説明

適合型多層熱伝導性中間構体およびそれを具備するメモリモジュール

【課題】メモリモジュールまたは他のデバイスに搭載の1つまたは複数のコンポーネントから放熱する際の利用に適切な熱伝導性中間構体を提供する。
【解決手段】 伝熱中間材料が、可撓性熱伝導性シートの片面上にまたはそれに沿って配設され、または、可撓性熱伝導性シートは、伝熱中間材料の第1の層および第2の層に接合され、その中に封入され、またはその間に介設される。可撓性熱伝導性シートは、可撓性有孔グラファイト・シートとすることが可能である。伝熱中間材料は、熱伝導性ポリマーとすることが可能である。グラファイト・シートに孔を穿設することによって、ポリマー−ポリマー接合が生じやすい。このポリマー−ポリマー接合は、第1の層および第2の層をグラファイト・シートに機械的に接合することを促進することができ、第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的に、発熱コンポーネントから放熱部材、即ちヒートシンクへの熱伝導性熱経路を与える適合型多層伝熱中間材料および伝熱中間構体、並びにそれを具備するメモリモジュールに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年6月17日に出願された米国特許出願第12/486,456号および2009年6月17日に出願された米国特許出願第12/486,472の利益および優先権を主張するものである。前述の出願の開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる
【背景技術】
【0002】
この項は本開示に関連する背景情報を提供するが、この情報は必ずしも従来技術とは限らない。
半導体、トランジスタ、などの電子コンポーネントでは一般的に、その電子コンポーネントが最適に動作する温度が予め定められている。その予め設定された温度は、周辺空気の温度に近いことが理想的である。しかし、電子コンポーネントは、動作すると発熱する。この熱が除去されない場合には、その電子コンポーネントは、標準の、または希望に沿った動作温度よりもかなり高い温度で動作することになる。かかる過温度は、電子コンポーネントの動作特性、寿命、および/または信頼性、並びに関連デバイスの動作に悪影響を及ぼし易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0077434号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0042188号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0000309号公報
【特許文献4】米国特許第3,404,061号明細書
【特許文献5】米国特許第6,482,520号明細書
【特許文献6】米国特許第6,503,626号明細書
【特許文献7】米国特許第6,841,250号明細書
【特許文献8】米国特許第6,982,874号明細書
【特許文献9】米国特許第7,078,109号明細書
【特許文献10】米国特許第7,138,029号明細書
【特許文献11】米国特許第7,150,914号明細書
【特許文献12】米国特許第7,160,619号明細書
【特許文献13】米国特許第7,276,273号明細書
【特許文献14】米国特許第7,292,441号明細書
【特許文献15】米国特許第7,303,820号明細書
【特許文献16】米国特許第7,306,847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発熱による不利な動作特性を回避または少なくとも低減するには、例えば動作中の電子コンポーネントからヒートシンクに熱を伝導することによって、熱を除去する必要がある。次いで、このヒートシンクを、従来の対流技術および/または輻射技術で冷却すればよい。熱伝達時に、電子コンポーネントとヒートシンクとの間の直接的表面接触および/または介在媒体もしくは伝熱中間材料を介する電子コンポーネントとヒートシンクの接触に
よって、熱は動作中の電子コンポーネントからヒートシンクに移動することができる。熱伝達表面間の間隙に、比較的劣等な熱伝導体である空気を充填した場合と比較して熱伝達効率を向上させるために、伝熱中間材料を用いて間隙が充填される場合がある。一部のデバイスでは、電子コンポーネントとヒートシンクとの間に電気的絶縁体を配置することも可能であり、多くの場合、これは伝熱中間材料そのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この項は本開示の全般的な概要を提供するが、本開示の全範囲あるいは全特徴を包括的に開示するものではない。
本開示の種々の態様によれば、熱伝導性中間構体の例示的実施形態が開示される。一例示的実施形態において、可撓性熱伝導性シートが、伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入もしくは埋設され、またはその間に介設される。可撓性熱伝導性シートは、可撓性有孔グラファイト・シートにより構成することが可能である。伝熱中間材料は、熱伝導性ポリマーにより構成することが可能である。グラファイト・シートに孔を穿設することによって、ポリマー−ポリマー接合が生まれ易くなる。このポリマー−ポリマー接合は、第1の層および第2の層をグラファイト・シートに機械的に接合することを促進することができ、および/または第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することができる。
【0006】
一例示的実施形態において、熱伝導性中間構体は全体的に、有孔熱伝導性シートを含んで構成される。有孔熱伝導性シートは、第1の面および第2の面と、第1の面から第2の面まで有孔熱伝導性シートを貫通して延在する1つまたは複数の孔と、を有する。有孔熱伝導性シートは、伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設される。
【0007】
別の例示的実施形態において、熱伝導性中間構体は全体的に、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設されるような形で柔軟である伝熱中間材料内に封入された可撓性グラファイト・シートを含んで構成される。
【0008】
他の態様は、熱伝導性中間構体を使用および/または作製する方法といった、熱伝導性中間構体に関連する方法を提供する。一例示的実施形態において、方法は全体的に、伝熱中間材料を有孔グラファイト・シート上に付設することを含む。この例示的方法を用いて、有孔グラファイト・シートは伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入され、且つその間に介設される。加えて、グラファイト・シートの1つまたは複数の孔内の伝熱中間材料によって、1つまたは複数の孔内の伝熱中間材料を介した第1の層から第2の層への熱伝導性熱経路を提供する接合を確立することができる。 別の例示的実施形態は、回路基板に搭載の1つまたは複数の発熱コンポーネントから放熱することに関連する方法を提供する。この例では、方法は全体的に、(伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入され且つその間に介設された可撓性グラファイト・シートを備える)熱伝導性中間構体を、上記1つまたは複数の発熱コンポーネントから第1の層、可撓性グラファイト・シート、および第2の層を経由する熱伝導性熱経路が画成されるような形で配設することを含む。
【0009】
その他の実施形態は、回路基板に属する1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を放出または伝達する際に用いるのに適した熱伝導性中間構体を具備する。実施形態の一例において、熱伝導性中間構体は全体的に、両面間の厚みを規定する第1の面および第2の面を有する可撓性グラファイト・シートを含んで構成される。少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層が、可撓性グラファイト・シートの少なくとも第1の面に沿って配設される。上記少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層は、可撓性グラファイト・シートの厚みよりも厚い間隙充填材により構成することが可能である。
【0010】
本開示の他の態様によれば、メモリモジュールに搭載の1つまたは複数のコンポーネントから放熱する際に用いるのに適した熱伝導性中間構体の例示的実施形態が開示される。熱伝導性中間構体は全体的に、第1の面および第2の面と、第1の面から第2の面まで熱拡散性材料を貫通して延在する1つまたは複数の孔と、を有する可撓性熱拡散材料を含んで構成される。この可撓性熱拡散材料を、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設してもよい。柔軟である伝熱中間材料の一部分を、1つまたは複数の孔内に配設してもよい。熱伝導性中間構体は、メモリモジュールに搭載の1つまたは複数のコンポーネントに対して配置自在とし、当該1つまたは複数のコンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の第1の層への熱伝導性熱経路を提供するようにしてもよい。
【0011】
他の態様は、熱伝導性中間構体により構成することが可能なメモリモジュールおよび他の電子デバイスに関する。一例示的実施形態において、メモリモジュールは全体的に、第1の面および第2の面と、当該第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板を含んで構成される。少なくとも1つの熱伝導性中間構体は、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に可撓性熱拡散材料を具備する。上記少なくとも1つの熱伝導性中間構体は、プリント基板の第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面に対して、当該第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の第1の層への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設される。
【0012】
別の例示的実施形態において、メモリモジュールは、第1の面および第2の面と、当該第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板を具備する。少なくとも1つの熱伝導性中間構体は、第1の面および第2の面と、可撓性熱拡散材料の少なくとも当該第1の面に沿った少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層と、を有する可撓性熱拡散材料を具備する。プリント基板の第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面に対して、当該第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントから上記少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層への熱伝導性熱経路が存在するような形で、上記少なくとも1つの熱伝導性中間構体を配設することができる。
【0013】
他の態様は、熱伝導性中間構体を使用および/または作製する方法およびメモリモジュールから放熱する方法といった、熱伝導性中間構体に関連する方法を提供する。一例示的実施形態において、方法は全体的に、柔軟である伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入され且つその間に介設された可撓性熱拡散材料を備えた熱伝導性中間構体を、メモリモジュールに搭載の1つまたは複数のコンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の第1の層、可撓性熱拡散材料、および柔軟である伝熱中間材料の第2の層を経由する熱伝導性熱経路が画成されるような形で配設することを含む。
【0014】
本開示のその他の態様および特徴は、後で提供する詳細な説明から明らかになるであろう。加えて、本開示のどの1つまたは複数の態様も、個別に実現される場合もあれば、本開示の任意の1つまたは複数の他の態様との組合わせで実現される場合もある。詳細な説明および具体例は、本開示の例示的実施形態を示してはいるものの、単に説明を目的としているに過ぎず、本開示の範囲を制限することは意図されていないということが理解されるべきである。
【0015】
請求項1に記載の発明は、第1の面および第2の面を有する有孔熱伝導性シートにおいて、前記第1の面から前記第2の面まで前記有孔熱伝導性シートを貫通して延伸する1つまたは複数の孔を有し、
前記有孔熱伝導性シートが、伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設されている、熱伝導性中間構体を要旨とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱伝導性中間構体において、伝熱中間材料の一部分が、1つまたは複数の孔内に配設されるとともに第1の層と第2の層との間に熱伝導性経路を形成することを促進することを要旨とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の熱伝導性中間構体において、有孔熱伝導性シートが可撓性グラファイト・シートからなり、
伝熱中間材料が、可撓性グラファイト・シートを封入する熱伝導性ポリマーからなるとともに前記1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することよって、ポリマー−ポリマー接合が、前記第1の層および第2の層を前記可撓性グラファイト・シートに機械的に接合することを促進するとともに前記第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することを要旨とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、有孔熱伝導性シートが、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなること、および
前記伝熱中間材料が熱伝導性ポリマーからなることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、1つまたは複数の孔内に配設された伝熱中間材料の一部分が、伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に機械的接合を形成することを要旨とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、有孔熱伝導性シートが、アルミニウム、銅、またはグラファイトのうちの1つまたは複数のものを含有すること、および
第1の層が、第2の層とは異なる伝熱中間材料で形成されていることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料が添加されたエラストマ、並びにそれらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを含有していることを要旨とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、熱伝導性中間構体が、
伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つまたは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層のうちの少なくとも一層を更に具備していることを要旨とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備している電子デバイスを要旨とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に設けられる、1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
前記熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設されている、メモリモジュールを要旨とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、柔軟である伝熱中間材料の中に封入された可撓性グラファイト・シートを、前記可撓性グラファイト・シートが前記柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設されるような形で備えている、熱伝導性中間構体を要旨とする。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の熱伝導性中間構体において、柔軟である伝熱中間材料が熱伝導性ポリマーを含有すること、および
前記可撓性グラファイト・シートが、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の熱伝導性中間構体において、可撓性グラファイト・シートと、1つまたは複数の電子コンポーネントと接触するように意図された柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層の下面と、の間に熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層が構成され、
可撓性グラファイト・シートが、中で熱を水平方向に拡散するように構成され、
可撓性グラファイト・シートから柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面への熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層が構成されていることを要旨とする。
【0028】
請求項14に記載の発明は、請求項11〜13のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、可撓性グラファイト・シートが、1つまたは複数の孔を有する可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなり、
柔軟である伝熱中間材料が、可撓性グラファイト・シートを封入するとともに1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することによって、ポリマー−ポリマー接合が第1の層および第2の層を可撓性グラファイト・シートに機械的に接合することを促進するとともに第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進する熱伝導性ポリマーを備えていることを要旨とする。
【0029】
請求項15に記載の発明は、請求項11〜14のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、前記第1の層が、前記第2の層とは異なる伝熱中間材料で形成されること、および
前記可撓性グラファイト・シートが、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備していることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0030】
請求項16に記載の発明は、請求項11〜15のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、柔軟である伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料を添加したエラストマ、並びにそれらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを含有していることを要旨とする。
【0031】
請求項17に記載の発明は、請求項11〜16のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体において、熱伝導性中間構体が、
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つもしくは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層、のうちの少なくとも一層を更に具備していることを要旨とする。
【0032】
請求項18に記載の発明は、1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項11〜17のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備する電子デバイスを要旨とする。
【0033】
請求項19に記載の発明は、第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上に設けられた1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項11〜17のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
前記熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設されている、メモリモジュールを要旨とする。
【0034】
請求項20に記載の発明は、回路基板上に配備された1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を放出または伝達するために用いるのに適した熱伝導性中間構体であって、
両面間の厚みを規定する第1の面および第2の面を有する可撓性グラファイト・シートであって、可撓性グラファイト・シートの少なくとも前記第1の面に沿って少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層を有する可撓性グラファイト・シートを備え、
少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層が、可撓性グラファイト・シートの厚みよりも厚い層厚を有し、それによって、熱伝導性中間構体が、間隙充填材が1つまたは複数の発熱コンポーネントと接触する様式にて、回路基板に対して位置決めされたときに、前記間隙充填材が、前記可撓性グラファイト・シートと前記1つまたは複数の発熱コンポーネントとの間の熱伝導性経路の少なくとも一部分を提供する間隙充填材を備えている、熱伝導性中間構体を要旨とする。
【0035】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の熱伝導性中間構体において、可撓性グラファイト・シートの第2の面に沿って伝熱中間材料を更に備える熱伝導性中間構体であって、伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料を添加したエラストマ、並びに
それらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを備えていることを要旨とする。
【0036】
請求項22に記載の発明は、請求項20または21に記載の熱伝導性中間構体において、可撓性グラファイト・シートが、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備し、
熱伝導性中間構体が、可撓性グラファイト・シートの第2の面に沿って配設された金属薄片層を更に備えていることを要旨とする。
【0037】
請求項23に記載の発明は、1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項20〜22のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備する電子デバイスであって、熱伝導性中間構体が、間隙充填材が前記1つまたは複数の発熱コンポーネントの外面部と接触するとともにそこに比較的緊密に沿う様式にて、前記回路基板に対して位置決めされている、電子デバイスを要旨とする。
【0038】
請求項24に記載の発明は、第1の面および第2の面と、第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項20〜22のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
熱伝導性中間構体が、プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから前記間隙充填材への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設されている、メモリモジュールを要旨とする。
【0039】
請求項25に記載の発明は、第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
可撓性熱拡散材料の少なくとも第1の面に沿った少なくとも一層の柔軟である伝熱中間材料層を有する可撓性熱拡散材料を備えた少なくとも1つの熱伝導性中間構体とを備え、
前記少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから前記少なくとも一層の柔軟である伝熱中間材料層への熱伝導性熱経路が存在する様式で配設されている、メモリモジュールを要旨とする。
【0040】
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に設けられ、
少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、プリント基板の第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の第1の層への熱伝導性熱経路が存在する様式で配設されていることを要旨とする。
【0041】
請求項27に記載の発明は、請求項26に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が有孔グラファイト・シートを備え、
柔軟である伝熱中間材料が、有孔グラファイト・シートを封入する熱伝導性ポリマーを備えるとともに前記有孔グラファイト・シートの1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することを要旨とする。
【0042】
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載のメモリモジュールにおいて、ポリマー−ポリマー接合が、第1の層および第2の層を有孔グラファイト・シートに機械的に接合することを促進すること、および第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0043】
請求項29に記載の発明は、請求項26〜28のうちのいずれか一項に記載のメモリモ
ジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなり、
グラファイト・シートが1つまたは複数の孔を有し、
柔軟である伝熱中間材料が、グラファイト・シートを封入するとともに1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することによって、ポリマー−ポリマー接合が第1の層および第2の層をグラファイト・シートに機械的に接合することを促進すること、および第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することとのうちの少なくとも一方を備える、熱伝導性ポリマーを備えていることを要旨とする。
【0044】
請求項30に記載の発明は、請求項26〜28のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に機械的接合を形成すること、および
柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に熱伝導性経路を形成する1つまたは複数の孔内に、柔軟である伝熱中間材料の一部分が配設されていることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0045】
請求項31に記載の発明は、請求項26〜30のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料と柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層の下面との間に熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の第1の層が構成され、
柔軟である伝熱中間材料の第1の層から可撓性熱拡散材料の長手方向断面を経由して熱を伝達し、それによって、全体的に可撓性熱拡散材料を介して熱を拡散するように、可撓性熱拡散材料が構成され、
可撓性熱拡散材料から柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面への熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の第2の層が構成されていることを要旨とする。
【0046】
請求項32に記載の発明は、請求項26〜31のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つまたは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層、
のうちの少なくとも一層を更に具備していることを要旨とする。
【0047】
請求項33に記載の発明は、請求項26〜32のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体であって、プリント基板の対応する第1の面および第2の面に沿って配設され、これにより、対応する第1の面および第2の面上の1つまたは複数の電子コンポーネントから対応する第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体の柔軟である伝熱中間材料の第1の層への熱伝導性熱経路が存在する第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体を備えていることを要旨とする。
【0048】
請求項34に記載の発明は、請求項26〜33のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、柔軟である伝熱中間材料が、圧縮性を有し且つ表面上に広がり得ること、および
柔軟である伝熱中間材料が、1本もしくは複数本のファイバが1本もしくは複数本の他のファイバに接触して伝熱中間材料の第1の層および第2の層が熱を伝導する能力を高める様式にて、柔軟である伝熱中間材料の全体にわたって分布されることのうちの少なくとも一方の形態に形成された熱伝導性ファイバを、柔軟である伝熱中間材料が具備していることを要旨とする。
【0049】
請求項35に記載の発明は、請求項25〜34のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が、層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子、アルミニウムの粒子、銅の粒子、またはグラファイトの粒子のうちの1つもしくは複数のものを含有すること、および
メモリモジュールがDDRメモリモジュールであることのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0050】
請求項36に記載の発明は、請求項25〜35のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が、第1の面から第2の面まで前記可撓性熱拡散材料を貫通して延在する1つまたは複数の孔を備え、
柔軟である伝熱中間材料の一部分が、1つまたは複数の孔内に配設されていることを要旨とする。
【0051】
請求項37に記載の発明は、請求項25〜36のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、柔軟である伝熱中間材料が、
熱伝導性ポリマー、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
セラミック粒子および金属粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料が添加されたエラストマ、
フェライト粒子、
ゴム、ゼリー状物質、グリース、もしくはワックスでできた基体中の金属メッシュまたはファイバーガラス・メッシュ、
窒化ボロンで強化されたシリコーン・エラストマ、並びに
それらの組合わせ、のうちの1つまたは複数のものを含有していることを要旨とする。
【0052】
請求項38に記載の発明は、請求項25〜36のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が可撓性グラファイト・シートからなること、および
少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層が間隙充填材を含有することのうちの少なくとも一方を備えることを要旨とする。
【0053】
請求項39に記載の発明は、請求項25〜38のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料の前記第2の面に沿った伝熱中間材料、および
可撓性熱拡散材料の前記第2の面に沿って配設された金属薄片層、
のうちの1つまたは複数のものを更に備えていることを要旨とする。
【0054】
請求項40に記載の発明は、請求項25〜39のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュールにおいて、可撓性熱拡散材料が、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備していることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】例示的実施形態に係る熱伝導性中間構体の断面図(可撓性グラファイト・シートは、伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入されるまたはその間に介設されている)。
【図2】例示的実施形態に係る熱伝導性中間構体の別の例示的実施形態における構体の分解図(有孔グラファイト・シートは、熱伝導性ポリマーの第1の層および第2の層の中に封入されまたはその間に介設されている)。
【図3】例示的実施形態に係る1つまたは複数の電子コンポーネントおよび熱伝導性中間構体を有する回路基板の断面図(可撓性グラファイト・シートは、充填材を具備した熱伝導性ポリマーの第1の層および第2の層の中に封入されまたはその間に介設されている)。
【図4】例示的実施形態に係る熱伝導性経路であって、回路基板上の1つまたは複数の電子コンポーネントから熱伝導性中間構体を経由する熱伝導性経路を示す断面図。
【図5】例示的実施形態に係る1つまたは複数の電子コンポーネントおよび熱伝導性中間構体を有する回路基板の断面図(可撓性グラファイト・シートは、片面のみに沿った一層の熱伝導性ポリマー層を具備している)。
【図6】例示的実施形態に係る伝熱中間間隙充填材料、伝熱中間間隙充填材料内に封入された可撓性グラファイト・シート、および伝熱間隙充填材料内に封入された有孔グラファイト・シートの3種類の異なる試験サンプルについて、ポンド・平方インチ当たりの圧力に対するたわみをインチの単位で示す線グラフ。
【0056】
図面の諸々の図全体にわたり、同じ参照番号は同じパーツを指す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書に記載の図面は、単に選択された実施形態の説明を目的としているに過ぎず、考え得る全ての実施態様を対象としているのではない。しかも、本開示の範囲を制限することは意図されていない。
【0058】
以下の説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本開示、用途、または使用を制限することは全く意図されていない。
発熱コンポーネントとヒートシンクとの間に熱伝導経路を確立するために、両者間に伝熱中間材料が用いられてきた。しかし、本発明の発明者らが認識しているように、伝熱中間材料は、実質的に発熱コンポーネントとヒートシンクとの間に閉じ込められた熱伝導性熱経路を提供する。このことは、電子コンポーネント周辺に熱を局在せしめる比較的狭い熱伝導経路に帰着する。即ち、電子コンポーネントにより発生した熱のかなりの部分は、最低インピーダンスの経路を介して電子コンポーネントとヒートシンクとの間に直接的に位置する伝熱中間材料を通って伝導される。これは、伝熱中間材料およびヒートシンク全体にわたる限定的熱拡散に帰着する。
【0059】
伝熱中間材料が限定的熱伝導経路を提供することを本発明の発明者らが認識したため、これらの発明者は、本明細書で、可撓性熱拡散材料(例えば可撓性グラファイト・シートなど。孔が穿設されていても構わない。)および柔軟である伝熱中間材料の1つまたは複数の層(例えば、可撓性グラファイト・シートの少なくとも片面または両面に配設された伝熱中間材料、など)を具備する熱伝導性中間構体の種々の例示的実施形態を開示した。可撓性熱拡散材料は全体的に、厚みが20ミルのプレス加工アルミニウム板と同等以上の可撓性を有する材料および/または厚みが15ミルのプレス加工銅板と同等以上の可撓性を有する材料など、広範な材料を指し、それらを含むことができる。
【0060】
可撓性熱拡散材料内では、可撓性熱拡散材料の熱を(例えば、Z方向への伝導によって伝熱中間材料へ、および/または対流によって空気または他の周囲環境へ)伝達できる表面積がより広がるような形で、(例えば、図2のX方向およびY方向に水平に拡散する、など)熱は横方向に拡散する。熱が横方向に拡散することに起因して表面積が広がると、可撓性熱拡散材料および熱伝導性中間構体全体に関連する熱伝達効率は増大し、向上する。可撓性熱拡散材料が伝熱中間材料の各層間に介設され、接合され、または中に封入されている例示的実施形態、といった特定の実施形態によっては、可撓性熱拡散材料から伝熱中間材料の外層まで、Z方向の伝導によって熱を伝達することができる。あるいは、例えば、熱拡散材料の他方の面が空気または他の周囲環境に露出されるような形で熱拡散材料
が片面にのみ伝熱中間材料を具備する例示的実施形態において、可撓性熱拡散材料から空気または他の周囲環境まで、対流によって熱を伝達することができる。
【0061】
熱拡散材料の片面上にだけまたは片面のみに沿って伝熱中間材料が存在する実施形態において、伝熱中間材料は、可撓性熱拡散材料の厚みよりも厚くすることができる。あるいは、他の実施形態において、伝熱中間材料の厚みは、可撓性熱拡散材料の厚みと同等以下であってもよい。可撓性熱拡散材料が伝熱中間材料の各層間に介設され、そこに接合され、またはその中に封入されている実施形態において、可撓性熱拡散材料の片面に沿った伝熱中間材料の層(1つまたは複数)は、可撓性熱拡散材料の他方の面、即ち反対面、に沿った伝熱中間材料の層(1つまたは複数)よりも厚くても薄くても構わず、略同一であっても構わない。例えば、一部の実施形態では、伝熱中間材料の内層および外層を有する可撓性熱拡散材料を具備する。この場合、(1つまたは複数の電子コンポーネントに接触することを意図された)内層は、外層よりも厚い。
【0062】
本明細書で開示する熱伝導性中間構体は、例えば当接する表面に良好に順応するように比較的可撓性をもたせ、柔軟にし、および/または薄くした1つまたは複数の柔軟である伝熱中間材料の外層を具備する。それは更に、熱的インピーダンスの低下を促進することができる。というのは、熱的インピーダンスは、少なくとも部分的に、両者間の有効表面接触の度合いに依存するからである。当接する面に順応する能力は重視されがちである。というのは、ヒートシンクおよび/または発熱コンポーネントの表面は、通常は完全に平坦および/または平滑ではなく、したがって、不規則な当接表面(例えば、平坦でもなければ連続的でもない不均一な表面、非平坦表面、湾曲面、凹凸面、対称性、一様形状、または整然とした構造のない表面、など)間に空隙または空間(空気は比較的劣等な熱伝導体である)が出現し易いからである。そのため、空間を除去することも、熱伝導経路の熱的インピーダンスを下げ、経路の熱伝導率を上げることを促進することができ、ひいては、経路に沿った熱伝導効果が高まる。
【0063】
種々の例示的実施形態において、本明細書で開示するような熱伝導性中間構体は、プリント基板、電力増幅器、中央処理装置、グラフィックス処理装置、メモリモジュール、または他の発熱コンポーネントと一緒に利用することができる。例えば、ヒートシンクと発熱コンポーネント(例えばプリント基板組立体、電力増幅器、中央処理装置、グラフィックス処理装置、メモリモジュール、他の発熱コンポーネント、など)との間に、熱伝導性中間構体を、発熱コンポーネントの表面に接触しまたは当たるような形で配設、介設、または装備することができ、もって、発熱コンポーネントから熱伝導性中間構体まで、次いでヒートシンクまでの熱伝導性熱経路が画成される。
【0064】
本明細書で開示するように、種々の実施形態は、熱伝導性ポリマー各層の中に封入もしくは埋設され、またはその間に介設された有孔グラファイト・シートを具備する。グラファイト・シートの孔は、それを介してポリマー−ポリマー接合が生まれることを可能にする。この接合は、諸材料を相互にサンドイッチ状態または積層状態に維持するのに役立つだけでなく、Z方向への熱伝達を提供する。有孔グラファイト・シート(依然として連続したユニットである)も、良好なX−Y熱伝導または横方向拡散を提供する。そのことが、有孔グラファイト・シートの熱を伝達することができる表面積を増大させることになる。有孔グラファイト・シートが伝熱中間材料の各層間に介設され、接合され、または中に封入されている例示的実施形態、といった特定の実施形態によっては、有孔グラファイト・シートから伝熱中間材料の外層まで、Z方向の伝導によって熱を伝達することができる。あるいは、例えば、有孔グラファイト・シートの外面が空気または他の周囲環境に露出されるような形で有孔グラファイト・シートが内面にのみ伝熱中間材料を具備する例示的実施形態において、有孔グラファイト・シートから空気または他の周囲環境まで、対流によって熱を伝達することができる。
【0065】
グラファイト・シートの孔は更に、グラファイト・シートの可撓性を向上または増大することができる。有孔グラファイト・シートが熱伝導性ポリマーの各層間に介設されている種々の例示的実施形態が、3面(例えば、図2のX−Y面、Y−Z面、およびX−Z面、など)において、熱伝導性ポリマーのみの場合よりも優れた熱伝達能力を提供することは、有益なことである。加えて、熱伝導性ポリマーも、おそらく熱伝導性中間構体と発熱コンポーネントとの間の良好な順応および接触を可能にするであろう。というのは、熱伝導性ポリマーは、発熱コンポーネントの基板からの高さがばらつくことに関連する間隙を充填することができるからである。加えて、または代わりに、熱伝導性ポリマーの各層間に介設された有孔グラファイト・シートから成る熱伝導性中間構体はおそらく、各層の向上した、または良好な機械的一体化も可能にするであろう。
【0066】
種々の実施形態において、グラファイトのシートに型抜きを行う、または穴を打ち抜くことによって、熱伝導性中間構体を作製することができる。有孔グラファイト・シートの単一面にポリマーを付設することができ、次いで、ポリマーが載っているグラファイト・シートを一対のロールまたはローラーに通すことができる。ポリマーは硬化する。熱伝導性中間構体が伝熱中間材料の上層および下層を具備する実施形態では、次いで、ポリマーを有孔グラファイト・シートの他方の面に付設することができる。第2の面上にポリマー(および第1の面上に硬化ポリマー)を有するグラファイト・シートは再度、一対のロールまたはローラーに通せばよい。そうすると、第2の面上のポリマーも硬化する。別の例を挙げると、グラファイト・シートの両面にポリマーを付設してもよく、したがって、両面にポリマーを有するグラファイト・シートが一対のローラーまたはロールに通される。ローリング工程の後で、両面のポリマーは硬化する。種々の実施形態において、例えばロールまたはローラーをポリマーから保護するために、ポリマーの上にマイラー保護ライナー(1つまたは複数)を配設してもよい。ポリマーの硬化後に、マイラー保護ライナー(1つまたは複数)は外され、除去される。
【0067】
種々の実施形態は、0.0127センチメートル(5ミル)、0.0254センチメートル(10ミル)、0.0508センチメートル(20ミル)、などの厚みのグラファイト・シートを具備する。この場合、グラファイト・シートは、0.0508センチメートル(20ミル)、0.1016センチメートル(40ミル)、などの厚みの熱伝導性ポリマーの各層の中に封入される。1つの例において、熱伝導性中間構体は、それぞれ厚みが約0.0508センチメートル(20ミル)の伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入され、その間に介設され、またはそこに接合された、厚みが約0.0254センチメートル(10ミル)のグラファイト・シートを有していた。種々の実施形態は、約5ミル、または約10ミル、または5ミルを超え10ミル未満、または5ミル未満、または10ミルを超える厚みを有する伝熱中間材料の上層および/または下層を具備する。伝熱中間材料の上層および下層を具備する実施形態において、各層は、他の層と厚みが同じであってもよく、異なっていてもよい。種々の実施形態において、熱伝導性中間構体の全体の厚みは、最大約0.635センチメートル、1.27センチメートル、0.635〜1.27センチメートル、等とすることができる。他の実施形態は、様々なグラファイト・シートの厚み、様々な伝熱中間材料層の厚み、および/または全体の厚みが0.635センチメートル未満もしくは1.27センチメートルを超える熱伝導性中間構体により構成することが可能である。
【0068】
単なる例として紹介すると、一部の実施形態は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)モジュールまたはデバイス、ダブル・データ・レート(DDR)メモリモジュールまたはデバイス(例えばDDR1、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5、など)、フラッシュメモリ・デュアルインライン・メモリモジュール(FMDIMM)メモリモジュールまたはデバイス、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDR
AM)メモリモジュールまたはデバイス、などの種々の広範なタイプのメモリデバイスまたはモジュールと一緒に利用される熱伝導性中間構体を具備する。背景として紹介すると、DDRはダブル・データ・レート−コンピュータで用いられるメモリ集積回路のクラス−の意であり、SDRAM(シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)で用いられる可能性がある。種々の実施形態において、DDRメモリモジュールは、PCB基板の両面に直線的に配置された多数のチップにより構成することが可能である。熱を拡散させ、更に熱をヒートシンクに移送するために、混み合った基板の片面または両面に沿って熱伝導性中間構体を配設し、それによって最大動作温度をより低く維持することを促進することができる。熱伝導性中間構体は、可撓性熱拡散材料(例えばグラファイト、アルミニウム、銅、孔が穿設されていることもあり得るこれらの可撓性シート、本明細書に開示の他の材料、など)により構成することが可能である。可撓性熱拡散材料を、柔軟な適合性伝熱中間材料(例えば熱伝導性ポリマー、間隙充填材、本明細書に開示の他の材料、など)の第1の層および第2の層の中に封入し、その中に埋設し、それに接合し、および/またはその間に介設することができる。あるいは、例えば、柔軟である熱拡散材料の片面のみに沿ってまたは片面上にだけ柔軟な適合性伝熱中間材料を有する可撓性熱拡散材料により、熱伝導性中間構体を構成することが可能である。いくつかの実施形態において、可撓性グラファイト・シートは、比較的柔軟な適合性伝熱中間材料(例えば間隙充填材、熱伝導性ポリマー、後で開示する材料等の他の適切な伝熱中間材料、など)を有する。いくつかの実施形態において、有孔グラファイト・シートは、柔軟な適合性伝熱中間材料(例えば間隙充填材、熱伝導性ポリマー、後で開示する材料等の他の適切な伝熱中間材料、など)の2つの層の間に介設される。上記の柔軟な適合性伝熱中間材料の2つの層は、厚みが同じであってもよければ、異なっていてもよい。
【0069】
例示的動作において、メモリモジュールのチップからの熱を、柔軟な適合性伝熱中間材料の内部層に伝達することができる。この内部層は、メモリモジュールと可撓性グラファイト・シートとの間にある。熱は伝熱中間材料の内部層から可撓性グラファイトに伝わることができ、このグラファイトが更にこの熱を横方向に(例えばX−Y平面(図2)などに)拡散させる。この横方向の熱拡散は、グラファイト・シートの熱を伝達できる表面積を拡大し、このようにして熱伝達効率を増大させる。グラファイト・シートの広がった表面積から伝熱中間材料の外層を経由して、周囲環境に熱を伝達することができる。伝熱中間材料の2つの層の間に介設されたグラファイトを具備する熱伝導性構体または構造体の付設を容易にするために、熱構造体の片面は、生来的に粘着性であってもよければ(但し必須ではない)、メモリモジュールに装着するための接着層を具備していてもよい。いくつかの実施形態において、他方の面を、例えば薄片の層で保護することができる。有利なことに、一部の実施形態はこのように、メモリモジュール用の温度管理および放熱を提供する方法を、鋼またはアルミニウムによる熱拡散体および取付けクリップを含むいくつかの既存の温度管理ソルーションと比較して、比較的低コストで可能にするであろう。
【0070】
本開示の種々の態様によれば、熱伝導性中間構体の種々の例示的実施形態は、1つまたは複数の発熱電子コンポーネントから、従来よりも良好に放熱する。発熱コンポーネントからの熱は、典型的には、例えば電力増幅器といった熱生成コンポーネントへの損傷を回避するために、そのコンポーネントから排出または放出される必要がある。下記の例示的実施形態(例えば、図1〜4に示す例示的実施形態、など)において、種々の熱伝導性中間構体は、柔軟な適合性伝熱中間材料の第1の層および第2の層が上に配設された可撓性グラファイト・シートにより構成することが可能である。この場合、この可撓性グラファイト・シートは、可撓性グラファイト・シートの熱を伝達できる表面積が拡大するような形で熱拡散特性(例えば、X−Y平面(図2)で横方向に熱を拡散する、など)を提供し、ひいては、熱伝達効率を増大させる。下記の非限定的実施例は、単に説明を目的に提供されており、限定のために提供されているのではない。例えば、図1〜4に図示される実施形態は、可撓性グラファイト・シートの両側にある柔軟な適合性伝熱中間材料の第1の
層および第2の層を具備する。しかし、図5に示す実施形態等の他の実施形態は、可撓性グラファイト・シートまたは他の熱拡散材料の片面のみに沿った柔軟な適合性伝熱中間材料により構成することが可能である。本明細書で開示する一部の例示的実施形態は、熱的性能を向上することに加えて、可撓性熱伝導性中間構体の1つまたは複数の面上に接着層および/または保護金属薄片層を更に具備する。その他の態様は、熱伝導性中間構体を具備する電子デバイス/コンポーネント、熱伝導性中間構体を使用する方法、および熱伝導性中間構体を作製する方法に関する。
【0071】
ここで図1を参照すると、本開示の1つまたは複数の態様を具現化する熱伝導性中間構体100の例示的実施形態が示されている。図1に示すように、例示された熱伝導性中間構体100は全体的に、第1の面および第2の面112,114を有する比較的可撓性のあるグラファイト・シート110を具備している。これらの面の上には、比較的柔軟な伝熱中間材料104(例えば間隙充填材、熱伝導性ポリマー、中に充填材を有する熱伝導性ポリマー、後で開示する材料等の他の適切な伝熱中間材料、など)が配設されている。第1の層および第2の層122,124を可撓性グラファイト・シート110の対応する第1の面および第2の面112,114上に形成するために、伝熱中間材料104を配設することができる。但し、代替実施形態は、可撓性グラファイト・シート110の片面112または114上にのみ(但し両面は除く。例えば図5の構体500、など)配設された伝熱中間材料104により構成することが可能である。本明細書では、「シート」という用語は、その意味の範囲内で、可撓性のある網、帯、紙、テープ、薄片、フィルム、マット、またはその類の形態を成すグラファイト(または他の材料)を含む。「シート」という用語は、その意味の範囲内で、実質的に平坦で任意の長さおよび幅の材料または原料を含む。
【0072】
種々の実施形態において、層122,124は、同一の伝熱中間材料104で形成される。但し、代替実施形態は、可撓性グラファイト・シート110の第1の面112に沿った伝熱中間材料であって、可撓性グラファイト・シート110の第2の面114に沿った伝熱中間材料とは異なる伝熱中間材料により構成することが可能である。即ち、一部の実施形態では、第1の層および第2の層122,124を、異なる伝熱中間材料(例えば異なる熱伝導性ポリマー、異なるタイプの伝熱中間材料、など)で形成することができる。あるいは、他の実施形態では、それらを同一の伝熱中間材料で形成することができる。いずれの場合でも、伝熱中間材料に対して、後で開示する材料を含む広範な材料を用いることができる。例えば、間隙充填材を、可撓性グラファイト・シート110の第1の面および第2の面112,114の両面に添って配設される伝熱中間材料とすることができる。別の例を挙げると、間隙充填材を、可撓性グラファイト・シート110の第1の面および第2の面112または114のうちの片面のみに添って配設される伝熱中間材料とすることができ、加熱相変化材料を、可撓性グラファイト・シート110の第1の面および第2の面112または114のうちの他方の面に添って配設される伝熱中間材料とすることができる。
【0073】
加えて、層122,124は略同一の厚みを有することもできれば、異なる厚みを有することもできる。例えば、一部の実施形態は、外層124より厚い内層122により構成することが可能であり、その逆も可能である。
【0074】
引き続き図1を参照すると、第2の層124は、伝導によって第2の層からヒートシンク(もしくは他の構造体)へ、および/または対流によって第2の層から空気(もしくは他の周囲環境)へ、といった形でそこから熱が伝わる外面126を有する。柔軟である伝熱中間材料の第1の層、即ち内層、122は、可撓性グラファイト・シート110と、柔軟である伝熱中間材料104の第1の層122が接触するように意図された1つまたは複数の電子コンポーネント(図1には示さず)との間に熱伝導性経路を提供するように構成
されている。本明細書に開示の一部の例示的実施形態は、第1の層122の底面上および/または第2の層124の最外面126上といった熱伝導性中間構体上に、接着層および/または保護金属薄片層を更に具備することができる。代替実施形態は、接着層および/または保護金属薄片層の一方しか具備しないか、またはどちらも具備しない。
【0075】
本明細書に開示の種々の実施形態において、伝熱中間材料104の第1の層122は、電子コンポーネントと可撓性グラファイト・シート110との間に熱伝導性経路を提供するように構成されている。本明細書で開示するように、伝熱中間材料104に対して、広範な材料を用いることができる。
【0076】
可撓性グラファイト・シート110は、第1の層および第2の層122,124を形成する比較的柔軟な適合性伝熱中間材料104の中に封入され、そこに接合され、またはその間に介設される。いくつかの実施形態において、可撓性グラファイト・シート110は、Z方向、即ち図1に示す垂直方向、に約5ワット/メートル・ケルビン(W/mK)の熱伝導率を有することができる。動作の際に、伝熱中間材料104の第1の層122からグラファイト・シート110に伝導された熱は、シート110の断面116のほぼ全体にわたり、グラファイト・シート110内で横方向(例えば、図1の左右方向およびこのページに出入りする方向、など)に拡散することになる。熱は更に、グラファイト・シート110から伝熱中間材料104の第2の層124まで、Z方向に伝導されることになる。この横方向の熱拡散は、可撓性グラファイト・シート110の熱を伝達できる表面積を拡大することになり、このようにして熱伝達効率を増大させる。この熱は、伝熱中間材料104の第1の層122が接触する1つまたは複数の電子コンポーネント等の熱源によって発生されたものであってもよい。
【0077】
本明細書に開示のいずれか1つまたは複数の実施形態において、可撓性グラファイト・シート(例えば110,210,310,410、など)は、オハイオ州レイクウッド市アドバンスト・エナジー・テクノノジー社から市販されているeGraf(登録商標)といった、層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片から形成される剥離グラファイトの圧縮粒子により構成することが可能である。本明細書に開示のいずれか1つまたは複数の実施形態において、可撓性グラファイト・シート(例えば110,210,310,410、など)は、米国特許第6,482,520号、米国特許第6,503,626号、米国特許第6,841,250号、米国特許第7,138,029号、米国特許第7,150,914号、米国特許第7,160,619号、米国特許第7,276,273号、米国特許第7,303,820号、米国特許出願公開第2007/0042188号、米国特許出願公開第2007/0077434号、米国特許第7,292,441号、米国特許第7,306,847号、および/または米国特許第3,404,061号のうちのいずれか1つまたは複数のものに開示の1つまたは複数の材料(例えばグラファイト、可撓性グラファイト・シート、剥離グラファイト、など)から作製することができる。
【0078】
層間挿入グラファイトおよび剥離グラファイトからシートが形成される実施形態において、グラファイトを、約0.0127センチメートル〜約0.0508センチメートルの範囲内の厚みを有するシートに加工することができる。例えば、一部の実施形態は、厚みが0.0127センチメートルもしくは0.0508センチメートル、または0.0127センチメートルを超え0.0508センチメートル未満のシートを具備する。その他の実施形態は、厚みが0.0127センチメートル未満または0.0508センチメートルを超えるシートにより構成することが可能である。加えて、シートには、グラファイトの他にまたは代替として他の材料および厚みを用いることができる。例えば、一部の実施形態は、比較的薄い銅材料および/またはアルミニウム材料のシートにより構成することが可能である。このシートはおそらく、グラファイト・シートと同等の可撓性を有するであ
ろう。
【0079】
ここで図2を参照すると、本開示の1つまたは複数の態様を具現化する熱伝導性中間構体200の別の例示的実施形態が示されている。熱伝導性中間構体200は、伝熱中間材料204の2つの層222,224の中に封入され、そこに接合され、および/またはその間に介設された有孔グラファイト・シート210を具備する。図2において、平面「P」は、直交するX軸およびY軸によって規定され、且つX軸およびY軸と直交するZ軸に垂直である。
【0080】
この実施形態例において、可撓性グラファイト・シート210は、有孔グラファイト・シート210を封入する伝熱中間材料204に比べて高い熱伝導率(または低い熱的インピーダンス)を有する断面を提供することができる。他の実施形態において、可撓性グラファイト・シート210は、伝熱中間材料204に比べて低い熱伝導率(または高い熱的インピーダンス)を有することができる。
【0081】
シート210は、例えばオハイオ州レイクウッド市アドバンスト・エナジー・テクノノジー社から市販されているeGraf(登録商標)といった、層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片から形成される剥離グラファイトの圧縮粒子により構成することが可能である。シート210は、米国特許第6,482,520号、米国特許第6,503,626号、米国特許第6,841,250号、米国特許第7,138,029号、米国特許第7,150,914号、米国特許第7,160,619号、米国特許第7,276,273号、米国特許第7,303,820号、米国特許出願公開第2007/0042188号、米国特許出願公開第2007/0077434号、米国特許第7,292,441号、米国特許第7,306,847号、および/または米国特許第3,404,061号のうちのいずれか1つまたは複数のものに開示の1つまたは複数の材料(例えばグラファイト、可撓性グラファイト・シート、剥離グラファイト、など)から作製することができる。但し、代替実施形態において、シートは、比較的薄い銅材料および/またはアルミニウム材料の有孔シートで作製することが可能である。このシートはおそらく、有孔グラファイト・シートと同等の可撓性を有するであろう。
【0082】
引き続き図2を参照すると、可撓性グラファイト・シート210は第1の面および第2の面212,214を有し、その上に比較的柔軟な適合性伝熱中間材料204が配設されている。第1の層および第2の層222,224を可撓性グラファイト・シート210の対応する第1の面および第2の面212,214上に形成するために、伝熱中間材料204が配設されている。伝熱中間材料204の第1の層および第2の層222,224を有孔グラファイト・シート210に付設することができ、これにより、有孔グラファイト・シート210は、伝熱中間材料204の第1の層および第2の層222,224の間に介設され、そこに接合され、またはその中に封入される。例として紹介すると、グラファイト・シートの片面または両面にポリマーまたは他の伝熱中間材料を付設することができ、ポリマーが載っているグラファイト・シートを一対のロールまたはローラーに通すことができる。そうすると、ポリマーは硬化するであろう。ポリマーが片面にだけ付設された場合、ポリマーを第2の面に付設することができる。しかも、第2の面上にポリマー(および第1の面上に硬化ポリマー)を有するグラファイト・シートは再度、一対のロールまたはローラーに通すことができる。そうすると、第2の面上のポリマーも硬化する。別の例を挙げると、グラファイト・シートの両面にポリマーを付設してもよく、したがって、両面にポリマーを有するグラファイト・シートが一対のローラーまたはロールに通される。ローリング工程の後で、両面のポリマーは硬化する。種々の実施形態において、例えばロールまたはローラーをポリマーから保護するために、ポリマーの上にマイラー保護ライナー(1つまたは複数)を配設してもよい。ポリマーの硬化後に、マイラー保護ライナー(1つまたは複数)は外され、除去される。
【0083】
種々の実施形態において、層222,224は、同一の伝熱中間材料204で形成される。但し、代替実施形態は、可撓性グラファイト・シート210の第1の面212に沿った伝熱中間材料であって、可撓性グラファイト・シート210の第2の面214に沿った伝熱中間材料とは異なる伝熱中間材料により構成することが可能である。即ち、一部の実施形態では、第1の層および第2の層222,224を、異なる伝熱中間材料(例えば異なる熱伝導性ポリマー、異なるタイプの伝熱中間材料、など)で形成することができる。あるいは、他の実施形態では、それらを同一の伝熱中間材料で形成することができる。いずれの場合でも、伝熱中間材料に対して、後で開示する材料を含む広範な材料を用いることができる。例えば、間隙充填材を、可撓性グラファイト・シート210の第1の面および第2の面212,214の両面に添って配設される伝熱中間材料とすることができる。別の例を挙げると、間隙充填材を、可撓性グラファイト・シート210の第1の面および第2の面のうちの片面212または214のみに添って配設される伝熱中間材料とすることができ、加熱相変化材料を、可撓性グラファイト・シート210の第1の面および第2のうちの他方の面212または214に添って配設される伝熱中間材料とすることができる。
【0084】
加えて、層222,224は略同一の厚みを有することもできれば、異なる厚みを有することもできる。例えば、一部の実施形態は、外層224より厚い内層222により構成することが可能であり、その逆も可能である。
【0085】
種々の実施形態において、伝熱中間材料204は全体的に熱伝導性ポリマーであり、および/または後で表1および表2等に開示する材料等の広範な材料で形成される。
図2において、可撓性グラファイト・シート210は、行と列の配列に整列された全てが同一寸法の丸い孔または穴218を具備する。代替実施形態は、構成が異なる孔(例えば異なる寸法、形状、配置、など)により構成することが可能である。例えば、他の実施形態は、円形でない孔および/または異なる寸法の孔により構成することが可能である。加えて、孔218は、例えば、穴を介したZ方向、即ち垂直方向、の望ましい熱伝導率、接合強度、といった特定の用途または最終的な使われ方に応じて、寸法を様々に設定することができる。例として紹介すると、孔218は、孔または穴がグラファイト・シート表面積の約10%を包含するような形で、グラファイト・シートを打ち抜いたまたは型抜きした直径0.2032センチメートルの穴により構成することが可能である。他の実施形態は、より大きなもしくはより小さな、および/または他の方法で形成された様々な穴により構成することが可能である。
【0086】
例えば伝熱中間材料204の2つの層222,224の間の機械的接合、結合、および/または接触を確立するために、孔218は、伝熱中間材料204(例えば、一部の実施形態における熱伝導性ポリマー、など)が孔218を流通できるように構成されることが好ましい。例えば、伝熱中間材料204がポリマーを備える実施形態において、孔218を介してまたは経由して、ポリマー−ポリマー接合を確立することができる。ポリマー−ポリマー接合は、熱伝導性ポリマーを介してZ軸方向に熱を伝達し、熱伝導性材料204の第1の層222が接触するものと意図された熱源(例えば、図3の電子コンポーネント302、など)から熱を奪うことができる。孔218があるにもかかわらず、有孔グラファイト・シート210が相変わらず実質的に連続したユニットであるため、有孔グラファイト・シート210も、比較的良好な熱伝達並びに図2のX方向およびY方向への横方向の熱拡散を提供する。この横方向の熱拡散は、有孔グラファイト・シート210の熱を伝達できる表面積を拡大する。これによっておそらく、熱伝達効率は増大し、向上するであろう。
【0087】
ポリマー−ポリマー接合は更に、材料の積層体(シート210および層222,224
)を機械的に一体に保持することを助長することができる。孔218は更に、グラファイト・シート210の可撓性を向上しまたは増大することができる。したがって、有孔グラファイト・シート210が熱伝導性ポリマーの層222,224に接合され、その間に介設され、またはその中に封入されている熱伝導性中間構体200のこの実施形態は、熱伝導性ポリマーだけのものと比較して、3平面(例えば、図2のX−Y面、Y−Z面、およびX−Z面、など)で、従来よりも優れた熱伝達を実現することができる。加えてまたは代わりに、伝熱中間構体200はおそらく、各層の向上したまたは良好な機械的一体化も可能にするであろう。
【0088】
種々の実施形態において、1つまたは複数の電子コンポーネント等の熱源に付設し接着することを容易にするために、第1の層および第2の層222,224を形成する伝熱中間材料204は、生来的にまたは本来的に粘着性であってもよい。あるいは、熱伝導性中間構体200は、第1の層および/または第2の層222,224上に配設されまたはそこに装着された接着剤もしくは他の接合手段を更に具備していてもよい。その他の実施形態において、第1の層および第2の層222,224は、生来的にも本来的にも粘着性でなくてもよく、および/または熱伝導性中間構体200も、接着剤または他の接合手段を何ら具備していなくてもよい。加えて、いくつかの実施形態において、熱伝導性中間構体200は、第2の層224の外面226上に配設された金属薄片層(例えば、図3の342、など)であって、熱伝導性中間構体200の上に装備されたヒートシンク(または他の構造体)と接触するための金属薄片層を更に具備してもよい。
【0089】
図3は、本開示の1つまたは複数の態様を具現化する熱伝導性中間構体30の別の例示的実施形態を示す。この特定の例において、構体300は、電子コンポーネント302を有する回路基板306と一緒に示されている。例として紹介すると、回路基板306および電子コンポーネント302は、メモリデバイス(例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)モジュールまたはデバイス、ダブル・データ・レート(DDR)メモリモジュールまたはデバイス(例えばDDR1、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5、など)、フラッシュメモリ・デュアルインライン・メモリモジュール(FMDIMM)メモリモジュールまたはデバイス、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)メモリモジュールまたはデバイス、など)、または他の電子デバイスと関連付けられていてもよい。
【0090】
熱伝導性中間構体300は、可撓性グラファイト・シート(例えば、図1のシート110、図2の有孔シート、など)、可撓性金属または金属性シート(例えば、アルミニウム材料および/または銅材料で形成された有孔シート、など)、といった熱伝導性材料のシート310を具備する。シート310は、伝熱中間材料304の2つの層322,324の中に封入されまたはその間に介設されている。金属薄片層342は、例えば第2の層324を保護するのに役立つように、第2の層324の上端部上に配設されている。構体300が装備されて使用に供されると、金属薄片層342はヒートシンクに接触することができる。あるいは、金属薄片層342は、対流放熱器そのものとして動作することができる。他の実施形態において、第2の層324を形成する伝熱中間材料304がヒートシンクと直接的に接触できるようにするために、構体300から金属薄片層342を除去してもよい。
【0091】
伝熱中間材料304は、熱伝導性ポリマーおよび表1または表2に列挙した材料、といった本明細書に開示の広範な材料により構成することが可能である。但し、図示したこの特定の例において、伝熱中間材料304は、適合的または順応的な金属粒子、セラミック粒子、グラファイト、ファイバ等の、熱伝導性充填材を具備する。いくつかの実施形態において、充填材が相互に接触するような形で、伝熱中間材料に充填材を分散させてもよい。これによって、伝熱中間材料が熱を、例えばZ方向に伝導する能力を高めることができ
る。他の実施形態は、いかなる充填材も持たない伝熱中間材料により構成することが可能である。
【0092】
引き続き図3を参照すると、熱伝導性中間構体300は、伝熱中間材料304の第1の層322が電子コンポーネント302に付設されまたは接触する形で、回路基板306に対して位置決めされている。したがって、電子コンポーネント302が発生した熱は、第1の層322に伝導され、次いでシート310に、次いで第2の層324に伝導される。いくつかの実施形態において、熱伝導性中間構体300は、第1の層322を電子コンポーネント302に接着または接合するための接着剤または他の接合手段を更に具備することができる。あるいは、例えば、伝熱中間材料304は、独立した接着剤を必要とせずに第1の層322が電子コンポーネント302に接着するように、生来的に粘着性であってもよい。その他の実施形態において、伝熱中間材料304は、生来的にも本来的にも粘着性でなくてもよく、および/または熱伝導性中間構体300も、接着剤または他の接合手段を何ら具備していなくてもよい。
【0093】
図4は、本開示の1つまたは複数の態様を具現化する熱伝導性中間構体400の別の例示的実施形態の断面図を示す。図に示すように、熱伝導性中間構体400は、可撓性グラファイト・シート(例えば、図1のシート110、図2の有孔シート210、など)、可撓性金属または金属製シート(例えば、アルミニウムおよび/または銅材料で形成された有孔シート、など)、厚み20ミルのプレス加工アルミニウムのシートと同等以上の可撓性および/または厚み15ミルのプレス加工銅のシートと同等以上の可撓性を有するシート、といった熱伝導性材料のシート410を具備する。
【0094】
シート410は、伝熱中間材料404の2つの層422,424に接合され、その中に封入され、またはその間に介設された第1の面および第2の面412,414を有する。種々の実施形態において、伝熱中間材料404は、好ましくは熱伝導性ポリマーとすることができる。あるいは、本明細書で表1および表2等に開示しているような広範な他の材料も用いることができる。
【0095】
金属薄片層442は、例えば第2の層424を保護するのに役立つように、第2の層424の外面426上に配設されている。接着層440は、伝熱中間材料404の第1の層422と回路基板406上の電子コンポーネント402との間に配設されている。代替実施形態は、接着層を具備しない。かかる代替実施形態において、メモリデバイス402に付設し接着するために、伝熱中間材料は、生来的に粘着性または本来的に接着性であってもよい。その他の実施形態において、伝熱中間材料は、生来的にも本来的にも粘着性でなくてもよく、および/または熱伝導性中間構体400も、接着剤または他の接合手段を何ら具備していなくてもよい。
【0096】
図4において、熱伝導性中間構体400は、ヒートシンク430と、メモリデバイス402を含む1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板406との間に全体的に配設された状態で、示されている。例として紹介すると、メモリデバイス402は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)モジュールまたはデバイス、ダブル・データ・レート(DDR)メモリモジュールまたはデバイス、フラッシュメモリ・デュアルインライン・メモリモジュール(FMDIMM)メモリモジュールまたはデバイス、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)メモリモジュール、等とすることができる。
【0097】
熱伝導性中間構体400は、メモリデバイス402によって発生された熱が熱伝導性中間構体400に、最終的にはヒートシンク430まで、伝達されるような形で動作する。
伝熱中間材料404の第1の層422は、可撓性グラファイト・シート410とメモリ
デバイス420との間に(図4の縦の矢印446で表されているような)熱伝導性経路を提供するように構成されている。可撓性グラファイト・シート410は、伝熱中間材料404の第1の層422からグラファイト・シート410に伝導された熱が、グラファイト・シート410内でシート410の断面416のほぼ全体にわたり、(図4の水平矢印450で表されているように)横方向に拡散するような形で構成される。この横方向の熱拡散は、可撓性グラファイト・シート410の熱を伝達できる表面積を拡大することになり、このようにして熱伝達効率を増大させる。縦の矢印454で表されているように、熱は更に、グラファイト・シート410から伝熱中間材料404の第2の層424へ、次いで金属薄片層442まで、垂直方向、即ちZ方向、に伝導されることになる。伝熱中間材料404の第2の層424はこのようにして、可撓性グラファイト・シート410から金属薄片層442への熱伝導性経路を提供する。熱は、金属薄片層442からヒートシンク430に伝わることができる。したがって、熱伝導性中間構体400は、メモリデバイス402からヒートシンク430への熱経路(矢印446,450,454で表される)を提供する。
【0098】
図5は、本開示の1つまたは複数の態様を具現化する熱伝導性中間構体500の例示的実施形態の断面図を示す。図に示すように、熱伝導性中間構体500は、可撓性グラファイト・シート510と、可撓性グラファイト・シートの片面のみに沿った伝熱中間材料の層522と、を具備する。いくつかの実施形態において、可撓性グラファイト・シート510の他方の面に沿って金属薄片層を配設することができる。いくつかの実施形態において、層522はグラファイト・シート510よりも厚い。いくつかの実施形態において、伝熱中間材料は、熱伝導性ポリマーとすることができる。あるいは、本明細書で表1および表2等に開示しているような広範な他の材料も用いることができる。
【0099】
図5において、熱伝導性中間構体500は、伝熱中間材料の層522が基板506上の電子コンポーネント502(例えばメモリデバイスなど)と接触するような形で回路基板506に対して位置決めされた状態で、示されている。したがって、熱伝導性中間構体500は、電子コンポーネント502によって発生された熱が熱伝導性中間構体500に伝達されるような形で動作することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、熱伝導性中間構体500は、有孔グラファイト・シート510により構成することが可能である。かかる実施形態において、有孔グラファイト・シート510の1つまたは複数の孔の中に伝熱中間材料を配設することができ、そうすることで、伝熱中間材料をシート510に接合することを促進することができる。
【0101】
その他の態様は、温度管理構体を使用する方法に関する。一例示的実施形態において、熱伝導性中間構体を有する回路基板に搭載の1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を放出または伝達する方法が開示される。この熱伝導性中間構体は、可撓性グラファイト・シートの少なくとも片面または両面上に配設された熱伝導性中間材料の第1の層および/または第2の層のうちの少なくとも一方を具備する。方法は、1つまたは複数の発熱コンポーネントを熱伝導性中間構体の熱伝導性中間材料の第1の層に接触させることを含むことができる。方法は、熱伝導性中間構体を経由する熱拡散性で熱伝導性の経路を確立し、1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を奪って、第1の層を介して且つ可撓性グラファイト・シート全体にわたって横方向に伝導することを更に含むことができる。いくつかの実施形態において、次いで、伝熱中間材料の第2の層の外面にまで熱を伝達し、ヒートシンクへの伝導または空気への対流、等によってそこから熱を伝達することができる。したがって、このようにして、1つまたは複数の発熱コンポーネントが発生した熱を、熱伝導性経路を介して伝達し、ひいては1つまたは複数の発熱コンポーネントから放熱することができる。
【0102】
他の態様は、熱伝導性中間構体を使用および/または作製する方法といった、熱伝導性中間構体に関連する方法を提供する。一例示的実施形態において、方法は全体的に、伝熱中間材料を有孔グラファイト・シート上に付設することを含む。この例示的方法を用いて、有孔グラファイト・シートは伝熱中間材料の第1の層および第2の層に接合され、その中に封入され、および/またはその間に介設される。加えて、グラファイト・シートの1つまたは複数の孔内の伝熱中間材料によって、層間の機械的接続/接合および/または1つもしくは複数の孔内の伝熱中間材料を介した第1の層から第2の層への熱伝導性熱経路を提供する接合を確立することができる。
【0103】
別の例示的実施形態は、回路基板に搭載の1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を放出または伝達することに関連する方法を提供する。この例では、方法は全体的に、(片面に伝熱中間材料を有する可撓性グラファイト・シートまたは伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入され且つその間に介設された可撓性グラファイト・シートを備える)熱伝導性中間構体を、上記1つまたは複数の発熱コンポーネントから伝熱中間材料の第1の層を経由して可撓性グラファイト・シートまでの、一部の実施形態では伝熱中間材料の第2の層までの熱伝導性熱経路が画成されるような形で配設することを含む。
【0104】
別の例示的実施形態において、熱伝導性中間構体を作製する方法が開示される。この方法は、伝熱中間材料を有孔グラファイト・シートの両面に堆積させることを含む。方法は、伝熱中間材料を有孔グラファイト・シートに付設することを含むことができ、これにより、グラファイト・シートの孔内の伝熱中間材料が、ポリマー−ポリマー接合(または用いられた特定の伝熱中間材料に応じた他の接合)を確立する。接合は、熱伝導性ポリマーを介したZ軸方向の熱伝達を提供することができる。しかも、有孔グラファイト・シートを、伝熱中間材料の第1の層および第2の層の中に封入し且つその間に介設することができる。方法は、伝熱中間材料の第1の層の外面上に接着剤の層を堆積させること、および/または伝熱中間材料の第2の層の外面上に金属薄片層を堆積させること、を更に含むことができる。
【0105】
種々の実施形態において、熱伝導性中間構体を作製することは、グラファイトのシートに型抜きを行なうことまたは穴を打ち抜くことを含む。有孔グラファイト・シートの単一面にポリマーを付設することができ、次いで、ポリマーが載っているグラファイト・シートを一対のロールまたはローラーに通すことができる。ポリマーは硬化する。熱伝導性中間構体が伝熱中間材料の上層および下層を具備する実施形態では、次いで、ポリマーを有孔グラファイト・シートの他方の面に付設することができる。第2の面上にポリマー(および第1の面上に硬化ポリマー)を有するグラファイト・シートは再度、一対のロールまたはローラーに通せばよい。そうすると、第2の面上のポリマーも硬化する。別の例を挙げると、グラファイト・シートの両面にポリマーを付設してもよく、したがって、両面にポリマーを有するグラファイト・シートが一対のローラーまたはロールに通される。ローリング工程の後で、両面のポリマーは硬化する。種々の実施形態において、例えばロールまたはローラーをポリマーから保護するために、ポリマーの上にマイラー保護ライナー(1つまたは複数)を配設してもよい。ポリマーの硬化後に、マイラー保護ライナー(1つまたは複数)は外され、除去される。
【0106】
別の例示的実施形態は、メモリモジュール(例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)モジュールまたはデバイス、ダブル・データ・レート(DDR)メモリモジュールまたはデバイス(例えばDDR1、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5、など)、フラッシュメモリ・デュアルインライン・メモリモジュール(FMDIMM)メモリモジュールまたはデバイス、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)メモリモジュールまたはデバイス、など)から熱を放出または伝達する方法に関する。この例示的実施形態において、方法は全体的に、メモリモジュールの1つまたは複
数のコンポーネントから柔軟な適合可能伝熱中間材料を経由して熱拡散材料までの、一部の実施形態では柔軟な適合可能伝熱中間材料の第2の層までの熱伝導性熱経路が画成されるような形で、熱伝導性中間構体を配設することを含む。この熱伝導性中間構体は、片面に柔軟な適合可能伝熱中間材料を有するまたは柔軟な適合可能伝熱中間材料(例えば熱伝導性ポリマー、間隙充填材、本明細書に開示の他の材料、など)の第1の層と第2の層の中に封入され且つその間に介設された熱拡散材料(例えばグラファイト、アルミニウム、銅、グラファイト・シート、有孔グラファイト・シート、本明細書に開示の他の材料、など)を備えている。これにより、メモリモジュールに搭載の1つまたは複数のコンポーネントから柔軟な適合可能伝熱中間材料を経由して熱拡散材料までの、一部の実施形態では柔軟な適合可能伝熱中間材料の第2の層までの熱伝導性熱経路が画成される。
【0107】
前述のように、本明細書に開示の実施形態における1つまたは複数の伝熱中間材料のいずれに対しても、広範な材料を用いることができる。伝熱中間材料は、空気だけの場合よりも良好な熱伝導体であって、空気だけの場合よりも高い熱伝導率を有する材料で形成されることが好ましい。
【0108】
いくつかの実施形態において、伝熱中間材料は、間隙充填材である(例えば、レアード・テクノロジーズ社のT−flex(登録商標)間隙充填材、など)。例として紹介すると、間隙充填材は、約3ワット/メートル・ケルビン(W/mK)の熱伝導率を有することができる。更なる例として紹介すると、間隙充填材は、約1.2W/mKの熱伝導率を有することができる。他の例示的間隙充填材は、約6W/mKの熱伝導率を有することができる。更に別の実施形態において、伝熱中間材料は、熱伝導性絶縁体である(例えば、レアード・テクノロジーズ社のT−gard(登録商標)500熱伝導性絶縁体、など)。
【0109】
他の実施形態において、伝熱中間材料は、熱拡散材料の片面に間隙充填材を備え、熱拡散材料の他方の面に加熱相変化材料(例えば、レアード・テクノロジーズ社の相変化材料T−pcm(登録商標)580Sシリーズ、など)を備えることができる。かかる実施形態において、例として紹介すると、約50℃の相変化軟化点、約−40℃〜約125℃の範囲の動作温度、および約3.8W/mKの熱伝導率を有する加熱相変化材料を用いることができる。他の加熱相変化材料も、使用可能である。
【0110】
下記の表1は、本明細書に記載および/または図示する1つまたは複数の例示的実施形態のいずれにおいても伝熱中間材料として使用可能な種々の伝熱中間材料を、例示的に列挙している。これらの例示的材料は、ミズーリ州セント・ルイス市レアード・テクノロジーズ社が市販しており、したがって、レアード・テクノロジーズ社の登録商標を参照することによって識別されてきた。この表およびそこに列挙された材料と性質は、単に説明を目的に提供されており、限定を目的に提供されているのではない。
【0111】
【表1】

【0112】
いくつかの好適な実施形態において、伝熱中間材料は、ミズーリ州セント・ルイス市レアード・テクノロジーズ社が市販しているT−flex(登録商標)600またはT−flex(登録商標)700シリーズの伝熱間隙充填材料で形成される。1つの特定の好適な実施形態において、伝熱中間材料は、T−flex(登録商標)620伝熱間隙充填材料を備えている。この伝熱間隙充填材料は、一般的に、強化窒化ボロン添加シリコーン・エラストマを具備する。別の実施形態において、伝熱中間材料は、金属およびセラミック添加シリコーン・エラストマ間隙充填材であるT−flex(登録商標)HR600により構成することが可能である。更なる例として紹介すると、他の実施形態は、導電性エラストマから成形された伝熱中間材料を具備する。別の例示的実施形態は、ゴム、ゼリー状物質、グリース、またはワックス・マトリックスでできた基体中のセラミック粒子および金属粒子で形成された伝熱中間材料を具備する。下記の表2は、本明細書に記載および/または図示する1つもしくは複数の例示的実施形態のいずれにおいても伝熱中間材料として使用可能な種々の伝熱中間材料を、例示的に列挙している。これらの材料例は、ミズーリ州セント・ルイス市レアード・テクノロジーズ社が市販しており、したがって、レアード・テクノロジーズ社の登録商標を参照することによって識別されてきた。この表は、単に説明を目的に提供されており、限定を目的に提供されているのではない。
【0113】
【表2】

【0114】
前述の表に列挙した例の他に、他の伝熱中間材料も使用可能であり、それらは、空気だけの場合よりも熱を伝導し伝達することに優れていることが好ましい。他の例示的材料の例として、適合性または順応性のシリコーン・パッド、非シリコーン系材料(例えば非シリコーン系間隙充填材材料、エラストマ系材料、など)、ポリウレタンの発泡体またはゼリー状物質、熱伝導性パテ、熱伝導性グリース、などが挙げられる。いくつかの実施形態において、電子コンポーネントに接触して配置されたときにパッドが電子コンポーネントの寸法および外形に比較的緊密に順応できるようにするのに十分なだけの順応性を有する1つまたは複数の順応性伝熱中間パッドが用いられる。種々の実施形態において、熱伝導性中間構体(またはその一部分)を、電磁波妨害(EMI)シールドを提供するように構成することも可能である。
【0115】
下記の例および試験結果は単に例示的なものに過ぎず、いかなる形態においても本開示を限定しない。この例において、伝熱中間間隙充填材料(サンプル1)だけの場合の横方向熱伝導/拡散を、伝熱中間間隙充填材料内に封入された可撓性グラファイト(サンプル2)、および伝熱中間間隙充填材料内に封入された有孔グラファイト(サンプル3)との比較でより良好に理解するために、3つの試験標本を作製した。より具体的には、第1の試験サンプルは、0.127センチメートル厚の伝熱中間間隙充填材料の帯で構成した。第2の試験サンプルは、0.0508センチメートル厚の伝熱中間間隙充填材料の第1の層と0.0508センチメートル厚の伝熱中間間隙充填材料の第2の層との間に介設された0.254センチメートル厚の可撓性グラファイト・シートで構成した。第3の試験サ
ンプルは、第2の試験サンプルと同一の構成(即ち、0.0508センチメートル厚の伝熱中間間隙充填材料の第1の層と0.0508センチメートル厚の伝熱中間間隙充填材料の第2の層との間に介設された0.0254センチメートル厚の可撓性グラファイト・シート)で構成した。但し、第3の試験サンプルの可撓性グラファイト・シートは、打ち抜かれた直径0.2032センチメートルの円形穴/孔を具備する。この場合、この穴/孔は、可撓性グラファイト・シートの表面積の約10%を占める。各試験サンプルは、長さ7.3025センチメートル、幅2.70002センチメートルの帯に切り出された。
【0116】
各試験サンプルに対し、該当の帯の片面で帯の上縁部および下縁部に、約5.08センチメートル離して2個の熱電対(T1およびT2)を装着した。帯の反対面(下縁部)に薄片ヒーターを装着した。可変DC電源装置を用いて薄片ヒーターに電力を供給した。熱電対には計器を用いた。試験チャンバとして、化学てんびんを用いた(HVACからの対流を低減する)。
【0117】
各サンプルの試験中に、1W、2W、3W、および5Wの電力を薄片ヒーターに印加した。安定した後で、各熱電対から温度を記録した。下記の表は、サンプル1、サンプル2、およびサンプル3の試験結果をまとめたものである。表において、Tambは試験を行った外気の温度を指し、単位は℃である。T1およびT2は、第1の熱電対および第2の熱電対での温度の読みを指し、単位は℃である。ΔTはT2とT1との間の差を指す。表3に示すように、サンプル#1よりもサンプル#2および#3の方が熱拡散に優れていた。
【0118】
【表3】

【0119】
加えて、3つの試験サンプルについて、たわみの試験を行った。図6は、ポンド・平方インチ当たりの圧力に対するたわみをインチの単位で示す線グラフを図示している。図6が示しているように、サンプル#2および#3は、良好なたわみ特性を有していた。
【0120】
本明細書に開示の例示的実施形態(例えば100,200,300,400,500、など)は、広範な電子コンポーネント、とりわけ熱源、発熱コンポーネント、ヒートシンク、に使用することができる。単なる例として紹介すると、本明細書に開示の伝熱中間構体は、メモリモジュールまたはデバイス(例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)モジュールまたはデバイス、ダブル・データ・レート(DDR)メモリモジュールまたはデバイス(例えばDDR1、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5、など)、フラッシュメモリ・デュアルインライン・メモリモジュール(FMDIMM)メモリモジュールまたはデバイス、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)メモリモジュールまたはデバイス、など)、プリント基板、高周波マイクロプロセッサ、中央処理装置、グラフィックス処理装置、ラップトップ・コンピュータ、ノートパソコン、デスクトップ型パソコン、コンピュータ・サーバー、熱試験スタンド、移動通信端末(例えば携帯電話、など)などに使用することができる。したがって、本開示の諸態様
は、最終的な使われ方、電子コンポーネント、パーツ、デバイス、機器、などのうちのいずれか1つの具体的なタイプに使用することに限定されるべきではない。
【0121】
本明細書に開示の数値による大きさおよび具体的材料は、単に説明を目的に提供されている。本明細書に開示の特定の大きさおよび具体的材料は、本開示の範囲を制限することを目的としていない。というのは、他の実施形態は、例えば特定の用途および所定の最終的な使われ方に応じて、異なる寸法に設定し、異なる形状に設定し、および/または異なる材料および/またはプロセスで形成することが可能だからである。
【0122】
「内」、「外」、「真下」、「下」、「下方」、「上」、「上方」、およびこれらに類する空間的に相対的な用語は、本明細書では、諸々の図に例示するような他のエレメント(1つまたは複数)または構造体(1つまたは複数)に対する1つのエレメントまたは構造体の関係を描写する説明を容易にするために用いられる場合がある。空間的に相対的な用語は、使用中または動作中のデバイスについて、図に描かれた配向の他に、様々な配向を包含することを意図されている場合がある。例えば、図中のデバイスがひっくり返されると、他のエレメントまたは構造体の「下」または「真下」と表現されたエレメントは、当該他のエレメントまたは構造体の「上」に位置することになる。したがって、この例の用語「下」は、上および下の両方の向きを包含することができる。デバイスは他の形で配向することが可能であり(90度回転または他の配向)、本明細書で使用する空間的に相対的な表現はしかるべく解釈することができる。
【0123】
本明細書で使用する用語は、単に特定の実施形態例を説明することだけを目的としており、制限することは意図されていない。本明細書では、「ある」、「1つの」、および「この」という単数の形式は、そうではないことを文脈で明確に示していない限り、複数の形式も含むことが意図されている場合がある。用語「備える」、「により構成する」、「含む」、および「有する」は包括性であり、そのため、提示の構造体、完成体、ステップ、動作、エレメント、および/またはコンポーネントの存在を規定するが、1つまたは複数の他の構造体、完成体、ステップ、動作、エレメント、および/またはそれらの集合体の存在または追加を除外しない。本明細書に記載の方法のステップ、プロセス、および動作は、具体的に実施の順序であると認識されない限り、論じられまたは例示された順序で実施することが必ずしも必要であるとは解釈されない。追加のステップまたは代替のステップを用いてもよく、このことも理解されている必要がある。
【0124】
エレメントまたは層が別のエレメントまたは層「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、または「に連結される」と称されたときに、他方のエレメントまたは層に対して直接的に上にあり、係合され、接続され、または連結されている場合もあれば、介在するエレメントまたは層が存在する場合もある。他方、エレメントが別のエレメントまたは層「の直接上にある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、または「に直接連結される」と称されたときには、介在するエレメントまたは層はおそらく存在しないであろう。エレメント間の関係を記述する他の単語は、同じような形で解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接間に」、「隣接して」と「直接隣接して」、など)。本明細書では、用語「および/または」は、1つまたは複数の列挙された関連する品目のうちの任意のものおよび全ての組合わせを含む。
【0125】
第1の、第2の、第3の、などの用語は、本明細書では、種々のエレメント、コンポーネント、領域、層、および/または部分を記述するために用いられる場合があるが、これらのエレメント、コンポーネント、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、単に1つのエレメント、コンポーネント、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分と区別するためだけに用いられる場合がある。「第1の」、「第2の」といった用語、および他の数字による用語は、文脈で
明確に示していない限り、本明細書では順番または順序を示唆しない。したがって、後で論じる第1のエレメント、コンポーネント、領域、層、または部分は、実施形態例の教示から逸脱せずに、第2のエレメント、コンポーネント、領域、層、または部分と称することができるであろう。
【0126】
実施形態例は、本開示が完璧であり、当業者に完全に範囲を伝達するように提供されている。本開示の諸実施形態を完全に理解させるために、具体的コンポーネント、デバイス、および方法の例といった多数の具体的な細部が示されている。具体的な細部を用いる必要がないこと、多くの異なる形で実施形態例を具現化できること、およびいずれも開示の範囲を限定するものとは解釈されるべきではないこと、は当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態例において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は、詳細には説明されていない。
【0127】
実施形態についての前述の説明は、図示および説明を目的に提供した。網羅的であることも、本発明を限定することも、そこでは意図されていない。特定の実施形態の個々のエレメントまたは構造体は全体的に、その特定の実施形態には限定されず、たとえ具体的に図示も記載もされていなくても、適用可能な場合には交換可能であり、選択した実施形態で使用することが可能である。上記のものは、多くのやり方で変形することも可能である。かかる変形形態は、本発明から逸脱するとは考えられておらず、全てのかかる変更形態は、本発明の範囲内に含まれるものと意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面および第2の面を有する有孔熱伝導性シートにおいて、前記第1の面から前記第2の面まで前記有孔熱伝導性シートを貫通して延伸する1つまたは複数の孔を有し、
前記有孔熱伝導性シートが、伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設されている、熱伝導性中間構体。
【請求項2】
前記伝熱中間材料の一部分が、前記1つまたは複数の孔内に配設されるとともに前記第1の層と第2の層との間に熱伝導性経路を形成することを促進する、請求項1に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項3】
前記有孔熱伝導性シートが可撓性グラファイト・シートからなり、
前記伝熱中間材料が、前記可撓性グラファイト・シートを封入する熱伝導性ポリマーからなるとともに前記1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することよって、前記ポリマー−ポリマー接合が、前記第1の層および第2の層を前記可撓性グラファイト・シートに機械的に接合することを促進するとともに前記第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進する、
請求項1または2に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項4】
前記有孔熱伝導性シートが、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなること、および
前記伝熱中間材料が熱伝導性ポリマーからなることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項5】
前記1つまたは複数の孔内に配設された前記伝熱中間材料の一部分が、伝熱中間材料の前記第1の層と第2の層との間に機械的接合を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項6】
前記有孔熱伝導性シートが、アルミニウム、銅、またはグラファイトのうちの1つまたは複数のものを含有すること、および
前記第1の層が、前記第2の層とは異なる伝熱中間材料で形成されていることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項7】
前記伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料が添加されたエラストマ、並びにそれらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを含有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項8】
前記熱伝導性中間構体が、
伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つまたは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層、
のうちの少なくとも一層を更に具備している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項9】
1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備している電子デバイス。
【請求項10】
第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に設けられる、1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
前記熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設されている、メモリモジュール。
【請求項11】
柔軟である伝熱中間材料の中に封入された可撓性グラファイト・シートを、前記可撓性グラファイト・シートが前記柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に介設されるような形で備えている、熱伝導性中間構体。
【請求項12】
前記柔軟である伝熱中間材料が熱伝導性ポリマーからなること、および
前記可撓性グラファイト・シートが、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項11に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項13】
前記可撓性グラファイト・シートと、1つまたは複数の電子コンポーネントと接触するように意図された柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層の下面と、の間に熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層が構成され、
前記可撓性グラファイト・シートが、中で熱を水平方向に拡散するように構成され、
前記可撓性グラファイト・シートから柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面への熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層が構成されている、
請求項11または12に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項14】
前記可撓性グラファイト・シートが、1つまたは複数の孔を有する可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなり、
前記柔軟である伝熱中間材料が、前記可撓性グラファイト・シートを封入するとともに前記1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することによって、前記ポリマー−ポリマー接合が前記第1の層および第2の層を前記可撓性グラファイト・シートに機械的に接合することを促進するとともに前記第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進する熱伝導性ポリマーを備えている、
請求項11〜13のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項15】
前記第1の層が、前記第2の層とは異なる伝熱中間材料で形成されること、および
前記可撓性グラファイト・シートが、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備していることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項11〜14のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項16】
前記柔軟である伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料を添加したエラストマ、並びにそれらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを含有している、請求項11〜15のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項17】
前記熱伝導性中間構体が、
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つもしくは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層、
のうちの少なくとも一層を更に具備している、請求項11〜16のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項18】
1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項11〜17のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備する電子デバイス。
【請求項19】
第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上に設けられた1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項11〜17のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
前記熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在するような形で配設されている、メモリモジュール。
【請求項20】
回路基板上に配備された1つまたは複数の発熱コンポーネントから熱を放出または伝達するために用いるのに適した熱伝導性中間構体であって、
両面間の厚みを規定する第1の面および第2の面を有する可撓性グラファイト・シートであって、前記可撓性グラファイト・シートの少なくとも前記第1の面に沿って少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層を有する可撓性グラファイト・シートを備え、
前記少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層が、前記可撓性グラファイト・シートの厚みよりも厚い層厚を有し、それによって、前記熱伝導性中間構体が、前記間隙充填材が前記1つまたは複数の発熱コンポーネントと接触する様式にて、前記回路基板に対して位置決めされたときに、前記間隙充填材が、前記可撓性グラファイト・シートと前記1つまたは複数の発熱コンポーネントとの間の熱伝導性経路の少なくとも一部分を提供する間隙充填材を備えている、熱伝導性中間構体。
【請求項21】
前記可撓性グラファイト・シートの前記第2の面に沿って伝熱中間材料を更に備える熱伝導性中間構体であって、前記伝熱中間材料が、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
金属粒子およびセラミック粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料を添加したエラストマ、並びに
それらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを備えている、請求項20に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項22】
前記可撓性グラファイト・シートが、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備し、
前記熱伝導性中間構体が、前記可撓性グラファイト・シートの前記第2の面に沿って配設された金属薄片層を更に備えている、
請求項20または21に記載の熱伝導性中間構体。
【請求項23】
1つまたは複数の電子コンポーネントを有する回路基板と、請求項20〜22のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を具備する電子デバイスであって、前記熱伝導性中間構体が、前記間隙充填材が前記1つまたは複数の発熱コンポーネントの外面部と接触するとともにそこに比較的緊密に沿う様式にて、前記回路基板に対して位置決めされている、電子デバイス。
【請求項24】
第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントと、を有するプリント基板と、
請求項20〜22のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性中間構体と、を備え、
前記熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから前記間隙充填材への熱伝導性熱経路が存在する様式で配設されている、メモリモジュール。
【請求項25】
第1の面および第2の面と、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも片面上の1つまたは複数の電子コンポーネントとを有するプリント基板と、
可撓性熱拡散材料の少なくとも第1の面に沿った少なくとも一層の柔軟である伝熱中間材料層を有する可撓性熱拡散材料を備えた少なくとも1つの熱伝導性中間構体とを備え、
前記少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから前記少なくとも一層の柔軟である伝熱中間材料層への熱伝導性熱経路が存在する様式で配設されている、メモリモジュール。
【請求項26】
前記可撓性熱拡散材料が、柔軟である伝熱中間材料の第1の層と第2の層との間に設けられ、
前記少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、前記プリント基板の前記第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の面に対して、前記第1の面および第2の面のうちの前記少なくとも一方の面の上の1つまたは複数の電子コンポーネントから柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在する様式で配設されている、
請求項25に記載のメモリモジュール。
【請求項27】
前記可撓性熱拡散材料が有孔グラファイト・シートを備え、
前記柔軟である伝熱中間材料が、前記有孔グラファイト・シートを封入する熱伝導性ポリマーを備えるとともに前記有孔グラファイト・シートの1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成する、
請求項26に記載のメモリモジュール。
【請求項28】
前記ポリマー−ポリマー接合が、前記第1の層および第2の層を前記有孔グラファイト・シートに機械的に接合することを促進すること、および前記第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することのうちの少なくとも一方を備える、請求項27に記載のメモリモジュール。
【請求項29】
前記可撓性熱拡散材料が、可撓性グラファイト・シートの形に形成された層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子からなり、
前記グラファイト・シートが1つまたは複数の孔を有し、
前記柔軟である伝熱中間材料が、前記グラファイト・シートを封入するとともに前記1つまたは複数の孔を介してポリマー−ポリマー接合を形成することによって、前記ポリマ
ー−ポリマー接合が前記第1の層および第2の層を前記グラファイト・シートに機械的に接合することを促進すること、および前記第1の層と第2の層との間に熱伝導を提供することを促進することとのうちの少なくとも一方を備える、熱伝導性ポリマーからなる、
請求項26〜28のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項30】
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層と第2の層との間に機械的接合を形成すること、および
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層と第2の層との間に熱伝導性経路を形成する前記1つまたは複数の孔内に、前記柔軟である伝熱中間材料の一部分が配設されていることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項26〜28のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項31】
前記可撓性熱拡散材料と柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層の下面との間に熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層が構成され、
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層から前記可撓性熱拡散材料の長手方向断面を経由して熱を伝達し、それによって、全体的に前記可撓性熱拡散材料を介して前記熱を拡散するように、前記可撓性熱拡散材料が構成され、
前記可撓性熱拡散材料から柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面への熱伝導性経路を提供するように、柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層が構成されている、
請求項26〜30のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項32】
前記少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、
柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層上に配設された、1つまたは複数の電子コンポーネントに装着するための接着層、および
柔軟である伝熱中間材料の前記第2の層の外面上に配設された金属薄片層、
のうちの少なくとも一層を更に具備している、請求項26〜31のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項33】
前記少なくとも1つの熱伝導性中間構体が、第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体であって、前記プリント基板の対応する前記第1の面および第2の面に沿って配設され、これにより、対応する前記第1の面および第2の面上の1つまたは複数の電子コンポーネントから対応する前記第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体の柔軟である伝熱中間材料の前記第1の層への熱伝導性熱経路が存在する第1の熱伝導性中間構体および第2の熱伝導性中間構体を備えている、請求項26〜32のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項34】
前記柔軟である伝熱中間材料が、圧縮性を有し且つ表面上に広がり得ること、および
前記柔軟である伝熱中間材料が、1本もしくは複数本のファイバが1本もしくは複数本の他のファイバに接触して伝熱中間材料の前記第1の層および第2の層が熱を伝導する能力を高める様式にて、前記柔軟である伝熱中間材料の全体にわたって分布されることのうちの少なくとも一方の形態に形成された熱伝導性ファイバを、前記柔軟である伝熱中間材料が具備している、請求項26〜33のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項35】
前記可撓性熱拡散材料が、層間挿入グラファイト破片および剥離グラファイト破片の粒子、アルミニウムの粒子、銅の粒子、またはグラファイトの粒子のうちの1つもしくは複数のものを含有すること、および
前記メモリモジュールがDDRメモリモジュールであることのうちの少なくとも一方を備える、
請求項25〜34のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項36】
前記可撓性熱拡散材料が、第1の面から第2の面まで前記可撓性熱拡散材料を貫通して延在する1つまたは複数の孔を備え、
前記柔軟である伝熱中間材料の一部分が、前記1つまたは複数の孔内に配設されている、
請求項25〜35のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項37】
前記柔軟である伝熱中間材料が、
熱伝導性ポリマー、
熱伝導性適合材料、
伝熱中間/相変化材料、
間隙充填材、
導電性グリース、
セラミック粒子および金属粒子のうちの少なくとも一方で形成された熱伝導性材料が添加されたエラストマ、
フェライト粒子、
ゴム、ゼリー状物質、グリース、もしくはワックスでできた基体中の金属メッシュまたはファイバーガラス・メッシュ、
窒化ボロンで強化されたシリコーン・エラストマ、並びに
それらの組合わせ、
のうちの1つまたは複数のものを含有している、請求項25〜36のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項38】
前記可撓性熱拡散材料が可撓性グラファイト・シートからなること、および
前記少なくとも一層の柔軟な適合性伝熱中間材料層が間隙充填材を含有することのうちの少なくとも一方を備える、
請求項25〜36のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項39】
前記可撓性熱拡散材料の前記第2の面に沿った伝熱中間材料、および
前記可撓性熱拡散材料の前記第2の面に沿って配設された金属薄片層、
のうちの1つまたは複数のものを更に備えている、請求項25〜38のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。
【請求項40】
前記可撓性熱拡散材料が、穿孔されるとともに1つまたは複数の孔を具備している、請求項25〜39のうちのいずれか一項に記載のメモリモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−884(P2011−884A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123934(P2010−123934)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(507358446)レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】