遮光包材
【課題】本発明は、酸素バリア性と遮光性とを併せ持ち、且つ包材が屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光包材を提供する。
【解決手段】酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材である。
【解決手段】酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、酸素バリア性と遮光性を有する積層包装材料において、厚みと重みのある物を梱包・輸送した際に、耐ピンホール性を持つ遮光積層フィルムに属し、医療、医薬品や、食品などの分野において、酸素と光の進入により品質を容易に劣化させるような包装材料に利用する事ができる。とりわけ、５００ｍｌ〜２０００ｍｌと大容量の液剤を柔軟なプラスチック容器に充填してなる、輸液バックの外装袋として有用な遮光包材に関する。
【背景技術】
【０００２】
比較的大容量の液剤が充填される１室タイプ、及び２室タイプの輸液バックは、近年、ハンドリング（取り扱い）性の良さや、輸液バックの軽量化、ゴミの減容化などの観点から、柔軟なプラスチック１次容器に充填されたものが増えている（特許文献１等）。
【０００３】
輸液バックに充填されるアミノ酸液や糖・電解質液などの薬剤は、酸素によって著しく変質し、ビタミンは近紫外光によって容易に劣化してしまう。更には直接体内に薬剤を注入する事からも、１次容器は無添加のプラスチック容器を用いられる事が多く、酸素バリア性、近紫外光の遮光性はほとんど無いに等しい。そのため、輸液バックを大気中に放置しておくと、太陽光、及び蛍光灯中の近紫外光や大気中の酸素が輸液バックを透過し経時的に薬剤を変質させる。そこで、近年は輸液バックを酸素バリア性の高い包装材料で２次包装することが行われている。
【０００４】
この輸液バック外装袋には上記しているように酸素バリア性が高く要求されるため、ＰＶＤＣ（ポリ塩化ビニリデン）コートを施したプラスチックフィルムや、ＥＶＯＨ（エチレン‐ビニルアルコール共重合体）フィルム、ＰＶＡ（ポリビニルアルコール）フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着したＰＥＴ（ポリエステルテレフタレート）フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着した延伸ナイロンフィルム、ＥＶＯＨ層や、ＭＸＤ６ナイロン層を中間層に有するバリアナイロンなどが用いられた積層包装材料が広く用いられている。
【０００５】
しかし、上記した酸素バリアフィルムは透明であるので遮光性はなく、遮光性をもたせるためにアルミ蒸着されたプラスティックフィルム、及びアルミ箔ラミネートフィルムが用いられている。
【０００６】
通常はアミノ酸や、糖、電解液、ビタミンからなる高カロリー輸液が充填されたバックが上記した輸液外装袋に入れられ、更にダンボールに積載梱包され輸送される。輸送工程中の振動により、輸液外装袋にピンホールが生じる事があり、そのため酸素バリア性や遮光性が維持できなくなる。
【０００７】
ピンホールは３つの要素が加味して発生する事が多く、（１）屈曲疲労によるピンホール、（２）包装材料同士が摩耗する事による摩耗ピンホール、（３）包装材料の突起部が突き刺すことによる突き刺しピンホールに大別され、輸送工程でのピンホールにおいては、（１）屈曲ピンホールと（２）磨耗ピンホールの複合要素が大きな原因となっている。更に、アルミニウム箔がラミネートされた積層フィルムは屈曲疲労により完全貫通孔まではいかないものの、アルミニウム箔のクラックが発生し部分的に大きく遮光性を損なう可能性が多くあった。
【０００８】
輸液バックが収納されピンホールが発生しにくい包装材料として、特許文献２、特許文献３等で積層フィルムが提案されている。この積層フィルムの構成、包装形態、ヒートシ
ール方法等でピンホールを低減した包装材料であって、遮光性、酸素バリア性、耐ピンホール性を併せ持つ遮光包材とは異なり、近年、遮光性、酸素バリア性、耐ピンホール性を併せ持つ遮光包材が要求されている。
【特許文献１】特開平１０−３１４２７２号公報
【特許文献２】特開平９−２６２９４３号公報
【特許文献３】特許第３２０２５４１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたものであって、酸素バリア性と遮光性とを併せ持ち、且つ包材が屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光性包材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題の解決手段として、
請求項１記載の発明は、酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、
延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材である。
【００１１】
請求項２記載の発明は、前記酸素バリア性は酸素透過量が、５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／ＭＰａ（ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下における）以下であり、遮光性は光線透過率（日本電色工業（株）、ＳＺ‐Σ８０）が０．１％以下であることを特徴する請求項１記載の遮光包材である。
【００１２】
請求項３記載の発明は、前記黒色ポリオレフィンフィルム中にカーボンブラックが３重量％以上含有しており、厚みは少なくとも１５μｍ以上であることを特徴とする請求項１または２記載の遮光包材である。
【００１３】
請求項４記載の発明は、請求項１〜３のいずれか１項に記載の遮光包材を、アミノ酸、糖、ビタミン、電解液から構成される内容物が充填されている輸液バックの酸素バリア性外装袋の一部として使用することを特徴とする遮光包材である。
【発明の効果】
【００１４】
輸液バック外装袋のような５００ｍｌ〜２０００ｍｌ程度の易酸化性、光劣化性内容物を充填する積層包装材料において、蒸着ナイロンフィルムと黒色ポリオレフィンを用いることで、遮光性と酸素バリア性の付与が可能となる。更には、アルミニウム箔を使用せずに遮光性を付与しているので、廃棄性が簡便であり、環境面からも良好な包材を提供できる。
【００１５】
アルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムを使用すると、屈曲運動にアルミニウムにクラックが発生し遮光性の維持が困難となるが、黒色ポリエチレンを使用することでそのような問題が解決され、屈曲運動によっても遮光性を維持した遮光包材を提供できる。
【００１６】
最表層に延伸ポリプロピレンフィルム層（ＯＰＰ）を持つことで、輸送試験、振動試験などにより包材が繰り返しの屈曲運動を受けても、完全貫通孔（ピンホール）の発生し難い遮光包材を提供できる。
【００１７】
中間層に透明蒸着ナイロンフィルムを使用することで、ピンホールが発生し難くい遮光
包材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。図１は本発明の屈曲劣化の少ない遮光包材の断面図である。その構成は、（Ａ）延伸ポリプロピレン層、（Ｂ）黒色ポリオレフィンフィルム、（Ｃ）蒸着ナイロンフィルム層、（Ｄ）ポリオレフィンフィルム、（Ｅ）接着剤層からなる。図２は内容物が充填されている１次容器の正面図である。
【００１９】
（Ａ）延伸ポリプロピレン層は、２軸延伸プロピレンフィルム、１軸延伸ポリプロピレンフィルムであればよく、厚みは２０μｍ〜５０μｍが望ましい。（Ｂ）黒色ポリオレフィン層はカーボンブラックが３重量％以上含有しており、且つ厚みが１５μｍ以上であればよく、黒色低密度ポリエチレンや黒色直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィンフィルムも使用可能であり、又は上記した樹脂を押し出しラミネートして使用することも可能である。厚みは１５μｍ〜３０μｍ程度が望ましい。（Ｃ）蒸着ナイロンフィルム層は、酸化アルミニウム（アルミナ）や酸化ケイ素（シリカ）など無機金属が蒸着されているナイロンフィルムであれば特に制限はなく、ナイロンの厚みは１５μｍ〜３０μｍ程度が望ましい。（Ｄ）ポリオレフィンフィルムは上市されている熱融着性をもつポリオレフィン系フィルムであれば制限はなく、厚みは４０μｍ〜１００μｍ程度が望ましい。（Ｅ）接着剤層は上市されているドライラミネート用２液硬化型ウレタン系接着剤や、押し出しラミネート用接着剤であれば制限はなく、厚みは１μｍ〜３μｍ程度が望ましい。
【実施例】
【００２０】
以下、具体的実施例を挙げて本発明を説明する。
【００２１】
＜実施例１＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／黒色ＬＬＤＰＥ３０μ／Ａｄ／蒸着Ｎｙフィルム１５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・黒色ＬＬＤＰＥ３０μ：タマポリ（株）製、ＵＢ−１ブラック
蒸着ナイロンフィルム１５μ：凸版印刷（株）製、ＧＬ−ＡＥＹＢＣ
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２２】
＜比較例１＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／アルミ箔９μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・アルミニウム箔９μ：サン・アルミニウム（株）製、１Ｎ３０
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２３】
＜比較例２＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／アルミ蒸着ＰＥＴ１２μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製、
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、
膜厚３μ
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・アルミニウム蒸着ＰＥＴ１２μ：尾池工業（株）製、ＭＵ−Ｖ８
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２４】
＜比較例３＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／アルミ蒸着ナイロン１５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・アルミニウム蒸着ナイロン１５μ：尾池工業（株）製、ＢＣＵ
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
上記の実施例１、比較例１〜３で得られた積層フィルムからなる遮光包材について下記の評価方法１に基づいて屈曲試験を行い、屈曲試験後のピンホール数と、屈曲試験前後での光線透過率を測定した。その結果を表１に示す。
【００２５】
＜評価方法１＞
＊屈曲試験（テスター産業（株）製 ＢＥ−１００６）
屈曲試験：４４０度ねじり×３．５インチ直進＋２．５インチ直進
検体サイズ：２０５ｍｍ×２９０ｍｍ
方法：５℃環境下、２０００回往復させ、浸透液にてピンホール数を数えた（Ｎ＝２の総数）。
＊ 光線透過率測定（日本電色（株）製、ＳＺ−Σ８０）
上記、屈曲試験前後の光線透過率を測定した。
【００２６】
【表１】
【００２７】
表１から、実施例１は比較例１〜３と比べて屈曲試験におけるピンホールが少なく、且つ、屈曲試験後の光線透過率も最も低い事が分かる。実際は内容物の違いによって要求される遮光性は異なり、包装形態によっても発生するピンホールには違いが生じる。しかし、上記の実施例１で得られた本発明の遮光包材は、屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光包材を提供することが可能である。
【００２８】
また、上記の実施例１、比較例１〜３で得られた積層フィルムからなる遮光包材について下記の評価方法２に基づいて酸素透過量を測定した。その結果を表２に示す。
【００２９】
＜評価方法２＞
＊酸素透過量
ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下において、ＭＯＣＯＮ法［ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／Ｍｐａ］にて測定した。
【００３０】
【表２】
【００３１】
表２から、ビタミン、アミノ酸、糖、電解液からなる輸液バックの外装袋において、常温３年という保存期間を満たす為には、酸素透過量は一般的に５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／Ｍｐａ程度あれば充分とされており、実施例１で得られた本発明の遮光包材は充分に低い酸素透過量である。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
本発明は、外部からの酸素、及び光の進入によって容易に劣化してしまう内容物に対して、遮光性、及び酸素バリア性を持った外装袋で包装している輸液バック外装袋に有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の遮光包材の一例を示す断面図である。
【図２】本発明の遮光包材を使用した輸液バック外装材の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１：遮光包材
２：輸液バック
Ａ：延伸プロピレン層
Ｂ：黒色ポリオレフィン層
Ｃ：蒸着ナイロンフィルム層
Ｄ：ポリオレフィンフィルム
Ｅ：接着剤層
Ｇ：輸液バックポート部
Ｈ：イージピール層
Ｉ：第１室
Ｊ：第２室
Ｋ：第３室
【技術分野】
【０００１】
本発明は、酸素バリア性と遮光性を有する積層包装材料において、厚みと重みのある物を梱包・輸送した際に、耐ピンホール性を持つ遮光積層フィルムに属し、医療、医薬品や、食品などの分野において、酸素と光の進入により品質を容易に劣化させるような包装材料に利用する事ができる。とりわけ、５００ｍｌ〜２０００ｍｌと大容量の液剤を柔軟なプラスチック容器に充填してなる、輸液バックの外装袋として有用な遮光包材に関する。
【背景技術】
【０００２】
比較的大容量の液剤が充填される１室タイプ、及び２室タイプの輸液バックは、近年、ハンドリング（取り扱い）性の良さや、輸液バックの軽量化、ゴミの減容化などの観点から、柔軟なプラスチック１次容器に充填されたものが増えている（特許文献１等）。
【０００３】
輸液バックに充填されるアミノ酸液や糖・電解質液などの薬剤は、酸素によって著しく変質し、ビタミンは近紫外光によって容易に劣化してしまう。更には直接体内に薬剤を注入する事からも、１次容器は無添加のプラスチック容器を用いられる事が多く、酸素バリア性、近紫外光の遮光性はほとんど無いに等しい。そのため、輸液バックを大気中に放置しておくと、太陽光、及び蛍光灯中の近紫外光や大気中の酸素が輸液バックを透過し経時的に薬剤を変質させる。そこで、近年は輸液バックを酸素バリア性の高い包装材料で２次包装することが行われている。
【０００４】
この輸液バック外装袋には上記しているように酸素バリア性が高く要求されるため、ＰＶＤＣ（ポリ塩化ビニリデン）コートを施したプラスチックフィルムや、ＥＶＯＨ（エチレン‐ビニルアルコール共重合体）フィルム、ＰＶＡ（ポリビニルアルコール）フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着したＰＥＴ（ポリエステルテレフタレート）フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着した延伸ナイロンフィルム、ＥＶＯＨ層や、ＭＸＤ６ナイロン層を中間層に有するバリアナイロンなどが用いられた積層包装材料が広く用いられている。
【０００５】
しかし、上記した酸素バリアフィルムは透明であるので遮光性はなく、遮光性をもたせるためにアルミ蒸着されたプラスティックフィルム、及びアルミ箔ラミネートフィルムが用いられている。
【０００６】
通常はアミノ酸や、糖、電解液、ビタミンからなる高カロリー輸液が充填されたバックが上記した輸液外装袋に入れられ、更にダンボールに積載梱包され輸送される。輸送工程中の振動により、輸液外装袋にピンホールが生じる事があり、そのため酸素バリア性や遮光性が維持できなくなる。
【０００７】
ピンホールは３つの要素が加味して発生する事が多く、（１）屈曲疲労によるピンホール、（２）包装材料同士が摩耗する事による摩耗ピンホール、（３）包装材料の突起部が突き刺すことによる突き刺しピンホールに大別され、輸送工程でのピンホールにおいては、（１）屈曲ピンホールと（２）磨耗ピンホールの複合要素が大きな原因となっている。更に、アルミニウム箔がラミネートされた積層フィルムは屈曲疲労により完全貫通孔まではいかないものの、アルミニウム箔のクラックが発生し部分的に大きく遮光性を損なう可能性が多くあった。
【０００８】
輸液バックが収納されピンホールが発生しにくい包装材料として、特許文献２、特許文献３等で積層フィルムが提案されている。この積層フィルムの構成、包装形態、ヒートシ
ール方法等でピンホールを低減した包装材料であって、遮光性、酸素バリア性、耐ピンホール性を併せ持つ遮光包材とは異なり、近年、遮光性、酸素バリア性、耐ピンホール性を併せ持つ遮光包材が要求されている。
【特許文献１】特開平１０−３１４２７２号公報
【特許文献２】特開平９−２６２９４３号公報
【特許文献３】特許第３２０２５４１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたものであって、酸素バリア性と遮光性とを併せ持ち、且つ包材が屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光性包材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題の解決手段として、
請求項１記載の発明は、酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、
延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材である。
【００１１】
請求項２記載の発明は、前記酸素バリア性は酸素透過量が、５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／ＭＰａ（ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下における）以下であり、遮光性は光線透過率（日本電色工業（株）、ＳＺ‐Σ８０）が０．１％以下であることを特徴する請求項１記載の遮光包材である。
【００１２】
請求項３記載の発明は、前記黒色ポリオレフィンフィルム中にカーボンブラックが３重量％以上含有しており、厚みは少なくとも１５μｍ以上であることを特徴とする請求項１または２記載の遮光包材である。
【００１３】
請求項４記載の発明は、請求項１〜３のいずれか１項に記載の遮光包材を、アミノ酸、糖、ビタミン、電解液から構成される内容物が充填されている輸液バックの酸素バリア性外装袋の一部として使用することを特徴とする遮光包材である。
【発明の効果】
【００１４】
輸液バック外装袋のような５００ｍｌ〜２０００ｍｌ程度の易酸化性、光劣化性内容物を充填する積層包装材料において、蒸着ナイロンフィルムと黒色ポリオレフィンを用いることで、遮光性と酸素バリア性の付与が可能となる。更には、アルミニウム箔を使用せずに遮光性を付与しているので、廃棄性が簡便であり、環境面からも良好な包材を提供できる。
【００１５】
アルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムを使用すると、屈曲運動にアルミニウムにクラックが発生し遮光性の維持が困難となるが、黒色ポリエチレンを使用することでそのような問題が解決され、屈曲運動によっても遮光性を維持した遮光包材を提供できる。
【００１６】
最表層に延伸ポリプロピレンフィルム層（ＯＰＰ）を持つことで、輸送試験、振動試験などにより包材が繰り返しの屈曲運動を受けても、完全貫通孔（ピンホール）の発生し難い遮光包材を提供できる。
【００１７】
中間層に透明蒸着ナイロンフィルムを使用することで、ピンホールが発生し難くい遮光
包材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。図１は本発明の屈曲劣化の少ない遮光包材の断面図である。その構成は、（Ａ）延伸ポリプロピレン層、（Ｂ）黒色ポリオレフィンフィルム、（Ｃ）蒸着ナイロンフィルム層、（Ｄ）ポリオレフィンフィルム、（Ｅ）接着剤層からなる。図２は内容物が充填されている１次容器の正面図である。
【００１９】
（Ａ）延伸ポリプロピレン層は、２軸延伸プロピレンフィルム、１軸延伸ポリプロピレンフィルムであればよく、厚みは２０μｍ〜５０μｍが望ましい。（Ｂ）黒色ポリオレフィン層はカーボンブラックが３重量％以上含有しており、且つ厚みが１５μｍ以上であればよく、黒色低密度ポリエチレンや黒色直鎖状低密度ポリエチレンからなるポリオレフィンフィルムも使用可能であり、又は上記した樹脂を押し出しラミネートして使用することも可能である。厚みは１５μｍ〜３０μｍ程度が望ましい。（Ｃ）蒸着ナイロンフィルム層は、酸化アルミニウム（アルミナ）や酸化ケイ素（シリカ）など無機金属が蒸着されているナイロンフィルムであれば特に制限はなく、ナイロンの厚みは１５μｍ〜３０μｍ程度が望ましい。（Ｄ）ポリオレフィンフィルムは上市されている熱融着性をもつポリオレフィン系フィルムであれば制限はなく、厚みは４０μｍ〜１００μｍ程度が望ましい。（Ｅ）接着剤層は上市されているドライラミネート用２液硬化型ウレタン系接着剤や、押し出しラミネート用接着剤であれば制限はなく、厚みは１μｍ〜３μｍ程度が望ましい。
【実施例】
【００２０】
以下、具体的実施例を挙げて本発明を説明する。
【００２１】
＜実施例１＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／黒色ＬＬＤＰＥ３０μ／Ａｄ／蒸着Ｎｙフィルム１５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・黒色ＬＬＤＰＥ３０μ：タマポリ（株）製、ＵＢ−１ブラック
蒸着ナイロンフィルム１５μ：凸版印刷（株）製、ＧＬ−ＡＥＹＢＣ
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２２】
＜比較例１＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／アルミ箔９μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・アルミニウム箔９μ：サン・アルミニウム（株）製、１Ｎ３０
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２３】
＜比較例２＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／アルミ蒸着ＰＥＴ１２μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製、
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、
膜厚３μ
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・アルミニウム蒸着ＰＥＴ１２μ：尾池工業（株）製、ＭＵ−Ｖ８
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
【００２４】
＜比較例３＞
＜ＯＰＰ３０μ／Ａｄ／バリアＮｙ２５μ／Ａｄ／アルミ蒸着ナイロン１５μ／Ａｄ／ＬＬＤＰＥ６０μ＞
・ＯＰＰ３０μ：二村化学工業（株）製
・Ａｄ（接着剤）：三井武田ケミカル（株）製、Ａ−５２５／Ａ−５２、固形分３０％、膜厚３μ
・バリアナイロンフィルム２５μ：グンゼ（株）製、ＨＰ２
・アルミニウム蒸着ナイロン１５μ：尾池工業（株）製、ＢＣＵ
・ＬＬＤＰＥ６０μ：タマポリ（株）製、ＴＴＹ
上記の実施例１、比較例１〜３で得られた積層フィルムからなる遮光包材について下記の評価方法１に基づいて屈曲試験を行い、屈曲試験後のピンホール数と、屈曲試験前後での光線透過率を測定した。その結果を表１に示す。
【００２５】
＜評価方法１＞
＊屈曲試験（テスター産業（株）製 ＢＥ−１００６）
屈曲試験：４４０度ねじり×３．５インチ直進＋２．５インチ直進
検体サイズ：２０５ｍｍ×２９０ｍｍ
方法：５℃環境下、２０００回往復させ、浸透液にてピンホール数を数えた（Ｎ＝２の総数）。
＊ 光線透過率測定（日本電色（株）製、ＳＺ−Σ８０）
上記、屈曲試験前後の光線透過率を測定した。
【００２６】
【表１】
【００２７】
表１から、実施例１は比較例１〜３と比べて屈曲試験におけるピンホールが少なく、且つ、屈曲試験後の光線透過率も最も低い事が分かる。実際は内容物の違いによって要求される遮光性は異なり、包装形態によっても発生するピンホールには違いが生じる。しかし、上記の実施例１で得られた本発明の遮光包材は、屈曲疲労しても、耐ピンホール性に優れ、遮光性を維持できる遮光包材を提供することが可能である。
【００２８】
また、上記の実施例１、比較例１〜３で得られた積層フィルムからなる遮光包材について下記の評価方法２に基づいて酸素透過量を測定した。その結果を表２に示す。
【００２９】
＜評価方法２＞
＊酸素透過量
ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下において、ＭＯＣＯＮ法［ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／Ｍｐａ］にて測定した。
【００３０】
【表２】
【００３１】
表２から、ビタミン、アミノ酸、糖、電解液からなる輸液バックの外装袋において、常温３年という保存期間を満たす為には、酸素透過量は一般的に５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／Ｍｐａ程度あれば充分とされており、実施例１で得られた本発明の遮光包材は充分に低い酸素透過量である。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
本発明は、外部からの酸素、及び光の進入によって容易に劣化してしまう内容物に対して、遮光性、及び酸素バリア性を持った外装袋で包装している輸液バック外装袋に有用である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の遮光包材の一例を示す断面図である。
【図２】本発明の遮光包材を使用した輸液バック外装材の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【００３４】
１：遮光包材
２：輸液バック
Ａ：延伸プロピレン層
Ｂ：黒色ポリオレフィン層
Ｃ：蒸着ナイロンフィルム層
Ｄ：ポリオレフィンフィルム
Ｅ：接着剤層
Ｇ：輸液バックポート部
Ｈ：イージピール層
Ｉ：第１室
Ｊ：第２室
Ｋ：第３室
【特許請求の範囲】
【請求項１】
酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、
延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材。
【請求項２】
前記酸素バリア性は酸素透過量が、５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／ＭＰａ（ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下における）以下であり、遮光性は光線透過率（日本電色工業（株）、ＳＺ−Σ８０）が０．１％以下であることを特徴する請求項１記載の遮光包材。
【請求項３】
前記黒色ポリオレフィンフィルム中にカーボンブラックが３重量％以上含有しており、厚みは少なくとも１５μｍ以上であることを特徴とする請求項１または２記載の遮光包材。
【請求項４】
請求項１〜３のいずれか１項に記載の遮光包材を、アミノ酸、糖、ビタミン、電解液から構成される内容物が充填されている輸液バックの酸素バリア性外装袋の一部として使用することを特徴とする遮光包材。
【請求項１】
酸素バリア性と遮光性とを有する積層フィルムからなる遮光包材において、
延伸ポリプロピレンフィルム、黒色ポリオレフィンフィルム、蒸着ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムが順次積層されており、各層間に接着層を設けた屈曲劣化が少なく耐ピンホール性に優れることを特徴とする遮光包材。
【請求項２】
前記酸素バリア性は酸素透過量が、５．０ｍｌ／ｍ2／ｄａｙ／ＭＰａ（ＪＩＳ Ｋ７１２６に準拠し、温度３０℃、湿度７０％ＲＨの条件下における）以下であり、遮光性は光線透過率（日本電色工業（株）、ＳＺ−Σ８０）が０．１％以下であることを特徴する請求項１記載の遮光包材。
【請求項３】
前記黒色ポリオレフィンフィルム中にカーボンブラックが３重量％以上含有しており、厚みは少なくとも１５μｍ以上であることを特徴とする請求項１または２記載の遮光包材。
【請求項４】
請求項１〜３のいずれか１項に記載の遮光包材を、アミノ酸、糖、ビタミン、電解液から構成される内容物が充填されている輸液バックの酸素バリア性外装袋の一部として使用することを特徴とする遮光包材。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００８−２４６６９３（Ｐ２００８−２４６６９３Ａ）
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−８７４０２（Ｐ２００７−８７４０２）
【出願日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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