説明

部品保持具の解除操作片

【課題】部品保持具の解除操作片に関し、弾性係止片には係止爪部から外側に延出した延出部を備え、当該延出部の外側から解除操作片の当接部を当接させることで、解除操作片の解除力を低減することができるようにしたものである。
【解決手段】鋸歯状部71は、弾性係止片100の係止爪部101が鋸歯状部71の凹部73に入った状態で係止状態となる。弾性係止片100には、係止爪部101から外側に延出した延出部102を備える。解除操作片110は、延出部102に当接する当接部111を備える。解除操作片110を押圧すると、その当接部111が延出部102の外側から当接し、当該当接により、弾性係止片100の係止爪部101が鋸歯状部71の凹部73から排出され、鋸歯状部71と係止爪部101との係止状態を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばケーブル等の部品を保持するケーブルクランプ等の部品保持具の解除操作片に関し、弾性係止片には係止爪部から外側に延出した延出部を備え、当該延出部の外側から解除操作片の当接部を当接させることで、解除操作片の解除力を低減することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトの鋸歯状部(係止溝)の凹部に向かって弾性的に付勢された係止片と、その端部のテーパー部に当接する操作片(操作部)とを備えたバックルが知られている(例えば特許文献1の3頁17〜38行及び図1〜5参照)。
また、従来、バンドの鋸歯状部(係止爪)の凹部に向かって弾性的に付勢された弾性爪の一端部に、前記凹部に係止する爪部を設け、他端部に操作可能な延出部を設けたケーブル保持装置が知られている(例えば特許文献1の3頁左欄(3欄)42〜50行、図1、図2及び図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平2-27763号公報
【特許文献2】実公平7-35178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のバックル(実公平2-27763号公報)では、係止片の端部にテーパー部が有ったので、操作片(操作部)を操作する解除力が比較的大きなものとなるという問題点があった。
また、上記した従来のケーブル保持装置(実公平7-35178号公報)では、弾性爪の両端部に凹部に係止する爪部と、操作用の延出部とを設けていたので、操作用の延出部を操作する解除力が比較的大きなものとなるという問題点があった。
【0005】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、弾性係止片には係止爪部から外側に延出した延出部を備え、当該延出部の外側から解除操作片の当接部を当接させることで、解除操作片の解除力を低減することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項2に記載の発明は、係止爪部の延出部と、解除操作片の当接部との少なくともいずれか一方を、斜面としたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項3に記載の発明は、係止爪部の延出部と、解除操作片の当接部との少なくともいずれか一方を、曲面としたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項4に記載の発明は、解除操作片の全長は、弾性係止片の全長よりも長くしたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項5に記載の発明は、弾性係止片との当接により、解除操作片の当接部が弾性係止片の解除方向にねじれるようにしたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0011】
第1に、部品保持具(例えばケーブルクランプ10)は、例えば図1に示すように、次の構成からなる。
(1)保持具本体(例えばクランプ本体40)
保持具本体(例えばクランプ本体40)は、例えば図1に示すように、外側に複数の凹部(73)と凸部(74)とが連続した鋸歯状部(71)を備え、例えば図2に示すように、部品(例えばケーブル20)を保持するものである。
【0012】
(2)弾性係止片(100)
弾性係止片(100)は、例えば図1及び図11〜13に示すように、鋸歯状部(71)に係止する係止爪部(101)を備え、例えば図2に示すように、当該係止状態において保持具本体(例えばクランプ本体40)に部品(例えばケーブル20)を保持した状態にロックするためのものである。
【0013】
(3)解除操作片(110)
解除操作片(110)は、例えば図1及び図14に示すように、弾性係止片(100)に当接して、鋸歯状部(71)と係止爪部(101)との係止状態を解除するものである。
第2に、鋸歯状部(71)は、例えば図1及び図11〜13に示すように、弾性係止片(100)の係止爪部(101)が鋸歯状部(71)の凹部(73)に入った状態で係止状態となる。
【0014】
第3に、弾性係止片(100)には、例えば図1に示すように、係止爪部(101)から外側に延出した延出部(102)を備える。
第4に、解除操作片(110)は、例えば図1に示すように、延出部(102)に当接する当接部(111)を備える。
第5に、解除操作片(110)を押圧すると、例えば図1及び図14に示すように、その当接部(111)が延出部(102)の外側から当接し、当該当接により、弾性係止片(100)の係止爪部(101)が鋸歯状部(71)の凹部(73)から排出され、鋸歯状部(71)と係止爪部(101)との係止状態を解除する。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、係止爪部(101)の延出部(102)と、解除操作片(110)の当接部(111)との少なくともいずれか一方(例えば当接部111)を、例えば図1に示すように、斜面(114)とした。
なお、斜面(114)を、解除操作片(110)の当接部(111)に形成したが、これに限定されず、係止爪部(101)の延出部(102)に形成しても良いし、或いは延出部(102)と当接部(111)との両者にそれぞれ形成しても良い。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、係止爪部(101)の延出部(102)と、解除操作片(110)の当接部(111)との少なくともいずれか一方を、図示しないが、曲面とした。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
第1に、解除操作片(110)の全長は、例えば図1に示すように、弾性係止片(100)の全長よりも長い。
第2に、解除操作片(110)の当接部(111)の先端側が、例えば図1に示すように、弾性係止片(100)の延出部(102)と当接する。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、解除操作片(110)は、弾性係止片(100)との当接により、解除操作片(110)の当接部(111)が弾性係止片(100)の解除方向にねじれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、弾性係止片には係止爪部から外側に延出した延出部を備え、当該延出部の外側から解除操作片の当接部を当接させることで、解除操作片の解除力を低減することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0020】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、係止爪部の延出部と、解除操作片の当接部との少なくともいずれか一方を、斜面としたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0021】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、係止爪部の延出部と、解除操作片の当接部との少なくともいずれか一方を、曲面としたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0022】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、解除操作片の全長は、弾性係止片の全長よりも長くしたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、弾性係止片との当接により、解除操作片の当接部が弾性係止片の解除方向にねじれるようにしたことで、解除操作片の解除力を一層、低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】解除操作片の操作状態を説明するためのケーブルクランプに一部斜視図である。
【図2】ケーブルクランプの取付状態を説明するための正面図である。
【図3】成形状態のケーブルクランプの斜視図である。
【図4】成形状態のケーブルクランプの正面図である。
【図5】成形状態のケーブルクランプの左側面図である。
【図6】成形状態のケーブルクランプの右側面図である。
【図7】成形状態のケーブルクランプの平面図である。
【図8】成形状態のケーブルクランプの底面図である。
【図9】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図10】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図11】クランプ部と可動アームとの係止状態を説明するためのケーブルクランプの一部斜視図である。
【図12】クランプ部と可動アームとの係止状態を説明するためのケーブルクランプの一部正面図である。
【図13】クランプ部と可動アームとの係止状態を説明するためのケーブルクランプの一部側面図である。
【図14】図13に対応し、解除操作片の操作状態を説明するためのケーブルクランプの一部側面図である。
【図15】図2に対応し、可動アームを上昇させた状態を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(ケーブルクランプ10(部品保持具))
図中、10は、ケーブルクランプ10を示し、ケーブルクランプ10は、図2及び図15に示すように、部品保持具の一例であり、部品であるケーブル20を、取付ベースである金属ステー30に固定するためのものである。
金属ステー30は、図2及び図15に示すように、屋根材等の構造体31に固定され、ケーブルクランプ10を取り付け可能な空間を保って、構造体31から上方に離れて取り付けられる。金属ステー30には、ケーブルクランプ10を取り付けるための取付穴32が設けられている。取付穴32は、金属ステー30を上下に貫通するとともに、円形に形成されている。なお、取付穴32を円形に形成したが、これに限定されず、方形等の非円形に形成しても良い。
【0026】
部品保持具として、ケーブルクランプ10を例示したが、これに限定されず、図示しないが、バックの蓋に固定されたベルトを止め付けるバックルや、ケーブル等の線状物や棒状物に巻き付けるバンドを締め付けた状に締結する結束具等でも良い。また、部品として、ケーブル20を例示したが、これに限定されず、前述のバックルの場合には蓋に固定されたベルトが部品となり、又、結束具の場合にはケーブル等の線状物や棒状物が部品となる。取付ベースとして、金属ステー30を例示したが、これに限定されず、前述のバックルの場合にはカバンが取付ベースとなり、結束具の場合には取付ベースがある場合と無い場合がある。構造体31として、屋根材を例示したが、これに限定されない。
【0027】
一方、ケーブルクランプ10は、図3〜10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)クランプ本体40
(2)可動アーム50
なお、ケーブルクランプ10の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(クランプ本体40)
クランプ本体40は、保持具本体の一例であり、図2に示すように、ケーブル20(部品)を保持するためのものである。クランプ本体40は、後述する可動アーム50と一体的に、適度な弾性と剛性とを有する、例えば「PBT」(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性合成樹脂により一体的に成形されている。なお、クランプ本体40と可動アーム50と一体的に成形したが、これに限定されず、個別に成形して組み立てても良い。
【0028】
なお、保持具本体として、クランプ本体40を例示したが、これに限定されない。
クランプ本体40は、図3〜10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)基部60
(2)クランプ部70
(3)支持脚80
なお、クランプ本体40の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(可動アーム50)
可動アーム50は、図2に示すように、クランプ本体40がケーブル20(部品)を保持した状態にロックするためのものである。
【0029】
可動アーム50は、図3〜10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(4)については、後述する。
(1)カバー部90
(2)弾性係止片100
(3)解除操作片110
(4)当接枠120
なお、可動アーム50の各部は、上記した(1)〜(4)に限定されない。
(基部60)
基部60は、図2〜4に示すように、金属ステー30の長手方向に延び、略板状に形成されている。
【0030】
基部60の長さ方向の一端部には、可動アーム50の後述するカバー部90を旋回可能に支持するための軸受部61を設けている。
軸受部61は、図3及び図4に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、軸受部61の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)軸受片62
軸受片62は、図3及び図6に示すように、後述するカバー部90の幅狭の嵌入部91がはまり込む隙間を保って離れて位置し、基部60の一端部から平行に一対延びている。
【0031】
(2)軸穴63
軸穴63は、図3及び図4に示すように、各軸受片62を横に貫通し、相対向して一対形成され、方形に形成されている。
なお、軸穴63を、方形に形成したが、これに限定されず、方形以外の非円形、或いは円形に形成しても良い。
【0032】
軸穴63には、可動アーム50の後述するカバー部90の突軸92がはまり込む。なお、基部60に、軸穴63を設け、カバー部90に突軸92を設けたが、これらに限定されず、図示しないが、基部60に突軸を設け、カバー部90に軸穴を設けても良い。
(クランプ部70)
クランプ部70は、図2に示すように、基部60に連接し、ケーブル20を保持するものである。
【0033】
クランプ部70は、図3及び図4に示すように、軸受部61の有る基部60の一端部とが逆側の他端部に基端部が連接し、下方に向かってC字形に湾曲して延び、先端部が自由端部となっている。クランプ部70の先端部に位置する自由端部は、図15に示すように、可動アーム50から下方に離れて位置し、可動アーム50との間にケーブル20を差し込み可能な隙間を保っている。すなわち、可動アーム50は、成形時に、図3及び図4に示すように、基部60と直交し、上方に起立した状態で成形され、使用時に、図15に示すように、基部60と略平行に旋回させる。この略平行に旋回した状態において、可動アーム50の後述するカバー部90と、クランプ部70の先端部に位置する自由端部との間に、ケーブル20を差し込み可能な隙間が発生する。
【0034】
クランプ部90の自由端部とカバー部90との間の隙間から差し込んだケーブル20は、図15に示すように、クランプ部90の内周面に載置し、仮保持することができる。
クランプ部90には、図3〜6に示しないが、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)鋸歯状部71
(2)リブ72
(3)段差部75
なお、クランプ部90の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(鋸歯状部71)
鋸歯状部71は、図3〜6に示しないが、クランプ部70の外側、すなわち外周面に位置し、図1、図11及び図12に示すように、複数の凹部73と凸部74とが連続したものである。凸部74は、斜面をクランプ部70の先端の自由端部に向けた略台形形に形成され、斜面と背向する面が切り立った面となっている。
(リブ72)
リブ72は、図3〜6及び図8に示しないが、クランプ部70の幅方向の中央に位置し、鋸歯状部71を左右に二分割するものである。
(段差部75)
段差部75は、図2〜4及び図9に示すように、クランプ部70の内周面から断面円弧状に隆起し、クランプ部70に保持されるケーブル20の外周面に当接するものである。段差部75は、基部60に連設するクランプ部70の基端部寄りに位置し、基部60の下面との間に、1本のケーブル20を保持できるようにしている。
【0035】
段差部75は、クランプ部70に保持されるケーブル20が少ない場合、例えば1本の場合に、可動アーム50の後述する当接枠120の傾斜した内側面と協同して、1本のケーブル20をガタ無く保持できるようにしている。
(支持脚80)
支持脚80は、図2に示すように、基部60に連接し、金属ステー30の取付穴32に取り付けるためのものである。
【0036】
支持脚80は、図3〜5、図7、図9及び図10に示すように、基部70の長さの途中から上方に向かって筒形、例えば円筒形に延び、図2に示すように、その外形を取付穴32の内径以下に設定している。
支持脚80には、図3〜5、図7及び図10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
【0037】
なお、支持脚80の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)支持爪81
支持爪81は、図3〜5、図7及び図10に示すように、支持脚80の外周から弾性的に突出し、本実施の形態では直径方向に一対突出する。
なお、支持爪81を、一対突出したが、これに限定されず、放射状に3個以上突出させても良い。
【0038】
(2)操作片82
操作片82は、図3〜5、図7及び図10に示すように、支持爪81から下方に延び、基部60に向かって断面L字形に折れ曲がって延び、基部60の外側面から一対突出する。
(カバー部90)
カバー部90は、図3、図4及び図6に示すように、一端部が基部60の軸受部61に旋回可能に支持され、クランプ部70に向かって下方に旋回することで、図2に示すように、クランプ部70との間の隙間を閉塞するとともに、クランプ部70との間でケーブル20を保持するためのものである。
【0039】
カバー部90は、図3、図4及び図6に示すように、クランプ部70に向かって長く延びた略板状に形成されている。
カバー部90には、図3、図4及び図6に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)嵌入部91
(2)突軸92
(3)ガイド溝93
なお、カバー部90の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(嵌入部91)
嵌入部91は、図3及び図6に示すように、カバー部90の長さ方向の一端部に位置し、基部60の一対の軸受片62の隙間内にはまり込むものであり、幅狭に形成されている。
【0040】
嵌入部91の横幅は、一対の軸受片62の隙間より少し幅広に設定され、図15に示すように、カバー部90を基部60と略平行に旋回させた状態において、両者の摩擦抵抗により、カバー部90が当該旋回した状態を維持する。
(突軸92)
突軸92は、図3、図4及び図6に示すように、嵌入部91の幅方向の両端部から互いに背向して外向きに一対突出する。突軸92は、基部60の一対の軸受片62の各軸穴63にはまり込み、軸穴63の内形より小さい断面方形の角柱形に形成されている。
(ガイド溝93)
ガイド溝93は、図6に示すように、カバー部90の長さ方向の他端部に位置し、クランプ部70の外側にはまり合うものである。
【0041】
ガイド溝93は、端面が開放した凹状に形成され、その溝幅をクランプ部70の横幅以上に設定している。
(弾性係止片100)
弾性係止片100は、図1及び図11〜13に示すように、カバー部90に連接し、クランプ部70の鋸歯状部71に係止するものである。
【0042】
弾性係止片100は、鋸歯状部71がリブ72により二分割されていることから、一対形成されている。
弾性係止片100は、図1及び図11〜13に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、弾性係止片100の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
【0043】
(1)係止爪部101
係止爪部101は、図1及び図11〜13に示すように、カバー部90のガイド溝93に臨み、当該ガイド溝93にクランプ部70がはまり込んだ状態において、クランプ部70の鋸歯状部71の凹部73の一つにはまり込むものである。
係止爪部101は、鋸歯状部71の凸部74の斜面と当接する斜面を有し、断面が略台形形に形成されている。係止爪部101は、後述する連結部103を介してカバー部90に連結され、連結部103の弾性復元力により、鋸歯状部71の凹部73に向かって付勢される。
【0044】
(2)延出部102
延出部102は、図1及び図11〜13に示すように、係止爪部101から外側に延出したものである。
延出部102は、係止爪部101から互いに外向きにL字形に折れ曲がって延びている。
(3)連結部103
連結部103は、図1及び図12に示すように、係止爪部101をカバー部90に弾性的に連結するものである。
【0045】
連結部103と係止爪部101とは、L字形に折れ曲がっている。
(解除操作片110)
解除操作片110は、図1及び図11〜13に示すように、カバー部90に連接するとともに、弾性係止片100に当接して、クランプ部70の鋸歯状部71と弾性係止片100の係止爪部101との係止状態を解除するものである。
【0046】
また、解除操作片110の全長は、図1に示すように、弾性係止片100の全長よりも長く設定されている。解除操作片110の当接部111の先端側が、図1に示すように、弾性係止片100の延出部102と当接するようにしている。その結果、解除操作片110の操作ストロークを、クランプ部70の鋸歯状部71の凹部73にはまり込む弾性係止片100の係止爪部101を、当該凹部73から浮上させる距離に比較して、大きなものとできる。このため、操作ストロークを大きくすることで、解除操作片110の解除力を低減することができる。
【0047】
解除操作片110は、一対の弾性係止片100に個別に設けられ、2本の指(図示せず)で互いに接近する方向に摘むように操作できるようになっている。
解除操作片110は、図1及び図11〜13に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
【0048】
(1)当接部111
(2)操作部112
(3)連接部113
なお、解除操作片110の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(当接部111)
当接部111は、図1及び図11〜13に示すように、弾性係止片100の延出部102に当接するものである。当接部111は、解除操作片110を押圧すると、図1及び図14に示すように、延出部102の外側から当接し、当該当接により、弾性係止片100の先端の係止爪部101が鋸歯状部71の凹部73から排出され、鋸歯状部71と係止爪部101との係止状態を解除するものである。
【0049】
当接部111は、解除操作片110の内側の端部に位置し、延出部102と対向する端面に斜面114を設けている。
斜面114は、当接部111と後述する操作部112との間の距離を変化させることにより形成している。すなわち、鋸歯状部71の凹部73の底側においては、当接部111と操作部112との間の距離を長くし、凹部73の底から離れるに従って、距離が徐々に短くなるように、斜面114を傾斜させている。当接部111は、くさび状に作用に、一対の解除操作片110を互いに接近する方向に操作した際に、弾性係止片100の延出部102と鋸歯状部71との間に割り込むようにして、弾性係止片100の係止爪部101を、凹部73の底から徐々に浮上させる。
【0050】
なお、当接部111の端部に、斜面114を設けたが、これに限定されず、図示しないが、当接部111と対向する延出部102の端部に斜面を設けたり、或いは当接部111と延出部102との対向する端部に斜面をそれぞれ設けても良い。
また、斜面114に限定されず、図示しないが、当接部111の端部に曲面を設けても良い。曲面も、斜面114と同様に、鋸歯状部71の凹部73の底側においては、当接部111と操作部112との間の距離を長くし、凹部73の底から離れるに従って、距離が徐々に短くなるように湾曲させる。なお、曲面も、接部111の端部に限定されず、図示しないが、当接部111と対向する延出部102の端部に設けたり、或いは当接部111と延出部102との対向する端部にそれぞれ設けても良い。
(操作部112)
操作部112は、図1及び図11〜13に示すように、解除操作片110を操作するためのものである。
【0051】
操作部112は、解除操作片110の外側の端部に位置し、内側の端部に位置する当接部111を互いに接近する方向に指(図示せず)で押し込めるようにしている。
(連接部113)
連接部113は、図1及び図5に示すように、弾性係止片100をカバー部90に弾性的に連結するものである。
【0052】
連接部113は、弾性係止片100の当接部111側に連接し、当接部111を弾性係止片100の延出部102から離隔する方向に付勢するものであり、当該付勢力により解除操作片110を復帰させるためのものである。
また、連接部113は、解除操作片110を互いに接近する方向に指(図示せず)で押し込んだ際に、ねじれ、当該ねじれを戻そうとする弾性復元力が発生する。
(当接枠120)
当接枠120は、図3、図6、図7、図11及び図12に示すように、カバー部90に連接し、ガイド溝93の周囲をブリッジ状に縁取るものであり、クランプ部70に保持されるケーブル20に当接する。
【0053】
当接枠120は、カバー部90の長さの途中からガイド溝93を有する先端部に向かって、リブ状に突出させ、図2に示すように、ケーブル20に当接する内側面を、クランプ部70に向かって徐々に突出量を増加するように、斜めに傾斜させている。
(ケーブルクランプ10の使用方法)
つぎに、上記した構成を有するケーブルクランプ10の使用方法について説明する。
【0054】
ケーブルクランプ10の使用方法を、次の使用方法に分けて説明する。
(1)金属ステー30への取付方法
(2)ケーブル20の保持方法
(3)ケーブル20の取外方法
(金属ステー30への取付方法)
ケーブルクランプ10の支持脚80を、図2及び図15に示すように、金属ステー30の取付穴32に合わせて、下から上に向かって挿入する。
【0055】
支持脚80を挿入すると、その支持爪81が取付穴32の内縁に押され、中空な筒内部に向かって撓み込むことで、支持脚80の外径を縮径する。
支持爪81は、取付穴32を通過すると、樹脂の弾性力により復元し、基部60の上面との間で、金属ステー30を上下からはさみ持つことで、金属ステー30の取付穴32に対して、ケーブルクランプ10が固定される。
【0056】
一方、ケーブルクランプ10を取り外す際には、一対の操作片82を指で摘み、支持爪81を中空な筒内部に向かって撓み込ませることで、支持脚80を金属ステー30の取付穴32から抜き取ることができる。
(ケーブル20の保持方法)
可動アーム50は、成形時に、図3〜6に示すように、基部60と直交し、上方に起立した状態で成形され、使用時に、図15に示すように、基部60の軸穴63を中心に下方に旋回させ、基部60と略平行な状態とする。
【0057】
基部60と略平行な旋回状態において、可動アーム50は、その幅狭の嵌入部91と、基部60の一対の軸受片62との間の摩擦抵抗により、当該旋回状態に静止する。
基部60と略平行に旋回し、上昇した位置にある可動アーム50と、クランプ部70の先端の自由端部との間の隙間を通して、図15に示すように、ケーブル20を差し込む。
ケーブル20は、図15に示すように、クランプ部90の内周面に載置することで、仮保持することができる。
【0058】
ケーブル20を保持するには、図2に示すように、基部60の軸穴63を中心に可動アーム50を下方に旋回させる。
可動アーム50を下方に旋回させると、図示しないが、そのガイド溝93内にクランプ部70がはまり込む。
このとき、ガイド溝93内に突出する弾性係止片100の係止爪部101が、図11〜13に示すように、クランプ部70の外周の鋸歯状部71と係合する。
【0059】
係止爪部101は、鋸歯状部71の凹部73の一つにはまり込む。可動アーム50を旋回させると、凹部73の一つにはまり込んでいた係止爪部101は、進行方向前方に位置する凸部74の斜面との係合により、当該凹部73から浮上し、進行方向前方に位置する凸部74を乗り越え、次の凹部73にはまり込み、これらを繰り返すことで、可動アーム50がクランプ部90に沿って旋回する。
【0060】
可動アーム50を下方に旋回させると、そのカバー部90により、クランプ部70との間の隙間が閉塞され、ケーブル20が抜けなくなる。
可動アーム50は、図2に示すように、クランプ部90内のケーブル20に当接する迄、旋回し、旋回する力を解放すると、係止爪部101が鋸歯状部71の凹部73の一つにはまり込むことで、可動アーム50の逆方向の旋回が阻止される。
【0061】
ケーブル20は、クランプ部90の内周、可動アーム50の当接枠120、並びに基部60の下面の間で保持される。
このとき、当接枠120が、斜めに傾斜していることから、ケーブル20の外周に沿って隙間無く密着し、クランプ部90内でのケーブル20のガタ付きを防止できる。
また、このとき、ケーブル20の反力が、可動アーム50に作用し、角柱形の突軸92の角部が、方形の軸穴63の辺に弾性的に当接し、両者のがた付きが防止される。
【0062】
すなわち、図示しないが、ケーブル20の電線の外周に被覆されている絶縁ビニル(或いは絶縁ビニール)等の絶縁体の弾性復元力により反力が作用する。
(ケーブル20の取外方法)
ケーブル20を取り外す際には、図1及び図14に示すように、一対の解除操作片110の操作部112を指で摘み、両解除操作片110を互いに接近する方向に押し込む。
【0063】
解除操作片110を押し込むと、その当接部111が弾性係止片100の延出部102に当接する。
解除操作片110を更に押し込むと、その当接部111の斜面114により、弾性係止片100の延出部102を押圧することで、鋸歯状部71の一つの凹部73にはまり込んでいた係止爪部101が、当該凹部73から浮上し、係止状態が解除される。
また、このとき、当接部111の斜面114が、弾性係止片100の延出部102に押され、解除操作片110の連接部113がねじれる。連接部113には、当該ねじれを戻そうとする弾性復元力が発生する。連接部113のねじれ戻そうとする弾性復元力は、当接部111の斜面114を介して弾性係止片100の延出部102に反力として作用する。このため、連接部113のねじれ戻そうとする弾性復元力により、解除操作片110を押し込む解除力を低減することができる。
【0064】
解除操作片110を押し込んだ状態で、可動アーム50を基部60の軸穴63を中心に上方に旋回させる。
可動アーム50を上方に旋回させると、図15に示すように、そのガイド溝93内からクランプ部70の先端の自由端部が抜け、当該自由端部との間の隙間が開放される。
このため、ケーブル20を、開放された隙間を通して、クランプ部70から抜き取ることができる。
【0065】
可動アーム50は、基部60と平行な旋回状態において、その幅狭の嵌入部91と、基部60の一対の軸受片62との間の摩擦抵抗により、当該旋回状態に静止する。
一方、解除操作片110を押し込む力を解放すると、弾性係止片100が連接部113の弾性復元力により復元し、又、弾性係止片100も連結部103の弾性復元力により復元し、係止爪部101がカバー部90のガイド溝93に弾性的に突出する。
【符号の説明】
【0066】
10 ケーブルクランプ(部品保持具)
20 ケーブル(部品)
30 金属ステー(取付ベース)
31 構造体 32 取付穴
40 クランプ本体(保持具本体)
60 基部 61 軸受部
62 軸受片 63 軸穴
70 クランプ部 71 鋸歯状部
72 リブ 73 凹部
74 凸部 75 段差部
80 支持脚
81 支持爪 82 操作片
50 可動アーム
90 カバー部 91 嵌入部
92 突軸 93 ガイド溝
100 弾性係止片 101 係止爪部
102 延出部 103 連結部
110 解除操作片
111 当接部 112 操作部
113 連接部 114 斜面
120 当接枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
<”出願内容確認書”の”クレーム案”の「1」に対応>
外側に複数の凹部と凸部とが連続した鋸歯状部を備え、部品を保持する保持具本体と、
前記鋸歯状部に係止する係止爪部を備え、当該係止状態において前記保持具本体に前記部品を保持した状態にロックするための弾性係止片と、
前記弾性係止片に当接して、前記鋸歯状部と前記係止爪部との係止状態を解除する解除操作片とからなり、
前記鋸歯状部は、
前記弾性係止片の前記係止爪部が前記鋸歯状部の前記凹部に入った状態で係止状態となり、
前記弾性係止片には、
前記係止爪部から外側に延出した延出部を備え、
前記解除操作片は、
前記延出部に当接する当接部を備え、
前記解除操作片を押圧すると、その前記当接部が前記延出部の外側から当接し、当該当接により、前記弾性係止片の前記係止爪部が前記鋸歯状部の前記凹部から排出され、前記鋸歯状部と前記係止爪部との係止状態を解除することを特徴とする部品保持具の解除操作片。
【請求項2】
前記係止爪部の前記延出部と、前記解除操作片の前記当接部との少なくともいずれか一方を、斜面としたことを特徴とする請求項1に記載の部品保持具の解除操作片。
【請求項3】
前記係止爪部の前記延出部と、前記解除操作片の前記当接部との少なくともいずれか一方を、曲面としたことを特徴とする請求項1に記載の部品保持具の解除操作片。
【請求項4】
前記解除操作片の全長は、
前記弾性係止片の全長よりも長く、
前記解除操作片の前記当接部の先端側が、
前記弾性係止片の前記延出部と当接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品保持具の解除操作片。
【請求項5】
前記解除操作片は、
前記弾性係止片との当接により、
前記解除操作片の前記当接部が前記弾性係止片の解除方向にねじれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品保持具の解除操作片。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−100446(P2012−100446A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246543(P2010−246543)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】