説明

避難用ハッチ

【課題】避難用梯子を収納し、上蓋と下蓋とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチにおいて、収納時の避難用梯子の荷重が、前記避難用ハッチの下蓋に加わるのを抑止し、下蓋の予測しない開放によって前記避難用梯子が延伸降下するのを防止できる避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチを提供する。
【解決手段】避難用ハッチ枠体の上蓋と下蓋が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板に植設された3本の軸体に軸支された第1アーム、第2アーム、第3アームとからなる左右一対のリンク機構と、一対のリンク機構を連結する側板を両端に避難用梯子緩降・巻上げ装置を装着する装着部を中央部に備えた梁部材と、前記梁部材の装着部に取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子の最下段にその先端が取り付けられたロープを繰り出し、また巻き上げて前記避難用梯子を迅速安全に延伸降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置とで構成されてなる避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マンション等の建物のベランダや床に穿設された方形の開口部に設置され、緊急避難時に上階から下階へ避難するための避難用梯子を収納し、上蓋と下蓋とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチにおいて、収納時の避難用梯子の荷重が、前記避難用ハッチの下蓋に加わるのを抑止し、下蓋の予測しない開放によって前記避難用梯子が延伸降下するおそれを防止する避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチに関する。
【背景技術】
【0002】
高層マンション等の建造物においては火災発生等による緊急避難時に上階から下階に避難できるようベランダや床に避難用梯子を収納した避難用ハッチが設置される。そして同避難用ハッチに収納される避難用梯子として多数本の横桟と、上下に隣接する横桟の両端同士を連結する折り畳み自在な縦材とでなる折り畳み式梯子や、梯子の両側の柱体が上下にスライドして伸縮する伸縮式梯子などが用いられる。
しかし、ベランダや床に設けられる避難用ハッチ上蓋と下蓋の間隔はその床厚によって制限されるので、避難用梯子を単に上下に折り畳み又はスライドさせて縮めるだけでは、前記ハッチ内に収納することができない。したがって、前記避難用梯子の上端部を前記ハッチに回動自在に支持させ、避難用ハッチの上蓋を押し下げることによってこれに連動して下蓋が閉じる際に前記被難梯子の下端部を前記下蓋によって持ち上げてハッチ枠体内に収容する方法がとられている。
伸縮式の避難用梯子を備えた避難用ハッチとしては、例えば特開2003−70922号公報に開示されたものがある。
すなわち、「横断面が同一の形状及び大きさに形成された複数枚の縦長板状の柱材を前後方向へ重ね合わせて長手方向へ摺動自在とした伸縮式の左右の伸縮柱体と、左右の伸縮柱体間に長手方向に沿って一定間隔毎に配設され、両端部が対向する左右の柱材の一端部に夫々取り付けられた複数本の横桟と、左右の伸縮柱体の各柱材を長手方向へ伸縮自在に連結すると共に、伸長状態になった伸縮柱体の各柱材が長手方向へ抜けるのを防止する連結機構とを具備した伸縮式の避難用梯子に於いて、前記各横桟を対向する左右の柱材間に夫々配置し、各横桟の両端部をその両端面が左右の柱材に夫々対向する状態で且つ左右の柱材の一端部に夫々取り付けるようにしたことを特徴とする伸縮式の避難用梯子。〔請求項1〕」の第2の実施の形態として明細書の段落〔0033〕に、「当該避難用梯子は、左右の伸縮柱体、複数本の横桟、連結機構及び緩降装置等から成り、不使用時には建物のベランダの床に設置した開閉可能な格納箱内に短縮状態で収納され、使用時には開放された格納箱内から自重により伸長降下して伸長垂下状態になるように構成されている。」と記載され、この避難用梯子が避難用ハッチに適用されることが示されている。
上記発明の避難梯子は、避難者の足裏に当接する横桟の幅が25mmと設定されており、短縮時の形態がコンパクトになるよう、前記横桟の一部が上下に重なり合うようにして短縮される構成になっている。したがって、この避難用梯子を避難用ハッチに装着した場合、図12に見られるように、短縮された避難用梯子の1段1段が前方に少しずつずれた形で収納されるので、梯子の段数が増えると避難用ハッチの開口を拡げなくてはならないこととなり、狭いバルコニーでは設置できないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−70922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術に記載した避難用ハッチ収容の避難用梯子は、下蓋によって押し上げられて収納されているため、下蓋と連動して開閉する上蓋が例えば強風に吹き上げられ下蓋が開くと、前記避難用梯子が自重によってハッチ外に突出し、延伸降下するおそれがある。そのため避難用ハッチの避難用梯子にはラッチ式の巻き上げ機構が備えられており、ロックレバーによるロックを解除しない限り下蓋が開いても避難用梯子が延伸降下することはないが、一度開いた下蓋を上蓋の自重のみで閉じることは、下蓋に避難用梯子の荷重が加わっていることから不可能であり、折り畳まれ又はスライドして縮められた状態の避難用梯子が避難用ハッチの下側にはみ出したままの状態となってしまうという問題は起こりうる。
本発明は上記問題を解決するため、避難用梯子のハッチ内への収納を、ハッチ下蓋の押し上げによるのではなく、独立した避難用梯子取付・支持機構によって、下蓋の予測せざる開きにも影響を受けず、収納状態を常に安定して保持できるようにした避難用ハッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を下記の手段によって解決した。
(1)マンション等の建物のベランダや床に穿設された方形の開口部に設置され、緊急避難時に上階から下階へ避難するためのスライド伸縮式の避難用梯子を収納し、上蓋と下蓋とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチにおいて、前記避難用梯子を避難用ハッチ内に収納した際、前記避難用梯子の荷重が前記避難用ハッチの下蓋に加わるのを抑止してなる避難用梯子取付・支持機構を備えてなることを特徴とする避難用ハッチ。
【0006】
(2)前記避難用梯子取付・支持機構が避難用ハッチ枠体の前記上蓋と下蓋が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板と、
該一対の取付基板に植設された3本の軸体に軸支された第1アーム、第2アーム、第3アームとからなる左右一対のリンク機構と、
前記左右一対のリンク機構を連結する側板を両端に、避難用梯子緩降・巻上げ装置を装着する装着部を中央部に備えた梁部材と、
前記梁部材の装着部に取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子の最下段にその先端が結着されたロープを繰り出し、また巻き上げて前記避難用梯子を避難ハッチから迅速安全に降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置と
で構成されてなることを特徴とする前項(1)に記載の避難用ハッチ。
【0007】
(3)前記リンク機構を構成する各アームが
a.第1アームは、長尺のアームであって、その一方の端部は前記取付基板の第1軸体に軸支され、かつ第2アームと係合するための3本以上の歯からなる歯車部が該軸支点を中心に形成されてなり、軸支点から離れたもう一方のアーム先端部には前記避難用梯子を装着する避難用梯子装着部が備えられ、そして前記歯車部には、前記取付基板に穿設された円弧状スリットに挿入されて前記避難用梯子の収納時と降下使用時における第1アームの回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起が内側に向けて突設され
b.第2アームは、その一方の端部が前記取付基板の第2軸体に軸支され、かつ前記第1アームの歯車部と係合するための3本以上の歯からなる歯車部が該軸支点を中心に形成されてなり、また第2アームの前記歯車部には、巻き上げによって短縮された避難用梯子の上端が当接し、さらなる巻き上げで前記避難用梯子の上端によって押し上げて前記第2アームを第2軸体の回りに回動させ、前記リンク機構の作動によって避難用梯子を避難用ハッチ内に収納させる突起板が外側に向けて突設されてなり、そしてもう一方の端部が前記梁部材の側板に植設された軸体に回動可能に軸支され、
c.第3アームは、2個所で鈍角に折れ曲がった形状を有し、一方の先端が前記梁部材の側板に植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板の第3軸体(2c)に軸支されてなる
ことを特徴とする前項(2)に記載の避難用ハッチ。
【0008】
(4)前記リンク機構を構成する各アームが
a.第1アームは、長尺のアームであって、その一方の端部に近い所で前記取付基板の第1軸体に軸支され、そして軸支点から長く延びた側の第1アームの先端に前記避難用梯子を装着する避難用梯子装着部が備えられ、また軸支点から短い側の端部には前記取付基板に穿設された円弧状スリットに挿入されて前記避難用梯子の収納時と降下使用時における第1アームの回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起が内側に向けて突設され、また前記回動範囲制限用突起を設けた端部近傍に第2アームとリンクするための第2アームリンク用スリットを備えてなり、
b.第2アームは、ホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームであって、その屈曲部が前記取付基板の第2軸体に軸支され、そして短い側の端部付近には前記第1アームに穿設された第2アームリンク用スリットに挿入されて前記第1アームとリンクするための柱状突起を備え、長い側の端部付近には前記梁部材の側板に植設された軸体に回動可能に軸支され、
c.第3アームもホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームであって、その短い一方の側の端部は前記梁部材の側板に植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板の第3軸体に軸支されてなる
ことを特徴とする前項(2)に記載の避難用ハッチ。
【0009】
(5)前記避難用梯子緩降・巻上げ装置が、ラチェット機構を具備し、該ラチェット機構をハンドル等の巻き取り手段によって前記スライド伸縮式避難用梯子の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取り、避難時の使用によって延伸降下した避難用梯子を引き上げて短縮するとともに、さらに前記巻き取り手段の操作を継続することによって、前記3つのアームからなるリンク機構を作動させ、短縮された避難用梯子を前記第1アーム先端の避難用梯子装着部を前記取付基板の第1軸体を中心に回動させて前記ハッチ枠体内に収納し、かつ前記ラチェット機構のロック機能によって巻き上げられハッチ枠体(内に収納された避難用梯子が自重によって降下するのを防止し、避難用梯子収納状態が、避難用ハッチ1の上蓋、下蓋の開閉とは無関係に常に安定して保持されるよう構成されてなることを特徴とする前項(2)〜(4)のいずれか1項に記載の避難用ハッチ。
【0010】
(6)前記避難用梯子緩降・巻上げ装置が、具備したラチェット機構のロック機能をワンタッチで解除する解除レバーを備えてなり、該解除レバーの操作によって避難用梯子を安全、かつ迅速に降下させられるよう構成されてなることを特徴とする前項(2)〜(5)のいずれか1項に記載の避難用ハッチ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の避難用ハッチによって、下記の効果が発揮される。
〈1〉マンション等の建物のベランダや床に穿設された方形の開口部に設置され、緊急避難時に上階から下階へ避難するためのスライド伸縮式の避難用梯子を収納し、上蓋と下蓋とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチにおいて、前記避難用梯子を避難用ハッチ内に収納した際、前記避難用梯子の荷重が前記避難用ハッチの下蓋に加わるのを抑止する本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えることによって、上蓋が強風によって吹き上げられ連動する下蓋が開くといった不測の事態に遭遇しても、避難用梯子が延伸降下することなく、常に安定した収納状態が保持でき、不測の延伸降下による階下における安全性に対する不安やその影響を徐去することができる。
【0012】
〈2〉前記避難用梯子取付・支持機構が、避難用ハッチ枠体の前記上蓋と下蓋が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板と、該一対の取付基板に植設された3本の軸体に軸支された第1アーム、第2アーム、第3アームとからなる左右一対のリンク機構と、前記左右一対のリンク機構を連結する側板を両端に、避難用梯子緩降・巻上げ装置を装着する装着部7bを中央部に備えた梁部材と、前記梁部材の装着部に取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子の最下段にその先端が結着されたロープを繰り出し、また巻き上げて、前記避難用梯子を避難ハッチから迅速安全に降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置とで構成され、
かつ、前記リンク機構の第1アームと第2アームの連結が、それぞれの軸支を点中心として形成された3本以上の歯からなる歯車部の係合、又は第1アームの軸支点近傍に穿設された第2アームリンク用スリットへ第2アームに設けられた柱状突起を挿入することによって行われているので、製造はもとより、保守点検が容易で、避難時に不測の故障を起こすことなく確実に作動する、安全で安心して使用できる避難用梯子取付・支持機構が提供できる。
【0013】
〈3〉前記避難用梯子緩降・巻上げ装置が、ラチェット機構を具備し、該ラチェット機構をハンドル等の巻き取り手段によって前記伸縮式避難用梯子の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取り、避難時の使用によって延伸降下した避難用梯子を引き上げて短縮するとともに、さらに前記巻き取り手段の操作を継続することによって、前記3つのアームからなるリンク機構が作動し、前記第1アームが取付基板の第1軸体を中心にして回動し、第1アームの先端に装着支持された短縮状態の避難用梯子を前記ハッチ枠体内に収納し、かつ前記ラチェット機構のロック機能によって巻き上げられハッチ枠体内に収納された避難用梯子が自重によって降下するのを防止されるので、避難用梯子収納状態が、避難用ハッチの上蓋下蓋の開閉とは無関係に常に安定して保持され、避難用梯子の不測の延伸降下による階下における安全性に対する不安やその影響を徐去することができる。
また、前記避難用梯子緩降・巻上げ装置が、具備したラチェット機構のロック機能を解除することによって、避難用梯子を完全かつ迅速に延伸降下できるよう構成されているので、非常事態における避難路を安全かつ確実に確保できる。
【0014】
〈4〉前記基板が、前記第1アームを回動自在に軸支する軸体の近傍に第1アームの回動範囲を必要限度内にとどめるための円弧状のスリットを有してなり、該円弧状スリットに前記第1アームの短い側の端部に突設された回動範囲制御用突起板を摺動可能に挿入されてなるので、第1アームの先端の避難用梯子支持部で支持された避難用梯子が延伸降下する際、前記頻用梯子の下端部が常に定められた位置に降下させることができ、安全な避難経路が確保ができる。
【0015】
〈5〉避難用梯子の延伸降下時に、前記リンク機構の作用によって避難用ハッチの枠体の上方に押し上げられた避難用梯子緩降・巻き上げ装置によって、延伸降下した避難用梯子の最下段にその先端が結着されたロープを巻き上げて前記避難用梯子を引き上げて短縮した後、更に巻き上げ操作を継続することによって、前記リンク機構の作用によって、前記避難用梯子緩降・巻き上げ機構が避難用ハッチ内に降下するとともに、短縮した避難用ハッチの下端部も第1アームの回動によって避難用ハッチ枠体内に収納されるので、従来、避難用梯子の巻き上げ短縮と、短縮された避難用梯子の下端を引き上げて避難用ハッチ内へ収納するという2段階の手順で行われていた作業が、前記避難用梯子緩降・巻き上げ機構のロープ巻き上げ操作のみによって行えるので、避難訓練も容易に行え、緊急避難時への備えを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えたハッチの一実施例の斜視図
【図2】避難用ハッチ収容時における図1に示す避難用梯子取付・支持機構の右側面図
【図3】図1に示す避難用梯子取付・支持機構の作用説明図
【図4】本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えたハッチの他の実施例の斜視図
【図5】避難用ハッチ収容時における図4に示す避難用梯子取付・支持機構の右側面図
【図6】図4に示す避難用梯子取付・支持機構のリンク構成図
【図7】図4に示す避難用梯子取付・支持機構の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の避難用ハッチを実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
本発明の避難用ハッチは、、スライド延伸式の避難用梯子50を収納し、上蓋11と下蓋12とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチにおいて、前記避難用梯子50を避難用ハッチ1内に収納しした際、前記避難用梯子50の荷重が前記避難用ハッチ1の下蓋12に加わるのを抑止する避難用梯子取付・支持機構を備えたものである。
【実施例1】
【0018】
本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチを実施するための形態としての一実施例を、図1〜図3に基づいて説明する。
ここで図1は本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチの一実施例の斜視図、図2は避難用ハッチ収容時における図1に示す避難用梯子取付・支持機構の右側面図、図3は図1に示す避難用梯子取付・支持機構の作用説明図であり、図において1は避難用ハッチ、2は第1アーム、2aは避難用梯子装着部、2bは回動範囲制限用突起、2dは第1アームの歯車部、3は第2アーム、3aは第2アームの歯車部、3bは突起板、4は第3アーム、5は取付基板、5a、5b、5cは軸体、5dは円弧状スリット、6は避難用梯子緩降・巻上げ装置、6aは解除レバー、7は梁部材、7aは側板、7bは装着部であり、11は上蓋、12は下蓋、13はハッチ枠体、50は避難用梯子である。
【0019】
本実施例の避難用梯子取付・支持機構は、図1及び図2に示すように、避難用ハッチ枠体13の前記上蓋11と下蓋12が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板5と、
該一対の取付基板5に植設された3本の軸体5a、5b、5cに軸支された第1アーム2、第2アーム3、第3アーム4とからなる左右一対のリンク機構と、
前記左右一対のリンク機構を連結する側板7aを両端に、避難用梯子緩降・巻上げ装置6を装着する装着部7bを中央部に備えた梁部材7と、
前記梁部材7の装着部7bに取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子50の最下段にその先端が結着されたロープを繰り出し、また巻き上げて前記避難用梯子50を避難ハッチ1から迅速安全に降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置6とで構成されている。
【0020】
そして前記リンク機構は、
a.長尺のアームの一方の端部が前記取付基板5の第1軸体5aに軸支され、かつ第2アーム3と係合するための3本以上の歯からなる歯車部2dが該軸支点を中心に形成されてなり、軸支点から離れたもう一方のアームの先端部に前記避難用梯子50を装着支持する避難用梯子装着支持部2aを備え、そして前記歯車部2dには、前記取付基板5に穿設された円弧状スリット5dに挿入されて前記避難用梯子の収納時と降下使用時における第1アームの回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起2bが内側に向けて突設された第1アーム2と
b.一方の端部が前記取付基板5の第2軸体5bに軸支され、かつ前記第1アーム2の歯車部2dと係合するための3本以上の歯からなる歯車部3aが該軸支点を中心に形成されてなり、また第2アーム2の前記歯車部2aには、巻き上げによって短縮された避難用梯子50が当接し、さらなる巻き上げで前記短縮された避難用梯子50によって押し上げられ前記第2アーム2を第2軸体5bの回りに回動させて避難用梯子50を避難用ハッチ1内に収納させる突起板3bが外側に向けて突設され、そしてもう一方の端部が前記梁部材7の側板7aに植設された軸体に回動可能に軸支された第2アーム3と、
c.2個所で鈍角に折れ曲がった形状を有し、一方の先端が前記梁部材7の側板7bに植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板5の第3軸体5cに軸支された第3アームと
で構成されており、前記第1アーム2と第2アーム3とのリンクは、第1アームの歯車部2dと第2アーム3の歯車部3aとの係合によって、また第2アーム3と第3アーム4とのリンクは、梁部材7両端の側板7aを介してなされている。
【0021】
本実施例1として示した避難用梯子支持機構の作用について、図3に基づいて説明する。
図3(a)は避難用梯子50が避難用ハッチ1内に収納された状態時における避難用梯子取付・支持機構を示す。この状態では、避難用梯子緩降・巻上げ装置5のラチェット機構はロックされており、避難用ハッチ1の上蓋11が強風に吹き上げられ連動する下蓋12が開くといった不測の事態が起こったとしても、この状態は常に安定して維持される。
避難時には、上蓋を11を引き上げて開くことによって連動する下蓋12も開放した後、前記ラチェット機構の解除レバー6aを開放すると、図3(b)に示すように、避難用梯子の自重によって第1アーム2の先端の避難用梯子支持部2aが、前記取付基板5に植設された軸体5aを回動軸として下方に回動し、短縮してハッチ枠体13内に収納されていた避難用梯子50が延伸・降下を始める(避難用梯子の状態は図示せず)。
第1アーム2先端の避難用梯子装着支持部2aの回動降下によって、該第1アーム2の歯車部2dが前記取付基板5の第1軸体5aを回動軸として回動し、前記歯車部2dに係合された第2アーム3の歯車部3aを前記取付基板5の第2軸体を回動軸として回動させる。この際、第1アーム2の前記歯車部2dに突設された回動範囲制限用突起2bが前記取付基板5に穿設された円弧状のスリット5dに沿って摺動するので、前記第1アーム2及び第2アーム3の回動角度範囲は所定の値に制限されており、第1アーム2の歯車部2dと第2アームの3の歯車部3aは3個以上という少ない歯で構成されはいるがその係合が回動によって離脱するおそれは全くなく、安全に確実に作動する。
前記第2アーム3の回動によって、第2アーム3の他の先端に装着された梁部材7の側板7aを、梁部材7の装着部7bに装着された避難用梯子緩降・巻き上げ装置6ともども避難用ハッチ1の枠体13の上方に押し上げる。
なお、前記梁部材7の側板7aは取付基板6に植設された軸体6cに回動自在に軸支された第3アーム4によっても支持されているので、前記避難用梯子緩降・巻上げ装置6はその姿勢を傾けることなく安定した状態で押し上げられる。
【0022】
第1アーム2の回動の範囲は、前記第1アーム2の回動範囲制限用突起2bが、前記取付基板5に穿設された前記円弧状スリット5dに挿入され円弧状スリット5d内を摺動して移動する範囲に限られ、避難用梯子に延伸・降下完了した時点では、前記避難用梯子支持機構は、図3(c)に示す状態となる。
【0023】
延伸降下させた避難用梯子50を、前記避難ハッチ枠体13の内に収納するには、前記避難用梯子緩降・巻上げ装置6のハンドル装着軸にハンドル等の巻取手段を装着して、前記スライド伸縮式避難用梯子50の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取りることによって避難用梯子50を引き上げて短縮するとともに、短縮終了後さらに前記巻取手段の操作を継続することによって、前記短縮された避難用梯子50の上端が前記第2アーム3の歯車部3aに外側に向けて突設された突起板3bに当接して押し上げるので、前記第2アーム3が前記取付基板5の第2軸体5bを回動軸として延伸・降下時とは逆方向に回動し、それに伴うリンク機構の作用により第1アーム2の先端に装着支持された短縮状態の避難用梯子50、及び第2アーム3と第3アーム4によって支持された避難用梯子緩降・巻き上げ装置を、図3(a)に示すようにハッチ枠体13内に収納する。
前記避難用梯子緩降・巻き上げ装置には、巻き上げ時の負荷の軽減と戻り防止のためにラチェット機構を具備しているので、使用済み被難梯子の避難ハッチ1内への収納も、安全、かつ容易に行え、収納後もその状態を安定して保持できる。
最後に上蓋11とこれに連動する下蓋12を閉じて収納操作を完了する。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチを実施するための他の形態を、図4〜図7に基づいて説明する。
ここで図4は本発明の避難用梯子取付・支持機構を備えた避難用ハッチの他の実施例の斜視図、図5は避難用ハッチ収容時における図4に示す避難用梯子取付・支持機構の右側面図、図6は図4に示す避難用梯子取付・支持機構のリンク組立構成図、図7は図4に示す避難用梯子取付・支持機構の作用説明図であり、図において1は避難用ハッチ、2’は第1アーム、2aは避難用梯子装着部、2bは回動範囲制限用突起、2cは第2アームリンク用スリット、3’は第2アーム、3cは柱状突起、4’は第3アーム、5は取付基板、5a、5b、5cは軸体、5dは円弧状スリット、6は避難用梯子緩降・巻上げ装置、6aは解除レバー、7は梁部材、7aは側板、7bは装着部であり、11は上蓋、12は下蓋、13はハッチ枠体、50は避難用梯子である。
【0025】
本実施例の避難用梯子取付・支持機構は、図4及び図5に示すように、避難用ハッチ枠体13の前記上蓋11と下蓋12が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板5と、
該一対の取付基板5に植設された3本の軸体5a、5b、5cに軸支された第1アーム2、第2アーム3、第3アーム4とからなる左右一対のリンク機構と、
前記左右一対のリンク機構の第2アーム3’と第3アーム4’とを連結する側板7aを両端に、避難用梯子緩降・巻上げ装置6を装着する装着部7bを中央部に備えた梁部材7と、
前記梁部材7の装着部7bに取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子50の最下段にその先端が結着されたロープを繰り出し、また巻き上げて前記避難用梯子50を避難ハッチ1から迅速安全に降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置6と
で構成されている。
【0026】
前記リンク機構は
a.長尺のアームの一方の端部に近い所で前記取付基板5の第1軸体5aに軸支され、そして軸支点から前方に長く延びた側の先端に前記避難用梯子50を装着する避難用梯子装着部2aが備えられ、また軸支点から後方に短く設えられた側の端部には前記取付基板5に穿設された円弧状スリット5dに挿入されて前記避難用梯子50の収納時と降下使用時における第1アーム2の回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起2bが内側に向けて突設され(図3参照)、また前記回動範囲制限用突起2bを設けた端部近傍に第2アーム3とリンクするための第2アームリンク用スリット2cを備えた第1アームと、
b.ホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームの屈曲部が前記取付基板5の第2の軸体5bに軸支され、そして短い側の端部付近には、前記第1アーム2に穿設された第2アームリンク用スリット2cに挿入されて前記第1アーム2とリンクするため内側に向けて突設された柱状突起3aを備え、長い側(スティックの柄に相当する部分)の端部付近には前記梁部材7の側板7aに植設された軸体に回動可能に軸支された第2アーム3と、
c.ホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームの短い一方の側の端部には前記梁部材7の側板7aに植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板5の第3の軸体2cに軸支された第3アーム4と。
で形成されている。
【0027】
そして、このリンク機構は、図6に示すように、第1アーム2は一対の取付基板5の互いに相背する面(以下外面と記し、相対する面を内面と記す)の下部に植設された第1の軸体5aに回動可能に軸支され、前記回動範囲制限突起2bを前記取付基板5に穿設された円弧状スリット5dに挿入され、
第2アーム3は前記取付基板5の外面上部に植設された第2の軸体5bに回動可能に軸支され、前記端部に内側に向けて突設された柱状突起3cを前記第1アーム2の外方から、第1アーム2に穿設された第2アームリンク用スリット2cに挿入され、第2アーム3の屈曲点から長い方の端部は、左右一対のリンク機構を接続し避難用梯子緩降・巻き上げ装置6を装着した梁部材7の側板7aの外面下部に設けられた軸体に回動可能に装着され、
第3アーム4は、その屈曲点から長い方の端部が、前記取付基板5の内面に植設された第3の軸体5cに回動自在に軸支され、他端は前記背部材7の側板内面に設けられたもう一つの軸体に回動可能に装着されて形成されている。
【0028】
前記避難用梯子緩降・巻上げ装置5は、巻き上げ時の負荷の軽減と戻り防止のためにラチェット機構を具備し、該ラチェット機構をハンドル等の巻取手段を用いることによって前記スライド伸縮式避難用梯子50の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取り、避難時の使用によって延伸降下した避難用梯子50を引き上げて短縮するとともに、さらに前記巻取手段の操作を継続することによって、前記第1ア−ム2’の回動範囲制限用突起2bが取付基板5に穿設された円弧状スリット5dに沿って摺動し、前記第1アーム2’を取付基板5の第1軸体5aを中心にして回動させるので、前記リンク機構を構成する各アーム2’、3’、4’が延伸・降下時とは逆の方向に回動し、前記第1アーム2の先端に装着された短縮状態の避難用梯子50、及び第2アーム3’と第3アーム4’とで支持された避難用梯子緩降・巻き上げ装置6自体をも前記ハッチ枠体13内に収納可能にしている。
そして、前記ラチェット機構のロック機能によって巻き取られたロープが避難用梯子50の自重によって引き出されるのを防止し、避難用梯子50が、避難用ハッチ1の上蓋11、下蓋12の開閉とは無関係に常に安定した状態で保持されるよう構成され、避難時にはこのラチェット機構のロック機能を解除レバー6aの操作によって解除でき、避難用梯子50は安全かつ迅速に延伸降下する。
【0029】
次に避難用梯子支持機構の作用について、図4に基づいて説明する。
図7(a)は避難用梯子50が避難用ハッチ1内に収納された状態時における避難用梯子取付・支持機構を示す。この状態では、避難用梯子緩降・巻上げ装置5のラチェット機構はロックされており、避難用ハッチ1の上蓋11が強風に吹き上げられ連動する下蓋12が開くといった不測の事態が起こったとしても、この状態は常に安定して維持される。
避難時には、上蓋を11を引き上げて開くことによって連動する下蓋12も開放した後、前記ラチェット機構の解除レバー6aを操作すると、図7(b)に示すように、避難用梯子の自重によって第1アーム2の先端の避難用梯子装着部2aが、前記取付基板5に植設された第1の軸体5aを回動軸として下方に回動し、短縮してハッチ枠体13内に収納されていた避難用梯子50が延伸・降下を始める(避難用梯子の状態は図示せず)。
第1アーム2先端の避難用梯子装着部2aの回動降下によって、該第1アーム2の短い腕部の先端部に突設された回動範囲制限用突起2bが前記取付基板5に穿設された円弧状のスリット5dに沿って回動し、かつ第1アーム2に穿設された第2アームリンク用スリット2cに挿入された前記第2アーム3の柱状突起3aを押し上げるので、前記第2アーム3は、前記取付基板5に植設された第2の軸体5bを回動軸として回動し、先端に装着された梁部材7の側板7aとともに、梁部材7の装着部7bに装着された避難用梯子緩降・巻き上げ装置6を避難用ハッチ1の枠体13の上方に押し上げ上げる。
なお、前記梁部材7の側板7aは取付基板6に植設された第3の軸体6cに回動自在に軸支された第3アーム4によっても支持されているので、前記避難用梯子緩降・巻上げ装置6はその姿勢を傾けることなく安定した状態で押し上げられる。
【0030】
第1アーム2の回動の範囲は、前記第1アーム2の回動範囲制限用突起2bが、前記取付基板5に穿設された前記円弧状スリット5dに挿入され円弧状スリット5d内を摺動して移動する範囲に限られ、避難用梯子に延伸・降下完了した時点では、前記避難用梯子支持機構は、図4(c)に示す状態となる。
【0031】
延伸・降下させた避難用梯子50を、前記避難ハッチ枠体13の内に収納するには、前記避難用梯子緩降・巻上げ装置6のハンドル装着軸にハンドル等の巻き取り手段を装着して、前記スライド伸縮式避難用梯子の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取りることによって避難用梯子を引き上げて短縮するとともに、短縮終了後さらに前記巻取手段の操作を継続することによって、前記リンク機構を構成する3つのアームを延伸・降下時とはそれぞれ逆の方向に回動させ、第1アームの先端に装着支持された短縮状態の避難用梯子50を図4(a)に示すよう横にしてハッチ枠体13内に収納する。
前記避難用梯子緩降・巻き上げ装置には、巻き上げ時の負荷の軽減と戻り防止のためにラチェット機構を具備しているので、使用済み被難梯子の避難ハッチ1内への収納も、安全、かつ容易に行え、収納後もその状態を安定して保持できる。
最後に上蓋11とこれに連動する下蓋12を閉じて収納操作を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る避難用梯子取付・支持機構は、新築建造物はもちろんのこと、既設の避難用ハッチの改修用としても使用できる。
【符号の説明】
【0033】
1:避難用ハッチ
2、2’:第1アーム
2a:避難用梯子装着持部
2b:回動範囲制限用突起
2c:第2アームリンク用スリット
2d:第1アームの歯車部
3、3’:第2アーム
3a:第2アームの歯車部
3b:突起板
3c:柱状突起
4、4’:第3アーム
5:取付基板
5a、5b、5c:軸体
5d:円弧状スリット
6:避難用梯子緩降・巻上げ装置
6a:解除レバー
7:梁部材
7a:側板
7b:装着部
11:上蓋
12:下蓋
13:ハッチ枠体
50:避難用梯子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンション等の建物のベランダや床に穿設された方形の開口部に設置され、緊急避難時に上階から下階へ避難するためのスライド伸縮式の避難用梯子(50)を収納し、上蓋(11)と下蓋(12)とがリンク機構によって連動して開閉する避難用ハッチ(1)において、前記避難用梯子(50)を避難用ハッチ(1)内に収納した際、前記避難用梯子(50)の荷重が前記避難用ハッチ(1)の下蓋(12)に加わるのを抑止する難用梯子取付・支持機構を備えてなることを特徴とする避難用ハッチ。
【請求項2】
前記避難用梯子取付・支持機構が、避難用ハッチ枠体(13)の前記上蓋(11)と下蓋(12)が取り付けられた側壁の内側に装着される左右一対の取付基板(5)と、
該一対の取付基板(5)に植設された3本の軸体(5a、5b、5c)に軸支された第1アーム(2又は2’)、第2アーム(3又は3’)、第3アーム(4又は4’)とからなる左右一対のリンク機構と、
前記左右一対のリンク機構の第2アーム(3)と第3アーム(4)とを連結する側板(7a)を両端に、避難用梯子緩降・巻上げ装置(6)を装着する装着部(7b)を中央部に備えた梁部材(7)と、
前記梁部材(7)の装着部(7b)に取り付けられ、前記スライド伸縮式避難用梯子(50)の最下段にその先端が結着されたロープを繰り出し、また巻き上げて前記避難用梯子(50)を避難ハッチ(1)から迅速安全に降下させ、また確実に収納する避難用梯子緩降・巻き上げ装置(6)と
で構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の避難用ハッチ。
【請求項3】
前記リンク機構を構成するアームが
a.第1アーム(2)は、長尺のアームであって、その一方の端部は前記取付基板(5)の第1軸体(5a)に軸支され、かつ第2アーム(3)と係合するための3本以上の歯からなる歯車部(2d)が該軸支点を中心に形成されてなり、軸支点から離れたもう一方のアーム先端部には前記避難用梯子(50)を装着する避難用梯子装着部(2a)が備えられ、そして前記歯車部(2d)には、前記取付基板(5)に穿設された円弧状スリット(5d)に挿入されて前記避難用梯子(50)の収納時と降下使用時における第1アーム(2)の回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起(2b)が内側に向けて突設され
b.第2アーム(3)は、その一方の端部が前記取付基板(5)の第2軸体(5b)に軸支され、かつ前記第1アーム(2)の歯車部(2b)と係合するための3本以上の歯からなる歯車部(3a)が該軸支点を中心に形成されてなり、また第2アーム(3)の前記歯車部(3a)には、巻き上げによって短縮された避難用梯子(50)の上端が当接し、さらなる巻き上げで前記避難用梯子の上端によって押し上げて前記第2アーム(3)を第2軸体(5b)の回りに回動させ、前記リンク機構の作動によって避難用梯子(50)を避難用ハッチ(1)内に収納させる突起板(3b)が外側に向けて突設されてなり、そしてもう一方の端部が前記梁部材(7)の側板(7a)に植設された軸体に回動可能に軸支され、
c.第3アーム(4)は、2個所で鈍角に折れ曲がった形状を有し、一方の先端が前記梁部材(7)の側板(7a)に植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板(5)の第3の軸体(5c)に軸支されてなる
ことを特徴とする請求項2に記載の避難用ハッチ。
【請求項4】
前記リンク機構を構成する各アームが
a.第1アーム(2’)は、長尺のアームであって、その一方の端部に近い所で前記取付基板(5)の第1軸体(5a)に軸支され、そして軸支点から長く延びた側の第1アーム(2’)の先端に前記避難用梯子(50)を装着する避難用梯子装着部(2a)が備えられ、また軸支点から短い側の端部には前記取付基板(5)に穿設された円弧状スリット(5d)に挿入されて前記避難用梯子(50)の収納時と降下使用時における第1アーム(2’)の回動範囲を限定して安全確実な動作を行わせるための回動範囲制限用突起(2b)が内側に向けて突設され、また前記回動範囲制限用突起(2b)を設けた端部近傍に第2アーム(3’)とリンクするための第2アームリンク用スリット(2c)を備えてなり、
b.第2アーム(3’)は、ホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームであって、その屈曲部が前記取付基板(5)の第2の軸体(5b)に軸支され、そして短い側の端部付近には前記第1アーム(2’)に穿設された第2アームリンク用スリット(2c)に挿入されて前記第1アーム(2’)とリンクするための柱状突起(3a)を備え、長い側の端部付近には前記梁部材(7)の側板(7a)に植設された軸体に回動可能に軸支され、
c.第3アーム(4’)もホッケーのスティックのように先端が「への字」に曲がった短尺のアームであって、その短い一方の側の端部は前記梁部材(7)の側板(7a)に植設されたもう一つの軸体に回動可能に軸支され、他端は前記取付基板(5)の第3の軸体(2c)に軸支され
てなることを特徴とする請求項2に記載の避難用ハッチ。
【請求項5】
前記避難用梯子緩降・巻上げ装置(6)が、ラチェット機構を具備し、該ラチェット機構をハンドル等の巻き取り手段によって前記スライド伸縮式避難用梯子(50)の最下段中央部にその先端が結着されたロープを巻き取り、避難時の使用によって延伸降下した避難用梯子(50)を引き上げて短縮するとともに、さらに前記巻き取り手段の操作を継続することによって、前記3つのアームからなるリンク機構を作動させ、短縮された避難用梯子(50)を前記第1アーム(2又は2’)先端の避難用梯子装着部(2a)を前記取付基板の第1軸体を中心に回動させて前記ハッチ枠体(13)内に収納し、かつ前記ラチェット機構のロック機能によって巻き上げられハッチ枠体(13)内に収納された避難用梯子(50)が自重によって降下するのを防止し、避難用梯子(50)収納状態が、避難用ハッチ1の上蓋(11)下蓋(12)の開閉とは無関係に常に安定して保持されるよう構成されてなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の避難用ハッチ。
【請求項6】
前記避難用梯子緩降・巻上げ装置(6)が、具備したラチェット機構のロック機能をワンタッチで解除する解除レバー(6a)を備えてなり、該解除レバー(6a)の操作によって避難用梯子(50)を安全、かつ迅速に降下させられるよう構成されてなることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の避難用ハッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96196(P2013−96196A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242746(P2011−242746)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(306027736)株式会社 富士 (4)
【Fターム(参考)】