説明

避難場所表示装置

【課題】夜間においても避難場所の認識を明りょうに行わせるのにおいて、太陽電池やバッテリの容量が比較的小さくできる避難場所表示装置を提供する。
【解決手段】表示板1の色表示部11A、11Bと、発光部2から発せられる光とが同じ色調となされていることで、発光部2から発せられる光により避難に係わる色表示部11A、11Bが意識中に喚起されて、夜間においても避難場所の認識を明りょうに行わせることができるが、発光部2が別体に設けられていることで表示板1を発光させる必要がなく、太陽電池やバッテリの容量を比較的小さいものとできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等における避難場所への誘導経路に設置される避難場所表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害発生時に避難場所への誘導を行う表示装置としては、例えば広域避難場所を表示する表示部を有する表示盤と広域避難場所を発声する拡声器を有し、太陽電池によって充電するバッテリを電源とし、表示盤に内臓する制御部は電圧検出部を有し、電圧検出部によって太陽電池の電圧を検出し、日中は電源を断として太陽電池によりバッテリを充電し、夜間は太陽電池の電圧降下を検出してバッテリから電源供給を行い、表示盤の表示部を発光させるとともに拡声器により避難場所を発声させる広域避難誘導装置が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−27284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の避難場所表示装置では、表示盤が発光することで夜間においても避難場所の認識は明りょうになされるものの、表示盤の表示部を発光させる必要があり、十分な視認性を得るには太陽電池やバッテリの容量を大きなものとする必要があり、コスト高等となることから多数の設置が躊躇されるものであった。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、夜間においても避難場所の認識を明りょうに行わせるのにおいて、太陽電池やバッテリの容量が比較的小さくできる避難場所表示装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる避難場所表示装置は、表示板と、太陽電池及び蓄電手段により昼間は充電し夜間は発光するようになされた発光部とを備え、表示板に避難場所が表示された表示装置であって、前記発光部は表示板と別体に設けられ、前記表示板には白色及び黒色以外の色調により避難に係わる色表示部が形成され、該色表示部と前記発光部から発せられる光とが同じ色調となされていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係わる避難場所表示装置によれば、表示板の色表示部と発光部から発せられる光とが同じ色調となされていることで、発光部から発せられる光により避難に係わる色表示部が意識中に喚起されて、夜間においても避難場所の認識を明りょうに行わせることができるが、発光部が別体に設けられていることで表示板を発光させる必要がなく、太陽電池やバッテリの容量を比較的小さいものとできる。
【0008】
また前記発光部は、発光ダイオードにより光が発せられるようになされ、該発光ダイオードの発する光の色調自体が前記色表示部と同じ色調となされていれば、発光部の形成において発光ダイオードのみを選択して任意の色調とすることができ、様々な色調の色表示部への対応を容易とすることができ好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係わる避難場所表示装置によれば、表示板の色表示部と発光部から発せられる光とが同じ色調となされていることで、発光部から発せられる光により避難に係わる色表示部が意識中に喚起されて、夜間においても避難場所の認識を明りょうに行わせることができるが、発光部が別体に設けられていることで表示板を発光させる必要がなく、太陽電池やバッテリの容量を比較的小さいものとできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係わる最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係わる避難場所表示装置の、実施の一形態を示す正面図である。避難場所表示装置10は、立設された支柱3に表示板1及び発光部2が取り付けられ、上方に発光部2、下方に表示板1が取り付けられて形成されている。表示板1には、白色の下地13に、緑色の色調で津波に対する警戒を示すピクトである色表示部11A、及び避難場所への方向を示す矢印である色表示部11Bが標示されている。また色表示部11A及び11Bの他に、補助的に津波避難場所であることを日本語及び英語で示している文字表示部12が設けられている。
【0012】
発光部2は、正面視円形の本体22の、下方は支柱3への取り付けを行う取付部24が設けられ、上端付近が太陽電池部23となされ、これらが一体に設けられているものであり、本体22の前面から発光体21により光が発せられるようになされている。発光体21は本体22の周縁付近に同心円上となるように六体が等間隔に配置されており、発光体21により囲まれた中央部分にはプリズム反射体Rが取り付けられて再帰反射性も得られるようになされている。
【0013】
この、表示板1に設けられた色表示部11A及び11Bと、発光部2の発光体21から発せられる光とが同じ色調となされていることで、昼間に色表示部11A及び11Bと視認して、避難場所の表示が緑色によってなされていることが意識下に記憶され、夜間における避難時等において発光部2から緑色の光が発せられていることで、意識中に緑色が避難場所であることが喚起されて避難場所を認識できる可能性が高くなることで、夜間においても明りょうに避難場所を認識できるようになされる。
【0014】
図2は、発光部2の詳細を示す図1におけるA−A縦断面図である。発光体21は、発光ダイオード211の前面に、発光ダイオード211から側方に漏洩した光を前面への平行光に変換するレンズ体212が設けられて形成されたものであり、発光ダイオード211は緑色の光を発するものが用いられて発光体21から外界へ直接光Lが発せられるようになされている。太陽電池部23に設けられた太陽電池セル231に太陽光が照射されることにより、昼間は本体22内に設けられた鉛蓄電池である蓄電手段4に電力が蓄電され、夜間は蓄電手段4に蓄電された電力が回路基板5を通じて発光ダイオード211に供給されることで緑色の光Lが発せられて発光部2が発光される。
【0015】
発光部2から発せられる光Lは、レンズ212やその前面を着色透明なものとして所望の色調としてもよいが、発せられる色が所望の色調である発光ダイオード211を用いることで、他の部分を変更することなく容易に所望の色調の光Lを発光部2から発せさせることができる。また発光ダイオード211は白熱電球等と異なり素子自体によって色調を発現することができることから、部材の退色等による色の変化が起こる恐れをなくして、長期に亘って所望の色調を発現させることができる。
【0016】
また本実施形態においては、正面のみを示しているが、発光部2を表裏にて発光可能なものとして、表示板1の色表示部11A及び11Bと同じ側の発光部2からは色表示部11A及び11Bと同じ色調の光を発するようにして、反対側の発光部からは色表示部11A及び11Bと異なる色調の光、例えば赤色の光が発せられるようにしておけば、夜間において表示板1が殆ど視認できないような状態であっても、緑色に発光している方向が避難場所、赤色に発光している方向は異なる方向であると即座に認識することができ、避難場所への誘導を更に円滑に行うことができるものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わる避難場所表示装置の、実施の一形態を示す正面図である。
【図2】表示部の詳細を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 表示板
11A、11B 色表示部
2 発光部
211 発光ダイオード
23 太陽電池部
4 蓄電手段
10 避難誘導装置
L 光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示板と、太陽電池及び蓄電手段により昼間は充電し夜間は発光するようになされた発光部とを備え、表示板に避難場所が表示された表示装置であって、前記発光部は表示板と別体に設けられ、前記表示板には白色及び黒色以外の色調により避難に係わる色表示部が形成され、該色表示部と前記発光部から発せられる光とが同じ色調となされていることを特徴とする避難場所表示装置。
【請求項2】
前記発光部は、発光ダイオードにより光が発せられるようになされ、該発光ダイオードの発する光の色調自体が前記色表示部と同じ色調となされていることを特徴とする請求項1に記載の避難場所表示装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−226689(P2007−226689A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49412(P2006−49412)
【出願日】平成18年2月25日(2006.2.25)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】