説明

還元性溶液の製造方法及びその製造方法により生成される還元性溶液

【課題】 本発明は、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、L−システイン塩酸塩、グリシン、クエン酸一水和物及び塩化カルシウム2水和物を混合した後、水に溶かし込むことで生成される還元性溶液の製造方法に関し、純粋な化学反応のみで長期間に渡り十分な還元性を有する酸化還元電位の低い還元性溶液を水素加圧装置等の付帯設備を稼働させることなく単純な作業工程のみで極めて簡単に且つ大量の還元性溶液をいつでも何処でも製造することが出来る還元性溶液を提供するものである。
【解決手段】 還元性溶液が、水100mlに対し、0.15〜0.3重量%の炭酸カリウム、0.15〜0.4重量%の炭酸水素ナトリウム、0.8〜1.2重量%のL−システイン塩酸塩、2.0〜8.0重量%のグリシン、0.08〜0.2重量%のクエン酸一水和物及び1.5〜5.0重量%の塩化カルシウム2水和物を混合した後、前記水に溶かし込むことにより生成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元性溶液の製造方法及びその製造方法により生成される還元性溶液に関し、更に詳しくは、炭酸イオンが水素と反応することで、水と炭酸ガスと電子を生じることに鑑み、特別な電解装置、加圧装置又は接触固形素材等を一切有することなく化学反応のみで多くの電子を加えることにより、マイナスの電気エネルギーを多く含んだ溶液、即ち常温において長期間にわたり抗酸化力が衰えない極めて優れた還元性溶液の製造方法及びその製造方法により生成される還元性溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、還元性溶液(一般には抗酸化性水、又は還元水ともいう)の製造方法としては、例えば、特開2005−40765号公報所載のもの、特開2004−351399号公報所載のもの及び特開2006−68640号公報所載のもの等が存在する。
【特許文献1】 特開2005− 40765号公報
【特許文献2】 特開2004−351399号公報
【特許文献3】 特開2006− 68640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1及び2は、抗酸化性水(還元水)を製造する際に、何れも水素ガス加圧装置を必用とするものであり、特許文献3の還元水は、活性炭や薬石等の接触固形素材等を必用とするものであり、何れもマイナスの酸化還元電位を有した還元水を製造することができるものであるが、かかる還元水の製造方法においては下記の様な問題があった。
【0004】
即ち、上記還元水の製造方法において、例えば、特許文献1及び2では、水素ガスを水に溶融させるための水素加圧装置及びその他の付帯設備が必要であり、その高額な設備費や製造時における設備運営費が嵩むこととなる。
【0005】
また、特許文献3においては、天然素材である活性炭・薬石・貝殻が必要であり、その素材を確保準備するために必要な期間や素材経費が必ず生じることとなる。
【0006】
よって、上記特許文献1乃至3の何れかの製造方法を用いて抗酸化性水(還元水)を製造する場合には、必然的に製造コストが高騰することとなり、安価でしかも長期間に渡り十分な還元性を有する酸化還元電位の低い(抗酸化力)抗酸化性水(還元水)を大量に製造することは極めて困難であるという実際の製造面においての問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
然して、本発明は、上記課題を解決するものであり、請求項1記載の発明は、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、L−システイン塩酸塩、グリシン、クエン酸一水和物及び塩化カルシウム2水和物を混合した後、水に溶かし込むことで生成されるものであることから、純粋な化学反応のみで長期間に渡り十分な還元性を有する酸化還元電位の低い還元性溶液を水素加圧装置等の付帯設備を稼働させることなく単純な作業工程のみで極めて簡単に且つ大量の還元性溶液をいつでも何処でも製造することが出来るという生産上の利点を有する。
【0008】
更に、上記請求項1記載の発明によれば、水素加圧装置等の付帯設備が不要であることから、高額な設備費や製造時において設備運営費が嵩むといった経営上の問題を解決することが出来るという利点を有するだけでなく、天然素材を確保準備するために必要な期間や素材経費をも不要となり、よって極めて低コストの還元性溶液を大量に製造して市場に安価且つ爆発的に普及させることが出来るという販売戦力上の大きな利点を奏する。
【0009】
次に、請求項2記載の発明は、塩化カルシウム2水和物が、前記炭酸カリウムと炭酸水素ナトリウムとL−システイン塩酸塩とグリシンとクエン酸一水和物を混合して前記水に溶かし込んだ後、所定の時間経過後に該水に溶かし込むことにより生成する場合には、炭酸カリウムと炭酸水素ナトリウムとL−システイン塩酸塩とグリシンとクエン酸一水和物を混合して前記水に溶かし込んだ際に発生する炭酸ガスの発生終了をもって塩化カルシウム2水和物を溶かし込むことで更なる酸化還元電位の低下と安定を生じさせることが出来るという利点がある。
【0010】
更に、請求項3記載の発明は、水に上水(水道水)を用いた場合には、安価なコストと取り扱いが極めて容易であるばかりか、上水に含まれる残留塩素を中和させ、無害な成分に変化させることが出来るという使用上の利点がある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、還元性溶液が、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、L−システイン塩酸塩、グリシン、クエン酸一水和物及び塩化カルシウム2水和物を混合した後、水に溶かし込むことで生成されることから、かかる生成方法により得られる還元性溶液によれば、該還元性溶液に含まれる炭酸カリウムは炭酸ガスの発生源として用いることが出来、炭酸水素ナトリウムは炭酸ガスの発生源としてのみならず、炭酸カリウムのみではPH値が高くなりすぎるのを抑制することが出来、L−システイン塩酸塩は溶液中でシステインが酸化されてシスチンを生成する時に生じる水素を水素発生源として用いることが出来、グリシンは還元性溶液特有の臭いを消すことが出来、クエン酸一水和物はPH値の調整が出来、塩化カルシウム2水和物は還元性溶液の酸化還元電位を更に低下させることが出来るだけでなく、上水は取り扱いが容易であるばかりか、上水中の残留塩素は即中和されて無害な成分に変化させることが出来るという各々特有の効果を奏するものである。
【0012】
よって、上記各々特有の効果を奏する炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、L−システイン塩酸塩、グリシン、クエン酸一水和物及び塩化カルシウム2水和物を混合した後、水に溶かし込むことで生成される還元性溶液によれば、還元性(抗酸化性)として上水(水道水)中の残留塩素を瞬時に還元できるという効果を奏する。
【0013】
更に、上記還元性溶液を散布したり、又該還元性溶液で洗浄等した野菜、果物、肉類等の食材は通常の各食材の一般的な管理状態時と比べてその鮮度を長く保持することが出来るという効果を奏する。
【0014】
更に、上記還元性溶液を飲用した場合には、一般に病気の元凶と言われている活性酸素と体内で反応し無害の水となることから、身体に極めて良好な飲料水として、又かかる還元性溶液を各種の飲料や食物等に添加等して用いても上記同様に活性酸素と反応して無害の水になるという効果を奏する。
【0015】
又、還元性溶液を食パン等のパン製造時に小麦粉を練り込む際の上水に添加することにより、カビの発生を大幅に遅らせることが出来るという効果がある。
【0016】
更に、上記還元性溶液によれば、水のクラスターが小さくなるので必然的に細胞への浸透性がよくなり、皮膚に張りを持たせるべく肌の保水力をアップさせることが出来るという効果がある。
【0017】
又、上記の如く水のクラスターが小さくなることで、例えば、米を炊く際であっても米への浸透性がよくなり、ふっくらとした美味しいご飯を炊くことも出来るという効果がある。
【0018】
更に、かかる還元性溶液は、体内酵素の坑酸化物質の力を低下させない、即ち酵素活性力を向上させることが出来ることから、飲用等した場合には、分解、消化、吸収という働きがある体内酵素は、全て水の存在する場所で働くので酵素の働きを向上する還元性溶液は、結果として免疫力を増大させることが出来るだけでなく、体力をも増大させることが出来るという効果を奏する。
【0019】
更に、上記還元性溶液は、界面活性力が極めて高いことから、飲用等した場合には、体内の脂肪組織に蓄積している、例えば、PCB、ダイオキシン残留農薬等の毒物を洗い流す作用、所謂、デトックス効果も得ることが出来る。
【0020】
又、上記還元性溶液に、野菜、果物等を所定の時間浸漬させることで、該野菜、果物等に付着している農薬等を除去することが出来るという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明における還元性溶液の製造方法の一実施形態を説明する。
先ず、1000mlの上水(水道水)に対して、炭酸カリウム2g、炭酸水素ナトリウム3g、L−システイン塩酸塩10g、グリシン40g、クエン酸一水和物1g及び塩化カルシウム2水和物20g用意する。
【0022】
次に、所定の容器(図示せず)に、上記炭酸カリウム2g、炭酸水素ナトリウム3g、L−システイン塩酸塩10g、グリシン40g及びクエン酸一水和物1gを混合した後、上記1000mlの上水を加えて溶かし込む。
【0023】
尚、この時点で上記容器から化学反応によって炭酸ガスが発生する為、この炭酸ガスが止むまで所定時間容器を放置する。
【0024】
その後、炭酸ガスが止むのを確認した後、上記容器内に塩化カルシウム2水和物20gを添加して混合することで還元性溶液を生成することができる。
【0025】
上記製造方法により生成された還元性溶液は、炭酸カリウム2g、炭酸水素ナトリウム3g、L−システイン塩酸塩10g、グリシン40g、クエン酸一水和物1g及び塩化カルシウム2水和物20gを混合した後、1000mlの上水(水道水)に溶かし込むことで生成されるものである。
【0026】
よって、純粋な化学反応のみで長期間に渡り十分な還元性を有する酸化還元電位の低い還元性溶液を水素加圧装置等の付帯設備を稼働させることなく単純な作業工程のみで極めて簡単に且つ大量の還元性溶液をいつでも何処でも製造することが出来るという生産上の利点を有するに至った。
【0027】
次に、上記一実施形態にて生成された還元性溶液(密栓して室温保存)の安定性及び抗酸化性を調べるためにかかる還元性溶液を上水100mlに対して1ml添加して酸化還元電位(ORP)及びピーエッチ(pH)を測定した。
【0028】
【表1】

※ ORP値:水素電極基準の値(Eh)に換算した値である。
酸化還元電位の測定には、東亜電波工業(株)製HM50V型pHメータ付属の ORP同時測定装置(図示せず)を使用又pH測定には、東亜電波工業(株)製 HM50V型pHメータ(図示せず)を使用した。
上記表1によれば、酸化還元電位もpHも極端な変化を有することなく約6カ月間安定した値を示した。尚、その後も安定性試験を継続中である。
【0029】
よって、上記一実施形態にて生成された還元性溶液によれば、従来の製造方法と比べ、水素加圧装置等の付帯設備が不要であることから、高額な設備費や製造時において設備運営費が嵩むといった経営上の問題を解決することが出来るという利点を有するだけでなく、天然素材を確保準備するために必要な期間や素材経費をも不要となり、よって極めて低コストの還元性溶液を大量に製造して市場に安価且つ爆発的に普及させることが出来るという販売戦力上の大きな効果を奏する。
【0030】
更に、塩化カルシウム2水和物が、前記炭酸カリウムと炭酸水素ナトリウムとL−システイン塩酸塩とグリシンとクエン酸一水和物を混合して上水に溶かし込んだ後、所定の時間経過後に該上水に溶かし込むことにより生成する場合においては、炭酸カリウムと炭酸水素ナトリウムとL−システイン塩酸塩とグリシンとクエン酸一水和物を混合して前記水に溶かし込んだ際に発生する炭酸ガスの発生終了をもって塩化カルシウム2水和物を溶かし込むことで更なる酸化還元電位の低下と安定を生じさせることが出来るという効果がある。
【0031】
更に、水に上水(水道水)を用いた場合には、安価なコストと取り扱いが極めて容易であるばかりか、上水に含まれる残留塩素を中和させて無害な成分に変化させることが出来るという使用上の効果がある。
【0032】
上記一実施形態において生成される還元性溶液は、1000mlの上水(水道水)に対して、炭酸カリウム2g、炭酸水素ナトリウム3g、L−システイン塩酸塩10g、グリシン40g、クエン酸一水和物1g及び塩化カルシウム2水和物20gを用いたが、必ずしもこの値に限定されるものではない。
【0033】
即ち、還元性溶液を生成する場合において、水100mlに対し、0.15〜0.3重量%の炭酸カリウム、0.15〜0.4重量%の炭酸水素ナトリウム、0.8〜1.2重量%のL−システイン塩酸塩、2.0〜8.0重量%のグリシン、0.08〜0.2重量%のクエン酸一水和物及び1.5〜5.0重量%の塩化カルシウム2水和物を混合した後、前記水に溶かし込むことにより生成すれば、ORPもpHも極端な変化を有することなく約6カ月間にわたりORP及びpHの値も安定した値を保持することができるという格別な効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明における還元性溶液は、スポーツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、野菜ジュース、アルコール飲料、炭酸飲料、軟質及び硬質の飲料水等に添加して飲料する等各種食品に適用出来ると共に、化学反応のみで生成可能な還元性溶液の製造方法及びその製造方法により生成される還元性溶液に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水100mlに対し、0.15〜0.3重量%の炭酸カリウム、0.15〜0.4重量%の炭酸水素ナトリウム、0.8〜1.2重量%のL−システイン塩酸塩、2.0〜8.0重量%のグリシン、0.08〜0.2重量%のクエン酸一水和物及び1.5〜5.0重量%の塩化カルシウム2水和物を混合した後、前記水に溶かし込むことにより生成されることを特徴とする還元性溶液の製造方法。
【請求項2】
前記塩化カルシウム2水和物が、前記炭酸カリウムと炭酸水素ナトリウムとL−システイン塩酸塩とグリシンとクエン酸一水和物を混合して前記水に溶かし込んだ後、所定の時間経過後に該水に溶かし込むことにより生成されることを特徴とする請求項1記載の還元性溶液の製造方法。
【請求項3】
前記水に、上水を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の還元性溶液の製造方法。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れかの製造方法によって製造されることを特徴とする還元性溶液。

【公開番号】特開2010−201410(P2010−201410A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90508(P2009−90508)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(396017811)
【Fターム(参考)】