説明

遮断弁制御システム

【課題】通常運転中に作動テストができると共に、システムの構成部品等の故障を予知できる遮断弁制御システムを提供すること。
【解決手段】遮断弁1と、遮断弁1の弁軸1bを回転制御するエアーシリンダー3およびエアーシリンダー3のシリンダーにエア供給源からのエアーの供給および排気を行う電磁弁を有し、遮断弁1の開度を制御する制御手段とを備えた遮断弁制御システムであって、遮断弁1の弁軸1bの変位を検出するポテンショメータと、制御手段で遮断弁1を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際にポテンショメータで実測した遮断弁1の弁軸1bの変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定する判定手段とをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断弁制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラント設備における石油やガス等のパイプラインには、設備に異常が発生した場合にラインを緊急遮断するために、ボールバルブ等からなる遮断弁が設けられている。遮断弁は、1年に1回程度の頻度でシャットダウン(全開から全閉)の作動テストを実施して故障の有無を確認していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、遮断弁を全閉することは、プラントを停止することになり通常運転に支障を来すことになるため、通常運転中には遮断弁の作動テストを実行することができなかった。そこで、遮断弁の作動テストを通常運転中にできるようにした遮断弁制御システムが要求されている。
【0004】
本発明は、通常運転中に作動テストができると共に、システムの構成部品等の故障を予知できる遮断弁制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、遮断弁と、該遮断弁の弁軸を回転制御するエアーシリンダーおよび該エアーシリンダーのシリンダーにエア供給源からのエアーの供給および排気を行う電磁弁を有し、前記遮断弁の開度を制御する制御手段とを備えた遮断弁制御システムであって、前記遮断弁の弁軸の変位を検出するポテンショメータと、前記制御手段で前記遮断弁を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際に前記ポテンショメータで実測した前記遮断弁の弁軸の変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定する判定手段とをさらに備えていることを特徴とする遮断弁制御システムに存する。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の遮断弁制御システムにおいて、システムの初期の正常作動時の変位特性および故障予知境界の変位特性を予め記憶する記憶手段をさらに備え、前記判定手段は、前記実測の変位特性が前記正常作動時の変位特性と前記故障予知境界の変位特性の間の範囲内にある場合は正常と判定し、前記故障予知境界の変位特性とゼロ電圧の間の範囲内にある場合は、異常と判定することを特徴とする遮断弁制御システムに存する。
【0007】
請求項3記載の発明は、遮断弁と、該遮断弁の弁軸を回転制御するエアーシリンダーおよび該エアーシリンダーのシリンダーにエア供給源からのエアーの供給および排気を行う電磁弁を有し、前記遮断弁の開度を制御する制御手段とを備えた遮断弁制御システムであって、前記遮断弁の弁軸の変位を検出するポテンショメータと、前記制御手段で前記遮断弁を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際に前記ポテンショメータで実測した前記遮断弁の弁軸の変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定する判定手段と、前記システムの初期の正常作動時の変位特性および故障予知境界の変位特性を予め記憶する記憶手段と、ディスプレイ装置とを備え、前記判定手段は、前記実測の変位特性が前記正常作動時の変位特性と前記故障予知境界の変位特性の間の範囲内にある場合は正常と判定し、前記故障予知境界の圧力特性とゼロ電圧の間の範囲内にある場合は、異常と判定し、前記ディスプレイ装置は、前記実測の変位特性、前記記憶手段に記憶された前記システムの初期の正常作動時の変位特性及び故障予知境界の変位特性を表示することを特徴とする遮断弁制御システムに存する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、制御手段で遮断弁を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際にポテンショメータで実測した遮断弁の弁軸の変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定するので、プラント設備のパイプラインに設置した場合にプラント設備の通常運転中に、システムの故障/異常を判定する作動テストを実施することができる。
【0009】
請求項2及び3記載の発明によれば、実測の変位特性がシステムの初期の正常作動時の変位特性と故障予知境界の変位特性の間の範囲内にある場合は正常と判定し、故障予知境界の変位特性とゼロ電圧の間の範囲内にある場合は、異常と判定するので、実測の変位特性が上記範囲のどこにあるかによってシステムの構成部品等の故障を予知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の主旨を理解するのに役立つ参考例と本発明の実施の形態との遮断弁制御システムを示し、(A)は正面図、(B)は部分断面図である。
【図2】参考例及び本発明の実施の形態の遮断弁制御システムにおけるエアーシリンダーと電磁弁の構成を示す構成図である。
【図3】参考例及び本発明の実施の形態の遮断弁制御システムにおける電気的構成を示すブロック図である。
【図4】参考例の遮断弁制御システムにおけるエアーシリンダーの圧力特性を示すグラフである。
【図5】参考例の遮断弁制御システムにおけるエアーシリンダーの圧力特性を示すグラフである。
【図6】参考例の遮断弁制御システムにおける故障診断の手順を説明するフローチャートである。
【図7】参考例の遮断弁制御システムにおけるエアーシリンダーと電磁弁の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の遮断弁制御システムの実施の形態におけるポテンショメータの変位特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の主旨を理解するのに役立つ参考例と本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、参考例及び本発明の実施形態の遮断弁制御システムの構成を示し、(A)は正面図、(B)は部分断面図である。遮断弁制御システムは、遮断弁1と、遮断弁1の上部に固定ヨーク2を介して取り付けられ、遮断弁1の開度を制御するエアーシリンダー3と、エアーシリンダー3の上部に取り付けた屋外型または防爆型構造のポジションボックス4とを備えている。ポジションボックス4には、電磁弁5、圧力センサ−(電子式デジタル圧力計)6、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)7およびポテンショメータ8等が収納されている。エアーシリンダー3と電磁弁5は、請求項における制御手段に相当し、マイコン7は、請求項における判定手段に相当する。
【0013】
遮断弁1は、たとえばボール状の弁体1aを有するボールバルブからなり、たとえばプラント設備のパイプラインに接続されている。弁体1aには、上方に延びる弁軸1bが連結されている。弁体1aは、弁軸1bが90度回転することによって全開状態(図1(B)参照)と全閉状態に切り換えられる。弁体1aの周りは、シートパッキン1cでシールされており、弁軸1bの周りは、グランドパッキン1dでシールされている。
【0014】
図2に示すように、エアーシリンダー3は、単作動空気式のシリンダー31内にピストンロッド32で連結した一対のピストン33および34を設けたものである。一方のピストン33は、シリンダー31の一端部内に配設したコイルバネ35の付勢力により、常に閉弁方向(図2における右方向)に向けて摺動するように付勢されている。他方のピストン34は、シリンダー31の他端部に設けたエアー送入口36に接続された電磁弁5の出口ポートOUTから供給されるエアーにより、コイルバネ35の付勢力に抗して開弁方向(図2における左方向)に向けて摺動するように付勢される。ピストンロッド32には、このピストンロッド32の往復運動を回転運動に変換して弁軸1bに伝達する伝達機構37が設けられている。伝達機構37は、ピストンロッド32に突設した係合ピン37aと、弁軸1bの上端部に取り付けられている二股係合片37bとを有し、係合ピン37aに二俣係合片37bの先端を係合させ、係合ピン37aの左右移動により、二俣係合片37bが回動し、それにより弁軸1bが90度回転するようになっている。
【0015】
電磁弁5は、大流量3方電磁弁5Aと小流量3方電磁弁5Bの2つの3方電磁弁を1つのボデーに内蔵したものである。大流量3方電磁弁5Aは、弁切り換え用のソレノイドAおよびBを有し、弁の有効断面積が大きく、パイプラインで異常が発生した場合に、エアーシリンダー3を急速に閉弁方向に駆動して、遮断弁1を緊急遮断する緊急遮断用のものである。小流量3方電磁弁5Bは、弁切り換え用のソレノイドCおよびDを有し、弁の有効断面積が大流量3方電磁弁5Aより小さいものであり、システムの作動テストを行う際に使用される作動テスト用のものである。大流量3方電磁弁5Aおよび小流量3方電磁弁5Bのそれぞれの入口ポートIN、出口ポートOUTおよび排気ポートEXHは互いに接続され、ボデーにそれぞれ1つずつ設けられた共通の入口ポートIN、出口ポートOUTおよび排気ポートEXHとされている。電磁弁5は、ポジションボックス4の外部にあるエアー供給源11からのエアーを、共通の入口ポートINから大流量3方電磁弁5Aまたは小流量3方電磁弁5Bを介して共通の出口ポートOUTを経由してエアーシリンダー3のシリンダー31に供給すると共に、シリンダー21内のエアーを、共通の出口ポートOUTから大流量3方電磁弁5Aまたは小流量3方電磁弁5Bを介して共通の排気ポートEXHを経由して大気中に排気する。
【0016】
図3は、遮断弁制御システムの電気的構成を示すブロック図である。遮断弁制御システムは、電磁弁5、圧力センサー6、マイコン7、ポテンショメータ8が電源10に接続されている。圧力センサー6は、エアーシリンダー3の送入口36側のシリンダー内圧を検出し、検出信号をマイコン7に供給する。ポテンショメータ8は、弁軸1bの回転位置を検出し、検出信号をマイコン7に供給する。マイコン7は、電磁弁のソレノイドの通電制御を行うと共に、圧力センサー6およびポテンショメータ8の検出信号を演算処理してシステムの正常/故障を判定し、判定信号を外部出力部9より出力する。
【0017】
参考例では、上述の構成の遮断弁制御システムにおいて、作動テスト時に、電磁弁5からエアーを排気し遮断弁1を弁開から弁閉方向へ作動させ、そのときのエアーシリンダー3のシリンダー内圧の時間的変化(以下、圧力特性という)を観測することによってシステムの故障を予知するものである。
【0018】
以下、故障の予知方法について説明するが、その前に遮断弁制御システムの通常動作について説明する。
【0019】
まず、エアーシリンダー3の切り換え用電磁弁5は、1つのボデーに3方弁となる弁が2つ(大流量3方電磁弁5Aと小流量3方電磁弁5B)内蔵されている。そこで、通常は、大流量3方電磁弁5Aを使用する。この時、小流量3方電磁弁5Bは、停電状態になるように制御され、3つのポート全てが閉となるオールポートブロック状態になっている。大流量3方電磁弁5Aと小流量3方電磁弁5Bは、一方の電磁弁が通電している時は他方の電磁弁が停電状態になるようにマイコン7の制御により電気的にインターロックされているため、両方が同時に通電状態になることはない。
【0020】
大流量3方電磁弁5AのソレノイドAが停電状態で、ソレノイドBに通電すると、エアー供給源11からのエアーは、電磁弁5の共通の入口ポートINから大流量3方電磁弁5Aを介して共通の出口ポートOUTを経由して送入口36よりシリンダー31に供給されて、ピストン34が左方向に摺動し、遮断弁1は全開状態となる。それにより、ソレノイドBへの通電中、パイプラインの運転が可能となる。なお、大流量3方電磁弁5Aにおいて、1つのソレノイドに通電中は他のソレノイドに通電されないようにマイコン7の制御により電気的にインターロックされている。
【0021】
次に、プラント設備の異常検出信号または図示しない緊急遮断スイッチの操作信号に基づいてマイコン7がソレノイドAに通電すると、シリンダー21内のエアーは、電磁弁5の出口ポートOUTから大流量3方電磁弁5Aを経由して共通の排気ポートEXHから大気に排気され、バネ荷重によってピストン34が左から右方向に摺動し、弁軸1aが90度回転して、遮断弁1は全閉状態となる。それにより、ソレノイドAへの通電中、パイプラインは緊急遮断される。
【0022】
なお、上記の動作では、ソレノイドAまたはBのどちらかが常に通電されるように制御されているが、他の実施例として、ソレノイドAが停電状態のままで、ソレノイドBに通電して全開になった後にソレノイドBも停電すると、大流量3方電磁弁5Aはオールポートブロック状態になり、遮断弁1は全開状態を保持し、ソレノイドBが停電状態のまま、ソレノイドAに通電して全閉になった後にソレノイドAも停電すると、オールポートブロック状態になり、遮断弁1は全閉状態を保持するので、このように、全開状態時または全閉状態時になった時にソレノイドAおよびBの両方を停電状態に制御することにより、電力消費を軽減することもできる。
【0023】
次に、故障の予知を含む作動テスト時の動作について説明する。作動テスト時は、小流量3方電磁弁5Bを使用する。
【0024】
遮断弁1が全開状態でパイプラインが運転状態にある時、図示しない作動テストスイッチの操作信号に基づいて、マイコン7が小流量3方電磁弁5BのソレノイドDに通電すると、大流量3方電磁弁5Aは、停電状態になるように制御され、3つのポート全てが閉となるオールポートブロック状態になる。そして、シリンダー31内のエアーは、電磁弁5の共通の出口ポートOUTから小流量3方電磁弁5Bを経由して、共通の排気ポートEXHから大気に排気され、バネ荷重によってピストン34が左から右方向に摺動し、遮断弁1は全開状態から閉方向へ作動する。
【0025】
このとき、ソレノイドDへの通電は、遮断弁1が全開状態から予め設定された所定開度だけ閉方向に作動した時に停止し、それと同時に、ソレノイドCに通電する。この所定開度は、プラント設備のパイプラインの通常運転に支障のない程度に設定されるものであり、たとえば10〜15度に設定される。
【0026】
ソレノイドCに通電すると、エアー供給源11からのエアーは、電磁弁5の共通の入口ポートINから小流量3方電磁弁5Bを介して共通の出口ポートOUTを経由して送入口36よりシリンダー31に供給されて、ピストン34が左方向に摺動し、遮断弁1は全開状態に戻る。なお、小流量3方電磁弁5Bにおいて、1つのソレノイドに通電中は他のソレノイドに通電されないようにマイコン7の制御により電気的にインターロックされている。
【0027】
このように、作動テスト時に、遮断弁1を全開状態から予め設定された所定開度だけ閉方向に作動させた時のエアーシリンダー3のシリンダー内圧の時間的変化(以下、圧力特性という)を圧力センサー6の検出信号に基づいて測定し、測定した圧力特性の推移に基づいて故障判定を行う。具体的には、作動テスト時に実測した圧力特性を、マイコン7のメモリに予め記憶してある初期の正常作動時の圧力特性(後述する図4における曲線A)、故障時の圧力特性(後述する図4における曲線B)および故障予知境界の圧力特性(後述する図4における故障予知境界線C)と比較し、その比較結果により故障判定を行うものである。
【0028】
初期の正常作動時の圧力特性(後述する図5における曲線A)、故障時の圧力特性(後述する図5における曲線B)および故障予知境界の圧力特性(後述する図5における故障予知境界線C)については、次のように求められる。
【0029】
シリンダー内圧の変化に伴うエアーシリンダー3の動作を説明すると、送入口36よりエアーが供給されることによる供給圧力によって、ピストン34の直径をDとすると、ピストン34の受圧面積AcはπD2 /4となり、発生する力は、受圧面積Ac×シリンダー内圧Pとなる。一方、バネ定数kを持つコイルバネ35が変位xだけ移動してたわむと、バネ荷重はkxとなる。
【0030】
そこで、ピストンの質量、始動抵抗(摩擦抵抗)、変位、速度および加速度を、それぞれをm、C、x′、x′′とすれば、(mx′′+Cx′+kx)<(P×Ac)になった時に、ピストン34は右側から左側へ移動し、その時連結されている遮断弁1のボール状弁体1aが開方向に回転する。シリンダー31のピストン34の変位xが最大移動距離だけ左側へ移動すると、遮断弁1のボール状弁体1aは、開方向に90度回転して全開状態となる。
【0031】
遮断弁1が全開の状態から、シリンダー31内のエアーは、小流量3方電磁弁5Bを経由して大気に放出される。kx>{(P×Ac)+mx′′+Cx′}になった時に、ピストン34は左側から右側へ移動し、その時連結されている遮断弁1のボール状弁体1aが閉方向に回転する。シリンダー31のピストン34の変位xが最大移動距離だけ右側へ移動すると、遮断弁1のボール状弁体1aは、閉方向に90度回転して全閉状態となる。
【0032】
このように、小流量3方電磁弁5Bを用いた際の遮断弁1の全開状態から全閉状態になるまでのフルストローク作動確認試験をプラント設備のパイプラインに遮断弁制御システムを設置した試運転の際に実施して、その時のエアーシリンダー3のシリンダー内圧の時間的変化を、実測することで、初期の正常作動時の圧力特性としてマイコン7のメモリ(記憶手段)に予め記憶する。
【0033】
マイコン7は、下記の3つの計算式、すなわち運動方程式、状態方程式および熱エネルギー方程式を用いて実測値に近似するように、計算式における各パラメータの数値を変化させて、何度も繰り返し計算させて一致させたパラメータをデータとして記憶させる機能を持つ。
【0034】
(運動方程式) mx′′+Cx′+P×Ac=kx・・・(1)
ただし、m:エアーシリンダー3のピストン質量、C:エアーシリンダー3の始動抵抗、x:エアーシリンダー3の変位、x′:エアーシリンダー3の速度、x′′:エアーシリンダー3の加速度、P:エアーシリンダー3のシリンダー内圧、Ac:エアーシリンダー3のシリンダー受圧面積である。
【0035】
(状態方程式) dP/dt=(Rθa/Vc)G−(P/Vc)(dV/dt)+(WR/Vc)(dθc/dt)・・・(2)
ただし、R:空気のガス定数、θa:エアーシリンダー3のシリンダー内壁温度(シリンダー外周の周囲温度と同一とする)、Vc:エアーシリンダー3のシリンダー体積、G:空気の質量流量、W:空気のガス質量、θc:エアーシリンダー3のシリンダー内空気温度である。なお、θaは、図示しない温度センサからの温度検出信号に基づいて、マイコン7で計測される。また、θcは、シリンダー体積およびシリンダー内圧とボイル−シャルルの法則から計算により求められる。
G=kg・Qn・・・(3)
ただし、kg:係数、Qn:空気の体積流量(標準状態)である。体積流量Qnは以下の放出流量の式で求められる。
(放出流量の式) (Pa/P)<0.528の時、Qn=11.1SePc√(θo/θc)・・・(4)
ただし、Pa:大気圧力、Se:小流量3方電磁弁5Bの有効断面積、θo:標準状態空気温度(273°K)である。
(Pa/P)≧0.528の時、Qn=22.2Se√Pa(P−Pa)√(θo/θc)・・・(5)
【0036】
(熱エネルギー方程式) dθc/dt=(Rθc/CvW)G+(hSh/CvW)(θa−θc)・・・(6)
ただし、Cv:空気の定積比熱、h:シリンダー内壁と空気との熱伝達率、Sh:シリンダー内壁表面積である。
【0037】
故障診断は、最終的にはシリンダー内圧変化(圧力特性)の実測値に合うように計算した各パラメータを当てはめた上記の状態方程式(2)によって求めた圧力(シリンダー内圧)−時間の特性で判定する。状態方程式(2)のみではシリンダー内圧変化による温度
変化を考慮していないので、熱エネルギー方程式(6)を使用して温度補正する。作動テストスイッチの操作時点から遮断弁1が実際に作動を開始するところまでと、遮断弁1の全閉からシリンダー内圧0MPaに至るまでは、運動方程式の変位x=0のため、状態方程式(2)と熱エネルギー方程式(6)のみが適用される。
【0038】
計算した各パラメータを当てはめた上記状態方程式(2)をグラフに表すと、初期の正常作動時の圧力特性は、図4の曲線Aで示される。この曲線Aは、初期の正常作動時の圧力特性としてマイコン7のメモリに予め記憶される。曲線Aにおいて、時点t0は、作動テストスイッチがオンとされる時点を示し、エアーシリンダー3のシリンダー31内のエアーが排気され始めるが、ピストン34は始動抵抗等の影響によりまだ移動を開始しないので、シリンダー内圧は、小流量3方電磁弁5Bの排気のみに依存して次第に減少する。時点t1は、ピストン34の動き始めの時点を示し、ピストン34が左側から右方向への移動を開始し、ピストン34がシリンダー31内のエアーを押して、遮断弁1が閉方向に作動する。ピストン34の動き始めの時点t1における圧力値をPoとする。時点t2は、遮断弁1を全開状態から予め設定された所定開度(たとえば、15度)だけ閉方向に作動させた時点を示し、この時点での圧力値をP1とする。時点t3は遮断弁1が全閉状態となる時点を示し、この時点でシリンダー内圧はゼロPa(パスカル)となる。
【0039】
一方、エアーシリンダー3が故障してピストン34が動作しない場合は、ピストン34はシリンダー31内のエアーを押さず、エアーは、単にシリンダー31から小流量3方電磁弁5Bを経由して大気放出されるので、故障の場合の圧力特性は、図4の曲線Bとなる。曲線Bは、時点t0から時点t1までは曲線Aと同一特性となり、時点t1からt3までの圧力値は曲線Aを下回る特性となる。この曲線Bは、エアーシリンダー3が故障して動かない場合の上記各方程式により計算により求められ、同様にマイコン7のメモリに予め記憶される。曲線Bの時点t2における圧力値をP2とする。
【0040】
エアーシリンダー3の圧力特性は、初期の正常作動時の曲線Aから、エアーシリンダー3のピストン34、33のパッキンの経時的劣化、遮断弁1のシートパッキン1cやグランドパッキン1dの経時的劣化等による始動抵抗の増加により、次第に劣化して時点の経過と共に故障時の曲線Bに近づく特性変化を示すが、曲線Aと曲線Bの間に正常作動範囲と危険作動範囲の境界を表す図4の故障予知境界線Cの圧力特性を設定し、同様にマイコン7のメモリに予め記憶する。曲線Cの時点t2における圧力値をPthとする。曲線Aと故障予知境界線Cで囲まれる範囲を正常作動範囲とし、曲線Bと故障予知境界線Cで囲まれる範囲を危険作動範囲とする。
【0041】
以上のようにして、遮断弁1の設置時に曲線A、曲線Bおよび故障予知境界線Cをマイコン7のメモリに予め記憶しておく。
【0042】
次に、遮断弁1の設置後、プラント設備の正常運転が始まってから作動テスト実施時(たとえば、設置から数ヶ月後)において、遮断弁1を全開状態から予め設定された所定開度(たとえば、15度)だけ閉方向に作動させるパーシャル作動確認試験を実施し、その時のエアーシリンダー3のシリンダー31の圧力値を圧力センサー6の検出信号に基づいて実測し、圧力特性をマイコン7のメモリに記憶する。
【0043】
次に、実測した圧力特性と、予めマイコン7のメモリに記憶されている初期の正常作動時、故障時および故障予知の曲線A,B,Cとをマイコン7で比較し、故障の有無の判定を行う。判定結果は、正常と異常の2段階に区分する。
【0044】
実測した圧力特性が、曲線Aと曲線Cの間の正常作動範囲内にあれば、正常と判定する
。正常と判定された場合は、遮断弁制御システムは、メンテナンスをせず継続使用して、たとえば1年後まで使用可とする。
【0045】
一方、実測した圧力特性が、曲線Cと曲線Bの間の危険作動範囲内にあれば、異常と判定する。異常と判定された場合は、シリンダー駆動バルブ3や遮断弁1のメンテナンスまたは部品、新品交換要とする。
【0046】
なお、判定結果は、マイコン7から外部出力部9より、たとえばDC4〜20mAの電気信号で外部出力できる。また、図示しないディスプレイ装置に曲線A,B,Cと圧力特性の実測値を表示させて、正常/異常の判定結果と共に視認できるようにしても良い。この場合、圧力特性の実測値が曲線A,B,Cで表される正常作動範囲および危険作動範囲のどの辺に位置しているかを視認することにより、故障の予知が可能となる。
【0047】
上記の故障診断は、図4に示すエアーシリンダー3の圧力特性における時点t1〜t2間の推移に基づいて、主としてエアーシリンダー3や遮断弁の故障を予知しているが、圧力特性における時点t0〜t1間の推移に基づいて、他の部品の故障を予知することもできる。
【0048】
すなわち、作動テスト開始の時点t0から遮断弁1の動き始めの時点t1までは、シリンダー内圧の時間的変化は、小流量3方電磁弁5Bの排気作動に依存しており、小流量3方電磁弁において作動不良もしくは目詰まり等の故障が発生している場合には、時点t0から時点t1までの間の圧力特性が正常な特性にならなくなるので、上述のように時点t1から時点t2までの圧力特性を監視してエアーシリンダー3の故障/正常を判定することに加えて、時点t0から時点t1までの圧力特性を監視して、小流量3方電磁弁5Bの作動の正常/故障を判定することもできる。
【0049】
たとえば、図5に示すように、時点t0から時点t1までの初期の正常作動時の圧力特性Aに対して、小流量3方電磁弁5Bにおいて作動不良もしくは目詰まり等の故障時には、曲線B′のように圧力の減少の傾きが小さくなる。そこで、曲線Aと曲線B′の間に故障予知境界線C′を設定し、マイコン7のメモリに予め曲線A、曲線B′および曲線C′の圧力特性を記憶しておき、作動テスト時のシリンダー内圧の実測特性が、曲線Aと曲線C′の間の範囲内にある場合は正常と判定し、曲線C′と曲線B′の間の範囲内にある場合は、流量3方電磁弁5Bの異常と判定することができる。
【0050】
なお、エアーシリンダー3のシリンダー31が大きい場合は、電磁弁5とシリンダー31の間に空気作動弁を設けた構成とすることができるが、この場合は、空気作動弁の作動不良もしくは目詰まり等の故障時にも上述のように正常/故障を判定することができる。
【0051】
次に、上述した故障診断の手順について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。まず、遮断弁制御システムの製品を出荷し(ステップS1)、プラント設備のパイプラインに設置する(ステップS2)。次に、プラント設備の試運転時に、小流量3方電磁弁5Bを用いた際の遮断弁1の全開状態から全閉状態になるまでのフルストローク作動確認試験を実施し、その時のエアーシリンダー3のシリンダー内圧の時間的変化を実測し、上記の各方程式に基づいて、初期の正常作動時の圧力特性(図4の曲線A)、故障時の圧力特性(曲線B)および故障予知境界線Cをマイコン7のメモリに記憶する(ステップS3)。
【0052】
次に、製品が設置された時から所定期間の経過後(たとえば、数ヶ月後)、作動テストのためのパーシャル作動確認試験を実施し、その時点でのエアーシリンダー3のシリンダー31の圧力特性を実測する(ステップS4)。次に、マイコン7のメモリに予め記憶されている圧力特性(図4の曲線A、曲線Bおよび故障予知境界線Cと、図5の曲線B′および故障予知境界線C′)と実測した圧力特性を比較し、2段階(正常および異常)の判定をマイコン7により行う(ステップS5)。
【0053】
次に、ステップS5の判定の結果、実測した圧力特性が、曲線Aと曲線Cの間の正常作動範囲内かつ曲線Aと曲線C′の正常範囲内にあれば、正常と判定する(ステップS6)。正常と判定された場合は、遮断弁制御システムは、メンテナンスをせず継続使用して、たとえば1年後まで使用可とする。
【0054】
一方、ステップS5の判定の結果、実測した圧力特性が、曲線Cと曲線Bの間の危険作動範囲内および/または曲線C′と曲線B′の危険作動範囲内にあれば、異常と判定する(ステップS7)。異常と判定された場合は、エアーシリンダー3、遮断弁1、小流量3方電磁弁5B等のメンテナンスまたは部品、新品交換要とする。なお、正常または異常の判定結果と圧力特性の実測値および曲線A、B、B′、C、C′は、図示しないディスプレイ等により表示することができ、また、マイコン7から外部出力部9より、たとえばDC4〜20mAの電気信号で外部出力できる。
【0055】
ステップS7で異常と判定された場合は、次に、メンテナンスまたは故障部品の交換等の処置を実施し(ステップS8)、次いで、メンテナンスまたは故障部品の交換等の実施後の遮断弁制御システムの試運転を実施する(ステップS9)。次に、ステップS4と同様の作業を実施し、それに基づき、初期の正常作動時の圧力特性(曲線A)を再記憶(ステップS4で記憶した曲線Aの更新)を行い(ステップS10)、次いでステップS5に戻る。
【0056】
以上の通り、参考例について説明したが、参考例はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0057】
たとえば、上述の参考例では、電磁弁5は、大流量3方電磁弁5Aおよび小流量3方電磁弁5Bを内蔵しているが、これに代えて、他の参考例として大流量4方電磁弁および小流量4方電磁弁を内蔵した構成としても良い。
【0058】
図7は、電磁弁5が大流量4方電磁弁および小流量4方電磁弁を内蔵した構成を有する他の参考例を示す構成図である。図7において、エアーシリンダー3の切り換え用電磁弁5は、1つのボデー内に4方弁となる電磁弁が2つ内蔵されており、使い方によって出口ポートOUT1または出口ポートOUT2のどちらかをプラグして3方弁として使用することができる。大流量4方電磁弁5Cおよび小流量4方電磁弁5Dのそれぞれの入口ポートIN、出口ポートOUT1、出口ポートOUT2、排気ポートE1および排気ポートE2は互いに接続され、ボデーにそれぞれ1つずつ設けられた共通の入口ポートIN、出口ポートOUT1,OUT2および排気ポートE1,E2とされている。通常は大流量3方電磁弁5Cを使用する。この時、小流量4方電磁弁5Dは停電状態になるように制御され、5つのポート全てが閉となるオールポートブロック状態になっている。大流量4方電磁弁5Cと小流量4方電磁弁5Dは、一方の電磁弁が通電している時は他方の電磁弁が停電状態になるようにインターロックされているため、両方が同時に通電状態になることはない。
【0059】
出口ポートOUT1をプラグして使用する場合を例にすると、大流量4方電磁弁5CのソレノイドAが停電状態で、ソレノイドBに通電すると、エアーは、INポートから出口ポートOUT2を経由してエアーシリンダー3のシリンダー31に供給され、それにより、遮断弁1は全開状態となる。大流量4方電磁弁5Cにおいて、1つのソレノイドに通電中は他のソレノイドに通電されないようにインターロックされている。ソレノイドAが停電状態のままソレノイドBを停電すると、大流量4方電磁弁5Cはオールポートブロック状態になり、遮断弁は全開状態を保持する。
【0060】
次に、プラント設備の異常検出信号または図示しない緊急遮断スイッチの操作信号に基づいてマイコン7がソレノイドAに通電すると、エアーは、INポートから出口ポートOUT1に流れようとするが、プラグされているため止まる。一方、エアーシリンダー31内のエアーは、大流量4方電磁弁5Cの出口ポートOUT2を経由してE2ポートから大気に排気されて、遮断弁1はバネ荷重によって全閉状態となる。それにより、ソレノイドAへの通電中、パイプラインは緊急遮断される。なお、故障診断時に使用される小流量4方電磁弁5Dの作動も同様である。
【0061】
また、上述の参考例および他の参考例では、遮断弁1の全開状態または全閉状態において、対応する大流量3方電磁弁5Aまたは大流量4方電磁弁5CのソレノイドA、Bのどちらかが通電されたままとなっているが、これに代えて遮断弁1が全開状態または全閉状態になった後、ソレノイドA,Bの両方を停電状態にするように制御しても良い。この場合、大流量3方電磁弁5Aまたは大流量4方電磁弁5Cはオールポートブロック状態となるため、電力消費を軽減して、遮断弁1の全開状態または全閉状態を保持することができる。また、オールポートブロック状態を利用すれば、遮断弁1は任意の弁開度で停止保持できる。この作動は、小流量3方電磁弁5Bまたは小流量4方電磁弁5Dでも同様であるので、パーシャル作動確認試験による作動テスト時に故障して元の全開に戻したくても作動しない場合に、その位置で保持するのに役立つ。
【0062】
また、上述の参考例では、フルストローク作動確認試験によって、曲線A,Bを求めているが、これに代えて時点t0から時点t2までのパーシャル作動確認試験によって曲線A,Bを求めるようにしても良い。
【0063】
また、上述の参考例では、故障/異常の判定を実測の圧力特性と曲線A、B、Cの圧力特性とを比較して行っているが、これに代えて、時点t2における実測の圧力値と、時点t2における曲線Aの圧力値P1、曲線Bの圧力値P2および曲線Cの圧力値(しきい値)Pthとを比較し、実測の圧力値がP1とPthの間にあれば正常、PthとP2の間にあれば異常と判定するようにしても良い。また、時点t1における実測の圧力値と、時点t1における曲線Aの圧力値P0、曲線B′の圧力値P3および曲線C′の圧力値(しきい値)P4とを比較し、実測の圧力値がP0とP4の間にあれば正常、P4とP3の間にあれば異常と判定するようにしても良い。
【0064】
また、他の参考例として、シリンダー体積に対して電磁弁の有効断面積が大きい場合は、作動テスト時の圧力減少が早くなり、正常作動時でも曲線Bに近い圧力特性になり、このような場合は、圧力特性における遮断弁1の動作開始点(時点t1)は明確には捕らえづらいので、マイコン7は、ポテンショメータ8の検出信号により遮断弁1の作動開始点を検出しても良い。
【0065】
また、上述の参考例では、エアシリンダー3のシリンダー内圧の圧力特性を監視することによって故障診断を行っているが、本発明の実施の形態として、ポテンショメータ8の検出信号の推移を表す変位特性のみを監視することによって故障診断を行うように構成することができる。
【0066】
この場合は、たとえば図8に示すように、プラント設備の試運転時にフルストローク作動確認試験を実施し、そのときのポテンショメータ8の検出電圧の時間的変化を実測することで、初期の正常作動時の変位特性Dとしてマイコン7のメモリに予め記憶する。変位
特性Dは、作動確認試験の開始時点t0から遮断弁1の全開から閉方向への作動開始時点t1までは検出電圧がゼロ、時点t1から全閉状態となる時点t3まで次第に検出電圧が上昇して最大電圧(Vmax)になるように変化し、この検出電圧の変化が遮断弁1の全開から全閉までの位置の変位(したがって、ピストン33の変位)を表している。また、故障予知境界線Eを曲線Dと検出電圧ゼロの間に設定し、マイコン7のメモリに予め記憶する。
【0067】
作動テスト時には、遮断弁1を全開状態から予め設定された所定開度(たとえば、15度)だけ閉方向に作動させ(時点t2)、実測したポテンショメータ8の変位特性が、曲線Dと曲線Eの間の範囲内にある場合は正常と判定し、曲線Eと電圧ゼロの間の範囲内にある場合は異常と判定することができる。
【0068】
また、上述の実施の形態では、故障/異常の判定を実測の変位特性と曲線D、Eの変位特性とを比較して行っているが、これに代えて、時点t2における実測の検出電圧と、時点t2における曲線Dの電圧値V1、曲線Eの電圧値(しきい値)Vthおよびゼロ電圧とを比較し、実測の電圧値がV1とVthの間にあれば正常、Vthとゼロ電圧の間にあれば異常と判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 遮断弁
3 エアーシリンダー(制御手段の一部)
5 電磁弁(制御手段の一部)
5A 大流量3方電磁弁
5B 小流量3方電磁弁
6 圧力センサー
7 マイコン(判定手段、記憶手段)
8 ポテンショメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断弁と、該遮断弁の弁軸を回転制御するエアーシリンダーおよび該エアーシリンダーのシリンダーにエア供給源からのエアーの供給および排気を行う電磁弁を有し、前記遮断弁の開度を制御する制御手段とを備えた遮断弁制御システムであって、
前記遮断弁の弁軸の変位を検出するポテンショメータと、
前記制御手段で前記遮断弁を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際に前記ポテンショメータで実測した前記遮断弁の弁軸の変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定する判定手段と
をさらに備えていることを特徴とする遮断弁制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の遮断弁制御システムにおいて、
システムの初期の正常作動時の変位特性および故障予知境界の変位特性を予め記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記実測の変位特性が前記正常作動時の変位特性と前記故障予知境界の変位特性の間の範囲内にある場合は正常と判定し、前記故障予知境界の変位特性とゼロ電圧の間の範囲内にある場合は、異常と判定する
ことを特徴とする遮断弁制御システム。
【請求項3】
遮断弁と、該遮断弁の弁軸を回転制御するエアーシリンダーおよび該エアーシリンダーのシリンダーにエア供給源からのエアーの供給および排気を行う電磁弁を有し、前記遮断弁の開度を制御する制御手段とを備えた遮断弁制御システムであって、
前記遮断弁の弁軸の変位を検出するポテンショメータと、
前記制御手段で前記遮断弁を全開から所定開度閉方向に作動させるように制御した際に前記ポテンショメータで実測した前記遮断弁の弁軸の変位特性に基づいてシステムの正常/異常を判定する判定手段と、
前記システムの初期の正常作動時の変位特性および故障予知境界の変位特性を予め記憶する記憶手段と、
ディスプレイ装置とを備え、
前記判定手段は、前記実測の変位特性が前記正常作動時の変位特性と前記故障予知境界の変位特性の間の範囲内にある場合は正常と判定し、前記故障予知境界の圧力特性とゼロ電圧の間の範囲内にある場合は、異常と判定し、
前記ディスプレイ装置は、前記実測の変位特性、前記記憶手段に記憶された前記システムの初期の正常作動時の変位特性及び故障予知境界の変位特性を表示する
ことを特徴とする遮断弁制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−17442(P2011−17442A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183085(P2010−183085)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【分割の表示】特願2007−261895(P2007−261895)の分割
【原出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(592115504)金子産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】