選別装置
【課題】複数種類のプラスチック小片の混合物から回収精度よく特定材質のプラスチック小片を選別する。
【解決手段】複数のプラスチック製の小片102を連続的に供給する供給装置111と、小片102を一方向に搬送する搬送装置101と、小片102のプラスチック材質を識別する識別装置105と、識別装置105の識別結果に基づき複数の小片102の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニット106とを備える選別装置100であって、識別装置105よりも上流、かつ、搬送装置101の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板110を備え、分離板110の配置ピッチPが小片102の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定される。
【解決手段】複数のプラスチック製の小片102を連続的に供給する供給装置111と、小片102を一方向に搬送する搬送装置101と、小片102のプラスチック材質を識別する識別装置105と、識別装置105の識別結果に基づき複数の小片102の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニット106とを備える選別装置100であって、識別装置105よりも上流、かつ、搬送装置101の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板110を備え、分離板110の配置ピッチPが小片102の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄家電製品等から再資源化のための破砕された複数種類のプラスチック片混合物から、プラスチックの種類毎に選別する特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動によって、現在、地球温暖化や資源の枯渇など地球規模での環境問題が発生している。このような状況の中、資源循環型社会の構築に向けて、日本国内では平成13年4月から家電リサイクル法が完全施行され、使用済みになったエアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機のリサイクルが義務付けられている。これにより、不要になった家電製品は、家電リサイクル工場で、破砕後に磁気、風力、振動等を利用して材料ごとに分別回収し、再資源化されている。
【0003】
その中でも金属材料は、比重選別装置や磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、アルミニウムなど材料ごとに高純度で回収され、高い再資源化率が実現されている。
【0004】
一方、再資源化されるプラスチック材料は、ポリプロピレン(以下、PPと表記)、ポリスチレン(以下、PSと表記)、アクリロニトリル ブタジエン スチレン(以下、ABSと表記)などが主として例示される。これらは、家電製品を一括破砕する際に混在した状態のシュレッダー品として発生する。マテリアルリサイクルを行う場合は、プラスチック種ごとに選別する必要があり、このシュレッダー品からプラスチック種毎に選別できないことが大きな問題点となっている。つまり、プラスチック材料を再資源化するためには、シュレッダー品からプラスチックの種類毎に高純度に選別することが非常に重要である。選別されたプラスチック材料の純度が低い場合はリサイクルコストがあわないだけでなく、混合材料としてグレードの低い製品に使用されるためにカスケード利用しか出来なくなる。
【0005】
そこで従来、比重選別で選別できないプラスチック材料の選別を可能とするため、シュレッダー品から個々のプラスチックの材質を材質識別装置により検出し選別する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
図6aは、特許文献1に記載された従来の選別装置を示す図である。
【0007】
従来の選別装置は、ベルトコンベア101上を流れる複数種類のプラスチックの小片102が混在したシュレッダー品に対し、近赤外線を小片102に照射する光源103と、小片102からの透過光又は反射光を検知する受光素子104と、シュレッダー品に含まれる小片102による特定波長の吸光度により材質を識別する識別装置105と、小片毎に吹き飛ばすか否かを変更できるパルスエアノズルを有する分別ユニット106とを備えている。この識別装置105は、シュレッダー品に含まれるプラスチックの小片102毎の材質を判別し、所望プラスチック材質の小片102のみを分別ユニット106で吹き飛ばすことで、所望プラスチックのみを選別することが可能となる。
【0008】
前記記載のプラスチックの材質の判別および吹き飛ばしの動作は斜めシュート108の直後で実施される。これはシュレッダー品に含まれる小片102の粒度が小さく、その粒度に対応した搬送経路を確保するためにコンベア上に一定間隔で溝が備えられた仕切りレール109で仕切り、個々の小片を溝に沿わせて順次滑落させ、溝の端部で小片を吹き飛ばすという装置構成をとっているためである。
【0009】
図6bは、図6aに記載の装置を上側から見た図である。搬送方向と直交する方向に多数の仕切りレール109が併設されている構成をとる。これにより粒度が統一された小片を投入した場合、識別装置105や分別ユニット106に対応した所望位置に、小片が規則正しく通過し、効果的に所望材質のプラスチックの小片のみを分別回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−279553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが従来の分別装置においては、コンベアベルトなどの搬送装置101から斜めシュート108までの工程においての搬送時に小片同士の重なりや近接が起こるため、所望の材質のプラスチックからなる小片のみを高純度かつ高回収率で確保することができない。つまり、小片同士の重なりが多い場合、プラスチック材質の誤った判定や、分別ユニット106にて所望材質の小片以外の混入が多くあるために高精度に選別することができないためである。従って、マテリアルリサイクルに必要な同一プラスチック材質の小片のみの集合体が確保できないことや生産性が悪いという問題点がある。
【0012】
また識別装置105を仕切りレール109で区画された複数の溝に対応した装置構成をとる必要があるために、各溝に対応してポイントセンサを配置しなければならない。つまり、仕切りレール109の反射があるためにポリゴンスキャナーやガルバノミラーなどを利用し仕切りレール109を跨いで光を走査させ、識別を行うような光学センサは使用できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる選別装置は、複数のプラスチック製の小片を連続的に供給する供給装置と、供給される前記小片を一方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置上の小片のプラスチック材質を識別する識別装置と、前記識別装置の識別結果に基づき複数の前記小片の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニットとを備える選別装置であって、前記搬送装置の搬送方向において前記識別装置よりも上流、かつ、前記搬送装置の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板を備え、前記分離板の配置ピッチが前記小片の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定されることを特徴とする。
【0014】
これによれば、仕切りレールなどに影響されることなく均一に整列した小片を識別することが可能となり、選別精度の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明を用いることによって、複数種類のプラスチック材質からなる小片の混合物、特に廃棄家電製品から再資源化のための破砕された複数種類の小片の混合物から高純度に所望プラスチック材質からなる小片の選別・回収をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に関わる特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置の構成図である。
【図2】図2は、本発明実施の形態1に関わる特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置の構成の拡大図である。
【図3a】図3aは、本発明に関わる分離板効果の模式図である。
【図3b】図3bは、本発明に関わる分離板効果の模式図である。
【図4】図4は、分離板のピッチと回収率との関係を示す特性図である。
【図5】図5は、分離板の厚みと回収率との関係を示す特性図である。
【図6a】図6aは、従来の分別方法の概略図である。
【図6b】図6bは、従来の分別方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における選別装置の構成を示す斜視図である。
【0019】
同図に示すように、選別装置100は、供給装置111と、分離板110と、ベルトコンベアなどの搬送装置101とを備えている。さらに、選別装置100は、搬送装置101の搬送方向(図中X軸方向)の下流部に光源103と、受光素子104とを備える、プラスチック材質を識別する識別装置105を備えている。また選別装置100は、搬送方向の下流側前方に、パルス的にエアを吐出する複数のパルスエアノズルを搬送装置101の幅方向(図中Y軸方向)に広がって備える分別ユニット106と、仕切り板107とを備えている。なお、分別ユニット106と識別装置105とは、シーケンサなどにより同期される制御が行われる。
【0020】
図2は、分離板付近の配置状態を、供給装置を上方に分離した状態で示した斜視図である。
【0021】
分離板110は、破砕された結果物でありそれぞれが異なる種類のプラスチック材質で構成される小片102が重なっている場合に個々の小片102を分離させる重なり防止用の板部材であり、供給装置111と搬送装置101との間に配置されている。また分離板110は、長尺薄板状の部材であり、分離板110の長手方向は搬送装置101の搬送方向(図中X軸方向)に沿って延び、分離板110の幅は、搬送装置101の搬送面に対し垂直(Z軸方向)または交差状態で配置されている。分離板110は、搬送装置101の搬送方向(X軸方向)と垂直な方向(Y軸方向)に平行に所定の間隔で複数枚配置されている(本実施の形態の場合10枚)。分離板110同士は、搬送装置101の搬送方向(X軸方向)と垂直(Y軸方向)に延在する板状の固定手段112を用いて間隔を維持するように連結されている。固定手段112は、小片102が触れて滞留しないように、供給装置111の供給側(搬送方向下流側)の末端よりも搬送方向(X軸方向)に対して上流側に配置されている。
【0022】
固定手段112で連結固定される分離板110は、固定手段112を介して搬送装置101の基礎体である外枠に固定されている。従って分離板110は、搬送装置101の搬送動作、例えばベルトコンベアのベルトの動きと連動することなく固定状態で配置される。つまり、搬送装置101が備えるベルトなどの搬送用部材とは接着せずに搬送装置101とは互いに独立したユニットとなっている。
【0023】
分離板110は、搬送装置101の幅方向(Y軸方向)に並んで配置されている複数のパルスエアノズル161の間に対応する位置に1枚配置されている。つまり、パルスエアノズル161の配置ピッチPと、分離板110の配置ピッチPは一致している。また、分離板110の配置ピッチPが小片102の粒度より大きいため、分離板110の高さHは選別装置100の選別性能に大きな影響を与えない。以上から、例えば分離板110の配置ピッチPは10mmとし、高さを10mmとしてもかまわない。
【0024】
ここで、小片102の粒度とは、小片102がぎりぎり通過することのできる円の直径である。
【0025】
次に選別装置100の一連の動作について説明する。
【0026】
搬送装置101の上流側に置かれた供給装置111が振動や揺動することによって、供給装置111上に積載された複数の小片102が搬送装置101上にある分離板110へ順次投入される。搬送装置101の進行方向において、供給装置111が小片102を分離板110に投入する速度(単位時間に供給される小片102の重量または個数)よりも搬送装置101の搬送速度の方が圧倒的に速いため、小片102同士の重なりが解消される。
【0027】
本実施の形態の場合、搬送装置101の搬送速度は、供給される小片102の量(個数)によって1m/s〜3m/sの間から選定することができる。なお、搬送装置101の搬送状態以上に搬送装置101上で小片102が動いてしまうと、受光素子104により検出した位置から分別ユニット106に至るまでの間で小片102が動き、所望の小片102を吹き飛ばすことができなくなるため、搬送装置101の搬送速度は、風や振動による影響で小片102が動かないような速度に設定する必要がある。
【0028】
本実施の形態では、分離板110にて複数の小片102が搬送装置101の幅方向に分散されるため、特に幅方向の小片102同士の重なりを抑制する効果がある。その後、複数の小片102は、順次搬送装置101上を搬送される。受光素子104にて検出される付近に到達した小片102は、光源103によって照明され、それによりプラスチック材料個別の特徴量となる近赤外光を発生させる。具体的には小片102を構成するプラスチック材質は材質によって異なる近赤外線帯域での吸光分布を有しており、異なるプラスチック材質からなる小片102は、近赤外光領域において異なるスペクトル分布の反射光(透過光)を発生させる。ここで光源103は、1.3μm〜2.5μm程度のブロードな波長帯域の光を発生させるものが好ましい。具体的には、ハロゲンランプが好適に使用可能である。また、光源103は、波長帯の広いレーザも使用可能である。反射または透過により特有のスペクトルを有した光は受光素子104を用いて検出され、検出結果である光のスペクトルはデジタルデータに変換される。そして識別装置105にて基準スペクトルと比較して個々の小片102を構成するプラスチック材質の識別がなされる。識別結果に応じて前方にある分別ユニット106のパルスエアノズル161を用いて所望のプラスチック材質の小片102のみを仕切り板107より遠い回収ゾーン200(図1参照)へ吹き飛ばすことで選別する。
【0029】
ここで純度および回収率を以下のように定義する。
【0030】
供給装置111から投入される複数の小片102に含まれる所望プラスチック材質の小片102の総質量をA、選別装置100にて選別される所望プラスチック材質の小片102の総質量をB、選別装置100で誤判定した場合やもしくは分別ユニット106にてパルスエアの位置制御が乱れて所望プラスチック以外のプラスチックを回収ゾーン200(図1参照)に混入する所望プラスチック材質以外の小片102の総質量をCとしたときに、純度および回収率を次のように表す。
【0031】
純度(%)=B/(B+C)×100
回収率(%)=B/A×100
【0032】
冷蔵庫製品を破砕した際に発生するシュレッダーダストの全質量の20%を占める8〜10mmの粒度の複数の小片102を用いて選別試験を実施した。なお、それ以外の粒度の小片102は、事前にふるいや集塵などにより除去し、選別試験に供する小片102の粒度を揃えた状態とした。
【0033】
前述したようにマテリアルリサイクルするためには十分な高純度化が必要であるため、事前に上記記載の純度測定方法で意図的に純度の異なる複数のサンプルを作製して物性テストを行った。耐衝撃性などの観点から、家電プラスチックとしてマテリアルリサイクルするためには純度99%以上が必要であることがわかった。そこで以降は純度を99%以上にした条件で試験を実施しつつ、その範囲内でいかに回収率を向上できるかという点について検討した結果を示す。
【0034】
図3aは、分離板効果を表した模式図である。図3bは、分離板効果を表した模式図である。
【0035】
高速度カメラにて搬送装置101上での複数種類の小片102の様子を確認したところ、分離板110を設置することで図3a、図3bの2つの物理現象による小片102の重なりが改善される効果を確認した。
【0036】
図3aに示すように、2つの小片102を小片102a、小片102bとした場合、小片102aと小片102bとは供給装置111(図3a、図3bでは図示略)上で接触した状態で搬送されている場合がある。
【0037】
仮に分離板110がない場合は、小片102aと小片102bとは接触しているため識別装置105にて誤判定される場合が多く、また、分別ユニット106にて小片102aと小片102bとが同時に吹き飛ばされてしまい、所望以外のプラスチック材質の小片102が回収ゾーン200に到達する可能性がある。
【0038】
一方、本実施の形態のように分離板110を設置すると、接触している一方の小片102bのみが分離板110に接触することで小片102aと小片102bとが幅方向に分離される。つまり、小片102bは、分離板110と接触することにより搬送装置101の幅方向において左右(図3(a)では右側へ変化)の位置が変わる。一方、小片102aは分離板110との接触がないため幅方向の位置は変化しない。搬送装置101の搬送速度は供給装置111の供給速度より速度が速いため、先に供給される小片102の上に次に供給される小片102は重ならない。したがって先に供給される小片102に対して次に供給される小片102が時間遅れになることで両者は接触や重なることはない。結果的に、小片102は搬送装置101上を重なることなく、また、接触することなく搬送されるため、誤って判定・選別される確率が減少し選別精度が向上する。
【0039】
次に図3(b)に示すように、小片102aと小片102bと重なり合った状態で供給された場合、両者はともに分離板110と接触する。分離板110との接触により、小片102aは左側へ、小片102bは右側に位置が変わる。その結果、両者は分離された状態となる。また小片102aと小片102bとが接触により同じ側へ位置が変わる場合でも、両者が搬送装置101に到達するまでの時間に相違が発生するため、先に搬送装置101に到達した小片102が先に搬送されるため小片102の重なりが解消する。結果的に所望プラスチック材質の小片102の選別に関して、誤って判定・選別する確率が減るために選別精度が向上する。
【0040】
なお図2にて望ましい場合は、分離板110と分離板110の中間点から搬送装置101と平行して描かれる直線が、前方に配置された分別ユニット106のパルスエアノズルの中央と位置する配置関係になる場合である。これにより、分離板110で整流されて搬送される小片102に対して分別ユニット106は好適な位置にパルスエアを吐出することができ所望プラスチック材質の小片102を回収ゾーン200に吹き飛ばすことができる。
【0041】
以下、実験で使用した条件について説明する。
【0042】
識別装置105において設定する判別条件が純度および回収率に大きく寄与する。その際、目的に応じて純度重視か回収率重視かを選択する場合が多い。マテリアルリサイクルをするためには一定以上の不純物が混入すると使用できないために純度重視で行うことが多い。その際は異物の混入を極限まで少なくする必要がある。そのため、搬送装置101上で小片102が重ならないことはもちろんのこと、重なった小片102がある場合には、これを判別し回収ゾーン200に吹き飛ばすことを無効にする判別アルゴリズムを用いて実験を行った。
【0043】
具体的には、所望プラスチック材質の小片102の周辺上に所望プラスチック材質以外の小片102が存在すると判定された場合に、所望プラスチック材質以外の小片102がパルスエアによって所望プラスチック材質の小片102といっしょに吹き飛ばされて回収ゾーン200に混入する確率が高くなるため、所望プラスチック材質の小片102および所望プラスチック材質以外の小片102を吹き飛ばさない設定にすることで異物混入確率を減らしている。さらに具体的には、所望プラスチック材質以外の小片102が搬送装置101上にあればその当該小片102を中心とした半径D以内はいかなる小片102があった場合でもパルスエアにより吹き飛ばさないという「吐出禁止」の状態にする。また、「吐出禁止」にする領域の条件(半径D)は「吐出禁止の条件」と定義する。本実施の形態の場合、吐出禁止の条件(半径D)は、小片102の粒度と同じが好ましい。本実施の形態の場合小片102の粒度が10mmなので吐出禁止の条件(半径D)も10mmで実施した。また供給装置111から300kg/hの速度で供給を行い、小片102の粒度は10mm、搬送装置101の有効幅は0.7m、搬送速度は2m/s、分別ユニット106のパルスエアの吐出圧力は0.5MPa、分別ユニット106のノズル径は2mm、ノズル配置のピッチは10mmで試験を行った。
【0044】
以降、分離板110のピッチ、厚みの影響について述べる。
【0045】
(分離板のピッチの影響)
分離板110のピッチの影響を調べるために、ピッチを変えた結果を図4に示す。
【0046】
分離板110のピッチが15mmから20mmの範囲で、前述した小片102の重なり改善効果が高まり回収率が向上した。また分離板110のピッチが10mmから30mmの範囲で、分離板110がない場合と比較して回収率が改善すること確認できた。またピッチが10mmより小さい場合、小片102の粒度よりピッチ10mmが小さくなるために詰まりが発生して回収率が大きく低下した。
【0047】
(分離板の厚みの影響)
分離板110の厚みTの影響を調べるために、分離板110の厚みT(図2で定義)を変えた結果を図5に示す。分離板のピッチは15mm、吐出禁止の条件は10mmで実施した。
【0048】
グラフより、分離板110の厚みTの範囲は0.3mmから4mmが好ましいことを見出した。0.3mm未満は加工が困難で耐久性に難があると思われる。また4mmを超えると供給装置111から供給される小片102が分離板110の上に載る現象がおこり、選別精度が悪化する。
【0049】
また、本実施の形態の場合、識別装置105で小片102のプラスチック材質の判定を行うエリアには分離板110が存在していないため、分離板110の反射などが判定に影響を与えない。従って本実施の形態では、ポリゴンスキャナーやガルバノミラーを利用した近赤外線判別の識別装置が用いられている。
【0050】
なお、複数の小片102の分離板110への供給方法に関して、分離板110の上側から落下させるように小片102を供給する場合ばかりでなく、搬送装置101の中間部分に分離板110を配置して、分離板110よりも上流の搬送装置101に小片102を供給してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、プラスチックからなる小片であって複数種類のプラスチック材質の小片の混合物、特に廃棄家電製品から再資源化のために破砕された小片の混合物からのプラスチックの種類の判別し、精度よく選別することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
101 搬送装置
102 小片
103 光源
104 受光素子
105 識別装置
106 分別ユニット
107 仕切り板
108 斜めシュート
109 仕切りレール
110 分離板
111 供給装置
112 固定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄家電製品等から再資源化のための破砕された複数種類のプラスチック片混合物から、プラスチックの種類毎に選別する特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動によって、現在、地球温暖化や資源の枯渇など地球規模での環境問題が発生している。このような状況の中、資源循環型社会の構築に向けて、日本国内では平成13年4月から家電リサイクル法が完全施行され、使用済みになったエアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機のリサイクルが義務付けられている。これにより、不要になった家電製品は、家電リサイクル工場で、破砕後に磁気、風力、振動等を利用して材料ごとに分別回収し、再資源化されている。
【0003】
その中でも金属材料は、比重選別装置や磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、アルミニウムなど材料ごとに高純度で回収され、高い再資源化率が実現されている。
【0004】
一方、再資源化されるプラスチック材料は、ポリプロピレン(以下、PPと表記)、ポリスチレン(以下、PSと表記)、アクリロニトリル ブタジエン スチレン(以下、ABSと表記)などが主として例示される。これらは、家電製品を一括破砕する際に混在した状態のシュレッダー品として発生する。マテリアルリサイクルを行う場合は、プラスチック種ごとに選別する必要があり、このシュレッダー品からプラスチック種毎に選別できないことが大きな問題点となっている。つまり、プラスチック材料を再資源化するためには、シュレッダー品からプラスチックの種類毎に高純度に選別することが非常に重要である。選別されたプラスチック材料の純度が低い場合はリサイクルコストがあわないだけでなく、混合材料としてグレードの低い製品に使用されるためにカスケード利用しか出来なくなる。
【0005】
そこで従来、比重選別で選別できないプラスチック材料の選別を可能とするため、シュレッダー品から個々のプラスチックの材質を材質識別装置により検出し選別する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
図6aは、特許文献1に記載された従来の選別装置を示す図である。
【0007】
従来の選別装置は、ベルトコンベア101上を流れる複数種類のプラスチックの小片102が混在したシュレッダー品に対し、近赤外線を小片102に照射する光源103と、小片102からの透過光又は反射光を検知する受光素子104と、シュレッダー品に含まれる小片102による特定波長の吸光度により材質を識別する識別装置105と、小片毎に吹き飛ばすか否かを変更できるパルスエアノズルを有する分別ユニット106とを備えている。この識別装置105は、シュレッダー品に含まれるプラスチックの小片102毎の材質を判別し、所望プラスチック材質の小片102のみを分別ユニット106で吹き飛ばすことで、所望プラスチックのみを選別することが可能となる。
【0008】
前記記載のプラスチックの材質の判別および吹き飛ばしの動作は斜めシュート108の直後で実施される。これはシュレッダー品に含まれる小片102の粒度が小さく、その粒度に対応した搬送経路を確保するためにコンベア上に一定間隔で溝が備えられた仕切りレール109で仕切り、個々の小片を溝に沿わせて順次滑落させ、溝の端部で小片を吹き飛ばすという装置構成をとっているためである。
【0009】
図6bは、図6aに記載の装置を上側から見た図である。搬送方向と直交する方向に多数の仕切りレール109が併設されている構成をとる。これにより粒度が統一された小片を投入した場合、識別装置105や分別ユニット106に対応した所望位置に、小片が規則正しく通過し、効果的に所望材質のプラスチックの小片のみを分別回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−279553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが従来の分別装置においては、コンベアベルトなどの搬送装置101から斜めシュート108までの工程においての搬送時に小片同士の重なりや近接が起こるため、所望の材質のプラスチックからなる小片のみを高純度かつ高回収率で確保することができない。つまり、小片同士の重なりが多い場合、プラスチック材質の誤った判定や、分別ユニット106にて所望材質の小片以外の混入が多くあるために高精度に選別することができないためである。従って、マテリアルリサイクルに必要な同一プラスチック材質の小片のみの集合体が確保できないことや生産性が悪いという問題点がある。
【0012】
また識別装置105を仕切りレール109で区画された複数の溝に対応した装置構成をとる必要があるために、各溝に対応してポイントセンサを配置しなければならない。つまり、仕切りレール109の反射があるためにポリゴンスキャナーやガルバノミラーなどを利用し仕切りレール109を跨いで光を走査させ、識別を行うような光学センサは使用できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる選別装置は、複数のプラスチック製の小片を連続的に供給する供給装置と、供給される前記小片を一方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置上の小片のプラスチック材質を識別する識別装置と、前記識別装置の識別結果に基づき複数の前記小片の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニットとを備える選別装置であって、前記搬送装置の搬送方向において前記識別装置よりも上流、かつ、前記搬送装置の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板を備え、前記分離板の配置ピッチが前記小片の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定されることを特徴とする。
【0014】
これによれば、仕切りレールなどに影響されることなく均一に整列した小片を識別することが可能となり、選別精度の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明を用いることによって、複数種類のプラスチック材質からなる小片の混合物、特に廃棄家電製品から再資源化のための破砕された複数種類の小片の混合物から高純度に所望プラスチック材質からなる小片の選別・回収をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に関わる特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置の構成図である。
【図2】図2は、本発明実施の形態1に関わる特定のプラスチック材質の小片を選別する選別装置の構成の拡大図である。
【図3a】図3aは、本発明に関わる分離板効果の模式図である。
【図3b】図3bは、本発明に関わる分離板効果の模式図である。
【図4】図4は、分離板のピッチと回収率との関係を示す特性図である。
【図5】図5は、分離板の厚みと回収率との関係を示す特性図である。
【図6a】図6aは、従来の分別方法の概略図である。
【図6b】図6bは、従来の分別方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における選別装置の構成を示す斜視図である。
【0019】
同図に示すように、選別装置100は、供給装置111と、分離板110と、ベルトコンベアなどの搬送装置101とを備えている。さらに、選別装置100は、搬送装置101の搬送方向(図中X軸方向)の下流部に光源103と、受光素子104とを備える、プラスチック材質を識別する識別装置105を備えている。また選別装置100は、搬送方向の下流側前方に、パルス的にエアを吐出する複数のパルスエアノズルを搬送装置101の幅方向(図中Y軸方向)に広がって備える分別ユニット106と、仕切り板107とを備えている。なお、分別ユニット106と識別装置105とは、シーケンサなどにより同期される制御が行われる。
【0020】
図2は、分離板付近の配置状態を、供給装置を上方に分離した状態で示した斜視図である。
【0021】
分離板110は、破砕された結果物でありそれぞれが異なる種類のプラスチック材質で構成される小片102が重なっている場合に個々の小片102を分離させる重なり防止用の板部材であり、供給装置111と搬送装置101との間に配置されている。また分離板110は、長尺薄板状の部材であり、分離板110の長手方向は搬送装置101の搬送方向(図中X軸方向)に沿って延び、分離板110の幅は、搬送装置101の搬送面に対し垂直(Z軸方向)または交差状態で配置されている。分離板110は、搬送装置101の搬送方向(X軸方向)と垂直な方向(Y軸方向)に平行に所定の間隔で複数枚配置されている(本実施の形態の場合10枚)。分離板110同士は、搬送装置101の搬送方向(X軸方向)と垂直(Y軸方向)に延在する板状の固定手段112を用いて間隔を維持するように連結されている。固定手段112は、小片102が触れて滞留しないように、供給装置111の供給側(搬送方向下流側)の末端よりも搬送方向(X軸方向)に対して上流側に配置されている。
【0022】
固定手段112で連結固定される分離板110は、固定手段112を介して搬送装置101の基礎体である外枠に固定されている。従って分離板110は、搬送装置101の搬送動作、例えばベルトコンベアのベルトの動きと連動することなく固定状態で配置される。つまり、搬送装置101が備えるベルトなどの搬送用部材とは接着せずに搬送装置101とは互いに独立したユニットとなっている。
【0023】
分離板110は、搬送装置101の幅方向(Y軸方向)に並んで配置されている複数のパルスエアノズル161の間に対応する位置に1枚配置されている。つまり、パルスエアノズル161の配置ピッチPと、分離板110の配置ピッチPは一致している。また、分離板110の配置ピッチPが小片102の粒度より大きいため、分離板110の高さHは選別装置100の選別性能に大きな影響を与えない。以上から、例えば分離板110の配置ピッチPは10mmとし、高さを10mmとしてもかまわない。
【0024】
ここで、小片102の粒度とは、小片102がぎりぎり通過することのできる円の直径である。
【0025】
次に選別装置100の一連の動作について説明する。
【0026】
搬送装置101の上流側に置かれた供給装置111が振動や揺動することによって、供給装置111上に積載された複数の小片102が搬送装置101上にある分離板110へ順次投入される。搬送装置101の進行方向において、供給装置111が小片102を分離板110に投入する速度(単位時間に供給される小片102の重量または個数)よりも搬送装置101の搬送速度の方が圧倒的に速いため、小片102同士の重なりが解消される。
【0027】
本実施の形態の場合、搬送装置101の搬送速度は、供給される小片102の量(個数)によって1m/s〜3m/sの間から選定することができる。なお、搬送装置101の搬送状態以上に搬送装置101上で小片102が動いてしまうと、受光素子104により検出した位置から分別ユニット106に至るまでの間で小片102が動き、所望の小片102を吹き飛ばすことができなくなるため、搬送装置101の搬送速度は、風や振動による影響で小片102が動かないような速度に設定する必要がある。
【0028】
本実施の形態では、分離板110にて複数の小片102が搬送装置101の幅方向に分散されるため、特に幅方向の小片102同士の重なりを抑制する効果がある。その後、複数の小片102は、順次搬送装置101上を搬送される。受光素子104にて検出される付近に到達した小片102は、光源103によって照明され、それによりプラスチック材料個別の特徴量となる近赤外光を発生させる。具体的には小片102を構成するプラスチック材質は材質によって異なる近赤外線帯域での吸光分布を有しており、異なるプラスチック材質からなる小片102は、近赤外光領域において異なるスペクトル分布の反射光(透過光)を発生させる。ここで光源103は、1.3μm〜2.5μm程度のブロードな波長帯域の光を発生させるものが好ましい。具体的には、ハロゲンランプが好適に使用可能である。また、光源103は、波長帯の広いレーザも使用可能である。反射または透過により特有のスペクトルを有した光は受光素子104を用いて検出され、検出結果である光のスペクトルはデジタルデータに変換される。そして識別装置105にて基準スペクトルと比較して個々の小片102を構成するプラスチック材質の識別がなされる。識別結果に応じて前方にある分別ユニット106のパルスエアノズル161を用いて所望のプラスチック材質の小片102のみを仕切り板107より遠い回収ゾーン200(図1参照)へ吹き飛ばすことで選別する。
【0029】
ここで純度および回収率を以下のように定義する。
【0030】
供給装置111から投入される複数の小片102に含まれる所望プラスチック材質の小片102の総質量をA、選別装置100にて選別される所望プラスチック材質の小片102の総質量をB、選別装置100で誤判定した場合やもしくは分別ユニット106にてパルスエアの位置制御が乱れて所望プラスチック以外のプラスチックを回収ゾーン200(図1参照)に混入する所望プラスチック材質以外の小片102の総質量をCとしたときに、純度および回収率を次のように表す。
【0031】
純度(%)=B/(B+C)×100
回収率(%)=B/A×100
【0032】
冷蔵庫製品を破砕した際に発生するシュレッダーダストの全質量の20%を占める8〜10mmの粒度の複数の小片102を用いて選別試験を実施した。なお、それ以外の粒度の小片102は、事前にふるいや集塵などにより除去し、選別試験に供する小片102の粒度を揃えた状態とした。
【0033】
前述したようにマテリアルリサイクルするためには十分な高純度化が必要であるため、事前に上記記載の純度測定方法で意図的に純度の異なる複数のサンプルを作製して物性テストを行った。耐衝撃性などの観点から、家電プラスチックとしてマテリアルリサイクルするためには純度99%以上が必要であることがわかった。そこで以降は純度を99%以上にした条件で試験を実施しつつ、その範囲内でいかに回収率を向上できるかという点について検討した結果を示す。
【0034】
図3aは、分離板効果を表した模式図である。図3bは、分離板効果を表した模式図である。
【0035】
高速度カメラにて搬送装置101上での複数種類の小片102の様子を確認したところ、分離板110を設置することで図3a、図3bの2つの物理現象による小片102の重なりが改善される効果を確認した。
【0036】
図3aに示すように、2つの小片102を小片102a、小片102bとした場合、小片102aと小片102bとは供給装置111(図3a、図3bでは図示略)上で接触した状態で搬送されている場合がある。
【0037】
仮に分離板110がない場合は、小片102aと小片102bとは接触しているため識別装置105にて誤判定される場合が多く、また、分別ユニット106にて小片102aと小片102bとが同時に吹き飛ばされてしまい、所望以外のプラスチック材質の小片102が回収ゾーン200に到達する可能性がある。
【0038】
一方、本実施の形態のように分離板110を設置すると、接触している一方の小片102bのみが分離板110に接触することで小片102aと小片102bとが幅方向に分離される。つまり、小片102bは、分離板110と接触することにより搬送装置101の幅方向において左右(図3(a)では右側へ変化)の位置が変わる。一方、小片102aは分離板110との接触がないため幅方向の位置は変化しない。搬送装置101の搬送速度は供給装置111の供給速度より速度が速いため、先に供給される小片102の上に次に供給される小片102は重ならない。したがって先に供給される小片102に対して次に供給される小片102が時間遅れになることで両者は接触や重なることはない。結果的に、小片102は搬送装置101上を重なることなく、また、接触することなく搬送されるため、誤って判定・選別される確率が減少し選別精度が向上する。
【0039】
次に図3(b)に示すように、小片102aと小片102bと重なり合った状態で供給された場合、両者はともに分離板110と接触する。分離板110との接触により、小片102aは左側へ、小片102bは右側に位置が変わる。その結果、両者は分離された状態となる。また小片102aと小片102bとが接触により同じ側へ位置が変わる場合でも、両者が搬送装置101に到達するまでの時間に相違が発生するため、先に搬送装置101に到達した小片102が先に搬送されるため小片102の重なりが解消する。結果的に所望プラスチック材質の小片102の選別に関して、誤って判定・選別する確率が減るために選別精度が向上する。
【0040】
なお図2にて望ましい場合は、分離板110と分離板110の中間点から搬送装置101と平行して描かれる直線が、前方に配置された分別ユニット106のパルスエアノズルの中央と位置する配置関係になる場合である。これにより、分離板110で整流されて搬送される小片102に対して分別ユニット106は好適な位置にパルスエアを吐出することができ所望プラスチック材質の小片102を回収ゾーン200に吹き飛ばすことができる。
【0041】
以下、実験で使用した条件について説明する。
【0042】
識別装置105において設定する判別条件が純度および回収率に大きく寄与する。その際、目的に応じて純度重視か回収率重視かを選択する場合が多い。マテリアルリサイクルをするためには一定以上の不純物が混入すると使用できないために純度重視で行うことが多い。その際は異物の混入を極限まで少なくする必要がある。そのため、搬送装置101上で小片102が重ならないことはもちろんのこと、重なった小片102がある場合には、これを判別し回収ゾーン200に吹き飛ばすことを無効にする判別アルゴリズムを用いて実験を行った。
【0043】
具体的には、所望プラスチック材質の小片102の周辺上に所望プラスチック材質以外の小片102が存在すると判定された場合に、所望プラスチック材質以外の小片102がパルスエアによって所望プラスチック材質の小片102といっしょに吹き飛ばされて回収ゾーン200に混入する確率が高くなるため、所望プラスチック材質の小片102および所望プラスチック材質以外の小片102を吹き飛ばさない設定にすることで異物混入確率を減らしている。さらに具体的には、所望プラスチック材質以外の小片102が搬送装置101上にあればその当該小片102を中心とした半径D以内はいかなる小片102があった場合でもパルスエアにより吹き飛ばさないという「吐出禁止」の状態にする。また、「吐出禁止」にする領域の条件(半径D)は「吐出禁止の条件」と定義する。本実施の形態の場合、吐出禁止の条件(半径D)は、小片102の粒度と同じが好ましい。本実施の形態の場合小片102の粒度が10mmなので吐出禁止の条件(半径D)も10mmで実施した。また供給装置111から300kg/hの速度で供給を行い、小片102の粒度は10mm、搬送装置101の有効幅は0.7m、搬送速度は2m/s、分別ユニット106のパルスエアの吐出圧力は0.5MPa、分別ユニット106のノズル径は2mm、ノズル配置のピッチは10mmで試験を行った。
【0044】
以降、分離板110のピッチ、厚みの影響について述べる。
【0045】
(分離板のピッチの影響)
分離板110のピッチの影響を調べるために、ピッチを変えた結果を図4に示す。
【0046】
分離板110のピッチが15mmから20mmの範囲で、前述した小片102の重なり改善効果が高まり回収率が向上した。また分離板110のピッチが10mmから30mmの範囲で、分離板110がない場合と比較して回収率が改善すること確認できた。またピッチが10mmより小さい場合、小片102の粒度よりピッチ10mmが小さくなるために詰まりが発生して回収率が大きく低下した。
【0047】
(分離板の厚みの影響)
分離板110の厚みTの影響を調べるために、分離板110の厚みT(図2で定義)を変えた結果を図5に示す。分離板のピッチは15mm、吐出禁止の条件は10mmで実施した。
【0048】
グラフより、分離板110の厚みTの範囲は0.3mmから4mmが好ましいことを見出した。0.3mm未満は加工が困難で耐久性に難があると思われる。また4mmを超えると供給装置111から供給される小片102が分離板110の上に載る現象がおこり、選別精度が悪化する。
【0049】
また、本実施の形態の場合、識別装置105で小片102のプラスチック材質の判定を行うエリアには分離板110が存在していないため、分離板110の反射などが判定に影響を与えない。従って本実施の形態では、ポリゴンスキャナーやガルバノミラーを利用した近赤外線判別の識別装置が用いられている。
【0050】
なお、複数の小片102の分離板110への供給方法に関して、分離板110の上側から落下させるように小片102を供給する場合ばかりでなく、搬送装置101の中間部分に分離板110を配置して、分離板110よりも上流の搬送装置101に小片102を供給してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、プラスチックからなる小片であって複数種類のプラスチック材質の小片の混合物、特に廃棄家電製品から再資源化のために破砕された小片の混合物からのプラスチックの種類の判別し、精度よく選別することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
101 搬送装置
102 小片
103 光源
104 受光素子
105 識別装置
106 分別ユニット
107 仕切り板
108 斜めシュート
109 仕切りレール
110 分離板
111 供給装置
112 固定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラスチック製の小片を連続的に供給する供給装置と、
供給される前記小片を一方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置上の小片のプラスチック材質を識別する識別装置と、
前記識別装置の識別結果に基づき複数の前記小片の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニットとを備える選別装置であって、
前記搬送装置の搬送方向において前記識別装置よりも上流、かつ、前記搬送装置の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板を備え、
前記分離板の配置ピッチが前記小片の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定される
選別装置。
【請求項2】
前記分離板のピッチは、前記小片の粒度の1.5倍以上2倍以下の範囲から選定される
請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記分離板の前記搬送装置の幅方向の厚みは、0.3mm以上4mm以下の範囲から選定される
請求項1または2に記載の選別装置。
【請求項1】
複数のプラスチック製の小片を連続的に供給する供給装置と、
供給される前記小片を一方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置上の小片のプラスチック材質を識別する識別装置と、
前記識別装置の識別結果に基づき複数の前記小片の中から特定のプラスチック材質の小片を分別する分別ユニットとを備える選別装置であって、
前記搬送装置の搬送方向において前記識別装置よりも上流、かつ、前記搬送装置の上方に配置され、搬送方向に沿って延在し、搬送方向と垂直な方向に並べて配置される板状の分離板を備え、
前記分離板の配置ピッチが前記小片の粒度の1倍以上3倍以下の範囲から選定される
選別装置。
【請求項2】
前記分離板のピッチは、前記小片の粒度の1.5倍以上2倍以下の範囲から選定される
請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記分離板の前記搬送装置の幅方向の厚みは、0.3mm以上4mm以下の範囲から選定される
請求項1または2に記載の選別装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図3a】
【図3b】
【図6a】
【図6b】
【図2】
【図4】
【図5】
【図3a】
【図3b】
【図6a】
【図6b】
【公開番号】特開2012−250199(P2012−250199A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125775(P2011−125775)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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