説明

避難経路提供システム及び避難経路提供方法

【課題】現実に即した精度の良い避難経路を生成する。
【解決手段】暫定避難先別人口算出部603が、避難先情報データベース601に記憶された避難先情報と、人口算出部602によって算出された人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口を算出する。暫定避難経路算出部606が、災害情報と、避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路を算出し、算出された暫定避難経路と、避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数を算出する。混雑状況算出部607は、算出された通過人数に基づいて、暫定避難経路毎の混雑の度合いを算出する。避難経路生成部608は、算出された混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難経路情報を提供する避難経路提供システム及び避難経路提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害等によって帰宅が困難になった者(以下、「帰宅困難者」という。)の避難経路を計画することが考えられている。この避難経路は、例えば、駅前等での実数調査等に基づいて人口を算出し、算出した人口に基づいて避難経路の計画が行われている。しかしながら、常時、実数調査等を行って人口を算出することは困難であるため、日々の人口推移を把握することができなかったり、実数調査等で人口を算出した時と、避難経路の計画を行う時とで時間的な差(算出された人口のデータが古い)があったりする。更には、算出される人口の時間分解能が粗かったりする。これらにより、精度良く避難経路を計画することが困難であった。そこで、移動機から送信される位置情報に基づいて人口分布を把握し、避難経路を生成することが考えられる。このようにして避難経路を生成するものが、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−44969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、単に、移動機の位置情報に基づいて人口の分布状況を把握し、避難経路を生成することが記載されているものの、人口の分布状況という大雑把な値しか使用しておらず、精度の良い避難経路を得ることができるとは言い難い。
【0005】
そこで本発明は、現実に即した精度の良い避難経路を生成することができる避難経路提供システム及び避難経路提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明は、所定エリア内の人口を、移動機のユーザ数に基づいて算出する人口算出手段と、移動機のユーザの避難先を避難先情報として記憶する避難先情報記憶手段と、避難先情報記憶手段に記憶された、所定エリア内の移動機のユーザの避難先情報と、人口算出手段によって算出された人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口を算出する暫定避難先別人口算出手段と、災害情報を取得する災害情報取得手段と、災害情報取得手段によって取得された災害情報と、避難先情報記憶手段に記憶された避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路を算出する暫定避難経路算出手段と、暫定避難経路算出手段によって算出された暫定避難経路と、暫定避難先別人口算出手段によって算出された避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数を算出する通過人数算出手段と、通過人数算出手段によって算出された通過人数に基づいて、暫定避難経路毎に混雑の度合いを算出する混雑状況算出手段と、混雑状況算出手段によって算出された暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路を生成する避難経路生成手段と、避難経路生成手段によって生成された避難経路を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、移動機のユーザの避難先を避難先情報として記憶する避難先情報記憶手段を備えた避難経路提供システムにおける避難経路提供方法であって、所定エリア内の人口を、移動機のユーザ数に基づいて算出する人口算出ステップと、避難先情報記憶手段に記憶された、所定エリア内の移動機のユーザの避難先情報と、人口算出ステップで算出された人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口を算出する暫定避難先別人口算出ステップと、災害情報を取得する災害情報取得ステップと、災害情報取得ステップで取得された災害情報と、避難先情報記憶手段に記憶された避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路を算出する暫定避難経路算出ステップと、暫定避難経路算出ステップで算出された暫定避難経路と、暫定避難先別人口算出ステップで算出された避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数を算出する通過人数算出ステップと、通過人数算出ステップで算出された通過人数に基づいて、暫定避難経路毎に混雑の度合いを算出する混雑状況算出ステップと、混雑状況算出ステップで算出された暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路を生成する避難経路生成ステップと、避難経路生成ステップで生成された避難経路を出力する出力ステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
これらの発明にあっては、避難先情報記憶手段に記憶された避難先情報と、人口算出手段(人口算出ステップ)によって算出された人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口が算出される。そして、災害情報と、避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路が算出され、算出された暫定避難経路と、避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数が算出される。算出された通過人数に基づいて、暫定避難経路毎の混雑の度合いが算出され、算出された混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路が生成される。このように、実際に所定エリア内に存在する移動機のユーザに関する情報を用いて避難経路の生成を行うことにより、現実に即した精度の良い避難経路を生成することができる。また、現実に即して算出された混雑の度合いを用いて避難経路の生成を行うため、精度が高く、利用価値の高い避難経路情報となる。
【0009】
また、避難経路生成手段は、混雑状況算出手段によって算出された暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、新たな避難先及び新たな避難先までの避難経路を更に生成することが好ましい。これにより、更に新たな避難先までの避難経路を生成される。このように、複数の避難先までの避難経路が生成されるので、利用価値の高い避難経路情報となる。
【0010】
また、避難先情報記憶手段は、避難先となる避難所の情報、及び、避難先となる移動機のユーザの帰宅先の情報を、避難先情報として記憶することが好適である。これにより、避難所及び帰宅先までの避難経路が生成され、より好適な避難経路を提供することができる。
【0011】
また、避難先情報記憶手段に記憶された避難所の情報は、避難所の収容人数情報を含み、暫定避難先別人口算出手段は、避難先情報記憶手段に記憶された避難所へ避難する人口を算出し、混雑状況算出手段は、暫定避難先算出手段によって算出された避難所へ避難する人口と、避難先情報記憶手段に記憶された避難所の収容人数情報とに基づいて、避難所毎に混雑の度合いを更に算出し、避難経路生成手段は、混雑状況算出手段によって算出された避難所毎の混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路を更に生成する、ことが好適である。これにより、避難所の混雑の度合いを考慮して避難経路が生成され、より適切な避難経路を得ることができる。
【0012】
また、避難経路生成手段が生成する避難経路は、最も距離が短いまたは最も短時間で到達可能な、避難先までの経路を含むことが好適である。これにより、帰宅困難者にとってより好適な避難経路を生成することができる。
【0013】
また、混雑状況算出手段は、所定の時間帯毎に暫定避難経路毎の混雑の度合いを算出し、避難経路生成手段は、混雑状況算出手段によって所定の時間帯毎に算出された混雑の度合いに基づいて、新たな避難経路を生成する、ことが好適である。これにより、時間の経過と共に変化する混雑の度合いに基づいて、より正確に避難経路を生成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現実に即した精度の良い避難経路を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】移動通信システムの概略構成図である。
【図2】移動通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】BTSとセクタとの関係を示す図である。
【図4】人口算出部が記憶する情報を示す図である。
【図5】暫定避難先別人口算出部が記憶する情報を示す図である。
【図6】避難先毎の人口を示す図である。
【図7】暫定避難経路算出部が記憶する情報を示す図である。
【図8】帰宅困難者が通る避難経路及び当該避難経路を通過する人数を示す図である。
【図9】避難経路上の所定の道路における通過人数が変化する構成を示す図である。
【図10】混雑状況算出部が記憶する混雑の度合いについての情報を示す図である。
【図11】道路の混雑の度合いを示す図である。
【図12】混雑状況算出部が記憶する避難所の混雑の度合いについての情報を示す図である。
【図13】帰宅困難者が避難する際の避難経路を示す図である。
【図14】避難経路を生成して出力する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る避難経路提供システム及び避難経路提供方法を適用した移動通信システムの好適な一実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、移動通信システムの概略構成図である。図1に示すように、移動通信システム10は、移動機100、BTS(基地局)200、RNC(無線ネットワーク制御装置)300、交換機400、及び管理センタ500を含んで構成されている。また、この管理センタ500は、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、及び可視化ソリューションユニット504から構成されている。
【0018】
交換機400は、BTS200、RNC300を介して、移動機100が位置登録要求や通信接続等を行った場合に移動機100の位置情報(詳しくは後述する位置登録情報)を取得する。交換機400は受け取った位置情報を記憶しておき、所定のタイミング、または管理センタ500からの要求に応じて、収集した位置情報を管理センタ500に出力する。ここで、一般的に、RNC300は、約千個からなるものであり、日本全国に配置されている。一方で、交換機400は、300個程度日本国内に配置されている。
【0019】
管理センタ500は、上述したとおり、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、及び可視化ソリューションユニット504を含んで構成されており、各ユニットでは、移動機100の分布情報を用いた統計処理を行う。
【0020】
社会センサユニット501は、各交換機400から移動機100の位置情報等を含んだデータを収集するサーバ装置である。この社会センサユニット501は、交換機400から定期的に出力されたデータを受信したり、または社会センサユニット501において予め定められたタイミングに従って交換機400からデータを取得したりできるように構成されている。
【0021】
ペタマイニングユニット502は、社会センサユニット501から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット502は、ユーザIDをキーにソーティング処理を行ったり、データの属するエリア毎にソーティング処理を行ったりする。
【0022】
モバイルデモグラフィユニット503は、ペタマイニングユニット502において処理されたデータに対する集計処理、即ち各項目のカウンティング処理を行うサーバ装置である。例えば、モバイルデモグラフィユニット503は、あるエリアに在圏する移動機100のユーザ数をカウントしたり、また在圏分布を集計したりすることができる。
【0023】
可視化ソリューションユニット504は、モバイルデモグラフィユニット503において集計処理されたデータを可視可能に処理するサーバ装置である。例えば、可視化ソリューションユニット504は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。この可視化ソリューションユニット504にて処理されたデータは、企業、官公庁または個人等に提供され、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策等に利用される。なお、このように統計処理された情報は、当然にプライバシーを侵害しないように個人等は特定されないように加工されている。
【0024】
なお、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503及び可視化ソリューションユニット504はいずれも、前述したようにサーバ装置により構成され、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成、即ち、CPU、RAM、ROM、キーボードやマウス等の入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記憶する記憶デバイス、及び、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイス等を備えることは言うまでもない。
【0025】
次に、移動通信システム10の機能ブロック構成について説明する。図2は、移動通信システム10の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、移動通信システム10は、移動機100と、BTS200と、RNC300と、交換機400と、情報分析装置600とを含んで構成されている。なお、本実施形態の情報分析装置600は、図1に示される管理センタ500の各構成ユニット(社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、及び可視化ソリューションユニット504)の全部もしくは一部により実現される。即ち、図2に示される情報分析装置600の機能ブロックは、管理センタ500を構成する各構成ユニットにおいて分散して配置されており、各構成ユニットにより一つの情報分析装置600が構成されている。なお、一の構成ユニットにより情報分析装置600が構成されてもよい。
【0026】
移動機100は、位置登録部101を含んで構成されている。位置登録部101は、位置登録要求を行うための位置登録信号を出力するものである。なお、位置登録信号は、例えば54分毎に出力される。
【0027】
BTS200は、移動機100と無線通信を行うものである。通信エリアであるセクタは、BTS200により形成される。このセクタ内に、複数の移動機100が在圏している。ここで、図3に、BTS200とセクタとの関係を示す。図3に示すように、円形で示されている領域の中心にBTS200が位置するものであり、それを中心に複数の等分されたものがセクタである。例えば図3では、BTS200の通信エリアは最大6セクタからなるものであり、RNC300は、いずれのセクタに移動機100が在圏しているかを把握することができる。
【0028】
RNC300は、通信制御部301と、セクタ識別部302とを含んで構成されている。通信制御部301は、移動機100とBTS200を介して通信接続を行う部分であり、例えば、移動機100からの発信処理若しくは着信処理に基づいた通信接続処理、及び位置登録要求に基づいた通信接続処理を行う部分である。セクタ識別部302は、移動機100が位置登録のために位置登録信号を出力した際に当該移動機100が在圏するセクタを識別し、識別結果を通信制御部301を通じて交換機400へ出力する。
【0029】
交換機400は、通信制御部401と、位置情報管理部402とを含んで構成されている。通信制御部401は、RNC300の通信制御部301と同様に、通信接続処理を行う部分である。位置情報管理部402は、移動機100が位置登録を行ったときに、セクタ識別部302によって識別されたセクタ(セクタ識別子)と、移動機100を識別するためのユーザ識別子と、移動機100が位置登録を行った時刻とを対応付けし、対応付けした結果を位置登録情報として記憶する。位置情報管理部402は、記憶している位置登録情報を、所定のタイミング、または情報分析装置600からの要求に応じて情報分析装置600に出力する。
【0030】
情報分析装置600は、避難先情報データベース(避難先情報記憶手段)601と、人口算出部(人口算出手段)602と、暫定避難先別人口算出部(暫定避難先別人口算出手段)603と、災害状況監視部(災害情報取得手段)604と、道路情報データベース605と、暫定避難経路算出部(暫定避難経路算出手段,通過人数算出手段)606と、混雑状況算出部(混雑状況算出手段)607と、避難経路生成部(避難経路生成手段)608と、出力部(出力手段)609とを含んで構成されている。
【0031】
避難先情報データベース601は、移動機100のユーザの避難先を避難先情報として記憶する。具体的には、避難先となる避難所の情報、及び、避難先となる移動機100のユーザの帰宅先の情報を、避難先情報として記憶する。避難所の情報は、避難所の位置情報と、避難所において収容可能な人数を示す収容人数情報とを含む。また、移動機100のユーザの帰宅先は、本実施形態においては、移動機100のユーザの住所地とする。
【0032】
人口算出部602は、所定エリア内の人口を、移動機100のユーザ数に基づいて算出する。具体的には、人口算出部602は、交換機400の位置情報管理部402から出力された位置登録情報に基づいて、セクタ毎に所定の時間帯におけるユーザ数を算出する。そして、セクタ毎のユーザ数から、全人口に対する移動機100の契約率等を用いてセクタ毎の人口を算出する。そして、セクタ毎の人口から、所定エリア内の人口を算出する。本実施形態では、例えば、複数のセクタから所定エリアが構成され、対応表等によって、セクタがどの所定エリアに属するかを判断している。所定エリアは、ポリゴンにより形成されている。人口算出部602は、図4に示すように、人口の算出対象の所定エリアのエリア識別子(0000A,0000B…)と、算出した人口(10万人,3万人…)とを対応付けて記憶する。なお、所定エリア内の人口は、災害発生時における帰宅困難者の人口となる。
【0033】
暫定避難先別人口算出部603は、避難先情報データベース601に記憶された避難先情報と、人口算出部602によって算出された所定エリア内の人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口を算出する。
【0034】
具体的には、まず、暫定避難先別人口算出部603は、避難先情報データベース601に記憶された避難先情報に基づいて、所定エリア内にいる移動機100のユーザが避難する場合の避難先(避難所,住所地)及び避難先毎のユーザ数を算出する。ここで、所定エリア内の移動機100のユーザが、ユーザの住所地ではなく、当該所定エリアの近傍(例えば、1km等)にある避難所へ避難する場合の仮想モデルについて説明する。移動機100のユーザの住所地が、所定エリアから10km未満の位置である場合には、当該ユーザは避難所へ行かずに住所地へ避難するものとする。移動機100のユーザの住所地が所定エリアから10km以上11km未満の位置である場合には、10%の割合で所定エリアからユーザの住所地へ行かずに所定エリアの近傍の避難所へ避難するユーザがいるものとする。以降、移動機100のユーザの住所地が所定エリアから1km離れる毎に、10%の割合で避難所へ避難するユーザが増加するものとする。なお、この仮想モデルの説明で用いた数値(10km、10%等)は、一例であり、適宜の値を用いることができる。暫定避難先別人口算出部603は、このような仮想モデルを用いて、移動機100のユーザの避難先及び避難先毎のユーザ数を算出する。
【0035】
そして、暫定避難先別人口算出部603は、人口算出部602に記憶された所定エリアの人口を取得し、取得した人口と、算出した移動機100のユーザの避難先及び避難先毎のユーザ数とに基づいて、所定エリア内の帰宅困難者の避難先毎の人口を算出する。これは、例えば、所定エリア内における移動機100の全ユーザ数と、避難先毎のユーザ数との比率を用いることにより、所定エリア内の人口から所定エリア内の帰宅困難者の避難先毎の人口を算出することができる。暫定避難先別人口算出部603は、図5に示すように、算出対象の所定エリアのエリア識別子(0000A…)と、算出した避難先毎の人口(避難所H:1万人,23区内:3万人,23区外:1万人…)とを対応付けして記憶する。
【0036】
ここで、暫定避難先別人口算出部603が算出する所定エリア内の帰宅困難者の避難先毎の人口の具体例について説明する。図6は、所定エリアと避難先とを模式的に示す図である。図6において、吹き出しで書かれた避難先毎の人口は、図5で示したものと同じものである。図6では、暫定避難先別人口算出部603が、渋谷駅前のエリア(エリア識別子:0000A)内の帰宅困難者について、避難先毎の人口を算出する場合を示している。暫定避難先別人口算出部603は、人口算出部602から、エリア識別子が「0000A」についての帰宅困難者の人口を取得する。ここでは、エリア識別子「0000A」内の帰宅困難者の人口が10万人であったものとする。そして、図6に示すように、暫定避難先別人口算出部603は、この10万人について、上述のように、例えば、エリア識別子が「0000A」内に存在する移動機100の全ユーザ数と、避難先毎のユーザ数との比率を用いることにより、避難先毎の帰宅困難者の人口を算出する。ここでは、渋谷区駅前のエリアの近傍の避難所Hへ避難する帰宅困難者が1万人、住所地である23区内へ避難する帰宅困難者が3万人、住所地である23区外へ避難する帰宅困難者が1万人、住所地である神奈川県へ避難する帰宅困難者が3万人、住所地である千葉県へ避難する帰宅困難者が1万人、住所地である埼玉県へ避難する帰宅困難者が1万人であるものとする。
【0037】
災害状況監視部604は、災害発生時における災害情報を収集するものである。この災害情報としては、例えば、自治体等が発表する道路の規制情報(通行止め情報)等がある。災害状況監視部604は、収集した災害情報を暫定避難経路算出部606へ出力する。なお、災害発生時のシミュレーションを行う場合にも、本システムを適用でき、その場合には、仮の災害発生データを災害状況監視部604に入力することができる。
【0038】
道路情報データベース605は、道路や、道路の幅等より求まる道路のキャパシティ(通行可能人数)等の情報を予め記憶する。
【0039】
暫定避難経路算出部606は、まず、災害状況監視部604から取得した災害情報と、道路情報データベース605に記憶された道路の情報と、避難先情報データベース601に記憶された避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路を算出する。具体的には、暫定避難経路算出部606は、災害情報に含まれる道路の規制情報に基づき、道路の規制(通行止め)が行われている地域(以下、道路規制地域と言う。)を避けた経路を暫定避難経路として算出する。
【0040】
次に、暫定避難経路算出部606は、算出した暫定避難経路と、暫定避難先別人口算出部603に記憶された帰宅困難者の避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数を算出する。通過人数の算出後、暫定避難経路算出部606は、図7に示すように、算出した暫定避難経路の暫定避難経路識別子(S1,S2、T1…)と、当該暫定避難経路における通過人数(0.5万人,0.5万人、2万人…)とを対応付けて記憶する。
【0041】
ここで、暫定避難経路算出部606が算出する暫定避難経路及び当該暫定避難経路における通過人数の具体例について説明する。図8は、渋谷駅前のエリア内の帰宅困難者が通る暫定避難経路及び当該暫定避難経路における通過人数を示す図である。図8に示すように、暫定避難経路算出部606は、渋谷駅前のエリア(エリア識別子:0000A)から、住所地である埼玉県への暫定避難経路を算出する場合、道路規制地域X1,X2を避けた暫定避難経路S1,S2を算出し、当該暫定避難経路S1,S2を通過する人数を算出する(ここでは、暫定避難経路S1,S2を通過する人数をそれぞれ0.5万人として算出する)。この暫定避難経路毎の人口の算出は、例えば、避難先(ここでは、住所地である埼玉県内)のどのエリアに避難(帰宅)する人が多いか等に基づいて行われる。
【0042】
同様に、暫定避難経路算出部606は、住所地である23区外への暫定避難経路として、道路規制地域X2を避けた暫定避難経路T1を算出し、当該暫定避難経路T1を通過する人数を1万人として算出する。また、暫定避難経路算出部606は、住所地である神奈川県への暫定避難経路として、暫定避難経路K1,K2を算出し、暫定避難経路K1を通過する人数を1万人、暫定避難経路K2を通過する人数を2万人として算出する。また、暫定避難経路算出部606は、住所地である千葉県への暫定避難経路として、道路規制地域X3を避けた暫定避難経路C1を算出し、暫定避難経路C1を通過する人数を1万人として算出する。また、暫定避難経路算出部606は、避難所Hまでの暫定避難経路H1を算出し、当該暫定避難経路H1を通過する人数を1万人として算出する。
【0043】
混雑状況算出部607は、暫定避難経路算出部606によって算出された暫定避難経路を通過する人数と、道路情報データベース605に記憶された道路のキャパシティの情報とに基づいて、暫定避難経路上の道路毎の混雑の度合いを算出する。また、この混雑の度合いは、所定の時間帯毎(本実施形態では、所定の時間帯を、例えば1時間とする。)に算出される。具体的には、混雑状況算出部607は、暫定避難経路上の所定の道路について、災害が発生した時刻(または、発生したと仮定した時刻)から1時間以内、1時間から2時間の間、2時間から3時間の間…のように、1時間毎に当該道路における混雑の度合いを算出する。
【0044】
ここで、所定の時間帯毎に当該道路を通過する人数が変化する様子について説明する。図9は、暫定避難経路上の所定の道路における通過人数の変化を示す図である。なお、図9に示すように、暫定避難経路K上にエリアA,エリアB,エリアCが存在し、エリアAから1万人が住所地である神奈川県へ避難し、エリアBから2万人が住所地である神奈川県へ避難し、エリアCから0.5万人が住所地である神奈川県へ避難するものとする。この場合、暫定避難経路K上の道路dを、まず、エリアA内の1万人の帰宅困難者が通過し、次に、エリアB内の2万人の帰宅困難者が通過し、次に、エリアC内の0.5万人の帰宅困難者が通過する。道路dを各エリアの帰宅困難者が通過するタイミングは、各エリアから道路dまで帰宅困難者が歩いて移動する場合の所要時間に基づいて算出することができる。これ以外にも、例えば、自治体等が計画する避難計画において、災害発生後に避難を開始するタイミングとして各エリア間で異なる時間が設定されている場合には、この時間差を考慮して道路を通過する人数を算出することもできる。
【0045】
そして、混雑状況算出部607は、当該道路のキャパシティと、当該道路における通過人数とに基づいて、所定の時間帯毎及び道路毎に、混雑の度合いを算出する。また、混雑状況算出部607は、図10に示すように、道路識別子(0000X…)と、時間帯の情報(1時間以内,1〜2時間…)と、算出した混雑の度合い(小,大…)とを対応付けて記憶する。
【0046】
ここで、混雑状況算出部607が算出する混雑の度合いの具体例について説明する。図11は、青山通りにおける混雑の度合いを示す図である。図11に示すように、混雑状況算出部607は、例えば、道路識別子が0000Xの青山通りについて、災害が発生した時刻から1時間以内に通過する人数を1万人、1時間から2時間の間に通過する人数を3万人、2時間から3時間の間に通過する人数を2万人…として算出する。そして、混雑状況算出部607は、道路情報データベース605から取得した青山通りについての道路のキャパシティの情報に基づいて、算出した人口が通過した場合の混雑の度合いを算出する。
【0047】
ここでは、青山通りのキャパシティより求まる通過人数の閾値(第1の閾値,第2の閾値(但し、第1の閾値<第2の閾値とする))と、青山通りの通過人数との比較を行うことにより、混雑の度合いを算出する。青山通りを1万人が通過する場合には、「通過人数(1万人)<第1の閾値」の関係となり、「混雑の度合い:小」として混雑の度合いを算出する。また、2万人が青山通りを通過する場合には、「第1の閾値<通過人数(2万人)<第2の閾値」の関係となり、「混雑の度合い:中」として混雑の度合いを算出する。また、3万人が青山通りを通過する場合には、「第2の閾値<通過人数(3万人)」の関係となり、「混雑の度合い:大」として混雑の度合いを算出する。
【0048】
また、混雑状況算出部607は、暫定避難経路算出部606によって算出された避難所へ避難する人口と、避難先情報データベース601に記憶された避難所の収容人数情報とに基づいて、避難所毎に混雑の度合いを算出する。この避難所の混雑の度合いは、例えば、避難所の収容人数に対する当該避難所へ避難する帰宅困難者の人数に基づいて算出することができる。例えば、避難所の収容人数に対して当該避難所へ避難する人数が少ない場合、混雑の度合いが小さいものとして算出する。また、例えば、避難所の収容人数に対して当該避難所へ避難する人数が多い場合、混雑の度合いが大きいものとして算出する。混雑状況算出部607は、算出した避難所毎の混雑の度合いを、図12に示すように、避難所の避難所識別子(H0001,H0002…)と、混雑の度合い(大,小…)とを対応付けて記憶する。
【0049】
避難経路生成部608は、混雑状況算出部607に記憶された、暫定避難経路上の道路の混雑の度合いの情報(図10参照)と、避難所毎の混雑の度合いの情報(図12参照)とを取得する。避難経路生成部608は、取得した道路の混雑の度合い及び避難所の混雑の度合いに基づいて、避難先情報データベース601に記憶された避難先(避難所,住所地)までの新たな避難経路を生成する。なお、避難経路生成部608は、避難所及び住所地の少なくともこの2つを避難先として設定し、設定した避難先までの避難経路を生成する。
【0050】
具体的には、まず、避難経路生成部608は、道路の混雑の度合いを考慮して、現在の位置(避難経路を生成する対象となる帰宅困難者の現在の位置)から避難先までの避難経路を生成する。ここで、道路の混雑の度合いは時間帯毎に変化するため、避難経路生成部608は、帰宅困難者が通過すると想定される時間帯において、混雑の度合いが大きい道路を避けるようにして避難経路を生成する。
【0051】
次に、避難経路生成部608は、生成した避難経路が、有効な避難経路であるか否かについての評価を行う。有効な避難経路とは、例えば、避難先(避難所,住所地)までの距離が極端に遠い経路(遠回りな経路)や所要時間が極端に長い経路を除いたものである。更に、避難経路生成部608は、避難先が避難所である避難経路について、当該避難所の混雑の度合いを考慮して、例えば、混雑の度合いが大きい避難所が避難先となっている避難経路を有効ではないものとして評価する。
【0052】
避難経路生成部608は、有効な避難経路を所定数以上(例えば、3つ等)生成する。このようにして、避難経路生成部608は、最も距離が短いまたは最も短時間で到達可能な、避難先までの避難経路を算出する。また、避難経路生成部608は、避難先が避難所である避難経路については、混雑の度合いが小さい避難所までの避難経路を算出する。避難経路生成部608は、生成した避難経路を出力部609へ出力する。
【0053】
ここで、避難経路生成部608が生成する避難経路の具体例について説明する。図13は、渋谷駅前にいる帰宅困難者が避難する際の避難経路を示す図である。ここでは、住所地が神奈川県方面であり、渋谷駅前のエリア(エリア識別子:0000A)内にいる帰宅困難者が避難する際の避難経路を生成する場合について説明する。
【0054】
図13に示すように、避難経路生成部608は、道路の混雑の度合いを考慮し、推奨される有効な避難経路として、避難経路K1を経由して神奈川県へ入る経路を生成し、そのときの距離:14kmと、予想される所要時間2:00とを算出する。また、避難経路生成部608は、他に推奨される有効な避難経路として、避難経路H1を経由して避難所Hへ避難する経路を生成し、そのときの距離:1kmと、予想される所要時間0:35とを算出する。また、避難経路生成部608は、他に推奨される有効な避難経路として、避難経路K3を経由して神奈川県へ入る経路を生成し、そのときの距離:10kmと、予想される所要時間4:00とを算出する。なお、図13に示す例では、避難経路H1,K1,K3のうち、避難経路H1,K1が、暫定避難経路算出部606で算出された暫定避難経路H1,K1(図8参照)と同じであり、避難経路K3が新たに算出された場合を示している。
【0055】
出力部609は、避難経路生成部608によって生成された避難経路を、出力する。ここでの出力は、例えば、指定された所定エリアにおいて、所定の方向に避難しようとしている帰宅困難者が避難する際の避難経路を管理センタ500に備えられたディスプレイ等に表示したり、当該所定エリア内の帰宅困難者に対して移動機100等を通じて避難経路を提供したりする。
【0056】
次に、情報分析装置600が避難経路を生成して出力する際の処理の流れについて説明する。図14は、避難経路を生成して出力する際の処理の流れを示すフローチャートである。まず、人口算出部602が、移動機100の位置登録情報を用いて所定エリア毎の帰宅困難者の人口を算出する(ステップS101:人口算出ステップ)。次に、暫定避難先別人口算出部603が、帰宅困難者の避難先毎の人口を算出する対象となる所定エリアを選択し(ステップS102)、選択した所定エリアについて帰宅困難者の避難先毎の人口を算出する(ステップS103:暫定避難先別人口算出ステップ)。
【0057】
次に、暫定避難経路算出部606は、災害情報を取得し、取得した災害情報と避難先情報とに基づいて暫定避難経路を算出する(ステップS104:災害情報取得ステップ,暫定避難経路算出ステップ)。そして暫定避難経路算出部606は、算出した暫定避難経路と、帰宅困難者の避難先毎の人口とに基づいて、当該暫定避難経路上の道路における通過人数を算出する(ステップS105:通過人数算出ステップ)。次に、混雑状況算出部607は、道路のキャパシティの情報に基づいて暫定避難経路上の道路毎の混雑の度合い、及び、避難所毎の混雑の度合いを算出する(ステップS106:混雑状況算出ステップ)。
【0058】
次に、暫定避難先別人口算出部603は、避難先毎の人口を算出していない所定エリアが有るか否かを判断する(ステップS107)。ここでは、所定エリアを複数含む予め定められた領域(例えば、関東エリア等)内において、避難先毎の人口を算出していない所定エリアが有るか否かを判断する。避難先毎の人口を算出していない所定エリアが有る場合(ステップS107:YES)には、避難先毎の人口を算出していない所定エリアが無くなるまで、上述の処理(ステップS102〜S107)を繰り返す。
【0059】
一方、避難先毎の人口を算出していない所定エリアが無い場合(ステップS107:NO)、避難経路生成部608は、対象となる帰宅困難者について、道路の混雑の度合い等に基づいて避難経路の生成を行う(ステップS108:避難経路生成ステップ)。そして、避難経路生成部608は、生成した避難経路が有効な避難経路であるか否かの評価を行う(ステップS109)。
【0060】
避難経路生成部608は、有効な避難経路が所定数以上生成されているか否かを判断し(ステップS110)、有効な避難経路が所定数以上生成されていない場合、(ステップS110:NO)、有効な避難経路が所定数以上生成されるまで、上述の処理(ステップS108〜S110)を繰り返す。
【0061】
一方、有効な避難経路が所定数以上生成されている場合(ステップS110:YES)、出力部609は、避難経路生成部608で生成された複数の避難経路を、対象となった帰宅困難者についての避難経路として出力する(ステップS111:出力ステップ)。
【0062】
次に、本実施形態に係る移動通信システム10の作用効果について説明する。移動通信システム10によれば、避難先情報データベース601に記憶された避難先情報と、人口算出部602によって算出された人口とに基づいて、所定エリア内から避難先へ避難する避難先毎の人口が算出される。そして、災害情報と、避難先情報とに基づいて、避難先までの暫定避難経路が算出され、算出された暫定避難経路と、避難先毎の人口とに基づいて、避難先までの暫定避難経路における通過人数が算出される。算出された通過人数に基づいて、暫定避難経路毎の混雑の度合いが算出され、算出された混雑の度合いに基づいて、避難先までの新たな避難経路が生成される。このように、実際に所定エリア内に存在する移動機100のユーザに関する情報を用いて避難経路の生成を行うことにより、現実に即した精度の良い避難経路を生成することができる。また、現実に即して算出された混雑の度合いを用いて避難経路の生成を行うため、精度が高く、利用価値の高い避難経路情報となる。
【0063】
また、避難経路生成部608によって、複数の避難先までの避難経路が生成されるので、利用価値の高い避難経路情報となる。
【0064】
また、避難経路生成部608によって、避難所及び帰宅先までの避難経路が生成されるため、より好適な避難経路を提供することができる。
【0065】
また、避難経路生成部608が、避難所の混雑の度合いを考慮して避難経路を生成するため、より適切な避難経路を得ることができる。
【0066】
また、避難経路生成部608によって、最も距離が短いまたは最も短時間で到達可能な、避難所または自宅までの経路を含む避難経路が生成される。これにより、より適切な避難経路を生成することができる。
【0067】
また、混雑状況算出部607が、道路の混雑度合いを所定時間毎に算出するので、時間の経過と共に変化する道路の混雑の度合いに基づいて、より正確に避難経路を生成することができる。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、人口算出部602は、移動機100の位置登録情報に基づいて所定エリア内の移動機100のユーザ数を算出するものとしたが、移動機100がGPS(Global Positioning System)を通じて位置情報を取得できる場合には、GPSを通じて取得された位置情報を用いて、所定エリア内の人口を算出することもできる。
【0069】
また、災害情報として、道路の規制情報を用いた場合を例に説明したが、これ以外にも、例えば、火災の情報等であってもよく、この場合には、火災発生地域を避けて避難経路を生成するようにしてもよい。
【0070】
また、避難所までの避難経路を出力する際に、当該避難所が、どのような帰宅困難者が利用し易いかという情報を付加してもよい。例えば、避難所が病院である場合には、子供にとっても利用しやすい避難所であると考えられ、この場合には、この避難経路の情報に子供にとって利用し易い旨の情報を付加してもよい。また、例えば、避難所が大学である場合には、大学には外国語を話せる人が多くいるため外国人にとって利用し易い避難所であると考えられ、この場合には、この避難経路の情報に外国人にとって利用し易い旨の情報を付加してもよい。
【0071】
また、避難経路生成部608が避難経路の評価を行う際に、帰宅支援設備(例えば、コンビニエンスストア等において、帰宅困難者の帰宅途中の立ち寄りを想定した設備を有する場所)の数が多い避難経路を、より有効な避難経路として評価することもできる。
【符号の説明】
【0072】
10…移動通信システム、100…移動機、601…避難先情報データベース、602…人口算出部、603…暫定避難先別人口算出部、604…災害状況監視部、606…暫定避難経路算出部、607…混雑状況算出部、608…避難経路生成部、609…出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリア内の人口を、移動機のユーザ数に基づいて算出する人口算出手段と、
前記移動機のユーザの避難先を避難先情報として記憶する避難先情報記憶手段と、
前記避難先情報記憶手段に記憶された、前記所定エリア内の前記移動機のユーザの前記避難先情報と、前記人口算出手段によって算出された人口とに基づいて、前記所定エリア内から前記避難先へ避難する前記避難先毎の人口を算出する暫定避難先別人口算出手段と、
災害情報を取得する災害情報取得手段と、
前記災害情報取得手段によって取得された前記災害情報と、前記避難先情報記憶手段に記憶された前記避難先情報とに基づいて、前記避難先までの暫定避難経路を算出する暫定避難経路算出手段と、
前記暫定避難経路算出手段によって算出された前記暫定避難経路と、前記暫定避難先別人口算出手段によって算出された前記避難先毎の人口とに基づいて、前記避難先までの前記暫定避難経路における通過人数を算出する通過人数算出手段と、
前記通過人数算出手段によって算出された前記通過人数に基づいて、前記暫定避難経路毎に混雑の度合いを算出する混雑状況算出手段と、
前記混雑状況算出手段によって算出された前記暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、前記避難先までの新たな避難経路を生成する避難経路生成手段と、
前記避難経路生成手段によって生成された前記避難経路を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする避難経路提供システム。
【請求項2】
前記避難経路生成手段は、前記混雑状況算出手段によって算出された前記暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、新たな避難先及び前記新たな避難先までの避難経路を更に生成することを特徴とする請求項1に記載の避難経路提供システム。
【請求項3】
前記避難先情報記憶手段は、前記避難先となる避難所の情報、及び、前記避難先となる前記移動機のユーザの帰宅先の情報を、前記避難先情報として記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の避難経路提供システム。
【請求項4】
前記避難先情報記憶手段に記憶された前記避難所の情報は、前記避難所の収容人数情報を含み、
前記暫定避難先別人口算出手段は、前記避難先情報記憶手段に記憶された前記避難所へ避難する人口を算出し、
前記混雑状況算出手段は、前記暫定避難先算出手段によって算出された前記避難所へ避難する人口と、前記避難先情報記憶手段に記憶された前記避難所の収容人数情報とに基づいて、前記避難所毎に混雑の度合いを更に算出し、
前記避難経路生成手段は、前記混雑状況算出手段によって算出された前記避難所毎の混雑の度合いに基づいて、前記避難先までの新たな避難経路を更に生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の避難経路提供システム。
【請求項5】
前記避難経路生成手段が生成する前記避難経路は、最も距離が短いまたは最も短時間で到達可能な、前記避難先までの経路を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の避難経路提供システム。
【請求項6】
前記混雑状況算出手段は、所定の時間帯毎に前記暫定避難経路毎の混雑の度合いを算出し、
前記避難経路生成手段は、前記混雑状況算出手段によって所定の時間帯毎に算出された混雑の度合いに基づいて、新たな避難経路を生成する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の避難経路提供システム
【請求項7】
移動機のユーザの避難先を避難先情報として記憶する避難先情報記憶手段を備えた避難経路提供システムにおける避難経路提供方法であって、
所定エリア内の人口を、前記移動機のユーザ数に基づいて算出する人口算出ステップと、
前記避難先情報記憶手段に記憶された、前記所定エリア内の前記移動機のユーザの前記避難先情報と、前記人口算出ステップで算出された人口とに基づいて、前記所定エリア内から前記避難先へ避難する前記避難先毎の人口を算出する暫定避難先別人口算出ステップと、
災害情報を取得する災害情報取得ステップと、
前記災害情報取得ステップで取得された前記災害情報と、前記避難先情報記憶手段に記憶された前記避難先情報とに基づいて、前記避難先までの暫定避難経路を算出する暫定避難経路算出ステップと、
前記暫定避難経路算出ステップで算出された前記暫定避難経路と、前記暫定避難先別人口算出ステップで算出された前記避難先毎の人口とに基づいて、前記避難先までの前記暫定避難経路における通過人数を算出する通過人数算出ステップと、
前記通過人数算出ステップで算出された前記通過人数に基づいて、前記暫定避難経路毎に混雑の度合いを算出する混雑状況算出ステップと、
前記混雑状況算出ステップで算出された前記暫定避難経路毎の混雑の度合いに基づいて、前記避難先までの新たな避難経路を生成する避難経路生成ステップと、
前記避難経路生成ステップで生成された前記避難経路を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする避難経路提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−83906(P2012−83906A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228715(P2010−228715)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】