説明

選択的界面活性剤を用いたHDLコレステロールセンサ

高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するための方法であって、試料を(a)試料中の高密度リポタンパク質と選択的に反応する界面活性剤であって、ヒドロキシエチルグルカミド誘導体類及びN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体類から選ばれる界面活性剤と反応させること、並びに高密度リポタンパク質中のコレステロール量を、例えば電気化学的技法を用いて測定することを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、高密度リポタンパク質(HDL)を含有する試料中の、高密度リポタンパク質に結合するコレステロール(HDLコレステロール)量を決定するための方法に関する。本発明はまた、そのような方法において使用するための組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの疫学的研究で、コレステロール又はapo A1含量のいずれかの観点で測定される高密度リポタンパク質(HDL)の冠状動脈疾患(CAD)の危険性に対する、強く、且つ非依存的な逆相関が証明されてきた。HDLコレステロールが10mg/L低下するごとにCADの危険性が2〜3%増加するといわれている。従って、HDLコレステロール濃度がより高いほど、予防的であると考えられている。従って、CADに対する危険性を明らかにする際、及び脂質異常症の治療を行う際のHDLコレステロールの測定が、臨床検査室でますます一般的になってきた。
【0003】
研究技法から適合された、HDLコレステロール測定のための初期の検査室的方法では、沈殿試薬を用いる手作業の分離段階、それに引き続いてたいていの場合には自動化学分析装置による、コレステロール含量の分析が必要とされた。典型的な分離段階は、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)及びキロミクロン(CM)のアグリゲートを形成するために、沈殿試薬をこれらの成分と反応させることを伴っていた。その後アグリゲートを、例えば遠心分離によって、反応容器から除去して、HDL含有試料を分析できる状態にしておいた。沈殿物がUV/Vis又は使用される比色分析技法を妨げないようにするため、沈殿物の分離が不可欠であった。
【0004】
より最近になって、様々なリポタンパク質画分の分離を事前に必要としない、多くの技法が開発されてきた。これらの方法は、典型的には、単一の段階で、又は少なくとも沈殿を実施する必要なく測定を成し遂げることができるという利点を有する。従って、測定の自動化が可能である。そのようなアプローチのあるものでは、様々なリポタンパク質画分を異なる速度で分解するある種の界面活性剤が用いられる。例えばある界面活性剤は、最初にLDLとより迅速に反応するかもしれず、そしてHDLとの反応はより緩やかに起こるかもしれない。当該界面活性剤を加えた後、所定の時間にコレステロール含量を測定することによって、測定が、LDLコレステロール含量よりもHDLコレステロール含量により大きく依存することが分かってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このアプローチは、その結果に必要な精度及び信頼性を生じてきておらず、また測定は、依然としてある程度の、LDL、VLDL及びCM中のコレステロール含量への依存性を残していた。従って、血液や血漿等の体液のHDLコレステロール含量の測定のための簡単であるが信頼でき且つ正確な方法を提供する新たなアプローチが必要である。測定はまた、試験試料中の、LDL、VLDL及びCMに結合したコレステロール含量への依存が低いか、又はそれらと完全に独立していなくてはならない。更に、好ましい方法は、専門的な設備を用いないか、又は実施するために熟練の技術者を必要としないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するための方法であって、試料を(a)高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤であって、ヒドロキシエチルグルカミド誘導体類及びN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体類から選ばれる界面活性剤と反応させること、並びに該高密度リポタンパク質中のコレステロール量を測定することを含む、方法を提供する。
【0007】
本発明で用いられる界面活性剤は、非常に高い選択性を、LDL、VLDL及びCMよりも、HDLに対して有する。以前の界面活性剤は、他のリポタンパク質と比較して、異なる速度でHDLと反応することが示されてきているが、本発明の界面活性剤は、ほぼ排他的にHDLと反応し、他のリポタンパク質と反応しないか、又は実質的に反応しない。試料中のHDLは、可溶化して反応に利用できるHDLコレステロールを残すが、一方で他のリポタンパク質画分に結合したコレステロールは、リポタンパク質構造内に結合したままで、反応には利用可能ではないと考えられている。しかしながら、本発明は、この作用様式には縛られない。代替的な理論としては、本発明の界面活性剤は、コレステロールアッセイにおいてHDLコレステロールが反応するのを選択的に可能にするものであるが、一方でLDLコレステロールは実質的に反応できないというものである。従って、その後の、試料のコレステロール含量の測定では、HDL−コレステロール含量のみが反映され、他のリポタンパク質画分内に含有されるコレステロール量には実質的に依存しない。従って、本発明の方法は、HDLに対して高度に選択的であり、HDL−コレステロールについての正確で信頼できる試験を提供する。
【0008】
本発明の方法は、先行技術の試験と比較して、改善された簡便性という、更なる利点を有する。HDLコレステロールの測定結果は、試料を単一の試薬混合物と反応させ、且つコレステロール含量を1回測定することによって得ることができる。更に、結果は非常に短時間で得ることができ、典型的には試料を添加して1分又は数分以内に得ることができる。
【0009】
HDLコレステロールの測定は、典型的には、試料を、コレステロールエステル加水分解試薬及び、コレステロールオキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼのいずれかと反応させることによって行う。従って、本発明はまた、高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するための方法において用いるための試薬混合物であって、
(a)高密度リポタンパク質を選択的に分解する、本明細書中に規定した通りの界面活性剤;
(b)コレステロールエステル加水分解試薬;及び
(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ
を含む、試薬混合物を提供する。
【0010】
高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するためのキットであって、(a)高密度リポタンパク質を選択的に分解する、本明細書中に規定した通りの界面活性剤、(b)コレステロールエステル加水分解試薬、及び(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ、並びにコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応するコレステロール量を測定するための手段、を含む、キットも提供する。
当該キットは、典型的には、コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応するコレステロール量を測定するための手段が
− 作用電極、参照又は擬似参照電極及び任意に別個の対向電極(counter electrode)を有する電気化学セル;
− 該セルに電位を印加するための電源;並びに
− 結果生じる電気化学的応答を測定するための測定機器
を含む、電気化学的装置である。
【0011】
本発明はまた、本発明のキットを使用する方法であって、
(i)(1)試薬(a)、(b)及び(c)と(2)高密度リポタンパク質を含有する試料とを、互いに、及び、電極と接触させること;
(ii)電気化学セルに電位を印加すること;及び
(iii)結果生じる電気化学的応答を測定することによって、形成した生成物量を電気化学的に検出すること
を含む方法を提供する。
【0012】
本発明で用いられる界面活性剤は、HDLコレステロールの決定の再現性を向上させるという特別な利点を有する。ある種のエステラーゼ若しくはリパーゼを単独で、又はCHAPs若しくはデオキシBIGCHAP等の界面活性剤とともに使用することによって、HDLと他のリポタンパク質との間に、ある程度の差別化を実現できることがわかってきた。しかしながら、患者試料での決定は、極めてばらつきやすいことがわかってきた。本発明に記載する界面活性剤を用いると、このばらつきを有意に低減することがわかった。これは、比較の基準の統計的測定(例えば、HDL濃度が電極電流と関連する較正線の改善されたR値)と関連して最もよく説明されるが、他の統計的手法、特に重回帰分析を用いても、示すことができる。
【0013】
従って、本発明の界面活性剤が、多数の試験に特有のばらつきを低減するのは明らかである。ばらつきの低減で、アッセイにおける正確さ及び精度が改善する。ばらつきの低減で、本発明は、多数の異なる試験結果が比較される特定の用途(例、一人の患者のコレステロールレベルの長期にわたるモニタリング)の発見にもつながる。
【0014】
従って、本発明はまた、本明細書中に規定する界面活性剤を、高密度リポタンパク質中のコレステロール量の決定方法の再現性を向上(例、HDL濃度が電極電流に関係する較正線のR値の改善)させるのに使用することを提供する。また、試料中のHDLコレステロール量の決定の再現性の向上(例、HDL濃度が電極電流と関連する較正線のR値の改善)方法であって、試料を、(a)本明細書中に規定した通りの界面活性剤と反応させること、及び高密度リポタンパク質中のコレステロール量を測定することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態による装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、試料のHDL−コレステロール含量を選択的に決定する方法を提供するが、ここで試料は、HDLのみならず、コレステロールに結合する他のリポタンパク質を含有し得るものである。LDL、VLDL及びCMよりも、HDLに対して高度に選択的な特異的界面活性剤と、試料を反応させることによって選択性が実現される。従って、当該界面活性剤により、HDLに結合するコレステロール及びコレステロールエステル類が測定のために利用可能となるが、一方でLDL、VLDL及びCMに結合するものはリポタンパク質の構造に結合したままであって、後のコレステロール含量の測定において実質的に反応しない。
【0017】
コレステロール及びコレステロールエステル類は、主としてリポタンパク質粒子中で血液を運搬されることが知られている。酵素及び界面活性剤が、そのようなコレステロールをデヒドロゲナーゼによって酸化されるのに利用可能とする正確なメカニズムに関しては、議論がある。従って、本明細書の全範囲で、「分解する」又は「利用可能にする」又は「反応性を与える」等の用語はすべて、処理過程によって、分析に関する応答が任意の試料中のコレステロール類から得られるものである当該処理過程に関するものであることが理解される。しかしながら、我々は、作用様式に関してあらゆる特定の理論にも縛られることを望んでいない。従って、「高密度リポタンパク質を選択的に分解する」という界面活性剤は、例えば、高密度リポタンパク質において選択的にコレステロールの利用可能性を高めることによって、又は異なるメカニズムよって働き得る。
【0018】
本発明で用いられる界面活性剤は、試料中の高密度リポタンパク質を選択的に分解するものである。これは、当該界面活性剤は、LDL、VLDL及びCMと比較して、HDLと選択的に反応することを意味する。代替的には、当該界面活性剤は、コレステロールアッセイにおいて、HDLコレステロールが反応すること(典型的には、コレステロールエステル加水分解試薬及びコレステロールオキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼと反応すること)を選択的に可能にするものとして定義できる。本発明の文脈では、HDLを選択的に分解する界面活性剤、又はコレステロールアッセイにおいてHDLコレステロールが反応することを選択的に可能にする界面活性剤は、典型的には、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最も好ましくは少なくとも90%の、HDLとLDLとの間のディファレンシエーションを有する界面活性剤である。
【0019】
HDLとLDLとの間のディファレンシエーションは、式(i)に従った回帰により、生理学的試料の範囲に渡ったデータから決定され得る:
【0020】
【数1】

【0021】
(式中、GはXに対する、測定された応答のグラジエント(例、Xの既知の濃度に対する、測定された電流)である)。測定される応答は、リポタンパク質濃度に関係する(又は対応する)(例えば、リポタンパク質濃度に比例する)任意の測定値であり得る。
【0022】
生理学的試料中には、HDLコレステロール及びLDLコレステロールの両方が存在する。この場合、多重回帰のための標準的な方法を、(i)測定されたコレステロール濃度GHDL及びGLDLのそれぞれのグラジエントの値を見積もること、によって用いてもよい。
【0023】
従って、当業者は、選択した界面活性剤を用いてHDLコレステロール含量が既知の試料のHDLコレステロール含量を測定し、そして対応して同じ手順を用いて、LDLコレステロール含量が既知の試料のLDLコレステロール含量を測定することによって、任意の所与の界面活性剤がHDLを選択的に分解するものかどうかを、容易に決定できる。その結果からディファレンシエーションの値が計算できる。HDLコレステロール含量又はLDLコレステロール含量を測定するための手順は、典型的には、選択した界面活性剤を用いる、下記の実施例1に記載したものである。
【0024】
本発明において、HDL濃度は典型的には、コレステロールのコレステノンへの電気化学的変換に際して、電極で生じる電流を決定することによって電気化学的に測定される。従って、典型的には、測定電流値を、グラジエントを決定するために用いる。
【0025】
好ましい実施形態においては、本発明の選択的界面活性剤は、実質的にLDLを分解しない。従って、HDLとLDLとの間のディファレンシエーションは、経時的に一定である。しかし、一部の界面活性剤は、非常に緩やかではあるが、依然としてLDLを分解し得る。この場合、HDLとLDLとの間のディファレンシエーションは、時間とともに変動し得る。ディファレンシエーションは、HDLコレステロール試験の間に用いる経過時間と同じの、試料への試薬の添加とコレステロール含量の測定との間の経過時間を用いて測定しなくてはならない。そのような経過時間は、典型的には、3分以下、好ましくは120秒以下、90秒以下又は60秒以下のオーダーである。本発明の文脈では、選択的な界面活性剤は、実施例1において記載した手順、及び、試料への試薬の添加と測定との間に62秒の経過時間を用いてコレステロール含量を測定した場合、典型的には、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は最も好ましくは少なくとも90%の、HDLとLDLとの間のディファレンシエーション(differentiation)を有する界面活性剤である。
【0026】
ディファレンシエーションのばらつきは、生理学的試料ごとに見られる。これは、統計学的ばらつき、即ち、コレステロール濃度に対して測定された応答の較正線の周りでの散らばりとして容易に観察され、Rの平方値(R)として、又は代替的には、標準誤差(例えば、HDL及びLDL濃度に対する重回帰の残差の標準誤差(残差のSE))の観点から、数値的に表され得る。
【0027】
本発明の特別な利点は、このばらつきにおける改善の提供であり、例えば、R値の増加として表される。従って、本発明の方法を、1つの試料に対して1回以上繰り返して、当該試料のHDL濃度に関係する複数の測定結果のデータセットを生じることができ、当該データセットにおける測定結果間のばらつきは小さい。典型的には、任意のそのようなデータセットについてのRは少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7又は少なくとも0.8である。データセットにおける測定結果は、HDL濃度の測定結果であり得るが、より典型的には、HDL濃度に関係する(例えば比例する)、異なるパラメータの測定結果である。典型的には、電気化学的測定において生じる電流の測定結果を用いる。
【0028】
本技法は、例えば装置の較正において用いられ得るが、この場合に用いられる試料は既知のHDL濃度の試料である。この場合におけるRは、較正モデルの適合度を示す。代替的には、データセットは未知のHDL濃度の試料の試験において(例えば、平均した最終結果を提供するために)生じ得るが、その場合、R値は、異なる測定結果間で低減されたばらつきを示す。
【0029】
本発明で用いられる界面活性剤としては、アルキル及び式(I)
【0030】
【化1】

【0031】
(式中、Rは、最大12個の炭素原子を含有するアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基である)のシクロアルキル−アルキルヒドロキシエチルグルカミドが挙げられる(include include)。そのような化合物としては、オクタノイル−N−ヒドロキシエチルグルカミド(R=CH(CH、HEGA−8、アナトレースより入手可能)、デカノイル−N−ヒドロキシエチルグルカミド(R=CH(CH、HEGA−10、アナトレースより入手可能)、ノナノイル−N−ヒドロキシエチルグルカミド(R=CH(CH、HEGA−9)、シクロヘキシルプロパノイル−N−ヒドロキシエチルグルカミド(R=C11(CH、C−HEGA−9、アナトレースより入手可能)及びシクロへキシルブタノイル−N−ヒドロキシエチルグルカミド(R=C11(CH、C−HEGA−10、アナトレースより入手可能)が挙げられる。
【0032】
本発明の界面活性剤のさらなる例としては、式(II)
【0033】
【化2】

【0034】
(式中、Rは、最大12個の炭素原子を含有するアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基、典型的にはアルキル基である)のN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体類が挙げられる。R基の例は、式−(CH−CH(式中、yは5〜11(例、7、8又は9)である)の基である。該化合物の例としては、N−メチル−N−オクタノイル−グルカミン(MEGA−8)、N−メチル−N−ノナノイル−グルカミン(MEGA−9)及びN−メチル−N−デカノイル−グルカミン(MEGA−10)が挙げられる。
【0035】
界面活性剤は個々に用いてもよく、又は2以上の異なる界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。用いる界面活性剤の総量は、典型的には、試験される試料1mlあたり最大200mg、好ましくは最大100mg、例えば約50mg/mlである。
【0036】
所望により、試料を、HDL以外のリポタンパク質と錯体を形成する錯化剤と更に反応させてもよい。錯化剤の例としては、ポリアニオン類、ポリアニオン類と二価金属塩との組み合わせ、及びapoB含有リポタンパク質に結合できる抗体が挙げられる。ポリアニオン類は、ホスホタングステン酸及びその塩、デキストラン硫酸及びその塩、ポリエチレングリコール並びにヘパリン及びその塩から選ぶことができる。一度錯化した形態になると、HDL以外のリポタンパク質は反応に利用できなくなり、従ってコレステロール測定を妨げない。しかしながら、本発明においては特異的な界面活性剤を使用するため、錯化剤は必要でない。従って、試料を錯化剤と反応させないことが好ましい。
【0037】
イオン性塩を、選択的界面活性剤と組み合わせて用いてもよい。イオン性塩の例は、アルカリ金属(例、Na、K)、アルカリ土類金属(例、Mg2+、Ca2+)又は遷移金属(例、Cr3+)の塩である。塩化物は好適な塩である。イオン性塩の使用により、反応速度を加速することができ、よって最大のHDLのディファレンシエーションがより迅速に観察される。
【0038】
試料のHDL−コレステロール含量の測定を、コレステロールを測定するための任意の好適な技法によって行うことができる。好ましい技法には、試料を、コレステロールエステル加水分解試薬及び、コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させることを伴う。1つの実施形態においては、コレステロールデヒドロゲナーゼが用いられる。従って本発明は、試料を界面活性剤及びコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させる方法を包含する。
【0039】
HDLリポタンパク質中に含有されるコレステロールは、遊離コレステロール又はコレステロールエステル類の形態であり得る。従って、任意のコレステロールエステル類を遊離コレステロールに分解するために、コレステロールエステル加水分解試薬が典型的に用いられる。次いで、遊離コレステロールをコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させ、そのような反応を受けたコレステロールの量を測定する。
【0040】
コレステロールエステル加水分解試薬は、コレステロールエステル類をコレステロールに加水分解できる、任意の試薬であり得る。試薬は、コレステロールのコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼとの反応、及びアッセイにおけるその後の任意の段階を妨げないものでなければはならない。好ましいコレステロールエステル加水分解試薬は酵素であり、例えば、コレステロールエステラーゼ及びリパーゼである。好適なリパーゼは、例えば、シュードモナス(pseudomonas)又はクロモバクテリウム・ビスコサム(chromobacterium viscosum)種由来のリパーゼである。任意に安定化剤又は保存剤等の添加剤を含有する市販の酵素(例、東洋紡又はアマノから入手可能なもの)を用いてもよい。コレステロールエステル加水分解試薬は、試料1mlあたり0.1〜20mg、好ましくは1mlあたり0.5〜15mgの量で用いてもよい。
【0041】
任意の市販形態の、コレステロールオキシダーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼを用いることができる。例えば、コレステロールデヒドロゲナーゼは、例えばノカルディア(Nocardia)種由来である。コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼは、試薬混合物1mlあたり0.01〜100mgの量で用いてもよい。1つの実施形態においては、コレステロールオキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼは、試料1mlあたり0.1〜25mg、例えば試料1mlあたり0.1〜20mg、好ましくは、1mlあたり0.5〜25mgの量(1mlあたり0.5〜15mg等)で用いられる。
【0042】
各々の酵素は、安定化剤又は保存剤等の添加剤を含有し得る。更に、各々の酵素は、化学的に修飾されていてもよい。
【0043】
界面活性剤は、試料に対して、他の試薬を加える前に加えてもよく、又は他の試薬を加えるのと同時に加えてもよい。好ましい実施形態においては、コレステロールエステル加水分解試薬、コレステロールオキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼ及び界面活性剤は、単一の段階で試料と混合される単一の試薬混合物中に存在する。特に好ましい実施形態においては、当該方法は、試料を試薬と接触させる単一の段階を伴い、その結果、単一の試薬混合物のみ提供される必要がある。
【0044】
本発明による測定は、HDL−コレステロールを含有する任意の好適な試料で実施できる。測定は、典型的には、全血又は血液成分(例えば血清又は血漿)で実施される。本発明の方法において使用する好ましい試料は、血清及び血漿である。測定を全血で実施する場合は、当該方法は、赤血球を除去するために血液を濾過する、更なる段階を含み得る。
【0045】
本発明の好ましい実施形態においては、HDL−コレステロール含量を測定するために、電気化学的技法を用いる。これは、コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応したコレステロールの量を、電極で発生する電気化学的応答を測定することによって決定することを意味する。この実施形態においては、典型的には、試料を界面活性剤、コレステロールエステル加水分解試薬、コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと相互作用できる補酵素、及び酸化又は還元されて電極で電気化学的に検出できる生成物を形成することができる酸化還元剤と反応させる。試料と試薬との混合物は、生じる酸化還元反応が検出できるように、電気化学セルの作用電極と接触させる。セルに電位を印加し、結果生じる電気化学的応答、典型的には電流を測定する。
【0046】
この好ましい実施形態においては、HDL−コレステロール量は、以下のアッセイ:
【0047】
【化3】

【0048】
(ここで、ChDはコレステロールデヒドロゲナーゼである)に従って測定する。このアッセイにおいて、所望により、コレステロールデヒドロゲナーゼは、コレステロールオキシダーゼに置き換えることができる。当該アッセイによって生成した、還元された酸化還元試薬量を電気化学的に検出する。しかるべき場合には、更なる試薬もまた、このアッセイに含めてもよい。
【0049】
典型的には、試料は、単一の段階で全ての試薬と接触する。従って、全ての必要な試薬を含有し、且つアッセイを実施するために容易に試料と接触できる試薬混合物を提供する。本発明の試薬混合物は、典型的には、界面活性剤を試料1ml当たり最大50mg、好ましくは最大20mg、例えば約5mgの量で含み、コレステロールエステル加水分解試薬を試料1ml当たり0.1〜20mg、好ましくは0.5〜10mgの量で含み、且つコレステロールデヒドロゲナーゼを、試料1ml当たり0.1〜30mg、好ましくは0.5〜25mgの量で含む。
【0050】
典型的には、補酵素はNAD又はそのアナログである。NADのアナログは、NADと共通する構造的特徴を有し、且つコレステロールデヒドロゲナーゼの補酵素としても働く化合物である。NADのアナログの例としては、APAD(アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド);TNAD(チオNAD);AHD(アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチド);NaAD(ニコチン酸アデニンジヌクレオチド);NHD(ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド);及びNGD(ニコチンアミドグアニンジヌクレオチド)が挙げられる。補酵素は、典型的には、1〜20mM、例えば3〜15mM、好ましくは5〜10mMの量で、試薬混合物中に存在する。
【0051】
典型的には、酸化還元剤は、上に示したアッセイに従って還元できるものでなくてはならない。この場合、酸化還元剤は補酵素から(又は後述のようなレダクターゼから)電子を受容でき、且つ電子を電極に伝達できるものでなくてはならない。酸化還元剤は分子又はイオン錯体であってもよい。酸化還元剤は、タンパク質等の天然に存在する電子受容体であってもよく、又は合成分子であってもよい。酸化還元剤は、典型的には、少なくとも2つの酸化状態を有するであろう。
【0052】
好ましくは、酸化還元剤は無機錯体である。当該剤は金属イオンを含んでもよく、少なくとも2価を有することが好ましいであろう。特に、当該剤は、遷移金属イオンを含んでもよく、好ましい遷移金属イオンとしては、コバルト、銅、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、オスミウム又はルテニウムのイオンが挙げられる。酸化還元剤は帯電していてもよく、例えば、カチオン性又は代替的にはアニオン性であってもよい。好適なカチオン性の剤の例は、Ru(NH3+等のルテニウム錯体であり、好適なアニオン性の剤の例は、Fe(CN)3−等のフェリシアン化錯体である。
【0053】
用いられ得る錯体の例としては、Cu(EDTA)2−、Fe(CN)3−、Fe(CN)(OCR)3−、Fe(CN)(シュウ酸塩)3−、Ru(NH3+、Ru(acac)(Py−3−COH)(Py−3−CO)及び(エチレンジアミン等の)それらのキレートアミンリガンド誘導体類、Ru(NH(py)3+、フェロセニウム及び、−NH、−NHR、−NHC(O)R、及びCOH等の、1以上の基が2つのシクロペンタジエニル環の一方又は両方へと置換されたその誘導体類が挙げられる。無機錯体は、好ましくはFe(CN)3−、Ru(NH3+又はフェロセニウムモノカルボン酸(FMCA)である。Ru(NH3+及びRu(acac)(Py−3−COH)(Py−3−CO)が好ましい。
【0054】
酸化還元剤は、典型的には、10〜200mM、例えば20〜150mM、好ましくは30〜100mM(例、最大80mM)の量で試薬混合物中に存在する。
【0055】
好ましい実施形態においては、電気化学的アッセイにおいて用いられる試薬混合物は、レダクターゼを更に含む。レダクターゼは、典型的には、還元型NADから2個の電子を伝達され、酸化還元剤へ2個の電子を伝達する。従って、レダクターゼの使用により、素早い電子の伝達がもたらされる。
【0056】
用いることができるレダクターゼの例としては、ジアホラーゼ並びにチトクロームP450レダクターゼ、特に、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のチトクロームP450cam酵素系のプチダレドキシンレダクターゼ、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のP450BM−3酵素のフラビン(FAD/FMN)ドメイン、ホウレンソウフェレドキシン(ferrodoxin)レダクターゼ、ルブレドキシンレダクターゼ、アドレノドキシンレダクターゼ、硝酸還元酵素、チトクロームbレダクターゼ、トウモロコシ硝酸還元酵素、テルプレドキシンレダクターゼ及び酵母、ラット、ウサギ及びヒトNADPHチトクロームP450レダクターゼが挙げられる。本発明で用いるための好ましいレダクターゼとしては、ジアホラーゼ及びプチダレドキシンレダクターゼが挙げられる。
【0057】
レダクターゼは組み換えタンパク質、又は精製若しくは単離した天然に存在するタンパク質であってもよい。レダクターゼは、電子の伝達を行う速度又は基質特異性を最適化する等、その性能を向上するために変異されていてもよい。
【0058】
レダクターゼは、典型的には、0.5〜100mg/ml、例えば1〜50mg/ml、1〜30mg/ml又は2〜20mg/mlの量で試薬混合物中に存在する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態においては、電気化学的アッセイの大まかなスキームは、以下:
【0060】
【化4】

【0061】
(式中、
PdRはプチダレドキシンレダクターゼであり、
Diaはジアホラーゼであり、
ChDはコレステロールデヒドロゲナーゼである)
の通りである。
【0062】
試薬混合物は、任意に、1以上の更なる成分、例えば、賦形剤及び/又は緩衝液及び/又は安定化剤を含有する。至適酵素活性のために必要なpHを提供するために、緩衝液も含めてもよい。例えば、トリス緩衝液(pH9)を用いてもよい。例えば、酵素の安定性を高めるために、安定化剤を加えてもよい。好適な安定化剤の例は、アミノ酸(例、グリシン、及びエクトイン)である。
【0063】
混合物を安定化するため、並びに任意で、試薬混合物を本発明の装置上で乾燥する場合に当該乾燥混合物に多孔性を提供するために、当該試薬混合物に賦形剤を含んでもよい。好適な賦形剤の例としては、マンニトール、イノシトール及びラクトース等の糖類、並びにPEGが挙げられる。グリシンもまた、賦形剤として用いることができる。本明細書中に記載する界面活性剤の特別な利点は、界面活性剤及び賦形剤としての、その複合作用である。従って、本発明の1つの実施形態においては、ヒドロキシエチルグルカミド誘導体及び/又はN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体を、界面活性剤と賦形剤が合わさったものとして用いる。従って、本実施形態においては、個別の賦形剤は用いない。
【0064】
好ましい実施形態においては、本発明の電気化学的アッセイのための試薬混合物は、高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤;コレステロールエステラーゼ又はリパーゼ;コレステロールデヒドロゲナーゼ;NAD又はそのアナログ;レダクターゼ;及び酸化還元剤を含む。より好ましい実施形態においては、試薬混合物は、高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤、コレステロールエステラーゼ又はリパーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、NAD又はそのアナログ、ジアホラーゼ又はプチダレドキシンレダクターゼ及びRu(NH3+を含む。
【0065】
本発明の試薬混合物は、典型的には、固形形態、例えば、乾燥形態、又はゲルとして提供される。代替的には、溶液又は懸濁液の形態であり得る。反応混合物中に存在する各々の成分量は、上にモル濃度又はw/vで表しているが、当業者には、存在する各々の成分の相対量が同じであるまま、これらの量を乾燥混合物又はゲルに好適な単位に適合させることができるであろう。
【0066】
電気化学的測定が全血で実施される場合、得られる測定結果はヘマトクリット値に依存し得る。従って、測定結果は理想的には、少なくとも部分的に、この要因を説明するために調整するべきである。代替的には、アッセイを実施する前に、試料を濾過することによって赤血球を除去できる。
【0067】
本発明はまた、HDLを含有する試料のHDLコレステロール含量を選択的に決定するためのキットを提供する。当該キットには、必要な試薬(例、界面活性剤、コレステロールエステル加水分解試薬及びコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ並びにオキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼと反応するコレステロール量を測定するための手段)が含まれる。
【0068】
好ましい実施形態においては、当該キットは、HDL−コレステロール含量を電気化学的に決定するための装置を含む。この実施形態においては、反応したコレステロールの量を決定するための手段は、作用電極、参照電極又は擬似参照電極及び任意に別個の対向電極を有する電気化学セル;セルに電位を印加するための電源;及び結果生じる電気化学的応答、典型的にはセルを横断する電流、を測定するための測定機器を含む。
【0069】
電気化学的な決定のための装置は、典型的には、上記した通りの試薬混合物を含む。当該試薬は個々に、又は1以上の試薬混合物の形態でキット中に存在し得る。単一の試薬混合物が好ましい。試薬混合物は装置中に、液体又は固体のいずれの形態でも存在し得るが、固体形態が好ましい。
【0070】
典型的には、試薬混合物は、好適な液体(例、水又は緩衝液)中に懸濁/溶解させて装置中に挿入するか又は装置上に置き、次いで所定の位置で乾燥させる。装置中/上で物質を乾燥させるこの段階は、当該物質を望ましい場所に保持するのに役立つ。乾燥は、例えば、風乾、真空乾燥、凍結乾燥又はオーブン乾燥(加熱)によって実施され得るが、凍結乾燥が好ましい。試薬混合物は、典型的には、試料が試薬混合物と接触したとき、電極との接触も起きるように、電極の付近に配置される。
【0071】
当該装置には、任意に、試験する試料が、試薬混合物と接触する前に通過する膜が含まれ得る。当該膜は、例えば、赤血球(red blood cell)、赤血球(erythrocyte)及び/又はリンパ球等の成分を濾過で除去するために用いてもよい。血液濾過膜を含む好適な濾過膜は、当該技術において公知である。Presence 200及びPall filtrationのPALL BTS SP300、Whatman VF2、Whatman Cyclopore、Spectral NX及びSpectral Xが血液濾過膜の例である。繊維ガラスフィルター(例えばWhatman VF2)は全血から血漿を分離でき、また全血検査試料が装置に供給され、且つ試験される試料が血漿である場合に好適に用いられる。
【0072】
使用前に親水的又は疎水的処理を経てきたものを含む、代替的又は付加的な膜も用いてもよい。所望により、膜表面のその他の特徴もまた、改変してもよい。例えば、所望の試料の膜を通る流れを促進するために、水中における膜の接触角を修正するための処理を用いてもよい。当該膜は1又は2以上の材料層を含んでもよく、各々は同じであっても、異なっていてもよい。例えば、異なる膜材料の2層を有する、従来の二重層膜を用いてもよい。
【0073】
本発明において用いるための適切な装置には、WO2003/056319及びWO2006/000828に記載のものが含まれる。
【0074】
本発明の1つの実施形態による装置を、図4に記載する。この実施形態においては、作用電極5はミクロ電極である。本発明の目的のために、ミクロ電極は、50μmを超えない少なくとも1つの作業寸法を有する電極である。
【0075】
セルは、底部1及び壁(単数又は複数)2を有するレセプタクル又は容器の形態である。典型的には、レセプタクルは、25〜1000μmの深さ(即ち、上部から底部まで)を有するであろう。1つの実施形態においては、レセプタクルの深さは、50〜500μm、例えば、100〜250μmである。代替的な実施形態においては、レセプタクルの深さは50〜1000μm、好ましくは200〜800μmであり、例えば300〜600μmである。レセプタクルの長さ及び幅(即ち、壁から壁まで)、又はレセプタクルが円筒状の場合はその直径は、典型的には、0.1〜5mm、例えば、0.5〜1.5mm(1mm等)である。
【0076】
レセプタクル3の開口端は、部分的に、不透過性材料で覆われてもよく、又は半透性若しくは透過性の膜等の、半透性若しくは透過性の材料で覆われてもよい。レセプタクルの開口端は、実質的に、半透性又は透過性の膜4で覆われるのが好ましい。膜4は、とりわけ、埃又は他の混入物質がレセプタクルに入ることを防ぐのに役立つ。
【0077】
作用電極5は、レセプタクルの壁に位置する。作用電極は、例えば、レセプタクルの壁周囲の連続した帯の形態である。作用電極の厚みは、典型的には0.01〜25μm、好ましくは0.05〜15μmであり、例えば0.1〜20μmである。より厚みのある作用電極、例えば、0.1〜50μm、好ましくは5〜20μmの厚みを有する電極も想定している。作用電極の厚みは、レセプタクルをその底部上に置く場合は、その垂直方向の寸法である。作用電極の厚みは、その有効作業寸法、即ち、試験する試料と接触する、電極の寸法である。作用電極は、例えば、導電性インクの形態の、炭素、パラジウム、金又は白金で形成するのが好ましい。当該導電性インクは、例えば、白金及び/又はグラファイト及び/又は白金炭素といった更なる材料を含有する改良インクであり得る。作用電極を形成するために2以上の層を用いてもよく、当該層は、同じか、又は異なった材料で形成される。
【0078】
セルはまた、例えば、レセプタクルの底部、レセプタクルの壁(単数又は複数)中、又はレセプタクルの周囲若しくは付近の装置の領域中に存在し得る擬似参照電極(示さず)を含有する。擬似参照電極は、典型的には、Ag/AgClから作られるが、他の材料も用いてもよい。擬似参照電極として用いるための好適な材料は、当業者に公知である。この実施形態においては、セルは、擬似参照電極が対向電極及び参照電極の両方として働く2電極システムである。セルが参照電極及び別個の対向電極を含む、代替の実施形態も想定できる。
【0079】
擬似参照(又は参照)電極は、典型的には、作用電極5と同様のサイズの、若しくはそれより小さい、又は大きい(例えば相当大きい)表面積を有する。典型的には、擬似参照(又は参照)電極の表面積の、作用電極の表面積に対する比率は、少なくとも1:1、例えば少なくとも2:1、又は少なくとも3:1である。好ましい比率は少なくとも4:1である。擬似参照(又は参照)電極は、例えば、マクロ電極であってもよい。好ましい擬似参照(又は参照)電極は、0.01mm又はそれを上回る、例えば、0.1mm又はそれを上回る、寸法を有する。これは例えば、0.1mm又はそれを上回る、直径であり得る。擬似参照(又は参照)電極の典型的な面積は、0.001mm〜100mm、好ましくは0.1mm〜60mmであり、例えば1mm〜50mmである。作用電極と擬似参照(又は参照)電極との間の最短距離は、例えば、50〜1000μmである。セルが機能できるためには、電極は各々絶縁材料6によって分離されなければならない。絶縁材料は、典型的には、例えば、アクリレート、ポリウレタン、PET、ポリオレフィン、ポリエステルといったポリマー又は他の任意の安定な絶縁材料である。ポリカーボネート並びに他のプラスチック及びセラミックも、好適な絶縁材料である。絶縁層はポリマー溶液から溶媒を蒸発させることによって形成することができる。塗布後硬化する液体、例えばワニスも、用いてもよい。代替的には、例えば、熱若しくはUVへの曝露によって、又は2成分の架橋可能なシステムの活性部分と混合することによって架橋される、架橋可能なポリマー溶液を用いてもよい。しかるべき場合には、絶縁層を形成するために、誘電性インクも用いてもよい。代替の実施形態においては、絶縁層は装置にラミネートされる(例えば熱でラミネートされる)。
【0080】
電気化学セルの電極は、好適な任意の手段によって、必要な任意の測定機器に接続してもよい。典型的には、電極は、導電性のトラック(track)に接続され、該導電性のトラックは、必要な測定機器にそれ自身接続されるか、又は接続され得る。
【0081】
図4中の7に示す通り、必要な試薬は、典型的にはレセプタクル内に含有させる。典型的には、単一の試薬混合物の形態の試薬は、液体の形態でレセプタクル内に挿入された後、組成物を固定するのに役立つよう乾燥させる。試薬混合物は、例えば、風乾、真空乾燥、凍結乾燥、又はオーブン乾燥(加熱)されてもよく、最も好ましくは、凍結乾燥される。
【0082】
本発明の装置は、試料を装置に提供し、且つ試料の試薬混合物への接触を可能にすることによって機能させる。血漿又は血液を溶解し、且つ混合物中の試薬と反応させるために十分な時間が割り当てられなければならないのは明らかである。凍結乾燥した試薬を含有するセンサに血漿を添加する場合は、センサへの試料のアプライと、セルの印加電位の印加との間に概ね20秒間が経過する。全血が用いられる場合、血液細胞の除去を可能にするために、この遅延時間はより長くてもよく、例えば最大5分である(例えば、血液は、試薬と接触する前に濾過膜を通過し得る)。本発明の1つの実施形態においては、血漿は、電気化学セルとの接触前に試薬と混合され、セルに添加されて即座に電位が印加される。典型的には、電位が印加され、測定結果を10秒、典型的には1〜4秒以内に読み取る。
【0083】
典型的には、Ru(II)が作用電極で検出すべき生成物の場合、セルに印加する電位は0.1V〜0.3Vである。0.15Vが好ましい印加電位である。(本明細書中で述べる電圧はすべて、0.1M塩化物ありでの、Ag/AgCl参照電極に対する値である。)好ましい実施形態においては、電位が、約1秒間、0.15Vの正の印加電位であるのが最初の段階である。還元電流の測定を望む場合、次いで、−0.4〜−0.6Vの負の電位を印加する。二重の電位段階の使用は、WO03/097860(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。異なる酸化還元剤を用いる場合、酸化/還元ピークが生じる電位に従って、印加電位を変えることができる。
【0084】
従って、本発明の電気化学的試験で、HDLコレステロールの測定を、試料を装置にアプライしてから非常に短時間で、典型的には約5分以内で、好ましくは3分以内で、2分以内で、又は1分以内にでさえ、行うことが可能になる。状況によっては、試料を装置にアプライしてからわずか15秒又は30秒で結果を得ることができるかもしれない。
【実施例】
【0085】
実施例1:Ru(NHClを含むHEGA−8
本実験の目的は、HEGA−8界面活性剤及びRu(NHClメディエーターを含有するセンサのHDLへの応答を調べることであった。
【0086】
0.1M トリス緩衝液pH9.0、30mM KOH、10%β−ラクトースを含有するβ−ラクトース緩衝溶液を調製した。ラクトース緩衝溶液にHEGA−8を加え、HEGA−8の最終濃度を5%にすることにより、HEGA−8溶液を作成した。
【0087】
HEGA−8溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
80mM Ru(NHCl(アルファエイサー、10511)
8.8mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
4.2mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
3.3mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム由来)
22.2mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより、酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0088】
分注及び凍結乾燥
電動ピペットを用いて0.4μL/ウェルの各溶液をセンサ上に分注した。次いで、分注したセンサシートを凍結乾燥した。センサは、WO2003/056319に記載の通りであった。
【0089】
血漿試料
血漿試料を30分間解凍した後、2900RCFで5分間遠心分離した。脱脂血清(Scipac、S139)をまた、試料として使用した。Spaceクリニカルアナライザーを用いて、試料について、TC濃度、TG濃度、HDL濃度及びLDL濃度を解析した。
【0090】
テストプロトコル
12〜15μlの血漿試料を電極ごとに使用した。血漿を加えて、クロノアンペロメトリーテストを開始した。13のタイムポイント(0、32、64、96、128、160、192、224、256、288、320、352及び384秒)にて、0.15Vで酸化電流を測定し、最後のタイムポイント(416秒)にて、−0.45Vで還元電流を測定した。各試料を重複してテストした。
【0091】
解析
これらのデータを、スペースアナライザーからの血漿試料のHDL及びLDL濃度に対して相関させた。各タイムポイントにおけるHDL及びLDLへの応答のグラジエント(既知の濃度に対する測定電流)を用いて、LDL及びHDLの測定結果の間で得られる%ディファレンシエーションを計算した。
【0092】
結果
63秒において、HDL及びLDLへの応答のグラジエントは、それぞれ139.6nA/mM及び0.75nA/mMであった。HDLに対する%ディファレンシエーションは99.5%であった。
5%HEGA−8及び80mM Ru(NHClメディエーターを含有するセンサを用いるとHDLに対する高いディファレンシエーションが得られた。
【0093】
実施例2:C−HEGA
本実験の目的は、様々なアルキル鎖長を有するC−HEGA界面活性剤を含有するセンサのHDLへの応答を調べることであった。
【0094】
0.1M トリス緩衝液pH9.0、30mM KOH及び10%β−ラクトースを含有する、β−ラクトース緩衝溶液を調製した。10%ラクトース緩衝液にRuAcacを加えることにより30mM RuAcac(Cis−[Ru(acac)(Py−3−COH)(Py−3−CO)])溶液を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0095】
C−HEGA溶液
RuAcac溶液にC−HEGAを加え、以下の最終濃度:
C−HEGA−8(アナトレース、C408)
200mM(207μl RuAcac溶液中に0.0145g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
【0096】
C−HEGA−9(アナトレース、C409)
200mM(204μl RuAcac溶液中に0.0148g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
【0097】
C−HEGA−10(アナトレース、C410)
200mM(193μl RuAcac溶液中に0.0146g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
【0098】
C−HEGA−11(アナトレース、C411)
200mM(197μl RuAcac溶液中に0.0155g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM (200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
にすることにより、2倍強度のC−HEGA溶液を作成した。
【0099】
酵素混合物
RuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
6.7mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム由来)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0100】
分注及び凍結乾燥
各酵素溶液につき、等量(約50uL)の2倍濃度の酵素溶液及びC−HEGA溶液を1:1で混合して、最終の酵素/界面活性剤混合物を得た。加えて、それぞれ等量(約50uL)の2倍濃度の酵素溶液及び30mM RuAcac溶液を混合して、ブランク混合物を調製した。電動ピペットを用いて、0.4μL/ウェルの各溶液をセンサ上に分注した。次いで、分注したセンサシートを凍結乾燥した。使用したセンサは、WO2003/056319に記載の通りであった。
【0101】
血漿試料の調製、テスト及び解析は実施例1に記載の通りであった。
各タイムポイントにおけるHDL及びLDLへの応答のグラジエントを用いて、LDL及びHDLの測定結果の間で得られる%ディファレンシエーションを計算した。
【0102】
結果
224秒における応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションを次の表に示す:
【0103】
【表1】

【0104】
これらのC−HEGA界面活性剤の使用により、界面活性剤を加えていないセンサの応答と比較して、HDLへの応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションが有意に増加した。
【0105】
実施例3:HEGA:
本実験の目的は、様々なアルキル鎖長を有するHEGA界面活性剤を含有するセンサのHDLへの応答を調べることであった。
【0106】
RuAcac溶液を、実施例2に記載の通りに作成した。
【0107】
HEGA溶液
RuAcac溶液にHEGAを加え、以下の最終濃度:
HEGA−8(アナトレース、H108)
200mM(212μl RuAcac溶液中に0.0149g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
【0108】
HEGA−9(アナトレース、H109)
200mM(196μl RuAcac溶液中に0.0143g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
にすることにより2倍強度のHEGA溶液を作成した。
【0109】
酵素混合物
RuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
6.7mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム由来)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合し、CovarisのS−シリーズSonoLab−S1ソフトウェア−プログラムHDL4℃を使用した。
【0110】
分注、凍結乾燥、血漿試料の調製、テスト及び解析を、実施例2に記載の通りに行った。
【0111】
結果
96秒における応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションは以下の表の通りである:
【0112】
【表2】

【0113】
これらのHEGA界面活性剤の使用により、界面活性剤を加えていないセンサの応答と比較して、HDLへの応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションが有意に増加する。
【0114】
更に、118秒における応答とHDL及びLDL濃度との間の相関に関する重回帰による解析を、以下の表に示す。
【0115】
【表3】

【0116】
実施例4:グルカミドでの再現性
本実験の目的は、TC特異的界面活性剤又は界面活性剤なしと比較してグルカミド界面活性剤を使用した場合、測定された応答の血漿HDL濃度に対する相関が改善されることを実証することであった。
【0117】
10%β−ラクトース緩衝液は、実施例1に記載の通りであった。
【0118】
界面活性剤溶液
以下の通りに2倍強度の界面活性剤溶液を作成した:
1.996ml 10%ラクトース緩衝液中にCHAPS(シグマ−アルドリッチ社、C5070)10% 0.1996g
1.763ml CHAPS溶液中にデオキシbigCHAPS(Soltec Ventures、S115)10% 0.1763g
1.719ml 10%ラクトース緩衝液中にHega9(アナトレース、H109)200mM 0.1257g
【0119】
次いで、緩衝溶液及び各界面活性剤溶液にRuAcacを加えることにより、それぞれ30mM RuAcacの最終濃度とした:
1.512ml 10%ラクトース緩衝液中に0.0248g RuAcac=ブランク(界面活性剤なし)
1.622ml 10% CHAPS/10% デオキシbigCHAPS溶液中に0.0266g RuAcac
1.628ml 200mM Hega 9溶液中に0.0267g RuAcac
【0120】
RuAcacメディエーター=Cis−[Ru(acac)(Py−3−COH)(Py−3−CO)]
Covarisのアコースティックミキサーを用いて、これらの溶液を混合した。
【0121】
酵素混合物
ブランクRuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
20.2mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム由来)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0122】
生成物の分注及び凍結乾燥
各酵素溶液につき、等量(約1.4ml)の2倍濃度の酵素溶液及び界面活性剤溶液を1:1で混合して、最終の酵素/界面活性剤混合物を得た。加えて、等量(約1.4ml)ずつの2倍濃度の酵素溶液及びブランク30mM RuAcac溶液を混合してブランク混合物を調製した。使用したセンサは、WO2003/056319に記載の通りであった。0.35μl/ウェルの各溶液をセンサ上に分注し、凍結乾燥した。
【0123】
血漿試料を実施例2に記載の通りに調製した。
【0124】
テストプロトコル
12〜15μlの血漿試料を電極ごとに使用した。血漿を加えて、クロノアンペロメトリーテストを開始した。8つのタイムポイント(0、59、118、177、236、295、354及び413秒)にて0.15Vで酸化電流を測定し、最後のタイムポイント(472秒)にて、−0.45Vで還元電流を測定した。各試料を8回テストした。
【0125】
解析
これらのデータを、スペースアナライザーからの血漿試料のHDL濃度に対して相関させた。各タイムポイントにおけるHDLへの応答に関する較正プロットを構築した。全てのセンサからのデータを総合した。
【0126】
結果
59秒における各センサ型に関する較正プロットに関する相関係数を以下の表に示す:
【0127】
【表4】

【0128】
界面活性剤を加えていない又はCHAPS/デオキシbigCHAPを有するセンサと比較して、HEGA−9を含有するセンサに関して測定されたセンサ応答とHDL濃度との間により高い相関が得られる。
【0129】
更に、118秒における応答とHDL及びLDL濃度との間の相関に関する重回帰による解析を以下の表に示す。
【0130】
【表5】

【0131】
実施例5:HEGA−9及びイオン性塩:
本実験の目的は、100mM HEGA−9及び様々なイオン性塩を含有するセンサのHDLへの応答を調べることであった。
【0132】
10%β−ラクトース緩衝液を実施例1に記載の通りに調製した。
10%ラクトース緩衝液にRuAcacを加えることにより、30mM RuAcacを作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0133】
3.724mL RuAcac溶液に0.2612g HEGA−9(アナトレース、H109)を加えることにより、HEGA−9溶液を作成した。
【0134】
イオン性塩溶液
RuAcac溶液に塩を加え、以下の最終濃度にすることにより2倍濃度のイオン性塩溶液を調製した:
【0135】
LiCl(アルドリッチ、21、323−3)
1.5M LiCl溶液:0.0113gを177μLのHEGA−9溶液に溶解した。
1M LiCl溶液:40μlの1.5M LiCl溶液を20μLのHEGA−9溶液と混合した。
【0136】
NaCl(シグマ、S−7653)
1M NaCl溶液:0.0066gを113μLのHEGA−9溶液に溶解した。
【0137】
MgCl(シグマ、C−4901)
500mM MgCl溶液:0.0103gを101μLのHEGA−9溶液に溶解した。
250mM MgCl溶液:30uLの500mM MgCl溶液を30μLのHEGA−9溶液と混合した。
【0138】
CaCl(シグマ、M2670)
500mM CaCl溶液:0.0058gを105μLのHEGA−9溶液に溶解した。
250mM CaCl溶液:30uLの500mMCaCl溶液を30uLのHEGA−9溶液と混合した。
【0139】
Cr(NHCl(マンチェスターオーガニックス)
120mM Cr(NHCl溶液:0.0075gを120μLのHEGA−9溶液に溶解した。
【0140】
Co(NHCl(アルファエイサー、A15470)
120mM Co(NHCl溶液:0.0082gを127μLのHEGA−9溶液に溶解した。
60mM CoNHCl:30μLの120mM Co(NHCl溶液を30μLのHEGA−9溶液と混合した。
【0141】
酵素混合物
HEGA−9溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
6.7mg/ml リパーゼ(ジェンザイム)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0142】
分注及び凍結乾燥
各酵素溶液につき、等量(約40uL)の2倍濃度の酵素溶液及びイオン性塩溶液を1:1で混合して、最終の酵素/イオン性塩混合物を得た。加えて、等量(約40uL)ずつの2倍濃度の酵素溶液及び30mM HEGA−9溶液を混合してブランク混合物を調製した。WO2003/056319に記載の通りに電動ピペットを用いて0.4μL/ウェルの各溶液をセンサ上に分注し、凍結乾燥した。
【0143】
血漿試料を実施例2に記載の通りに調製した。
【0144】
テストプロトコル
12〜15μlの血漿試料を電極ごとに使用した。血漿を加えて、クロノアンペロメトリーテストを開始した。8つのタイムポイント(0、59、118、177、236、295、354及び413秒)にて、0.15Vで酸化電流を測定し、最後のタイムポイント(472秒)にて、−0.45Vで還元電流を測定した。各試料を重複してテストした。
【0145】
これらのデータを、スペースアナライザーからの血漿試料のHDL及びLDL濃度に対して相関させた。各タイムポイントにおけるHDL及びLDLへの応答のグラジエントを用いて、LDL及びHDLの測定結果の間で得られる%ディファレンシエーションを計算した。
【0146】
結果
HDLへの応答のグラジエントが最大値に達する時間は、酵素混合物の間で変化するように見えた。時間を以下の表に示す:
【0147】
【表6】

【0148】
100mM HEGA−9を用いて調製したセンサに関して、イオン性塩の添加の結果、酵素混合物中にイオン性塩が存在するならば、HDLへの応答の最大グラジエントにより迅速に到達した。即ち、応答の速度はイオン性塩の存在により増加した。
【0149】
実施例6:HEGA−9滴定及び異なるリパーゼ又はChE
本実験の目的は、広範囲の濃度のHEGA−9で調製したセンサのHDLへの応答の依存性を調べることであり、並びにまた、異なるリパーゼ又はコレステロールエステラーゼの効果を調べることであった。
【0150】
2つの別々の酵素混合物を同日に製造し、1つはHEGA−9滴定のため、1つは東洋紡リパーゼ又はジェンザイムコレステロールエステラーゼの使用のためである。
【0151】
HEGA−9滴定のための酵素混合物:
30mM RuAcac緩衝液を実施例2記載の通りに作成した。
【0152】
HEGA−9溶液
RuAcac溶液にHEGA−9を加え、以下の最終濃度:
HEGA−9(アナトレース、H109)
600mM(251μl RuAcac溶液中に0.0550g)
400mM(600mM ストック60μl+RuAcac溶液30μl)
200mM(600mM ストック30μl+RuAcac 溶液60μl)
100mM(600mM ストック15μl+RuAcac溶液75μl)
500mM(600mM ストック10μl+RuAcac溶液110μl)
20mM(600mM ストック3μl+RuAcac溶液87μl)
にすることにより2倍強度のHEGA−9溶液を作成した。
【0153】
酵素混合物
RuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
6.7mg/ml リパーゼ(ジェンザイム)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0154】
各酵素溶液につき、等量(約50uL)の2倍濃度の酵素溶液及びHEGA−9溶液を1:1で混合して、最終の酵素/界面活性剤混合物を得た。加えて、等量(約50uL)ずつの2倍濃度の酵素溶液及び30mM RuAcac溶液を混合して、ブランク混合物を調製した。
【0155】
東洋紡リパーゼ又はジェンザイムエステラーゼのための酵素混合物:
ラクトース緩衝溶液を実施例1に記載の通りに作成した。1.018mlのラクトース緩衝溶液に0.0372g HEGA−9(アナトレース、H109)を加えることにより100mM HEGA−9溶液を作成した。963uLの100mM HEGA−9溶液に0.0158g RuAcacを加えることによりRuAcac溶液を作成した。
【0156】
酵素混合物
シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)(東洋紡)由来のリパーゼ又はシュードモナス・エスピー(ジェンザイム)由来のコレステロールエステラーゼのいずれかを用いて2つの別々の最終酵素混合物を調製した。
【0157】
RuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
8.8mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
4.2mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
3.3mg/ml リパーゼ(東洋紡)又は3.3mg/mL コレステロールエステラーゼ(ジェンザイム)
22.2mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより単倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0158】
分注、凍結乾燥、血漿試料調製、テスト及び解析は実施例2に記載の通りに行った。
【0159】
結果
118秒における応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションは以下の表の通りである:
【0160】
【表7】

【0161】
HEGA−9界面活性剤の使用により、界面活性剤を加えていないセンサ応答と比較して、HDLへの応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションが有意に増加する。HDLに対する最も高いディファレンシエーションのためのHEGA−9の最適量は50〜200mMである。
【0162】
界面活性剤を加えていないセンサ応答と比較して、100mM HEGA−9及びジェンザイムリパーゼ、東洋紡リパーゼ又はジェンザイムエステラーゼのいずれかを有するセンサは、HDLに対して増加した応答のグラジエント及びディファレンシエーションを与える。
【0163】
実施例7:MEGA
本実験の目的は、様々なアルキル鎖長を有するMEGA界面活性剤を含有するセンサのHDLへの応答を調べることであった。
実施例2をMEGA−7及びMEGA−8溶液を用いて繰り返した。
実施例2に記載の通りにRuAcac溶液を作成した。
【0164】
MEGA溶液
RuAcac溶液にMEGAを加え、以下の最終濃度:
MEGA−7(ヘプタノイル−N−メチルグルカミド)(シグマ H1639)
200mM(290μl RuAcac溶液中に0.0178g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
【0165】
MEGA−8(Soltec Ventures S116)
200mM(292μl RuAcac溶液中に0.0188g)
100mM(200mM ストック50μl+RuAcac溶液50μl)
50mM(200mM ストック25μl+RuAcac溶液75μl)
にすることにより2倍強度のMEGA溶液を作成した。
【0166】
酵素混合物
RuAcac溶液に酵素を加え、以下の最終濃度:
17.7mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
8.4mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
6.7mg/ml リパーゼ(ジェンザイム)
44.4mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
にすることにより2倍強度で酵素混合物を作成した。Covarisのアコースティックミキサーを用いて、この溶液を混合した。
【0167】
結果
224秒における応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションは以下の表の通りである:
【0168】
【表8】

【0169】
これらのMEGA界面活性剤の使用により、界面活性剤を加えていないセンサ応答と比較して、HDLに対する応答のグラジエント及び%ディファレンシエーションが有意に増加する。
【0170】
実施例8:ブランク及びHEGA−9の変動性
本実験の目的は、界面活性剤を加えないか又は100mM HEGA−9を用いるかのいずれかで調製したセンサの異なるバッチを用いて観察される血漿HDLへの応答における変動性を調べることであった。
【0171】
センサは数ヶ月の期間にわたって何度も調製された。ブランク及びHDL化学物質に関して最終製剤を以下に示す。
【0172】
添加される界面活性剤を含有しない最終酵素混合物
0.1M トリス(pH9.0)
30mM KOH
10%w/v ラクトース
30mM RuAcac
8.8mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
4.2mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
3.3mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム)
22.2mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
【0173】
100mM HEGA−9を含有する最終酵素混合物
0.1M トリス(pH9.0)
30mM KOH
10%w/v ラクトース
30mM RuAcac
100mM HEGA−9(アナトレース、H109)
8.8mM チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(オリエンタル酵母工業株式会社)
4.2mg/ml プチダレドキシンレダクターゼ(バイオカタリスト)
3.3mg/ml リパーゼ(ジェンザイム、クロモバクテリウム・ビスコサム)
22.2mg/ml コレステロールデヒドロゲナーゼ、ゼラチンフリー(アマノ、CHDH−6)
【0174】
分注及び凍結乾燥は、実施例2に記載の通りであった。
【0175】
テストプロトコル
12〜15μlの血漿試料をセンサごとに使用した。血漿を加えて、クロノアンペロメトリーテストを開始した。13のタイムポイント(0、32、64、96、128、160、192、224、256、288、320、352及び384秒)にて、0.15Vで酸化電流を測定し、最後のタイムポイント(416秒)にて、−0.45Vで還元電流を測定した。トランジェント時間は4秒だった。各試料を重複してテストした。
【0176】
8秒のトランジェント時間で較正を何度か行った。6つ又は8つのいずれかのタイムポイント(0、59、118、177、236、295、(354)、(413)秒)にて、0.15Vで酸化電流を測定し、最後のタイムポイント(354又は472秒)にて、−0.45Vで還元電流を測定した。各試料を重複してテストした。
【0177】
Spaceクリニカルアナライザーからの血漿試料のHDL及びLDL濃度と共に、これらのデータを解析した。多重線形回帰を行い、応答のHDL及びLDLグラジエント及び各タイムポイントにおける切片を得た。応答のグラジエントを用いて、%ディファレンシエーションを各タイムポイントにおいて得た。
【0178】
結果
各較正について、電流対[HDL]プロットについての相関係数(r値)が最も高いタイムポイントに関するr値及び%ディファレンシエーションを以下に表にする。
【0179】
【表9−1】

【表9−2】

【0180】
及び%ディファレンシエーションの平均値及び標準偏差をブランク及びHEGA−9センサに関して示している。
【0181】
界面活性剤を加えていないセンサと比較して、平均r値及び%ディファレンシエーションは100mM HEGA−9を有するセンサに関して有意に高かった。加えて、界面活性剤を加えていないセンサと比較して、r値の標準偏差及び%ディファレンシエーションの値は、100mM HEGA−9を有するセンサに関してより低い。
【0182】
界面活性剤を加えていないセンサと比較して、100mM HEGA−9の使用は血漿HDL濃度に対するセンサの応答の相関を有意に増加させる。加えて、HEGA−9の使用により、血漿HDLに対するセンサ応答のバッチごとの再現性は、有意に向上する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するための方法であって、試料を(a)高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤であって、ヒドロキシエチルグルカミド誘導体類及びN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体類から選ばれる界面活性剤と反応させること、並びに高密度リポタンパク質中のコレステロール量を測定することを含む、方法。
【請求項2】
界面活性剤が、高密度リポタンパク質中の、コレステロール量の決定の再現性を向上させるためのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
界面活性剤(a)が、少なくとも50%を下回る、式(i):
【数1】

[式中、測定(HDLコレステロール)又は測定(LDLコレステロール)は、それぞれHDL又はLDL濃度に関係する測定値である]で与えられるLDLに対するHDLのディファレンシエーションを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
界面活性剤(a)が、HEGA−8、HEGA−9、HEGA−10、C−HEGA−9、C−HEGA−10、MEGA−8、MEGA−9、MEGA−10及びMEGA−12から選ばれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
当該方法が、所与の試料のHDL濃度に関する、複数回の測定のデータセットを提供するために、該試料について測定を1回以上繰り返すことを含み、且つ該データセットについてのRが少なくとも0.6である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
高密度リポタンパク質中のコレステロール量が、試料を(b)コレステロールエステル加水分解試薬及び(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応させること、並びにコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応したコレステロールの量を決定することによって測定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
高密度リポタンパク質中のコレステロール量が、電気化学的技法によって測定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
試料を
(a)高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤;
(b)コレステロールエステル加水分解試薬;
(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ;
(d)補酵素;及び
(e)酸化又は還元されて生成物を形成することができる酸化還元剤;
と反応させること、並びに形成された生成物の量を電気化学的に検出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
試料を、さらに(f)レダクターゼと反応させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
試料を、界面活性剤(a)、コレステロールエステル加水分解試薬(b)及びコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ(c)と同時に反応させる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
高密度リポタンパク質を含有する試料が全血であり、且つ方法が、赤血球を除去するために、試料を濾過する段階を更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
高密度リポタンパク質中のコレステロール量の測定が、試料の界面活性剤との反応から3分以下の時間内で完了される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するための方法において使用するための試薬混合物であって、
(a)請求項1〜4のいずれか1項において規定したとおりの高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤;
(b)コレステロールエステル加水分解試薬;及び
(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ
を含む、試薬混合物。
【請求項14】
(d)補酵素、(e)酸化又は還元されて生成物を形成することができる酸化還元剤;及び任意に(f)レダクターゼを更に含む、請求項13に記載の試薬混合物。
【請求項15】
高密度リポタンパク質を含有する試料中の、高密度リポタンパク質中のコレステロール量を決定するためのキットであって、(a)請求項1〜4のいずれか1項において規定したとおりの高密度リポタンパク質を選択的に分解する界面活性剤、(b)コレステロールエステル加水分解試薬、及び(c)コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼ、並びに任意に(d)補酵素、(e)酸化又は還元されて生成物を形成することができる酸化還元剤、及び(f)レダクターゼ、並びにコレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応するコレステロールの量を測定するための手段のうちの1つ以上を含む、キット。
【請求項16】
コレステロールオキシダーゼ又はコレステロールデヒドロゲナーゼと反応するコレステロールの量を測定するための手段が
− 作用電極、参照又は擬似参照電極及び任意に別個の対向電極を有する電気化学セル;
− セルに電位を印加するための電源;及び
− 結果生じる電気化学的応答を測定するための測定機器
を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
試薬(a)、(b)及び(c)並びに任意に(d)、(e)及び(f)のうちの1つ以上が、単一の試薬混合物の形態で存在する、請求項15又は16に記載のキット。
【請求項18】
試薬混合物が乾燥した形態である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項において規定したとおりのキットを使用する方法であって、
(i)(1)試薬(a)、(b)及び(c)並びに任意に(d)、(e)及び(f)のうちの1つ以上と、(2)高密度リポタンパク質を含有する試料とを、互いに、及び、電極と接触させること;
(ii)電気化学セルに電位を印加すること;及び
(iii)結果生じる電気化学的応答を測定することによって、形成された生成物の量を電気化学的に検出すること
を含む、方法。
【請求項20】
段階(iii)が、試料を試薬(a)、(b)及び(c)と接触させた時間から最大3分以内の時間で完了される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
高密度リポタンパク質中の、コレステロール量の決定の再現性の向上における、ヒドロキシエチルグルカミド誘導体類及びN−アシル−N−メチルグルカミン誘導体類から選ばれる界面活性剤の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−537018(P2009−537018A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510533(P2009−510533)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001764
【国際公開番号】WO2007/132222
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(500472327)オックスフォード バイオセンサーズ リミテッド (19)
【Fターム(参考)】