説明

遮熱コーティング施工方法

【課題】耐久性のよい遮熱コーティング層を形成する。
【解決手段】動翼50の翼部51の翼面に対して、溶射ガン11から溶射材12を噴射してコーティングをする。この場合、マスキング部材20を配置して、プラットフォーム部52やそのプラットフォーム面52aに溶射材が噴射されることを遮断する。溶射ガン11は、溶射角度を略90°にしつつ上下方向に走査移動していく。その後、マスキング部残20を外して、プラットフォーム面52aへの溶射施工と、プラットフォーム端面52bへの溶射施工を順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮熱コーティング施工方法に関し、複雑な形状をした被溶射物の表面に、耐久性の良い遮熱コーティング層を形成することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、その効率を向上させるために、使用するガスの温度を高く設定している。このような高温のガスに晒される翼には、耐熱性を高めるために、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)が施されている。TBCとは、被溶射物である翼の表面に、溶射により熱伝導率の小さい溶射材(例えば熱伝導率の小さいセラミックス系材料)を被覆したものである。
【0003】
ここで遮熱コーティング層の一般的な構成を図7を参照して説明する。同図に示すように、基材1上にアンダーコート2を被覆し、このアンダーコート2上にトップコート3を被覆してTBCが施されている。
【0004】
基材1は例えばガスタービンの翼であり、Ni基超合金等の高温強度に優れた材料で製作されている。
アンダーコート2は、MCrAlY合金(但し、MはCo及びNiのうちの少なくとも1種の元素を表す)を主として含有するMCrAlY層を、溶射施工(LPPS(低圧プラズマ溶射法)またはHVOF(高速フレーム溶射法))により、基材1上に施して金属結合層として積層したものである。このアンダーコート2は、基板1への耐食機能と、基材1とトップコート3との結合剤としての機能を有している。
【0005】
トップコート3は、アンダーコート(MCrAlY層)2上に、溶射施工(APS:大気圧プラズマ溶射法)により、YSZ(添加剤としてY23を添加して部分安定化させた部分安定化ジルコニア)よりなるセラミックス層を積層して構成されている。このトップコート層3は、基材1への遮熱機能を果たすものである。
【0006】
トップコート3の材料としては、上記の他にもSmYbZr27,YbSZ(Yb23添加で部分安定化した部分安定化ジルコニア:Yb23の添加割合が、0.01wt%以上17.00%以下)等があり、YSZよりも遮熱性や、高温相安定性に優れる。
トップコート材の被膜組織としては、遮熱性に優れるポーラス組織(気孔率:1%以上30%以下)、耐久性に優れる縦割れ組織(厚さ方向に、トップコート層の厚さの5%以上100%以下の間隔で縦割れを有し、層の断面における単位長さ(1mm)あたりの縦割れの数が1本以上10本以下であることを特徴とする組織)などがある。
【0007】
被溶射物にTBCを施すには、一般的には、多軸ロボットの先端にプラズマ溶射をする溶射ガンを取り付け、多軸ロボットを駆動して溶射ガンを走査移動させつつ、溶射ガンから被溶射物に対して加熱溶融した溶射材を吹き付けて溶射をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−209440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、タービンの翼(動翼、静翼)のような3次元曲面部材に対して、大気圧プラズマ溶射法(APS)により、溶射ガンから加熱溶融した溶射材を吹き付けて、トップコートを形成する場合において、その施工条件として、試験片レベルで性能が良いと判定した施工条件をそのまま採用したとしても、トップコートの組織、耐久性、成膜効率の悪い箇所ができてしまう場合がある。
このような不具合は、単純形状の試験片に比べ、複雑な曲面を有するタービン翼などの部品に施工する場合、溶射時に使用するロボットのプログラムに工夫が必要であり、この工夫が不十分な場合に、溶射角度や溶射距離が適正範囲からはずれるために生ずる。
【0010】
ここで「溶射角度θ」について説明すると、図8に示すように、溶射ガン11から加熱溶融した溶射材(トップコート材)12を被溶射物13に吹き付けた(噴射した)ときに、被溶射物13の表面のうち溶射材12が吹き付けられる位置である溶射点Pにおける接平面Sと、溶射材12の吹き付け方向(噴射方向)とでなす角度をいう。
【0011】
上記の溶射角度θが悪いと、即ち、溶射角度θが90°に対して小さい角度になると、トップコートの耐久性が落ちる場合があると共に、成膜効率が落ちる場合がある。
【0012】
図9は、溶射角度θと相対熱サイクル寿命との関係を示す特性図であり、溶射角度θが90°〜70°の範囲であれば、耐久性は高いが、溶射角度θが70°未満になると耐久性が低下する傾向にあることが、本願発明者の研究により分かった。
【0013】
また3次元曲面部材の被溶射物に対して、溶射角度の良い成膜を行おうとする場合には、
溶射点Pの移動軌跡が、被溶射物の表面のうち曲率変化が少ない方向に沿い形成されるように、溶射ガンを走査移動する手法が望ましい。なぜならば、溶射施工時のロボットの速度は、溶接などの他のプロセスに比べ、比較的速く、多関節ロボットで、曲率が極端に変化する方向へ走査(たとえば、図2の翼のように縦に動かすのでなく、前縁のR部を水平方向に動かす場合等)しつつ、溶射点の接平面にガンの角度を90°に維持しようとすると(要するに溶射角度を90°に維持しようとすると)、複雑な面になるほど、多くの関節を同時に動かす制御が必要となり、各々の関節のモータの加速度が重畳されることとなって、設定どおりの速度で溶射点が動かない不適合が生じやすくなる。このような速度の変化は、膜厚の変化に直結するので、問題である。この点は、ロボットの性能を高めたり、プログラミングをより最適化することで、有る程度解消はできるが、比較的、高度な技術と、時間が必要となるので、工業的には、できるだけ、溶射ガンを曲率変化の少ない方向に沿って動かすほうが、施工の安定性を高めることになる。
ただし、その走査移動方向に直交する面がある場合には、その面(直交する面)の施工が実施しにくいという問題がある。
【0014】
例えば、図10に示すように、溶射ガン11を上下方向に走査移動しつつ溶射材12を被溶射物13の表面に吹き付けていく場合、被溶射物13の面αについては溶射角度が90°近くになり良好な耐久性・成膜効率を得ることができるが、面αに対して直交する面βについては溶射角度が極めて小さくなり、耐久性・成膜効率が大幅に低下する。
更に面γでは、溶射角度が90°近くになるが、溶射距離(溶射ガン11から被溶射物の面までの距離)が短いため、形成されるトップコートの膜厚が厚くなりすぎ、状況によっては、膜が剥離してしまうという不具合がでてくることがある。
【0015】
本発明は上記従来技術に鑑み、被溶射物の表面に耐久性の良い遮熱コーティング層を形成することができ、しかも、3次元曲面部材等の複雑な表面形状をした被溶射物であっても、耐久性の良い遮熱コーティング層を形成することができる遮熱コーティング施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する本発明の構成は、
被コーティング面を備えた主部と、この主部の被コーティング面に対して交差する交差面を有する交差部材とを有する、被溶射物に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記被コーティング面上及び前記交差面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記交差部材及び前記交差面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記主部の前記被コーティング面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記被コーティング面のうち曲率変化が少ない方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記交差部材の交差面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
また本発明の構成は、
翼部と、この翼部の翼面に対して交差する交差面を有する交差部材とを有する、ガスタービンの翼に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記翼面上及び前記交差面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記交差部材及び前記交差面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°にして前記溶射ガンから前記翼部の翼面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記翼面の先端側と翼付根側とを結ぶ方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記交差部材の交差面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
また本発明の構成は、
翼部と、この翼部の翼面に対して交差するプラットフォーム面及び前記プラットフォーム面に対して交差するプラットフォーム端面を有するプラットフォーム部とを有する、ガスタービンの動翼に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記翼面上並びに前記プラットフォーム面上及び前記プラットフォーム端面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記プラットフォーム部及び前記プラットフォーム面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°にして前記溶射ガンから前記翼部の翼面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記翼面の先端側と翼付根側とを結ぶ方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記プラットフォーム部のプラットフォーム面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記プラットフォーム部のプラットフォーム端面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、翼面(主部の面)と、プラットフォーム面(交差面)との遮熱コーティング施工を別々に行うと共に、溶射角度を90°〜70°にしたため、耐久性の良い遮熱コーティング層を形成することができる。
また、翼面を溶射する際に、マスキング部材を用いてプラットフォーム部への溶射を遮断しているため、不要な溶射がされることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ガスタービンの動翼を示す斜視図。
【図2】翼部の翼面に遮熱コーティング層を形成する工程を示す斜視図。
【図3】翼部の翼面に遮熱コーティング層を形成する工程を示す側面図。
【図4】プラットフォーム部のプラットフォーム面に遮熱コーティング層を形成する工程を示す斜視図。
【図5】プラットフォーム部のプラットフォーム面に遮熱コーティング層を形成する工程を示す側面図。
【図6】プラットフォーム部のプラットフォーム端面に遮熱コーティング層を形成する工程を示す側面図。
【図7】遮熱コーティング層の構成を示す断面図。
【図8】溶射角度を示す説明図。
【図9】溶射角度と相対熱サイクル寿命(耐久性)との関係を示す特性図。
【図10】従来の遮熱コーティング施工方法の一例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1として、ガスタービンの動翼に対して遮熱コーティング施工を施す手法を説明する。
【0023】
最初に、図1を参照して、ガスタービンの動翼50について説明する。同図に示すように、動翼50は、翼を形成する翼部51と、翼部51の根元側と接合しているプラットフォーム部52と、プラットフォーム部52の下に位置するシャンク部53を有している。
翼部51の翼面は、翼腹面、翼前縁面、翼背面、翼後縁面からなり、概略的には涙形となっている複雑な形状となっている。
【0024】
このような動翼50では、翼部51の翼面と、翼頂部分(チッフ゜部)51a、プラットフォーム部52のプラットフォーム面(上面)52aと、プラットフォーム部52のプラットフォーム端面52bに対して、遮熱コーティング施工をする。
【0025】
本実施例では、翼部51の翼面に遮熱コーティング層を形成する工程と、プラットフォーム部52のプラットフォーム面52aに遮熱コーティング層を形成する工程と、プラットフォーム部52のプラットフォーム端面52bに対して遮熱コーティング層を形成する工程とに分けて、大気圧プラズマ溶射法(APS)により遮熱コーティング施工をする。
【0026】
つまり、翼部(主部)51の翼面(被コーティング面)への遮熱コーティング施工と、翼面に直交(交差)するプラットフォーム部(交差部材)52のプラットフォーム面(交差面)52aへの遮熱コーティング施工と、プラットフォーム面52aに直交(交差)するプラットフォーム端面52bへの遮熱コーティング施工を分けて行う。
【0027】
最初に、翼部51の翼面に遮熱コーティング層を形成する工程を、図2及び図3を参照して説明する。
両図に示すように、プラットフォーム部52のプラットフォーム端面52bに対面した状態で、板状のマスキング部材20を配置している。このマスキング部材20は、プラットフォーム端面52bに対面するのみならず、マスキング部材20の上縁が、翼部51の翼面とプラットフォーム面52aとが交差している位置(翼部51の根元部)よりも上方(翼部51の先端側)に位置している。
【0028】
図2においてラダー形の線は、溶射ガン11の走査移動の経路を示している。
具体的に説明すると、溶射ガン11から噴射した加熱溶融した溶射材12が翼部の翼面に吹き付けられる位置(溶射点P)の移動軌跡が、翼面の縦方向(翼面の先端側と翼付根側とを結ぶ方向)となるように溶射ガン11を走査移動させ、この縦方向の走査移動の後に、翼面の横方向(前記の縦方向に直交する方向)に予め決めたピッチ分だけシフト移動させてから、再び溶射ガン11を翼面の縦方向に走査移動させていく、という動作を次々に行っている。
なお溶射ガン11は、図示しない多軸ロボットの先端に取り付けられており、多軸ロボットを駆動することにより、溶射ガン11を上記のラダー形の走査線に沿い走査移動している。
【0029】
溶射ガン11を翼面の縦方向に走査移動しつつ、溶射ガン11から加熱溶融した溶射材12を噴射すると、翼面に溶射材12が吹き付けられてトップコートが形成される。このとき、溶射点(P)の移動軌跡の方向は、翼面の縦方向、即ち、翼面のうち曲率変化が少ない方向となる。しかも、溶射角度θを略90°となるように、溶射ガン11の向きを調整している。
【0030】
このように、溶射点(P)の移動軌跡の方向を、翼面のうち曲率変化が少ない方向にし、しかも溶射角度θを略90°となるようにしているため、耐久性のよいトップコートを形成することができる。
【0031】
なお、溶射角度θとしては、90°〜70°の範囲の角度を任意に採用することができる。また、溶射角度θを「略90°」にするとは、溶射角度θが90°になるように溶射ガン11の向きを調整制御するが、ある程度の制御誤差があり、制御誤差により90°からずれることを許容した角度範囲を意味する。
【0032】
なお、溶射ガン11が下方位置に位置している状態では、溶射ガン11から噴射された溶射材12は、マスキング部材20により遮断されて、プラットフォーム部52のプラットフォーム面52aやプラットフォーム端面52bに付着することはない。したがって、翼面を溶射する際に、不用意にプラットフォーム面52aやプラットフォーム端面52bが溶射されることを防止することができる。
【0033】
図2,図3は、翼部51の翼腹面に対して遮熱コーティング施工をする例を示したものであるが、翼前縁面、翼背面、翼後縁面を遮熱コーティング施工する場合にも、同様にして行う。
【0034】
次にプラットフォーム部52のプラットフォーム面52aに遮熱コーティング層を形成する工程を、図4及び図5を参照して説明する。
【0035】
プラットフォーム面52aに対して遮熱コーティング施工をする場合には、溶射角度θが70°〜90°となる状態にして、溶射ガン11を走査移動していく。この場合、溶射ガン11の走査移動経路は、図4において示す、ラダー形の走査線に沿い移動していく経路とする。
【0036】
このように溶射角度θを70°〜90°にしているため、耐久性の良いトップコートを形成することができる。
【0037】
図4,図5は、プラットフォーム面52aのうち、翼腹面に対して直交する面に対して遮熱コーティング施工をする例を示したものであるが、プラットフォーム面52aのうち、翼前縁面、翼背面、翼後縁面に対してそれぞれ直交する面に対して遮熱コーティング施工をする場合にも、同様にして行う。
【0038】
次にプラットフォーム部52のプラットフォーム端面52bに遮熱コーティング層を形成する工程を、図6を参照して説明する。
【0039】
図6に示すように、プラットフォーム端面52bに対して遮熱コーティング施工をする場合には、溶射角度θが70°〜90°となる状態にして、溶射ガン11を走査移動していく。この場合、溶射ガン11の走査移動経路は、ラダー形の走査線に沿い移動していく経路とする。
【0040】
このように溶射角度θを70°〜90°にしているため、耐久性の良いトップコートを形成することができる。
【0041】
図6は、プラットフォーム端面52aのうちの1面のプラットフォーム端面に対して遮熱コーティング施工をする例を示したものであるが、残りの3面に対して遮熱コーティング施工をする場合にも、同様にして行う。
【実施例2】
【0042】
上述した実施例1は、ガスタービンの動翼50に対して遮熱コーティング施工をする例を示しているが、ガスタービンの静翼や他の3次元曲面部材に対しても、同様にして、遮熱コーティング施工をすることができる。
即ち、交差(直交)する面がある場合には、各面をそれぞれ個別に遮熱コーティング施工し、しかも溶射角度θを70°〜90°にして遮熱コーティング層を形成する。そして、不要部分に溶射がされる状況となる場合には、マスキング部材を使用して、不要な溶射を遮断する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明はガスタービンの翼(動翼、静翼)のみならず、遮熱コーティングが必要な3次元曲面を有する各種の部材に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 基材
2 アンダーコート
3 トップコート
11 溶射ガン
12 溶射材
13 被溶射物
20 マスキング部材
50 動翼
51 翼部
52 プラットフォーム部
52a プラットフォーム面
52b プラットフォーム端面
53 シャンク部
P 溶射点
S 接平面
θ 溶射角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被コーティング面を備えた主部と、この主部の被コーティング面に対して交差する交差面を有する交差部材とを有する、被溶射物に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記被コーティング面上及び前記交差面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記交差部材及び前記交差面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記主部の前記被コーティング面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記被コーティング面のうち曲率変化が少ない方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記交差部材の交差面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程と、
を有することを特徴とする遮熱コーティング施工方法。
【請求項2】
翼部と、この翼部の翼面に対して交差する交差面を有する交差部材とを有する、ガスタービンの翼に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記翼面上及び前記交差面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記交差部材及び前記交差面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°にして前記溶射ガンから前記翼部の翼面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記翼面の先端側と翼付根側とを結ぶ方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記交差部材の交差面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程と、
を有することを特徴とする遮熱コーティング施工方法。
【請求項3】
翼部と、この翼部の翼面に対して交差するプラットフォーム面及び前記プラットフォーム面に対して交差するプラットフォーム端面を有するプラットフォーム部とを有する、ガスタービンの動翼に対して、溶射ガンから溶射材を噴射して、前記翼面上並びに前記プラットフォーム面上及び前記プラットフォーム端面上に遮熱コーティング層を形成する遮熱コーティング施工方法において、
前記溶射ガンから噴射した溶射材が、前記プラットフォーム部及び前記プラットフォーム面に溶射されることを阻止するマスキング部材を配置した状態で、溶射角度を90°〜70°にして前記溶射ガンから前記翼部の翼面に対して溶射材を噴射し、しかも、溶射点の移動軌跡が前記翼面の先端側と翼付根側とを結ぶ方向となるように前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記プラットフォーム部のプラットフォーム面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程と、
溶射角度を90°〜70°の範囲にして前記溶射ガンから前記プラットフォーム部のプラットフォーム端面に対して溶射材を噴射しつつ、前記溶射ガンを走査移動する工程と、
を有することを特徴とする遮熱コーティング施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−31467(P2012−31467A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171515(P2010−171515)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】