢に基づいて、いくつかの(たとえば7つの)基礎インスリン注入速度パターンのうちの1つを割り当てられることになる。
【0056】
(たとえば)12.5〜17.3歳の使用者には、パターンの夕方近くに相当する点ではなく早朝に相当する点により高いインスリンピークを有する2相性の「暁−薄暮パターン」を割り当てることができる。より低い年齢は、「暁−薄暮」パターンの暁ピークの時間が早められ暁ピークと薄暮ピークの実質的な融合をもたらすように、初期設定された基礎パターンを変えることができる。4.5〜11歳の使用者には、パターンのほぼ午後9時から10時に相当する点に広いインスリンピークを有する1相性基礎インスリン注入速度を割り当てることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、患者は、自分の基礎プロファイルの相対的な分布(たとえばパターンの全体的な挙動)は変化させることができないが、自分の基礎プロファイルの大きさを一時的に変化させて、より多量のインスリンを必要とする病気および発熱、インスリン要求を増大させる薬物(コルチゾンなど)を用いた治療の開始、またはインスリン要求を低減させる長時間の身体活動など、特別な状況に合うよう調整することができるようになる。
【0058】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルは、医者または使用者が変えることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、新規の適合された基礎インスリンプロファイルは、自動的に調整される。
【0060】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを適合させるための方法は、インスリン注入装置内に実装することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、ブドウ糖監視装置内に実装することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、インスリンを送達しブドウ糖を監視することができる装置内に実装することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、インスリン投薬パッチユニットおよび遠隔制御ユニットを備える、インスリン注入装置内に実装することができる。ブドウ糖感知装置(たとえば血糖測定器)は、遠隔制御ユニット内に統合することができる。いくつかの実施形態では、パッチユニットは、2つの部品、すなわち、電子要素、駆動要素、およびポンプ要素を含む再使用可能な部品と、たとえばインスリン容器などを含む使い捨て可能な部品とで構成することができる。ブドウ糖感知装置(たとえば血糖測定器)は、あるいは、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に統合することもできる。
【0064】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させる方法は、インスリン注入装置の遠隔制御ユニット内に実装することができる。あるいは、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に実装することもできる。
【0065】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、体内のブドウ糖値を持続的に監視し同時にインスリンを体内に送達することができるパッチユニット内に実装することができる。パッチユニットは、再使用可能な部品および使い捨て可能な部品を備えることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、装置の遠隔制御ユニット内に実装することができる。あるいは、この方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に実装することもできる。あるいは、この方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品および装置の遠隔制御ユニットの両方の内部に実装することもできる。
【0067】
いくつかの実施形態では、インスリン要求が非常に低い場合(たとえば新生児は0.1単位/時の基礎用量を必要とすることがある)、装置は、インスリン製剤の希釈実行の推奨を生成することができる。一般に、即効性の類似体は、100IU(100IU/ml)で入手可能である。1時間当たりの基礎速度が(たとえば0.1IU/時など)非常に低い場合、この1時間当たりの少ない流体スループットは、より希釈されたインスリンおよびより多い流体スループットに比べて、より速いカテーテル閉塞をもたらすおそれがある。この問題を回避するために、インスリンを含有しない媒質を用いてインスリン希釈液を調製することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、投薬装置は、インスリンを含有しない媒質を備えることができ、自動インスリン希釈を実行することができる。投薬される容量は、この希釈に基づくことになる。
【0069】
1つの態様では、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムが開示される。このシステムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニットと、既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構とを備え、この基礎注入パターンは、複数の既定の基礎注入パターンから選択される。
【0070】
このシステムの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0071】
基礎注入パターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0072】
投薬ユニットは、インスリンを保持するための容器と、使用者の体内に配置するための端部を有するカニューレと、インスリンを容器からカニューレに送達するためのポンプとを備えることができる。
【0073】
基礎インスリンの送達を制御するための制御機構は、ポンプによる基礎インスリンの送達を選択された基礎注入パターンに従って制御するように構成された処理装置を含むことができ、この基礎注入パターンは、所定の順序の基礎注入速度変化を含む。所定の順序の速度変化は、1時間またはそれ未満の間隔で定義することができる。この所定の順序は、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含むことができる。
【0074】
制御機構はさらに、投薬ユニットの容器内に保持される基礎インスリンの型に基づいて、基礎注入パターンの時間をずらすように構成することができる。
【0075】
このシステムは、制御機構と通信する使用者入力インタフェースをさらに備えることができる。制御機構はさらに、投薬ユニットによって送達されるインスリンの用量を増加または減少させるために、使用者入力インタフェースを介して入力された使用者入力に応答して基礎注入パターンによって定義された基礎注入速度変化の順序を中断させずに、投薬ユニットにより送達される基礎インスリンの量を調整するように構成することができる。
【0076】
制御機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて基礎注入パターンを決定するための、基礎注入速度パターン機構を備えることができる。基礎注入パターン機構は、たとえば年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数を含む、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを決定するように構成することができる。基礎注入パターンを決定するように構成された基礎注入パターン機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを複数の所定のパターンから選択するように構成することができる。
【0077】
基礎注入パターンは、使用者の年齢に基づいて選択することができる。
【0078】
選択された基礎注入パターンは、基礎インスリンの生理的な日周要求に基づいて決定することができる。
【0079】
複数の既定の基礎注入パターンは、早朝の期間に相当するパターンの一時点にあるピークと、夕方近くの期間に相当するパターンの別の時点にあるピークとを有する2相性パターンを含むことができる。
【0080】
複数の既定の基礎注入パターンは、正午頃の期間に相当するパターンの一時点にある広いインスリンピークを有する1相性のパターンを含むことができる。
【0081】
このシステムはさらに、選択された基礎注入パターンの有効性に関するデータを収集し、収集されたデータに基づいて選択された基礎注入パターンを調整するように構成することができる。
【0082】
基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて基礎注入パターンを決定し、決定された基礎注入パターンの適合性評価を、使用者の血糖状態に基づいて実行するように構成することができる。基礎注入パターンの適合性評価を実行するように構成された制御機構は、基礎パターンの適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成することができる。基礎注入パターンの適合性評価を実行するように構成された制御機構は、基礎パターンの適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成することができる。
【0083】
制御機構はさらに、選択された基礎注入パターンを、決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す評価に基づいて調整するように構成することができる。
【0084】
制御機構はさらに、決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するように構成することができる。適合性の欠如を示す評価に基づいてその他の基礎注入パターンを決定するように構成された制御機構は、その他の基礎注入パターンを、適合性の欠如を示す評価に基づいて、複数の基礎注入パターンから選択するように構成することができる。
【0085】
このシステムは、投薬ユニットから離して収容される遠隔制御部をさらに含むことができる。
【0086】
このシステムはさらに、使用者の血糖値を測定するための血糖測定器を備えることができる。
【0087】
基礎インスリンの送達を、選択された基礎注入パターンに従って制御するための制御機構はさらに、基礎インスリンの送達を、測定された使用者の血糖値に少なくとも部分的に基づいて制御するように構成することができる。
【0088】
このシステムは、使用者の身体に固定可能な受け台ユニットをさらに備えることができ、この受け台ユニットは、少なくとも投薬ユニットを受けるように構成される。
【0089】
別の態様では、使用者の身体に基礎インスリンを送達するための方法が開示される。この方法は、複数の既定の基礎注入パターンから1つの既定の基礎注入パターンを決定するステップと、決定された基礎注入パターンに基づいてインスリンを使用者の身体に送達するステップとを含む。
【0090】
この方法の実施形態は、システムに関して上記で説明した任意の特徴、ならびに以下の特徴のうちのいずれか1つを含むことができる。
【0091】
既定の基礎注入パターンを決定するステップは、使用者のための基礎注入パターンを、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップを含むことができる。
【0092】
さらに別の態様において、使用者の身体に基礎インスリン用量を送達するための装置が開示される。この装置は、使用者の少なくとも1つの特徴に関する入力を受け取るための使用者インタフェースと、受け取った入力に少なくとも部分的に基づいて、複数の基礎インスリン注入パターンから使用者のための基礎注入パターンを選択するための適合された基礎インスリンプロファイル機構を含む。
【0093】
この装置の実施形態は、システムおよび方法のうちのいずれか1つに関して上記で説明した、任意の特徴を含むことができる。
【0094】
上記の全体的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示および説明のためのものに過ぎず限定的なものではないことに留意されたい。本明細書において示すものに加えて、さらなる特徴部分および/または変形形態を提供することができる。たとえば、本明細書において説明する実装形態は、開示された特徴部分の様々な組合せおよびサブコンビネーション、ならびに/または詳細な説明において以下で開示するいくつかのさらなる特徴部分の組合せおよびサブコンビネーションを対象とすることができる。
【0095】
本開示の実施形態を、その様々な目的および利点を含めて、以下の例示的な図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】現在入手可能なインスリンポンプとともに使用されるプロファイルなど、例示的な基礎インスリンプロファイルを示すグラフである。
【図2】患者の年齢に基づいて適合させられた例示的な基礎インスリン分布速度を示すグラフである。
【図3a】様々なインスリン製剤に合わせて調整された、例示的な適合された基礎パターンを示す表である。
【図3b】様々なインスリン製剤に合わせて調整された、例示的な適合された基礎パターンを示すグラフである。
【図4】プロファイルのパターンの特徴を維持しながら基礎インスリンの量を一時的に変化させるように調整された、例示的な基礎パターンを示すグラフである。
【図5】例示的な適合されたインスリン注入速度分布手順を示すブロック図である。
【図6】インスリン投薬ユニット、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を備える遠隔制御ユニットを備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図7a】インスリン注入ポンプ、ブドウ糖測定装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを組み込む装置を備える、例示的なシステムを示す概略図である。
【図7b】インスリン注入ポンプ、ブドウ糖測定装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを組み込む装置を備える、例示的なシステムを示す概略図である。
【図8a】適合された基礎インスリンプロファイル機構のための血糖示度(BG)を実行する持続皮下ブドウ糖監視装置を備える、あるインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図8b】適合された基礎インスリンプロファイル機構のための血糖示度(BG)を実行する持続皮下ブドウ糖監視装置を備える、別のインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図9a】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置をある位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図9b】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置を別の位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図9c】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置をさらに別の位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図10a】ある位置に配置された適合された基礎インスリンプロファイルを備える、あるインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図10b】別の位置に配置された適合された基礎インスリンプロファイルを備える、別のインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図11】パーソナルコンピュータ、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を有する遠隔制御ユニットを備える、システムの例示的な実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムを開示する。システムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニット、および使用者に適合された基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構を備える。以下でより詳細に説明するように、適合された基礎注入パターンは、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて決定することができる。
【0098】
図2を参照すると、本明細書で説明する装置によって使用することができる、3つの初期基礎インスリン注入速度分布(すなわちパターン)の例示的なグラフが示されている。本明細書で説明するような装置など注入装置の動作を最初に開始するとき、使用者(たとえば患者)はまず、患者の基礎インスリン分布要求と最も一致しそうな基礎インスリン注入パターンが割り当てられる。この初期割当ては、少なくとも部分的に、たとえば使用者の年齢など、知られている個人的特徴に基づくことができる。その他の個人的特徴を、使用する初期基礎インスリン分布プロファイルを決定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、使用する初期プロファイルの決定は、インスリン注入装置の記憶装置に記憶された複数の既定プロファイルのうちの1つを選択することによって行われる。
【0099】
パターン1(ダイヤ形(菱形)のカーソル(点)でマークされる)は、夕方近くよりも早朝により高いインスリンピークを有する2相性の「暁−薄暮」パターンを表す。そのようなパターンは、使用者が思春期後期または思春期後の年齢(たとえば15〜17歳)である状況において、使用者に割り当てられる初期パターンとして選択することができる。パターン2(三角形カーソルでマークされる)は、たとえばパターン1において使用されるよりも低いインスリンピークを早朝に有し、またより早い午後のピークを有する別の2相性の「暁−薄暮」パターンを表す。パターン2は、わずかにより若い使用者(たとえば12〜14歳)に適していることがある。パターン3(四角形カーソルでマークされる)は、正午頃に広いインスリンピークを有する1相の基礎インスリン注入速度を示す。そのようなパターンは、思春期前段階後期(たとえば8〜11歳)の使用者用に最初に選択することができる。図2に示したパターンは、インスリン注入速度を1時間間隔で指定するが、いくつかの実施形態では、基礎インスリン速度を、より頻繁な間隔(たとえば15分間隔)で変化させる(指定する)ことができる。
【0100】
図3aを参照すると、例示的な市販のインスリン製剤の様々な特性を表す表が示されている。SCIIの実行において使用される適当なインスリン製剤は、たとえば即効型インスリン(たとえばリスプロ、アスパルト)を含む。即効型インスリンは、0.5〜1.5時間以内にそのピーク血漿濃度に到達する。正規インスリンは、2〜3時間以内にそのピーク血漿濃度に到達する。
【0101】
図3bを参照すると、即効型インスリンの使用に基づく例示的な適合された基礎インスリンパターン(四角形カーソルでマークされる)のグラフが、正規インスリンの使用に基づく、ずらされた基礎インスリンパターン(ダイヤ形カーソルでマークされる)と比較される。図示のように、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態に合うように、たとえば1時間など時間がずらされる。こうして、即効型インスリンに対応するものと異なる薬物動態および/または薬力学を有するインスリン製剤が使用されるいくつかの実施形態では、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態および/または薬力学に合うように時間をずらすことができる。いくつかの実施形態では、即効型インスリン(たとえばノボラピッド、フマログ)ではなく正規インスリンが使用される場合、使用者固有の基礎インスリン要求を満たすために、基礎インスリン注入速度パターンを1時間先にずらすことができる。
【0102】
図4を参照すると、一方でプロファイルのパターンの特徴を維持しながら、基礎インスリンの量を一時的に変化させるように調整された、例示的な基礎パターンを示すグラフが示されている。このように、いくつかの実施形態では、注入速度(たとえば患者の体内に注入されるインスリンのレベル)を上昇または低下させるために、注入パターンの特定の区間を一時的またはより恒久的に改変することができる。そのような変化は、注入パターンを調整するために、患者自身または資格を有する使用者(医者、技術者など)が行うことができる。所与の例では、使用者は、(たとえば使用者の日課にある身体訓練を休んだため、または患者のインスリン要求に影響を及ぼすその他多くの可能性のある理由のため)基礎インスリンレベルを8:00から12:00まで一時的に上昇させた。
【0103】
図5を参照すると、たとえば適合された基礎インスリンパターン機構(適合された基礎インスリンプロファイル装置とも呼ばれる)によって実行される、例示的なインスリン注入パターン選択手順のブロック図が示されている。まず、既定の複数のプロファイルの中から適当な初期基礎インスリンプロファイルを決定すること(たとえば選択)を可能にするために必要な入力データが、101で提供される。いくつかの実施形態では、提供することができる入力データは、たとえば患者の年齢、患者の体重、患者の肥満指数(BMI)などを含む、患者の個人的特徴を含むことができる。必要な入力が装置によって受け取られると、適当な初期基礎インスリン注入パターンの選択が、102で行われる。この選択はたとえば、提供された患者の個人的特徴を考慮して、使用可能なそれぞれの所定のパターンの、その患者のためのインスリン注入へのそのパターンの適合性を表す点数を計算することによって、実行することができる。計算された点数は、ランク付けすることができ、「最高」点数に対応するパターンが最も適当なパターンであるとみなされ、したがってさらなる処理のために選択されることが可能である。いくつかの実施形態では、初期パターンが選択されると、選択されたパターンの適合性が103で評価される。選択されたパターンの評価は、たとえば患者の血糖状態の判定に基づくことができ、したがって選択されたパターンの適合性の判定を可能にする。いくつかの実施形態では、血糖状態は、ヘモグロビンA1C値の周期的なデータ(たとえば3ヶ月間隔での)に基づいて判定することができる。いくつかの実施形態では、血糖状態を、持続血糖測定(CGM)に基づいて判定することができ、それに基づいて、血糖(BG)目標ゾーンからのずれの回数および持続時間、すなわち使用者が低血糖または高血糖になる回数およびそれらの状態にかかる持続時間を判定することができる。
【0104】
最初に選択された基礎インスリン注入パターンが、たとえば患者の血糖状態の評価などに基づいて適当であると判定された場合、最初に選択されたパターンは104で、患者へのインスリン注入を実行するために使用されるパターンとして確認される。
【0105】
一方、最初に選択されたパターンが、(たとえば患者の血糖状態の評価に基づいて)患者にとって適当でないと判定された場合、代替基礎インスリン注入パターンが、105で選択される。いくつかの実施形態では、代わりに選択されるパターンはたとえば、使用者の固有の個人的特徴に基づいて決定されるような、(上記で説明した動作102に関して説明したようにパターンのランク付けが実行される状況における)2番目に最も適当なパターンとすることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、(たとえば年齢、BMI、ボーラスインスリン要求など)それに基づいて適当なパターンの初期選択が行われる一次入力への任意の変更が、装置に与えられる入力の更新106をもたらし、パターン選択手順が再び実行される。
【0107】
上述の通り、いくつかの実施形態では、適当な(たとえば最適の)初期基礎パターンの選択は、BMI、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターンおよび睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病発現時の年齢、食事インスリンの/kg/日、ならびに総インスリン/kg/日など、追加の一次使用者入力に基づくことができる。いくつかの実施形態では、(102で実行されるような)最適基礎パターンの初期選択は、たとえば使用者の年齢のみなど、単一の要素に基づくことができる。いくつかの実施形態では、所定のパターンのレパートリからのパターンを最初に選択する動作、および選択されたパターンの適合性を評価する動作は、1つのプロセスにまとめることができ、そのプロセスにおける初期選択は、患者の一次個人的特徴に加えて、選択されたパターンの適合性評価を実行するために図5の手順において使用される要素にも基づく。したがって、たとえばいくつかの実施形態では、複数の所定のパターンからのパターンの初期選択は、患者の血糖状態を因子として含む。
【0108】
図6を参照すると、インスリン注入システム1000の概略図が示されている。このインスリン注入システムは、患者の皮膚5に固定することができるパッチユニット1010と、パッチユニットのプログラミング、使用者入力および取得データなどの通信を可能にするために投薬パッチユニット1010と通信するための、遠隔制御ユニット1008とを備える。
【0109】
いくつかの実施形態では、たとえばパッチユニット上に配置されたボタンを備える使用者インタフェースなど、使用者インタフェースを介して手動入力を設けることができる。パッチユニットは、パッチユニットの様々なモジュール/構成要素を収容するための単一ハウジング1001を備えることができ、あるいは、再使用可能な部品1および使い捨て部品2など、2つの取付け可能な部品(それぞれ独自の個別ハウジングを有する)を備えることができる。
【0110】
図示のように、パッチユニット1010は、インスリンの送達を可能にするように皮膚5を貫通するカニューレ6を備える。パッチユニット(1010)は、接着剤(図示せず)によって患者の皮膚に直接取り付けることができ、または、パッチユニットの連結および取外しを可能にするための、患者の皮膚に固定可能な専用受け台ユニット(図示せず)に取り付けることができる。
【0111】
さらに示すように、遠隔制御ユニット1008は、患者の体内へのインスリン(または他のタイプの治療流体)の注入を制御するために使用される、基礎インスリンパターン(またはプロファイル)を決定するための適合された基礎インスリンプロファイル機構100を備える。いくつかの実施形態では、インスリンプロファイル機構は、インスリンパターン決定プロセスの実行をもたらす処理装置命令を実行するように構成された、処理装置をベースとする装置を用いて実装することができる。したがって、インスリンプロファイル機構のそのような実装形態は、処理装置3010、使用者入力インタフェース3020、および表示装置3030など使用者出力インタフェースを備えることができる。入力インタフェースは、適合された基礎インスリンプロファイル機構100のための使用者入力を提供するため、およびパッチユニットのプログラミングを実行または促進するための、両方に使用することができる。
【0112】
図7aおよび図7bを参照すると、例示的なインスリン注入システム1000の概略図が示されている。図7aおよび図7bのシステム1000の実施形態は、インスリン注入ポンプ1010と、血糖測定装置(たとえば血糖測定器)90と、適合されたインスリン基礎プロファイル決定を実行するための適合された基礎インスリンプロファイル機構(たとえば装置)100とを備える。インスリン注入ポンプ1010は、インスリンの送達を可能にするように患者の皮膚5を貫通するための、カニューレ6を備える。
【0113】
図7aに示すように、適合された基礎インスリンプロファイル機構100は、血糖測定装置90内に設置される。一方、図7(b)では、適合された基礎インスリンプロファイル機構100は、インスリン注入ポンプ1010内に設置される。
【0114】
いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプ1010は、遠隔制御ユニットと通信して、プログラミング命令、使用者入力、およびデータ取得の通信を可能にする。そのような実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイル機構は、遠隔制御ユニット内に設置することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプは、血糖測定器を備える。あるいは血糖測定器は、ポンプの遠隔制御ユニット内またはポンプユニット自体の内部に設置することができる。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、血糖測定器ユニット、ポンプユニット、または遠隔制御ユニットのうちのいずれの内部に設置することもできる。
【0116】
いくつかの実施形態では、システムは、インスリン注入ポンプ、持続血糖測定(CGM)装置、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を備える。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、ポンプまたはCGM装置のいずれかの内部に設置することができる。いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプは、持続血糖測定(CGM)装置を備える。注入ポンプおよび持続血糖測定(CGM)装置は、同じハウジング内に配置することができ、遠隔制御ユニットと通信することができる。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、CGMまたはポンプユニット内、または遠隔制御ユニット内に設置することができる。
【0117】
図8aおよび図8bを参照すると、インスリン注入システムの例示的な実施形態の概略図が示されている。図8aおよび図8bに示す実施形態では、たとえば適合された基礎インスリンプロファイル機構100によって実行されるような適合された基礎インスリンプロファイル決定のために要求される血糖示度が、持続皮下ブドウ糖監視装置1006から受信される。持続皮下ブドウ糖監視装置1006と、たとえば遠隔制御ユニット1008内にある適合された基礎インスリンプロファイル機構100との間の通信リンクが維持され、したがってプログラミング命令、データ処理、および使用者入力の通信を可能にする。
【0118】
図8aは、注入システムの残りの部分と別個に収容された持続皮下ブドウ糖監視装置1006によって現在の血糖(BG)が測定される、注入システムを示す。図8bは、持続皮下ブドウ糖感知(監視)装置1006がインスリン送達システムのパッチユニット1010内に配置される(すなわち感知装置1006がパッチユニット1010内に収容される)注入システムを示す。すなわち、図8bに示す実施形態においてインスリン投薬装置1005およびブドウ糖感知装置1006は、単一の送達装置を構成し、したがって、注入システムの投薬および感知動作の両方を実行するために、単一のカニューレ6を使用することができる。あるいはいくつかの実施形態では、感知装置および投薬装置は、皮膚5を貫通し皮下組織内にある別々のカニューレを有することができる。図8bにさらに示すように、送達(すなわち注入)システムは、2つの部品、すなわち再使用可能な部品1および使い捨て部品2を備えることができ、各部品はそれぞれ、別個のハウジング1001、1002を有する。
【0119】
図9a、図9b、および図9cを参照すると、インスリン投薬システムの3つの例示的な実施形態の概略図が示されており、各実施形態はそれぞれ、血糖(BG)の測定および判定し、判定された血糖を適合された基礎インスリンプロファイル機構100のための入力として提供するために使用される、血糖測定器90を備える。図9aは、装置の遠隔制御ユニット1008内に配置された血糖測定器90を示す。図示のように、血糖測定器90は、試験片99を受けるための開口95を備える。使用者は、身体から血液を抜き出し、その血液を試験片99上にのせ、試験片を開口内に挿入することができる。血糖測定器によって測定および処理されるようなブドウ糖示度90は、遠隔制御ユニット1008の画面80上に表示される。
【0120】
図9bは、パッチユニット1010の再使用可能な部品2内に配置された、血糖測定器90を示す。パッチユニット1010内にある血糖測定器90と、たとえば遠隔制御ユニット1008に存在することがある適合された基礎インスリンプロファイル機構100との間に、通信チャネル300が確立および維持され、したがってプログラミング命令/指令、取得データ、および使用者入力の通信を可能にする。図9bにさらに示すように、血糖測定器90は、血液試料が上に配置された試験片99を受けるための開口を備えることができ、血糖測定器90が血糖を測定し、血糖を表す信号を発生することを可能にして、血液が試料採取された患者のための、インスリン注入を制御するための注入プロファイルの決定を可能にする。
【0121】
図9cは、インスリン投薬システムの例示的な実施形態を示しており、このシステムでは、投薬システムのその他のユニット/モジュールと別個に収容された血糖測定器によって、ブドウ糖値が決定される。こうして決定された(1つまたは複数の)ブドウ糖値は、使用者の身体へのインスリン注入を制御するための注入プロファイルの決定および/または調整を可能にするための、遠隔制御ユニット1008に提供されることが可能である。
【0122】
図10a〜図10bを参照すると、別々の異なる位置にあるそれぞれ別々の適合された基礎インスリンプロファイル機構を有する、インスリン投薬システムの2つの例示的な実施形態の概略図が示されている。図示の実施形態では、パッチユニット1010は、2つのハウジング1001、1002内に配置された2つの部品、すなわち再使用可能な部品1および使い捨て部品2を備える。パッチユニットの比較的安価な構成要素は、一般に、使い捨て部品2(たとえばカニューレ6)内にあり、比較的より高価な構成要素は、再使用可能な部品1内にある。いくつかの実施形態では、カニューレは、皮膚に固定可能な受け台部品(針ユニットをともに構成する)に取り付けることができ、針ユニットへのパッチユニットの接続および取外しを可能にする。
【0123】
インスリン投薬システムはまた、遠隔制御ユニット1008も備える。プログラミング命令/指令は、パッチユニット上に配置された使用者インタフェース(たとえばボタン)を介する遠隔制御によって、提供および通信することができる。
【0124】
図10aに示すように、適合された基礎インスリンプロファイル装置100は、遠隔制御ユニット1008内に配置される。図10bでは、適合された基礎インスリンプロファイル機構(装置)100は、パッチユニット1010の再使用可能な部品1内に配置される。
【0125】
図11を参照すると、適合された基礎インスリンプロファイル機構100を備える遠隔制御ユニット1008と通信するパーソナルコンピュータ(PC)を備える、システムの例示的な実施形態の斜視図が示されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、機構100によって決定または調整された最適な基礎プロファイルの任意の変更は、(たとえばコンピュータ50に、または投薬システムまたは遠隔装置上の任意の場所の任意の記憶装置に)記憶することができ、および/または、任意の図または図以外のやりかたで表示することができる。いくつかの実施形態では、記憶されたデータを、評価、確認、またはその他の任意の臨床的介入のために、(たとえば電子メールによって)使用者の医者に自動的に送信することができる。
【0127】
したがって、使用者への基礎インスリン送達の適合を実施するための装置、システム、および方法を、本明細書に記載する。特定の実施形態を本明細書において詳細に開示してきたが、これは例示のための例として行ったに過ぎず、添付の特許請求の範囲の範囲に対する限定を意図するものではない。特に、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な置換、改変、および修正を行うことができることが意図されている。本明細書において参照した上記の特許、特許出願、および出版物はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。その他の態様、利点、および修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。提示される特許請求の範囲は、本明細書で開示した本発明を代表するものである。その他の特許請求されない発明もまた意図されている。
【技術分野】
【0001】
本開示の諸実施形態は、医療装置に関し、より詳細には、患者の体内に医薬を投与し、かつ/または体液中の検体レベルを感知する装置に関する。さらに詳細には、本開示は、基礎インスリン(およびその他の治療流体)用量をポンプによって送達するための、装置および方法に関する。いくつかの実施形態では、ブドウ糖値を持続監視するためのセンサを備える、インスリンポンプ組立体が設けられる。ポンプは、患者の要求に適合されたパターンまたは分布に従って、基礎インスリン用量を送達するように構成することができる。
【0002】
本出願は、2007年6月25日出願の「適合された基礎インスリン送達システムおよび方法(TAILORED BASAL INSULIN DELIVERY SYSTEM AND METHOD)」という名称の、米国仮特許出願第60/937,157号の優先権を主張する。その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
[糖尿病および血糖制御]
真性糖尿病は、2006年現在の世界的な患者数が1億7000万人であり、今後10〜15年にわたり少なくとも2倍になると予想されているほど世界的に重大な疾患であり、ほとんど流行的な速度で発症数が増大している。糖尿病は、膵臓ホルモンすなわちインスリンの相対的または絶対的な不足による、慢性的な血糖濃度の上昇(高血糖)を特徴とする。健康な膵臓内では、ランゲルハンス島内にあるβ細胞が血糖値に従ってインスリンを継続的に産生および分泌し、体内のブドウ糖値をほぼ一定に維持する。
【0004】
この疾患の患者および医療財源への負担のほとんどが、小血管(眼、腎臓、および神経の損傷を生じる微小血管症)および大血管(加速化アテローム硬化症を生じ、冠動脈性心疾患、末梢血管疾患、および脳卒中の発生率を上昇させる)の両方に悪影響を及ぼす、長期的な組織合併症による。DCCT(糖尿病制御と合併症トライアル(Diabetes Control and Complications Trial))は、糖尿病の慢性合併症の発生および進行が、グリコヘモグロビン(HbA1c)の測定によって定量化されるような、血糖の変化(altered glycemia)の程度に大いに関係があることを実証した。(DCCT Trial,N Engl J Med 1993;329:977−986,UKPDS Trial, Lancet 1998;352:837−853、BMJ 1998;317,(7160):703−13およびthe EDIC Trial,N Engl J Med 2005;353,(25):2643−53)。したがって、頻繁なブドウ糖の測定およびそれに従ったインスリン送達の調整により、正常血糖を維持することがこの上なく重要である。
【0005】
インスリンポンプは、皮下配置されたカテーテルを通して、即効型インスリンを1日24時間送達する。1日のインスリン総用量は、基礎用量およびボーラス(多量一回投与)用量に分割される。
【0006】
インスリンボーラス用量は、糖質負荷を抑えるために食前または食後に、あるいは高血糖値の出現中に送達される。
【0007】
基礎インスリンは、食間および夜間に血糖値をある範囲内に維持するために、24時間にわたり持続的に送達される。基礎速度は、食物の影響を受けないインスリン要求を統制し、肝臓における糖新生、身体活動、睡眠/覚醒概日周期などに主に依存する。
【0008】
一般に、入手可能なポンプは、様々な基礎プロファイル(たとえば4つ〜8つの異なるプロファイル)を設定する能力を、使用者にもたらす。使用者は、自分の基礎インスリン要求に最も合う1つまたは複数のプロファイルを選択する。いくつかのポンプは、使用者が、使用者の固有の日課および概日基礎インスリン要求に従って、1時間毎の間隔の基礎プロファイルをプログラムすることを可能にする。いくつかのポンプはまた、(たとえば計画外の身体活動など)通常と異なる短時間の活動または状態中の血糖値を管理するのに役立つ、一時的基礎速度装置を有する。
【0009】
図1を参照すると、たとえば現在販売されているインスリンポンプとともに使用される、例示的な基礎パターンのグラフが示されている。この基礎パターンは、患者が常にインスリンを投与されるようにその患者が受けることになる24時間にわたる一連の基礎速度である。基礎速度は、一般に単位/時で測定され、30分間隔で変化させることができる。しかしこの例で示されるように、いくつかの実施形態では、使用されるパターンは通常3〜6区間に分割され、各区間は、単一の速度を指定する。図1の例で図示されるパターンは、夜および早朝に、こうした時間中の使用者の相対的なインスリン抵抗性に合わせてより高いインスリン用量を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、患者は、正常血糖値を実質的に達成するインスリン注入パターンを決定するために、試行錯誤のプロセスを通じて自分のポンプをこのパターンに設定することができる。そのような試行錯誤の手法は、頻繁な血糖上昇および血糖上昇事象を伴うおそれがある。
【0011】
いくつかの研究は、患者の年齢が、異なる基礎インスリン注入分布の使用に関連することを示してきた。たとえば、青年および若年成人には、特に早朝(暁現象)、およびより程度は低いが夕方近く(薄暮現象)に、インスリン感受性の低下が見られる。これは、典型的な二波の基礎速度プロファイル(「暁−薄暮」パターンと呼ばれる)をもたらす。リバウンド効果(いわゆるソモギ現象)を伴う夜間低血糖により生じる、高いブドウ糖値も明白であるが、これは持続皮下インスリン注入療法(CSII)よりもMDIにおいて、より一般的である。PedPump Study Group、Conradら、およびBolandらの研究結果はまた、低年齢の小児が、夜中前(21:00から0:00の間)により多い用量の基礎インスリンを必要とすることが多いと述べている(Pediatric Diabetes 2006:7(Suppl.4):25−31,2006)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステム、方法、および装置を開示する。いくつかの実施形態では、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニットと、既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構とを備え、この基礎注入パターンは、複数の既定の基礎注入パターンから選択される。基礎注入パターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0013】
1200件を超える1型真性糖尿病小児および青年のポンプ使用者の基礎注入速度を分析した大規模な研究は、7つのインスリン注入パターンを認識した(たとえばDiabetes Care:Mar 2007;30,3;568−573参照)。年齢は、基礎インスリン注入速度パターンの重要な決定要素として説明されてきた。インスリン注入速度パターンに影響を与える追加因子または予測変数として、患者の肥満指数(BMI)およびボーラスインスリン要求が挙げられる。性別、糖尿病の継続期間、および代謝制御は、基礎インスリンパターンの重要な予測変数であるとみなされなかった。思春期および思春期後の患者のインスリン要求のほとんどは、2波(暁−薄暮)パターンと一致した。より低い年齢は、プログラムされた暁ピーク基礎速度を早め、薄暮ピークと暁ピークの融合(単一(1相性)のパターン)をもたらすようであった。
【0014】
上述の因子は、インスリン感受性したがってインスリン要求の概日変化に影響を与えるので、特に小児のインスリンポンプ使用者にとって極めて重要である。
【0015】
インスリン注入が頻繁に変化可能であることは、一定の注入と比べてブドウ糖利用をより効率的にするようである(J.Clin Invest1995:95:1464−1471)。Hovorkaによって行われた研究(Diabetic Medicine 23,90−93,2006)は、15分毎に変わる最適基礎注入速度をモデル化した。現在使用されている基礎プロファイルは一般に、注入速度の1時間毎の変化を可能にし、したがって、食間の最適な血糖制御を可能にするには十分ではないことがある。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、基礎インスリンを送達するための装置、および、より良好な血糖制御を達成するために、使用者の日周インスリン要求に従って適当な基礎送達を可能にするための方法が提供される。使用者の日周インスリン要求に基づく基礎送達は、「適合された基礎インスリンプロファイル」と呼ぶことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、改善された血糖制御を達成するために、1つまたは複数の適合された基礎インスリンパターンを時間とともに設定することを可能にするための、基礎インスリンを送達する装置および方法が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを持続的に送達する装置、および適合された基礎インスリンプロファイルを設定するための方法が提供される。装置は、携帯インスリンポンプ、皮膚に固定可能なインスリン投薬器、あるいは、その他の任意の周期的かつ/または持続的なインスリン送達のための投薬機構とすることができる(そのような送達方法は、持続皮下インスリン注入またはCSIIと呼ばれる)。
【0019】
いくつかの実施形態では、インスリン投薬装置、および適合された基礎インスリンパターンの適合性を判定し、血糖制御を改善するためにパターンを必要に応じて更新するための方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬する装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを追跡および更新し、治療調整の推奨を糖尿病患者に提供するための方法が提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬しブドウ糖値を持続的に監視する装置、および、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルに従って、基礎インスリン用量を投薬する装置が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、持続的に基礎インスリンを投薬し、ブドウ糖値を監視し、ブドウ糖示度に従ってインスリンを投薬することができる装置と、そのような装置とともに使用するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつコスト効率の高い装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、皮膚に固定することができ、周期的かつ/または持続的にインスリンを投薬することができる小型パッチとして構成される装置と、そのような装置の制御および動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、遠隔制御することができるインスリン注入パッチユニットを備える装置、および、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルは、装置の制御を促進するために使用される遠隔ユニット内に記憶される。
【0027】
いくつかの実施形態では、インスリンを持続的に投薬し体内のブドウ糖濃度を監視することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備える装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法とが提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ブドウ糖値を監視し感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬する半閉ループシステムを備える装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、半閉ループシステムを備え、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつコスト効率の高い装置と、そのような装置の動作を促進するための適合された基礎インスリンプロファイルを組み込むための方法が提供される。
【0030】
本開示の実施形態は、基礎インスリンを周期的/持続的に投薬し、持続ブドウ糖監視装置に結合することができるポンプと、基礎インスリンパターンを、使用者の基礎インスリン概日要求に適合させるための方法とを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の適合された基礎インスリンパターンを時間とともに設定することおよび血糖制御の達成を可能にするための、基礎インスリンを送達するためのシステムおよび方法が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、確立された適合された基礎インスリンプロファイルに従って、基礎インスリンを持続的かつ/または周期的に送達するためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、携帯インスリンポンプ、皮膚に固定可能なインスリン投薬器、あるいは、持続的(または周期的)なインスリン送達を可能にして持続皮下インスリン注入(CSII)を実施する、その他の任意のモジュールまたは装置を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンの適合性を判定し、必要に応じてパターンを調整(たとえば更新)して、血糖制御を改善するためのシステムおよび方法が開示される。
【0034】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬するために開示されるシステムおよび方法が開示される。このシステムは、適合された基礎インスリンプロファイルの有効性を判定し、治療調整に関する推奨を糖尿病患者に提供するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを投薬するためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、ブドウ糖値を持続的に(またはその他の任意の適当な頻度で周期的に)監視し、基礎インスリンプロファイルを適合させるように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、インスリン注入パッチユニットが遠隔制御され、注入パッチが適合されたプロファイルに従ってインスリンを投薬するように構成されたシステムおよび方法が開示される。基礎インスリンプロファイルの適合を担当する機構(装置)の少なくとも一部を、遠隔ユニット内に配置することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、小型の皮膚に接着可能なパッチが、適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを投薬する(たとえば持続的にまたは投薬する)、システムおよび方法が開示される。このシステムはまた、体内のブドウ糖濃度を監視するための感知装置を備えることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、半閉ループシステムが、ブドウ糖値を監視し、感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬し、インスリン投薬の制御および動作を促進するために適合された基礎インスリンプロファイルをさらに組み込むシステムおよび方法が開示される。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態による適合された基礎プロファイルを備えるシステムは、小型で、目立たず、使用者にとって経済的であり、かつ支払者にとってコスト効率の高い、半閉ループシステムを備えることができる。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、体内のブドウ糖値を持続的に(または半持続的など周期的に)監視し、同時にインスリンを、使用者用に適合された基礎インスリンパターンに少なくとも部分的に基づいて体内に送達するシステムおよび/または装置を提供することである。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使用者用に適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを持続的または周期的に投薬することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備えるシステムを提供することである。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使用者用に適合された基礎インスリンプロファイルに従ってインスリンを持続的または周期的に投薬することができ、さらに体内のブドウ糖値を監視することができる、皮膚に固定可能な小型パッチを備えるシステムを提供することである。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、ブドウ糖値を監視し、感知されたブドウ糖値に従ってインスリンを投薬し、かつまた、初期基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための閉または半閉ループシステムを提供することである。そのようなシステムは、目立たず、経済的で、コスト効率の高い、小型の単一装置として実装することができる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使い捨て部品および再使用可能な部品を有するインスリン注入パッチユニットを備える装置を提供することである。再使用可能な部品は、比較的高価な構成要素を備えることができ、使い捨て可能な部品は、比較的安価な構成要素を備えることができ、コスト効率の高い治療流体(たとえばインスリン)投薬装置を使用者に提供する。この装置は、基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための手順を実施することができる。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、使い捨て部品および再使用可能な部品を有する、インスリン注入および持続ブドウ糖監視パッチユニットを備える装置を提供することである。再使用可能な部品は、比較的高価な構成要素を備えることができ、使い捨て可能な部品は、比較的安価な構成要素を備えることができ、したがってコスト効率の高い装置を使用者に提供する。この装置は、基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための手順を実施することができる。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、遠隔制御することができるインスリン注入パッチユニットを備える装置、および基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための方法を提供することである。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態の一目的は、遠隔制御することができるインスリン注入および持続ブドウ糖監視装置パッチユニットを備える装置、および基礎インスリンプロファイルを使用者用に適合させるための方法を提供することである。
【0048】
いくつかの実施形態では、いくつかの既定の基礎インスリン注入パターンが利用可能である。制御者(または使用者)はまず、自分自身の日周インスリン感受性(すなわち1単位のインスリンによって低減される血糖の量)を最も近く模倣するパターンを選択することができる。既定の利用可能なパターンからのパターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンは、以下の特定の使用者の個人的特徴(パラメータ)、すなわち年齢、肥満指数(BMI)、および/またはボーラスインスリン要求のうちの1つまたは複数に基づく。たとえば性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターンおよび睡眠時間(たとえば、IGF−1の産生を制御する成長ホルモンなど、インスリンを逆調節するホルモンは、睡眠中に分泌される)、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病発現時の年齢、食事インスリン/kg/日、および総インスリン/kg/日などのさらなる特徴もまた、初期基礎パターンを選択するときに考慮することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンの決定(たとえば選択)は、年齢のみに基づくことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンパターンは、(たとえば1時間毎など)時間区分毎の絶対用量ではなく、基礎インスリン注入速度変化のパターンを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、使用者は、自分の1日総用量(TDD)を入力することができ、装置はそのTDDを、(たとえば装置内にプログラムされたコンピュータプログラム命令に基づいて決定されるような)適当な基礎インスリンパターンに従って分布させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、即効型インスリンと異なる薬物動態を有するインスリン製剤が使用される場合、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態に合うように、たとえば時間をずらすなどして調整される。
【0054】
いくつかの実施形態では、即効型インスリン(たとえばノボラピッド、フマログ)ではなく通常のインスリンが使用される場合、使用者固有の基礎インスリン要求を満たすために、基礎インスリン注入速度パターンを(1時間など)所定の時間単位だけ先にずらすことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、小児および青年(たとえば18歳まで)は、主にその年齢に基づいて、いくつかの(たとえば7つの)基礎インスリン注入速度パターンのうちの1つを割り当てられることになる。
【0056】
(たとえば)12.5〜17.3歳の使用者には、パターンの夕方近くに相当する点ではなく早朝に相当する点により高いインスリンピークを有する2相性の「暁−薄暮パターン」を割り当てることができる。より低い年齢は、「暁−薄暮」パターンの暁ピークの時間が早められ暁ピークと薄暮ピークの実質的な融合をもたらすように、初期設定された基礎パターンを変えることができる。4.5〜11歳の使用者には、パターンのほぼ午後9時から10時に相当する点に広いインスリンピークを有する1相性基礎インスリン注入速度を割り当てることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、患者は、自分の基礎プロファイルの相対的な分布(たとえばパターンの全体的な挙動)は変化させることができないが、自分の基礎プロファイルの大きさを一時的に変化させて、より多量のインスリンを必要とする病気および発熱、インスリン要求を増大させる薬物(コルチゾンなど)を用いた治療の開始、またはインスリン要求を低減させる長時間の身体活動など、特別な状況に合うよう調整することができるようになる。
【0058】
いくつかの実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイルは、医者または使用者が変えることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、新規の適合された基礎インスリンプロファイルは、自動的に調整される。
【0060】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンを適合させるための方法は、インスリン注入装置内に実装することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、ブドウ糖監視装置内に実装することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、インスリンを送達しブドウ糖を監視することができる装置内に実装することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、インスリン投薬パッチユニットおよび遠隔制御ユニットを備える、インスリン注入装置内に実装することができる。ブドウ糖感知装置(たとえば血糖測定器)は、遠隔制御ユニット内に統合することができる。いくつかの実施形態では、パッチユニットは、2つの部品、すなわち、電子要素、駆動要素、およびポンプ要素を含む再使用可能な部品と、たとえばインスリン容器などを含む使い捨て可能な部品とで構成することができる。ブドウ糖感知装置(たとえば血糖測定器)は、あるいは、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に統合することもできる。
【0064】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させる方法は、インスリン注入装置の遠隔制御ユニット内に実装することができる。あるいは、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に実装することもできる。
【0065】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、体内のブドウ糖値を持続的に監視し同時にインスリンを体内に送達することができるパッチユニット内に実装することができる。パッチユニットは、再使用可能な部品および使い捨て可能な部品を備えることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、基礎インスリンプロファイルを適合させるための方法は、装置の遠隔制御ユニット内に実装することができる。あるいは、この方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品内に実装することもできる。あるいは、この方法は、装置のパッチユニットの再使用可能な部品および装置の遠隔制御ユニットの両方の内部に実装することもできる。
【0067】
いくつかの実施形態では、インスリン要求が非常に低い場合(たとえば新生児は0.1単位/時の基礎用量を必要とすることがある)、装置は、インスリン製剤の希釈実行の推奨を生成することができる。一般に、即効性の類似体は、100IU(100IU/ml)で入手可能である。1時間当たりの基礎速度が(たとえば0.1IU/時など)非常に低い場合、この1時間当たりの少ない流体スループットは、より希釈されたインスリンおよびより多い流体スループットに比べて、より速いカテーテル閉塞をもたらすおそれがある。この問題を回避するために、インスリンを含有しない媒質を用いてインスリン希釈液を調製することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、投薬装置は、インスリンを含有しない媒質を備えることができ、自動インスリン希釈を実行することができる。投薬される容量は、この希釈に基づくことになる。
【0069】
1つの態様では、インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムが開示される。このシステムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニットと、既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構とを備え、この基礎注入パターンは、複数の既定の基礎注入パターンから選択される。
【0070】
このシステムの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0071】
基礎注入パターンの選択は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づくことができる。
【0072】
投薬ユニットは、インスリンを保持するための容器と、使用者の体内に配置するための端部を有するカニューレと、インスリンを容器からカニューレに送達するためのポンプとを備えることができる。
【0073】
基礎インスリンの送達を制御するための制御機構は、ポンプによる基礎インスリンの送達を選択された基礎注入パターンに従って制御するように構成された処理装置を含むことができ、この基礎注入パターンは、所定の順序の基礎注入速度変化を含む。所定の順序の速度変化は、1時間またはそれ未満の間隔で定義することができる。この所定の順序は、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含むことができる。
【0074】
制御機構はさらに、投薬ユニットの容器内に保持される基礎インスリンの型に基づいて、基礎注入パターンの時間をずらすように構成することができる。
【0075】
このシステムは、制御機構と通信する使用者入力インタフェースをさらに備えることができる。制御機構はさらに、投薬ユニットによって送達されるインスリンの用量を増加または減少させるために、使用者入力インタフェースを介して入力された使用者入力に応答して基礎注入パターンによって定義された基礎注入速度変化の順序を中断させずに、投薬ユニットにより送達される基礎インスリンの量を調整するように構成することができる。
【0076】
制御機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて基礎注入パターンを決定するための、基礎注入速度パターン機構を備えることができる。基礎注入パターン機構は、たとえば年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数を含む、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを決定するように構成することができる。基礎注入パターンを決定するように構成された基礎注入パターン機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを複数の所定のパターンから選択するように構成することができる。
【0077】
基礎注入パターンは、使用者の年齢に基づいて選択することができる。
【0078】
選択された基礎注入パターンは、基礎インスリンの生理的な日周要求に基づいて決定することができる。
【0079】
複数の既定の基礎注入パターンは、早朝の期間に相当するパターンの一時点にあるピークと、夕方近くの期間に相当するパターンの別の時点にあるピークとを有する2相性パターンを含むことができる。
【0080】
複数の既定の基礎注入パターンは、正午頃の期間に相当するパターンの一時点にある広いインスリンピークを有する1相性のパターンを含むことができる。
【0081】
このシステムはさらに、選択された基礎注入パターンの有効性に関するデータを収集し、収集されたデータに基づいて選択された基礎注入パターンを調整するように構成することができる。
【0082】
基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構は、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて基礎注入パターンを決定し、決定された基礎注入パターンの適合性評価を、使用者の血糖状態に基づいて実行するように構成することができる。基礎注入パターンの適合性評価を実行するように構成された制御機構は、基礎パターンの適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成することができる。基礎注入パターンの適合性評価を実行するように構成された制御機構は、基礎パターンの適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成することができる。
【0083】
制御機構はさらに、選択された基礎注入パターンを、決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す評価に基づいて調整するように構成することができる。
【0084】
制御機構はさらに、決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するように構成することができる。適合性の欠如を示す評価に基づいてその他の基礎注入パターンを決定するように構成された制御機構は、その他の基礎注入パターンを、適合性の欠如を示す評価に基づいて、複数の基礎注入パターンから選択するように構成することができる。
【0085】
このシステムは、投薬ユニットから離して収容される遠隔制御部をさらに含むことができる。
【0086】
このシステムはさらに、使用者の血糖値を測定するための血糖測定器を備えることができる。
【0087】
基礎インスリンの送達を、選択された基礎注入パターンに従って制御するための制御機構はさらに、基礎インスリンの送達を、測定された使用者の血糖値に少なくとも部分的に基づいて制御するように構成することができる。
【0088】
このシステムは、使用者の身体に固定可能な受け台ユニットをさらに備えることができ、この受け台ユニットは、少なくとも投薬ユニットを受けるように構成される。
【0089】
別の態様では、使用者の身体に基礎インスリンを送達するための方法が開示される。この方法は、複数の既定の基礎注入パターンから1つの既定の基礎注入パターンを決定するステップと、決定された基礎注入パターンに基づいてインスリンを使用者の身体に送達するステップとを含む。
【0090】
この方法の実施形態は、システムに関して上記で説明した任意の特徴、ならびに以下の特徴のうちのいずれか1つを含むことができる。
【0091】
既定の基礎注入パターンを決定するステップは、使用者のための基礎注入パターンを、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップを含むことができる。
【0092】
さらに別の態様において、使用者の身体に基礎インスリン用量を送達するための装置が開示される。この装置は、使用者の少なくとも1つの特徴に関する入力を受け取るための使用者インタフェースと、受け取った入力に少なくとも部分的に基づいて、複数の基礎インスリン注入パターンから使用者のための基礎注入パターンを選択するための適合された基礎インスリンプロファイル機構を含む。
【0093】
この装置の実施形態は、システムおよび方法のうちのいずれか1つに関して上記で説明した、任意の特徴を含むことができる。
【0094】
上記の全体的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示および説明のためのものに過ぎず限定的なものではないことに留意されたい。本明細書において示すものに加えて、さらなる特徴部分および/または変形形態を提供することができる。たとえば、本明細書において説明する実装形態は、開示された特徴部分の様々な組合せおよびサブコンビネーション、ならびに/または詳細な説明において以下で開示するいくつかのさらなる特徴部分の組合せおよびサブコンビネーションを対象とすることができる。
【0095】
本開示の実施形態を、その様々な目的および利点を含めて、以下の例示的な図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】現在入手可能なインスリンポンプとともに使用されるプロファイルなど、例示的な基礎インスリンプロファイルを示すグラフである。
【図2】患者の年齢に基づいて適合させられた例示的な基礎インスリン分布速度を示すグラフである。
【図3a】様々なインスリン製剤に合わせて調整された、例示的な適合された基礎パターンを示す表である。
【図3b】様々なインスリン製剤に合わせて調整された、例示的な適合された基礎パターンを示すグラフである。
【図4】プロファイルのパターンの特徴を維持しながら基礎インスリンの量を一時的に変化させるように調整された、例示的な基礎パターンを示すグラフである。
【図5】例示的な適合されたインスリン注入速度分布手順を示すブロック図である。
【図6】インスリン投薬ユニット、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を備える遠隔制御ユニットを備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図7a】インスリン注入ポンプ、ブドウ糖測定装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを組み込む装置を備える、例示的なシステムを示す概略図である。
【図7b】インスリン注入ポンプ、ブドウ糖測定装置、および、適合された基礎インスリンプロファイルを組み込む装置を備える、例示的なシステムを示す概略図である。
【図8a】適合された基礎インスリンプロファイル機構のための血糖示度(BG)を実行する持続皮下ブドウ糖監視装置を備える、あるインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図8b】適合された基礎インスリンプロファイル機構のための血糖示度(BG)を実行する持続皮下ブドウ糖監視装置を備える、別のインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図9a】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置をある位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図9b】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置を別の位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図9c】適合された基礎インスリン機構のための血糖(BG)示度を提供するための血糖監視装置をさらに別の位置に備える、例示的なインスリン注入装置を示す概略図である。
【図10a】ある位置に配置された適合された基礎インスリンプロファイルを備える、あるインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図10b】別の位置に配置された適合された基礎インスリンプロファイルを備える、別のインスリン注入装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
【図11】パーソナルコンピュータ、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を有する遠隔制御ユニットを備える、システムの例示的な実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムを開示する。システムは、インスリンを身体に送達するための投薬ユニット、および使用者に適合された基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構を備える。以下でより詳細に説明するように、適合された基礎注入パターンは、使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて決定することができる。
【0098】
図2を参照すると、本明細書で説明する装置によって使用することができる、3つの初期基礎インスリン注入速度分布(すなわちパターン)の例示的なグラフが示されている。本明細書で説明するような装置など注入装置の動作を最初に開始するとき、使用者(たとえば患者)はまず、患者の基礎インスリン分布要求と最も一致しそうな基礎インスリン注入パターンが割り当てられる。この初期割当ては、少なくとも部分的に、たとえば使用者の年齢など、知られている個人的特徴に基づくことができる。その他の個人的特徴を、使用する初期基礎インスリン分布プロファイルを決定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、使用する初期プロファイルの決定は、インスリン注入装置の記憶装置に記憶された複数の既定プロファイルのうちの1つを選択することによって行われる。
【0099】
パターン1(ダイヤ形(菱形)のカーソル(点)でマークされる)は、夕方近くよりも早朝により高いインスリンピークを有する2相性の「暁−薄暮」パターンを表す。そのようなパターンは、使用者が思春期後期または思春期後の年齢(たとえば15〜17歳)である状況において、使用者に割り当てられる初期パターンとして選択することができる。パターン2(三角形カーソルでマークされる)は、たとえばパターン1において使用されるよりも低いインスリンピークを早朝に有し、またより早い午後のピークを有する別の2相性の「暁−薄暮」パターンを表す。パターン2は、わずかにより若い使用者(たとえば12〜14歳)に適していることがある。パターン3(四角形カーソルでマークされる)は、正午頃に広いインスリンピークを有する1相の基礎インスリン注入速度を示す。そのようなパターンは、思春期前段階後期(たとえば8〜11歳)の使用者用に最初に選択することができる。図2に示したパターンは、インスリン注入速度を1時間間隔で指定するが、いくつかの実施形態では、基礎インスリン速度を、より頻繁な間隔(たとえば15分間隔)で変化させる(指定する)ことができる。
【0100】
図3aを参照すると、例示的な市販のインスリン製剤の様々な特性を表す表が示されている。SCIIの実行において使用される適当なインスリン製剤は、たとえば即効型インスリン(たとえばリスプロ、アスパルト)を含む。即効型インスリンは、0.5〜1.5時間以内にそのピーク血漿濃度に到達する。正規インスリンは、2〜3時間以内にそのピーク血漿濃度に到達する。
【0101】
図3bを参照すると、即効型インスリンの使用に基づく例示的な適合された基礎インスリンパターン(四角形カーソルでマークされる)のグラフが、正規インスリンの使用に基づく、ずらされた基礎インスリンパターン(ダイヤ形カーソルでマークされる)と比較される。図示のように、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態に合うように、たとえば1時間など時間がずらされる。こうして、即効型インスリンに対応するものと異なる薬物動態および/または薬力学を有するインスリン製剤が使用されるいくつかの実施形態では、適合された基礎パターンは、異なる薬物動態および/または薬力学に合うように時間をずらすことができる。いくつかの実施形態では、即効型インスリン(たとえばノボラピッド、フマログ)ではなく正規インスリンが使用される場合、使用者固有の基礎インスリン要求を満たすために、基礎インスリン注入速度パターンを1時間先にずらすことができる。
【0102】
図4を参照すると、一方でプロファイルのパターンの特徴を維持しながら、基礎インスリンの量を一時的に変化させるように調整された、例示的な基礎パターンを示すグラフが示されている。このように、いくつかの実施形態では、注入速度(たとえば患者の体内に注入されるインスリンのレベル)を上昇または低下させるために、注入パターンの特定の区間を一時的またはより恒久的に改変することができる。そのような変化は、注入パターンを調整するために、患者自身または資格を有する使用者(医者、技術者など)が行うことができる。所与の例では、使用者は、(たとえば使用者の日課にある身体訓練を休んだため、または患者のインスリン要求に影響を及ぼすその他多くの可能性のある理由のため)基礎インスリンレベルを8:00から12:00まで一時的に上昇させた。
【0103】
図5を参照すると、たとえば適合された基礎インスリンパターン機構(適合された基礎インスリンプロファイル装置とも呼ばれる)によって実行される、例示的なインスリン注入パターン選択手順のブロック図が示されている。まず、既定の複数のプロファイルの中から適当な初期基礎インスリンプロファイルを決定すること(たとえば選択)を可能にするために必要な入力データが、101で提供される。いくつかの実施形態では、提供することができる入力データは、たとえば患者の年齢、患者の体重、患者の肥満指数(BMI)などを含む、患者の個人的特徴を含むことができる。必要な入力が装置によって受け取られると、適当な初期基礎インスリン注入パターンの選択が、102で行われる。この選択はたとえば、提供された患者の個人的特徴を考慮して、使用可能なそれぞれの所定のパターンの、その患者のためのインスリン注入へのそのパターンの適合性を表す点数を計算することによって、実行することができる。計算された点数は、ランク付けすることができ、「最高」点数に対応するパターンが最も適当なパターンであるとみなされ、したがってさらなる処理のために選択されることが可能である。いくつかの実施形態では、初期パターンが選択されると、選択されたパターンの適合性が103で評価される。選択されたパターンの評価は、たとえば患者の血糖状態の判定に基づくことができ、したがって選択されたパターンの適合性の判定を可能にする。いくつかの実施形態では、血糖状態は、ヘモグロビンA1C値の周期的なデータ(たとえば3ヶ月間隔での)に基づいて判定することができる。いくつかの実施形態では、血糖状態を、持続血糖測定(CGM)に基づいて判定することができ、それに基づいて、血糖(BG)目標ゾーンからのずれの回数および持続時間、すなわち使用者が低血糖または高血糖になる回数およびそれらの状態にかかる持続時間を判定することができる。
【0104】
最初に選択された基礎インスリン注入パターンが、たとえば患者の血糖状態の評価などに基づいて適当であると判定された場合、最初に選択されたパターンは104で、患者へのインスリン注入を実行するために使用されるパターンとして確認される。
【0105】
一方、最初に選択されたパターンが、(たとえば患者の血糖状態の評価に基づいて)患者にとって適当でないと判定された場合、代替基礎インスリン注入パターンが、105で選択される。いくつかの実施形態では、代わりに選択されるパターンはたとえば、使用者の固有の個人的特徴に基づいて決定されるような、(上記で説明した動作102に関して説明したようにパターンのランク付けが実行される状況における)2番目に最も適当なパターンとすることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、(たとえば年齢、BMI、ボーラスインスリン要求など)それに基づいて適当なパターンの初期選択が行われる一次入力への任意の変更が、装置に与えられる入力の更新106をもたらし、パターン選択手順が再び実行される。
【0107】
上述の通り、いくつかの実施形態では、適当な(たとえば最適の)初期基礎パターンの選択は、BMI、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターンおよび睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病発現時の年齢、食事インスリンの/kg/日、ならびに総インスリン/kg/日など、追加の一次使用者入力に基づくことができる。いくつかの実施形態では、(102で実行されるような)最適基礎パターンの初期選択は、たとえば使用者の年齢のみなど、単一の要素に基づくことができる。いくつかの実施形態では、所定のパターンのレパートリからのパターンを最初に選択する動作、および選択されたパターンの適合性を評価する動作は、1つのプロセスにまとめることができ、そのプロセスにおける初期選択は、患者の一次個人的特徴に加えて、選択されたパターンの適合性評価を実行するために図5の手順において使用される要素にも基づく。したがって、たとえばいくつかの実施形態では、複数の所定のパターンからのパターンの初期選択は、患者の血糖状態を因子として含む。
【0108】
図6を参照すると、インスリン注入システム1000の概略図が示されている。このインスリン注入システムは、患者の皮膚5に固定することができるパッチユニット1010と、パッチユニットのプログラミング、使用者入力および取得データなどの通信を可能にするために投薬パッチユニット1010と通信するための、遠隔制御ユニット1008とを備える。
【0109】
いくつかの実施形態では、たとえばパッチユニット上に配置されたボタンを備える使用者インタフェースなど、使用者インタフェースを介して手動入力を設けることができる。パッチユニットは、パッチユニットの様々なモジュール/構成要素を収容するための単一ハウジング1001を備えることができ、あるいは、再使用可能な部品1および使い捨て部品2など、2つの取付け可能な部品(それぞれ独自の個別ハウジングを有する)を備えることができる。
【0110】
図示のように、パッチユニット1010は、インスリンの送達を可能にするように皮膚5を貫通するカニューレ6を備える。パッチユニット(1010)は、接着剤(図示せず)によって患者の皮膚に直接取り付けることができ、または、パッチユニットの連結および取外しを可能にするための、患者の皮膚に固定可能な専用受け台ユニット(図示せず)に取り付けることができる。
【0111】
さらに示すように、遠隔制御ユニット1008は、患者の体内へのインスリン(または他のタイプの治療流体)の注入を制御するために使用される、基礎インスリンパターン(またはプロファイル)を決定するための適合された基礎インスリンプロファイル機構100を備える。いくつかの実施形態では、インスリンプロファイル機構は、インスリンパターン決定プロセスの実行をもたらす処理装置命令を実行するように構成された、処理装置をベースとする装置を用いて実装することができる。したがって、インスリンプロファイル機構のそのような実装形態は、処理装置3010、使用者入力インタフェース3020、および表示装置3030など使用者出力インタフェースを備えることができる。入力インタフェースは、適合された基礎インスリンプロファイル機構100のための使用者入力を提供するため、およびパッチユニットのプログラミングを実行または促進するための、両方に使用することができる。
【0112】
図7aおよび図7bを参照すると、例示的なインスリン注入システム1000の概略図が示されている。図7aおよび図7bのシステム1000の実施形態は、インスリン注入ポンプ1010と、血糖測定装置(たとえば血糖測定器)90と、適合されたインスリン基礎プロファイル決定を実行するための適合された基礎インスリンプロファイル機構(たとえば装置)100とを備える。インスリン注入ポンプ1010は、インスリンの送達を可能にするように患者の皮膚5を貫通するための、カニューレ6を備える。
【0113】
図7aに示すように、適合された基礎インスリンプロファイル機構100は、血糖測定装置90内に設置される。一方、図7(b)では、適合された基礎インスリンプロファイル機構100は、インスリン注入ポンプ1010内に設置される。
【0114】
いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプ1010は、遠隔制御ユニットと通信して、プログラミング命令、使用者入力、およびデータ取得の通信を可能にする。そのような実施形態では、適合された基礎インスリンプロファイル機構は、遠隔制御ユニット内に設置することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプは、血糖測定器を備える。あるいは血糖測定器は、ポンプの遠隔制御ユニット内またはポンプユニット自体の内部に設置することができる。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、血糖測定器ユニット、ポンプユニット、または遠隔制御ユニットのうちのいずれの内部に設置することもできる。
【0116】
いくつかの実施形態では、システムは、インスリン注入ポンプ、持続血糖測定(CGM)装置、および適合された基礎インスリンプロファイル機構を備える。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、ポンプまたはCGM装置のいずれかの内部に設置することができる。いくつかの実施形態では、インスリン注入ポンプは、持続血糖測定(CGM)装置を備える。注入ポンプおよび持続血糖測定(CGM)装置は、同じハウジング内に配置することができ、遠隔制御ユニットと通信することができる。適合された基礎インスリンプロファイル機構は、CGMまたはポンプユニット内、または遠隔制御ユニット内に設置することができる。
【0117】
図8aおよび図8bを参照すると、インスリン注入システムの例示的な実施形態の概略図が示されている。図8aおよび図8bに示す実施形態では、たとえば適合された基礎インスリンプロファイル機構100によって実行されるような適合された基礎インスリンプロファイル決定のために要求される血糖示度が、持続皮下ブドウ糖監視装置1006から受信される。持続皮下ブドウ糖監視装置1006と、たとえば遠隔制御ユニット1008内にある適合された基礎インスリンプロファイル機構100との間の通信リンクが維持され、したがってプログラミング命令、データ処理、および使用者入力の通信を可能にする。
【0118】
図8aは、注入システムの残りの部分と別個に収容された持続皮下ブドウ糖監視装置1006によって現在の血糖(BG)が測定される、注入システムを示す。図8bは、持続皮下ブドウ糖感知(監視)装置1006がインスリン送達システムのパッチユニット1010内に配置される(すなわち感知装置1006がパッチユニット1010内に収容される)注入システムを示す。すなわち、図8bに示す実施形態においてインスリン投薬装置1005およびブドウ糖感知装置1006は、単一の送達装置を構成し、したがって、注入システムの投薬および感知動作の両方を実行するために、単一のカニューレ6を使用することができる。あるいはいくつかの実施形態では、感知装置および投薬装置は、皮膚5を貫通し皮下組織内にある別々のカニューレを有することができる。図8bにさらに示すように、送達(すなわち注入)システムは、2つの部品、すなわち再使用可能な部品1および使い捨て部品2を備えることができ、各部品はそれぞれ、別個のハウジング1001、1002を有する。
【0119】
図9a、図9b、および図9cを参照すると、インスリン投薬システムの3つの例示的な実施形態の概略図が示されており、各実施形態はそれぞれ、血糖(BG)の測定および判定し、判定された血糖を適合された基礎インスリンプロファイル機構100のための入力として提供するために使用される、血糖測定器90を備える。図9aは、装置の遠隔制御ユニット1008内に配置された血糖測定器90を示す。図示のように、血糖測定器90は、試験片99を受けるための開口95を備える。使用者は、身体から血液を抜き出し、その血液を試験片99上にのせ、試験片を開口内に挿入することができる。血糖測定器によって測定および処理されるようなブドウ糖示度90は、遠隔制御ユニット1008の画面80上に表示される。
【0120】
図9bは、パッチユニット1010の再使用可能な部品2内に配置された、血糖測定器90を示す。パッチユニット1010内にある血糖測定器90と、たとえば遠隔制御ユニット1008に存在することがある適合された基礎インスリンプロファイル機構100との間に、通信チャネル300が確立および維持され、したがってプログラミング命令/指令、取得データ、および使用者入力の通信を可能にする。図9bにさらに示すように、血糖測定器90は、血液試料が上に配置された試験片99を受けるための開口を備えることができ、血糖測定器90が血糖を測定し、血糖を表す信号を発生することを可能にして、血液が試料採取された患者のための、インスリン注入を制御するための注入プロファイルの決定を可能にする。
【0121】
図9cは、インスリン投薬システムの例示的な実施形態を示しており、このシステムでは、投薬システムのその他のユニット/モジュールと別個に収容された血糖測定器によって、ブドウ糖値が決定される。こうして決定された(1つまたは複数の)ブドウ糖値は、使用者の身体へのインスリン注入を制御するための注入プロファイルの決定および/または調整を可能にするための、遠隔制御ユニット1008に提供されることが可能である。
【0122】
図10a〜図10bを参照すると、別々の異なる位置にあるそれぞれ別々の適合された基礎インスリンプロファイル機構を有する、インスリン投薬システムの2つの例示的な実施形態の概略図が示されている。図示の実施形態では、パッチユニット1010は、2つのハウジング1001、1002内に配置された2つの部品、すなわち再使用可能な部品1および使い捨て部品2を備える。パッチユニットの比較的安価な構成要素は、一般に、使い捨て部品2(たとえばカニューレ6)内にあり、比較的より高価な構成要素は、再使用可能な部品1内にある。いくつかの実施形態では、カニューレは、皮膚に固定可能な受け台部品(針ユニットをともに構成する)に取り付けることができ、針ユニットへのパッチユニットの接続および取外しを可能にする。
【0123】
インスリン投薬システムはまた、遠隔制御ユニット1008も備える。プログラミング命令/指令は、パッチユニット上に配置された使用者インタフェース(たとえばボタン)を介する遠隔制御によって、提供および通信することができる。
【0124】
図10aに示すように、適合された基礎インスリンプロファイル装置100は、遠隔制御ユニット1008内に配置される。図10bでは、適合された基礎インスリンプロファイル機構(装置)100は、パッチユニット1010の再使用可能な部品1内に配置される。
【0125】
図11を参照すると、適合された基礎インスリンプロファイル機構100を備える遠隔制御ユニット1008と通信するパーソナルコンピュータ(PC)を備える、システムの例示的な実施形態の斜視図が示されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、機構100によって決定または調整された最適な基礎プロファイルの任意の変更は、(たとえばコンピュータ50に、または投薬システムまたは遠隔装置上の任意の場所の任意の記憶装置に)記憶することができ、および/または、任意の図または図以外のやりかたで表示することができる。いくつかの実施形態では、記憶されたデータを、評価、確認、またはその他の任意の臨床的介入のために、(たとえば電子メールによって)使用者の医者に自動的に送信することができる。
【0127】
したがって、使用者への基礎インスリン送達の適合を実施するための装置、システム、および方法を、本明細書に記載する。特定の実施形態を本明細書において詳細に開示してきたが、これは例示のための例として行ったに過ぎず、添付の特許請求の範囲の範囲に対する限定を意図するものではない。特に、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な置換、改変、および修正を行うことができることが意図されている。本明細書において参照した上記の特許、特許出願、および出版物はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。その他の態様、利点、および修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。提示される特許請求の範囲は、本明細書で開示した本発明を代表するものである。その他の特許請求されない発明もまた意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムであって、
前記インスリンを前記身体に送達するための投薬ユニットと、
既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構であって、前記基礎注入パターンが、複数の既定の基礎注入パターンから選択される、制御機構とを備える、システム。
【請求項2】
前記基礎注入パターンの前記選択が、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記投薬ユニットが、
前記インスリンを保持するための容器と、
前記使用者の体内に配置するための端部を有するカニューレと、
前記インスリンを前記容器から前記カニューレへと送達するためのポンプとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御機構は、前記インスリンの送達を制御するためにあり、前記制御機構は、
前記ポンプによる前記基礎インスリンの送達を、前記選択された基礎注入パターンに従って制御するように構成された処理装置を備え、前記基礎注入パターンが、ある所定の順序の基礎注入速度変化を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の順序の速度変化が、1時間またはそれ未満の間隔で定義される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定の順序が、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御機構がさらに、
前記投薬ユニットの容器内で保持される基礎インスリンの前記型に基づいて、前記基礎注入パターンの時間をずらすように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記制御機構と通信する使用者入力インタフェースをさらに備え、前記制御機構がさらに、前記投薬ユニットにより送達されるインスリンの前記用量を増加または減少させるために、前記使用者入力インタフェースを介して入力された使用者入力に応答して前記基礎注入パターンによって定義された、前記順序の前記基礎注入速度変化を中断させずに、送達される前記基礎インスリンの前記量を調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御機構が、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて前記基礎注入パターンを決定するための基礎注入速度パターン機構を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記基礎注入パターン機構が、年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数を含む、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて前記基礎注入パターンを決定するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記基礎注入パターンを決定するように構成された前記基礎注入パターン機構が、
前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを複数の所定のパターンから選択するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記基礎注入パターンが、前記使用者の年齢に基づいて選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記選択された基礎注入パターンが、基礎インスリンの生理的な日周要求に基づいて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の既定の基礎注入パターンが、早朝の期間に相当する前記パターンの一時点にあるピークと、夕方近くの期間に相当する前記パターンの別の時点にあるピークとを有する2相性パターンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の既定の基礎注入パターンが、正午頃の期間に相当する前記パターンの一時点にある広いインスリンピークを有する1相性パターンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、前記選択された基礎注入パターンの有効性に関するデータを収集し、
前記選択された基礎注入パターンを、前記収集されたデータに基づいて調整するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御機構が、前記基礎インスリンの送達を、前記選択された基礎注入パターンに従って制御するためにあり、前記制御機構が、
前記基礎注入パターンを、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて決定し、
前記使用者の血糖状態に基づいて、前記決定された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記制御機構が、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記制御機構が、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御機構がさらに、
前記選択された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御機構がさらに、前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御機構が、適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを決定するように構成され、前記制御機構が、
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを前記複数の基礎注入パターンから選択するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、前記投薬ユニットから離して収容された遠隔制御部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、前記使用者の血糖値を測定するための血糖測定器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御機構が、前記基礎インスリンの送達を前記選択された基礎注入パターンに従って制御するためにあり、前記制御機構がさらに、前記使用者の前記測定された血糖値に少なくとも部分的に基づいて、前記基礎インスリンの送達を制御するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、前記使用者の前記身体に固定可能な受け台ユニットをさらに備え、前記受け台ユニットが、少なくとも前記投薬ユニットを受容するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
使用者の身体に基礎インスリンを送達するための方法であって、
複数の既定の基礎注入パターンから1つの既定の基礎注入パターンを決定するステップと、
前記決定された基礎注入パターンに基づいて、インスリンを前記使用者の前記身体に送達するステップとを含む方法。
【請求項28】
前記既定の基礎注入パターンを決定するステップが、
前記使用者のための前記基礎注入パターンを、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に関する入力を受け取るステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、前記使用者の血糖状態に基づいて、前記決定された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するステップが、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するステップが、前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、前記決定された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを決定するステップが、
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを前記複数の基礎注入パターンから選択するように構成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記使用者のインスリン要求に基づいて、前記インスリンを送達するカテーテルを通して希釈インスリン溶液を送達するかどうかを決定するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記カテーテルを通して前記希釈インスリン溶液を送達するかどうかを決定するステップが、
前記カテーテルを通して前記希釈インスリン溶液を送達するかどうかを、前記決定された基礎注入パターンに基づいて決定するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基礎注入パターンを、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップが、
年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数に基づいて、前記基礎注入パターンを選択するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
使用者の身体に基礎インスリン用量を送達するための装置であって、
前記使用者の少なくとも1つの特徴に関する入力を受け取るための使用者インタフェースと、
前記受け取った入力に少なくとも部分的に基づいて、複数の基礎インスリン注入パターンから前記使用者のための基礎注入パターンを選択するための適合された基礎インスリンプロファイル機構と、を備える装置。
【請求項40】
前記選択された基礎注入パターンに従って、前記基礎インスリンを前記使用者の身体に送達するための投薬ユニットをさらに備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記選択された基礎注入パターンが、前記基礎インスリンを前記使用者の身体に送達するための所定の順序の基礎注入速度変化を含む、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記選択された基礎注入パターンの前記速度変化が、1時間またはそれ未満の間隔で定義される、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記所定の順序の基礎注入速度が、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含む、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、使用される基礎インスリンの前記型に基づいて、前記選択されたパターンの時間をずらすように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項45】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記使用者の前記少なくとも1つの特徴に関する前記入力に基づいて前記基礎注入パターンを選択するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数に基づいて、前記基礎注入パターンを選択するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項46】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記基礎注入パターンを選択するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記基礎インスリン注入パターンを前記使用者の年齢に基づいて選択するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項47】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記使用者の血糖状態に基づいて、前記選択された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項48】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、
前記選択された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記選択された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、
前記選択された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記選択された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを選択するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項1】
インスリンを使用者の身体に送達するためのシステムであって、
前記インスリンを前記身体に送達するための投薬ユニットと、
既定の基礎注入パターンに従って基礎インスリンの送達を制御するための制御機構であって、前記基礎注入パターンが、複数の既定の基礎注入パターンから選択される、制御機構とを備える、システム。
【請求項2】
前記基礎注入パターンの前記選択が、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記投薬ユニットが、
前記インスリンを保持するための容器と、
前記使用者の体内に配置するための端部を有するカニューレと、
前記インスリンを前記容器から前記カニューレへと送達するためのポンプとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御機構は、前記インスリンの送達を制御するためにあり、前記制御機構は、
前記ポンプによる前記基礎インスリンの送達を、前記選択された基礎注入パターンに従って制御するように構成された処理装置を備え、前記基礎注入パターンが、ある所定の順序の基礎注入速度変化を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の順序の速度変化が、1時間またはそれ未満の間隔で定義される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定の順序が、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御機構がさらに、
前記投薬ユニットの容器内で保持される基礎インスリンの前記型に基づいて、前記基礎注入パターンの時間をずらすように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記制御機構と通信する使用者入力インタフェースをさらに備え、前記制御機構がさらに、前記投薬ユニットにより送達されるインスリンの前記用量を増加または減少させるために、前記使用者入力インタフェースを介して入力された使用者入力に応答して前記基礎注入パターンによって定義された、前記順序の前記基礎注入速度変化を中断させずに、送達される前記基礎インスリンの前記量を調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御機構が、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて前記基礎注入パターンを決定するための基礎注入速度パターン機構を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記基礎注入パターン機構が、年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数を含む、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて前記基礎注入パターンを決定するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記基礎注入パターンを決定するように構成された前記基礎注入パターン機構が、
前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、基礎注入パターンを複数の所定のパターンから選択するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記基礎注入パターンが、前記使用者の年齢に基づいて選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記選択された基礎注入パターンが、基礎インスリンの生理的な日周要求に基づいて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の既定の基礎注入パターンが、早朝の期間に相当する前記パターンの一時点にあるピークと、夕方近くの期間に相当する前記パターンの別の時点にあるピークとを有する2相性パターンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の既定の基礎注入パターンが、正午頃の期間に相当する前記パターンの一時点にある広いインスリンピークを有する1相性パターンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、前記選択された基礎注入パターンの有効性に関するデータを収集し、
前記選択された基礎注入パターンを、前記収集されたデータに基づいて調整するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御機構が、前記基礎インスリンの送達を、前記選択された基礎注入パターンに従って制御するためにあり、前記制御機構が、
前記基礎注入パターンを、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に基づいて決定し、
前記使用者の血糖状態に基づいて、前記決定された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記制御機構が、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記制御機構が、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御機構がさらに、
前記選択された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御機構がさらに、前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御機構が、適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを決定するように構成され、前記制御機構が、
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを前記複数の基礎注入パターンから選択するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、前記投薬ユニットから離して収容された遠隔制御部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、前記使用者の血糖値を測定するための血糖測定器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御機構が、前記基礎インスリンの送達を前記選択された基礎注入パターンに従って制御するためにあり、前記制御機構がさらに、前記使用者の前記測定された血糖値に少なくとも部分的に基づいて、前記基礎インスリンの送達を制御するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、前記使用者の前記身体に固定可能な受け台ユニットをさらに備え、前記受け台ユニットが、少なくとも前記投薬ユニットを受容するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
使用者の身体に基礎インスリンを送達するための方法であって、
複数の既定の基礎注入パターンから1つの既定の基礎注入パターンを決定するステップと、
前記決定された基礎注入パターンに基づいて、インスリンを前記使用者の前記身体に送達するステップとを含む方法。
【請求項28】
前記既定の基礎注入パターンを決定するステップが、
前記使用者のための前記基礎注入パターンを、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて、複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記使用者の前記1つまたは複数の個人的特徴に関する入力を受け取るステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、前記使用者の血糖状態に基づいて、前記決定された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するステップが、
前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するステップが、前記決定された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、前記決定された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを決定するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを決定するステップが、
適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、前記他の基礎注入パターンを前記複数の基礎注入パターンから選択するように構成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記使用者のインスリン要求に基づいて、前記インスリンを送達するカテーテルを通して希釈インスリン溶液を送達するかどうかを決定するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記カテーテルを通して前記希釈インスリン溶液を送達するかどうかを決定するステップが、
前記カテーテルを通して前記希釈インスリン溶液を送達するかどうかを、前記決定された基礎注入パターンに基づいて決定するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基礎注入パターンを、前記使用者の1つまたは複数の個人的特徴に基づいて複数の既定の基礎注入パターンから選択するステップが、
年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数に基づいて、前記基礎注入パターンを選択するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
使用者の身体に基礎インスリン用量を送達するための装置であって、
前記使用者の少なくとも1つの特徴に関する入力を受け取るための使用者インタフェースと、
前記受け取った入力に少なくとも部分的に基づいて、複数の基礎インスリン注入パターンから前記使用者のための基礎注入パターンを選択するための適合された基礎インスリンプロファイル機構と、を備える装置。
【請求項40】
前記選択された基礎注入パターンに従って、前記基礎インスリンを前記使用者の身体に送達するための投薬ユニットをさらに備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記選択された基礎注入パターンが、前記基礎インスリンを前記使用者の身体に送達するための所定の順序の基礎注入速度変化を含む、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記選択された基礎注入パターンの前記速度変化が、1時間またはそれ未満の間隔で定義される、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記所定の順序の基礎注入速度が、平均基礎注入速度からの所定の順序のずれを含む、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、使用される基礎インスリンの前記型に基づいて、前記選択されたパターンの時間をずらすように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項45】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記使用者の前記少なくとも1つの特徴に関する前記入力に基づいて前記基礎注入パターンを選択するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、年齢、肥満指数(BMI)、ボーラスインスリン要求、性別、糖尿病の継続期間、代謝制御、身体活動、睡眠パターン、睡眠時間、ヘモグロビンA1c値、真性糖尿病(DM)の発現時の年齢、食事インスリン/kg、食事インスリン/日、総インスリン/kg、および総インスリン/日のうちの1つまたは複数に基づいて、前記基礎注入パターンを選択するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項46】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記基礎注入パターンを選択するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記基礎インスリン注入パターンを前記使用者の年齢に基づいて選択するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項47】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記使用者の血糖状態に基づいて、前記選択された基礎注入パターンの適合性の評価を実行するように構成される、請求項39に記載の装置。
【請求項48】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記決定された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、
前記選択された基礎パターンの前記適合性を、使用者のブドウ糖値の目標領域からのずれを表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、前記選択された基礎注入パターンの前記適合性の前記評価を実行するように構成され、前記適合された基礎インスリンプロファイル機構が、
前記選択された基礎パターンの前記適合性を、使用者のヘモグロビンA1C値を表すデータに基づいて評価するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記選択された基礎注入パターンを、前記決定された基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて調整するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
前記適合された基礎インスリンプロファイル機構がさらに、
前記基礎注入パターンの適合性の欠如を示す前記評価に基づいて、別の基礎注入パターンを選択するように構成される、請求項47に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【公表番号】特表2010−531707(P2010−531707A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514246(P2010−514246)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000863
【国際公開番号】WO2009/001349
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(508135194)メディンゴ・リミテッド (20)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000863
【国際公開番号】WO2009/001349
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(508135194)メディンゴ・リミテッド (20)
【Fターム(参考)】
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