説明

部品取付用具

【課題】 挟持手段を部品から離す際に、部品の位置をずらさないようにすることができ
、しかも、一連の取付動作を、片手で容易かつ確実に行うことができ、部品取付の作業効
率及び位置精度を高めることのできる部品取付用具を提供すること。
【解決手段】 部品を挟持する挟持手段(こて先20)を備えた部品取付用具1であって
、こて先20で挟持された部品を取付面に取り付ける際に、部品を取付面に押し付けた状
態で保持するための部品保持手段30を装備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品取付用具に関し、より詳細には、部品を挟持する挟持手段を備えた部品取
付用具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板上に部品を載置して、半田等で回路接続を行う実装ラインを通過した部品
実装基板は、通常、目視検査や外観検査機等で各部品の実装状況や半田付け状況が検査さ
れる。この検査において、半田付け不良や部品の位置ずれ等が検出された場合には、実装
不良の部品を正常な位置に取り付け直すためのリペア作業が行われる。
【0003】
図7(a)〜(d)は、従来の部品取付用具を用いたチップ部品のリペア時の取付作業
を説明するための図である。チップ部品のリペア作業を行う場合、グリップとなる本体部
101に2本のこて先20が開閉可能に取り付けられた部品取付用具100が使用される
。なお、こて先20には、ヒータが内蔵されており、半田を溶融可能な温度まで加熱させ
ることができるようになっており、半田ごての機能を備えている。
【0004】
リペア作業を行う際には、まず位置ずれ等が検出されたチップ部品50を、加熱された
こて先20で挟み、固化している半田を溶融させた後、チップ部品50を基板60から取
り外す。次に、チップ部品50を搭載するランド61に残っている半田を取り除いて、新
しい半田62を塗布する。
【0005】
次に取付作業に入り、まず、加熱されたこて先20でチップ部品50を挟み(図7(a
))、チップ部品50を挟持した状態のまま、チップ部品50をランド61上に載置して
、こて先20から伝わる熱でランド61上の半田62を溶融させて(図7(b))、その
後、こて先20を開いて、こて先20をチップ部品50から離し(図7(c))、半田6
2を固化させてチップ部品50のリペア作業を終える。
【0006】
しかしながら、上記リペア作業において、こて先20をチップ部品50から離す際に(
図7(c))、双方のこて先20をチップ部品50から同時に離す操作が行われなかった
場合、図7(d)に示したようにチップ部品50が所望の取付位置(ランド61)からず
れてしまい、チップ部品50を位置精度よく実装することが難しいという課題があった。
特に近年では、部品の小型化が進み、数ミリ角、さらには1mm角以下の小型部品を実装
する場合も増え、部品が小型化するほど、従来の部品取付用具100によるリペア作業が
難しくなり、作業効率が低下してしまう要因となっていた。
【0007】
また、下記の特許文献1には、回路基板に電線を半田付けする際に、押圧部材で電線を
押さえて半田付け作業を行う半田ごてが開示されているが、該半田ごてのこて先は、電線
を押さえる機能しかなく、回路基板に電線を半田付けする前に、両面粘着テープ等により
電線を回路基板に仮止めする工程が余分に必要となるものであった。
【特許文献1】特開平8−215837号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、挟持手段を部品から離す際に、部品の
位置をずらさないようにすることができ、しかも、一連の取付動作を、片手で容易かつ確
実に行うことができ、部品取付の作業効率及び位置精度を高めることのできる部品取付用
具を提供することを目的としている。
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る部品取付用具(1)は、部品を挟持する挟持手
段を備えた部品取付用具であって、前記挟持手段で挟持された部品を取付面に取り付ける
際に、前記部品を前記取付面に押し付けた状態で保持するための部品保持手段を備えてい
ることを特徴としている。
【0010】
上記部品取付用具(1)によれば、前記挟持手段で挟持された部品を取付面に取り付け
る際に、前記部品保持手段によって、前記部品が前記取付面に押し付けられた状態で保持
されるので、前記部品保持手段で前記部品を前記取付面に押し付けた状態のまま、前記挟
持手段から前記部品を離すことができ、前記部品から前記挟持手段が同時に離れていない
場合等の不適切な操作がなされた場合や取り付け困難な小型部品であっても、部品がずれ
ることなく、位置精度よく取り付けることができる。また、前記部品をずらすことなく取
り付ける一連の動作を、片手で容易に行うことができ、部品取付の作業効率を高めること
ができる。
【0011】
また本発明に係る部品取付用具(2)は、上記部品取付用具(1)において、前記挟持
手段が、該挟持手段の開閉機構を有する本体部に取り付けられ、前記部品保持手段が、一
端側が前記本体部に取り付けられ、他端側が前記挟持手段の先端部近傍位置まで延設され
た弾性支持部材で構成されていることを特徴としている。
【0012】
上記部品取付用具(2)によれば、前記部品保持手段が、一端側が前記本体部に取り付
けられ、他端側が前記挟持手段の先端部近傍位置まで延設された弾性支持部材で構成され
ているので、前記挟持手段で前記部品を挟持して取付面に載置するという通常動作の中で
、前記弾性支持部材の弾性を利用して、前記部品を前記取付面に適度な力で押し付けた状
態で保持することができ、前記弾性支持部材の他端側で、前記部品を前記取付面に押し付
けた状態のまま、前記挟持手段から前記部品を離すことができ、上記部品取付用具(1)
と略同様な効果を得ることができる。前記弾性支持部材は、細い板形状や棒形状に加工さ
れた、たわみによる弾性を有する金属等の部材で構成することができる。
【0013】
また本発明に係る部品取付用具(3)は、上記部品取付用具(2)において、前記弾性
支持部材が、前記挟持手段の軸方向に摺動可能に取り付けられていることを特徴としてい
る。
【0014】
上記部品取付用具(3)によれば、前記弾性支持部材が、前記挟持手段の軸方向に摺動
可能に取り付けられているので、前記弾性支持部材を前記挟持手段の軸方向(先端方向)
に摺動させることにより、前記弾性支持部材の他端側を前記部品に確実に押し付けること
ができ、前記弾性支持部材の他端側で前記部品を前記取付面に押し付けた状態のまま、前
記挟持手段から前記部品を離す動作をより確実に行うことができ、上記部品取付用具(1
)と略同様な効果を得ることができる。また、前記部品のサイズ(高さ)や、作業者の使
い勝手等に合わせて、前記弾性支持部材の他端部の配設位置を調整することが可能となる

【0015】
また本発明に係る部品取付用具(4)は、上記部品取付用具(2)又は(3)において
、前記弾性支持部材の他端側が、側面視曲面形状となっていることを特徴としている。
【0016】
上記部品取付用具(4)によれば、前記弾性支持部材の他端側が、側面視曲面形状とな
っているので、前記部品の表面を傷つけることなく、前記弾性支持部材の他端側を前記部
品に押し付けることができる。
【0017】
また本発明に係る部品取付用具(5)は、上記部品取付用具(1)において、前記挟持
手段が、該挟持手段の開閉機構を有する本体部に取り付けられ、前記部品保持手段が、一
端側が前記本体部に取り付けられ、他端側が前記挟持手段の先端部近傍位置まで延設され
た支持部と、該支持部の他端側に装着された部品当接部とを含んで構成されていることを
特徴としている。
【0018】
上記部品取付用具(5)によれば、前記部品保持手段が、一端側が前記本体部に取り付
けられ、他端側が前記挟持手段の先端部近傍位置まで延設された支持部と、該支持部の他
端側に装着された部品当接部とを含んで構成されているので、前記挟持手段で挟持された
部品を取付面に取り付ける際に、前記支持部の他端側に装着された部品当接部によって、
前記部品を前記取付面に押し付けた状態で確実に保持することができ、前記部品を保持し
た状態のまま、前記挟持手段から前記部品を離すという取付動作を確実に行うことができ
、上記部品取付用具(1)と略同様な効果を得ることができる。
【0019】
また本発明に係る部品取付用具(6)は、上記部品取付用具(5)において、前記部品
当接部が、前記部品の上面及び少なくとも1側面に当接する形状となっていることを特徴
としている。
【0020】
上記部品取付用具(6)によれば、前記部品当接部が、前記部品の上面及び少なくとも
1側面に当接する形状となっているので、前記部品の上面及び少なくとも1側面を、前記
部品当接部によって同時に保持することができ、前記部品の位置ずれ防止効果を一層高め
ることができる。
【0021】
また本発明に係る部品取付用具(7)は、上記部品取付用具(5)又は(6)において
、前記部品当接部が、前記部品との当接面に弾性部材が配設されているものであることを
特徴としている。
【0022】
上記部品取付用具(7)によれば、前記部品当接部における、前記部品との当接面に弾
性部材が配設されているので、該弾性部材の弾性を利用して、前記部品を取付面に適度な
力で押し付けた状態で保持することができ、前記部品の位置ずれ防止効果を高めることが
できる。前記弾性部材としては、例えば、耐熱シリコーンゴム(例えば、耐熱温度450
℃のものなど)、耐熱プラスチック、エラストマなどを利用することができ、その形状は
、板形状のみならず、球面を有する形状などとすることができ、その大きさ(厚み、直径
等)を調節することにより、適切な弾性が得られるように設定することができる。
【0023】
また本発明に係る部品取付用具(8)は、上記部品取付用具(5)〜(7)のいずれか
において、前記部品当接部が、前記支持部の他端側に傾倒自在に装着されていることを特
徴としている。
【0024】
上記部品取付用具(8)によれば、前記部品当接部が、前記支持部の他端側に傾倒自在
に装着されているので、前記部品を前記挟持手段で挟持したときの使用角度に応じて、前
記部品当接部を傾倒させることができ、前記部品を取付面に確実に押し付けた状態で保持
することができる。
【0025】
また本発明に係る部品取付用具(9)は、上記部品取付用具(5)〜(8)のいずれか
において、前記支持部が、前記挟持手段の軸方向に摺動可能に取り付けられていることを
特徴としている。
【0026】
上記部品取付用具(9)によれば、前記支持部が、前記挟持手段の軸方向に摺動可能に
取り付けられているので、前記支持部を前記挟持手段の軸方向(先端方向)に摺動させる
ことにより、前記部品当接部を前記部品に確実に押し付けることができ、前記部品当接部
で前記部品を前記取付面に押し付けた状態のまま、前記挟持手段から前記部品を離す動作
を確実に行うことができ、上記部品取付用具(1)と略同様な効果を得ることができる。
また、前記部品のサイズ(高さ)や、作業者の使い勝手等に合わせて、前記部品当接部の
配設位置を調整することが可能となる。
【0027】
また本発明に係る部品取付用具(10)は、上記部品取付用具(5)〜(9)のいずれ
かにおいて、前記支持部が、前記部品当接部からの押圧力を受けて伸縮し、該押圧力に対
する反発力が生じるように構成されていることを特徴としている。
【0028】
上記部品取付用具(10)によれば、前記支持部が、前記部品当接部からの押圧力を受
けて伸縮し、該押圧力に対する反発力が生じるように構成されているので、前記部品当接
部を前記部品に押し付ける動作により、適切な力で前記部品を前記取付面に押し付けるこ
とができ、前記部品をより安定した状態で保持することが可能となる。
【0029】
また本発明に係る部品取付用具(11)は、上記部品取付用具(1)〜(10)のいず
れかにおいて、前記挟持手段の先端部が、半田を溶融可能な温度に加熱されるように構成
されていることを特徴としている。
【0030】
上記部品取付用具(11)によれば、前記挟持手段の先端部が、半田を溶融可能な温度
に加熱されるように構成されているので、加熱された前記挟持手段で部品を挟み、該部品
を取付面に載置し、前記弾性支持部材又は前記部品当接部で、前記部品を前記取付面に押
し付けた状態のまま、前記挟持手段からの熱で取付面に塗布された半田を溶融し、前記部
品を押し付けた状態を保持しながら前記挟持手段から前記部品を離して、半田を固化させ
て部品を取り付けるという一連の取付動作を確実に行うことができるとともに、前記挟持
手段から前記部品を離す際の該部品の位置ずれを防止することができ、小型部品等の半田
付け作業の難しい部品でも位置精度よく取り付けることができる。また、前記部品をずら
すことなく半田付けする前記一連の動作を、片手で容易に行うことができ、表面実装部品
のリペア作業の効率を高める半田ごてとして使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る部品取付用具の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実
施の形態(1)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)
は側面図を示している。
【0032】
部品取付用具1は、絶縁性かつ耐熱性を備えた樹脂性の筐体からなる本体部10と、本
体部10の一端側に取り付けられた2本のこて先(挟持手段)20と、一端側が本体部1
0に固定され、他端側がこて先20の先端部近傍位置まで延設された弾性支持部材からな
る部品保持手段30とを含んで構成されている。
【0033】
本体部10には、こて先20を開閉するための、例えば、バネ部材等を使用した開閉機
構(図示せず)が装備されており、本体部10の側面に設けた開閉操作部11を手(指)
で押し込む操作により、双方のこて先20を接近させて(閉じて)、こて先20の先端部
に部品を挟持させることができるようになっている。なお、本体部10の形状は、図1に
示した形状に限定されるものではなく、こて先20を開閉する機構を有している形状であ
ればよい。
【0034】
また、こて先20には、ヒータ(図示せず)が内蔵されており、該ヒータは、本体部1
0の他端側から外部に延びる電源コード12に接続されており、電源コード12からの給
電によりヒータが駆動されて、こて先20が、半田を溶融可能な温度(例えば、200℃
〜400℃)となるように加熱制御されるようになっている。なお、こて先20は、挟持
する部品のサイズ、形状等に合わせて、適宜取り替えることが可能となっている。
【0035】
また、弾性支持部材(例えば、金属製の板ばねなど)から構成される部品保持手段30
は、平面視略こて先20の中間に配設され、部品保持手段30の一端側(本体部10側)
が、本体部10に形成された溝部13に嵌め込まれて固定されており、部品保持手段30
の他端側(こて先20側)には、側面視曲面形状に形成された曲面形状部30aを有して
おり、こて先20で部品を挟持した際に、他端側の曲面形状部30aが部品上面に当接す
るように構成されている。なお、部品保持手段30の横幅は、挟持する部品の横幅よりも
小さな幅となるように設計されている。
【0036】
また、部品保持手段30の本体部10への取付方法は、部品保持手段30の一端側を固
定できる方法であればよく、本体部10に形成された溝部13に嵌め込んで固定する方法
以外に、例えば、ねじ等の固定部材を用いたり、接着材等を用いて固定する方法等が採用
され得る。
【0037】
次に実施の形態(1)に係る部品取付用具1を用いたチップ部品の取付動作について説
明する。図2(a)〜(d)は、実施の形態(1)に係る部品取付用具1を用いたチップ
部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【0038】
まず、加熱されたこて先20でチップ部品50を挟む(図2(a))。この時、部品保
持手段30の曲面形状部30aが、チップ部品50上面に当接するようになっている。次
に、こて先20でチップ部品50を挟持した状態のまま、チップ部品50をランド61上
に載置して、こて先20から伝わる熱でランド61上の半田62を溶融させる(図2(b
))。この時、部品保持手段30の曲面形状部30aが、チップ部品50上面に当接して
おり、こて先20を立てる方向(図中矢印方向)に動かすと、部品保持手段30のバネ弾
性を利用して、曲面形状部30aでチップ部品50を基板60(取付面)に押し付けるこ
とができるようになっている。
【0039】
半田62を溶融させた後、こて先20を立てる方向に動かし、曲面形状部30aでチッ
プ部品50を基板60に押し付けた状態のまま、こて先20を開いて、こて先20をチッ
プ部品50から離し(図2(c))、半田62が固化するまで、曲面形状部30aでチッ
プ部品50を基板60に押し付けた状態を保持し、半田62が固化した後、本体部10を
上方向に引き上げながら、曲面形状部30aをチップ部品50から離して(図2(d))
、チップ部品50のリペアを終えるようになっている。
【0040】
上記実施の形態(1)に係る部品取付用具1によれば、半田62の溶融機能を備えたこ
て先20で挟持されたチップ部品50を基板60に取り付ける際に、チップ部品50を基
板60に押し付けた状態で保持するための部品保持手段30を備え、部品保持手段30が
、一端側が本体部10に固定され、他端側がこて先20の先端部近傍位置まで延設された
弾性支持部材で構成されているので、こて先20でチップ部品50を挟持して基板60に
載置して半田付けするという通常動作の流れの中で、すなわち、特別な操作をすることな
く、部品保持手段30を構成する弾性支持部材のバネ弾性を利用して、チップ部品50を
基板60に適度な力で押し付けた状態で保持することができ、部品保持手段30の曲面形
状部30aで、チップ部品50を基板60に押し付けた状態のまま、こて先20からチッ
プ部品50を離すことができる。
【0041】
したがって、チップ部品50からこて先20が同時に離れていない場合等の不適切な操
作がなされた場合や取り付け困難な小型部品であっても、チップ部品50がずれることな
く、位置精度良く取り付けることができる。チップ部品50をずらすことなく半田付けす
る一連の動作を、片手で容易かつ確実に行うことができ、表面実装部品のリペア作業の効
率及び取付位置精度を高める半田ごてとして使用することができる。
また、部品保持手段30の曲面形状部30aによって、チップ部品50の表面を傷つけ
ることなく、部品保持手段30をチップ部品50に押し付けることができる。
【0042】
図3は、実施の形態(2)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平
面図、(b)は側面図を示している。但し、図1に示した実施の形態(1)に係る部品取
付用具1と同一機能を有する構成部品には、同一符号を付し、その説明を省略することと
する。
【0043】
実施の形態(1)に係る部品取付用具1と、実施の形態(2)に係る部品取付用具1A
とでは、部品保持手段の構成と、部品保持手段の本体部への取付構造とが相違しており、
実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aでは、部品保持手段30Aが、一端側が本体部
10Aに摺動可能に取り付けられ、他端側がこて先20の先端部近傍位置まで延設された
支持部31と、支持部31の他端側に傾倒自在に装着された部品当接部32とを含んで構
成されている。
【0044】
部品保持手段30Aを構成する支持部31は、例えば、細い棒状の金属部材から構成さ
れており、平面視略こて先20の中間に配置されている。本体部10Aにおける、支持部
31の装着面には、部品保持手段30Aの支持部31と略同等幅の凹形状をした案内溝1
4が形成され、案内溝14に部品保持手段30Aの支持部31が嵌め込まれている。そし
て、部品保持手段30Aの支持部31に設けられた突起状の摺動操作部31aを用いて、
部品保持手段30Aを案内溝14に沿ってこて先20の軸方向に摺動させることができる
ようになっている。なお、本体部10Aの案内溝14には、滑り止め加工が施されており
、一定以上の力を加えなければ、部品保持手段30Aを摺動させることができない構造に
なっており、部品当接部32で部品を押し付ける程度の力では、部品保持手段30Aが摺
動できないようになっている。
【0045】
部品当接部32は、側面視略L字形状の金属製の板部材で構成されており、こて先20
で部品を挟持した状態で、部品保持手段30Aを下方(こて先20先端側)に摺動させる
ことにより、部品当接部32を部品の上面及び1側面に当接させることができるように構
成されている。なお、支持部31の他端側と部品当接部32との連結部は、支持部31の
他端(こて先20先端側)を支点にして本体部10Aが、こて先20で部品が挟持された
状態で前後に傾倒可能な構造となっている。
【0046】
次に実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aを用いたチップ部品の取付動作について
説明する。図4(a)〜(d)は、実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aを用いたチ
ップ部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【0047】
まず、加熱されたこて先20でチップ部品50を挟み、こて先20でチップ部品50を
挟持した状態のまま、チップ部品50をランド61上に載置して、こて先20から伝わる
熱でランド61上の半田62を溶融させる(図4(a))。この時点では、部品保持手段
30Aの部品当接部32は、チップ部品50の上方に位置している。
【0048】
半田62を溶融させた後、部品保持手段30Aの支持部31に設けられた摺動操作部3
1aを操作して部品保持手段30Aを下方に摺動させて、部品当接部32をチップ部品5
0上面及び1側面に当接させて、部品当接部32でチップ部品50を基板60に押し付け
る(図4(b))。
【0049】
その後、部品当接部32でチップ部品50を基板60に押し付けた状態で保持したまま
、こて先20を開いて、こて先20をチップ部品50から離し(図4(c))、半田62
が固化するまで、部品当接部32でチップ部品50を基板60に押し付けた状態を保持し
、半田62が固化した後、本体部10Aを上方向に引き上げながら、部品当接部32をチ
ップ部品50から離して(図4(d))、チップ部品50のリペアを終えるようになって
いる。
【0050】
上記実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aによれば、部品保持手段30Aが、一端
側が本体部10Aに摺動可能に取り付けられ、他端側がこて先20の先端部近傍位置まで
延設された支持部31と、支持部31の他端側に傾倒自在に装着された側面視略L字形状
をした部品当接部32とを含んで構成されているので、こて先20で挟持されたチップ部
品50を基板60に取り付ける際に、部品保持手段30Aを下方に摺動させて、支持部3
1の他端側に装着された部品当接部32によって、チップ部品50を基板60に押し付け
た状態で確実に保持することができ、チップ部品50を保持した状態のまま、こて先20
からチップ部品50を離すという取付動作を確実に行うことができる。
【0051】
したがって、チップ部品50からこて先20が同時に離れていない場合等の不適切な操
作がなされた場合や取り付け困難な小型部品であっても、チップ部品50がずれることな
く、位置精度良く取り付けることができる。チップ部品50をずらすことなく半田付けす
る一連の動作を、片手で容易に行うことができ、表面実装部品のリペア作業の効率を高め
る半田ごてとして使用することができる。
【0052】
また、部品当接部32が、側面視略L字形状をした板部材から構成されているので、チ
ップ部品50の上面及び1側面を、部品当接部32によって同時に保持することができ、
チップ部品50の位置ずれ防止効果を一層高めることができる。
【0053】
また、部品当接部32が、支持部31の他端側に傾倒自在に装着されているので、チッ
プ部品50をこて先20で挟持したときの使用角度に応じて、部品当接部32を傾倒させ
ることができ、チップ部品50を基板60に確実に押し付けた状態で保持することができ
る。
【0054】
なお、上記実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aでは、部品保持手段30Aの部品
当接部32が、部品上面及び少なくとも1側面に当接するように側面視略L字形状の平板
部材から構成されているが、側面視略L字形状以外の形状、例えば、コの字形状などでも
よく、さらに、部品当接部32の部品との当接面に弾性部材(例えば、耐熱シリコーンゴ
ム、耐熱プラスチック、エラストマなど)を配設してもよい。係る構成によれば、弾性部
材の弾力を利用して、部品を取付面に適度な力で押し付けた状態で保持することができ、
部品の位置ずれ防止効果を高めることができる。なお弾性部材の形状は、平板形状のみな
らず、球面を有する形状(例えば、半球状)などとすることができ、その大きさ(厚みや
直径)等を調節することにより、適切な弾性力が得られるようにすることができる。
【0055】
また、上記実施の形態(1)に係る部品取付用具1では、弾性支持部材からなる部品保
持手段30の一端側が本体部10に固定されるように構成されているが、別の実施の形態
では、上記実施の形態(2)に係る部品取付用具1Aのように、部品保持手段30を本体
部10に摺動可能に取り付ける構成としてもよい。なお、部品保持手段30を任意に摺動
させた位置に固定することができるストッパ機能を設ける構成としてもよい。係る構成に
よれば、部品のサイズ(高さ)や、作業者の使い勝手等に合わせて、曲面形状部30aの
高さ位置を微調整することが可能となり作業効率を一層高めることができる。
【0056】
図5は、実施の形態(3)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平
面図、(b)は側面図を示している。但し、図1に示した実施の形態(1)に係る部品取
付用具1と同一機能を有する構成部品には、同一符号を付し、その説明を省略することと
する。
【0057】
実施の形態(1)に係る部品取付用具1と、実施の形態(3)に係る部品取付用具1B
とでは、部品保持手段の構成が相違しており、実施の形態(3)に係る部品取付用具1B
では、部品保持手段30Bが、一端側が本体部10Bに固定され、他端側がこて先20の
先端部近傍位置まで延設された支持部33と、支持部33の他端側に傾倒自在に装着され
た部品当接部34とを含んで構成されている。
【0058】
部品保持手段30Bを構成する支持部33は、第1の棒部33aと第2の棒部33bと
がコイルバネ33cを介して連結された構造となっており、支持部33の一端側が、本体
部10に形成された溝部15に嵌め込まれて固定されており、支持部33の他端側(こて
先20側)には、略矩形形状をした金属製の平板部材で構成された部品当接部34が、傾
倒自在に装着されている。
【0059】
支持部33を構成する第1の棒部33aと第2の棒部33bとの連結部には、コイルバ
ネ33cが介装されており、第2の棒部33bが、部品当接部34からの押圧力を受けて
上方に移動すると、コイルバネ33cが縮み、第2の棒部33bを下方に押し戻そうとす
る反発力が生じるように構成されている。また、こて先20で部品を挟持した際に、部品
当接部34が部品上面に当接するよう設計されている。なお、支持部33の他端側と部品
当接部34との連結部は、支持部33の他端を支点にして本体部10Bが、こて先20で
部品が挟持された状態で前後に傾倒可能な構造となっている。
【0060】
次に実施の形態(3)に係る部品取付用具1Bを用いたチップ部品の取付動作について
説明する。図6(a)〜(d)は、実施の形態(3)に係る部品取付用具1Bを用いたチ
ップ部品のリペア作業を説明するための図である。
【0061】
まず、加熱されたこて先20でチップ部品50を挟む(図6(a))。この時、部品保
持手段30Bの部品当接部34が、チップ部品50上面に当接し、第2の棒部33bが、
部品当接部34からの押圧力を受けて上方に移動し、コイルバネ33cが縮み、第2の棒
部33bを押し戻そうとする反発力が生じている。
【0062】
次に、こて先20でチップ部品50を挟持した状態のまま、チップ部品50をランド6
1上に載置して、こて先20から伝わる熱でランド61上の半田62を溶融させる(図6
(b))。この時、部品保持手段30Bの部品当接部34は、チップ部品50上面に当接
しており、こて先20を立てる方向(図中矢印方向)に動かすと、第2の棒部33bがさ
らに上方に移動し、コイルバネ33cの縮み量が増し、第2の棒部33bを押し戻そうと
する反発力が増して、部品当接部34でチップ部品50を基板60に確実に押し付けるこ
とができるようになっている。
【0063】
半田62を溶融させた後、こて先20を立てる方向に動かして、部品当接部34でチッ
プ部品50を基板60に押し付けた状態で、こて先20を開いて、こて先20をチップ部
品50から離し(図6(c))、半田62が固化するまで、部品当接部34でチップ部品
50を基板60に押し付けた状態を保持し、半田62が固化した後、本体部10Bを上方
向に引き上げながら、コイルバネ33cの縮みを解放し、部品当接部34をチップ部品5
0から離して(図6(d))、チップ部品50のリペアを終えるようになっている。
【0064】
上記実施の形態(3)に係る部品取付用具1Bによれば、部品保持手段30Bの支持部
33が、部品当接部34からの押圧力を受けて伸縮し、該押圧力に対する反発力が生じる
ように構成されているので、部品当接部34をチップ部品50に押し付ける動作により、
適切な力でチップ部品50を基板60に押し付けることができ、上記実施の形態(1)に
係る部品取付用具1と略同様な効果が得られるとともに、チップ部品50をより安定した
状態で保持することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施の形態(3)に係る部品取付用具1Bでは、部品保持手段30Bを構成
する支持部33として、第1の棒部33aと第2の棒部33bとがコイルバネ33cを介
して連結された構造のものを採用した場合について説明した、別の実施の形態では、コイ
ルバネ33cを第1の棒部33aの外側に配設する構成としたり、コイルバネ33c以外
の弾性部材を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】(a)〜(d)は、実施の形態(1)に係る部品取付用具によるチップ部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【図3】実施の形態(2)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、実施の形態(2)に係る部品取付用具によるチップ部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【図5】実施の形態(3)に係る部品取付用具を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】(a)〜(d)は、実施の形態(3)に係る部品取付用具によるチップ部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【図7】(a)〜(d)は、従来の部品取付用具によるチップ部品のリペア時の取付作業を説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、1B 部品取付用具
10、10A、10B 本体部
20 こて先(挟持手段)
30、30A、30B 部品保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を挟持する挟持手段を備えた部品取付用具であって、
前記挟持手段で挟持された部品を取付面に取り付ける際に、前記部品を前記取付面に押
し付けた状態で保持するための部品保持手段を備えていることを特徴とする部品取付用具

【請求項2】
前記挟持手段が、該挟持手段の開閉機構を有する本体部に取り付けられ、
前記部品保持手段が、一端側が前記本体部に取り付けられ、他端側が前記挟持手段の先
端部近傍位置まで延設された弾性支持部材で構成されていることを特徴とする請求項1記
載の部品取付用具。
【請求項3】
前記弾性支持部材が、前記挟持手段の軸方向に摺動可能に取り付けられていることを特
徴とする請求項2記載の部品取付用具。
【請求項4】
前記弾性支持部材の他端側が、側面視曲面形状となっていることを特徴とする請求項2
又は請求項3記載の部品取付用具。
【請求項5】
前記挟持手段が、該挟持手段の開閉機構を有する本体部に取り付けられ、
前記部品保持手段が、一端側が前記本体部に取り付けられ、他端側が前記挟持手段の先
端部近傍位置まで延設された支持部と、
該支持部の他端側に装着された部品当接部とを含んで構成されていることを特徴とする
請求項1記載の部品取付用具。
【請求項6】
前記部品当接部が、前記部品の上面及び少なくとも1側面に当接する形状となっている
ことを特徴とする請求項5記載の部品取付用具。
【請求項7】
前記部品当接部が、前記部品との当接面に弾性部材が配設されているものであることを
特徴とする請求項5又は請求項6記載の部品取付用具。
【請求項8】
前記部品当接部が、前記支持部の他端側に傾倒自在に装着されていることを特徴とする
請求項5〜7のいずれかの項に記載の部品取付用具。
【請求項9】
前記支持部が、前記挟持手段の軸方向に摺動可能に取り付けられていることを特徴とす
る請求項5〜8のいずれかの項に記載の部品取付用具。
【請求項10】
前記支持部が、前記部品当接部からの押圧力を受けて伸縮し、該押圧力に対する反発力
が生じるように構成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれかの項に記載の部
品取付用具。
【請求項11】
前記挟持手段の先端部が、半田を溶融可能な温度に加熱されるように構成されているこ
とを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載の部品取付用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−44703(P2007−44703A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228986(P2005−228986)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】