説明

部品の実装装置

【課題】簡単な設備で短時間に熱の消費すくなく、しかも部品と実装対象物との十分な電気的接合を図って実装できるようにする。
【解決手段】部品3を部品取り扱いツール14で保持して取り扱いその接合面3aを実
装対象物4の接合面4aに対向させ、双方の電気接合部5、6どうしを圧接させ実装に供する部品取り扱い手段23と、部品取り扱いツール14に超音波振動手段24を接続してなり部品3に超音波振動を与える接合手段23bとを備え、実装対象物4の電気接合部6に部品3の電気接合部5を対向させて、電気接合部5、6どうしを接合面3a、4aの一方または双方に予め供与された封止材11を介し圧接させるとともに超音波振動手段24を働かせて部品3と実装対象物4との電気接合部5、6どうしを超音波振動により摩擦させて接合することにより、上記のような目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の実装装置、より詳しくは、部品を金属部分の電気的な接合を伴って実装対象物に実装する部品の実装装置に関し、例えば、パッケージを施されない状態でプリント配線板などの回路基板に実装して電子回路基板を製造するようなベアICチップなどの電子部品の実装に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ベアICチップは、例えば、半導体ウエハの上に回路パターンが薄膜技術を駆使して形成されたもので、プリント基板に実装して電子回路基板を製造するのに用いられる。図11に示すようにベアICチップaは、回路基板bにプリント配線などして形成された導体ランドcに電気接合するための電極dが回路パターンとともに形成され、パッケージが施されないまま電極dを持った接合面eを回路基板bの導体ランドcを持った接合面fに対向させて、導体ランドcおよび電極d間の電気接合を図った状態で固定するいわゆる面実装が行われ、双方の接合面e、f間に図12に示すように樹脂製の封止材gを充満させて、電気接合部分を含むベアICチップaの接合面eに形成されている回路パターンなどをまわりから封止するようにしている。
【0003】
近時、このような実装を行うのに、ベアICチップaの電極dの上に図11に示すような金属製のバンプhをワイヤボンディングなどによって形成し、このベアICチップaを吸着ノズルnによって吸着して保持して、位置決めされた回路基板bの上の所定位置に対向させて、前記バンプhを回路基板bの導体ランドcに押し当てて電気的な接合を図るとともに、バンプhや導体ランドcに予め施すなどした接着材jや前記電気的な接合の補助となる半田ペーストなどで双方を固定して、ベアICチップaを回路基板bに装着し、次いで、図12に示すように回路基板bを斜めに保持しておき、ディスペンサkなどを用いてベアICチップaと回路基板bとの接合面e、f間に封止材gを仮想線で示すように流し込んで、例えば実線で示すように充満させて封止処理するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の方式であると、ベアICチップaを回路基板bに装着する工程と、回路基板bとこれに装着したベアICチップaとの接合面e、f間に封止材gを流し込む工程とは、回路基板の取り扱いや作業に大きな違いがあってそれぞれ別な装置で作業するので、設備費が高くつく。また、接合面e、f間に封止材gを流し込むのには長い時間が掛かるので生産性が低い。例えば、10mm×10mmの大きさのベアICチップaであると、ディスペンサkをベアICチップaの上辺に沿って往復移動させてその全幅に封止材gを供与しながら、封止材gが接合面e、f間の全域に流れ込んで、ベアICチップaの外回りに図12に示すようなぬれ広がり部mができる程度にまで充満するのを待って作業を終える。このような実装では1つのベアICチップaにつき10秒程度掛かる。また、接合面e、fの間隔は例えば50μm程度とごく狭いので、前記のような長い時間を掛けて封止材gを流し込むにも、用いる封止材gの粘度範囲が2000〜3000cpsと狭く選択自由度が低い。また、この粘度範囲の封止材gを硬化させるには40℃〜60℃と比較的高温に加熱する必要があるので、この面でも作業時間が長くなっているし、熱消費が大きく省エネルギー上不利である。
【0005】
しかも、接合面e、f間に流し込んだ封止材gのフィラー材が縞状に分布するむらができ、封止不良を招きかねない。また、ベアICチップaのバンプhと回路基板bの導体ランドcとの電気的な接合は接触だけであるため、接着材jおよび封止材gによる固定では
接触不良がときとして発生し、製品の歩留りが低下する。これを半田ペーストで固定することにより対応するのでは、半田ペーストを加熱して硬化させるのにさらに熱と時間を消費することになる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な設備で短時間に熱の消費すくなく、しかも部品と実装対象物との十分な電気的接合を図って実装できる、部品の実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するため、本発明の部品の実装装置は、部品を所定位置に供給する部品供給部と、部品が実装される実装対象物を部品実装位置に供給して部品の実装に供した後、これを他へ移す実装対象物取り扱い手段と、部品供給部で供給される部品を部品取り扱いツールで保持して取り扱い、部品の電気接合部を有した接合面を実装対象物の電気接合部を有した接合面に対向させて、双方の電気接合部どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段と、前記部品取り扱い手段の部品取り扱いツールにホーンを介して超音波振動手段を接続し、実装対象物に対向、圧接させる部品を部品取り扱いツールが吸着保持して部品に超音波振動を与え、吸着保持した部品と実装対象物との電気接合部どうしを圧接状態で摩擦させて溶融、接合する接合手段と、部品実装位置にて、実装対象物取り扱い手段が取り扱う実装対象物の金属製の電気接合部に、部品取り扱い手段が取り扱う部品の金属製の電気接合部を対向させてから、それら電気接合部どうしを、それぞれの接合面の一方または双方の全域にその電気接合部を覆って予め供与されたままの封止材を介して、圧接させるとともに実装対象物の面に沿う方向に超音波振動手段を働かせて前記部品と実装対象物との電気接合部どうしを超音波接合させる制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
このような構成では、部品の電気接合部と実装対象物の電気接合部との圧接状態で部品に与えた超音波振動により摩擦させ電気接合部どうしを溶融を伴い超音波接合するのと同時に、電気接合部どうしを圧接する際にそれらの接合面の一方または双方に予め供与されている封止材を互いの近づきによって圧迫し、特別な作業および時間なしに相互間の必要な範囲に強制的に一瞬に充満させられるので、電気接合部どうしの電気的な接合と、封止材を必要範囲に充満させること、を1つの作業のうちに短時間で達成することができるし、用いる封止材も流し込みの場合のような粘度の制限はなく高い粘度のものを用いて低い温度で前記作業とともに短時間に硬化させられるので、部品の実装が簡単な作業および装置で短時間に少ない熱消費で達成される。しかも、部品供給部、実装対象物取り扱い手段、および接合手段を所定のプログラムに従い制御手段で制御するだけで、実装対象物の実装面に部品を自動的に安定して高速度で達成することができるし、電気接合部どうしの電気的な接合は金属接合を伴うもので確実であり、接触不良による不良品の発生がなく歩留りが向上する。従って、製品コストの低減が図れる。
【0009】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。また、本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気接合部どうしの電気的な接合と、封止材を必要範囲に充満させること、を1つの作業のうちに短時間で達成することができるし、用いる封止材も流し込みの場合のような粘度の制限はなく高い粘度のものを用いて低い温度で前記作業とともに短時間に硬化させられるので、部品の実装が簡単な作業および装置で短時間に少ない熱消費で達成される。しかも、電気接合部どうしの電気的な接合は超音波振動を部品に与えた摩擦による金属接合を伴うもので確実で接触不良による不良品の発生がなく歩留りが向上するし、短時間に接合できる。従って、製品コストの低減が図れる。
【0011】
また、封止材は部品および実装対象物の接合面の少なくとも一方に一塊に供与しておけばよく、ディスペンサで塗布して、あるいは印刷によって、あるいは、転写によって適時に供与すればよく、前記部品実装のための部品および実装対象物の取り扱い作業中やこの取り扱い作業に関連して、簡単かつ短時間に供与できるので、上記特徴は特に損なわれない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の部品の実装装置の実施の形態について、実施例とともに図1〜図10を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0013】
本実施の形態は、図5、図10に示すように半導体ウエハ1がダイシングシート2上で個々のベアICチップ3にダイシングされたものを部品として取り扱い、図1に示すようにプリント配線板などの回路基板4を実装対象物とし、双方の相対移動による電気接合部5、6どうしの超音波振動を利用した摩擦によって超音波接合する金属接合、つまり電気接合を伴ってベアICチップ3を回路基板4に実装する場合の一例であり、1つの実施例としてベアICチップ3の電気接合部5は半導体ウエハ1の上に薄膜技術によって形成された電極7にワイヤボンディング技術で形成した金属製のバンプ8とし、回路基板4の電気接合部6はその表面に形成された導体ランド9としてある。もっとも、本発明はこれに限られることはなく、他の電子部品や電子部品以外の種々な部品を、回路基板以外の板状物や他の形態のものを含む種々な実装対象物に、それらの超音波振動よる場合を含む各種の相対移動による電気接合部どうしを圧接状態で摩擦させて溶融、接合し、各種に実装する全ての場合に適用できる。
【0014】
本実施の形態の部品の実装方法は、図1に示すように、ベアICチップ3のバンプ8を回路基板4の導体ランド9に圧接させるときのベアICチップ3と回路基板4との近づきによって、それらの一方または双方に予め供与してある例えばシリカと樹脂バインダなどからなる図1に仮想線で示すような封止材11を双方で圧迫しながらそれらの間の必要範囲、例えば図1、図10に示すように双方の対向し合う接合面3aおよび4aの間の周囲から外回りに適度なぬれ広がり部13を持つような範囲に充満させるのに併せ、ベアICチップ3に超音波振動を与えてベアICチップ3のバンプ8と回路基板4の導体ランド9とを前記圧接状態で摩擦させることにより、バンプ8、導体ランド9どうしを溶融を伴って超音波接合し、溶接接合部10を持った電気的な接合を図ってベアICチップ3を回路基板4に実装する。
【0015】
ベアICチップ3のバンプ8を回路基板4の導体ランド9に圧接させながら超音波を与えるには、ベアICチップ3を実装するためにそれを自動的に取り扱う部品取り扱いツールとしての例えば吸着ノズル14を介して行うのが好適であり、図5に示す部品の実装装置では、吸着ノズル14を昇降させるボイスコイルモータ15による荷重500g〜5Kg程度の磁気加圧力で前記圧接を行い、吸着ノズル14に圧電素子16からの振動を受けるホーン17を接続して、吸着ノズル14に、振動数60KHz、振幅1〜2μm程度の超音波振動を与えて、前記圧接されているバンプ8と導体ランド9とに摩擦を生じさせて、双方の溶融を伴い超音波接合するようにしている。しかし、部品の種類によってはチャックタイプや接着、ねじなどにより保持するものなど各種の部品取り扱いツールを用いることができ、それら部品取り扱いツールを介して取り扱う部品に超音波振動を与えればよい。吸着ノズル14は図9に示すように上記超音波振動が与えられたときに折損しないように、これの支持軸81に弾性チューブ82を介して接続され、弾性チューブ82を通じて支持軸81側からの吸引作用も吸着ノズル14に及ぶようにしている。しかし、そのための具体的な構成は特に問うものではなく種々に設計することができる。
【0016】
電気接合部5、6どうしの摩擦による溶融を伴う接合を、上記のように部品および実装対象物の少なくとも一方に与える超音波振動によって行うと、所要時間が1/10秒単位に短くなるが、原理的にはこれに限られることはなく、上記のように部品と実装対象物との相対移動によりそれらの電気接合部5、6どうしを摩擦させて溶融させ、接合させればよい。
【0017】
以上のようにすると、ベアICチップ3のバンプ8と回路基板4の導体ランド9との圧接状態で、ベアICチップ3に超音波振動を与えてバンプ8と導体ランド9とを摩擦させ、それら電気接合部5、6どうしを溶融を伴い超音波接合して電気的にも接合するのと同時に、バンプ8および導体ランド9どうしを圧接する際にベアICチップ3および回路基板4の接合面3a、4aの少なくとも一方に予め供与されている封止材11を互いの近づきによって圧迫し、特別な作業および時間なしに相互間の必要な範囲に強制的に一瞬に充満させられるので、バンプ8および導体ランド9どうしの電気的な接合と、封止材11を必要範囲に充満させること、を1つの作業のうちに短時間で達成することができ、用いる装置も1つで足りる。
【0018】
また、用いる封止材11は流し込みの場合のような粘度の制限はなく、例えば2000〜10000cpsと云った広範囲な粘度設定ができ、高い粘度のものを用いて例えば25℃程度の低い温度で前記作業とともに短時間に硬化させられる。封止材11の種類としては、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系などがあり、これに硬化材として酸無水物系やフェノール系が混合された接着剤をシリカなどのフィラー材のバインダとしたものを用いた。しかし、これらに限られることはなく、これから開発されるものを含め種々なものを採用することができる。
【0019】
要するに、ベアICチップ3などの部品の回路基板4などの実装対象物への実装が1つの簡単な作業および装置で短時間に少ない熱消費で達成される。しかも、電気接合部5、6であるバンプ8や導体ランド9などの電気的な接合は金属接合、特に溶接接合を伴うもので確実であり、接触不良による不良品の発生がなく歩留りが向上する。従って、製品コストの低減が図れる。因みに10mm×10mmの大きさのベアICチップ3を封止処理を伴い超音波接合して回路基板4に実装するのに実装に要した時間は0.4秒程度と短くなった。
【0020】
また、封止材11はベアICチップ3や回路基板4の接合面3a、4aの少なくとも一方に、図1に仮想線で示し、図2に破線で示すように、上向き面や下向き面に一塊に供与しておけばよいので空気が混入しにくい。封止材11の供与は図3、図10に示すように下方から、あるいは上方からディスペンサで塗布して、あるいは印刷によって、あるいは、転写によって適時に供与すればよい。印刷や転写は下向き面に供与するのに垂れなどがなく好適である。もっとも、図2に示すように山盛り状態にした封止材11に吸着ノズル14で吸着保持したベアICチップ3の接合面3aを近づけて行って付着させ供与するようにもできる。
【0021】
これらの作業は、前記部品実装のためのベアICチップ3や回路基板4の取り扱い作業中のタイムラグを利用して、簡単かつ短時間に行える。場合によっては取り扱い作業に関連した前作業などで行ってもよい。
【0022】
図1、図2に示す実施例の電極7上のバンプ8に代えて、あるいは別に回路基板4の導体ランド9にバンプを形成してもよく、ベアICチップ3などの部品や回路基板4などの実装対象物の電気接合部の少なくとも一方にバンプを用いると、ベアICチップ3などの部品と回路基板4などの実装対象物との局部的な電気接合部での超音波接合が、十分な量の金属部分で確実に、また、他の部分での干渉や損傷なしに容易に達成できる。
【0023】
上記のような方法を達成する部品の実装装置としては、図5に示すように、ベアICチップ3などの部品を所定位置Aに供給する部品供給部21と、部品を電気接合を伴って実装する回路基板4などの実装対象物を部品実装位置Bに供給して部品の実装に供した後、これを他へ移す実装対象物取り扱い手段22と、部品供給部21で供給される部品を吸着ノズル14などの部品取り扱いツールで保持して取り扱い、ベアICチップ3などの部品のバンプ8などの電気接合部5を有した接合面3aを回路基板4などの実装対象物の導体ランド9などの電気接合部6を有した接合面4aに対向させて、双方の電気接合部5、6どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段23と、吸着ノズル14などの部品取り扱いツールを通じてこれが保持している部品に超音波振動を与える超音波振動手段24と、部品実装位置Bにて、実装対象物取り扱い手段22が取り扱う回路基板4などの実装対象物の金属製の電気接合部である導体ランド9などに、部品取り扱い手段23が取り扱うベアICチップ3などの部品の金属製の電気接合部であるバンプ8などを対向させてから、双方を圧接させることによりそれぞれの接合面3a、4aの一方に予め供与されている封止材11を圧迫してそれら接合面3a、4a間の必要な範囲に充満させるとともに超音波振動手段24を働かせて、バンプ8および導体ランド9などの電気接合部どうしを超音波接合させる制御手段25とを備えれば足り、図10に示す所定のプログラムデータ26に従った制御手段25による動作制御で、上記のような方法を自動的に安定して高速度で達成することができる。
【0024】
制御手段25にはマイクロコンピュータを用いるのが好適であるが、これに限られることはなく、種々な構成および制御形式を採用することができる。プログラムデータ26は制御手段25の内部または外部のメモリに記憶されたもの、あるいはハード回路で構成されたシーケンス制御によるものなど、どの様な形態および構成のものでもよい。
【0025】
図5に示す実施例では、基台31の前部に実装対象物取り扱い手段22が設けられ、回路基板4をそのベアICチップ3との接合面4aが上向きとなるように取り扱い、上方から簡易に実装されるようにしている。実装対象物取り扱い手段22はレール32に沿って回路基板4を一端のローダ部33から他端のアンローダ部34までX方向に搬送する搬送手段をなしている。しかし、回路基板4が小さいなど実装対象物の大きさや形状、形態などによっては、これを持ち運ぶタイプの手段とすることもできる。レール32はローダ部33の下流側直ぐに設定された部品実装位置Bの範囲の部分が、図5、図6に示すように独立したレール32aとされ、このレール32aと、このレール32aに受け入れた回路基板4を下方から吸着保持するボンディングステージ35とを、前記X方向と直行するY方向に移動させるY方向テーブル36で支持して設け、レール32と並ぶ回路基板4の受け渡し位置B1と、これよりも後方の部品の実装作業を行う図5に示す実装作業位置B2との間で往復移動させる。
【0026】
これにより、ローダ部33から部品実装位置Bのレール32a上に回路基板4が到達する都度、ボンディングステージ35ではその回路基板4をストッパ30aが所定位置に受止めた後、受け止めた回路基板4を押圧子30bによりレール32aの一方に押圧して位置規正する。位置規正後の回路基板4はボンディングステージ35で吸着保持する。これに併せ、ボンディングステージ35を前記実装作業位置B2に移動して位置決めし、吸着保持している回路基板4への部品の実装に供する。実装作業位置B2で部品の実装が終了する都度ボンディングステージ35はレール32と並ぶ受け渡し位置B1に移動されて、回路基板4の吸着を解除するとともに部品実装後の回路基板4をレール32aからレール32の下流側に送りだしてアンローダ部34まで搬送し他への搬出を図る。以上で多数の回路基板4を順次にベアICチップ3などの部品の実装に供して電子回路基板を連続的に製造することができる。
【0027】
一方、ローダ部33およびボンディングステージ35にはヒータを埋蔵するなどした予備加熱部33aおよび本加熱部35aが設けられ、部品の実装に供される回路基板4をそれぞれの位置にある間予備加熱、および本加熱して、回路基板4とベアICチップ3との間に充満される封止材11を25℃程度に加熱できるようにする。比較的低温な加熱であるのでベアICチップ3を回路基板4に超音波接合する作業のうちに封止材11をほぼ硬化させることができ予備加熱を省略することはできる。しかし、予備加熱を行えばより無理なく加熱できる。もっとも、封止材11を硬化させるのに紫外線など光を用いることもできる。
【0028】
レール32の部品実装位置Bの下流側でレール32の後方に部品供給部21が設けられ、ダイシングシート2上で半導体ウエハ1が個々のベアICチップ3にダイシングされた部品をストックする部品マガジン38を装着して昇降させるマガジンリフタ41と、部品マガジン38にストックされた所定の種類のベアICチップ3が、マガジンリフタ41による部品マガジン38の高さ設定によって図示しない出し入れ手段に対向させることで、ダイシングシート2ごと押し出され、または引き出されるのを保持し、ダイシングシート2をエキスパンドして各ベアICチップ3の間隔を広げてピックアップされやすくするエキスパンド台37とを設置している。
【0029】
エキスパンド台37はX方向テーブル42によりX方向に、Y方向テーブル43によりY方向に移動されて、ダイシングシート2上のベアICチップ3のうちの供給するものをダイシングシート2の下方から突き上げられる突き上げ棒44のある部品供給位置Aに順次に位置決めして、必要なだけ供給できるようにする。ベアICチップ3の供給を終えるか、供給するベアICチップ3の種類を変えるような場合、エキスパンド台37上のダイシングシート2を必要なものと交換する。これにより、各種のベアICチップ3を必要に応じて順次自動的に供給して実装されるようにすることができる。もっとも、部品供給部21は実装する部品の種類や形態に応じた構成にすればよいし、各種の構成の部品供給部21を併設することができる。
【0030】
上記のように、回路基板4をその接合面4aが上向きとなるようにしてベアICチップ3などの部品の実装に供し、部品供給部21が接合面3aを上にしたベアICチップ3を供給して前記上向きの回路基板4への実装に供するものであるのに対応して、本実施の形態では部品取り扱い手段23を、接合面3aが上向きとなったこのベアICチップ3などの部品を部品取り扱いツールの1例である吸着ノズル45などによって上方から保持してピックアップした後、吸着ノズル45を旋回させて、具体的には吸着ノズル45の、部品取り扱い端である吸着面45a上、またはこの吸着面45aから離れた位置Cを中心に旋回させて、接合面3aを下向きに反転させるようにベアICチップ3などの部品を取り扱う図7に示すような部品反転手段23aと、超音波振動手段24を装備し、部品反転手段23aにより接合面3aを下にされたベアICチップ3などの部品を上方から保持してピックアップした後、実装対象物取り扱い手段22によって部品実装位置Bで接合面4aが上向きにされている回路基板4などの実装対象物との超音波接合に供するように部品を取り扱う図8、図9に示すような接合手段23bとで構成している。
【0031】
これにより、半導体ウエハ1が、ダイシングシート2上でダイシングされて接合面3aが上に向いたベアICチップ3などで、所定位置にてエキスパンド台37によりダイシングシート2をエキスパンドした荷姿状態で供給され、それを図の実施例のように専用して、あるいは別の荷姿の部品と複合して供給される場合でも多数を繰り返し用いて、繰り返し実装するようなときに、ダイシングシート2上のベアICチップ3などを反転手段23aによって上方からピックアップして接合面3aが下向きとなるように反転させた後、これを接合手段23bにより上方からピックアップして、実装対象物取り扱い手段22によって取り扱われ部品実装位置Bで接合面4aが上向きにされている回路基板4などの実装対象物に上方から圧接させて双方の電気接合部5、6であるバンプ8および導体ランド9どうしを超音波接合する。このように、反転手段23aと接合手段23bとが協働したベアICチップ3などの部品の取り扱いによって、ベアICチップ3などの上向きで供給される部品を上向きで取り扱われる回路基板4などの実装対象に順次混乱なく多数繰り返し実装することができる。
【0032】
図に示す実施例では、反転手段23aは供給されるベアICチップ3などの部品をピックアップする部品供給位置Aと、ピックアップしたベアICチップ3の接合面3aが下向きとなるように反転させた後、接合手段23bによる接合のためのピックアップに供する受け渡し位置Dとの間をX方向テーブル56により往復移動される基台57に、モータ51およびこれによって回転駆動される横軸52を設け、この横軸52のまわりに部品取り扱いツールの一例である吸着ノズル45が1本、あるいは複数本放射状方向に装備した部品反転ヘッド54を持ち、吸着ノズル45は部品反転ヘッド54上でエアシリンダ55により軸線方向に進退させられる。
【0033】
これにより、反転手段23aは下向きにされた吸着ノズル45が部品供給位置Aにて昇降して、そこに供給されているベアICチップ3を吸着してピックアップした後、吸着ノズル45を前記位置Cの回りに回動させて上向きにすることで、前記ピックアップしたベアICチップ3の接合面3aを上向きから下向きに反転させて、受け渡し位置Dに移動して接合手段23bによるピックアップに供する。
【0034】
接合手段23bは上記吸着ノズル14を持ったもので、X方向テーブル58により受け渡し位置Dと実装位置Bとの間を往復移動されて、受け渡し位置Dで接合面3aが下向きにされたベアICチップ3を吸着してピックアップし、これを実装位置Bの実装位置B1へ移動されて、そこに位置決めされている回路基板4の所定位置に圧接させて上記のように超音波接合を行うことを繰り返す。従って、反転手段23aと接合手段23bの協働により、部品供給部21で接合面3aが上向きで供給されるベアICチップ3を回路基板4の上に必要なだけ実装することができる。もっともこれには、反転手段23aの側はX方向に移動せず部品供給位置Aに定置されていても、接合手段23bが部品供給位置Aと実装位置Bとの間を往復移動できればよい。また、逆であってもよい。
【0035】
接合手段23bのX方向の移動と、前記ボンディングステージ35のY方向の移動との複合で、回路基板4のどの位置にもベアICチップ3などの部品を実装できる。しかし、そのための移動方式も必要に応じて種々に変更することができる。
【0036】
もっとも、これら反転手段23aや接合手段23bは、直線往復移動されるものに限らず、非直線移動を含む各種の移動を複合した動きをするものとすることができるし、ベアICチップ3などの各種部品をどのような移動軌跡を持って取り扱うものでもよい。
【0037】
さらに、本実施の形態の装置は、実装対象物取り扱い手段22が取り扱う回路基板4などの実装対象物と、部品取り扱い手段23が取り扱うベアICチップ3などの部品との接合面3a、4aの少なくとも一方に、それらが前記位置合わせされるまでの段階で制御手段25により働かされて封止材11を供与する封止材供与手段61を備えている。これにより、ベアICチップ3などの部品および回路基板4などの実装対象物の少なくとも一方への封止材11の供与も含めて、1つの装置でベアICチップ3などの部品の実装を自動的に達成することができる。
【0038】
図に示す実施例では、図5に示すようにX方向テーブル58により、接合手段23bとともにX方向に移動されるように封止材供与手段61を装備し、例えば実装位置Bに移動してディスペンサ62をシリンダ63で下降させて回路基板4の接合面4aの側に図1に
仮想線で示すように封止材11を供与し、供与が終了すればディスペンサ62を上動させて封止材供与手段61を側方に退避させるのと同時に、接合手段23bを部品実装位置Bに移動させて吸着ノズル14が保持しているベアICチップ3などの部品を供与された封止材11の上から回路基板4に圧接させて超音波接合を行うようにしてある。
【0039】
ここで制御手段25が、実装する部品の種類に応じて封止材供与手段61による封止材11の供与条件を変更するようにする。これにより、接合面の大きさなどが違う複数種類の部品を取り扱うのに、それぞれに適した供与の量や状態で封止材11を供与するなどして、部品の種類によって異なることがある封止条件の違いに自動的に対応することができる。封止材11の供与量は図10に示すように供与時に電磁弁64などを開いてディスペンサ62に吹き込み封止材11を加圧して一定量吐出させるエアを、調圧弁65で調圧することによりにより調整できる。供与状態は封止材供与手段61を複数種類備えて使い分けると云ったことで行える。例えば一塊に盛り上げる形態と、接合面4aの全域に供与する形態の違い、あるいは、接合面3a、4aの封止材11を供与する側を切り換えたり、双方に供与したりする違いなどがある。もっとも、多点供与に切り換えることもできるが空気の混入がないように工夫する必要がある。
【0040】
そのときどきに実装する部品の種類は、手入力される部品情報71、部品を実装するプログラムデータ26や内部または外部のメモリ70による部品情報、供給されるベアICチップ3などの部品の種類や、部品の支持部材であるダイシングシート2や図示しないトレーなどに付されたバーコード72などの品種表示などから読み取った部品情報などで得られる。これらの読み取りには部品供給位置Aに設けられるベアICチップ3などの種類を画像認識するための認識カメラ73、あるいは部品実装位置Bの実装位置B2に設けられて吸着ノズル14に保持された部品の回転補正のための吸着向きや、回路基板4の接合面の状態などを画像認識するために、上向きおよび下向きに切換え働かされる認識カメラ74などを用いればよく、画像認識もそれら認識カメラ74の撮像データを処理する画像処理回路75も共用できる。従って、部品情報を画像認識するのに特別な装置は不要である。
【0041】
また、ベアICチップ3などの部品が回路基板4などの実装対象物に実装されたときの、封止材11の充満状態を図10に示すように認識カメラ74によって撮像して画像処理回路75にてぬれ広がり部13の有無や大きさなどを画像認識した情報から、封止材11の供与量の過不足を検出する、制御手段25の内部機能などによる検出手段25aを備え、検出される封止材11の過不足に応じて、制御手段25は封止材供与手段61による封止材11の供与量を補正するようにしている。これにより、所定の条件での封止材11の供与量に何らかの理由で過不足が生じてもこれに対応して、常に適正な封止状態が得られるようにすることができる。これら画像認識の状態をモニタできるように画像処理回路75にはモニタ76が接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電子部品の基板などへの実装に実用でき、生産性、歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実装方法および装置の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】部品の接合面への封止材の供与状態の一例を示す説明図である。
【図3】部品の接合面への封止材の供与状態の別の例を示す説明図である。
【図4】部品の接合面への封止材の供与状態の今1つの例を示す説明図である。
【図5】図1の装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5の装置の部品実装位置にあるボンディングステージの斜視図である。
【図7】図5の装置の部品取り扱い手段における反転手段を示す斜視図である。
【図8】図5の装置の部品取り扱い手段における接合手段を示す斜視図である。
【図9】図8の接合手段の断面図である。
【図10】図5の装置の制御手段による主な制御系統を示すブロック図である。
【図11】従来の部品の実装方法における部品の仮装着状態を示す断面図である。
【図12】従来の仮装着した部品の封止処理をした実装状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 半導体ウエハ
2 ダイシングシート
3 ベアICチップ
4 回路基板
3a、4a 接合面
5、6 電気接合部
7 電極
8 バンプ
9 導体ランド
10 溶接接合部
11 封止材
13 ぬれ広がり部
14、45 吸着ノズル
15 ボイスコイルモータ
21 部品供給部
22 実装対象物取り扱い手段
23 部品取り扱い手段
23a 反転手段
23b 接合手段
24 超音波振動手段
25 制御手段
25a 検出手段
26 プログラムデータ
33 ローダ部
35 ボンディングステージ
33a 予備加熱部
35a 本加熱部
37 エキスパンド台
61 封止材供与手段
62 ディスペンサ
70 メモリ
72 バーコード
73、74 認識カメラ
75 画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を所定位置に供給する部品供給部と、部品が実装される実装対象物を部品実装位置に供給して部品の実装に供した後、これを他へ移す実装対象物取り扱い手段と、
部品供給部で供給される部品を部品取り扱いツールで保持して取り扱い、部品の電気接合部を有した接合面を実装対象物の電気接合部を有した接合面に対向させて、双方の電気接合部どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段と、
前記部品取り扱い手段の部品取り扱いツールにホーンを介して超音波振動手段を接続し、実装対象物に対向、圧接させる部品を部品取り扱いツールが吸着保持して部品に超音波振動を与え、吸着保持した部品と実装対象物との電気接合部どうしを圧接状態で摩擦させて溶融、接合する接合手段と、
部品実装位置にて、実装対象物取り扱い手段が取り扱う実装対象物の金属製の電気接合部に、部品取り扱い手段が取り扱う部品の金属製の電気接合部を対向させてから、それら電気接合部どうしを、それぞれの接合面の一方または双方の全域にその電気接合部を覆って予め供与されたままの封止材を介して、圧接させるとともに実装対象物の面に沿う方向に超音波振動手段を働かせて前記部品と実装対象物との電気接合部どうしを超音波接合させる制御手段とを備えたことを特徴とする部品の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−38402(P2009−38402A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288165(P2008−288165)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2005−198612(P2005−198612)の分割
【原出願日】平成10年8月20日(1998.8.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】