説明

選別装置

【課題】選別装置の選別機構周辺における危険区域内で作業する作業員の安全を確保すること。
【解決手段】ワークWが搬入される搬送路11aに対して進退移動可能な押出部材12aを備え、ワークWを検査する検査装置20の検査結果に応じて押出部材12aを進退移動させることにより、ワークWを搬送路11a上を通過又は搬送路11a外に押し出して振り分け選別する選別装置1において、押出部材12aの進退移動による選別動作が行われることを報知する報知部13と、押出部材12aの進退移動による選別動作を開始する所定時間前に報知するように報知部13を制御する制御部17とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側の検査装置によるワークの検査結果若しくはワークの種類に応じて、下流側で分岐する複数の搬送路のうち適切な搬送方向にワークを排出して選別を行う選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等を生産する生産ラインにおいて、検査対象となる搬送物品(以下、「ワーク」という)に対して重量検査や金属混入のチェック等の品質検査が行われ、その検査結果に基づき、正常であればワークをそのまま通過させ、不良品であれば搬送されたワークを所定方向に押し出して搬送方向と異なる方向へ選別する、所謂プッシャ方式により正常物品及び不良物品を振り分ける装置として、例えば下記特許文献1の選別装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−48345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークとして例えば業務用チーズや加工肉等を段ボールに大量に梱包した重々量で大型な製品であった場合、ワークを確実に排出するためにワークに働く摩擦力よりも大きな押力で不良品のワークを押し出す必要がある。従って、このような比較的重々量なワークの選別を行う場合は、押出部材の駆動源として空気や油圧による駆動シリンダが使用されているが、駆動シリンダによる押出部材の進退動作には大きな押力が働くことになる。
【0005】
そのため、不良品の選別動作が実施される場合は、選別動作時における選別機構の駆動に伴い作業者に危険が及ぶ可能性のある区域(以下、「危険区域」という)内で作業する作業者に対し、警告灯の点灯・点滅や装置に備え付けの表示機器への表示通知により選別動作が開始されることを通知している。
しかしながら、これらの通知を確認できない場所や表示機器をみることができない姿勢で作業している作業員は、その通知を確認することができず、作業者の安全が確保できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、押出部材によるワークの選別動作時に周辺にいる作業者が危険に晒されることを低減することができる選別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された選別装置は、ワークWが搬入される搬送路11aに対して進退移動可能な押出部材12aを備え、前記ワークを検査する検査装置20の検査結果に応じて前記押出部材を進退移動させることにより、前記ワークを前記搬送路上を通過又は前記搬送路外に押し出して振り分け選別する選別装置1において、
前記押出部材の進退移動による選別動作が行われることを報知する報知部13と、
前記押出部材の進退移動による選別動作を開始する所定時間前に報知するように前記報知部を制御する制御部17と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された選別装置は、請求項1記載の選別装置において、前記選別動作を実行する運転モードとして通常の選別動作を行う通常選別モードと、作業者の確認により前記選別動作を実行する確認選別モードとを切り替えるモード切替手段14と、
前記作業者の指示により、前記確認選別モードのときに、前記報知部による報知に応答して操作がなされることにより前記押出部材の進退移動による選別動作実施を指示するための選別開始信号を出力する選別動作指示手段15とを備え、
前記制御部17は、前記モード切替手段により前記確認選別モードが選択されると、前記選別動作指示手段が前記選別開始信号を出力した後に前記押出部材の進退移動による選別動作を開始するように制御することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された選別装置は、請求項1又は2記載の選別装置において、前記制御部17は、前記報知部13により報知される報知対象ワークWaに対し、該報知対象ワークの直前に搬送されたワークWの選別動作終了後に報知が開始されるように前記報知部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の選別装置によれば、選別動作を開始する前に押出部材によるワークの選別の実施が報知されるため、選別装置周辺にいる作業者に対し危険回避を促して安全に選別動作を実施することができる。
【0011】
また、確認選別モードが選択されたときに報知部からの報知に応答して選別動作指示手段を操作することで押出部材による選別動作が開始されるため、選別装置の周辺にいる作業者は確実に危険を回避することができる。
【0012】
さらに、報知対象ワークの直前に搬送されたワークの選別動作が終了した後に報知がされるので、どのワークに対する押出部材による選別動作が行われるかを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る選別装置の装置構成を示す概略上面図である。
【図2】同装置のシステムブロック図である。
【図3】(a)、(b) ワークが搬送された際の報知タイミングを示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0015】
なお、本明細書において、「選別位置」は検査装置から搬送される不良品のワークを選別機構で選別動作開始する位置であり、「押出開始位置」は選別機構による不良品のワークの選別動作時に押出部材の移動が開始される位置であるとともにワークが良品の際に選別動作を実行せず押出部材が待機する初期位置であり、「押出終了位置」は選別機構による不良品のワークの選別動作時に移動した押出部材がワークを押し切った位置としてそれぞれ定義する。
【0016】
また、ワークの搬送方向として、「良品搬送方向」とは検査装置により良品と判定されたワークが搬送される方向(本形態では、検査装置からのワークの搬送方向と同方向)であり、「不良品搬送方向」とは検査装置により不良品として判定されたワークが搬送される方向(本形態では、検査装置からのワークの搬送方向と直交する方向)としてそれぞれ定義する。
【0017】
[装置構成]
まず、図1、2を参照しながら、本発明に係る選別装置1の構成について説明する。本例の選別装置1は、重々量なワークWを低ピッチで搬送する生産ラインの一部に組み込まれ、本装置の上流側に配置される検査装置20(例えばX線検査装置、金属検出装置、重量検査装置)で検査されたワークWを判定結果に基づき選別している。
【0018】
また、選別装置1には、ワークWの搬送間隔をある程度持たせるため検査装置20と搬送手段12との間に所定の搬送距離を有し、検査装置20から搬送されるワークWを選別装置1まで搬送する中継コンベア30と、検査装置20において良品と判定されたワークWを良品搬送方向へ搬送する良品搬送手段40と、検査装置20において不良品と判定されたワークWを不良品搬送方向(図1中における搬送路11aの下方側)へ搬送する不良品搬送手段50とがそれぞれ隣接して設けられている。
なお、本形態では、中継コンベア30と良品搬送手段40は周回する環状の搬送ベルトが良品搬送方向と直交する方向に回動自在に軸支される搬送ベルトローラに掛け回されて構成され、不良品搬送手段50は良品搬送方向と平行して回動自在に列設された複数のローラで構成された例である。
【0019】
選別装置1について詳述すると、図1又は図2に示すように、本例の選別装置1は、検査装置20から搬送されるワークWを中継コンベア30を介して搬入して良品搬送方向に沿って良品搬送手段40まで搬送する搬送手段11と、検査装置20からの判定結果に基づき搬送路11a上のワークWを良品搬送方向又は不良品搬送方向の何れかの方向に選別する選別機構12と、選別機構12によるワークWの選別動作が開始されることを通知する報知部13と、選別動作時における適切な運転モードの切り替えを行うモード切替手段14と、所定操作に基づき押出部材12aによる選別動作開始の指示を行う選別動作指示手段15と、選別装置1を駆動するための各種情報を記憶する記憶部16と、選別装置1を構成する各部の駆動制御を行う制御部17とを備えている。
【0020】
なお、検査装置20は、例えばボタン操作やスイッチ操作により検査開始が指示されると、ワークWを順次搬入して所定の検査を実行し、選別装置1に対し、検査終了を起点として予めワーク毎に設定される選別タイミング信号(すなわち、ワークWの搬送速度、ワークWの重量、ワークWの搬送ピッチ、不良品選別動作時間に基づき決定する選別機構12の選別遅れ時間と選別動作時間)を出力するとともに、その後ワークWを順次搬入して所定の検査を実行し、選別装置1に対し検査終了を起点として検査結果を示す良否判定情報を出力する。
【0021】
搬送手段11は、周回する環状の搬送ベルトが良品搬送方向と直交する方向に回動自在に軸支される搬送ベルトローラに掛け回されて構成され、搬送ベルトと搬送ベルトローラとが協働して搬送路11a上のワークWを良品搬送方向に搬送する。搬送手段11は、制御部17からの制御に基づき、中継コンベア30からのワークWを搬入するとともに、良品と判定されたワークWを後段の後処理部(不図示)へと搬送する良品搬送手段40に搬送している。
【0022】
選別機構12は、押出部材12aと、駆動手段12bとで構成され、制御部17の制御に基づき、駆動手段12bの駆動により押出部材12aを搬送路11aと直交する方向に進退移動させ、搬送されたワークWを所定の搬送方向(良品搬送方向又は不良品搬送方向)へ振り分けてワークWの選別を行っている。
【0023】
押出部材12aは、例えばステンレス鋼板の板状部材で構成され、選別動作時に不良品のワークWと当接する当接面の裏面側における中央部分と後述する駆動手段12bの可動部材12cの先端部分とが接合して、前記当接面が搬送路11aに対して垂直となるよう立設されている。
【0024】
また、押出部材12aにおける当接面は、ワークWの大きさや形状に左右されることなく安定して不良品搬送方向へ押し出せる程度の当接面積を有している。よって、本例の押出部材12aでは、図1に示すように重々量で大型なワークWであっても安定して不良品搬送方向へ排出可能とするべく良品搬送方向を長手方向とする長方形状を有しており、鉛直方向上方からみると可動部材12cとの接続形状がT字形状を成している。
なお、押出部材12aは、搬送される不良品であるワークWと当接した際に変形することなく排出可能な剛性を有する材料であれば特に限定はされない。
【0025】
駆動手段12bは、空気圧又は油圧による駆動シリンダ、ステッピングモータ等の駆動装置で構成され、搬送路12aをはさんで不良品搬送手段50と対向する位置に設けられている。また、駆動手段12bは、不良品搬送方向に沿って進退移動して自身の駆動力を伝達して押出部材12aを図1における点線で囲まれた可動範囲内で移動させる可動部材12c(駆動シリンダではロッド、ステッピングモータではモータの回転力を直進方向に変換する動力伝達機構を介して接続される軸)を備えている。
【0026】
駆動手段12bは、制御部17からの排出駆動信号に基づき可動部材12cを不良品搬送方向に沿って進退移動させることで、押出部材14aを押出開始位置と押出終了位置との間で往復運動させ、制御部17からの信号がない状態では可動部材12cは待機位置で待機させている。
【0027】
報知部13は、警告ランプ等の照明機器、スピーカやブザー等の各種音響機器、LCD等の表示機器等で構成され、不良品の選別動作が開始されるときに制御部17からの報知信号に基づき、例えば警告ランプの点灯/点滅、ブザーによる警報音出力やスピーカーによる合成音声の出力、表示機器の表示を行い、選別動作時における選別機構12の可動範囲近辺の危険区域(図1中の一点鎖線の範囲)内で作業する作業員に対して選別機構12による選別動作(以下、「不良品選別動作」ともいう)が実施されることを報知している。
【0028】
モード切替手段14は、選別動作を実行する運転モードを選択切り替えするスイッチ機構で構成され、現在選択されている運転モード(通常選別モード又は確認選別モード)を示すモード選択信号を制御部17に出力している。
【0029】
選別動作指示手段15は、確認選別モード時に選別動作実施の指示を行う際に操作されるスイッチ機構であり、作業者を意図的に危険区域外に移動させた状態で押出部材12aの進退移動による選別動作(不良品選別動作)を開始されるよう危険区域から外れた位置に配置されている。選別動作指示手段15は、確認選別モード時にのみ操作可能とし、作業者に操作されると、この操作に応じた選別開始信号を制御部17に出力している。
【0030】
記憶部16は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、検査開始が指示されて検査装置20から受ける選別タイミング信号(検査装置20から良否判定情報を受けた時点からの選別機構の選別遅れ時間と選別動作時間)を記憶している。
【0031】
制御部17は、例えばCPUやROM、RAMなどのマイクロコンピュータで構成され、選別装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。また、制御部17は、検査装置20からの良否判定情報(良品判定情報、不良品判定情報)、モード切替手段14からのモード選択信号に基づき、現在選択されている運転モードに応じた駆動制御を行っている。さらに、制御部17は、押出部材12aの進退移動による選別動作が行われるとき、すなわち検査装置20の良否判定情報が不良品判定情報(ワークWが不良と判定)であるときは、不良品選別動作が開始されることを事前に周囲の作業員に通知するために、報知部13に報知信号を出力している。
【0032】
ここで、モード選択信号に基づく各運転モードに応じた選別動作の制御内容について説明する。
(通常選別モード)
制御部17は、モード切換手段14からのモード選択信号が通常選別モードを示すとき、検査装置20の良否判定情報が不良品判定情報(ワークWが不良と判定)である場合は、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に従って、良否判定情報を受けてから所定時間経過後にワークWが選別位置まで搬送されるタイミングで選別機構12に排出駆動信号を出力している。
【0033】
(確認選別モード)
制御部17は、モード切換手段14からのモード選択信号が確認選別モードを示すとき、検査装置20の良否判定情報が不良品判定情報(ワークWが不良品判定)である場合は、その不良品判定されたワークWに対する報知が実施(報知部13に報知信号を出力)されてから記憶部16に記憶される選別タイミング信号の選別遅れ時間の間、すなわち、報知されてから選別動作開始までの間に選別動作指示手段15からの選別開始信号が入力されると、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に従って、良否判定情報を受けてから所定時間経過後にワークWが選別位置まで搬送されるタイミングで選別機構12に排出駆動信号を出力する。
【0034】
一方、制御部17は、その不良品判定されたワーク対する報知が実施されてから記憶部16に記憶される選別タイミング信号の選別遅れ時間の間に選別動作指示手段15からの選別開始信号が入力されないときは、不良品のワークWが選別位置に到達するタイミングである選別タイミング信号の選別遅れ時間を経過した時に搬送手段11を停止制御する。その後、選別動作指示手段15からの選別開始信号が入力されると、それをトリガとして選別機構14に排出駆動信号を出力するとともに、搬送手段12の搬送を再開する。
なお、搬送手段11の停止制御のみならず、上段の装置の搬送を停止させるための選別装置停止中を示す情報を上段の装置である中継コンベア30や検査装置20に出力することで、ワークWの搬送経路の詰まりを防止することができる。
【0035】
制御部17は、上述のように報知部13に報知信号を出力している。ここで、報知信号の出力タイミングについて説明すると、図3(a)に示すように、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に基づいて、選別遅れ時間の間で、選別動作開始時点から所定時間遡った時点を報知開始タイミングとし、選別動作が終了するまで報知信号を出力するようにしている。
一方、報知開始タイミングで、報知対象ワークWaの直前に搬送されたワークWの選別動作が終了していない場合には、図3(b)に示すように、報知対象ワークWaの直前に搬送されたワークWの選別動作終了後に報知部13による報知がされるように報知信号を出力する。
なお、報知対象ワークWaの直前のワークWが、良品判定されたワークWである場合には、押出部材12aの進退移動による選別動作は行われないが、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に基づいた選別動作時間経過後に報知信号を出力する。
また、報知対象ワークWaの直前のワークWが、不良品判定されたワークWである場合には、直前のワークWの報知出力から報知対象ワークWaにより時間を延長して報知信号を出力する。
【0036】
[処理動作]
次に、上述した選別装置1の処理動作について説明する。ここでは、本装置を生産ラインにおける検査装置20の後段に配置した時のワークWに対する良否判定後の処理であり、通常選別モード時の処理動作と、確認選別モード時の処理動作についてそれぞれ説明する。
【0037】
(通常選別モード時の処理動作)
通常選別モード時における処理動作としては、まず作業者が選別装置1のモード切替手段14を所定操作して運転モードを通常選別モードに設定する。そして、検査装置20で検査が開始されると、検査装置20から選別装置1に予めワークW毎に設定されている選別タイミング信号を出力し、選別装置1は、その選別タイミング信号を記憶する。そして、検査が開始して検査装置20から検査終了を起点として検査結果を示す良否判定情報を選別装置1に出力する。
【0038】
<良品判定時>
通常選別モード時における良品判定時では、選別装置1は、検査装置1から良品判定情報を受けて、押出部材12aを押出開始位置で待機させて対象となるワークWを良品搬送方向へ搬送するよう制御するため、選別機構12に対して排出駆動信号を出力せず、検査装置20から中継コンベア30を経由して搬入されるワークWを搬送手段11によりそのまま良品搬送方向に搬送して選別動作を終了する。
【0039】
<不良品判定時>
通常選別モード時における不良品判定時では、選別装置1は、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に従って、不良品のワークWが選別位置に到達するタイミング(不良品判定情報を受けてから選別遅れ時間経過後)で選別機構12に排出駆動信号を出力する。そして、選別機構12は、制御部17からの排出駆動信号に基づき、検査装置20から中継コンベア30を経由して搬入されるワークWが選別位置に到達するタイミングで押出部材12aを突出して、ワークWを不良品搬送手段50まで排出して選別動作を終了する。
【0040】
(確認選別モード時の処理動作)
確認選別モード時における処理動作としては、まず作業者が選別装置1のモード切替手段14を所定操作して運転モードを確認選別モードに設定する。そして、検査装置20で検査開始が指示されると、検査装置20から選別装置1に予めワークW毎に設定されている選別タイミング信号を出力し、選別装置1は、その選別タイミング信号を記憶部16に記憶する。そして、検査が開始して検査装置20から検査終了を起点として検査結果を示す良否判定情報を選別装置1に出力する。
【0041】
<良品判定時>
確認選別モード時における良品判定時では、選別装置1は、検査装置20から良品判定情報を受けて、押出部材12aを押出開始位置で待機させて対象となるワークWを良品搬送方向へ搬送するよう制御するため、選別機構12に対して排出駆動信号を出力せず、検査装置20から中継コンベア30を経由して搬入されるワークWを搬送手段11によりそのまま良品搬送方向に搬送して選別動作を終了する。
【0042】
<不良品判定時>
確認選別モード時における不良品判定時では、選別装置1は、モード切換手段14からのモード選択信号が確認選別モードを示すとき、不良品判定情報を入力して不良品判定されたワークWに対する報知が実施されてから記憶部16に記憶される選別タイミング信号の選別遅れ時間の間、すなわち報知されてから選別動作開始までに選別動作指示手段15からの選別開始信号が入力されると、記憶部16に記憶される選別タイミング信号に従って、不良品のワークWが選別位置に到達するタイミング(不良品判定情報を受けてから選別遅れ時間経過後)で選別機構12に排出駆動信号を出力する。そして、選別機構12は、制御部17からの排出駆動信号に基づき、検査装置20から中継コンベア30を経由して搬入されるワークWが選別位置に到達するタイミングで押出部材12aを突出して、ワークWを不良品搬送手段50まで排出して選別動作を終了する。
【0043】
一方、報知されてから選別動作開始までに選別動作指示手段15から選別開始信号が入力されないときは、不良品のワークWが選別位置に到達するタイミング(不良品判定情報を受けてから選別遅れ時間経過後)で搬送手段11を停止制御する。その後、選別動作指示手段15からの選別開始信号が入力されると、それをトリガとして選別機構14に排出駆動信号を出力して押出部材12aを突出させ、ワークWを不良品搬送手段50まで排出するとともに、搬送手段12の搬送を再開させて選別動作を終了する。
【0044】
なお、報知部13による報知のタイミングは、図3(a)に示すように記憶部16に記憶される選別タイミング信号に基づいて、選別遅れ時間の間で、選別動作開始時点から所定時間遡った時点を報知開始タイミングとして選別動作が終了するまで報知が行われる。また、本来の報知開始タイミングであるにも拘わらず報知対象ワークWaの直前に搬送されたワークWの選別動作が終了していない場合には、図3(b)に示すように報知対象ワークWaの直前に搬送されたワークWの選別動作終了後に報知を開始し、報知対象ワークWaの選別動作が終了するまで報知が行われる。
【0045】
以上説明したように、上述した選別装置1は、押出部材12aの進退移動による選別動作を開始する所定時間前に報知するようを報知部13を制御しているため、選別動作を開始する前に押出部材12aによるワークWの選別の実施が報知され、選別装置1周辺にいる作業者に対し危険回避を促して安全に選別動作を実施することができる。
【0046】
また、モード切替手段16で確認選別モードを選択し、報知部13による報知に応答して作業者が選別動作指示手段15を操作することで押出部材12aの進退移動による選別動作実施を指示することができるため、選別装置1の周辺にいる作業者は確実に危険を回避することができる。
【0047】
さらに、報知対象ワークWaの直前に搬送されたワークWの選別動作が終了した後に報知がされるので、どのワークWに対する押出部材12aによる選別動作が行われるかを容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…選別装置
11…搬送手段(11a…搬送路)
12…選別機構(12a…押出部材、12b…駆動手段、12c…可動部材)
13…報知部
14…モード切替手段
15…選別動作指示手段
16…記憶部
17…制御部
20…検査装置
30…中継コンベア
40…良品搬送手段
50…不良品搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(W)が搬入される搬送路(11a)に対して進退移動可能な押出部材(12a)を備え、前記ワークを検査する検査装置(20)の検査結果に応じて前記押出部材を進退移動させることにより、前記ワークを前記搬送路上を通過又は前記搬送路外に押し出して振り分け選別する選別装置1において、
前記押出部材の進退移動による選別動作が行われることを報知する報知部(13)と、
前記押出部材の進退移動による選別動作を開始する所定時間前に報知するように前記報知部を制御する制御部(17)と、
を備えたことを特徴とする選別装置。
【請求項2】
前記選別動作を実行する運転モードとして通常の選別動作を行う通常選別モードと、作業者の確認により前記選別動作を実行する確認選別モードとを切り替えるモード切替手段(14)と、
前記作業者の指示により、前記確認選別モードのときに、前記報知部による報知に応答して操作がなされることにより前記押出部材の進退移動による選別動作実施を指示するための選別開始信号を出力する選別動作指示手段(15)とを備え、
前記制御部(17)は、前記モード切替手段により前記確認選別モードが選択されると、前記選別動作指示手段が前記選別開始信号を出力した後に前記押出部材の進退移動による選別動作を開始するように制御することを特徴とする請求項1記載の選別装置。
【請求項3】
前記制御部(17)は、前記報知部(13)により報知される報知対象ワーク(Wa)に対し、該報知対象ワークの直前に搬送されたワーク(W)の選別動作終了後に報知が開始されるように前記報知部を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−206816(P2012−206816A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72676(P2011−72676)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】