説明

遮蔽電子装置およびその製造方法

【課題】保護すべき電子組立部品を有し、扁平な携帯用製品に組み込まれる電子装置の無線高周波の放出を不正な者が検出することを防ぐ。
【解決手段】保護すべき少なくとも一つの組立電子部品(1)の上面(11)と下面(12)の少なくとも一つ(11)と、前記組立電子部品(1)から放出する電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する少なくとも一つの遮蔽層(20、120)とを有し、前記遮蔽層(20,120)が500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層(21、121)を有し、前記遮蔽層(120)が機械的研磨や化学的腐食に良好な耐性を示す機械的硬質層である追加の外層(124)をさらに有し、前記遮蔽層(20,120)が、前記上面(11)および下面(12)の少なくとも一つ(11)の、外部装置と接続する前記電気接続端子を設けるための予め設定された領域(1a、23,123)を除いたほぼ全表面上に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護すべき少なくとも一つの組立電子部品を有する遮蔽電子装置に関するものである。さらに、本発明は、かかる遮蔽電子部品の製造方法に関する。
【0002】
さらに具体的には、本発明は、集積回路(IC)、具体的には暗号−演算処理装置などの能動組立電子部品を有するとともに外部交信のための電気接続端子を有する扁平な携帯用電子装置の保護に関する。
【背景技術】
【0003】
前記製品においては、ICの配線内あるいは電子装置の部品間を循環する電流によって、作動周波数に伴って低周波数から数ギガヘルツの周波数までの範囲の周波数の磁場が形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記磁場を磁気センサによって近距離測定すれば、循環電流が直接検出され、それによって前記ICの現場での活動が検出される。それ故、不正な者が前記電子装置の活動を電磁的に検出し、機密情報を入手することが可能である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、保護すべき電子組立部品を有し、扁平な携帯用製品に組み込まれる電子装置の無線高周波の放出を不正な者が検出することを防ぐことにある。
【0006】
本発明の他の目的は、電子装置の能動部品が光および赤外線によって改ざんされることから電子装置を保護することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、化学的腐食またはイオン腐食による剥離に対する高い機械耐性を有する電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明にかかる遮蔽電子装置は、保護すべき少なくとも一つの組立電子部品を有し、上面、下面、および外部交信用の電気接続端子を有する遮蔽電子装置であって、前記上面下面の少なくとも一つと、前記組立電子部品から放出する電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する少なくとも一つの遮蔽層とを有し、前記遮蔽層が500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層を有し、前記遮蔽層が機械的研磨や化学的腐食に良好な耐性を示す機械的硬質層である追加の外層をさらに有し、前記遮蔽層が、前記上面および下面の少なくとも一つの、外部装置と接続する前記電気接続端子を設けるための予め設定された領域を除いたほぼ全表面上に設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記保護すべき組立電子部品が少なくとも一つの集積回路を有してもよい。
【0010】
前記電気接続端子は、好ましくは、前記保護すべき組立電子部品の周縁部分に設けられる。
【0011】
少なくとも一つの軟磁性層を有する前記遮蔽層は、前記電磁RFおよびHF電界を導き、外部での検出を防ぐ遮蔽効果を有する。
【0012】
前記遮蔽層は、さらに、赤外、可視、および近紫外周波数領域の光の透過を遮断する。
【0013】
前記遮蔽層の組成は、化学的腐食およびイオン腐食に最大限の耐性を有する様に選択されても良い。
【0014】
好ましくは、前記遮蔽層の第1の層は、Fe、NiまたはCoを含む合金から構成され、さらに具体的には、NiFe合金、CoNi合金、CoZr合金のいずれかの合金から構成される。
【0015】
前記第1の層の厚みは、2〜40μm、好ましくは10〜30μmである。
【0016】
前記遮蔽層は、前記保護すべき組立電子部品と前記第1の層との間に堆積されたTiまたは酸化チタンからなるシード層をさらに有してもよい。
【0017】
前記シード層の厚みは、8〜100μm、好ましくは10〜20μmである。
【0018】
前記シード層は、好ましくは、機械的研磨や化学的腐食に対して良好な耐性を示す機械的硬質層である追加の外層をさらに有しても良い。
【0019】
前記追加の外層は、Tiから構成されてもよいし、SiO2またはAl23(アルミナ)などの非磁性酸化物から構成されてもよい。
【0020】
前記追加の外層は、ダイヤモンド様カーボンあるいはCoを主成分とする化合物などの耐化学性磁性材料から構成されてもよい。
【0021】
前記追加の外層の厚みは、1〜2μmであってもよい。
【0022】
好適な実施例によれば、前記遮蔽層の上にさらに摂動層が形成され、該摂動層が、前記組立電子部品から放出される電磁(EM)および高周波(RF)電界と少なくとも同じ大きさの強い磁気摂動を誘導可能な不均質硬質磁気材料から構成される。
【0023】
特殊な実施例によれば、前記摂動層は、母材中に硬質磁性粒子が組み込まれてなる材料から構成される。
【0024】
特殊な実施例によれば、前記摂動層が摂動効果を増大する磁気不均質を誘導する自然な粗さを示す表面を有する。
【0025】
他の特殊な実施例によれば、前記摂動層は、その表面のある部分は軟磁性層が形成されず、他の部分は軟磁性層が形成されるようにパターン形成されることにより得られた人工的な粗さを有する。好ましくは、軟磁性層を有する部分は、より強くあるいは最も情報を与え得る電気信号を発生する回路が正に位置する上に斑点状に形成される。
【0026】
前記摂動層は、金属、絶縁体あるいは有機物のいずれでも良い非磁性母材中に揺動磁性粒子が組み込まれてなる材料から構成されてもよい。
【0027】
前記摂動層は、好ましくは、以下の材料:CoPt、FePt、NdFeB、SmCo5、FeTbのいずれかの一つから構成される。
【0028】
前記摂動層の厚みは、約1〜10μmであってもよい。
【0029】
前記摂動層は、塗布法(すなわち、プラズマ噴射法)により形成した人工的粗さを有しても良いし、型押しによって形成した人工的粗さを有しても良い。
【0030】
摂動層を有する遮蔽層が、あるいは摂動層を持たない遮蔽層が、前記組立電子部品の上面および下面の両方に堆積されてもよい。
【0031】
本発明は、また、保護すべき少なくとも一つの組立電子部品を有し、上面および下面を有するとともに、外部交信用の電気接続端子を有する遮蔽電子装置の製造方法に関するものであって、該製造方法は、前記上面および下面の少なくとも一つの上に、前記組立電子部品から放出される電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する、少なくとも一つの遮蔽層を形成する工程と、500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層を有する前記遮蔽層を、前記上面および下面の少なくとも一つの表面の、前記電気接続端子を設けるための予め設定された領域を除いたほぼ全表面上に、設ける工程を有することを特徴とする。
【0032】
少なくとも一つの遮蔽層を形成する前記工程は、
a)電気接続端子を有する上面および下面の少なくとも一つの上にシード層を形成するために、機械的硬質層をスパッタリング技術によって堆積する工程、および
b)電着によって、高い比透磁率を有する軟磁性材料からなる層を形成する工程を有してもよい。
【0033】
少なくとも一つの遮蔽層を形成する前記工程は、前記遮蔽層をパターンニングして除去部分を形成し、それにより、前記電気接続端子を設けるための限られた面積の前記予め設定した領域のいくつかを構成する工程であって、前記軟磁性材料からなる層を電着により堆積する前に、前記シード層をパターン化する工程を、さらに有してもよい。
【0034】
少なくとも一つの遮蔽層を形成する前記工程は、電着により追加の機械的硬質最外層を形成する工程を、さらに有してもよい。
【0035】
前記遮蔽層上に、前記組立電子部品から放出される電磁および高周波電界と少なくとも同等の大きさの強い磁気摂動を誘導し得る不均質硬質磁気材料からなる摂動層を形成する工程を、さらに有してもよい。
【0036】
前記摂動層を形成する工程は、非磁性母材中に揺動磁性粒子を組み入れる工程を有する。
【0037】
前記摂動層は、磁気センサによるあらゆる干渉性測定を遮断し得る磁気摂動を生成する役割を果たす。この摂動層は、適切な振動数範囲の静的なものでも、動的なものでもよい。
【0038】
また、本発明は、少なくとも保護すべき組立電子部品を有し、電磁および高周波電界に対抗する遮蔽層を有する遮断電子装置を有するスマートカードに関する。この特殊な応用では、前記遮断電子装置は、例えば、マイクロプロセッサーとメモリーを有し、プラスチックカード本体に埋め込まれている。本発明は、特に、スマートカードの保存機密情報を不正に取得するのを防ぐために好適に用いることができる。
【0039】
以下に、本発明にかかる遮蔽電子装置およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0040】
慣用の集積回路(IC)の場合、配線中を伝搬する典型的な電流は1μAから500μAまで変動する。これら電流の周波数は一般に1MHzを超え1GHz未満である。
【0041】
配線の表面から5μmの位置で、発生磁場は約0.1A/mから50A/mであり、その強度は主に対応するICのクロック周波数に連動する有限数の周波数に集中している。
【0042】
現在入手可能なサイズの小さな最良の磁気センサの感度は、約10-3A/m/sqrt(Hz)である。1kHzのバンド幅、これは典型的な値であるが、このバンド幅で、得られる感度は0.03A/mである。
【0043】
本発明によれば、電子装置は約60dBの減衰を実現し得る受動的遮蔽層を有する。
【0044】
任意に、この電子装置は、さらに、この電子装置の組立電子部品の配線放射を覆うために約50A/mの乱雑な磁界を生成する追加の揺動摂動層を有する。
【0045】
遮蔽層と組み合わされた摂動層は、電子部品を構成する前記ICの残留RF放射を超える3倍の大きさの磁場を生成する。
【0046】
図1に、例えば一つ以上の演算処理装置からなるICを典型的に有する組立電子部品を有する本発明に係る電子装置を示す。
【0047】
組立部品1の上面11および下面12のそれぞれは、保護層2によって覆われている。各保護層2は、少なくとも磁気遮蔽層を有し、予め設定された小面積の領域を除いて、前記上面11および下面12の全表面を実質的に覆っている。前記小面積の一部領域には電気接続端子8,9が設けられる。このような予め設定された領域は、好ましくは、前記組立部品1の外周領域1aが含まれてもよく、また前記組立部品1の上面11および下面12の一部領域は保護層が設けられていなくとも良い。
【0048】
図2は、図1と似ているが、上面11のみに保護層2が設けられて保護されているICを示す。
【0049】
図9は、ICなどの組立電子部品1を有する本発明にかかる電子装置の実施例を示すもので、この実施例では、組立電子部品1がスマートカード内に設けられている。
【0050】
本発明の他の好適な実施例は、ICなどの組立部品1に図2の保護層2を形成する他の構成を示している図3〜8を参照して説明する。
【0051】
以下の説明は、前記組立部品1の上面11に保護層2を設ける場合についてのものである。しかし、組立部品1の下面12に保護層2を設ける場合も同様な方法により形成することができる。
【0052】
図3〜8において、電気接続端子8,9は図示されておらず、図9において示されている。それら端子は、組立部品1の保護層2に覆われていない部分に簡単に設置され、前記保護層2は基本的には遮蔽層20から構成される。
【0053】
前記遮蔽層20は、基本的に、典型的には500を超える高い比透磁率μrを有する軟磁性材料から構成された第1の層21を有する。
【0054】
前記第1の層21は、典型的には、2〜40μm、好ましくは10〜30μmの厚さを有する。
【0055】
図3に示すように、前記第1の層21は、Tiあるいは酸化チタンからなるシード層22の上に成長される。前記シード層22は、典型的には、8〜20nmもしくは100nmの範囲の厚さ、好ましくは10〜15nmの薄い厚さを有する。このシード層22には穴23がパターン形成されていても良い。
【0056】
前記パターン形成層22(図4)により同じ穴23を有する軟磁性層21をパターン成長させることができる。
【0057】
シード層22と、軟磁性材料から構成された第1の層21とからなるパターン化遮蔽層20は、不均質な磁気信号に調和し、それ故に良好な遮蔽を実現する。
【0058】
図5および6の実施例は、それぞれ図3および4の実施例と類似しており、符号120、121、122、123で示される要素は、それぞれ符号20、21、22、23に対応しているので、それらの説明を省略する。しかし、図5および6の実施例においては、追加の外層124が、軟磁性材料からなる第1の層121の上に積層されている。この層124は、前記遮蔽層を化学的攻撃から保護する役目を果たすもので、Coベースの化合物などの化学耐性磁気材料から構成される。
【0059】
前記追加の外層124は1〜2μmの厚さを有し、機械的研磨や化学的腐食に対して良好な耐性を示す機械的硬質層である。
【0060】
前記追加の外層124は、Tiから構成しても良く、SiO2やAl23などの非磁性酸化物から構成しても良い。また、この層124はダイヤモンド様カーボンから構成しても良い。
【0061】
様々な軟磁性材料を前記第1の層21、121に用いることができる。例えば、パーマロイ組成(Ni80%、Fe20%)に近い組成を有するNiFe合金、CoNi合金、CoZr合金あるいはさらに複雑な系の非常に高い比透磁率μrを有する材料を用いることができる。かかる種類の材料を用いることにより、10000を超える比透磁率μrを得ることができる。
【0062】
堆積温度および/または焼鈍温度は、前記ICに適用可能なものに制限されなければならない。具体的には、前記温度の上限は、技術に依存したもので、約350℃である。
【0063】
前記第1の層21、121の厚みは、その他の制約の範囲内で可能な限り厚くすべきである。
【0064】
例えば、パーマロイ膜の場合、2〜4dB/μmの減衰が得られる。厚みが10μmの場合、30dBの減衰を実現できる。また、60dBの減衰は、20μmの厚みで実現できる。
【0065】
より一般的には、減衰を求める一般式は、前記層の厚みをd、前記RF場の周波数をfとすると、これらの関数として、
a=exp(kd/f)
で与えられる。
前記係数kは材料に依存する。パーマロイの場合では、k=0.5MHzμm-1である。
【0066】
また、前記遮蔽層20、120は、遮光層として用いても良い。遮光を目的とする場合に選択されるこの層の厚みは、その材料の浸入度に直接相関する。
【0067】
0.1μm〜2μmの範囲の波長光(近紫外光〜赤外光)の光周波数を想定した場合、2μmの良質な金属層により十分に遮光できる。良質な金属層とは、約100μオームcm未満の固有抵抗を有する層である。これには、NiFe、CoZr、Co、NiまたはFeなどのほとんどの金属磁性層が当てはまる。
【0068】
さらに一般的には、500nmを超える厚みでは、その軟磁性層は、近紫外光、可視光および赤外光に対して、その伝導特性から、不透明体となる。したがって、かかる保護層を設けることによって前記チップの光励起を防止することができる。
【0069】
層21、121の組成の選択は、ウエットエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、イオンビームエッチング(IBE)および集束イオンビーム(FIB)ツールまたはIDS OptiFIB(SCHLUMBERGER社の商標)として知られている集光イオンビームツールなどのICデバッグ用ツールを含む様々な方法によるエッチングの困難性を考慮して行う必要がある。
【0070】
Coを含有する層にはウエットエッチングによるエッチングは困難である。Tiを有する層にはRIEあるいはIBEによるエッチングは困難である。
【0071】
また、複合層20、120は、Tiあるいは酸化チタンからなるシード層22、122、パーマロイ層21、121、およびCo合金を主成分とした第2の軟磁性層24、124から構成することができる。
【0072】
前記層の堆積は、電着、プラズマ溶射、スクリーン印刷、スパッタリング、気相堆積(CVD、PECVD、PVD)、液相コーティングあるいは蒸着などの数種の技術によって行うことができる。
【0073】
図7および8は、本発明の特殊な実施例を示すもので、この実施例では、遮蔽層20は図3および4の実施例の場合と同様に形成されるが、この遮蔽層20の上には、摂動層31が設けられる。
【0074】
前記摂動層31は、組立電子部品1内の電流により生成される磁場よりも大きな磁場を生成することを目的とする。
【0075】
前記摂動層31は不均質な硬質磁性層から構成されても良い。
【0076】
一つの可能な実施例によれば、前記摂動層31は外部に静的な高い磁場を生成する不均質な硬質永久磁性層から構成される。しかし、硬質永久磁性層が均質である場合、外部に生成される磁場は非常に小さいものとなる。
【0077】
したがって、構造的あるいは磁気的にいくらか不均質とすることにより、印加された磁場に対して免疫を得ることが可能となる。
【0078】
一つの可能な実施例によれば、前記摂動層31は外部に静的な高い磁場を生成する不均質な硬質永久磁性層から構成される。しかし、硬質永久磁性層が均質である場合、外部に生成される磁場は非常に小さいものとなる。
【0079】
したがって、構造的あるいは磁気的にいくらか不均質とする。構造的な不均一性の利点は、印加された磁場に対する免疫が得られることである。係る理由から、かかる構成は最も効果的な防護を実現できると考えられる。
【0080】
この硬質永久磁性層の組成としては、CoPt、FePt、NdFeB、SmCo5、あるいはFeTb粒子などの他の希土類/遷移金属合金などが可能である。
【0081】
前記摂動層の厚みは、その材質に依存する。厚み1〜5μmの膜は、その膜に垂直な方向に磁化すると、該系の外側にかなり大きな磁場を生成することができる。この厚みは、2kOe(CoPt)〜20kOe(FeNdB)の範囲で変動する材質の残留磁場に相関する。
【0082】
前記構造的不均質は、主に3つの異なった方法により実現できる。すなわち、粗い層を用いることによって、層をパターン化することによって、そして、磁性物質と非磁性物質との混合物を用いることによって。
【0083】
a)前記摂動層31の外表面32を堆積技術によって粗くする(図7)。特に、電着によって非常に粗い表面を形成することができる。また、粗粒により表面32を機械的に研磨することにより、人工的な粗さを実現できる。
【0084】
b)層31をパターニングし、エッチングにより除去部33を形成する方法は、より洗練された方法であり、良好に制御された外部磁場を生成することができる(図8)。5μm以下の寸法にパターン化することにより、摂動層を非常に効果的なものとすることができる。層20および31のパタンニングは、紫外線リソグラフィーを用いて行うことができる。保護領域に依存した特殊な形状を採用することができる。パッド端子用の開口を実装する必要がある。このリソグラフィー工程は、フルサイズのウエハ上にて実行可能である。
【0085】
c)また、層31は、非磁性の、絶縁性もしくは導電性の母材中に磁性材料を埋め込んでなる不均質な一組の磁性材料を使用することもできる。この磁性材料は、製造コストを下げるために、接着剤、樹脂、ポリイミド層を含むことができる。
【0086】
ポリマーレジストとNdFeB粒子との混合物をスクリーン印刷により堆積する方法は、さらに安価で、簡易な方法である。前記NdFeB粒子はランダムに配向され、それらの保磁力は2テスラを実現する。前記粒子は、ゼロ平均の場が得られることのないように、1μmを超える大きさでなければならない。理想的なサイズは、ランダム分布で1〜20μmの範囲であり、このサイズは機械的粉砕によって得られるサイズである。
【0087】
さらに他の実施例によれば、前記摂動層31は揺動磁気層によって構成される。この実施例では、非磁性母剤中に揺動磁性粒子が埋め込まれてなる層が用いられる。
【0088】
揺動磁性粒子は、超常磁性形態の粒子である。この形態は、前記粒子のサイズが十分に小さく、粒子の密度が十分に低い(典型的には10%小さく、浸透濃度より明らかに小さい)場合に、実現される。したがって、前記粒子の磁気異方性エネルギーと他の粒子によって生成された磁場のゼーマン・エネルギーが、熱エネルギーkTよりも低くなる。
粒子の典型的なサイズは、直径3〜8nmである。
【0089】
前記サイズを用いることによって、前記IC動作周波数の領域内に揺動周波数を得ることができる。前記粒子のサイズと前記揺動周波数の関係は、f=f0exp(−K1Vμ/kT)によって与えられる。前記式中、K1は異方性定数、Vは粒子の体積、μはユニタリーモーメント、kはボルツマン定数、Tは動作温度、そしてf0は109Hzオーダーの素周波数である。
【0090】
前記粒子の磁気組成は重要ではない。前記非磁性母材は金属でも絶縁母材でもよい。
【0091】
前記粒子の形成は、化学的方法、堆積法のどちらを用いて行っても良い。
【0092】
前記摂動層31は、図5および6の実施例の遮蔽層120の上に形成しても良いし、同様に、図3および4の実施例の遮蔽層20の上に形成しても良い。
【0093】
本発明にかかる遮蔽電子装置は、少なくとも一つの能動組立電子部品1を有するスマートカードに適用し得ることは明らかである。この場合、本発明にかかる遮蔽電子装置は、前記上面11と下面12の少なくとも一つ(11)と、前記組立電子部品1によって放射される電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する少なくとも一つの遮蔽層2(この層は前出の図の遮蔽層20、120と同じもの)とを有し、前記遮蔽層2が500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層21または121を有し、前記遮蔽層2が、前記上面11および下面12の少なくとも一つ(11)の、外部装置と接続する電気接続端子を設けるための予め設定された領域1a、23,123を除いたほぼ全表面上に設けられている。
【0094】
図9に示した好適な実施例では、本発明にかかる遮蔽電子装置は、上面11および下面12の両方を有するとともに、前記組立電子部品1によって放射される電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する、前出の図の遮蔽層20または120と同じ少なくとも一つの遮蔽層2を有し、前記遮蔽層2が500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層21または121を有し、前記遮蔽層2が、前記上面11および下面12の両方の表面の、外部装置と接続する電気接続端子8,9を設けるための予め設定された領域1a、23,123を除いたほぼ全表面上に設けられている。
【0095】
電気接続端子8,9は、前記組立電子部品1の上面11の周縁部分1aに設けられても良い。
【0096】
遮蔽層2は、前記組立電子部品1の上面11および下面12の周縁部分1aを除いた全表面に設けられても良い。
【0097】
前記組立電子部品1は、例えば、演算処理装置やメモリーから構成される。この組立電子部品1は、その2つの遮蔽層2とともに、エポキシ基板5の上に接着剤層4により組み付けられている。
【0098】
前記組立部品1の電気接続端子8,9は、金線などの配線81,91を介して、前記エポキシ基板5の下面に設けられているパッド6,7に接続されている。前記配線81、91は前記基板5に形成された穴51,52を通って前記接続パッド6,7に、例えば、NiCu/金端子を介して、接続されている。
【0099】
前記エポキシ基板5は、プラスチックカード本体101に埋め込まれている。前記プラスチック本体101には、盲穴が形成されており、この盲穴は、少なくとも前記電子部品1、遮蔽層2、配線81,91、およびエポキシ基板5を収納可能な深さに形成されている。このプラスチック本体101には、窪んだ平面53,54が形成されている。この窪んだ平面53,54の形状は環状でも矩形でも良く、その深さは前記エポキシ基板5の厚みに依存している。すなわち、前記接続パッド6,7の外表面がプラスチックカード本体101の下面とほぼ同一平面をなすように、窪んだ平面53,54の深さが設定されている。前記プラスチック本体101には、一般的に、印刷パターン、文字あるいは図画が施されている。前記エポキシ基板5は一般に前記窪んだ平面53,54に接着されている。
【0100】
本発明の他の目的は、保護すべき組立電子部品を有する遮蔽電子装置の製造方法を提供することにある。この遮蔽電子装置は、上面11および下面12を有するとともに、外部交信のための電気接続端子を有しており、この遮蔽電子装置の製造方法は、上面11および下面12の少なくとも一つ(11)の上に、前記組立電子部品1によって放射される電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する、前出の図の遮蔽層20または120と同じ少なくとも一つの遮蔽層2を形成する工程と、500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層21または121を有する前記遮蔽層2を、前記上面11および下面12の少なくとも一つ(11)の表面の、外部装置と接続する電気接続端子8,9を設けるための予め設定された領域1a、23,123を除いたほぼ全表面上に、設ける工程を有する。
【0101】
好ましくは、本発明にかかる製造方法は、少なくとも一つの遮蔽層2を形成する前記工程において、
a)電気接続端子8,9を有する上面11および下面12の少なくとも一つ(11)の上にシード層22,122を形成するために、機械的硬質層をスパッタリング技術によって堆積する工程、および
b)電着によって、高い比透磁率を有する軟磁性材料からなる層21,121を形成する工程を有する。
【0102】
好ましくは、本発明にかかる製造方法は、少なくとも一つの遮蔽層2を形成する前記工程において、前記遮蔽層2をパターンニングして除去部分23,123を形成し、それにより、前記電気接続端子8,9を設けるための限られた面積の前記予め設定した領域1a、23,123のいくつかを構成する工程であって、前記軟磁性材料からなる層21,121を電着により堆積する前に、前記シード層22,122をパターン化する工程を、さらに有する。
【0103】
好ましくは、本発明にかかる製造方法は、少なくとも一つの遮蔽層2を形成する前記工程において、最上面に追加の機械的硬質層124を形成する工程を、さらに有する。
【0104】
好ましくは、本発明にかかる製造方法は、前記遮蔽層2上に、前記組立電子部品1から放出される電磁(EM)および高周波(RF)電界と少なくとも同等の大きさの強い磁気摂動を誘導し得る不均質硬質磁気材料からなる摂動層31を形成する工程を、さらに有する。
【0105】
好ましくは、本発明にかかる製造方法は、前記摂動層31を形成する工程において、非磁性母材中に揺動磁性粒子を組み入れる工程を有する。
【実施例】
【0106】
以下に本発明の具体的実施例を示す。
【0107】
(実施例1)
遮蔽層120を、三層:10nmのTi(層122);20μmのNiFe(層121);および1μmのCoZr(層124)から構成する。その厚みは、変更可能であるが、合計厚さは、20〜40μmであることが、好ましい。
【0108】
摂動層31として、NdFeBからなる硬質磁性層をスクリーン印刷により堆積させる。
【0109】
1)10nmのTiシード層122をスパッタリングにより堆積させる。この層は室温にて堆積させる。堆積速度は、ターゲット/試料間の距離が8cm、200Wで、約2
m/秒である。そして、レジストマスクを積層し、シード層を領域123が形成される特定の形状にエッチングする。他の方法として、レジストマスクを形成した後、前記Tiシード層122を堆積し、リフトオフ法を使用してもよい。
【0110】
2)第2の工程として、前記Tiシード層122の上に、電着により、20μm厚のNiFe層121を成長させる。NiFeの具体的堆積速度は1μm/分である。NiFe溶液の温度と濃度を均一とすることにより、かなり扁平なNiFe層を形成することができる。
【0111】
3)次に、CoZr最外層124を電着により堆積させる。
【0112】
4)摂動層31を、1〜20μmのNdFeB粒子を組み込んだポリイミド樹脂から形成する。この摂動層31は1μmを超える厚みとする必要がある。
【0113】
(実施例2)
遮蔽層120を、三層:10nmのTi(層122);20μmのNiFe(層121);および1μmのCoZr(層124)から構成する。その厚みは、変更可能であるが、合計厚さは、20〜40μmであることが、好ましい。
【0114】
摂動層31はCoPtP合金の硬質磁性層から形成する。
【0115】
1)10nmのTiシード層122をスパッタリングにより堆積させる。この層122は室温にて堆積させる。堆積速度は、ターゲット/試料間の距離が8cm、200Wで、約2nm/秒である。そして、レジストマスクを積層し、シード層を領域123が形成される特定の形状にエッチングする。他の方法として、レジストマスクを形成した後、前記Tiシード層122を堆積し、リフトオフ法を使用してもよい。
【0116】
2)第2の工程として、前記Tiシード層122の上に、電着により、20μm厚のNiFe層121を成長させる。NiFeの具体的堆積速度は1μm/分である。NiFe溶液の温度と濃度を均一とすることにより、かなり扁平なNiFe層を形成することができる。
【0117】
3)次に、CoZr最外層124を電着により堆積させる。
【0118】
4)CoPt層31は電着法により成長させることができる。この層の成長は、最大の摂動を生成するように算定した所定のパターン形状のレジストマスクを介して実施することができる。この場合、かかる材料の保磁力を0.15テスラとすることができる。表面に生成される漂遊磁界は10mT(105A/m)のオーダーとなる。
【0119】
(実施例3)
遮蔽層120を、三層:10nmのTi(層122);20μmのNiFe(層121);および1μmのCoZr(層124)から構成する。その厚みは、変更可能であるが、合計厚さは、20〜40μmであることが、好ましい。
【0120】
摂動層31は揺動Co粒子から形成する。
【0121】
1)10nmのTiシード層122をスパッタリングにより堆積させる。この層122は室温にて堆積させる。堆積速度は、ターゲット/試料間の距離が8cm、200Wで、約2nm/秒である。そして、レジストマスクを積層し、シード層を領域123が形成される特定の形状にエッチングする。他の方法として、レジストマスクを形成した後、前記Tiシード層122を堆積し、リフトオフ法を使用してもよい。
【0122】
2)第2の工程として、前記Tiシード層122の上に、電着により、20μm厚のNiFe層121を成長させる。NiFeの具体的堆積速度は1μm/分である。NiFe溶液の温度と濃度を均一とすることにより、かなり扁平なNiFe層を形成することができる。
【0123】
3)次に、CoZr最外層124を電着により堆積させる。
【0124】
4)摂動層31を、Co粒子をAg、Al23またはSiO中に組み込んだ材料から、摂動層31を形成する。かかる系は、例えば同時スパッタリングによりかなり容易に製造することができ、非常に耐壊性が高いという2つの利点を得ることができる。好適なCo濃度、約10%は、Co源をスパッタする電力を低減することにより、得ることができる。Co/Ag系は、これら2つの元素は混和しないので、特に容易に製造することができる。したがって、室温での堆積により、非常に小さな粒子が得られる。250℃超400℃未満の温度での焼鈍によって、サイズを増大させることができる。携帯製品のRF放出を覆う良好なサイズである約3〜5nmの揺動粒子を得るには、250℃1時間の焼鈍で十分である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明にかかる遮蔽電子装置は、保護すべき電子組立部品を有し、扁平な携帯用製品に組み込まれる電子装置の無線高周波の放出を不正な者が検出することを防ぐことができる。また、本発明の遮蔽電子装置は、電子装置の能動部品が光および赤外線によって改ざんされることから電子装置を保護することができる。さらに、本発明の遮蔽電子装置は、化学的腐食またはイオン腐食による剥離に対する高い機械耐性を有する
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】その上部および下部を磁気遮蔽層により保護された集積回路を示す斜視図である。
【図2】その主要な一つの側のみを磁気遮蔽層により保護された集積回路を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図4】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図5】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図6】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図7】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図8】本発明にかかる電子装置の他の実施例の断面図である。
【図9】スマートカード内に組み込まれた本発明にかかる電子装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0127】
1 組立電子部品
1a 組立電子部品の周縁部分
1a,23,123 電気接続端子を設けるための予め設定された領域
8,9 外部交信用の電気接続端子
11 組立電子部品の上面
12 組立電子部品の下面
20,120 遮蔽層
21,121 第1の層
22,122 シード層
31 摂動層
124 追加の外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護すべき少なくとも一つの組立電子部品(1)を有し、上面(11)、下面(12)、および外部交信用の電気接続端子(8,9)を有する遮蔽電子装置であって、
前記上面(11)と下面(12)の少なくとも一つ(11)と、前記組立電子部品(1)から放出する電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する少なくとも一つの遮蔽層(20、120)とを有し、前記遮蔽層(20,120)が500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層(21、121)を有し、前記遮蔽層(120)が機械的研磨や化学的腐食に良好な耐性を示す機械的硬質層である追加の外層(124)をさらに有し、前記遮蔽層(20,120)が、前記上面(11)および下面(12)の少なくとも一つ(11)の、外部装置と接続する前記電気接続端子を設けるための予め設定された領域(1a、23,123)を除いたほぼ全表面上に設けられていることを特徴とする遮蔽電子装置。
【請求項2】
前記遮蔽層が堆積層であることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽電子装置。
【請求項3】
前記組立電子部品(1)が少なくとも一つの集積回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の遮蔽電子装置。
【請求項4】
前記電気接続端子(8,9)は、前記組立電子部品の周縁部分(1a)に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項5】
前記遮蔽層(20,120)の第1の層(21,121)がFe、NiまたはCoを含む合金から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項6】
前記遮蔽層(20,120)の第1の層(21,121)が、NiFe合金、CoNi合金、CoZr合金のいずれかの合金から構成されていることを特徴とする請求項5に記載の遮蔽電子装置。
【請求項7】
前記第1の層(21,121)の厚みが2〜40μm、好ましくは10〜30μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項8】
前記遮蔽層(20,120)が、前記組立電子部品(1)と前記第1の層(21,121)との間に堆積されたTiまたは酸化チタンからなるシード層(22,122)をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項9】
前記シード層(22,122)の厚みが8〜100μm、好ましくは10〜20μmであることを特徴とする請求項8に記載の遮蔽電子装置。
【請求項10】
前記遮蔽層(20,120)が、パターニングされて、前記電気接続端子(8,9)を取り付ける限られた面積の、前記予め設定された領域(1a,23,123)の少なくともいくつかを構成する除去部分(23,123)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項11】
前記追加の外層(124)がTiから構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項12】
前記追加の外層(124)がSiO2またはAl23などの非磁性酸化物から構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項13】
前記追加の外層(124)がダイヤモンド様カーボンから構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項14】
前記追加の外層(124)がCoを主成分とする化合物などの化学耐性磁性材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項15】
前記追加の外層(124)の厚みが1〜2μmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項16】
前記遮蔽層(20,120)の上にさらに摂動層(31)が形成されており、該摂動層(31)が、前記組立電子部品(1)から放出される電磁(EM)および高周波(RF)電界と少なくとも同じ大きさの強い磁気摂動を誘導可能な不均質硬質磁気材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項17】
前記摂動層(31)が母材中に硬質磁性粒子が組み込まれてなる材料から構成されていることを特徴とする請求項16に記載の遮蔽電子装置。
【請求項18】
前記摂動層(31)が摂動効果を増大する磁気不均質を誘導する自然な粗さを示す表面(32)を有することを特徴とする請求項16または17に記載の遮蔽電子装置。
【請求項19】
前記摂動層(31)が人工的な粗さを有することを特徴とする請求項16または17に記載の遮蔽電子装置。
【請求項20】
前記摂動層(31)が型押し形成されたものであることを特徴とする請求項19に記載の遮蔽電子装置。
【請求項21】
前記摂動層(31)が非磁性母材中に揺動磁性粒子が組み込まれてなる材料から構成されていることを特徴とする請求項16または17に記載の遮蔽電子装置。
【請求項22】
前記摂動層(31)の厚みが約1〜10μmであることを特徴とする請求項16〜21のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項23】
前記摂動層(31)が、次の材料:CoPt、FePt、NdFeB、SmCo5、FeTbのいずれかの一つから構成されていることを特徴とする請求項16〜21のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項24】
前記遮蔽層(20,120)が、前記組立電子部品の上面(11)および下面(12)の両方に堆積されていることを特徴とする請求項16〜23のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の遮蔽電子装置を少なくとも一つ有することを特徴とするスマートカード。
【請求項26】
保護すべき少なくとも一つの組立電子部品(1)を有し、上面(11)および下面(12)を有するとともに、外部交信用の電気接続端子を有する遮蔽電子装置の製造方法であって、
前記上面(11)および下面(12)の少なくとも一つ(11)の上に、前記組立電子部品(1)から放出される電磁(EM)および/または高周波(RF)電界に対抗する、少なくとも一つの遮蔽層(20,120)を形成する工程と、500を超える大きさの高い非透磁率μrを有する軟磁性材料からなる少なくとも一つの第1の層(21,121)を有する前記遮蔽層(20,120)を、前記上面(11)および下面(12)の少なくとも一つ(11)の表面の、前記電気接続端子(8,9)を設けるための予め設定された領域(1a、23,123)を除いたほぼ全表面上に、設ける工程を有することを特徴とする遮蔽電子装置の製造方法。
【請求項27】
少なくとも一つの遮蔽層(20,120)を形成する前記工程が、
a)電気接続端子(8,9)を有する上面(11)および下面(12)の少なくとも一つ(11)の上にシード層(22,122)を形成するために、機械的硬質層をスパッタリング技術によって堆積する工程、および
b)電着によって、高い比透磁率を有する軟磁性材料からなる層(21,121)を形成する工程を有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも一つの遮蔽層(20,120)を形成する前記工程が、前記遮蔽層(20,120)をパターンニングして除去部分(23,123)を形成し、それにより、前記電気接続端子(8,9)を設けるための限られた面積の前記予め設定した領域(1a、23,123)のいくつかを構成する工程であって、前記軟磁性材料からなる層(21,121)を電着により堆積する前に、前記シード層22,122をパターン化する工程を、さらに有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一つの遮蔽層(20,120)を形成する前記工程が、電着により追加の機械的硬質最外層(124)を形成する工程を、さらに有することを特徴とする請求項26〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記遮蔽層(20,120)上に、前記組立電子部品(1)から放出される電磁(EM)および高周波(RF)電界と少なくとも同等の大きさの強い磁気摂動を誘導し得る不均質硬質磁気材料からなる摂動層(31)を形成する工程を、さらに有することを特徴とする請求項26〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記摂動層(31)を形成する工程が、非磁性母材中に揺動磁性粒子を組み入れる工程を有することを特徴とする請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−536752(P2007−536752A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511981(P2007−511981)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004636
【国際公開番号】WO2005/106953
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】