説明

還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10粒子の製造方法

【課題】 食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な還元型補酵素Q10を、適当な粒子径を持つ造粒体として取得する方法を提供すること。
【解決手段】 特定濃度の還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10の水溶性有機溶媒溶液を、水溶性有機溶媒水溶液中に添加することにより、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10の造粒を行う。本方法により、適当な粒子径を持つ補酵素Q10の造粒体を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10粒子の製造方法に関する。還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10と比較して高い経口吸収性を示し、優れた、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
広く生物界に分布することが知られているベンゾキノン誘導体である酸化型補酵素Q10は、そのビタミン様の機能からビタミンQとも呼ばれており、弱った細胞活性を健康な状態に戻す栄養源として身体を若返らせる成分である。一方、還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10の2電子還元体であり、酸化型補酵素Q10が橙色結晶であるのに対し、還元型補酵素Q10は白色結晶である。還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10は、ミトコンドリア、リソゾーム、ゴルジ体、ミクロソーム、ペルオキシソーム、或いは細胞膜などに局在し、電子伝達系の構成成分としてATP産生賦活、生体内での抗酸化作用、膜安定化に関与している事が知られている生体の機能維持に必要不可欠な物質である。
【0003】
還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られることが知られている(特許文献1)。しかしながら、このようにして得られる還元型補酵素Q10は、必ずしも純度が高い状態では取得できず、例えば、酸化型補酵素Q10をはじめとする不純物を含有する低純度結晶や油状物、半固体状として得られやすい。
【0004】
本発明者らは、鋭意検討の結果、高品質の還元型補酵素Q10を得るための製法を確立し、特許出願を行っている(特許文献2〜5)。しかしながら、特許文献2に記載された方法では、結晶が微細で、スラリーや結晶の性状が悪く、晶析濃度が高めにくい、撹拌しにくい、晶析缶から払い出しにくい、濾過性が悪くて結晶分離に時間かかる、嵩比重が小さく梱包容器の大型化や個数の増加につながるといった、生産性や操作性の問題があった。特許文献3に記載された方法では、上記特許文献2で触れた問題は幾分か改善されてはいるものの、十分とは言いがたい。また、特許文献4に記載された方法では、攪拌翼や缶壁にスケーリングを起こしやすい、数cm程度の造粒体が生成する上に、粒度分布が非常に広いといった問題を抱えている。さらに、特許文献5に記載された方法では、比較的粒度分布は狭まるものの、条件によっては、数μm程度の造粒体が得られたり、或いは数mm超の造粒体が得られたりと、適当な粒子径に調製するのが難しい。また、比較的固い造粒体が得られる場合もある。
【0005】
得られた造粒体あるいは結晶の粒子径が小さすぎる場合、大きすぎる場合、あるいは粒子径の大小を問わず造粒体や結晶の固い場合には、それぞれに問題点を抱えている。粒子径が小さい場合には、造粒体あるいは結晶の流動性等の物性が悪いため、取り扱いに難がある。一方、造粒体の粒子径が大きい場合、あるいは、固い場合には、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等に加工する際、大きい粒子径の造粒体が残存し、求められる品質とならない可能性がある。例えば、食品用途に加工する際には、還元型補酵素Q10の分布に偏りが生じ、均一にならないことも考えられる。また、医薬品、栄養機能食品、特定保健用食品等の用途に錠剤・カプセル剤等の製剤に加工しようとした場合、固さ、粒子径の影響で製剤化できないことも考えられる。
【特許文献1】特開平10−109933号公報
【特許文献2】WO03/006408公報
【特許文献3】WO03/006409公報
【特許文献4】WO03/006411公報
【特許文献5】特開2003−089669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑み、流動性等の粉体物性を改善し、かつ、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等に加工しやすい適当な固さと粒子径を持つ還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10造粒体を得るための、工業的規模での製造に適した製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10を、水溶性有機溶媒に特定の濃度となるように溶解させた溶液を、水溶性有機溶媒と水の混合溶媒中に添加することにより、例えば100〜1000μm程度の、適度な粒子径を持つ補酵素Q10の造粒体が得られることがわかった。
【0008】
すなわち、本発明は、
還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q1030〜80重量%と、水溶性有機溶媒70〜20重量%からなる補酵素Q10溶液(A)を、
25℃以下の水溶性有機溶媒の水溶液(B)中に、
添加することを特徴とする補酵素Q10粒子の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、攪拌翼や缶壁へのスケーリングを起こすことなく、また、均一でかつ適度な堅さと粒子径を持った還元型補酵素Q10粒子、または、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10粒子を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の補酵素Q10粒子(造粒体)の製造方法においては、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q1030〜80重量%と水溶性有機溶媒70〜20重量%からなる補酵素Q10溶液(A)を、25℃以下の水溶性有機溶媒の水溶液(B)中に、添加することを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法においては、少なくとも還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10が対象となる。その場合、補酵素Q10は、還元型補酵素Q10単独でも良く、又、酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10との混合物であっても良い。上記混合物の場合、還元型補酵素Q10の補酵素Q10の総量(すなわち、還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10の合計量)に占める割合は、特に制限されないが、例えば10重量%以上、普通30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、とりわけ90重量%以上、なかんずく96重量%以上である。上限は100重量%であり、特に限定されないが、普通99.9重量%以下である。補酵素Q10中の酸化型補酵素Q10の割合が高い場合は、水溶性有機溶媒に対する溶解性が低下し、補酵素Q10溶液(A)を高濃度に調製することが困難になる傾向があるため、本発明の製造方法においては、補酵素Q10中の還元型補酵素Q10の割合が高い方が好ましい。以下、本明細書において、「補酵素Q10」と記載した場合は、還元型補酵素Q10単独の場合は還元型補酵素Q10そのものを、酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10との混合物である場合はその混合物全体を意味する。
【0013】
本発明で使用する還元型補酵素Q10、または還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により得ることができる。好ましくは、既存の高純度補酵素Q10など酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物を、一般的な還元剤、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸類等を用いて還元することにより得られたもの(還元型の濃度を高めたものも含む)であり、より好ましくは、既存の高純度補酵素Q10など酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物を、アスコルビン酸類を用いて還元することにより得られたものである。
【0014】
本発明の製造方法においては、以下2種類の溶液を使用する。
【0015】
(A)還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q1030〜80重量%と、水溶性有機溶媒70〜20重量%からなる補酵素Q10溶液
(B)水溶性有機溶媒と水とを混合した水溶性有機溶媒の水溶液
上記補酵素Q10溶液(A)及び水溶性有機溶媒の水溶液(B)に使用する水溶性有機溶媒としては、特に制限されないが、水に対する溶解度が、普通約50w/w%以上、好ましくは約60w/w%以上、より好ましくは約70w/w%以上、特に好ましくは約80w/w%以上の水溶性有機溶媒である。言うまでもなく、水溶性有機溶媒と水が任意の割合で混合しうる水溶性有機溶媒が最も好ましい。
【0016】
そのような水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、ニトリル類、環状エーテル類等を挙げることができる。
【0017】
上記アルコール類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数1〜6、特に炭素数1〜5、とりわけ炭素数1〜3の1価アルコールが好ましく、炭素数2〜5の2価アルコールが好ましく、又、炭素数3の3価アルコールが好ましい。
【0018】
1価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。そのなかで、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノールであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコールであり、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコールである。
【0019】
2価のアルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。好ましくは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールであり、より好ましくは、1,2−エタンジオールである。
【0020】
3価のアルコールとしてはグリセリン等を好適に用いることができる。
【0021】
上記アルコール類のうち、1価のアルコールである、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが特に好ましく、エタノールが最も好ましい。
【0022】
上記ケトン類としては、特に制限されず、普通炭素数3〜6のものが好適に用いられる。その具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができ、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンであり、最も好ましくは、アセトンである。
【0023】
上記ニトリル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数2〜8、特に炭素数2〜6、とりわけ炭素数2〜4のものが好適に用いられる。
【0024】
その具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、オクチルシアニド、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニトリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチルシアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチルベンゾニトリル等を挙げることができる。その中で、好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、ベンゾニトリル、トルニトリル、クロロプロピオニトリルであり、より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルであり、最も好ましくは、アセトニトリルである。
【0025】
上記環状エーテル類としては、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、環状エーテルの骨格が3員環〜6員環、好ましくは5員環〜6員環であるものが好適に用いられる。
【0026】
その具体例としては、例えば、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等を挙げることができる。好ましくは、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランであり、最も好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサンである。
【0027】
上記水溶性有機溶媒の中でも、食品、医薬品等の製造に許容される溶媒を用いるのが特に好ましい。
【0028】
言うまでもなく、上記水溶性有機溶媒は2種以上を併用しても良い。また、補酵素Q10溶液(A)に使用する水溶性有機溶媒と、水溶性有機溶媒の水溶液(B)に使用する水溶性有機溶媒は、同じであるのが工業上好ましいが、異なっていても何ら差し支えない。補酵素Q10溶液(A)と水溶性有機溶媒の水溶液(B)の少なくともどちらかにおいて、水溶性有機溶媒としてアルコール類を選択するのが好ましく、補酵素Q10溶液(A)と水溶性有機溶媒の水溶液(B)の両方においてアルコール類を選択するのがより好ましい。
【0029】
補酵素Q10溶液(A)における補酵素Q10の濃度は、全溶液の重量に対し、30重量%以上、80重量%以下である必要がある。補酵素Q10溶液(A)における補酵素Q10の濃度が30重量%よりも低いときには、得られる造粒体の粒子径が数μm〜数十μm程度と微細になり、通常の晶析と同様のスラリー状となる。一方、補酵素Q10溶液(A)における補酵素Q10の濃度が80重量%よりも高い場合には、1mm超の大きい粒子が得られたり、容易には崩れないほど固い粒子が得られたりする。補酵素Q10溶液(A)における補酵素Q10の濃度は、好ましくは約35%以上、特に好ましくは約40%以上であり、また、好ましくは約75%以下、特に好ましくは約70%以下である。本発明においては、補酵素Q10溶液(A)における補酵素Q10の濃度を上記範囲とすることにより、好ましい粒径と堅さを有する還元型補酵素Q10粒子を製造することが出来る。
【0030】
補酵素Q10溶液(A)の調製方法としては特に限定されず、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10と水溶性有機溶媒を上記濃度範囲で混合・溶解することによって調製するのが一般的であるが、酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10を多く含有する補酵素Q10を水溶性有機溶媒に溶解させた後に、還元反応を実施して酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に変換させたものを利用しても良い。また、本発明の製造方法で使用される補酵素Q10溶液(A)は、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10と水溶性有機溶媒からなるものであるが、造粒体形成を妨げない範囲で他の成分を若干量含んでいても構わない。
【0031】
本発明の製造方法において、水溶性有機溶媒の水溶液(B)の水溶性有機溶媒と水の混合比としては、特に制限されない。しかしながら、水溶性有機溶媒の水溶液(B)の水溶性有機溶媒の濃度が低い場合には、缶壁や攪拌軸等へのスケーリング量が若干増加し、また、数mm超の大きい粒子が得られやすい傾向があり、一方、水溶性有機溶媒の濃度が高い場合には、析出する造粒体の粒子径が小さくなり、得られる造粒体の流動性等の粉体物性が多少悪くなる傾向にある。この観点から、水溶性有機溶媒の水溶液(B)における水溶性有機溶媒の濃度は、約60〜95重量%の範囲が好ましいが、適当な粒子径を得る観点からは、より好ましくは約65重量%以上、さらに好ましくは約70重量%以上であり、また、より好ましくは約90重量%以下、さらに好ましくは約85重量%以下である。また、水溶性有機溶媒の水溶液(B)中に、造粒体形成を妨げない範囲で他の水溶性の成分を若干量含んでいても構わない。
【0032】
本発明においては、上記補酵素Q10溶液(A)を、上記水溶性有機溶媒の水溶液(B)に添加することによって、補酵素Q10粒子を製造する。その補酵素Q10溶液(A)を水溶性有機溶媒の水溶液(B)に添加する工程、すなわち造粒工程について、以下説明する。
【0033】
上記造粒工程における補酵素Q10溶液(A)の温度としては、補酵素Q10が所定濃度で水溶性有機溶媒に溶解しておればよく、使用する水溶性有機溶媒の種類や量により異なるため、特に制限されないが、添加時の補酵素Q10溶液(A)の温度は、好ましくは約40℃以上、より好ましくは約45℃以上であり、また、好ましくは約70℃以下、より好ましくは約60℃以下である。
【0034】
造粒工程における水溶性有機溶媒の水溶液(B)の温度としては、補酵素Q10溶液(A)の水溶性有機溶媒の種類や量、水溶性有機溶媒の水溶液(B)の水溶性有機溶媒の種類等にもよるが、25℃以下の範囲である必要がある。微粒子の生成を抑制する、収率を高める等の観点からは、上記温度は低いほど好ましく、約20℃以下がより好ましい。造粒工程での温度の下限は、系の固化温度となるが、好ましくは−10℃以上、より好ましくは約−5℃以上、特に好ましくは約0℃以上である。
【0035】
造粒工程における補酵素Q10溶液(A)の添加(滴下)方法としては特に制限されず、水溶性有機溶媒の水溶液(B)の上部から補酵素Q10溶液(A)を添加(滴下)しても良いし、水溶性有機溶媒の水溶液(B)内にノズルを導入し、補酵素Q10溶液(A)を該水溶性有機溶媒の水溶液(B)に直接添加しても良い。しかしながら、微細な粒子の生成を抑制するという観点からは、水溶性有機溶媒の水溶液(B)の上部から補酵素Q10溶液(A)を添加(滴下)するのが好ましい。
【0036】
尚、造粒槽内の温度等の条件によっては、補酵素Q10溶液(A)の滴下と同時に固化(造粒)が進行しうるが、その場合も特に支障はない。
【0037】
上記造粒工程は、普通、強制流動下に実施するのが好ましい。目的とする補酵素Q10粒子の粒径等によっても異なるが、普通は、単位容積当たりの撹拌所要動力として、好ましくは約0.01kW/m以上、より好ましくは約0.1kW/m以上、さらに好ましくは約0.3kW/m以上の条件で実施する。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法などを利用する方法も考え得る。
【0038】
造粒工程時の上記補酵素Q10溶液(A)の添加(滴下)速度は、特に制限されないが、例えば、単位時間(1時間)当たり補酵素Q10溶液(A)の全量が添加(滴下)される速度(100%量/時間)以下とするのが好ましく、より好ましくは、単位時間当たり補酵素Q10溶液(A)の約50%量が添加(滴下)される速度(50%量/時間)以下、さらに好ましくは、単位時間当たり補酵素Q10溶液(A)の約25%量が添加(滴下)される速度(25%量/時間)以下である。
【0039】
造粒工程における系全体に対する補酵素Q10の濃度は、特に制限はないが、一般に、補酵素Q10溶液(A)を水溶性有機溶媒の水溶液(B)に添加し終わった時点での全組成物(すなわち補酵素Q10溶液(A)と水溶性有機溶媒の水溶液(B)の総和)に対する補酵素Q10の濃度として、好ましくは約50重量%以下、より好ましくは約40重量%以下、さらに好ましくは約30重量%以下となるように調整する。系全体に対する補酵素Q10の濃度の下限は、特に制限されないが、生産性の観点から、補酵素Q10の濃度は通常、約1重量%以上であり、好ましくは約2重量%以上である。
【0040】
造粒工程時の造粒系(水溶性有機溶媒の水溶液(B)と添加された補酵素Q10溶液(A)の混合物)における水溶性有機溶媒と水の重量比は特に制限されないが、造粒系全体における水溶性有機溶媒の濃度は、約60〜95重量%の範囲が好ましく、より好ましくは約65重量%以上、さらに好ましくは約70重量%以上であり、また、より好ましくは約90重量%以下、さらに好ましくは約85重量%以下である。造粒工程中、補酵素Q10溶液(A)を水溶性有機溶媒の水溶液(B)に添加することにより、造粒系に対する水溶性有機溶媒の濃度は増加するが、それでも上記好ましい範囲内となるように、予め、補酵素Q10溶液(A)と水溶性有機溶媒の水溶液(B)の量比や水溶性有機溶媒の水溶液(B)の水溶性有機溶媒濃度を決定しても良いし、造粒系の水溶性有機溶媒と水との重量比を一定に保つために、造粒時に別途水を添加しても良い。
【0041】
一方、造粒時に数十μm程度以下の微粒子が生成した場合には、造粒終了時の該系中に水溶性有機溶媒を加え、生成した微粒子を溶解させても良いし、微粒子の生成量が多い場合には、水溶性有機溶媒を加えることが好ましい。
【0042】
このようにして得られる補酵素Q10粒子(造粒体)は、好ましくは、例えば、遠心分離、加圧濾過、減圧濾過等による固液分離、更に、必要に応じてケーキ洗浄を行い、更に、減圧乾燥(真空乾燥)により乾体として取得することができるし、乾体として取得するのが好ましい。
【0043】
また、得られた造粒体は、粒子径をより均一なものとするために、必要に応じ、篩等を用いて、分級しても良い。
【0044】
還元型補酵素Q10は空気酸素により容易に酸化されるため、本発明の製造工程における一連の操作は、脱酸素雰囲気下で実施することが好ましい。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
【0045】
本発明の製造方法により、工業的規模での生産に適した方法で、攪拌翼や缶壁へのスケーリングを起こすことなく、約100〜1000μm程度の均一でかつ適当な粒子径を持ち、さらに、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等に加工しやすい固さの、還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10粒子を製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下に製造例、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において使用した酸化型補酵素Q10は、株式会社カネカ製のもの(純度99.5%)を使用した。また、酸化型補酵素Q10や還元型補酵素Q10の純度、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の比率(重量比)は下記HPLC分析により求めた。
【0047】
(HPLC分析条件)
カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径)、移動相;COH:CHOH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
【0048】
(実施例1)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらヘキサン1000gと脱気した水1000gを加えた。25℃まで冷却後、水相を除去し、さらに脱気した飽和食塩水1000gで6回水洗し、水相を除去した。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下にて実施した。このヘキサン溶液から、48℃、減圧下にてヘキサンを留去し、油状物の還元型補酵素Q10(約100g)を得た。得られた還元型補酵素Q10に、エタノール100gを加え、50℃にて溶解させた。この還元型補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度80重量%エタノール水溶液1000g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、さらに冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体97gを得た(有姿収率97モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。また、得られた造粒体の90%が直径約200〜700μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0049】
(実施例2)
使用するエタノール水溶液を、濃度70重量%のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様の方法で還元・造粒を行うことにより、補酵素Q10の造粒体98gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。また得られた造粒体の85%が直径約300〜1000μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0050】
(実施例3)
使用するエタノール水溶液を、濃度90重量%のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様の方法で還元・造粒を行うことにより、補酵素Q10の造粒体97gを得た(有姿収率97モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。また、得られた造粒体の80%が直径約100〜500μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0051】
(比較例1)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらヘキサン1000gと脱気した水1000gを加えた。25℃まで冷却後、水相を除去し、さらに脱気した飽和食塩水1000gで6回水洗し、水相を除去した。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下にて実施した。このヘキサン溶液から、48℃、減圧下にてヘキサンを留去し、油状物の還元型補酵素Q10を得た。この油状物を、窒素雰囲気下で2℃の濃度50重量%エタノール水溶液1000g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、還元型補酵素Q10を結晶化させた。得られた結晶を減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93gを得た(有姿収率93モル%)。得られた結晶の90%程度が直径約1.5〜2mmの粒状であり、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であり、指で押さえるだけでは容易に崩れない固さであった。
【0052】
(実施例4)
比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)10gを、50℃にて10gのアセトンに溶解させた。この補酵素Q10/アセトン溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度70重量%アセトン水溶液溶液100g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。また、得られた造粒体の60%が直径約100〜400μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0053】
(実施例5)
比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)10gを50℃にて10gのエタノールに溶解させた。この補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度80重量%エタノール水溶液100g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。また、得られた造粒体の90%が直径約100〜600μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0054】
(実施例6)
比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)10gを50℃にて10gのアセトンに溶解させた。この補酵素Q10/アセトン溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度85重量%エタノール水溶液溶液100g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。また、得られた造粒体の90%が直径約100〜600μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0055】
(実施例7)
酸化型補酵素Q105gと比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)5gを、60℃にて10gのエタノールに溶解させた。この補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度85重量%エタノール水溶液500g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、黄色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は49.4/50.6であった。また、得られた造粒体の70%が直径約100〜600μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0056】
(実施例8)
酸化型補酵素Q104.5gと比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)0.5gを、60℃にて10gのエタノールに溶解させた。この補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度85重量%エタノール水溶液500g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、橙色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は9.7/90.3であった。また、得られた造粒体の70%が直径約100〜700μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0057】
(比較例2)
酸化型補酵素Q1010gを50℃にて130gのエタノールに溶解させた。この酸化型補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度80重量%エタノール水溶液200g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下したところ、酸化型補酵素Q10の結晶が得られた。この結晶を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、橙色の酸化型補酵素Q10結晶9.8gを得た(有姿収率98モル%)。また、得られた結晶の90%が直径約10μm程度での非常に細かい結晶であった。
【0058】
(実施例9)
比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)10gを60℃にて2.5gのエタノールに溶解させた。この補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度85重量%エタノール水溶液200g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら1時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。また、得られた造粒体の90%が直径約100〜700μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。
【0059】
(実施例10)
比較例1で得られた結晶(還元型補酵素Q1099.2%)10gを50℃にて23gのエタノールに溶解させた。この補酵素Q10/エタノール溶液を、窒素雰囲気下、2℃の濃度75重量%エタノール水溶液200g中に、攪拌所要動力0.3kW/mにて攪拌しながら2時間かけて滴下することにより、補酵素Q10造粒体を得た。この造粒体を減圧ろ過し、減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の補酵素Q10造粒体9.8gを得た(有姿収率98モル%)。得られた造粒体の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。また、得られた造粒体の70%が直径約100〜400μm程度の粒状であり、指で押さえるだけで簡単に崩れる固さであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q1030〜80重量%と、水溶性有機溶媒70〜20重量%からなる補酵素Q10溶液(A)を、
25℃以下の水溶性有機溶媒の水溶液(B)中に、
添加することを特徴とする補酵素Q10粒子の製造方法。
【請求項2】
水溶性有機溶媒の水溶液(B)が、濃度60〜95重量%の水溶性有機溶媒の水溶液である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
水溶性有機溶媒が、ケトン類、アルコール類、ニトリル類及び環状エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
ケトン類が、アセトン又はメチルエチルケトンである請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
アルコール類が、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノールである請求項3記載の製造方法。
【請求項6】
ニトリル類がアセトニトリルである請求項3記載の製造方法。
【請求項7】
環状エーテル類が、テトラヒドロフラン又はジオキサンである請求項3記載の製造方法。
【請求項8】
還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10が、10重量%以上の還元型補酵素Q10を含有する補酵素Q10である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
補酵素Q10溶液(A)を水溶性有機溶媒の水溶液(B)に添加する際に、単位容積当たりの撹拌所要動力として0.01kW/m以上の強制流動下に添加する請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
補酵素Q10溶液(A)の添加速度が、該補酵素Q10溶液(A)の100%量/時間以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
脱酸素雰囲気下に実施する請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−195650(P2008−195650A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32319(P2007−32319)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】