説明

遷移金属化合物を用いる重合開始剤系および重合体の製造方法

【課題】重合活性に優れる遷移金属錯体を含む重合開始剤系、および該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法。
【解決手段】下式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系および該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合活性に優れる遷移金属化合物を含む重合開始剤系、および該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極性モノマー重合体は、極性モノマーの種類や極性モノマーに由来するモノマー単位の含有量に応じて、種々の機械的特性や熱的特性を重合体に付与することが可能である。極性モノマー重合体の製造方法としては、例えば、シクロペンタジエニル形アニオン骨格を有する遷移金属化合物を用いる制御ラジカル重合方法が挙げられ、特許文献1には、ルテニウムを中心金属に有する金属錯体及び/又は鉄を中心金属に有する金属錯体成分、有機ハロゲン化合物からなる重合開始剤系の存在下に、非極性オレフィンと極性オレフィンを共重合させる製造方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−51934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシクロペンタジエニル形アニオン骨格を有する遷移金属化合物を、例えば、制御ラジカル重合開始剤系の成分として用いる場合、重合時の安定性が必ずしも十分とはいえず、その結果、満足な重合活性が発現しない場合があるという問題があった。
かかる状況において本発明が解決しようとする課題、即ち本発明の目的は、重合活性に優れる遷移金属錯体を含む重合開始剤系、および該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一は、下式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系に関するものである。

(ただし、上式[1]において、M1〜M4はそれぞれ独立に元素の周期表第4族〜第11族の遷移金属原子を表し、A1〜A4はそれぞれ独立に元素の周期表第13族〜第16族原子を表し、X1〜X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、2置換アミノ基、アジド基、シアノ基、イソチオシアネート基またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表し、L1〜L4は孤立電子対または多重結合性軌道によってM1〜M4と結合する中性配位子を表す。mおよびnは、m+nが0、1、2、3のいずれかの値となる0〜3の整数の組合わせを表す。)
本発明の第二は、該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、重合活性に優れる遷移金属錯体を含む重合開始剤系、および該重合開始剤系を用いる重合体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の遷移金属化合物は、下式[1]で表される遷移金属化合物である。


(ただし、上式[1]において、M1〜M4はそれぞれ独立に元素の周期表第4族〜第11族の遷移金属原子を表し、A1〜A4はそれぞれ独立に元素の周期表第13族〜第16族原子を表し、X1〜X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、2置換アミノ基、アジド基、シアノ基、イソチオシアネート基またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表し、L1〜L4は孤立電子対または多重結合性軌道によってM1〜M4と結合する中性配位子を表す。mおよびnは、m+nが0、1、2、3のいずれかの値となる0〜3の整数の組合わせを表す。)
【0008】
本発明の遷移金属化合物のM1〜M4は、それぞれ独立に元素の周期表(IUPAC1985年)第4族〜第11族の遷移金属原子である。第4族の遷移金属原子としては、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられ、第5族の遷移金属原子としては、例えば、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子が挙げられ、第6族の遷移金属原子としては、例えば、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子が挙げられ、第7族の遷移金属原子としては、例えば、マンガン原子、テクネチウム原子、レニウム原子が挙げられ、第8族の遷移金属原子としては、例えば、鉄原子、ルテニウム原子、オスミウム原子が挙げられ、第9族の遷移金属原子としては、例えば、コバルト原子、ロジウム原子、イリジウム原子が挙げられ、第10族の遷移金属原子としては、例えば、ニッケル原子、パラジウム原子、白金原子が挙げられ、第11族の遷移金属原子としては、例えば、銅原子、銀原子、金原子が挙げられる。第4族〜第11族の遷移金属原子として好ましくは、チタン原子、モリブデン原子、タングステン原子、レニウム原子、鉄原子、ルテニウム原子、オスミウム原子、ロジウム原子、イリジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、銅原子である。より好ましくはM1〜M4のうち少なくとも一つの遷移金属原子が、鉄原子、ルテニウム原子、オスミウム原子のいずれかの遷移金属原子であり、特に好ましくはM1〜M3がいずれもモリブデン原子であり、かつ、M4がルテニウム原子である。
【0009】
本発明の遷移金属化合物のA1〜A4は、それぞれ独立に元素の周期表第13〜16族原子である。第13族原子としては、例えば、ホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、タリウム原子が挙げられ、第14族原子としては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、錫原子、鉛原子が挙げられ、第15族原子としては、例えば、窒素原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子、ビスマス原子が挙げられ、第16族原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、ポロニウム原子が挙げられる。元素の周期表第13〜16族原子として好ましくは、窒素原子、燐原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子であり、より好ましくは硫黄原子である。
【0010】
本発明の遷移金属化合物のX1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、2置換アミノ基、アジド基、シアノ基、イソチオシアネート基またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。
【0011】
1〜X4におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0012】
1〜X4におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基等が挙げられ、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソアミル基である。
【0013】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基等が挙げられる。
またこれらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0014】
1〜X4におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられ、より好ましくはベンジル基である。
これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0015】
1〜X4におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、より好ましくはフェニル基である。
これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0016】
1〜X4における置換シリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基等の炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基等の炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基等の炭素原子数3〜20の3置換シリル基等が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、またはトリフェニルシリル基である。
これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0017】
1〜X4におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基である。
これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0018】
1〜X4におけるアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基等が挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。
これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0019】
1〜X4におけるアリールオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基等が挙げられる。
これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはアラルキルオキシ基等で一部が置換されていてもよい。
【0020】
1〜X4における2置換アミノ基とは2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。かかる2置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基等が挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基である。
【0021】
1〜X4におけるシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としてはη5−(置換)シクロペンタジエニル基、η5−(置換)インデニル基、η5−(置換)フルオレニル基等が挙げられる。具体的に例示すれば、η5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基、η5−エチルシクロぺンタジエニル基、η5−エチルテトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−n−プロピルシクロペンタジエニル基、η5−イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−sec−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、η5−n−オクチルシクロぺンタジエニル基、η5−フェニルシクロぺンタジエニル基、η5−ナフチルシクロぺンタジエニル基、η5−トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−メチルインデニル基、η5−ジメチルインデニル基、η5−エチルインデニル基、η5−n−プロピルインデニル基、η5−イソプロピルインデニル基、η5−n−ブチルインデニル基、η5−sec−ブチルインデニル基、η5−tert−ブチルインデニル基、η5−n−ペンチルインデニル基、η5−ネオペンチルインデニル基、η5−n−ヘキシルインデニル基、η5−n−オクチルインデニル基、η5−n−デシルインデニル基、η5−フェニルインデニル基、η5−メチルフェニルインデニル基、η5−ナフチルインデニル基、η5−トリメチルシリルインデニル基、η5−トリエチルシリルインデニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルインデニル基、η5−テトラヒドロインデニル基、η5−フルオレニル基、η5−メチルフルオレニル基、η5−ジメチルフルオレニル基、η5−エチルフルオレニル基、η5−ジエチルフルオレニル基、η5−n−プロピルフルオレニル基、η5−ジ−n−プロピルフルオレニル基、η5−イソプロピルフルオレニル基、η5−ジイソプロピルフルオレニル基、η5−n−ブチルフルオレニル基、η5−sec−ブチルフルオレニル基、η5−tert−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−n−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、η5−n−ペンチルフルオレニル基、η5−ネオペンチルフルオレニル基、η5−n−ヘキシルフルオレニル基、η5−n−オクチルフルオレニル基、η5−n−デシルフルオレニル基、η5−n−ドデシルフルオレニル基、η5−フェニルフルオレニル基、η5−ジ−フェニルフルオレニル基、η5−メチルフェニルフルオレニル基、η5−ナフチルフルオレニル基、η5−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−ビス−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−トリエチルシリルフルオレニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルフルオレニル基等が挙げられ、好ましくはη5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基、η5−エチルテトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−インデニル基、またはη5−フルオレニル基である。
なお、「η5−」は省略して記載することがある。
【0022】
本発明の遷移金属化合物のL1〜L4は、孤立電子対または多重結合性軌道によってM1〜M4と結合する中性配位子である。
孤立電子対によってM1〜M4と結合する基とは、M1〜M4へ配位結合によって結合する中性配位子であり、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンといったエーテル類やアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンといったアミン類、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、キノリンといったピリジン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンといったホスフィン類、アセトニトリル、ベンゾニトリルといったニトリル類、end-on型の窒素分子、ジメチルホルムアミドや一酸化炭素等が挙げられ、好ましくはテトラヒドロフラン、アンモニア、ピリジン、トリメチルホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたは一酸化炭素である。
【0023】
多重結合性軌道によりM1〜M4と結合する基とは、M1〜M4へπ電子により結合する中性配位子であり、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類やブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,4−ジフェニルブタジエンといったジエン類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、デュレン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、クメン、o−シメン、m−シメン、p−シメンといったアレーン類、アセトン、ベンゾフェノンといったケトン類、side-on型窒素分子等が挙げられるが、好ましくはアレーン類であり、より好ましくは、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、メシチレン、デュレン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼンまたはp−シメンである。
【0024】
式[1]で表される化合物としては、例えば、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリフルオロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリヨードルテニウム)、
【0025】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリメチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリエチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリイソプロピルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリ−tert−ブチルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリイソアミルルテニウム)、
【0026】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリベンジルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリフェニルルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{トリス(トリメチルシリル)ルテニウム}、
【0027】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリメトキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン](トリフェノキシルテニウム)、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{トリス(ジメチルアミノ)ルテニウム}、ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「モリブデン」を「クロム」、「タングステン」、「チタン」、「ジルコニウム」、「ハフニウム」、「マンガン」または「レニウム」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0028】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]}(ヘキサフロオロホスフェート)、{テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン][{ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
【0029】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
【0030】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニルモリブ)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「モリブデン」を「クロム」、「タングステン」、「チタン」、「ジルコニウム」、「ハフニウム」、「マンガン」または「レニウム」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物、「ヘキサフルオロホスフェート」を「テトラフルオロボレート」、「テトラフェニルボレート」、「フルオライド」、「クロライド」、「ブロマイド」「アイオダイド」または「トリフラート」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0031】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン][ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン][{ヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}、
【0032】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}、
【0033】
テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニルモリブ)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}、テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「モリブデン」を「クロム」、「タングステン」、「チタン」、「ジルコニウム」、「ハフニウム」、「マンガン」または「レニウム」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0034】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリメチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリエチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
【0035】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリ−tert−ブチルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
【0036】
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、
[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(シクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(インデニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)、[テトラ−μ3−スルフィドトリス[(フルオレニル)モリブデン]{ビスヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム}](ヘキサフロオロホスフェート)ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「モリブデン」を「クロム」、「タングステン」、「チタン」、「ジルコニウム」、「ハフニウム」、「マンガン」または「レニウム」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物、「ヘキサフルオロホスフェート」を「テトラフルオロボレート」、「テトラフェニルボレート」、「フルオライド」、「クロライド」、「ブロマイド」「アイオダイド」または「トリフラート」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0037】
テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジフルオロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス(テトラメチルシクロペンタジエニルルテニウム)[ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジクロロ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジブロモ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジヨード(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、
【0038】
テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジメチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジエチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジイソプロピル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジ−tert−ブチル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジイソアミル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、
【0039】
テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス(インデニルルテニウム)[ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジベンジル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジフェニル(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ビス(トリメチルシリル)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、
【0040】
テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジメトキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ジフェノキシ(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(シクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(メチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(インデニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドビス[(フルオレニル)モリブデン][ビス(ジメチルアミノ)(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「モリブデン」を「クロム」、「タングステン」、「チタン」、「ジルコニウム」、「ハフニウム」、「マンガン」または「レニウム」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0041】
テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−ベンゼン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−トルエン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−p−キシレン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−メシチレン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−デュレン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−ペンタメチルベンゼン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−ヘキサメチルベンゼン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(η6−p−シメン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(カルボニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(テトラヒドロフラン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(アンミン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(ピリジン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(トリメチルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(アセトニトリル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[トリス(ジメチルホルムアミド)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(シクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(tert−ブチルシクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(テトラメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(インデニル)ルテニウム]、テトラ−μ3−スルフィドテトラキス[(フルオレニル)ルテニウム]ならびに、これら化合物の「スルフィド」を「アミド」、「ホスフィド」、「オキソ」、「セレニド」または「テルリド」に置き換えた化合物、「ルテニウム」を「鉄」、「オスミウム」、「コバルト」、「ロジウム」または「イリジウム」に置き換えた化合物等を例示することができる。
【0042】
本発明の式[1]で表される遷移金属化合物の構造は、一般的にX線による結晶構造解析によって同定し得る。この方法によって同定される該遷移金属化合物のM1〜M4、A1〜A4各原子間の結合距離によって、式[1]のM1〜M4、A1〜A4各原子間の結合の表記が変わる場合がある。例えば、M1〜M4、A1〜A4各原子の位置関係が式[1]の構造であっても、下式[1a]、[1b]、[1c]といった表記がなされる場合がある。






【0043】
本発明の式[1]で表される遷移金属化合物の製造方法としては、例えば、M1〜M3がいずれもモリブデン原子、M4がルテニウム原子である遷移金属化合物は、アメリカ化学会編「インオルガニック・ケミストリー(Inorganic Chemistry)」、2005年5月30日、第44巻、第11号、第3768頁〜第3770頁に記載された製造方法を参照することによって、モリブデン3核錯体とルテニウム化合物を用いて製造することができる。
【0044】
本発明の重合開始剤系は、式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系である。より好ましくは、式[1]で表される遷移金属化合物および有機ハロゲン化合物を含む重合開始剤系である。
【0045】
有機ハロゲン化合物としては、分子内に1原子以上のハロゲン原子を有する有機化合物であり、例えば、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化炭化水素、(1−ハロゲノアルキル)ベンゼン誘導体等が挙げられる。
【0046】
α−ハロゲノカルボニル化合物としては、例えば、クロロメチルメチルケトン、1,1,1−トリクロロメチルメチルケトン、1−クロロアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、ブロモメチルメチルケトン、1,1,1−トリブロモメチルメチルケトン、1−ブロモアセトフェノン、1,1−ジブロモアセトフェノン、ヨウ化メチルメチルケトン、1−ヨウ化アセトフェノン、1,1−二ヨウ化アセトフェノン、ブロモメチルエチルケトン、ブロモメチルプロピルケトン、2−ブロモエチルメチルケトン、2−ブロモプロピルメチルケトン、2−ブロモエチルエチルケトン、2−ブロモプロピルプロピルケトン、2−ブロモプロピルメチルケトン、ヨードメチルエチルケトン、ヨードメチルプロピルケトン、2−ヨードエチルメチルケトン、2−ヨードプロピルメチルケトン、2−ヨードエチルエチルケトン、2−ヨードプロピルプロピルケトン、2−ヨードプロピルメチルケトン、クロロメチルエチルケトン、クロロメチルプロピルケトン、2−クロロエチルメチルケトン、2−クロロプロピルメチルケトン、2−クロロエチルエチルケトン、2−クロロプロピルプロピルケトン、2−クロロプロピルメチルケトン等が挙げられる。
【0047】
α−ハロゲノカルボン酸エステルとしては、例えば、2−クロロ酢酸メチル、2−ブロモ酢酸メチル、2−ヨード酢酸メチル、2−クロロ酢酸エチル、2−ブロモ酢酸エチル、2−ヨード酢酸エチル、2−クロロ酢酸プロピル、2−ブロモ酢酸プロピル、2−ヨード酢酸プロピル、2−クロロ酢酸ブチル、2−ブロモ酢酸ブチル、2−ヨード酢酸ブチル、2,2,2−トリクロロ酢酸メチル、2,2−ジクロロ酢酸メチル、2,2,2−トリブロモ酢酸メチル、2,2−ジブロモ酢酸メチル、2,2,2−トリヨード酢酸メチル、2,2−ジヨード酢酸メチル、2,2,2−トリクロロ酢酸エチル、2,2−ジクロロ酢酸エチル、2,2,2−トリブロモ酢酸エチル、2,2−ジブロモ酢酸エチル、2,2,2−トリヨード酢酸エチル、2,2−ジヨード酢酸エチル、2−クロロプロピオン酸メチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ヨードプロピオン酸メチル、2−クロロ酪酸メチル、2−ブロモ酪酸メチル、2−ヨード酪酸メチル、2−クロロプロピオン酸エチル、2−ブロモプロピオン酸エチル、2−ヨードプロピオン酸エチル、2−クロロ酪酸エチル、2−ブロモ酪酸エチル、2−ヨード酪酸エチル、2−クロロプロピオン酸プロピル、2−ブロモプロピオン酸プロピル、2−ヨードプロピオン酸プロピル、2−クロロ酪酸プロピル、2−ブロモ酪酸プロピル、2−ヨード酪酸プロピル、2−クロロプロピオン酸ブチル、2−ブロモプロピオン酸ブチル、2−ヨードプロピオン酸ブチル、2−クロロ酪酸ブチル、2−ブロモ酪酸ブチル、2−ヨード酪酸ブチル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸メチル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸エチル、2−クロロ−2−メチル酪酸メチル、2−ブロモ−2−メチル酪酸メチル、2−ヨード−2−メチル酪酸メチル、2−クロロ−2−メチル酪酸エチル、2−ブロモ−2−メチル酪酸エチル、2−ヨード−2−メチル酪酸エチル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸プロピル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸プロピル、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸プロピル、2−クロロ−2−メチル酪酸プロピル、2−ブロモ−2−メチル酪酸プロピル、2−ヨード−2−メチル酪酸プロピル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸ブチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブチル、2−ヨード−2−メチルプロピオン酸ブチル、2−クロロ−2−メチル酪酸ブチル、2−ブロモ−2−メチル酪酸ブチル、2−ヨード−2−メチル酪酸ブチル、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、2−ブロモ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、2−ヨード−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、1,2−ビス(2’−ブロモ−2’−メチルプロピオニルオキシ)エタン、1,2−ビス(2’−ヨード−2’−メチルプロピオニルオキシ)エタン、1,2−ビス(2’−ブロモプロピオニルオキシ)エタン、1,2−ビス(2’−ヨードプロピオニルオキシ)エタン、2−(2’−ブロモ−2’−メチルプロピオニルオキシ)エチルアルコール、2−(2’−ヨード−2’−メチルプロピオニルオキシ)エチルアルコール等が挙げられる。
【0048】
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メタン、四臭化炭素、ブロモホルム、ジブロモメタン、ブロモメタン、四ヨウ化炭素、ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨードメタン、ヨウ化エタン、1−ヨウ化プロパン、2−ヨウ化プロパン、1−ヨウ化ブタン、2−ヨウ化ブタン、1−ヨウ化イソブタン、2−ヨウ化イソブタン、1−ヨウ化ペンタン、2−ヨウ化ペンタン、3−ヨウ化ペンタン、1−ヨウ化イソペンタン、2−ヨウ化イソペンタン、3−ヨウ化イソペンタン、1−ヨウ化ヘキサン、2−ヨウ化ヘキサン、3−ヨウ化ヘキサン、1−ヨウ化イソヘキサン、2−ヨウ化イソヘキサン、3−ヨウ化イソヘキサン、1−ヨウ化シクロプロパン、1−ヨウ化シクロブタン、1−ヨウ化シクロペンタン、1−ヨウ化シクロヘキサン、1,1−ジヨードエタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジヨードオクタン、1,10−ジヨードデカン、1,12−ジヨードドデカン、臭化エタン、1−臭化プロパン、2−臭化プロパン、1−臭化ブタン、2−臭化ブタン、1−臭化イソブタン、2−臭化イソブタン、1−臭化ペンタン、2−臭化ペンタン、3−臭化ペンタン、1−臭化イソペンタン、2−臭化イソペンタン、3−臭化イソペンタン、1−臭化ヘキサン、2−臭化ヘキサン、3−臭化ヘキサン、1−臭化イソヘキサン、2−臭化イソヘキサン、3−臭化イソヘキサン、1−臭化シクロプロパン、1−臭化シクロブタン、1−臭化シクロペンタン、1−臭化シクロヘキサン、1,1−二臭化エタン、1,2−二臭化エタン、1,3−二臭化プロパン、1,4−二臭化ブタン、1,5−二臭化ペンタン、1,6−二臭化ヘキサン、1,8−二臭化オクタン、1,10−二臭化デカン、1,12−二臭化ドデカン塩化エタン、1−塩化プロパン、2−塩化プロパン、1−塩化ブタン、2−塩化ブタン、1−塩化イソブタン、2−塩化イソブタン、1−塩化ペンタン、2−塩化ペンタン、3−塩化ペンタン、1−塩化イソペンタン、2−塩化イソペンタン、3−塩化イソペンタン、1−塩化ヘキサン、2−塩化ヘキサン、3−塩化ヘキサン、1−塩化イソヘキサン、2−塩化イソヘキサン、3−塩化イソヘキサン、1−塩化シクロプロパン、1−塩化シクロブタン、1−塩化シクロペンタン、1−塩化シクロヘキサン、1,1−二塩化エタン、1,2−二塩化エタン、1,3−二塩化プロパン、1,4−二塩化ブタン、1,5−二塩化ペンタン、1,6−二塩化ヘキサン、1,8−二塩化オクタン、1,10−二塩化デカン、1,12−二塩化ドデカン、1−クロロ−1−ヨードエタン、1−クロロ−2−ヨードエタン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、1−クロロ−8−ヨードオクタン、1−クロロ−10−ヨードデカン、1−クロロ−12−ヨードドデカン、1−臭化−1−ヨウ化エタン、1−臭化−2−ヨウ化エタン、1−臭化−3−ヨウ化プロパン、1−臭化−4−ヨウ化ブタン、1−臭化−5−ヨウ化ペンタン、1−臭化−6−ヨウ化ヘキサン、1−臭化−8−ヨウ化オクタン、1−臭化−10−ヨウ化デカン、1−臭化−12−ヨウ化ドデカン、1−臭化−1−塩化エタン、1−臭化−2−塩化エタン、1−臭化−3−塩化プロパン、1−臭化−4−塩化ブタン、1−臭化−5−塩化ペンタン、1−臭化−6−塩化ヘキサン、1−臭化−8−塩化オクタン、1−臭化−10−塩化デカン、1−臭化−12−塩化ドデカン等が挙げられる。
【0049】
(1−ハロゲノアルキル)ベンゼン誘導体としては、例えば、1−ブロモ−1−フェニルエタン、4−(1−ブロモエチル)安息香酸、4−(1−ブロモエチル)安息香酸エステル、1−クロロ−1−フェニルエタン、4−(1−クロロエチル)安息香酸、4−(1−クロロエチル)安息香酸エステル、1−ブロモ−1−フェニルエタン、4−(1−ブロモエチル)安息香酸、4−(1−ブロモエチル)安息香酸エステル、1−ヨウ化−1−フェニルエタン、4−(1−ヨウ化エチル)安息香酸、4−(1−ヨウ化エチル)安息香酸エステル等が挙げられる。
【0050】
本発明の有機ハロゲン化合物として好ましくは、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル、ハロゲン化炭化水素であり、より好ましくは2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、2−ヨード−プロパン酸エチル、2−ヨードブタンである。これらの有機ハロゲン化合物は、異なる2種以上の有機ハロゲン化合物を組み合わせて用いることもできる。
【0051】
本発明の重合開始剤系は、式[1]で表される遷移金属錯体および有機ハロゲン化合物以外に、他の成分を含有することもできる。他の成分としては、例えば、元素の周期表第3族、第13族、第15族、第16族のいずれかの原子から1種以上を含む化合物、および、これら化合物の異なる2種以上の組合せが挙げられる。
【0052】
元素の周期表第3族の原子を含む化合物としては、例えば、希土類化合物が挙げられる。希土類化合物としては、例えば、スカンジウム(III)アセチルアセトナート、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸スカンジウム(III)、酢酸スカンジウム(III)、塩化スカンジウム(III)等のスカンジウム化合物、イットリウム(III)アセチルアセトナート、イットリウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸イットリウム(III)、酢酸イットリウム(III)、塩化イットリウム(III)等のイットリウム化合物、ランタニド(III)アセチルアセトナート、ランタニド(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸ランタニド(III)、酢酸ランタニド(III)、塩化ランタニド(III)等のランタニド化合物、セリウム(III)アセチルアセトナート、セリウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸セリウム(III)、酢酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)等のセリウム化合物、ネオジム(III)アセチルアセトナート、ネオジム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸ネオジム(III)、酢酸ネオジム(III)、塩化ネオジム(III)等のネオジム化合物、サマリウム(III)アセチルアセトナート、サマリウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸サマリウム(III)、酢酸サマリウム(III)、塩化サマリウム(III)等のサマリウム化合物、ユーロピウム(III)アセチルアセトナート、ユーロピウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸ユーロピウム(III)、酢酸ユーロピウム(III)、塩化ユーロピウム(III)等のユーロピウム化合物、ガドリニウム(III)アセチルアセトナート、ガドリニウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸ガドリニウム(III)、酢酸ガドリニウム(III)、塩化ガドリニウム(III)等のガドリニウム化合物、テルビウム(III)アセチルアセトナート、テルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸テルビウム(III)、酢酸テルビウム(III)、塩化テルビウム(III)等のテルビウム化合物、イッテルビウム(III)アセチルアセトナート、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸イッテルビウム(III)、酢酸イッテルビウム(III)、塩化イッテルビウム(III)等のイッテルビウム化合物が挙げられる。
【0053】
元素の周期表第13族の原子を含む化合物としては、例えば、ホウ素化合物およびアルミニウム化合物が挙げられる。
ホウ素化合物としては、例えば、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素等のハロゲン化ホウ素、トリフェニルボラン等のアルキルホウ素、アニリニウムボレート等のオニウム塩型ホウ素化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリクロロアルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド、ジエチルクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、ジエチルイソプロポキシアルミニウム、エチルクロロイソプロポキシアルミニウムが挙げられる。
【0054】
元素の周期表第15族の原子を含む化合物としては、例えば、窒素化合物およびリン化合物が挙げられる。
窒素化合物としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ブチルアミン等のアミン化合物、1,2−エタンジイミン、2,4−ペンタンジイミン等のイミン化合物、ピリジン、トルイジン、コリジン、ピロール、ピロリジン等の複素環型化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のニトロキシド化合物が挙げられる。
リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のトリアルキルリン化合物、トリフェニルホスフィン等のトリアリルリン化合物が挙げられる。
【0055】
元素の周期表第16族の原子を含む化合物としては、例えば、酸素化合物および硫黄化合物が挙げられる。
酸素化合物としてアセチルアセトン等のケトン化合物、ジエチルマレイン酸等のエステル化合物、フェノール、安息香酸、ヒドロキノン、2−ヒドロキシ酢酸エチル、プロリン等の酸素化合物が挙げられる。
硫黄化合物としてジスルフィド、チオフェノール等の硫黄化合物が挙げられる。
【0056】
本発明の重合開始剤系の製造方法は、式[1]で表される遷移金属化合物および有機ハロゲン化物を用いる場合はこれらを接触させることができればよく、接触は溶媒やモノマー中で行ってもよい。また、重合開始剤系の性能向上を示す他の成分がこれらの条件下で接触してもよい。
【0057】
本発明の重合体の製造方法は、式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系の存在下に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマーおよび/または少なくとも1種のオレフィンを重合する重合体の製造方法である。
【0058】
本発明の重合体の製造方法に用いられる極性モノマーは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマーである。
【0059】
本発明における極性モノマーとは、付加重合可能な炭素−炭素二重結合を有する極性モノマーであり、好ましくは、炭素原子数2〜20の極性モノマーである。該極性モノマーは、該極性モノマー中の炭素−炭素二重結合が、例えばアクリル酸エステルまたはアクリロニトリルにおけるように、カルボニル基またはニトリル基等のヘテロ原子を含む官能基と直接共役し、および/または、例えば酢酸ビニルにおけるように、酸素原子等のヘテロ原子と直接結合する限りにおいて、環状オレフィンでも鎖状オレフィンでもよく、該極性モノマー中の炭素−炭素二重結合に直接共役または直接結合しないカルボニル基、シアノ基、アミノ基、水酸基、およびハロゲノ基等の置換基またはエーテル結合等の結合を1つ以上含む化合物であってもよい。
【0060】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸等が挙げられる。
【0061】
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0062】
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸−sec−ペンチル、アクリル酸−tert−ペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンチル、アクリル酸メンチル、アクリル酸ノルアダマンチル、アクリル酸アダマンチル等のアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アリールエステル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−アミノエチル、γ−(アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(アクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくはアクリル酸メチルである。
【0063】
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸−sec−ペンチル、メタクリル酸−tert−ペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンチル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸ノルアダマンチル、および、メタクリル酸アダマンチル等のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。好ましくはメタクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくはメタクリル酸メチルである。
【0064】
不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジフェニルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジフェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0065】
ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0066】
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニル等が挙げられる。
【0067】
不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0068】
不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン等が挙げられる。
【0069】
不飽和ケトンとしては、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、プロピルビニルケトン等が挙げられる。
【0070】
本発明の重合体の製造方法に用いられるオレフィンは、付加重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィンであり、好ましくは、炭素原子数2〜20のオレフィンである。該オレフィンは、該オレフィン中の炭素−炭素二重結合が、例えば不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和ニトリルにおけるように、カルボニル基およびニトリル基等のヘテロ原子を含む官能基と共役せず、例えばビニルエーテル(CH2=CH−O−)におけるように、酸素原子、窒素原子および硫黄原子等のヘテロ原子と直接結合しない限りにおいて、環状オレフィンでも鎖状オレフィンでもよく、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、水酸基、およびハロゲノ基等の置換基またはエーテル結合等の結合を1つ以上含む化合物であってもよい。該オレフィンは、その2種以上の組合せであってもよい。該オレフィンとして、例えば、アルケン、ビニル芳香族化合物、ジエン、カルボニル基を有するオレフィン、シアノ基を有するオレフィン、アミノ基を有するオレフィン、水酸基を有するオレフィン、ハロゲノ基を有するオレフィン、および、エーテル結合を有するオレフィン等を例示することができる。
【0071】
アルケンとは、付加重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィンであり、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ネオヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−イコセン、2−ヘプテン、2−オクテン、2−ノネン、2−デセン、2−ウンデセン、2−ドデセン、2−トリデセン、2−テトラデセン、2−ペンタデセン、2−ヘキサデセン、2−ヘプタデセン、2−オクタデセン、2−ノナデセン、2−イコセン、3−ヘプテン、3−オクテン、3−ノネン、3−デセン、3−ウンデセン、3−ドデセン、3−トリデセン、3−テトラデセン、3−ペンタデセン、3−ヘキサデセン、3−ヘプタデセン、3−オクタデセン、3−ノナデセン、3−イコセン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−メチル−1−ノネン、2−メチル−1−デセン、2−メチル−1−ウンデセン、2−メチル−1−ドデセン、2−メチル−1−トリデセン、2−メチル−1−テトラデセン、2−メチル−1−ペンタデセン、2−メチル−1−ヘキサデセン、2−メチル−1−ヘプタデセン、2−メチル−1−オクタデセン、2−メチル−1−ノナデセン、2−メチル−1−イコセン、2−メチル−2−ヘプテン、2−メチル−2−オクテン、2−メチル−2−ノネン、2−メチル−2−デセン、2−メチル−2−ウンデセン、2−メチル−2−ドデセン、2−メチル−2−トリデセン、2−メチル−2−テトラデセン、2−メチル−2−ペンタデセン、2−メチル−2−ヘキサデセン、2−メチル−2−ヘプタデセン、2−メチル−2−オクタデセン、2−メチル−2−ノナデセン、2−メチル−2−イコセン、2−メチル−3−ヘプテン、2−メチル−3−オクテン、2−メチル−3−ノネン、2−メチル−3−デセン、2−メチル−3−ウンデセン、2−メチル−3−ドデセン、2−メチル−3−トリデセン、2−メチル−3−テトラデセン、2−メチル−3−ペンタデセン、2−メチル−3−ヘキサデセン、2−メチル−3−ヘプタデセン、2−メチル−3−オクタデセン、2−メチル−3−ノナデセン、2−メチル−3−イコセン、3−メチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘプテン、3−メチル−1−オクテン、3−メチル−1−ノネン、3−メチル−1−デセン、3−メチル−1−ウンデセン、3−メチル−1−ドデセン、3−メチル−1−トリデセン、3−メチル−1−テトラデセン、3−メチル−1−ペンタデセン、3−メチル−1−ヘキサデセン、3−メチル−1−ヘプタデセン、3−メチル−1−オクタデセン、3−メチル−1−ノナデセン、3−メチル−1−イコセン、3−メチル−2−ヘプテン、3−メチル−2−オクテン、3−メチル−2−ノネン、3−メチル−2−デセン、3−メチル−2−ウンデセン、3−メチル−2−ドデセン、3−メチル−2−トリデセン、3−メチル−2−テトラデセン、3−メチル−2−ペンタデセン、3−メチル−2−ヘキサデセン、3−メチル−2−ヘプタデセン、3−メチル−2−オクタデセン、3−メチル−2−ノナデセン、3−メチル−2−イコセン、3−メチル−3−ヘプテン、3−メチル−3−オクテン、3−メチル−3−ノネン、3−メチル−3−デセン、3−メチル−3−ウンデセン、3−メチル−3−ドデセン、3−メチル−3−トリデセン、3−メチル−3−テトラデセン、3−メチル−3−ペンタデセン、3−メチル−3−ヘキサデセン、3−メチル−3−ヘプタデセン、3−メチル−3−オクタデセン、3−メチル−3−ノナデセン、3−メチル−3−イコセン、ビニルシクロヘキサン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、シクロペンテン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、ノルボルネン、メチリデンシクロヘキサン、エチリデンシクロヘキサン、リモネン、ピネン、カレン、カンフェンが挙げられる。
【0072】
ビニル芳香族化合物とは、付加重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィンである。該ビニル芳香族化合物は、該ビニル芳香族化合物中の付加重合可能な炭素−炭素二重結合が、芳香族環と共役する限りにおいて、カルボニル基、シアノ基、アミノ基およびハロゲノ基等の置換基またはエーテル結合等の結合を1つ以上有するオレフィンであってもよい。また、ここでいう芳香族環は芳香族炭化水素であっても複素芳香族環であってもよく、該ビニル芳香族化合物は、その2種以上の組合せであってもよい。
【0073】
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、4−ブロモスチレン、2、4−ジブロモスチレン、3、5−ジブロモスチレン、3、4、5−トリブロモスチレン、2、4、6−トリブロモスチレン、2、3、4、5、6−ペンタブロモスチレン、3−ブロモスチレン、2−ブロモスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、2−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、2−フルオロスチレン、2、3、4、5、6−ペンタフルオロスチレン、4−メトキシスチレン、2、4−ジメトキシスチレン、3、5−ジメトキシスチレン、3、4、5−トリメトキシスチレン、2、4、6−トリメトキシスチレン、2、3、4、5、6−ペンタメトキシスチレン、3−メトキシスチレン、2−メトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、2−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸メチル、3−ビニル安息香酸メチル、2−ビニル安息香酸メチル、4−シアノスチレン、2、4−ジシアノスチレン、3、5−ジシアノスチレン、3−シアノスチレン、2−シアノスチレン、4−アミノスチレン、3、5−ジアミノスチレン、4−(N,N−ジメチル)アミノスチレン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ビニルピリジン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1−ビニルアントラセン、2−ビニルアントラセン、9−ビニルアントラセンが挙げられる。
【0074】
ジエンとは、分子内にジエン構造を有するオレフィンであり、例えば、(分子内にジエン構造を有する有機化合物であり、)ブタジエン、イソプレン、2−メトキシブタジエン、2−トリメチルシロキシブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等の直鎖状化合物、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、2−トリメチルシロキシ−1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、フラン、2H−ピラン、ピロール、チオフェン等の環状化合物が挙げられる。
【0075】
カルボニル基を有するオレフィンとしては、例えば、酢酸アリル、β−ビニル−γ−ラクトン、メチルアリルケトン、アリルアルデヒド、アリルアミド、N−アセチルアリルアミド、およびN−アリルアセトアミドが挙げられる。
【0076】
シアノ基を有するオレフィンとしては、例えば、3−プロペン−1−ニトリルが挙げられる。
【0077】
アミノ基を有するオレフィンとしては、例えば、アリルアミンが挙げられる。
【0078】
水酸基を有するオレフィンとしては、例えば、アリルアルコール、ホモアリルアルコールが挙げられる。
【0079】
ハロゲノ基を有するオレフィンとしては、例えば、アリルクロライドを例示することができる。
【0080】
エーテル結合を有するオレフィンとしては、例えば、メチルアリルエーテル、フェニルアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、リモネンオキサイドが挙げられる。
【0081】
本発明の製造方法によって得られる重合体は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマーおよび/または少なくとも1種のオレフィンを重合して得られる重合体である。
【0082】
本発明の製造方法によって得られる該重合体としては、例えば、極性モノマー単独重合体、極性モノマー共重合体、オレフィン−極性モノマー共重合体、オレフィン単独重合体、オレフィン共重合体が挙げられる。
【0083】
極性モノマー単独重合体および極性モノマー共重合体としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンから選ばれる1種以上の極性モノマーを重合して得られる極性モノマー重合体であり、例えば、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、不飽和カルボン酸重合体、不飽和カルボン酸アミド重合体、ビニルエーテル重合体、ビニルエステル重合体、不飽和ニトリル重合体、不飽和アルデヒド重合体、不飽和ケトン重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−ビニルエステル共重合体、不飽和ニトリル−ビニルエステル共重合体、不飽和ニトリル−アクリル酸エステル共重合体、不飽和ニトリル−メタクリル酸エステル共重合体、不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、不飽和ニトリル−メタクリル酸エステル−ビニルエステル共重合体、不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−ビニルエステル共重合体等が挙げられる。好ましくはアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体である。
【0084】
オレフィン−極性モノマー共重合体としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンから選ばれる1種以上の極性モノマー、および、アルケン、ビニル芳香族、ジエン、カルボニル基を含有するオレフィン、シアノ基を含有するオレフィン、アミノ基を含有するオレフィン、水酸基を含有するオレフィン、ハロゲノ基を含有するオレフィン、エーテル結合を有するオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるオレフィン−極性モノマー共重合体であり、例えば、アクリル酸エステル−アルケン共重合体、メタクリル酸エステル−アルケン共重合体、アクリル酸エステル−ビニル芳香族共重合体、メタクリル酸エステル−ビニル芳香族共重合体、アクリル酸エステル−ジエン共重合体、メタクリル酸エステル−ジエン共重合体、アクリル酸エステル−アルケン−ジエン共重合体、メタクリル酸エステル−アルケン−ジエン共重合体、アクリル酸エステル−ビニル芳香族−ジエン共重合体、メタクリル酸エステル−ビニル芳香族−ジエン共重合体、不飽和ニトリル−アルケン共重合体、不飽和ニトリル−ビニル芳香族共重合体、不飽和ニトリル−ジエン共重合体、不飽和ニトリル−ビニル芳香族−ジエン共重合体、アクリル酸エステル−不飽和ニトリル−ビニル芳香族−ジエン共重合体、メタクリル酸エステル−不飽和ニトリル−ビニル芳香族−ジエン共重合体、ビニルエステル−アルケン共重合体、ビニルエステル−ジエン共重合体、ビニルエステル−ビニル芳香族共重合体、アクリル酸エステル−ビニルエステル−ビニル芳香族共重合体、メタクリル酸エステル−ビニルエステル−ビニル芳香族共重合体、不飽和ニトリル−ビニルエステル−ビニル芳香族共重合体等が挙げられる。好ましくはアクリル酸エステル−アルケン共重合体、メタクリル酸エステル−アルケン共重合体であり、より好ましくは、アクリル酸エステル−エチレン共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、アクリル酸エステル−エチレン−プロピレン共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−エチレン−プロピレン共重合体である。
【0085】
オレフィン単独重合体およびオレフィン共重合体としては、アルケン、ビニル芳香族、ジエンから選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるオレフィン重合体およびオレフィン共重合体であり、例えば、アルケン単独重合体、ジエン単独重合体、ビニル芳香族単独重合体、アルケン−ジエン共重合体、ビニル芳香族−ジエン共重合体が挙げられる。好ましくは、アルケン単独重合体であり、より好ましくはα−オレフィン単独重合体であり、さらに好ましくはエチレン単独重合体である。
【0086】
本発明の製造方法によって得られる重合体の平均分子量は特に限定されないが、加工性の向上および低分子量成分を低減する観点から好ましくは、重量平均分子量が10,000〜2,000,000である重合体である。本発明の製造方法によって得られる重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布は特に限定されないが、加工性の向上および低分子量成分低減の観点から、好ましくは1.0〜8.0であり、より好ましくは1.0〜4.0である。
【0087】
本発明の製造方法で用いる遷移金属化合物の使用量は、重合媒体中における濃度で、通常0.01〜100mmol/Lであり、好ましくは0.1〜40mmol/Lである。また、有機ハロゲン化合物の重合媒体中における濃度は、通常0.1〜200mmol/Lであり、好ましくは0.5〜80mmol/Lである。
【0088】
本発明の製造方法において、元素の周期表第3族、第13族、第15族、第16族のいずれかの原子から1つ以上を含む化合物を用いる場合、該化合物の使用量は、重合媒体中における濃度は適宜調整して使用できるが、好ましくは0.5〜1000mmol/Lであり、より好ましくは1〜500mmol/Lである。
【0089】
本発明の製造方法における重合温度は特に限定されないが、低温すぎると反応が進行しない場合があり、高温すぎると重合活性が低下する場合があるため、これらの兼ね合いから、好ましくは20〜250℃であり、より好ましくは40〜200℃である。
【0090】
本発明の製造方法における重合圧力は特に限定されないが、例えば、オレフィンとしてエチレンを用いる場合、反応圧力は通常0.1〜300MPaである
【0091】
本発明の製造方法における重合時間は、一般的に、得ようとする重合体の種類や重合槽の形式に応じて適宜選択しうるが、通常は重合条件が設定目標に達した時点を起点に15秒〜40時間である。
【0092】
本発明の製造方法における重合形式は特に限定されない。重合形式としては、例えば、連続式およびバッチ式が挙げられる。
【0093】
本発明の製造方法における重合方法は特に限定されない。重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合が挙げられる。重合用溶媒としては、例えば、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のカルボニル基を有する溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水等のプロトン性溶媒、および、これらの中から2種以上の組合わせからなる溶媒が挙げられる。本発明の製造方法においては、得ようとする重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を用いてもよい。
【0094】
本発明の製造方法において、α−オレフィンを単独重合する場合、好ましくはバルク重合または重合圧力4MPa以上の溶液重合である。α−オレフィンをバルク重合によって単独重合する場合、反応液中のモノマー全体100mol%に対してエチレンが80mol%以上含まれる場合は、好ましくは重合圧力50MPa以上、重合温度80℃以上の高圧バルク重合であり、より好ましくは重合圧力100MPa以上、重合温度120℃以上の高圧バルク重合である。
本発明の製造方法において、少なくとも1種の極性モノマーおよび少なくとも1種のα−オレフィンを共重合する場合、好ましくはバルク重合または重合圧力1MPa以上の溶液重合である。少なくとも1種の極性モノマーおよび少なくとも1種のα−オレフィンをバルク重合によって共重合する場合、反応液中のモノマー全体100mol%に対してエチレンが80mol%以上含まれる場合は、好ましくは重合圧力50MPa以上、重合温度80℃以上の高圧バルク重合であり、より好ましくは重合圧力100MPa以上、重合温度120℃以上の高圧バルク重合である。
【0095】
本発明の製造方法における多段重合方法は、式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系の存在下に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマー、および/または、少なくとも1種のオレフィンを重合して重合体を多段重合方法によって製造する製造方法である。
【0096】
本発明の多段重合方法とは、重合条件を1回以上切り替える重合方法である。重合条件を切り替える回数としては、得ようとする重合体に要求される特性と製造に係る経済性のバランスの観点から、好ましくは1〜3回である。
【0097】
本発明の多段重合方法において各重合段階間の重合条件の切り替えに際しては、各重合段階で重合されるそれぞれの重合体ブロックの構造を変化させるために、切り替え前の重合媒体中のモノマー組成を基準に、切り替え後の重合媒体中のモノマー組成を少なくとも10モル%変化させることが必要である。各重合体ブロック間の構造の差異をより大きくする場合は、25モル%以上変化させることが好ましい。
【0098】
本発明の多段重合方法における各重合段階の切り替え方法は特に限定されないが、重合を継続しながら連続的に重合条件を切り替えてもよいし、揮発成分を一度除去した後に新たにモノマーを仕込んでもよい。
【0099】
本発明の多段重合方法における各重合段階の切り替えの間隔は、5秒〜24時間の間に完結させることができるが、経済性の観点から5秒〜1時間の間に完結させることが好ましい。
【0100】
本発明の多段重合方法によって得られる重合体として好ましくは、主成分の重合体に対して組成が10モル%以上異なる重合体成分の合計が、50wt%以下である重合体である。
本発明の多段重合方法において用いられるモノマーとしては、例えば、極性モノマー、ビニル芳香族化合物、オレフィンが挙げられる。
【0101】
本発明の多段重合方法によって得られる重合体の平均分子量は特に限定されないが、加工性向上および低分子量成分の低減の観点から、好ましくは重量平均分子量が10,000〜2,000,000である重合体である。多段重合方法によって得られる重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布は特に限定されないが、加工性向上および低分子量成分の低減の観点から、好ましくは1.0〜6.0である。より好ましくは1.0〜4.0であり、さらに好ましくは 1.0〜2.0である。
【0102】
本発明の多段重合方法で用いる遷移金属化合物の使用量は、重合媒体中における濃度で、通常0.01〜100mmol/Lであり、好ましくは0.1〜40mmol/Lである。また、有機ハロゲン化合物の重合媒体中における濃度は、通常0.1〜200mmol/Lであり、好ましくは0.5〜80mmol/Lである。
【0103】
本発明の多段重合方法において、元素の周期表第3族、第13族、第15族、第16族のいずれかの原子から1つ以上を含む化合物を用いる場合、該化合物の使用量は、重合媒体中における濃度は適宜調整して使用できるが、好ましくは0.5〜1000mmol/Lであり、より好ましくは1〜500mmol/Lである。
【0104】
本発明の多段重合方法における重合温度は特に限定されないが、低温すぎると反応が進行しない場合があり、高温すぎると重合活性が低下する場合があるため、これらの兼ね合いから、好ましくは20〜250℃であり、より好ましくは40〜200℃である。
【0105】
本発明の多段重合方法における重合圧力は特に限定されないが、例えば、オレフィンとしてエチレンを用いる場合、反応圧力は通常0.1〜300MPaである
【0106】
本発明の多段重合方法における重合時間は、一般的に、得ようとする重合体の種類や重合槽の形式に応じて適宜選択しうるが、通常は重合条件が設定目標に達した時点を起点に15秒〜40時間である。
【0107】
本発明の多段重合方法における重合形式は特に限定されない。重合形式としては、例えば、連続式およびバッチ式が挙げられる。
【0108】
本発明の多段重合方法における重合方法は特に限定されない。重合方法としては、例えば、溶液重合、スラリー重合が挙げられる。重合用溶媒としては、例えば、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のカルボニル基を有する溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水等のプロトン性溶媒、これらのなかから2種以上の組合わせからなる溶媒が挙げられる。本発明の多段重合方法においては、得られる重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を用いてもよい。
【実施例】
【0109】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
1.重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
測定機 日本分光社製 LC−2000PLUSシリーズ
カラム Shodex KF−804
測定温度 40℃
溶媒 クロロホルム
サンプル濃度 5mg/mL
2.13C NMRは、下記の条件で測定した。
測定機 日本電子社製 400MHzNMR
測定温度 23℃
溶媒 クロロホルム−d
【0110】
[参考例1]遷移金属化合物テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)・CH2Cl2の合成
冷却管、撹拌装置を取り付け、窒素置換した100mL3つ口フラスコにRuH4(PPh33 300mg(0.336mmol)を入れ、塩化メチレン30mLに溶解し、30分間撹拌後、トリ−μ3−スルフィド−μ2−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](ヘキサフルオロホスファイト)292mg(0.302mmol、0.90当量)を固体のまま加え、その後8時間加熱還流すると、均一褐色溶液となった。
溶液を減圧乾燥することによって溶媒を留去し、テトラヒドロフラン30mLを加え、さらに濃塩酸0.20mLを加えた。この溶液を50℃で3時間加熱すると、緑色沈殿が生成した。反応溶液を室温まで冷却し、上澄みをろ過で除き、沈殿を減圧下乾燥する。固体に1グラムの無水硫酸マグネシウムを加え、塩化メチレン20mL中で30分間撹拌した。塩化メチレン溶液をろ過抽出し、n−ヘキサン100mLを加えて二層再結晶を行うことによって、緑色針状晶を235mg得た。1H NMR、元素分析およびX線結晶構造解析の結果、該緑色針状晶をテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)・CH2Cl2と同定した。0.221mmol、収率70%であった。

1H NMR(重クロロホルム):δ 2.11(s,45H,Cp*),5.30(s,2H,CH2Cl2
元素分析:計算値 C 33.12%、H 4.37%、S 11.48%
実測値 C 33.25%、H 4.40%、S 11.45%
X線結晶構造図:図1

【0111】
[参考例2]遷移金属化合物テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)・CH2Cl2の合成
参考例2と同様の方法を用いて、濃塩酸の替わりに濃臭化水素酸を用いることにより合成した。収率68%であった。
1H NMR(重クロロホルム):δ 2.07(s,45H,Cp*),5.30(s,2H,CH2Cl2
元素分析:計算値 C 30.01%、H 4.07%、S 10.48%
実測値 C 30.11%、H 3.88%、S 10.30%
【0112】
[参考例3]遷移金属化合物テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム]の合成
撹拌装置を取り付け、窒素置換した50mLシュレンク管に参考例1で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)・CH2Cl2 111mg(0.10mmol)、コバルトセン 113mg (0.60mmol)及びトリイソプロピルホスフィン 19mg(0.12mmol)を入れ、シュレンク管を水素置換してからテトラヒドロフラン20mLを加え、室温、水素雰囲気(1気圧)下で1晩撹拌した。
溶液を減圧乾燥することによって溶媒を留去し、トルエン5mLで3回、ろ過抽出を行い、得られたろ液をまとめて約5mLまで濃縮し、これにメタノール20mLを加え、再結晶する事により、濃赤色板状晶を76mg得た。1H NMR及び31P{1H} NMR解析の結果、該濃赤色板状晶をテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム]と同定した。0.070mmol、収率70%であった。
1H NMR(重ベンゼン):δ −10.0(d,1H,Ru−H),1.91(s,45H,Cp*
31P{1H} NMR(重ベンゼン):δ 86.1(s)
元素分析:計算値 C 33.12%、H 4.37%、S 11.48%
実測値 C 33.25%、H 4.40%、S 11.45%
【0113】
[参考例4]遷移金属化合物テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム]の合成
参考例3と同様の方法を用い、トリイソプロピルホスフィン19mgの替わりにトリフェニルホスフィン32mgを用いることにより合成した。収率67%であった。
1H NMR(重ベンゼン):δ −9.0(d,1H,Ru−H),1.83(s,45H,Cp*
31P{1H} NMR(重ベンゼン):δ 55.0(s)
【0114】
[参考例5]遷移金属化合物テトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム]の合成
参考例3と同様の方法を用い、トリイソプロピルホスフィン19mgの替わりにトリシクロヘキシルホスフィン34mgを用いることにより合成した。収率71%であった。
1H NMR(重ベンゼン):δ −9.8(d,1H,Ru−H),1.99(s,45H,Cp*),1.37−2.18(m,33H,C611
31P{1H} NMR(重ベンゼン):δ 73.6(s)
元素分析:計算値 C 47.87%、H 6.61%、S 10.65%
実測値 C 47.68%、H 6.82%、S 10.27%
【0115】
[実施例1]
100mLガラス製チューブを充分に乾燥し、窒素置換した後、常温常圧下において、関東化学社製メタクリル酸メチル5.4mLと、重合用溶媒としての精製テトラヒドロフラン17.5mLとを、それぞれシリンジを用いて仕込み、80℃に加熱した。続いて2−臭化酪酸エチルの0.1mmol/L−テトラヒドロフラン溶液1.0mLを投入し、さらに参考例1で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)・CH2Cl2の5.0mmol/L−テトラヒドロフラン溶液2.0mLを加え、80℃で2時間重合させた。重合反応終了後、重合液をn−ヘキサン500mLの中にゆっくりと加え、析出した固形分をn−ヘキサン洗浄した後、ろ別し、これを風乾後、減圧下で乾燥し秤量した結果、固形分の重量は0.45gであり、重合活性は45kg/mol−Ruであった。
得られた重合体を分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量Mw=260,000、Mw/Mn=2.9であり、かつ該重合体は、単峰性の分子量分布を有していた。
【0116】
[実施例2]
重合時間を6時間にしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.80gであり、重合活性は80kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=290,000、Mw/Mn=2.6の単峰性の分子量分布を有していた。
【0117】
[実施例3]
使用した遷移金属化合物が参考例2で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリブロモルテニウム)・CH2Cl2であること以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.97gであり、重合活性は97kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=330,000、Mw/Mn=2.0の単峰性の分子量分布を有していた。
【0118】
[実施例4]
使用した遷移金属化合物が参考例3で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム]であること以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.93gであり、重合活性は93kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=290,000、Mw/Mn=2.4の単峰性の分子量分布を有していた。
【0119】
[実施例5]
使用した遷移金属化合物が参考例5で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム]であること以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.11gであり、重合活性は111kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=300,000、Mw/Mn=4.0の単峰性の分子量分布を有していた。
【0120】
[比較例1]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例1と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.33gであり、重合活性は33kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=6,600、Mw/Mn=1.2の単峰性の分子量分布を有していた。
【0121】
[比較例2]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.60gであり、重合活性は60kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=8,500、Mw/Mn=1.2の単峰性の分子量分布を有していた。
【0122】
[実施例6]
2−臭化酪酸エチルの0.1mmol/L−テトラヒドロフラン溶液1.0mLの投入しない事以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.25gであり、重合活性は125kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=360,000、Mw/Mn=2.9の単峰性の分子量分布を有していた。
【0123】
[比較例3]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例6と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.04gであり、重合活性は4kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=540,000、Mw/Mn=2.9の単峰性の分子量分布を有していた。
【0124】
[実施例7]
重合用溶媒として用いるテトラヒドロフランを17.5mL、モノマーにアクリル酸メチルを4.5mLにしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.85gであり、重合活性は85kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=19,000、Mw/Mn=1.9の単峰性の分子量分布を有していた。
【0125】
[実施例8]
重合用溶媒として用いるテトラヒドロフランを17.5mL、モノマーにアクリル酸メチルを4.5mLにしたこと以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.75gであり、重合活性は175kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=18,000、Mw/Mn=1.9の単峰性の分子量分布を有していた。
【0126】
[実施例9]
重合用溶媒として用いるテトラヒドロフランを17.5mL、モノマーにアクリル酸メチルを4.5mLにしたこと以外は実施例3と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.37gであり、重合活性は137kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=26,000、Mw/Mn=1.4の単峰性の分子量分布を有していた。
【0127】
[実施例10]
重合用溶媒として用いるテトラヒドロフランを17.5mL、モノマーにアクリル酸メチルを4.5mLにしたこと以外は実施例6と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は2.55gであり、重合活性は255kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=29,000、Mw/Mn=1.5の単峰性の分子量分布を有していた。
【0128】
[比較例4]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例3と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.57gであり、重合活性は57kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=18,000、Mw/Mn=1.9の単峰性の分子量分布を有していた。
【0129】
[比較例5]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例4と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.78gであり、重合活性は78kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=16,000、Mw/Mn=2.0の単峰性の分子量分布を有していた。
【0130】
[実施例11]
重合用溶媒として用いるテトラヒドロフランを17.4mL、モノマーにスチレンを5.5mLにしたこと以外は実施例2と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.36gであり、重合活性は36kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=190,000、Mw/Mn=2.5の単峰性の分子量分布を有していた。
【0131】
[比較例6]
使用した遷移金属化合物がクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであること以外は実施例11と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.035gであり、重合活性は3.5kg/mol−Ruであった。
【0132】
[実施例12]
内容積 0.4リットルの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、関東化学社製メタクリル酸メチル18.7mLと、重合用溶媒としての精製テトラヒドロフラン79.2mLとを、それぞれシリンジを用いて仕込み、80℃に加熱した。続いて2−臭化酪酸エチルの0.1mmol/L−テトラヒドロフラン溶液1.0mLを投入し、さらに参考例1で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン](トリクロロルテニウム)・CH2Cl2の5.0mmol/L−テトラヒドロフラン溶液1.0mLを加え、エチレン圧を4.0MPaに調節しながらフィードし、80℃に温度を調節しながら、270分間重合を行った。
その結果,得られた固形物の重量は2.50gであり、重合活性は500kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=92,000、Mw/Mn=1.7の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の1H NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は6.7mol%であった。
【0133】
[実施例13]
使用した遷移金属化合物が参考例4で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリフェニルホスフィン)ルテニウム]であること以外は実施例11と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.50gであり、重合活性は100kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=38,000、Mw/Mn=1.8の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の1H NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は0.1mol%であった。
【0134】
[実施例14]
使用した遷移金属化合物が参考例5で合成したテトラ−μ3−スルフィドトリス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン][ヒドリド(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム]であること以外は実施例11と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.53gであり、重合活性は106kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=59,000、Mw/Mn=1.7の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の1H NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は9.7mol%であった。
【0135】
[比較例7]
使用した遷移金属化合物にクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを10μmolにしたこと以外は実施例11と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は0.27gであり、重合活性は27kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=44,000、Mw/Mn=2.0の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の1H NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は14.4mol%であった。
【0136】
[実施例15]
モノマーにアクリル酸メチルを18.0mLにしたこと以外は実施例11と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は3.24gであり、重合活性は648kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=15,000、Mw/Mn=1.8の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の13C NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は10.2mol%であった。
【0137】
[実施例16]
モノマーにアクリル酸メチルを18.0mLにしたこと以外は実施例13と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.90gであり、重合活性は380kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=20,000、Mw/Mn=1.7の単峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の13C NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は14.4mol%であった。
[比較例8]
使用した遷移金属化合物にクロロ(インデニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを10μmolにしたこと以外は実施例14と同様に実施した。
その結果,得られた固形物の重量は1.40gであり、重合活性は140kg/mol−Ruであった重合体の分析結果は、Mw=350,000、Mw/Mn=14.8の多峰性の分子量分布を有していた。また、この重合体の13C NMR測定の結果、重合体中のエチレン含量は13.6mol%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式[1]で表される遷移金属化合物を含む重合開始剤系。

(ただし、上式[1]において、M1〜M4はそれぞれ独立に元素の周期表第4族〜第11族の遷移金属原子を表し、A1〜A4はそれぞれ独立に元素の周期表第13族〜第16族原子を表し、X1〜X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、2置換アミノ基、アジド基、シアノ基、イソチオシアネート基またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表し、L1〜L4は孤立電子対または多重結合性軌道によってM1〜M4と結合する中性配位子を表す。mおよびnは、m+nが0、1、2、3のいずれかの値となる0〜3の整数の組合わせを表す。)
【請求項2】
式[1]で表される遷移金属化合物および有機ハロゲン化合物を含む重合開始剤系。
【請求項3】
式[1]で表される遷移金属化合物のA1〜A4がいずれも硫黄原子である請求項1または2に記載の重合開始剤系。
【請求項4】
式[1]で表される遷移金属化合物のM1〜M4のうち少なくとも1つの遷移金属原子が、鉄原子、ルテニウム原子、オスミウム原子のいずれかの遷移金属原子である請求項1または2に記載の重合開始剤系。
【請求項5】
式[1]で表される遷移金属化合物のM1〜M3がいずれもモリブデン原子であり、かつ、M4がルテニウム原子である請求項1または2に記載の重合開始剤系。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の重合開始剤系の存在下に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、不飽和ニトリル、不飽和アルデヒド、不飽和ケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマーおよび/または少なくとも1種のオレフィンを重合して得られる重合体の製造方法。
【請求項7】
少なくとも1種の極性モノマーが、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性モノマーである請求項5に記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1種のオレフィンが、少なくとも1種のα−オレフィンである請求項5に記載の重合体の製造方法。
【請求項9】
重合体の製造方法が、多段重合方法である請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−291355(P2007−291355A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74373(P2007−74373)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】