説明

選別及び分級装置

【課題】選別にかかる時間、スペース及び人件費を大幅に削減できるほか、選別精度が高く、均質な分級製品を提供し得る選別装置を提供する。
【解決手段】選別対象物T中の所定形状を有するものを選別する選別装置であって、搬送手段F1〜F4、検査手段I1〜I4及び分離手段D1〜D4を上流側から下流側に向かって上下複数段に備え設けてなるものであり、各々の搬送手段とともに備えられた検査手段に電気的に接続された判定手段Jの判定基準が、上下複数段に設けられた搬送手段の上流側から下流側に向かって、選別対象物を選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定されており、最上流側にある搬送手段の一端側に供給された選別対象物を、各々の搬送手段に備えられた検査手段及び分離手段を通過させる毎に形状選別を繰り返し行うことによって、選別対象物を少なくとも一以上の等級に分級可能なものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された選別対象物を、少なくとも一以上の等級に分級し得る選別及び分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供給された選別対象物を、少なくとも一以上の等級に分級し得る選別及び分級装置の一例として紅茶用形状選別装置を挙げると、紅茶の場合、乾燥後の茶葉を大きさ(グレード)別に分けて最終製品へと仕上げる工程があるが、このとき、紅茶用形状選別装置が必要とされる。図13及び14に示す通り、オーソドックス製法によって製造される紅茶葉は、例えば、その大きさ別に14等級に分級することが求められる。
【0003】
図9〜12は、従来の紅茶用選別装置50における等級選別の一例を示す工程図である。
従来、オーソドックス製法によって製造される紅茶葉を形状選別して各等級に分ける手法としては、次のようなものが採用されてきた。i)まず、生葉を萎凋(いちょう)させ(Withering)、揉捻機で揉捻し(Rolling)、篩で小さい物から順に1st Dhool、2nd Dhool、3rd Dhool、4th Dhool、Big Bulkの5段階に選別、分級する。ii)そして、それぞれを発酵、乾燥後に高圧帯電ドラム、バブルトレーシフタ(Bubble Tray Sifter、丸網平行篩)、ミキシフタ(Michie Shifter、角網平行篩)、廻し篩(Rotary Sifter)等を組み合わせてOPA、OP、OP1、BOP1、BOP、BOPF、PEKOE、FBOP、FBOP1、F-PEKOE、FBOPF1、FBOPF、FBOPF Special、FBOPF Extra Specialの14等級に選別、分級する(Sifting)、というものである。
【0004】
具体的に、図9〜12に示す構成からなる工程図の一例に付き説明すると、最初に、Big Bulkとして供給された選別対象物(紅茶葉)Tを前処理する工程として公知の機械的選別手段からなるシフタS’(Middleton Sifter)が備えられる。シフタS’は、バブルトレー(Bubble Tray、丸網平行篩)B’及びB’が上下2段になっていて、全体が揺動可能になっているものからなっている。一例では、上段側のバブルトレーB’の各口径φ’=3mm、下段側のバブルトレーB’の各口径φ’=5mm程度とされる。
【0005】
図9及び10に示す通り、Big Bulkとして供給された紅茶葉Tは、このシフタS’の上段側のバブルトレーB’による処理に掛けられ、上から下まで4段の篩RA’〜RA’からなる第1のロータリーシフタ(Rotary Sifter、廻し篩)RA’による選別、分級が行なわれる分(UNDER 3mm)と、シフタS’の下段側B’による処理が行なわれる分(OVER 3mm)とに選別、分級される。
【0006】
次に、シフタS’の下段側B’に供給された紅茶葉Tは、ミキシフタM2’(メッシュNo.8。なお、数字は1インチの間に何本の網目が通っているかと言うことを示すものである。例えば、1インチの間に8本の網目が通っている8メッシュであれば、1平方インチ当たり64本の網目が通っていることを意味する。以下同様)による選別、分級が行なわれる分(UNDER 5mm)と、上から下まで複数段のミキシフタ(メッシュNo.8、6及び3)からなるミキシフタM1’による選別、分級が行なわれる分(OVER 5mm)とに選別、分級される。
【0007】
図9及び10に示す通り、ミキシフタM2’(メッシュNo.8)側に供給された紅茶葉Tは、BOP1(UNDER No.8)とPEKOE(OVER No.8)に選別、分級される。
他方、複数段のミキシフタ(メッシュNo.8、6及び3)からなるミキシフタM1’側に供給された紅茶葉T(OVER 5mm)は、OP1(UNDER No.8)、OP(UNDER No.6)そしてOPA(UNDER No.3)と順次、選別、分級される。このミキシフタM1’から最終的に排出された分(OVER No.3)は、Cutterへ投入処理されている。
【0008】
ところで、図9及び11に示す通り、第1のロータリーシフタRA’には、シフタS’の上段側のバブルトレーB’による処理から選別、分級されたもの(UNDER 3mm)が供給されるほか、3rd/4th Dhoolsとして供給された紅茶葉Tを3段式の高圧帯電ドラムからなる静電選別機(3T Electrostatic)ESにより予め異物除去に係る前処理をしたものが供給される。静電選別機ESは、従来知られた茶業機械と同様、供給されてきた茶葉に混じる葉脈などのファイバや糸屑、毛髪などの異物を静電気を帯びたローラに通して吸着分離で除去した後、次の工程へ流して行く装置のことである。
【0009】
この、第1のロータリーシフタRA’に供給された紅茶葉Tは、最終的にBOPとBOPFに選別、分級される。また、第1のロータリーシフタRA’に供給された紅茶葉Tの一部は、さらにミキシフタM2’(メッシュNo.8)に供給され、BOP1(OVER No.12)とPEKOE(UNDER No.12)に選別、分級される。
そのほか、図9及び11に示す通り、第1のロータリーシフタRA’に供給された紅茶葉Tの一部(OVER No.8)は、最上級のBig Bulkに環され、Big Bulkとして上記した工程と同じ過程を辿って選別、分級される。
【0010】
他方、1st/2nd Dhoolsとして小さい方に分級された紅茶葉Tの更なる選別、分級工程については、図9及び12に示す通り、以下の構成からなる選別、分級工程を採用している。
【0011】
すなわち、以下の選別、分級工程においては、上下2段のミキシフタM3’及びM4’(メッシュNo.8及び14)と、上下2段のマルチシフタM5’及びM6’(メッシュNo.8及び10)と、Big Bulkから供給される工程にあるのと同様に上下2段からなるバブルトレーB’及びB’(上記同様、上段側のバブルトレーB’の各口径φ’=3mm、下段側のバブルトレーB’の各口径φ’=5mm程度とされる)と、並びに上から下まで4段の多孔トレー(Perforated Tray)PT’〜PT’及び上下2段の金網(Welded Mesh)WM’及びWM’とからなる第2のロータリーシフタ(廻し篩)RB’と、が適宜組み合わされて選別、分級が行なわれる。
図9及び12から理解される通り、第2のロータリーシフタRB’は、少なくとも1枚の多孔トレー(Perforated Tray)及び/又は少なくとも1枚の溶接金網(Welded Mesh)とが鉛直方向に於いて互いに離間されつつ積層されてなるものである。
【0012】
1st/2nd Dhoolsとして供給された紅茶葉Tは、はじめに、ミキシフタM3’(メッシュNo.8)による処理に掛けられ、続くミキシフタM4’(メッシュNo.14)による選別、分級が行なわれる分(UNDER No.8)と、上下2段のマルチシフタM5’及びM6’(メッシュNo.8及び10)による処理が行なわれる分(OVER No.8)とに選別、分級される。
【0013】
図9及び12に示す通り、ミキシフタM4’(メッシュNo.14)に供給された紅茶葉Tは、FBOPF Special(UNDER No.14)とFBOPF Extra Special(OVER No.14)とに選別、分級される。
他方、ミキシフタM3’(メッシュNo.8)による処理の結果、マルチシフタM5’(メッシュNo.8)に供給された紅茶葉Tは、続くマルチシフタM6’(メッシュNo.10)による選別、分級が行なわれる分(UNDER No.8)と、上下2段のバブルトレーB’及びB’による処理が行なわれる分(OVER No.8)とに選別、分級される。
【0014】
マルチシフタM6’(メッシュNo.10)に供給された紅茶葉Tは、第2のロータリーシフタRB’の最上段の多孔トレーPT’へと供給される分(UNDER No.10)と、それ以外にFBOPとして抽出される分(OVER No.10)とに選別、分級される。
【0015】
図9及び12に示す通り、第2のロータリーシフタRB’の最上段の多孔トレーPT’へと供給された紅茶葉Tは、第2のロータリーシフタRB’において再び選別が繰り返され、FBOPF1(OVER No.8)とFBOPF(OVER No.10、12)、そしてDust1(OVER No.16)、Dust2(OVER No.24)及びDust(OVER No.30)とに順次選別、分級される。残りはSand(UNDER No.30)として排出される。なおここでは微細なDust1、Dust2及びDust、並びにSandについては考慮しない(以下同様)。
【0016】
一方、上下2段のバブルトレーB’及びB’側へと供給された紅茶葉T(OVER No.8)は、その後バブルトレーB’及びB’による処理を経た後、FBOP1(OVER 5mm)とF-PEKOE(UNDER 3mm、5mm)とに選別、分級される。
【0017】
ところで、図9〜12に示す通り、従来の選別手法、特にBig Bulkから付加価値の高いOPA、OP、OP1、BOP1、PEKOE等の大きい形状の葉を選別する工程については、元々機械的な選別であるために選別精度が悪く各工程を繰り返し行う必要があり、その結果、繰り返す過程で茶葉が砕けたり、或いは金属との摩擦により茶葉が灰色に変色するという問題があった。これらの等級については、量的にも全体の50%以上を占めているため、現状、紅茶工場においては大変労力を要する工程となっており、上記諸問題の改善が求められている。
【0018】
また、各工程の機械を工場内で平面的に配置するため、工場内のスペースのほとんどを形状選別の工程に使用せねばならず、スペース効率が悪いと言う問題があったほか、それら多数の形状選別装置から生ずる粉塵も問題であった。
【0019】
さらに、上記の選別手法による場合、各機械に1人のオペレータが必要であるため、多数の人員が必要となり、紅茶製造にかかる人件費の問題のほか、その多くが僻地にある茶工場における労働者不足の問題がある。
【0020】
その他、上記の選別手法では、各工程を繰り返し行って次工程に進むため、生葉から製品になるまでに要する時間が長く、各等級がどの程度の量出荷できるか把握するのに時間が掛かり、茶工場を効率的に経営する上で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2001−299218号公報
【特許文献2】特開2000−189053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって本発明は、選別にかかる時間、スペース及び人件費を大幅に削減できるほか、選別精度が高く、均質な分級製品を提供し得る選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本願発明者は、搬送手段、検査手段及び分離手段を上流側から下流側に向かって上下複数段に備え設けてなる、選別対象物中の所定形状を有するものを選別する選別装置とし、さらに、各々の搬送手段に備えられた検査手段に電気的に接続された判定手段の判定基準を、上下複数段に設けられた搬送手段の上流側から下流側に向かって、選別対象物を選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定し、最上流側にある搬送手段の一端側に供給された選別対象物を、各々の搬送手段に備えられた検査手段及び分離手段を通過させる毎に形状選別を繰り返し行うことによって、選別対象物を少なくとも一以上の等級に分級し得る構成とすることで上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
【0024】
上記課題を解決可能な本発明の選別装置は、(1)選別対象物中の所定形状を有するものを選別する選別装置であって、一端側に供給された前記選別対象物を他端側まで搬送する搬送手段と、前記搬送手段の他端側から飛び出した前記選別対象物の軌道を監視し得る様前記シュートの下端部より所定間隔をあけた位置に備えられ、前記選別対象物の形状を検査する検査手段と、前記検査手段に電気的に接続され、前記検査手段で得られた選別対象物の形状に基づき、その選別対象物が所定形状を有するものであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段に電気的に接続されるとともに前記搬送手段の他端側より所定間隔をあけた位置に備えられ、前記判定手段により所定形状を有すると判定された選別対象物を吹き飛ばし、その吹き飛ばした選別対象物を前記搬送手段からの落下軌跡とは異なる軌跡で落下させる分離手段と、からなり、前記搬送手段を上下複数段に設け、上流側の前記搬送手段の前記他端側からの落下軌跡上にある前記選別対象物が下流側の前記搬送手段の前記一端側に落下する様構成するとともに、各々の前記搬送手段に前記検査手段及び前記分離手段を備えてなることを特徴とするものである。
(2)前記各々の前記搬送手段とともに備えられた前記検査手段及び前記分離手段は、前記判定手段に電気的に接続されてなることが好ましい。
【0025】
上記(2)において、(3)前記各々の前記搬送手段とともに備えられた前記検査手段に電気的に接続された前記判定手段の判定基準は、前記上下複数段に設けられた前記搬送手段の上流側から下流側に向かって、前記選別対象物を選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定されており、最上流側にある前記搬送手段の一端側に供給された前記選別対象物を、前記各々の前記搬送手段に備えられた前記検査手段及び前記分離手段を通過させる毎に形状選別を繰り返し行うことによって、前記選別対象物を少なくとも一以上の等級に分級し得る構成とすることが好ましい。
【0026】
上記(2)又は(3)において、(4)前記判定手段による判定基準は、前記選別対象物の形状の内、前記選別対象物の長さ及び幅であることが好ましい。
【0027】
なお、(5)最上流側にある前記搬送手段の上方に、さらに、前記選別対象物を供給する前工程として機械的選別手段からなる上流側形状選別装置が備えられていてもよい。
【0028】
同様に、(6)最下流側にある前記搬送手段の下方に、さらに、前記選別対象物を供給する後工程として機械的選別手段からなる下流側形状選別装置が備えられていてもよい。
【0029】
好ましくは、(7)前記搬送手段は、その一端側の上面に供給された前記選別対象物を他端側まで搬送すると共に、他端側まで搬送された前記選別対象物を所定方向に飛び出させる高速ベルトコンベア装置からなっている。
このとき、(8)前記高速ベルトコンベア装置の搬送速度は50m/min.から150m/min.の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、(9)前記搬送手段は、水平面に対して所定の傾斜角を付けて設けられ、その上部から下方に向かって滑り落とされる選別対象物を所定方向に飛び出させるシュートからなっていてもよい。
【0031】
上記(9)においては、(10)さらに、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの表面の少なくとも一部を覆うカバーを備え、前記シュートは、複数段のうちの少なくとも1つが前記選別対象物の供給幅に相応する幅を有する平面シュートとして形成されており、前記カバーは、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの少なくとも一部を覆う板状体からなり、前記選別対象物の滑落軌道を規制して前記選別対象物が前記シュートの表面に沿って滑り落ちて行く様構成されたものとしても良い。
【0032】
上記(9)又は(10)においては、(11)水平面に対する前記シュートの傾斜角が60°以上85°以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、選別にかかる時間、スペース及び人件費を大幅に削減できる。また本発明によれば、選別精度が高く、均質な分級製品を提供し得る選別装置を実現することができる。
【0034】
[用語の説明]
本明細書において「多孔トレー(Perforated Tray)」とは、図15Aに示す通り、主として平板状の金属板に適宜穿孔して行くことによって作成した多孔金属平板を篩として利用するものを言う。
図15A並びに各図におけるメッシュNo.の数字は、1インチの間で見たときに例えば何本の網目が通っているかと言うことを示すものである。したがって、図15Aからも明らかな通り、1インチの間に8本の網目が通っている8メッシュの方が、4本しか通っていない4メッシュよりも細かい目の網であることを意味する。その他、1インチの間に8本の網目が通っている4メッシュであれば、1平方インチ当たり64本の網目が通っていることを意味する。
【0035】
本明細書において「溶接金網(Welded Mesh)」とは、図15Bに示す通り、文字通りワイヤーを交叉させ、その交差点を適宜溶接してゆくことによって作成した金網状の篩をいう。
図15B並びに各図におけるメッシュNo.の数字は、図15Aに示す多孔トレーの場合と同様である。
【0036】
なお、本明細書においては、図15A及びBからも理解されるように溶接金網や多孔トレーをはじめとする一般的な篩の場合(バブルトレーを用いるバブルトレーシフタを除く)、各篩のメッシュNo.の数字は、1インチの間に何本の網目が通っているかと言うことを示すものであり、上記メッシュNo.の数字が大きくなればなる程、篩の目が細かくなって行くことを意味している。
紅茶製造の篩分機においても、篩分機にセットされる各篩の網目についてみれば、下の段に行く程、網目は細かくなる。メッシュの番号で言うならば数字が順次大きくなる訳である。
この篩目の大きさの違いによって、乾燥の終わった茶葉は複数のグレードに分級、選別されて行くのである。
【0037】
本明細書において「ロータリーシフタ(Rotary Sifter、廻し篩)」とは、少なくとも1枚の多孔トレー(Perforated Tray)及び/又は少なくとも1枚の溶接金網(Welded Mesh)とが鉛直方向に於いて互いに離間されつつ積層されてなるものをいう。
一般に、ロータリーシフタは篩面の水平円運動(上記した従来例の場合、144rpm程度)による遠心効果と角型の広い網面積により大量処理が可能であると共に、限られたスペースであっても複数グレードへの篩い分けができ、さらに網枠の交換もワンタッチその他比較的容易で済むと言う特長を有する。
ここで、ロータリーシフタにおいては、その段にセットされた篩のメッシュサイズより大きな茶葉が分離抽出される。その一方、当該メッシュサイズより細かな茶葉については、下段側へと篩い落とされて行く。
ところで、ロータリーシフタにおいては、上段から下段側へ向けて、順にメッシュサイズがより細かな篩がセットされるのが通例であり、かかる構成により、上段から下段側にかけて大きい順に、選別対象物を複数のグレードに選別、分級することができるようになっている。
【0038】
本明細書において「ミキシフタ(Michie Sifter、角網平行篩)」とは、例えば茶業用機械としてインターネットサイトhttp://www.jet.com.lk/html/products.htmでも図示されている様に、上記メッシュのついた板(篩)が水平方向に平行に往復スライド運動を繰り返すことによって篩分機として機能し得るものをいう。上記した従来例の場合、ミキシフタの往復振動数は240Hz(1分間当たり240回の往復振動)程度である。
【0039】
本明細書において「マルチシフタ(Multi Sifter)」とは、角網平行篩を往復運動させるミキシフタ同様のメッシュのついた板(篩)を複数段構成してなる篩分機のことをいう。上記した従来例の場合、マルチシフタの往復振動数は170Hz(1分間当たり170回の往復振動)程度である。
【0040】
本明細書において「バブルトレーシフタ(Bubble Tray Sifter、丸網平行篩)」とは、図16A及びBに示す平面及び一部断面(図16Bは図16AのB−B線断面図)形状を有するバブルトレーを用いた篩を言うものとする。図16Aに示す円形を成している各部分が、図16Bに示す半円形に膨出した部分である。そして、これら各膨出部分の頂部が、所定の口径(例えば、φ=3mm、5mm等)をもって開孔されている。バブルトレーシフタにおいては、この開孔の口径が、各篩の目のメッシュサイズ(細かさ)、に相当するパラメータとなる。
またインターネットサイトhttp://www.sundaramengg.com/middleton.htmlでも茶業用機械として例示されている様に、このバブルトレー(或いは多孔トレーをはじめとするメッシュトレー)が単数或いは上下複数段に設けられ、全体が揺動可能になっている篩分機のことを、本明細書において「ミドルトンシフタ(Middleton Sifter)」とも称する。
【0041】
ここで、注意せねばならないのは、溶接金網や多孔トレーをはじめとする一般的な篩の場合、各篩のメッシュNo.の数字が1インチの間に何本の網目が通っているかと言うことを示すものであり、上記メッシュNo.の数字が大きくなればなる程、篩の目が細かくなって行くことを意味している一方、このバブルトレーにおいては、この開孔の口径φが大きくなればなる程、各篩の目のメッシュサイズ(細かさ)が粗くなって行く点である。
したがって、それぞれの篩における選別の状況については、図2〜7及び図9〜12に「OVER**」及び「UNDER**」と付記すると共に、明細書に付帯する説明を十分行うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る工程図(1)である。
【図3】本発明の第1実施例に係る工程図(2)である。
【図4】本発明の第1実施例に係る工程図(3)である。
【図5】本発明の第2実施例に係る工程図(1)である。
【図6】本発明の第2実施例に係る工程図(2)である。
【図7】本発明の第2実施例に係る工程図(3)である。
【図8】本発明の変形例の構成を示す模式図である。
【図9】従来の等級選別の一例を示す工程図である。
【図10】従来の等級選別の一例の様子を詳細に示す図(1)である。
【図11】従来の等級選別の一例の様子を詳細に示す図(2)である。
【図12】従来の等級選別の一例の様子を詳細に示す図(3)である。
【図13】選別対象物の一例及び分級後の選別対象物を示す図である。
【図14】選別対象物の一例に係る種類とグレードの一覧を示す図である。
【図15】各篩の目のメッシュサイズについて解説する参考図である。
【図16】バブルトレーの一構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態に付き説明する。前提として、選別対象物を紅茶葉とし、紅茶葉の選別装置に本発明を適用した場合の例について説明するものとする。
【0044】
[構成及び動作]
図1Aに示す通り、本実施形態に係る選別装置1は、搬送手段F(F〜F)、検査手段I(I〜I)及び分離手段D(D〜D)を上流側から下流側に向かって階段状に上下複数段に備え設けてなるものであり、各々の搬送手段Fとともに備えられた検査手段Iに電気的に接続された判定手段Jの判定基準が、上下複数段に設けられた搬送手段F〜Fの上流側から下流側に向かって、選別対象物Tを選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定されており、最上流側にある搬送手段Fの一端(供給端)側に供給された選別対象物T(紅茶葉)を、各々の搬送手段F〜Fに備えられた検査手段I〜I及び分離手段D〜Dを通過させる毎に形状選別を繰り返し行うことによって、選別対象物Tを少なくとも4つの等級に分級し得るものとなっている。
【0045】
搬送手段Fは、その一端側の上面に供給された選別対象物Tを他端側まで搬送すると共に、他端側まで搬送された選別対象物Tを所定方向に飛び出させる高速ベルトコンベア装置からなっている。
ここで、本実施形態では、上段側の搬送手段Fの他端側から飛び出した選別対象物Tは、分離手段Dが動作しない限りにおいて、その下段に備え設けられた搬送手段Fの一端側の上面に着地する様、構成されている。
なお、高速ベルトコンベア装置の搬送速度は50m/min.から150m/min.の範囲であることが好ましい。
【0046】
本実施形態では、判定手段Jの判断基準を、選別対象物T中の所定形状の内、紅茶葉の長さL及び幅Wとしており、検出された選別対象物Tが閾値を超える長さL及び幅Wを有すると判定された場合に、これを分離手段Dにより抽出する構成としている。
これが、本実施形態に係る選別装置1によって紅茶葉の選別又は分級をなし得る基本動作原理である。
【0047】
ここで、上記の通り判定手段Jの判定基準は、上下複数段に設けられた搬送手段F〜Fの上流側から下流側に向かって、選別対象物Tを選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定されている。本実施形態では概ね、上流側から順に、最上段の検査手段Iで検出される紅茶葉に対する閾値は長さL=35mm以上及び幅W=4.6mm以上、第2段の検査手段Iで検出される紅茶葉に対する閾値は長さL=20.2mm以上及び幅W=3.2mm以上、第3段の検査手段Iで検出される紅茶葉に対する閾値は長さL=10.4mm以上及び幅W=2.8mm以上、そして最下段の検査手段Iで検出される紅茶葉に対する閾値は長さL=8.2mm以上及び幅W=1.4mm以上と、予め規定されている。これらの閾値は、判定手段J内のマイクロコンピュータPの記憶部P2に、予め格納されている。
【0048】
判定手段J自体は、マイクロコンピュータPを中心に、入力部J1及び出力部J2をそれぞれ備えた制御回路からなるものが好ましい。マイクロコンピュータPは演算部P1と記憶部P2とからなっている。検査手段I〜Iの出力は、判定手段Jの入力部J1と電気的に接続される。またマイクロコンピュータPの出力は、判定手段Jの出力部J2を通じて、各分離手段D〜Dに電気的に接続される。マイクロコンピュータPは、記憶部P2に格納された閾値を利用し、検査手段から入力された選別対象物Tの形状が所定の閾値を超える長さL及び幅Wを有する大きさと判定した場合、これを抽出する指令を分離手段Dに対して送出する。分離手段Dは、このマイクロコンピュータPからの指令に応じて動作する。
【0049】
ここで本実施形態では、図1Bに示すように検査手段から入力された選別対象物Tの形状が直線状のものであるほか、湾曲したものであっても、その長さL及び幅Wが同じであればマイクロコンピュータPが同じサイズと判定し得るよう、構成されている。
したがって、本実施形態によれば、選別対象物Tの見た目に関わらず、その長さL及び幅Wが所定の閾値を超える大きさと判定されれば、それが分離手段により確実に抽出されるため、選別精度が高く、均質な分級製品を提供することが可能となっている。
【0050】
残る構成要件に付き、検査手段Iには、ラインCCDカメラ若しくはエリアCCDカメラ、又は幅方向に直線状に配列されたフォトセンサを用い得る。
【0051】
分離手段Dには、例えば圧縮空気噴射装置等を用い得る。分離手段Dが圧縮空気噴射装置の場合、選別対象物Tの落下軌道を勘案して、要すれば適度の遅れ時間をもってターゲットに圧縮空気を噴射して、検出及び判定された所定の閾値を超える長さL及び幅Wを有する形状の選別対象物Tを、それ以外のものより分離抽出する。本実施形態では、ターゲットは圧縮空気を噴射されることによりターゲット以外のものとは別の軌道を辿って落下し、より下段の搬送手段上へと落下しないよう構成されている。
【0052】
ところで、図1に示された最上流側にある搬送手段Fの上方には、さらに、選別対象物Tを供給する前工程として公知の機械的選別手段からなる上流側形状選別装置が備えられていてもよい。
【0053】
同様に、最下流側にある搬送手段Fの下方に、さらに、選別対象物Tを供給する後工程として公知の機械的選別手段からなる下流側形状選別装置が備えられていてもよい。
【0054】
このように、本発明の選別装置1のほか、公知の機械的選別手段を適宜組み合わせることによっても、選別対象物Tを複数の等級により高精度かつ均質に分級選別することができる。
【実施例1】
【0055】
[実施例1A; 3段型(3台導入)の場合]
次に、上記基本構成及び動作からなる本発明を紅茶用形状選別装置に適用した一実施例につき説明する。
【0056】
[構成]
図2は、本発明の実施例1Aに係る概略構成101を示す工程図である。
この図2と、従来の等級選別の一例を示す図9〜12とを対比すれば明らかな通り、本実施例において本発明が適用された部分は、大きい順にOPA、OP、OP1の各等級の紅茶葉を選別、分級する3段階の工程である。図2に示された本発明の選別装置1の最上流側にあるOPAを選別する工程の前段には、さらに、Big Bulkとして供給された選別対象物(紅茶葉)Tを前処理する工程として公知の機械的選別手段からなる上流側形状選別装置S(従来例のシフタS’に相当。以下、基本構成が従来例に係るものと共通する対象については同様の符号の振り方の要領を採るものとする)が備えられる。本実施例では、上流側形状選別装置Sは、バブルトレー(Bubble Tray、丸網平行篩)B及びBが上下2段になっていて、全体が揺動可能になっているものが適用される。本実施例では、上段側のバブルトレーBの各口径φ=3mm、下段側のバブルトレーBの各口径φ=5mmとされる。
【0057】
同様に、図2に示された本発明の選別装置1の最下流側にあるOP1を選別する工程の後段には、上記OPA、OP、OP1の各等級以外の等級に選別、分級する後工程として公知の機械的選別手段からなる下流側形状選別装置RAが備えられる。本実施例では、下流側形状選別装置RAは、上から下まで4段の篩RA〜RAからなっている。
【0058】
図2に示された紅茶用形状選別装置の実施例1Aに係る構成のうち、本発明の選別装置1が適用された工程部分では、図1に示すように、ベルトコンベアFで紅茶葉Tを搬送し、ベルトコンベアFの他端部より所定軌道で放出される紅茶葉Tにつき、検査手段I、判定手段J及び分離手段Dを通じて形状選別を行う。本実施例では、検査手段IにラインCCDカメラ、判定手段JにマイクロコンピュータP、分離手段Dに圧縮空気噴射装置を用いた。
【0059】
それ以外の工程部分については、従来の等級選別の一例を示す図9〜12と同様であり、まず、上下2段のバブルトレーB及びBからなる上流側形状選別装置Sの下段側Bで選別された分(UNDER 5mm)は、ミキシフタM2(メッシュNo.8)に供給され、BOP1(UNDER No.8)とPEKOE(OVER No.8)に選別、分級される。
【0060】
また、上下2段のバブルトレーからなる上流側形状選別装置Sの上段側Bで選別された分(UNDER 3mm)は、上記上から下まで4段の廻し篩RA〜RAからなる下流側形状選別装置RAに供給され、順次選別、分級される。
【0061】
下流側形状選別装置RAにはそのほか、3rd/4th Dhoolsとして供給された紅茶葉Tを3段式の高圧帯電ドラムからなる静電選別機(3T Electrostatic)ESにより予め異物除去に係る前処理をしたものが供給される。従来例同様、本実施例では、静電選別機ESは、従来知られた茶業機械と同様、供給されてきた茶葉に混じる葉脈などのファイバや糸屑、毛髪などの異物を静電気を帯びたローラに通して吸着分離で除去した後、次の工程へ流して行く装置のことを指し示すものとする。
【0062】
図2に示す通り、この、下流側形状選別装置RAに供給された紅茶葉Tは、最終的にBOP(OVER No.12)とBOPF(UNDER No.12)に選別、分級される。また、下流側形状選別装置RAに供給された紅茶葉Tの一部(OVER No.10)は、さらにミキシフタM2(メッシュNo.8)に供給され、BOP1(UNDER No.8)とPEKOE(OVER No.8)に選別、分級される。
そのほか、下流側形状選別装置RAに供給された紅茶葉Tの一部(OVER No.8)は、最上級のBig Bulkに環され、Big Bulkとして上記した工程と同じ過程を辿って選別、分級される。
【0063】
他方、1st/2nd Dhoolsとして小さい方に分級された紅茶葉Tの更なる選別、分級工程については、本実施例では従来の等級選別の一例を示す図9及び12と同様の工程を採用している。
【0064】
すなわち、以下の選別、分級工程においては、上下2段のミキシフタM3及びM4(メッシュNo.8及び14)と、上下2段のマルチシフタM5及びM6(メッシュNo.8及び10)と、上流側形状選別装置Sを構成するのと同様の上下2段のバブルトレーB及びBと、並びに上から下まで4段の多孔トレー(Perforated Tray)PT〜PT及び上下2段の金網(Welded Mesh)WM及びWMとからなるロータリーシフタRB(従来例に係る第2のロータリーシフタRBに相当)と、が適宜組み合わされて順次選別、分級が行なわれる。上流側形状選別装置Sと同様、本実施例では上段側のバブルトレーBの各口径φ=3mm、下段側のバブルトレーBの各口径φ=5mm程度とされる。
【0065】
図2、9及び12に示す通り、1st/2nd Dhoolsとして供給された紅茶葉Tは、はじめに、ミキシフタM3(メッシュNo.8)による処理に掛けられ、続くミキシフタM4(メッシュNo.14)による選別、分級が行なわれる分(UNDER No.8)と、上下2段のマルチシフタM5及びM6(メッシュNo.8及び10)による処理が行なわれる分(OVER No.8)とに選別、分級される。
【0066】
ミキシフタM4(メッシュNo.14)に供給された紅茶葉T(UNDER No.8)は、FBOPF Special(UNDER No.14)とFBOPF Extra Special(OVER No.14)とに選別、分級される。
他方、ミキシフタM3(メッシュNo.8)による処理の結果、マルチシフタM5(メッシュNo.8)に供給された紅茶葉T(OVER No.8)は、続くマルチシフタM6(メッシュNo.10)による選別、分級が行なわれる分(UNDER No.8)と、上下2段のバブルトレーB及びBによる処理が行なわれる分(OVER No.8)とに選別、分級される。
【0067】
図2、9及び12に示す通り、マルチシフタM6(メッシュNo.10)に供給された紅茶葉T(UNDER No.8)は、ロータリーシフタRBの最上段の多孔トレーPTへと供給される分(UNDER No.10)と、それ以外にFBOPとして抽出される分(OVER No.10)とに選別、分級される。
ロータリーシフタRBの最上段の多孔トレーPTへと供給された紅茶葉Tは、ロータリーシフタRBにおいて再び選別が繰り返され、FBOPF1(OVER No.8)とFBOPF(OVER No.10、12)、そしてDust1(OVER No.16)、Dust2(OVER No.24)及びDust(OVER No.30)とに選別、分級される。残りはSand(UNDER No.30)として排出される。なお、本実施例でもDust1、Dust2及びDust、並びにSandについては考慮しない。以下の各例も同様である。
【0068】
一方、上下2段のバブルトレーB及びB側へと供給された紅茶葉T(OVER No.8)は、その後バブルトレーB及びBによる処理を経た後、FBOP1(OVER 5mm)とF-PEKOE(UNDER 3mm、5mm)とに選別、分級される。
【0069】
[各工程の流れについて]
上記構成から理解されるとおり、図2に示された紅茶用形状選別装置の実施例1Aに係る構成101では、図1に示すように本発明の選別装置1が適用された工程部分では、まず、上下2段のバブルトレーB及びBによる処理により乾燥後の原料Tから篩を用いて微細な茶葉、粉塵を除去した後、高速ベルトコンベアFで原料Tを搬送し、CCDカメラIで撮像して紅茶葉Tの長さLと幅Wを判定し、閾値より大きいものを圧縮空気を噴射して除去する。長さLと幅Wの閾値は可変とする。この、除去されたものが上流側から順に、OPA、OP、OP1、BOP1(FBOP1)、FBOP 等の各等級に係る茶葉となる。
【0070】
すなわち、上記工程を実施例に応じ3〜5段階(実施例1Aは3段階、実施例1Bは4段階、そして実施例1Cは5段階)備え、順にOPA、OP、OP1、BOP1(FBOP1)、FBOP等の各等級の茶葉を排出させ得るところが選別装置1の特長である。残ったものが、最初の篩(上下2段のバブルトレーB及びB)で除去されたものと一緒に廻し篩(下流側形状選別装置RA)やミキシフタ(ミキシフタM2)で選別され、それぞれBOP(OVER No.12)、BOPF(UNDER No.12)のほか、BOP1(UNDER No.8)、PEKOE(OVER No.8)として排出、分級される。
【0071】
このように、本実施例によれば、画像処理により正確に長さLと幅Wを測定して選別するため、機械的な選別に比べて精度が高く、選別後の製品の形状がより均一になり、製品の付加価値が向上した。
【0072】
また、ある等級にあるかどうかを選別する際に一度の処理で選別できるため、これまでのように金属との繰り返しの摩擦で製品が破損、変色することが無くなった。
【0073】
さらに、選別にかかる時間、スペース、人件費を大幅に削減することが可能となった。
【0074】
また本実施例によれば、1回の処理で短時間に各等級の製品の量が把握できるため、乾燥後のより新鮮な紅茶を出荷できるだけでなく、売上高の把握、在庫の低減、納期の短縮、受注のし易さ等、茶工場の経営上、大きなメリットが得られる。
【0075】
その他、これまでは選別方法や各等級の定義が各茶工場、仲買人、輸出入業者により異なっていたが、本発明によれば上記の通り形状(例えば長さLと幅W)自体で正確に選別を行うことから、業界間で共通の定義を持つことが可能となる。
【0076】
[実施例1B; 4段型(4台導入)の場合]
また、実施例1Aの構成よりさらに、本発明の選別装置1が担当する処理段階を3段階から1段階増やして4段階とした紅茶用形状選別装置の実施例1Bに係る構成102につき説明する。
【0077】
図3は、本発明の実施例1Bに係る工程図である。
この図3と、実施例1Aに係る工程図101を示す図2とを対比すれば明らかな通り、本実施例と実施例1Aとの相違部分は、本発明の選別装置1が担当する処理段階が3段階から1段階増やして4段階とされている点のみである。これにより、本発明の選別装置1では、4段階の工程を経て、順にOPA、OP、OP1のほか、BOP1(FBOP1)の各等級の紅茶葉Tが選別、分級される。
それ以外の構成及び作用効果については、実施例1Aに係る説明の項で詳述した通りである。
【0078】
[実施例1C; 5段型(5台導入)の場合]
さらに、実施例1Bに係る構成102よりさらに、本発明の選別装置1が担当する処理段階を4段階から1段階増やして5段階とした紅茶用形状選別装置の実施例1Cに係る構成103につき説明する。
【0079】
図4は、本発明の実施例1Cに係る工程図である。
この図4と、実施例1Bに係る工程図102を示す図3とを対比すれば明らかな通り、本実施例と実施例1Bとの相違部分は、本発明の選別装置1が担当する処理段階が4段階から1段階増やして5段階とされている点のみである。これにより、本発明の選別装置1では、5段階の工程を経て、順にOPA、OP、OP1のほか、BOP1(FBOP1)、そしてFBOPの各等級の紅茶葉Tが選別、分級される。
それ以外の構成及び作用効果については、実施例1Aに係る説明の項で詳述した通りである。
【実施例2】
【0080】
[実施例2A; 3段型(3台導入)の場合]
次に、本発明の第2実施例につき説明する。実施例1同様、本実施例も本発明に係る選別装置1を紅茶用形状選別装置に適用した一例に係るものである。
【0081】
図5は、本発明の実施例2Aに係る概略構成111を示す工程図である。
この図5と、実施例1に係る図2〜4とを対比すれば明らかな通り、本実施例は、実施例1と比較して全体の工程数が削減されている点が異なる。
図5に示す通り、本実施例において本発明が適用された部分は、実施例1同様、順にOPA、OP、OP1の各等級の紅茶葉を選別、分級する3段階の工程である。
【0082】
図5に示された本発明の選別装置1の最上流側にあるOPAを選別する工程の前段には、Big Bulk及び1st/2nd Dhoolsとして供給された紅茶葉Tのほか、さらに、3段式の高圧帯電ドラムからなる静電選別機ESにより予め異物除去処理が施された3rd/4th Dhoolsとして供給される紅茶葉Tを前処理する工程として、公知の機械的選別手段からなる上流側形状選別装置S’’が備えられる。
実施例1同様、本実施例では、上流側形状選別装置S’’はバブルトレーB’’及びB’’が上下2段になっていて、全体が揺動可能になっているものが適用される。なお本実施例では、上段側のバブルトレーB’’の各口径φ’’=5mm、下段側のバブルトレーB’’の各口径φ’’=7mmとされる。
【0083】
次に、図5に示された紅茶用形状選別装置の実施例2Aに係る構成111のうち、本発明の選別装置1が適用された工程部分では、実施例1同様、図1に示すように、ベルトコンベアFで紅茶葉Tを搬送し、ベルトコンベアFの他端部より所定軌道で放出される紅茶葉Tにつき、検査手段I、判定手段J及び分離手段Dを通じて形状選別を行う。本実施例では、検査手段IにラインCCDカメラ、判定手段JにマイクロコンピュータP、分離手段Dに圧縮空気噴射装置を用いた。
【0084】
それ以外の工程部分については、図5に示す通り、まず、上流側形状選別装置S’’の下段側B’’でUNDER 7mmとして選別された分は、ミキシフタM7(メッシュNo.8or10)に供給され、FBOP1、FBOPとして排出、分級される分(UNDER No.8or10)と、次段においてさらに選別に供される分(OVER No.8or10)とに選別される。
【0085】
また、上流側形状選別装置S’’の上段側B’’でUNDER 5mmとして選別された分は、上から下まで5段の篩RC〜RCからなるロータリーシフタRCに供給され、順次選別、分級される。
【0086】
図5に示す通り、このロータリーシフタRCの最上段の篩RCへと供給された紅茶葉Tは、ロータリーシフタRCにおいて再び選別が繰り返され、FBOP(OVER No.10)、FBOPF1(OVER No.12)とFBOPF(OVER No.16)、そしてBOP(OVER No.24)及びDust(UNDER No.24)とに最終的に選別、分級される。
そのほか、このロータリーシフタRCに供給された紅茶葉Tの一部(OVER No.8)は、最上級のBig Bulkに環され、Big Bulkとして上記した工程と同じ過程を辿って選別、分級される。
【0087】
他方、選別装置1の下流側のミキシフタM7(メッシュNo.8or10)においてOVER No.8or10として排出された分は、上流側形状選別装置S’’を構成するのと同様の上下2段のバブルトレーB及びBとからなるシフタS’’’の上段側のバブルトレーBに供給される。上流側形状選別装置S’’と同様、本実施例では上段側のバブルトレーBの各口径φ=5mm、下段側のバブルトレーBの各口径φ=7mm程度とされる。
この上段側のバブルトレーBに供給された紅茶葉T(OVER No.8or10)は、下段側のバブルトレーBによる選別、分級が行なわれる分と、さらに別のミキシフタM8(メッシュNo.8or10)による処理が行なわれる分とに選別、分級される。
【0088】
下段側のバブルトレーBに供給された紅茶葉T(OVER 5mm)は最終的に、BOP1(OVER 7mm)とPEKOE(UNDER 7mm。実施例2Cの場合はF-PEKOE)とに選別、分級される。
他方、最下流のミキシフタM8(メッシュNo.8or10)に排出された分(UNDER 5mm)も最終的にFBOP(UNDER No.8or10)とF-PEKOE(OVER No.8or10)とに選別、分級される。
【0089】
[各工程の流れについて]
上記構成から理解されるとおり、図5に示された紅茶用形状選別装置の実施例2Aに係る構成では、図5に示すように本発明の選別装置1が適用された工程部分では、まず、上下2段のバブルトレーB’’及びB’’による処理により乾燥後の原料Tから篩を用いて微細な茶葉、粉塵を除去した後、高速ベルトコンベアFで原料Tを搬送し、CCDカメラIで撮像して紅茶葉Tの長さLと幅Wを判定し、閾値より大きいものを圧縮空気を噴射して除去する。長さLと幅Wの閾値は可変とする。この、除去されたものが上流側から順に、OPA、OP、OP1、BOP1、PEKOE 等の各等級に係る茶葉となる。
【0090】
すなわち、上記工程を実施例に応じ3〜5段階(実施例2Aは3段階、実施例2Bは4段階、そして実施例2Cは5段階)備え、順にOPA、OP、OP1、BOP1、PEKOE等の各等級の茶葉を排出させ得るところが選別装置1の特長である。
残ったものは、上流側形状選別装置S’’の下段側のバブルトレーB’’でUNDER 7mmとして選別された分と一緒に下流側のミキシフタM7(メッシュNo.8or10)において、FBOP1、FBOPとして排出、分級される分(UNDER No.8or10)と、次段においてさらに選別に供される分(OVER No.8or10)とに選別される。
【0091】
選別装置1の下流側のミキシフタM7(メッシュNo.8or10)においてOVER No.8or10)として排出された分に関する以降の選別工程に関しては上記した通りである。
【0092】
このように、本実施例によれば、選別工程をより圧縮することが可能となり、選別にかかる時間、スペース、人件費をさらに削減することができる。
【0093】
[実施例2B; 4段型(4台導入)の場合]
また、実施例2Aの構成よりさらに、本発明の選別装置1が担当する処理段階を3段階から1段階増やして4段階とした紅茶用形状選別装置の実施例2Bに係る構成112につき説明する。
【0094】
図6は、本発明の実施例2Bに係る工程図である。
この図6と、実施例2Aに係る工程図111を示す図5とを対比すれば明らかな通り、本実施例と実施例2Aとの相違部分は、本発明の選別装置1が担当する処理段階が3段階から1段階増やして4段階とされている点のみである。これにより、本発明の選別装置1では、4段階の工程を経て、順にOPA、OP、OP1のほか、BOP1の各等級の紅茶葉Tが選別、分級される。
それ以外の構成及び作用効果については、実施例2Aに係る説明の項で詳述した通りである。
【0095】
[実施例2C; 5段型(5台導入)の場合]
さらに、実施例2Bに係る構成112よりさらに、本発明の選別装置1が担当する処理段階を4段階から1段階増やして5段階とした紅茶用形状選別装置の実施例2Cに係る構成113につき説明する。
【0096】
図7は、本発明の実施例2Cに係る工程図である。
この図7と、実施例2Bに係る工程図112を示す図6とを対比すれば明らかな通り、本実施例と実施例2Bとの相違部分は、本発明の選別装置1が担当する処理段階が4段階から1段階増やして5段階とされている点のみである。これにより、本発明の選別装置1では、5段階の工程を経て、順にOPA、OP、OP1のほか、BOP1、そしてPEKOEの各等級の紅茶葉Tが選別、分級される。
それ以外の構成及び作用効果については、実施例2Aに係る説明の項で詳述した通りである。
【0097】
[変形例]
以上、各実施例に基づき本発明の一実施形態に付き詳細に説明したが、本発明は上記に何等限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0098】
例えば、搬送手段Fに関し、上の例では高速ベルトコンベア装置を用いた構成を説明したが、搬送手段Fはこのほか、シュートを用いた構成としても構わない。
この場合、図8に示すようにシュート11〜13は水平面に対して所定の傾斜角α〜γを付けて設けられ、その上部から下方に向かって滑り落とされる選別対象物を所定方向に飛び出させる構成となっている。なお、図8の構成おいては、各シュート11〜13並びに検査手段Iは、不図示の固定手段により架台3と連結、固定されている。
【0099】
ここで、図8に示すように搬送手段Fにシュート11〜13を使用する場合には、i)シュート11〜13の表面に対して所定間隔をあけて設けられ、シュート11〜13の表面の少なくとも一部を覆うカバー21〜23を備えたり、また、ii)シュート11〜13の複数段のうちの少なくとも1つを、選別対象物の供給幅に相応する幅を有する平面シュートとして形成すればより好ましい。
i)及びii)の場合、カバー21〜23は、シュート11〜13の表面に対して所定間隔をあけて設けられ、シュート11〜13の少なくとも一部を覆う板状体からなり、選別対象物Tの滑落軌道を規制して前記選別対象物Tが前記シュート11〜13の表面に沿って滑り落ちて行く様構成される。このように構成することで、シュート11〜13に流す選別対象物Tが跳ね返り係数の高いようなものであっても、予め定めた滑落軌道に沿った形で選別対象物Tを流すことが可能となり、装置全体として見たときの判定の正確性を保つことができる。なお、各検査手段Iの前に備えられているのは、検査の精度を上げるために設けられた照明手段4である。
【0100】
このとき、水平面に対するシュートの傾斜角α〜γを60°以上85°以下程度という比較的急角度に設定しておけば、軽薄短小な選別対象物Tや静電気を帯びた選別対象物T等、シュート11〜13表面にくっ付き易くスムーズに滑落し難いようなものであっても、ごくスムーズに選別対象物Tを流すことが可能となる。
【0101】
また、搬送手段Fとして上で例示した高速ベルトコンベア装置の搬送速度も、上述した速度範囲に限定されず、本発明に係る選別処理を実現し得る範囲において適宜調整することが可能である。
【0102】
また、上下複数段に設けられた搬送手段F、検査手段I及び分離手段Dの組の数に関しても、実施例として列挙した数に限定されず、選別対象物Tに求められる最終的な分級数や程度に応じて適宜変更することが可能である。
同じ理由で、最上流側にある搬送手段Fの上方或いは最下流側にある搬送手段Fの下方に、さらに、前記選別対象物Tを供給する前工程或いは後工程として、機械的選別手段からなる上流側或いは下流側形状選別装置を別途備え設ける構成としても構わない。或いはその逆で、本発明の選別装置1の構成のみでシステムを完成させても構わない。
【0103】
また、上記各例では判定手段による判定基準を選別対象物の長さL及び幅Wとしたが、判定基準についてはこれに限定されず、選別対象物の形状が特定され得る基準であれば特に限定されない。
【0104】
以上に詳述した通り、本発明は、選別にかかる時間、スペース及び人件費を大幅に削減できるほか、選別精度が高く、均質な分級製品を提供し得る新規かつ有用なるものであることが明らかである。
【符号の説明】
【0105】
1 選別装置
50、101〜103、111〜113 紅茶用形状選別装置
C 演算部
D 分離手段
ES 静電選別機
F 搬送手段
J 判定手段
I 検査手段
P マイクロコンピュータ
P1 演算部
P2 記憶部
T 選別対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別対象物中の所定形状を有するものを選別する選別装置であって、
一端側に供給された前記選別対象物を他端側まで搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の他端側から飛び出した前記選別対象物の軌道を監視し得る様前記シュートの下端部より所定間隔をあけた位置に備えられ、前記選別対象物の形状を検査する検査手段と、
前記検査手段に電気的に接続され、前記検査手段で得られた選別対象物の形状に基づき、その選別対象物が所定形状を有するものであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段に電気的に接続されるとともに前記搬送手段の他端側より所定間隔をあけた位置に備えられ、前記判定手段により所定形状を有すると判定された選別対象物を吹き飛ばし、その吹き飛ばした選別対象物を前記搬送手段からの落下軌跡とは異なる軌跡で落下させる分離手段と、
からなり、
前記搬送手段を上下複数段に設け、上流側の前記搬送手段の前記他端側からの落下軌跡上にある前記選別対象物が下流側の前記搬送手段の前記一端側に落下する様構成するとともに、各々の前記搬送手段に前記検査手段及び前記分離手段を備えてなることを特徴とする選別装置。
【請求項2】
前記各々の前記搬送手段とともに備えられた前記検査手段及び前記分離手段が、前記判定手段に電気的に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記各々の前記搬送手段とともに備えられた前記検査手段に電気的に接続された前記判定手段の判定基準は、前記上下複数段に設けられた前記搬送手段の上流側から下流側に向かって、前記選別対象物を選別する閾値が段階的に小さくなる様に規定されており、
最上流側にある前記搬送手段の一端側に供給された前記選別対象物を、前記各々の前記搬送手段に備えられた前記検査手段及び前記分離手段を通過させる毎に形状選別を繰り返し行うことによって、前記選別対象物を少なくとも一以上の等級に分級し得ることを特徴とする請求項2に記載の選別装置。
【請求項4】
前記判定手段による判定基準が、前記選別対象物の形状の内、前記選別対象物の長さ及び幅からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の選別装置。
【請求項5】
最上流側にある前記搬送手段の上方に、さらに、前記選別対象物を供給する前工程として機械的選別手段からなる上流側形状選別装置が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の選別装置。
【請求項6】
最下流側にある前記搬送手段の下方に、さらに、前記選別対象物を供給する後工程として機械的選別手段からなる下流側形状選別装置が備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の選別装置。
【請求項7】
前記搬送手段が、その一端側の上面に供給された前記選別対象物を他端側まで搬送すると共に、他端側まで搬送された前記選別対象物を所定方向に飛び出させる高速ベルトコンベア装置からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の選別装置。
【請求項8】
前記高速ベルトコンベア装置の搬送速度が50m/min.から150m/min.の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の選別装置。
【請求項9】
前記搬送手段が、水平面に対して所定の傾斜角を付けて設けられ、その上部から下方に向かって滑り落とされる選別対象物を所定方向に飛び出させるシュートからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の選別装置。
【請求項10】
さらに、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの表面の少なくとも一部を覆うカバーを備え、
前記シュートは、複数段のうちの少なくとも1つが前記選別対象物の供給幅に相応する幅を有する平面シュートとして形成されており、
前記カバーは、前記シュートの表面に対して所定間隔をあけて設けられ、前記シュートの少なくとも一部を覆う板状体からなり、前記選別対象物の滑落軌道を規制して前記選別対象物が前記シュートの表面に沿って滑り落ちて行く様構成されたことを特徴とする請求項9に記載の選別装置。
【請求項11】
水平面に対する前記シュートの傾斜角が60°以上85°以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−25208(P2011−25208A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176633(P2009−176633)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(502386651)株式会社服部製作所 (1)
【Fターム(参考)】