説明

部品実装装置および部品実装方法

【課題】物体の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことのできる部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】撮像対象領域を撮像するカメラ10と、第一輝度変化光を撮像対象領域50に対して斜めに照射する第一照射部20aと、カメラ10及び第一照射部20aに対して物体30及び反射板41をX軸方向に移動させる移動部40と、反射部41の境界線データと物体30の対象物データとを取得するデータ取得部103bと、予め定められた撮像のタイミングT1〜T8における境界線位置と境界線基位置との位置ずれを導出する位置ずれ導出部103cと、当該撮像のタイミングの対象物基位置に対して、位置ずれを加算して得られた対象物位置に対応する対象物データの輝度値を取得する輝度値取得部103dと、輝度値に基づいて位相シフト法による波形を作成する波形作成部103eとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の形状を認識し、認識した部品を基板に実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品が実装された実装基板を生産するための実装基板生産システムは、基板に部品を実装する部品実装装置や基板に実装された部品を検査あるいはクリーム半田が印刷された基板を検査する検査装置などの実装基板生産装置を備えている。部品実装装置では、部品の実装精度を向上するために、部品を実装する前に、ノズルに吸着した部品の形状を認識する。また、検査装置では、基板への部品の実装状態を検査するために、基板上の部品の形状を認識する。このため、精度良く実装基板を生産するためには、これらの部品の形状認識を精度良く行う必要がある。
【0003】
そこで、第一の従来技術として、互いに位相が異なる複数の正弦波縞パターン光を物体に投影し、当該物体をカメラで撮像して、当該物体の形状認識を行う位相シフト法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。位相シフト法では、輝度変化を正弦波で表すことのできる正弦波縞パターン光を、正弦波の位相をずらしながら複数回物体に投影し、正弦波縞パターン光が投影されるごとに物体を撮像する。このようにして撮像された複数枚の物体の画像データから、座標ごとに、物体が存在しない場合に観測されるだろう輝度の変化パターンが示す正弦波と、実際に観測された物体の画像データにおける輝度の変化パターンが示す正弦波との位相のずれを算出する。座標ごとに算出された位相のずれ量から、物体の形状が認識される。
【0004】
また、第二の従来技術として、正弦波縞パターン光を投影した基準面上を、物体を正弦波縞パターン光に対し斜めに移動させながら複数のラインセンサからなる撮像部で物体を撮像することにより、物体の形状を認識する位相シフト法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3921547号公報
【特許文献2】特開2002−257528号公報
【特許文献3】特許第3629532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第一の従来技術では、物体の形状を認識するために正弦波縞パターン光を、正弦波の位相をずらしながら複数回の物体の撮像部分全体を撮像しなければならない。これは、物体の画像データにおける輝度の変化パターンが示す正弦波を推定するためには、複数の輝度が必要とされるためである。このため、この方法では、物体の形状を認識するために時間を要するという課題がある。特に、部品実装装置では、ノズルに吸着された部品を高速移動中に、当該部品の形状を認識する必要がある。このため、物体の形状を認識するために長時間を要する第一の従来技術に係る位相シフト法を利用して物体の形状を認識することは困難である。
【0007】
また、第二の従来技術では、物体を移動させながら物体の形状を認識することができる。しかし、特許文献3に記載の方法では、正弦波縞パターン光の輝度の変化方向と複数のラインセンサの並び方向とが異なる。このため、形状の認識処理の前に行う撮像部と正弦波縞パターン光を投影する投影部(照射部)との位置調整が困難であるという課題がある。つまり、位置調整においては、物体が存在しない物体を支持する基準面上に正弦波縞パターン光を投影し、基準面を撮像部で撮像する。撮像により得られる画像データが所望のパターンとなるように撮像部または投影部の位置を変化させることにより撮像部と投影部との位置調整を行う。このような位置調整においては、輝度の変化方向とラインセンサの並び方向とが異方向となる構成では、位置調整は極めて行いづらく撮像部または投影部の位置が少し変化しただけで、各ラインセンサ上の複数の画素の輝度が変化してしまう。よって、撮像部と投影部との位置調整が煩雑で困難であり、正確に物体の所望の位置を投影部による所望の輝度による撮像することは困難である。また、さらに、例えば0.2mm×0.4mmのような極小な部品を撮像部により撮像して位相シフト法により当該部品の形状を認識する場合に、撮像部には例えば8〜25μmの高い解像度(分解能)が要求されることになる。このため、特に撮像部または投影部等の位置を移動させる場合や他の機器の動作による場合等に生じる振動による悪影響を受けやすく、振動等による位置ずれにより物体の所望の位置を撮像できず、物体の形状を正確に認識することが困難である。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、振動等による位置ずれが生じてもそれによる影響を最小限に留め、物体の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことのできる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る部品実装装置は、対象物を撮像対象領域にて撮像して、撮像した結果に基づいて前記対象物の形状を測定する位相シフト法を利用する部品実装装置であって、前記撮像対象領域を撮像する撮像部と、第一方向に沿って輝度が同一であり、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第一輝度変化光を、前記第一方向および前記第二方向により規定される前記撮像対象領域に対して斜めから照射する第一照射部と、前記対象物を吸着して保持するノズルと、前記対象物に対する位置関係が一定であり、前記撮像対象領域において前記対象物と共に同方向に同量だけ移動し、前記ノズルが接続され、第一領域において前記撮像部に向けて反射する第一光量と、前記第一領域に対して第二方向に並ぶ第二領域とにおいて前記撮像部に向けて反射する第二光量との異なる光量を反射可能な反射部とを有し、前記対象物を前記第二方向に沿って相対的に移動させて、前記対象物および前記反射部を前記撮像対象領域に対して通過させる移動部と、前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の境界線の少なくとも一部を予め定められた撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である基準位置としての境界線データと、前記対象物の測定部位を前記撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である対象物データとを取得するデータ取得部と、前記撮像のタイミングに撮像された境界線データによって特定される前記撮像のタイミングにおける境界線位置と、前記移動部が前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の前記境界線を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする境界線基位置との位置ずれを、導出する位置ずれ導出部と、前記移動部が前記対象物を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする対象物基位置に対して、前記位置ずれ導出部が導出した前記位置ずれを加算することにより得られた当該撮像のタイミングにおける前記対象物の前記測定部位の位置に対応する、当該撮像のタイミングに撮像された前記対象物データの輝度値を取得する輝度値取得部と、前記輝度値取得部により取得された前記対象物データの輝度値に基づいて、位相シフト法による前記対象物の前記測定部位の前記第一方向および前記第二方向と交差する第三方向における位置の算出に用いられる波形であって、前記対象物の波形を作成する波形作成部とを備える。
【0010】
したがって、振動等による位置ずれの影響によって第二方向に移動する対象物の測定部位が予め定められた撮像のタイミングで撮像され、位置ずれが生じていない場合とする位置の対象物基位置に無い場合であっても、対象物と共に第二方向に移動する反射部に生じる境界線は対象物と同方向に同量だけ移動し対象物と境界線との位置関係は一定であるため、反射部の第一領域と第二領域との境界線を撮像した境界線データを取得し、反射部に生じる境界線が撮像された撮像のタイミングにおける境界線データに基づく撮像のタイミングにおける境界線データと境界線基位置との第二方向の位置ずれを導出することにより対象物の測定部位の位置を把握することができる。このように当該撮像のタイミングにおいて撮像された対象物の測定部位の位置を反射部の境界線データに基づく位置ずれを把握し加算することにより正確に特定できるため、位置ずれが加算された対象物の測定部位の位置に対応する対象物データである輝度値の出力値を採用して、対象物の測定部位の位置とそれに対応する出力値とをプロットすることにより、対象物の測定部位の形状としての高さ寸法を位相シフト法に基づいて導出するための正弦波を作成することができる。このように、対象物の測定部位と撮像部との相対的な位置が振動によって当該撮像のタイミングにおいて移動部が移動させるべき位置からずれてしまっていても、正確に対象物を撮像した対象物の撮像波形としての正弦波を作成することができる。これにより、振動等により撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていても対象物の測定部位の高さ方向(第一方向および第二方向に対して直交する方向)の寸法を正確に導出することができ、対象物の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことができる。
【0011】
また、好ましくは、前記反射部は、前記第一輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射し、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射しない。
【0012】
これによれば、第一領域において撮像部に向けて反射される光の光源が第一照射部により照射される輝度変化光である。このため、反射部の第一領域と第二領域との境界を識別するための照射手段を第一照射部の他に別途設ける必要がなく、部品実装装置のコストを低減することができる。
【0013】
また、好ましくは、さらに、前記撮像対象領域から前記第一方向および前記第二方向に垂直な第三方向に対して延びる仮想線を挟んで前記第一照射部とは前記第二方向の反対側に位置し、第一方向に沿って輝度が同一であり、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第二輝度変化光を、前記撮像対象領域に対して斜めから照射する第二照射部を備え、前記反射部は、前記第一照射部により照射された前記第一輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射し、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射せず、前記第二照射部により照射された前記第二輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射せず、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射する。
【0014】
これによれば、第一照射部の他に、第一照射部の第二方向の反対側に第二照射部が設けられて、第二方向に移動する対象物に対して第二方向の両側から第一輝度変化光および第二輝度変化光を照射することで影の影響を軽減している。このような形態の部品実装装置であっても、反射部は、第二照射部から照射される第二輝度変化光を、第一領域において撮像部に向けて反射せず、第二領域において前記撮像部に向けて反射する。つまり、第二照射部から第二輝度変化光が照射される場合には、反射部の第一領域が暗く、かつ、第二領域が第一領域に比べ相対的に明るくなる。これにより、第二照射部により第二輝度変化光が照射される場合であっても、反射部は、第一領域と第二領域との間の境界線が認識可能な状態で撮像される。
【0015】
また、好ましくは、前記データ取得部は、前記撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域の内で前記第一方向に平行であって、前記第二方向に並ぶ複数のライン状撮像領域により出力された出力値を前記対象物データとして取得する。
【0016】
これによれば、データ取得部は、第一方向に平行な複数のライン状撮像領域により出力された対象物の輝度値の出力値を対象物データとして取得する。このように、データ取得部が、位相シフト法に利用するデータとして撮像部のエリアイメージセンサの出力値の内で、ライン状撮像領域の出力値のみを採用するため、対象物データのサイズをエリアイメージセンサ全体の出力値を採用するよりも小さくすることができる。したがって、本発明の部品実装装置では、位相シフト法によって物体の形状を認識するための処理にかかる対象物データの転送を高速に行うことができる。
【0017】
また、好ましくは、前記データ取得部は、前記撮像部のエリアイメージセンサの前記撮像領域の内で前記境界線が通過する領域である境界線撮像領域の出力値を前記境界線データとして取得する。
【0018】
これによれば、データ取得部は、撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域の内で反射部に生じる境界線が通過する境界線撮像領域の出力値を境界線データとして取得する。反射部に生じる境界線は、撮像部に対して対象物と共に同方向に同量で第二方向に移動し、撮像対象領域の第一方向に平行な領域において撮像される。
【0019】
このため、データ取得部は、反射部の境界線を撮像するための撮像部のエリアイメージセンサの領域を撮像領域の境界線撮像領域に限定して、当該境界線撮像領域による出力値を境界線データとして取得することができる。データ取得部が境界線撮像領域によって出力された境界線データを取得することにより、位置ずれ導出部は、予め定められた撮像のタイミングにおける反射部の境界線位置を取得でき、取得した境界線位置と位置ずれが生じていない場合とする境界線基位置との位置ずれを導出できる。このように、エリアイメージセンサの撮像領域による出力値の内で、当該撮像領域よりも小さい領域の境界線撮像領域を境界線データとして取得するため、基準位置としての境界線データのデータ量を最小限として、境界線データの転送を高速に行うことができる。
【0020】
なお、本発明は、このような部品実装装置として実現することができるだけでなく、部品実装装置が備える特徴的な構成要素の動作をステップとする部品実装方法として実現することができる。また、部品実装方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することもできる。そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体またはインターネット等の伝送媒体を介して配信することもできる。また、本発明は、各処理部の処理を行う集積回路として実現することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る部品実装装置によれば、物体の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態における部品実装装置の構成を示す外観図である。
【図2A】図2Aは、移動部の構成を示す概略図である。
【図2B】図2B(a)は、反射部のX−Z平面における断面図であり、第一撮像対象領域において第一輝度変化光を反射部が反射する状況を示す図であり、図2B(b)は、反射部のX−Z平面における断面図であり、第二撮像対象領域において第二輝度変化光を反射部が反射する状況を示す図である。
【図2C】図2C(a)は、第一撮像対象領域において移動部と物体とを撮像した場合の反射部に生じる境界線を示す図であり、図2C(b)は、第二撮像対象領域において移動部と物体とを撮像した場合の反射部に生じる境界線を示す図である。
【図3】図3は、撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域が反射部に生じる境界線と対象物としての物体を撮像した時に、撮像領域と反射部の境界線および物体との位置関係について説明する図である。
【図4】図4は、図1に示した部品実装装置をY軸方向側から見た図である。
【図5】図5は、輝度変化光の輝度分布を示す図である。
【図6】図6は、対象物としての物体が存在しない状態でZ軸方向の高さの基準位置としての基準面に照射された輝度変化光の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第一実施形態における部品実装装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第一実施形態における部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、各撮像のタイミングにおいて撮像した場合の、ノズルの反射部に生じる境界線および対象物としての物体と、撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域との位置関係を説明する図である。
【図10】図10は、位相差を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の第二実施形態における部品実装装置の構成を示す外観図である。
【図12】図12は、本発明の第二実施形態における撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る部品実装装置について説明する。
【0024】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態における部品実装装置100の構成を示す外観図である。図2Aは、移動部40の構成を示す概略図である。図2B(a)は、反射部41のX−Z平面における断面図であり、第一撮像対象領域において第一輝度変化光を反射部41が反射する状況を示す図であり、図2B(b)は、反射部41のX−Z平面における断面図であり、第二撮像対象領域50bにおいて第二輝度変化光を反射部41が反射する状況を示す図である。図2C(a)は、第一撮像対象領域50aにおいて対象物としての物体30と、物体30と共に同方向に同量移動する反射部41とを撮像した場合の反射部41に生じる境界線41cを示す図であり、図2C(b)は、第二撮像対象領域50bにおいて対象物としての物体30と、物体30と共に同方向に同量移動する反射部41とを撮像した場合の反射部41に生じる境界線41cを示す図である。図3は、撮像部のエリアイメージセンサ11の撮像領域150が反射部41に生じる境界線41cと共に対象物としての物体30を撮像した時に、反射部41の境界線41cと物体30と撮像領域150との位置関係について説明する図である。図4は、図1に示した部品実装装置100をY軸方向側から見た図である。
【0025】
部品実装装置100は、基板、基板に実装される部品、基板上の部品などである物体30の形状を対象物として認識する装置である。図1および図2Aに示すように、物体30は移動部40によりノズル43に吸着保持された状態でX軸方向(第二方向)に移動する。図1に示すように、部品実装装置100は、撮像部であるカメラ10と、第一照射部20aと、第二照射部20bと、移動部40とを備える。
【0026】
カメラ10は、撮像対象領域50を撮像する矩形のエリアイメージセンサ11を有する。カメラ10は、図1のように図示上方向(Z軸方向)を向いており、撮像対象領域50がエリアイメージセンサ11によって撮像される位置に配置されている。エリアイメージセンサ11は、例えば4000×3000pixelの画素数を有するCMOS(Complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサである。なお、ここでは、CMOSイメージセンサの一例として画素数が4000×3000pixelのCMOSイメージセンサを挙げているが、これに限るものではなく、例えば、3280×2464pixel、4400×3316pixel等であってもよい。また、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであってもよい。エリアイメージセンサ11は、検出した光強度に応じて0から例えば255の数値で示される輝度値を出力する。つまり、エリアイメージセンサ11は、256個の数値によって検出した輝度値としての光強度を出力する。
【0027】
カメラ10には、レンズ12が装着される。レンズ12は、対象物としての物体30が撮像されるY軸方向(第一方向)とY軸方向(第一方向)に交差(直交)するX軸方向(第二方向)とにより規定される領域である撮像対象領域50をエリアイメージセンサ11の撮像素子の領域である撮像領域150に対して導き、図示しない例えばテレセントリックレンズを含むレンズ群から構成される。
【0028】
照射部20の第一照射部20aは、Y軸方向(第一方向)に沿って輝度が同一であり、かつ、Y軸方向(第一方向)と直交(交差)するX軸方向(第二方向)の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第一輝度変化光(輝度変化光)を、X軸方向およびY軸方向により規定され、対象物としての物体30が撮像される領域である撮像対象領域50の第一撮像対象領域50aに対して斜めから照射する光源である。第一照射部20aは、X軸方向およびY軸方向により規定される撮像対象領域50の第一撮像対象領域50aに向けて図1のX軸方向における図示右斜め下方の位置から左斜め上方に第一輝度変化光を照射する。
【0029】
照射部20の第二照射部20bは、撮像対象領域50からY軸方向(第一方向)およびX軸方向(第二方向)に垂直なZ軸方向(第三方向)に対して延びる仮想線L1を挟んで第一照射部20aとはX軸方向(第二方向)の反対側に位置し、Y軸方向(第一方向)に沿って輝度が同一であり、かつ、X軸方向(第二方向)の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第二輝度変化光(輝度変化光)を、撮像対象領域50の第二撮像対象領域50bに対して斜めから照射する光源である。第二照射部20bは、X軸方向およびY軸方向により規定される撮像対象領域50の第二撮像対象領域50bに向けて図1のX軸方向における図示左斜め下方から右斜上方に第二輝度変化光を照射する。
【0030】
なお、第一照射部20aおよび第二照射部20bは、X軸方向およびY軸方向に規定され、対象物としての物体30が撮像される領域の撮像対象領域50の第一撮像対象領域50aおよび第二撮像対象領域50bに対して、移動部40が対象物としての物体30をカメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bに対して相対的に移動する方向であるX軸方向に沿う方向の斜めの方向に、第一輝度変化光および第二輝度変化光をそれぞれ照射する。
【0031】
第一照射部20aおよび第二照射部20bは、プロジェクタのような投影光学系で構成され、DMD(Digital Mirror Device)や液晶等により実現することができる。なお、第一輝度変化光および第二輝度変化光を含む輝度変化光は、正弦波縞パターンを有する光である。また、第一照射部20aおよび第二照射部20bは、投影光学系の代わりにライン状または面状の平行光束光源を用いる構成としてもよい。ライン状または面状の光源を用いた場合でも、光束中に格子状のパターン、DMDまたはLCD(液晶)等のパターン発生器を配置することで、パターン発生器を通過した光は正弦波縞パターンを有する光に変換され、撮像対象領域50に向けて輝度変化光として照射される。
【0032】
具体的には、図1に示すように、第一照射部20aがX軸方向図示左斜め上方向に第一輝度変化光を照射し、かつ、第二照射部20bがX軸方向図示右斜め上方向に第二輝度変化光を照射しながら、移動部40のノズル43に吸着保持されて移動する対象物としての物体30が、撮像対象領域50内における物体30に第一輝度変化光を照射する第一照射部20aと、第二輝度変化光を照射する第二照射部20bと、対象物としての物体30を撮像するカメラ10とに対して同図のX軸方向に相対的に移動することで、第一照射部20aおよび第二照射部20bは、X軸方向に沿って相対的に移動する物体30に対して第一輝度変化光および第二輝度変化光をX軸方向の前後方向から照射する。
【0033】
また、第一照射部20aおよび第二照射部20bは、撮像対象としての物体30がX軸方向に通過する際の撮像対象の物体30の高さを0とした場合のX軸方向(第二方向)およびY軸方向(第一方向)に直交するZ軸方向(第三方向)の高さ基準として仮定される仮想の面であり、X軸方向およびY軸方向にて規定される基準面60上において、第一輝度変化光および第二輝度変化光が互いに重ならないように、第一輝度変化光および第二輝度変化光をそれぞれ照射する。具体的には、第一照射部20aは撮像対象領域50のX軸方向の第一照射部20a側の第一撮像対象領域50aに第一輝度変化光を照射し、第二照射部20bは撮像対象領域50のX軸方向の第二照射部20b側の第一撮像対象領域50aに並ぶ第二撮像対象領域50bに第二輝度変化光を照射する。なお、第一照射部20aはX軸方向の第二照射部20b側の第二撮像対象領域50bに第一輝度変化光を照射し、第二照射部20bは撮像対象領域50のX軸方向の第一照射部20a側の第一撮像対象領域50aに第二輝度変化光を照射してもよい。
【0034】
移動部40は、対象物としての物体30を、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bに対してX軸方向(第二方向)に沿って相対的に移動させて、物体30および移動部40の物体30が吸着保持されるノズル43の面状の反射部41(後述参照)を撮像対象領域50に対して相対的に通過させる。つまり、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bが物体30に対して移動されるようにしてもよいし、物体30がカメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bに対して移動されるようにしてもよい。具体的には、移動部40の一例として、例えばカメラ10に撮像される対象物としての物体30の移動は、基板に部品を実装する移載部である装着ヘッドのノズル43に吸着保持された状態の部品を対象物としての物体30として移動させることにより行われたり、搬送部としてのベルトコンベアあるいはスライドテーブル上に対象物としての物体30を載置して搬送することにより行われたりする。後者の場合は、物体30に対するカメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bとの位置関係は、図1に示すものとZ軸方向の上下が逆の状態で配置されることとなる。つまり、ベルトコンベアあるいはスライドテーブル上に載置される物体30の上方側にカメラ10を配置し、当該物体30のX軸方向の左右斜め上方のそれぞれに第一照射部20aおよび第二照射部20bを配置する構成となる。
【0035】
物体30をX軸方向に移載する移載部としての移動部40は、図2Aに示すように、物体30を吸着して保持するノズル43と、撮像対象領域50においてX軸方向に移動する対象物としての物体30に対する位置関係が一定(物体30と共にノズル43は同方向に同量移動)であり、ノズル43が接続される反射部41とを有する。移動部40の反射部41は、第一領域41aおよび第二領域41bにより第二方向(X軸方向)に分割され、第一領域41aとX軸方向に並ぶ第二領域41bとにおいてカメラ10に向けて互いに異なる光量を反射する。なお、反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの間の境界の境界線41cは、異なる光量の反射による仮想的な線であり、実際には反射部41に境界線41cとしての線は反射部41に引かれていない。移動部40の反射部41は、図2B(a)に示すように、第一領域41aにおいて、第一照射部20aから照射される第一輝度変化光をカメラ10のエリアイメージセンサ11に向けて反射するように、ノズル43の長手方向(Z軸方向に沿う方向)に断面がギザギザの形状となっている。また、移動部40の反射部41は、図2B(b)に示すように、第二領域41bにおいて、第二照射部20bから照射される第二輝度変化光をカメラ10に向けて反射するように、ノズル43の長手方向(Z軸方向に沿う方向)に断面がギザギザの形状となっている。つまり、反射部41は、第一領域41aにおいて第一照射部20aから照射される輝度変化光をカメラ10に向けて反射する第一反射面A1を複数有し、第二領域41bにおいて第二照射部20bから照射される第二輝度変化光をカメラ10に向けて反射する第二反射面A2を複数有する。
【0036】
移動部40の反射部41は、第一照射部20aによって第一輝度変化光を照射されている場合には、第一領域41aにおいて当該第一輝度変化光をカメラ10に向けて反射し、第二領域41bにおいて当該第一輝度変化光をカメラ10に向けて反射しない(反射する光量が第一領域41aに比べて相対的に小さいことも含む)。したがって、図2C(a)に示すように、移動部40の反射部41は、第一照射部20aに第一輝度変化光が照射されてカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像された場合に、当該撮像された結果の画像は、第一領域41aに対応する領域の輝度値が高くなり、第二領域41bに対応する領域の輝度値が第一領域41aに対応する領域の輝度値よりも相対的に低くなる。一方で、反射部41は、第二照射部20bによって第二輝度変化光を照射されている場合には、第二領域41bにおいて当該第二輝度変化光をカメラ10に向けて反射し、第一領域41aにおいて当該第二輝度変化光をカメラ10に向けて反射しない(反射する光量が第一領域41aに比べて相対的に小さいことも含む)。したがって、反射部41は、図2C(b)に示すように、第二照射部20bに第二輝度変化光が照射された状態でカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像された場合に、当該撮像された結果の画像は、第二領域41bに対応する領域の輝度値が高くなり、第一領域41aに対応する領域の輝度値が第二領域41bに対応する領域の輝度値よりも相対的に低くなる。なお、図2C(a)および図2C(b)では、反射部41の第一領域41aおよび第二領域41bにおいて、白く描かれている領域では輝度が高く反射される光量が多いことを示し、グレーで描かれている領域では輝度が低く反射される光量が少ないことを示す。これらのことにより、ノズル43の反射部41は、第一照射部20aにより第一輝度変化光が照射されている場合であっても、第二照射部20bにより第二輝度変化光が照射されている場合であっても、カメラ10によって撮像された結果に基づいて、図2C(a)および図2C(b)に示すように、反射部41の第一領域41aおよび第二領域41bの間の境界線41cがコントラストの差により識別可能な状態となる。つまり、ノズル43の反射部41は、カメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像素子の領域である撮像領域150が撮像する対象であり、対象物としての物体30およびX軸方向の移動の位置の基準としての反射部41の境界線41cが撮像される領域である撮像対象領域50を通過する際に、境界線41cが識別可能な状態となる。
【0037】
なお、第一実施形態に係る部品実装装置100の移動部40の反射部41の境界線41cの領域は、ノズル43により吸着される物体30と共にカメラ10によって撮像されるサイズとなる。また、反射部41はノズル43により吸着される物体30よりも大きいことが好ましい。なお、反射部41はノズル43により吸着される物体30よりも大きいことに限定はされず、反射部41と物体30との大きさの関係にかかわらず物体30が反射部41の特に境界線41cと共にカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像されるような位置関係であればよい。
【0038】
また、ノズル43の反射部41は、上記のようにカメラ10側に対して光を反射する面の断面がギザギザの形状であることに限定されず、例えば第一領域41aにおいて第一照射部20aから照射される第一輝度変化光をカメラ10のエリアイメージセンサ11へ向けて反射して、第一照射部20aが照射する第一輝度変化光とは別の方向から照射される光(例えば第二照射部20bから照射される光)の光量よりも多い光量を第一領域41aにおいて反射できるような複数の凹凸の形状が形成されていてもよい。この場合、ノズル43の反射部41は、第一領域41aに形成される凹凸と同様に、第二領域41bにおいて第二照射部20bから照射される第二輝度変化光をカメラ10のエリアイメージセンサ11へ向けて反射して、第二照射部20bが照射する第二輝度変化光とは別の方向から照射される光(例えば第一照射部20aから照射される光)の光量よりも多い光量を第二領域41bにおいて反射できるような複数の凹凸の形状が形成されていてもよい。つまり、反射部41を、予め定められた方向から照射される光(例えば第一照射部20aにより照射される第一輝度変化光)の光量をカメラ10のエリアイメージセンサ11へ多く反射する領域である多反射領域(例えば第一領域41a)と、予め定められた方向から照射される光(例えば第一照射部20aにより照射される第一輝度変化光)の光量をカメラ10へ多反射領域よりも相対的に少なく反射する領域である少反射領域(例えば第二領域41b)とにX軸方向(第二方向)に分割することにより、多反射領域においてカメラ10に向けて反射される光の光量と少反射領域においてカメラ10に向けて反射される光の光量とを異ならせて、多反射領域を撮像した時の輝度値と少反射領域を撮像した時の輝度値とが相対的に異なることによって生じる多反射領域と少反射領域との間の境界線が識別できればその形態は問わない。
【0039】
また、カメラ10は、図4に示すように、Y軸方向に延びる複数のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの並び方向(X軸方向)に相対的に移動する対象物としての物体30の測定される部位である測定部位Pを、各ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの通過時の撮像のタイミングで順次撮像する。つまり、物体30の同一の位置の測定部位Pがカメラ10の撮像対象領域50をX軸方向に通過するまでの間に、撮像対象領域50の例えば8つの各ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの通過時の撮像のタイミングT1〜T8で順次撮像されるため、同一の物体30の測定部位Pを撮像するのに少なくともカメラは8回の撮像を行うことになる。ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bのX座標は、それぞれ、x1、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8であるとする。なお、複数のライン状撮像対象領域51a〜54aは、第一撮像対象領域50aの内の領域であり、複数のライン状撮像対象領域51b〜54bは、第二撮像対象領域50bの内の領域である。
【0040】
図3に示すように、カメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像領域150は、第一撮像領域150aと第二撮像領域150bとに仮想的に区分される。上述した第一撮像対象領域50aを撮像するエリアイメージセンサ11の撮像領域150の第一撮像領域150aは、第一撮像対象領域50aの複数のライン状撮像対象領域51a〜54aに対応して撮像する撮像素子のY軸方向に沿って延びるライン状の画素群から成る複数のライン状撮像領域151a〜154aを有する。なお、図3では、説明の便宜上、移動部40の反射部41を省略しており、対象物としての物体30と共に同方向に同量移動する基準位置としての反射部41に生じる境界線41cを図示している。実際には、物体30とその周辺は、図2Cのような像が撮像される。また、上述したように第二撮像対象領域50bを撮像するエリアイメージセンサ11の第二撮像領域150bは、第二撮像対象領域50bの複数のライン状撮像対象領域51b〜54bに対応して撮像する複数のライン状撮像領域151b〜154bを有する。複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bは、X軸方向に順次撮像する撮像のタイミングT1〜T8の内で、第一の撮像のタイミングT1において第一ライン状撮像領域151aが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第二の撮像のタイミングT2において第二ライン状撮像領域152aが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第三の撮像のタイミングT3において第三ライン状撮像領域153aが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第四の撮像のタイミングT4において第四ライン状撮像領域154aが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第五の撮像のタイミングT5において第五ライン状撮像領域151bが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第六の撮像のタイミングT6において第六ライン状撮像領域152bが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第七の撮像のタイミングT7において第七ライン状撮像領域153bが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像し、第八の撮像のタイミングT8において第八ライン状撮像領域154bが物体30および移動部40の反射部41に生じる境界線41cを撮像する。
【0041】
つまり、撮像対象領域50に対して、図3のX軸方向の図示下方向から上方向(図4のX軸方向の図示右方向から左方向)に基準位置としての反射部41の境界線41cと共に同方向に同量移動する物体30および基準位置としての境界線41cを共に、エリアイメージセンサ11の撮像領域150の複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bが、撮像対象領域50のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの位置(X座標x1、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8の位置)に対応して、第一〜第八の撮像のタイミングT1〜T8において順次撮像する。
【0042】
また、カメラ10の撮像素子であるエリアイメージセンサ11の撮像領域150は、物体30を保持するノズル43の反射部41の境界線41cが通過する領域を撮像する境界線撮像領域155を有する。エリアイメージセンサの境界線撮像領域155は、反射部41の境界線41cの位置に対応しており、境界線41cの少なくとも一部がエリアイメージセンサ11の境界線撮像領域155により撮像される。なお、境界線撮像領域155は、境界線41cが通過する方向であるX軸方向に対して平行な方向に設定される。つまり、境界線撮像領域155は、複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bに直交する領域155a〜155hに設定される。
【0043】
なお、境界線撮像領域155は、Y軸方向の位置が同一の領域であり、各ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154b毎にそれぞれ一つずつ設けられる領域であるが、各ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bに対してX軸方向に二つ以上の各ライン状撮像領域をまたぐ様な共通領域としての境界線撮像領域を設けてもよい。例えば、図3においては、物体30の図示左側においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cのみを撮像するように境界線撮像領域155が設定されているが、これに加えて、物体30の図示右側においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cも撮像するように境界線撮像領域を設定してもよい。このように、Y軸方向に対して複数の位置に、境界線撮像領域を設けることにより、全体として撮像される境界線41cの長さを1つの境界線撮像領域で撮像するよりも長い線状の領域として認識できるため、反射部41の回転によるずれ(つまり、Y軸方向に対する境界線41cの角度)をより正確に把握することができ、対象物としての物体30を吸着保持してX軸方向に移動する移動部40のノズル43が何らかの原因によりX−Y平面に対して回転した場合でも、正確に物体30の形状を認識することができる。また、この場合においても、ノズル43の反射部41は、Y軸方向の物体30の両側において、2つの境界線撮像領域で反射部41の外周が撮像されることが好ましい。これにより、境界線撮像領域において反射部41の物体30の一方の側に生じる境界線41cの一方側の反射部41の外周の端部と、反射部41の物体30の他方の側に生じる境界線41cの他方側の反射部41の外周の端部とが認識できるため、境界線41cの両端部の中点の位置に対応する画素を例えば物体30の測定部位Pが撮像された画素として設定できる。なお、反射部41の外周の端部は、カメラ10に向けて光を反射する反射部41の反射領域の外周の端部および反射部41自体の外周の端部も含まれ、コントラスト差により端部が認識できるものであればよい。
【0044】
次に、第一照射部20aおよび第二照射部20bが撮像対象領域50に対して照射する第一輝度変化光および第二輝度変化光を含む輝度変化光について、詳細に説明する。
【0045】
第一照射部20aおよび第二照射部20bは、図4においてX軸方向の図示右斜下方向および左斜め下方向から、撮像対象領域50内の対象物としての物体30の高さを0とした場合のZ軸方向の基準高さとしての仮想の面である基準面60に対して輝度変化光として第一輝度変化光および第二輝度変化光をそれぞれ照射する。この輝度変化光は、輝度分布の位置変化が正弦波で示すことのできる光(正弦波縞パターンを有する光)である。例えば、第一照射部20aが照射する第一輝度変化光の輝度分布は、図5(a)に示すように、複数のライン状撮像対象領域51a〜54aにおける基準面60上の輝度分布を、横軸をX座標、縦軸を輝度で示される輝度曲線とした場合に、その輝度分布の波形は正弦波で示される。X座標がx1、x2、x3およびx4の例えば4つのライン状撮像対象領域(ライン状撮像対象領域51a、52a、53aおよび54a)において、正弦波の位相は、0ラジアン、(π/2)ラジアン、πラジアンおよび(3π/2)ラジアンとなる。また、第二照射部20bが照射する第二輝度変化光の輝度分布は、第一輝度変化光と同様に、図5(b)に示すように、複数のライン状撮像対象領域51b〜54bにおける基準面60上の輝度分布を、横軸をX座標、縦軸を輝度で示される輝度曲線とした場合に、その輝度分布の波形は正弦波で示される。X座標がx5、x6、x7およびx8の例えば4つのライン状撮像対象領域(ライン状撮像対象領域51b、52b、53bおよび54b)において、正弦波の位相は、0ラジアン、(π/2)ラジアン、πラジアンおよび(3π/2)ラジアンとなる。このように、それぞれのライン状撮像対象領域群内のライン状撮像対象領域の数(ライン状撮像領域の数)がN(この場合はN=4)であるとした場合に、輝度変化光の輝度分布の位相は、隣接するライン状撮像対象領域間で(2π/N)ラジアン異なる。
【0046】
なお、仮想の面としての基準面60への輝度変化光の照射調整およびそのテストは、実験調整用として基準治具プレート等を基準面60として撮像対象領域50内に配置して予め行なってもよい。
【0047】
また、上記輝度変化光の輝度の下限値は、例えば、第一照射部20aが反射部41に光を照射した場合に、第一領域41aにより反射される輝度と、第二領域41bに放射される光の輝度との明暗差が区別できる範囲の値に設定される。つまり、カメラ10に向けて反射部41が反射する輝度変化光の最も暗い部分の光は、撮像部としてのカメラ10が認識できる最も暗い光よりも明るいことが好ましい。
【0048】
また、図4に示すように、第一照射部20aが照射する第一輝度変化光と第二照射部20bが照射する第二輝度変化光とは、第一撮像対象領域50aと第二撮像対象領域50bとの並び方向(X軸方向)に互いに位相が同じ関係を有するが、必ずしも位相が同じである必要はなく、第一輝度変化光と第二輝度変化光との位相が反転している光であってもよい。
【0049】
図6は、対象物としての物体30が存在しない状態における物体30の高さを0とした場合のZ軸方向の基準高さの面としての基準面60に照射された輝度変化光の一例を示す図である。同図に示すように、Y軸方向には輝度が変化せずX軸方向に輝度が周期的に変化する輝度変化光は、例えばX座標がx2の第二ライン状撮像対象領域52aおよびX座標がx6の第六ライン状撮像対象領域52bにおいて最も明るくなり、X座標がx4の第四ライン状撮像対象領域54aおよびX座標がx8の第八ライン状撮像対象領域54bにおいて最も暗くなる。
【0050】
なお、輝度変化光は、撮像対象領域50に配置された基準面60に対してX軸方向の斜め下方から第一照射部20aおよび第二照射部20bにより照射されている。このため、輝度変化光は、X軸方向およびY軸方向で規定される基準面60に対して垂直な方向(Z軸方向)に正弦波で示される輝度変化の輝度分布を有するとともに、複数のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの並び方向(X軸方向)に正弦波で示される輝度変化の輝度分布を有する。また、輝度変化光は、Y軸方向に延びるライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54b内においてそれぞれ同一の(一様な)輝度となる輝度分布を有する。
【0051】
ここで、図3の物体30の撮像の領域である撮像対象領域50を撮像するカメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像素子の領域である撮像領域150の説明に戻る。撮像領域150の複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bは、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bを設置する際(つまり、初期設定の際)に、撮像対象領域50に予め調整用として設定された基準面60に第一照射部20aおよび第二照射部20bにより照射される輝度変化光の輝度値が所望の輝度値となるX座標の位置がライン状の画素群から成るライン状の撮像領域としてそれぞれ設定される。具体的には、物体30がX軸方向に通過する際の撮像の対象物としての物体30の高さを0とした場合におけるZ軸方向の高さ基準としての面である基準面60に照射される輝度変化光をカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像した後で、撮像されたエリアイメージセンサ11のX軸方向の画像データに基づいて、輝度変化光の正弦波縞パターンの位相が0ラジアンに対応する輝度を撮像したY軸方向に平行なライン状の画素群をライン状撮像領域151a、151bとして設定し、位相が(1/2)πラジアンに対応する輝度を撮像したY軸方向に平行なライン状の画素群をライン状撮像領域152a、152bとして設定し、位相がπラジアンに対応する輝度を撮像したY軸方向に平行なライン状の画素群をライン状撮像領域153a、153bとして設定し、位相が(3/2)πラジアンに対応する輝度を撮像したY軸方向に平行なライン状の画素群をライン状撮像領域154a、154bとして設定する。これらのライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bは、移動部40やカメラ10等の振動を考慮してX軸方向に対して、例えばそれぞれ10画素分の幅を持った領域に設定される。なお、移動部40やカメラ10等の移動方向であるX軸方向の振動ずれを考慮したX軸方向の画素幅は、部品実装装置100の構成により異なり、予め、部品実装装置100によるカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像される画像データのテストを行うことにより定まることになる。つまり、上記振動による位置ずれを考慮した画素幅は、部品実装装置100の構成により異なるが、予め定められた画素幅を超えることは、部品実装装置100に何らかの不具合が無い限りは起こりにくいと言える。
【0052】
また、撮像対象領域50における移動部40のノズル43の反射部41に生じる境界線41cを撮像するエリアイメージセンサ11の境界線撮像領域155は、移動部40によりノズル43に吸着して保持された物体30をカメラ10に対してX軸方向に対して移動させつつ、カメラ10のエリアイメージセンサ11により物体30と共にX軸方向に移動するノズル43の反射部41に生じる境界線41cを撮像させた画像データの領域に基づいて設定される。具体的には、このときに撮像された画像データの内でX軸方向に撮像対象領域50を通過する反射部41に生じる境界線41cが撮像されたエリアイメージセンサ11の画素群が少なくとも境界線撮像領域155として設定される。境界線撮像領域155は、図3の破線で示すX軸方向に対して平行な少なくとも1つの領域としてのライン状の領域としてもよいが、第一実施形態では境界線41cは、物体30と共にX軸方向に対して移動するY軸方向に平行な線であるため、X軸方向の振動ずれ等が生じても物体30の測定部位Pと共に撮像のタイミングにおいてそれぞれのライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bのX軸方向の幅内で撮像できる配置であれば、ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bと、境界線41cが通過する図3の破線で示される境界線撮像領域155とが重複する領域(つまり、図3における網掛けのハッチングの領域155a〜155h)のみに設定され、X軸方向に分割して離間された複数のX軸方向に並ぶ領域としてもよい。なお、境界線撮像領域155は、移動部40やカメラ10等のY軸方向の振動ずれを考慮してY軸方向に対して10画素分の幅を持った領域に設定される。または、反射部41に生じる境界線41cの長さがY軸方向の幅は、10画素分程度に対応する幅に設定されるようにしてもよい。
【0053】
次に、部品実装装置100が、図4に示した各部を制御する機能構成について、図4および図7を用いて詳細に説明する。
【0054】
図7は、本発明の第一実施形態における部品実装装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
同図に示すように、部品実装装置100は、図4に示した照射部20a、20bおよびカメラ10の他に、各部を制御する制御部101を備えている。なお、この制御部101は、部品実装装置100に組み込まれた各部を制御するコンピュータであるが、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムがプログラムを実行することによって実現されることにしてもよい。
【0056】
制御部101は、照射処理部102、撮像処理部103および認識部104を備えている。
【0057】
照射処理部102は、第一照射部20aおよび第二照射部20bを制御する。具体的には、照射処理部102は、第一照射部20aおよび第二照射部20bにより撮像対象領域50の基準面60に対して、輝度変化光を照射させる。
【0058】
撮像処理部103は、移動処理部103aと、データ取得部103bと、位置ずれ導出部103cと、輝度値取得部103dと、波形作成部103eとを有する。
【0059】
移動処理部103aは、移動部40を制御して、撮像対象領域50における互いに平行に配置された複数のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの並び方向であるX軸方向に相対的に物体30を例えば一定の速度で移動させる。撮像処理部103は、移動する物体30内の少なくとも同一の測定部位Pを、撮像対象領域50の各ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bを通過する際に順次撮像する予め定められた撮像のタイミングT1〜T8で撮像させる。
【0060】
データ取得部103bは、移動部40のノズル43の反射部41に生じる境界線41cを撮像した結果である境界線データと対象物としての物体30を撮像した結果である対象物データとをカメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像領域150から取得する。境界線データは、移動部40のノズル43の反射部41をX軸方向に区分する第一領域41aおよび第二領域41bの間の境界線41cを物体30の測定部位Pが撮像される撮像のタイミングでカメラ10のエリアイメージセンサ11が撮像した結果である。つまり、データ取得部103bは、エリアイメージセンサ11の境界線撮像領域155においてX軸方向の基準位置としての反射部41の境界線41cが撮像された結果を境界線データとして取得する。対象物データは、ノズル43に保持された物体30の測定部位Pが各ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bを通過する毎に順次撮像するタイミングである撮像のタイミングT1〜T8でカメラ10が撮像した結果である。つまり、データ取得部103bは、複数のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bにそれぞれ対応するカメラ10のエリアイメージセンサ11の複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bにおいて撮像した結果を物体30の対象物データとして取得する。そして、データ取得部103bは、境界線データと対象物データとのそれぞれが同一の組になるようなそれぞれの撮像のタイミングT1〜T8で撮像された結果(つまり境界線データおよび対象物データを同一の予め定められた撮像のタイミングで撮像した結果)として取得する。
【0061】
位置ずれ導出部103cは、撮像のタイミングT1〜T8に撮像された境界線データによって特定される境界線位置(X軸方向の振動ずれ後の位置)と、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cがX軸方向に移動させて撮像される撮像のタイミングT1〜T8において、位置ずれが生じてないとする場合の位置である境界線基位置との位置ずれを、導出する。
【0062】
輝度値取得部103dは、対象物としての物体30をそのときの撮像のタイミングT1〜T8において、位置ずれが生じてないとする場合の位置である対象物基位置に対して、位置ずれ導出部103cが導出した撮像のタイミングT1〜T8における位置ずれを加算することにより得られたそれぞれの撮像のタイミングT1〜T8における物体30の測定部位Pの補正された位置に対応する撮像のタイミングT1〜T8に撮像された物体30の対象物データの輝度値を取得する。具体的には、輝度値取得部103dでは、例えば、撮像された画像データの内でノズル43の反射部41の端部における境界線41cが撮像されたライン状の画素群から推測される例えば反射部41の端部からの中心の位置に対応する画素の出力値を、物体30内における測定対象である測定部位Pに対応する位置(ノズル43の反射部41の境界線41cによる境界線位置、または、X軸方向の振動等の位置ずれの基準と成る基準位置)に対応する画素の出力値(輝度値)として取得する。画像データの内で反射部41の境界線41cから物体の測定部位Pに対応する画素は、例えば、認識される境界線41cの反射部41の左端から境界線41cに沿った方向の反射部41の中心側に予め定められた画素分(つまり、反射部41の半径に相当する画素数)だけ離れた画素が反射部41の中心の位置に対応する画素(すなわちこの場合の物体30の測定部位Pの位置に対応する画素)として特定される。なお、ここで撮像のタイミングで位置ずれが生じてないとする場合の基準位置である境界線基位置、および、位置ずれが生じてないとする場合の対象物の位置である対象物基位置は、予め実験等により求めてもよいし、計算上の理論値から求めてもよい。
【0063】
波形作成部103eは、輝度値取得部103dによって取得された対象物データの輝度値に基づいて、位相シフト法による対象物としての物体30の測定部位PのX軸方向(第二方向)およびY軸方向(第一方向)と交差するZ軸方向(第三方向)における位置(高さ形状)の算出に用いられる波形であって、対象物として物体30の波形を作成する。具体的には、波形作成部103eは、位置ずれ導出部103cにより導出されたノズル43の反射部41に生じる境界線41cのX座標の位置の位置ずれ量に基づいて、物体30の測定部位Pと同方向に同量移動する基準位置としての境界線41cの像から定まる物体30の測定部位Pの位置を導出し、当該測定部位Pの位置に対応する対象物データの輝度値(出力値)をプロットすることにより、物体30のZ軸方向の高さ寸法を位相シフト法に基づいて導出するための波形である正弦波を作成する。
【0064】
認識部104は、カメラ10のエリアイメージセンサ11で撮像されて波形作成部103eにより作成された正弦波の波形を用いて、位相シフト法に従い物体30の形状を認識する。具体的には、認識部104は、物体30が撮像された対象物データと基準位置としての反射部41の境界線41cが撮像された境界線データとに基づき位置ずれ量が考慮されて、波形作成部103eにより作成された輝度変化光の輝度値の正弦波の波形と、第一照射部20aおよび第二照射部20bにより物体30のZ軸方向の高さを0とした場合の基準面60に照射された基準となる正弦波(物体の高さを0とした場合に相当)との位相差から物体30の高さを検出することで、物体30の形状を認識する。
【0065】
なお、制御部101は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部や、キーボードやマウス等の入力部等を備えていてもよい。
【0066】
次に、部品実装装置100が物体の形状を認識する処理について、説明する。
【0067】
図8は、本発明の第一実施形態における部品実装装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0068】
第一照射部20aおよび第二照射部20bは、照射処理部102の指示に従って、X軸方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する第一輝度変化光および第二輝度変化光を、撮像対象領域50の第一撮像対象領域50aおよび第二撮像対象領域50bに対してそれぞれ照射する(S101)。つまり、図4に示すように、第一照射部20aは、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bに対して、撮像対象領域50においてX軸方向に相対的に移動する物体30に、第一撮像対象領域50aにおいて第一輝度変化光をX軸方向の図示右斜下方向から照射する。また、第二照射部20bは、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bに対してX軸方向に相対的に移動する物体30に、第二撮像対象領域50bにおいて第二輝度変化光をX軸方向の図示左斜下方向から照射する。
【0069】
カメラ10のエリアイメージセンサ11は、撮像処理部103の指示に従って、撮像対象領域50における仮想の面である基準面60上に互いに平行に配置された複数のライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの並び方向(X軸方向)に相対的に移動する物体30の測定部位Pを、各ライン状撮像対象領域51a〜54a、51b〜54bの通過時に順次撮像する(S102)。つまり、例えば図4に示すように、物体30がX軸方向に沿って移動するZ軸方向の仮想の基準の面(物体30の高さを0とした場合の基準面)である基準面60上を、同図のX軸方向の図示右方向から左方向に相対的に移動する物体30の高さとしての測定の部位である測定部位Pを、エリアイメージセンサ11の撮像領域150のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bが、X座標x1、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8の位置を物体30の測定部位Pが通過するに撮像するそれぞれの撮像のタイミングT1〜T8で、順次撮像する。例えば、物体30上の測定部位Pは、X座標x1の位置においては、位置31として物体30上で反射された第一輝度変化光の光(輝度値)がライン状撮像領域151aによって受光される。
【0070】
データ取得部103bは、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cの境界線データと物体30の測定部位Pの対象物データとをエリアイメージセンサ11から取得する(S103)。
【0071】
位置ずれ導出部103cは、撮像のタイミングT1〜T8に撮像された境界線データによって特定される境界線位置(X軸方向の振動等による位置ずれの後の位置)と、移動部40がノズル43の反射部41に生じる境界線41cが撮像のタイミングT1〜T8において位置ずれが生じてない場合とする位置である境界線基位置との位置ずれを、導出する(S104)。
【0072】
図9は、各撮像のタイミングT1〜T4において撮像した場合の、対象物としての物体30の測定部位Pおよびノズル43の反射部41に生じる境界線41cと、エリアイメージセンサ11の撮像素子の領域である撮像領域150との位置関係を説明する図である。
【0073】
図9では、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cの位置を説明するために、ノズル43の反射部41を図示せずに、反射部41に生じる境界線41cのみを図示している。また、図9は、図3に示す撮像領域150について物体30および反射部41が通過する周辺の領域を示し、撮像のタイミングT1〜T4において対象物としての物体30が通過する領域(つまり、第一撮像対象領域50a)を拡大した図である。対象物としての物体30は、図9に示すように、X軸方向の図示下方向から上方向の白抜き矢印方向に移動しており、エリアイメージセンサ11の撮像領域150の各ライン状撮像領域151a〜154aによってそれぞれの撮像のタイミングT1〜T4で順次撮像される。なお、図9では図示しないが、対象物としての物体30は、図9に示すエリアイメージセンサ11の撮像領域150の各ライン状撮像領域151a〜154aを通過した後においても、撮像のタイミングT5〜T8においてそれぞれ各ライン状撮像領域151b〜154b(図3参照)を通過する。ここでは、図9に基づいて第一撮像対象領域50aの各ライン状撮像領域151a〜154aを、対象物としての物体30が通過する場合のみを説明し、その後に第二撮像対象領域50bの各ライン状撮像領域151b〜154bを通過する場合についての説明は第一撮像対象領域50aを通過する場合と同様であるので省略する。
【0074】
移動部40は、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cを、カメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像領域150の各ライン状撮像領域151a〜154aに対して、X軸方向に相対的に例えば一定の速度で移動させるため、X軸方向またはY軸方向に振動等による位置ずれが無いと仮定した場合の理想的な状態では、それぞれの撮像のタイミングT1〜T4において対象物としての物体30の測定部位Pと同方向に同量だけ移動するノズル43の反射部41に生じる境界線41cは、その位置に位置ずれが生じてないとする場合の位置である境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4、Ybi4)に境界線41cが順次移動される。なお、このときに、境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4、Ybi4)は、例えば、認識される境界線41cの左端の位置に設定されるが、この限りではなく、X軸方向に対する位置ずれが検出されればよいため境界線41cが撮像されることにより特定されるX座標のみを境界線基位置として設定してもよい。また、各撮像のタイミングT1〜T4(T5〜T8)において、移動部40は、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cを、ノズル43に吸着保持された対象物としての物体30に対する位置関係が一定として、対象物としての物体30と共に同方向に同量だけ移動させているため、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cと同様に対象物としての物体30の測定部位Pを、位置ずれが生じていない場合の位置である対象物基位置(Xpi1、Ypi1)〜(Xpi4、Ypi4)に順次移動させることになる。つまり、移動部40は、上記の仮定のもとでは、第一の撮像のタイミングT1においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cを第一境界線基位置(Xbi1、Ybi1)に、かつ、対象物としての物体30の測定部位Pを第一対象物基位置(Xpi1、Ypi1)に移動させており、第二の撮像のタイミングT2においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cを第二境界線基位置(Xbi2、Ybi2)に、かつ、物体30の測定部位Pを第二対象物基位置(Xpi2、Ypi2)に移動させており、第三の撮像のタイミングT3においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cを第三境界線基位置(Xbi3、Ybi3)に、かつ、物体30の測定部位Pを第三対象物基位置(Xpi3、Ypi3)に移動させており、第四の撮像のタイミングT4においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cを第四境界線基位置(Xbi4、Ybi4)に、かつ、物体30の測定部位Pを第四対象物基位置(Xpi4、Ypi4)に移動させる。なお、ここで言う「(第一〜第四)境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4、Ybi4)」および「(第一〜第四)対象物基位置(Xpi1、Ypi1)〜(Xpi4、Ypi4)」は、例えば、撮像領域150を構成するエリアイメージセンサ11の各画素の座標を示す。上記のことから、XbiN=XpiN(N=1、2、3、4)とする。
【0075】
しかしながら、移動部40が位相シフト法による撮像を行うためにカメラ10のエリアイメージセンサ11および対象物としての物体30の少なくとも一方を実際に移動させている状態の場合、カメラ10のエリアイメージセンサ11および、対象物としての物体30の少なくとも一方が振動する場合において、予め定められた各撮像のタイミングT1〜T4毎に対象物としての物体30を撮像するエリアイメージセンサ11の画素に対応する位置は、一定ではなく、当該画素の位置ずれを例えば移動部40の移動の速度などから正確に予測することは難しい。このように移動部40が振動すると、第一〜第四の撮像のタイミングT1〜T4において、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cは、振動等により位置ずれが生じていない場合とする第一〜第四境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4,Ybi4)からずれた位置に位置し、同様に、振動等により位置ずれが生じていない場合とする第一〜第四の撮像のタイミングT1〜T4において、対象物としての物体30の測定部位Pは、第一〜第四対象物基位置(Xpi1、Ypi1)〜(Xpi4、Ypi4)から、境界線41cがずれた方向に、境界線41cがずれた量と同じ量だけずれた位置に位置する。
【0076】
ここで、実際に、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cが第一〜第四の撮像のタイミングT1〜T4で撮像される位置としての境界線位置を、それぞれ第一〜第四境界線位置(Xbr1、Ybr1)〜(Xbr4、Ybr4)とし、対象物としての物体30の測定部位Pが第一〜第四の撮像のタイミングT1〜T4で撮像される位置としての対象物位置を、それぞれ第一〜第四対象物位置(Xpr1、Ypr1)〜(Xpr4、Ypr4)とする。図9では、例えば、第三の撮像のタイミングT3のみの場合に、X軸方向の白抜き矢印方向に相対的に移動する移動部40に振動が生じることにより、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cおよび対象物としての物体30がX軸方向に対して位置ずれ量Δxだけ図示上方向(白抜き矢印方向)に位置ずれした場合を示している。また、第一の撮像のタイミングT1、第二の撮像のタイミングT2および第四の撮像のタイミングT4では、移動部40は、振動していなく位置ずれしていないものとする。このため、図9では、撮像のタイミングでの境界線41cが撮像される位置としての第一境界線位置(Xbr1、Ybr1)、第二境界線位置(Xbr2、Ybr2)および第四境界線位置(Xbr4、Ybr4)は、それぞれ、第一境界線基位置(Xbi1、Ybi1)、第二境界線基位置(Xbi2、Ybi2)および第四境界線基位置(Xbi4、Ybi4)と同じ位置となり、基準位置と共に同方向に同量移動する対象物の撮像のタイミングでの対象物が撮像される位置としての第一対象物位置(Xpr1、Ypr1)、第二対象物位置(Xpr2、Ypr2)および第四対象物位置(Xpr4、Ypr4)は、それぞれ、第一対象物基位置(Xpi1、Ypi1)、第二対象物基位置(Xpi2、Ypi2)および第四対象物基位置(Xpi4、Ypi4)と同じ位置となる。図9のように第三の撮像のタイミングT3におけるノズル43の反射部41に生じる境界線41cの位置である第三境界線位置(Xbr3、Ybr3)は、第三の撮像のタイミングT3での移動部40が上記の位置ずれが生じてないとした場合の位置である第三境界線基位置(Xbi3、Ybi3)からX軸方向に対して位置ずれ量Δxだけずれた位置となり、振動により位置ずれが生じている位置としての第三境界線位置(Xbr3、Ybr3)と位置ずれが生じていないとした場合の位置である第三境界線基位置(Xbi3、Ybi3)との関係は例えば次のような式1として表される。
【0077】
br3−Xbi3=Δx・・・・(式1)
【0078】
撮像領域150において、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cと対象物としての物体30の測定部位Pとの位置関係は一定であることから、第三の撮像のタイミングT3において式1のような関係は、対象物としての物体30の測定部位Pに対しても同様のことが言える。このため、第三の撮像のタイミングT3における物体30の測定部位Pの位置を示す第三対象物位置(Xpr3、Ypr3)は、移動部40が振動していなく位置ずれが生じてないとした場合の位置である第三対象物基位置(Xpi3、Ypi3)からΔxだけずれた位置となる。したがって、振動により位置ずれが生じている位置としての第三対象物位置(Xpr3、Ypr3)と位置ずれが生じていないとした場合の位置である第三対象物基位置(Xpi3、Ypi3)との関係は例えば次のような式2のように表される。
【0079】
pr3−Xpi3=Δx・・・・(式2)
【0080】
そして、式1および式2から例えば次のような式3を導出することができる。
【0081】
pr3=Xpi3+(Xbr3−Xbi3)・・・・(式3)
【0082】
このように、第三の撮像のタイミングT3において、対象物としての物体30に加えて、対象物としての物体30と一定の位置関係にあるノズル43の反射部41の境界線41cを移動部40に構成し、当該境界線41cを対象物としての物体30と同じ撮像のタイミングで同時に撮像することにより、移動部40に振動が生じる場合であっても、境界線基位置より位置ずれ量Δxを導出し、その位置ずれ量Δxと境界線基位置と同方向に同量移動する対象物基位置とにより、境界線41cの位置を識別できるため対象物としての物体30の測定部位Pの位置を正確に導出することができる。
【0083】
また、式3は、第三の撮像のタイミングT3においてのみ導出したものであるが、第一の撮像のタイミングT1、第二の撮像のタイミングT2および第四の撮像のタイミングT4においても同様のことが言えさらに、第五の撮像のタイミングT5、第六の撮像のタイミングT6、第七の撮像のタイミングT7および第八の撮像のタイミングT8においても同様のことが言えるため、例えば次のような式4を導出することができる。
【0084】
prN=XpiN+(XbrN−XbiN) (N=1〜8の自然数)・・・・(式4)
【0085】
そして、輝度値取得部103dは、移動部40によりX軸方向に相対的に移動され、対象物としての物体30が移動されて撮像される撮像のタイミングT1〜T8において位置ずれが生じてないとした場合の位置である対象物基位置に対して、位置ずれ導出部103cが導出した撮像のタイミングT1〜T8における位置ずれを加算することにより得られた、撮像のタイミングT1〜T8おける対象物としての物体30の測定部位Pの補正された位置に対応する、撮像のタイミングT1〜T8に撮像された対象物データの輝度値を取得する(S105)。
【0086】
波形作成部103eは、輝度値取得部103dにより取得された対象物データの輝度値に基づいて、位相シフト法による対象物としての物体30の測定部位PのX軸方向(第二方向)およびY軸方向(第一方向)と交差するZ軸方向(第三方向)における位置(高さ形状)の算出に用いられる波形であって、対象物としての物体30の波形を作成する(S106)。
【0087】
図4に示すように、X座標x3の位置においては、位置34として物体30の測定部位Pで反射された輝度変化光の光(輝度値)がライン状撮像領域154aによって受光される。例えば、仮想の面であり、対象物としての物体30のZ軸方向の高さを0とした場合の基準の面である基準面60上のX座標x3の位置に照射された輝度変化光の位相は(3π/2)ラジアンである。しかし、同じX座標x3の物体30の測定部位P上に位置31として照射される輝度変化光の位相は(3π/2)ラジアンではなく、2πラジアンに近づいている。図10に、例えば物体30のZ軸方向の高さが0の基準面60上での輝度変化光の輝度分布の位置変化を示し、物体30の高さを0とする時の基準波形である正弦波81と、物体30を撮像し、位置を正確に導出した際の物体30の高さ位置である測定部位Pでの輝度変化光の輝度分布の位置変化を示す正弦波82とを示す。なお、グラフの縦軸および横軸は図5に示したグラフと同じである。図10からわかるように、物体30の高さを0とした場合の基準波形の正弦波81と対象物として物体30を実際に撮像した対象物の撮像波形の正弦波82とでは位相がΔφだけシフトしていることが分かる。実際に撮像された物体30の高さが0であれば、位相差Δφは0であるが、物体30の高さが高くなるにつれ、位相がシフトし位相差Δφの値が大きくなる。位相シフト法では、この位相差Δφから物体30の高さ(形状)を求めるものである。そして、位相シフト法では、輝度変化光のうちで異なる少なくとも3つ以上で本実施形態では4つ輝度(つまり、4つの異なるX座標の位置)において物体30の同一の測定位置(測定部位P)を撮像することにより、対象物の撮像波形の正弦波82を求めることができる。
【0088】
認識部104は、エリアイメージセンサ11により撮像された物体30の測定部位Pの画像データを用いて、位相シフト法に従い物体30の形状を認識する(S107)(図8参照)。具体的には、撮像対象領域50を通過する際のXpr1、Xpr2、Xpr3、Xpr4、Xpr5、Xpr6、Xpr7およびXpr8に位置する対象物としての物体30の点Pの画像データの輝度を、それぞれ、a、b、c、d、e、f、gおよびhとした場合に、認識部104は、正弦波82を図10のようにプロットすることにより描く(算出する)。このとき描かれる正弦波82は、正弦波81と同じ周期となる。
【0089】
認識部104は、このようにして算出した正弦波82の位相φから位相φに対応する物体30の高さを0とした時の基準波形の正弦波81の位相φ’との位相差Δφを算出し、算出した位相差Δφから物体30の測定部位Pにおける物体30の高さを算出することにより、物体30の形状を認識する。さらに物体30上の測定点(測定部位P)を複数個所測定するほどより詳細な物体30の形状を認識することが可能である。求めた位相差Δφから物体30の高さを算出する具体的な方法については、位相シフト法として公知の技術であり、本願発明の主眼ではないため、その詳細な説明を省略する。
【0090】
また、認識部104は、エリアイメージセンサ11の撮像領域150の第一撮像領域150aおよび第二撮像領域150bのそれぞれにおいて撮像された物体30の画像データを用いて、撮像処理された位相差Δφにより位相シフト法に従い物体30の形状を認識する。つまり、認識部104は、第一撮像領域150aにおいて撮像された物体30の画像データを用いて、位相シフト法に従い物体30の形状を認識し、第二撮像領域150bにおいて撮像された物体30の画像データを用いて、撮像処理された位相差Δφにより位相シフト法に従い位相差を求め、その高さを算出し、物体30の形状を認識する。さらに物体30上の測定点を複数箇所測定するほどより詳細な物体30の形状を認識することが可能である。
【0091】
このように1つの物体30について撮像領域150として第一撮像領域150aと第二撮像領域150bとの2つの認識結果が得られることとなるが、認識部104は、上述のように2つの認識結果をそのまま出力してもよいし、2つの認識結果のいずれかを出力してもよい。ここで、後者の例を説明する。第一照射部20aの第一輝度変化光の照射方向は図示X軸方向の左斜め上方向であり、第二照射部20bの第二輝度変化光の照射方向は図示X軸方向の右斜め上方向である。このため、物体30の形状によっては、第一輝度変化光のみによる照射によると物体30のX軸方向の図示左側で死角が生じやすく、第二輝度変化光のみによる照射によると物体30のX軸方向の図示右側で死角が生じやすい。よって、物体30のX軸方向の図示左側の形状を認識する際には、第二撮像領域150bで撮像された物体30の画像データから得られる認識結果を出力し、物体30のX軸方向の図示右側の形状を認識する際には、第一撮像領域150aで撮像された物体30の画像データから得られる認識結果を出力することが好ましい。
【0092】
対象物としての物体30を挟む両側から撮像対象領域50に対して互いに平行で周期的に輝度が複数のライン状撮像対象領域の並び方向(X軸方向)に変化する第一輝度変化光および第二輝度変化光の輝度変化光を照射する。ここで、物体30の形状によっては、輝度変化光が、物体30の一部に遮られて、物体30上に照射されない場合がある。このため、物体30の両側から輝度変化光を照射することで、輝度変化光が物体30の一部に遮られることなく、当該輝度変化光を物体30上に照射することができる。
【0093】
また、予め撮像部であるカメラ10のエリア撮像素子の領域である第一撮像領域150aや第二撮像領域150bの複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bにおいて、第一輝度変化光と第二輝度変化光とを、上述の物体30の高さを0とした場合の基準位置としての基準面60上に対して重ならないように照射し、撮像領域を調整する。これにより、物体30の形状を認識するための輝度変化光を有効に活用することができるので、物体30の形状認識範囲を広げることができる。
【0094】
以上により、部品実装装置100が対象物としての物体30の形状を認識する処理は終了する。
【0095】
以上説明したように、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、第一照射部20aにより、輝度変化光がカメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像領域150が撮像するX軸方向およびY軸方向により規定される撮像対象領域50に向けて、斜めから照射される。輝度変化光は、Y軸方向に沿って輝度が同一であり、かつ、Y軸方向に交差するX軸方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する。そして、移動部40により、対象物としての物体30と共に同方向に同量だけ移動するノズル43の反射部41に生じる境界線41cおよび対象物としての物体30が撮像対象領域50を通るように、カメラ10と第一照射部20aおよび第二照射部20bとに対して物体30をX軸方向に沿って相対的に移動させる。つまり、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cおよび対象物としての物体30が共にカメラ10のエリアイメージセンサ11の撮像領域150により撮像されるように、カメラ10、第一照射部20aおよび第二照射部20bと対象物としての物体30との少なくとも一方が移動部40によりX軸方向により移動される。ノズル43の反射部41は、その反射する領域が第一領域41aと第二領域41bとにX軸方向に対して分割されており、第一領域41aと第二領域41bとにおいてカメラ10に向けて反射される光の光量が相対的に異なるような構造となっている。つまり、第一領域41aおよび第二領域41bは、カメラ10のエリアイメージセンサ11によって互いに異なる光量で撮像されるため、2つの領域は明暗差(コントラスト)が生じた状態で撮像される。このため、ノズル43の反射部41をエリアイメージセンサ11の撮像領域150によって撮像した結果から、第一領域41aと第二領域41bとの間の境界線41cを認識できる。
【0096】
そして、カメラ10のエリアイメージセンサ11が撮像した結果の内で、ノズル43の反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの間に生じる境界線41cがエリアイメージセンサ11の境界線撮像領域155により撮像された結果を境界線データとして、また対象物としての物体30がエリアイメージセンサ11の各ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bにより撮像された結果を対象物データとしてデータ取得部103bが取得する。このときデータ取得部103bにより取得される境界線データと対象物データとは、X軸方向に物体30と境界線41cとが共に移動してカメラ10により順次撮像される撮像のタイミングT1〜T8で撮像された結果であり、同一の撮像のタイミングで撮像された結果としての境界線データと対象物データとのそれぞれの組が複数の撮像のタイミングT1〜T8毎に存在する。同一の撮像のタイミングT1〜T8で撮像された結果としての境界線データと対象物データとのそれぞれの組の内における、境界線データに基づいて位置ずれ導出部103cが、当該境界線データが撮像された撮像のタイミングと同じ撮像のタイミングT1〜T8で撮像された物体30のX軸方向の振動等により生じる位置ずれΔxを導出する。そして、輝度値取得部103dが、位置ずれΔxを考慮して、対象物としての物体30がX軸方向に相対的に移動部40にて移動されて撮像される撮像のタイミングT1〜T8において位置ずれが生じていない場合の位置である対象物基位置に対して、位置ずれ導出部103cが導出したそれぞれの撮像のタイミングT1〜T8における位置ずれΔxを加算することにより得られた当該撮像のタイミングT1〜T8で撮像された対象物データの内の物体30の測定部位Pの位置に対応するX軸方向に周期的に変化する輝度変化光の出力値を採用することにより、波形作成部103eが位相シフト法による対象物として物体30を撮像した対象物の撮像波形の正弦波82の波形を作成する。
【0097】
したがって、振動等によるずれの影響や移動部40による物体30の移動誤差により物体30が撮像のタイミングT1〜T8で撮像対象領域50のX軸方向に振動等による位置ずれがないという仮定に基づく理想的な位置x1〜x4に無い場合であっても、対象物としての物体30と共にノズル43の反射部41に生じる境界線41cは常に物体30と同方向に同量だけ移動するため、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cの位置を把握して第一領域41aと第二領域41bとの境界線41cを撮像した境界線データを取得することにより、ノズル43の反射部41に生じる境界線41cが撮像された撮像のタイミングにおける境界線データに基づく物体30の測定箇所である測定部位PのX軸方向およびY軸方向の位置を把握することができる。このように撮像のタイミングにおいて撮像された物体30の測定部位Pの位置を正確に特定できるため、対象物としての物体30の測定部位Pの位置に対応する出力値(輝度値)を採用して、対象物としての物体30の測定部位Pの位置と出力値(輝度値)とをプロットすることにより、対象物としての物体30の測定部位PのZ軸方向の高さ寸法を位相シフト法に基づいて導出するための正弦波82を作成することができる。このように、対象物としての物体30の測定部位Pとカメラ10のエリアイメージセンサ11との位置が振動等によって、撮像のタイミングにおいて移動部40が移動させるべき上記理想的な座標の位置x1〜x8から例えばX軸方向にずれてしまっていても、正確に対象物として物体30を撮像した対象物の撮像波形の正弦波82を作成することができる。これにより、物体30の測定部位PのZ軸方向(X軸方向およびY軸方向に対して直交する方向)の高さ寸法を導出することができ、物体30の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことができる。
【0098】
また、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、ノズル43の反射部41の第一領域41aにおいて光(第一輝度変化光)をカメラ10に向けて反射し、第二領域41bにおいて光(第一輝度変化光)をカメラ10に向けて反射しない(反射する光量が第一領域41aに比べて相対的に小さいことも含む)ため、カメラ10のエリアイメージセンサ11において、反射部41の第一領域41aが放出(反射)する光の輝度が高く認識され、反射部41の第二領域41bが放出(反射)する光の輝度が相対的に低く認識される。このため、第一領域41aと第二領域41bとの明暗差を認識することができ、反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの間に生じる境界線41cを認識することができる。また、少なくとも第二領域41bにおいてはカメラ10に向けて第一照射部20aにより照射される第一輝度変化光を反射しないため、第一領域41aに照射される光が弱い場合であっても、コントラスト差により第一領域41aと第二領域41bとの境界線を認識することができる。なお、第二照射部20bによって照射される第二輝度変化光に対しても同じことが言え、この場合には、第一領域41aにおいて第二輝度変化光がカメラ10に向けて反射されず、第二領域41bにおいて第二輝度変化光をカメラ10に向けて反射する。
【0099】
また、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、第一領域41aにおいて反射される光の光源が第一照射部20aにより照射される輝度変化光である。このため、反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの境界を識別するための照射手段を第一照射部20aの他に設ける必要がない。つまり、上記実施形態に係る部品実装装置100によれば、反射部41が反射する光として第一照射部20aおよび第二照射部20bによって照射される第一輝度変化光および第二輝度変化光を利用しているが、これに限らずに、第一照射部20aおよび第二照射部20bとは別の照射手段を設けて、当該照射手段から反射部41へ向けて光を照射してもよい。この場合においても、反射部41によりカメラ10に向けて反射される光の量が反射部41の第一領域41aと第二領域41bとにおいて相対的に異なる光量とされることが必須であり、例えば当該照射手段は、第一照射部20aと同じ角度から反射部41に向けて照射することが望ましい。
【0100】
また、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、第一照射部20aの他に、撮像対象領域50を間に挟んで第一照射部20aのX軸方向の反対側に第二照射部20bが設けられ、第一照射部20aの照射のタイミングと第二照射部20bの照射のタイミングとを重ならないようにずらすことにより、一方の側からの照射によりできる影の影響を軽減している。このような形態の部品実装装置100であっても、第二照射部20bから照射される第二輝度変化光をノズル43の反射部41の第二領域41bにおいてカメラ10に向けて反射して、第一領域41aにおいてカメラ10に向けて反射しない。このため、第二照射部20bから輝度変化光が照射される場合には、反射部41の第一領域41aが相対的に暗く、かつ、第二領域41bが明るい状態でカメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像される。これにより、撮像された結果(境界線データ)から反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの間の境界線41cを認識することができる。
【0101】
また、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、データ取得部103bによりエリアイメージセンサ11の撮像領域におけるY軸方向に平行な複数のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bにより出力された出力値が取得される。このように、対象物データとしてエリアイメージセンサ11の撮像領域150の出力値の内で、第一と第二のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bの出力値を選択して採用するため、対象物データのサイズをエリアイメージセンサ11全体の出力値を採用するよりも小さくすることができる。したがって、対象物としての物体30の対象物データの転送を高速に行うことができる。
【0102】
また、第一実施形態に係る部品実装装置100によれば、データ取得部103bによりノズル43の反射部41に生じる境界線41cが通過するエリアイメージセンサ11の境界線撮像領域155の出力値を境界線データとして取得する。境界線41cは物体30と共にカメラ10に対してX軸方向に移動するため、撮像対象領域50のY軸方向における境界線41cと物体30との相対位置が変動せずにX軸方向に移動する。つまり、境界線41cは撮像対象領域50のX軸方向に平行な領域において撮像される。
【0103】
このため、境界線41cを撮像するためのエリアイメージセンサ11の撮像領域150のライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bの長手方向に交差(直交)するX軸方向に平行な境界線撮像領域155に限定することができる。つまり、境界線データとしてエリアイメージセンサ11の撮像領域150の出力値の内で境界線撮像領域155からの出力値のみを採用すれば、境界線データを得ることができ、境界線41cと共に同方向に同量移動する物体30の位置を把握することができる。これにより、境界線データのデータ量を最小限として、境界線データの転送を高速に行うことができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、Y軸方向の振動についてより詳細に言及していないが、Y軸方向に対する位置ずれについては、輝度変化光がY軸方向に同一の輝度分布であることから、物体30の端部を特定しやすい。具体的には、物体30の特定のX座標におけるY軸方向の幅(以下、「所定幅」とする。)は変化しないため、それぞれの撮像のタイミングでY軸方向に対して振動による位置ずれがある場合には、物体30の所定幅が一定のままでずれる。つまり、エリアイメージセンサ11の撮像領域150により出力される輝度が周囲と異なる所定幅の部分のY軸方向のずれ量をY軸方向の物体30の位置ずれ量として、あるいは反射部41に生じる反射部41の端部における境界線41cのY軸方向のずれ量を物体30の位置ずれとして認識することにより、Y軸方向のずれを補正することができる。
【0105】
上記実施形態では、対象物としての物体30の進行方向であるX軸方向における撮像対象領域50に対する撮像の相対移動方向であるX軸方向の前後方向のそれぞれに第一照射部20aと第二照射部20bとを配置して、前後二方向から撮像対象領域50を通過する物体30に対して第一輝度変化光および第二輝度変化光が照射される形態であるが、輝度変化光は物体30の移動方向の前後二方向から物体30に照射することに限定されない。例えば、形状測定(高さ測定)において大きな問題が生じない対象物としての物体30の形状の撮像であれば、第一照射部20aの一方向のみから輝度変化光を物体30に対して照射する形態であってもよい。
【0106】
このように、第一照射部20aのみによって一方向から輝度変化光が物体30に照射されるような場合であっても、反射部41は、その第一領域41aにおいてカメラ10に向けて輝度変化光を反射し、その第二領域41bにおいてカメラ10に向けて輝度変化光を反射しないため、カメラ10のエリアイメージセンサ11により撮像された結果から、反射部41の第一領域41aおよび第二領域41bの境界線41cを認識することができる。
【0107】
上記実施形態では、エリアイメージセンサ11の各ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bは、X軸方向に対する振動を考慮してそれぞれがX軸方向に10画素分を有しているが、X軸方向に対する各ライン状撮像領域151a〜154a、151b〜154bの幅は、予め、第一〜第八の撮像のタイミングT1〜T8においてノズル43の反射部41に生じる境界線41cを移動部40がカメラ10のエリアイメージセンサ11に対してX軸方向に相対的に移動させつつ撮像することを複数回繰り返すことにより、反射部41の境界線41cが振動する際に得られる位置ずれ量を第一〜第八境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4,Ybi4)を中心とした時のX軸方向に対する振幅の最大値から求めるようにしてもよい。つまり、各第一〜第八境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4,Ybi4)を中心として、このとき求められる振幅の最大値の2倍の領域を少なくとも含むようにX軸方向に対しての各ライン状撮像領域の幅を決定すればよい。このとき得られるノズル43の反射部41に生じる境界線41cを撮像した結果から、同様にして、境界線撮像領域155が持つY軸方向に対する幅として、反射部41に生じる境界線41cの長手方向の端部が振動する際に得られる位置ずれ量を第一〜第八境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4,Ybi4)を中心とした時のY軸方向に対する振幅の最大値から求めるようにすればよい。つまり、各第一〜第八境界線基位置(Xbi1、Ybi1)〜(Xbi4,Ybi4)を中心として、このとき求められる振幅の最大値の2倍の領域を少なくとも含むようにY軸方向に対しての境界線撮像領域155の幅を決定すればよい。
【0108】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。図11は、本発明の第二実施形態に係る部品実装装置200の構成を示す図である。
【0109】
同図に示すように、部品実装装置200は、図4に示された第一実施形態における第一照射部20aおよび第二照射部20bに代えて、第一照射部20cおよび第二照射部20dを備え、カメラ10に代えてカメラ110を備える。
【0110】
第一照射部20cおよび第二照射部20dの構成は、第一照射部20aおよび第二照射部20bと同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0111】
第一照射部20cは、上記輝度変化光である第一輝度変化光を、撮像対象領域70に対してX軸方向の図示右斜め下から投影する。第二照射部20dは、撮像対象領域70に対してX軸方向の図示左斜め下から、第一照射部20cによる第一輝度変化光の照射方向とは異なる方向に上記輝度変化光である第二輝度変化光を照射する。一例として、図11に示すように、第一照射部20cは、X軸方向の図示右斜め下方から左斜め上方向に位置する撮像対象領域70へ向けて第一輝度変化光を照射し、第二照射部20dは、X軸方向の図示左斜め下方から右斜め上方向に位置する撮像対象領域70へ向けて第二輝度変化光を照射する。つまり、第一照射部20cおよび第二照射部20dは、撮像対象領域70を挟む撮像の相対移動方向であるX軸方向の両側に配置され、当該両側のそれぞれから撮像対象領域70をX軸方向に通過する物体30に対して仮想の面であり物体30の高さを0とした場合のZ軸方向の基準の面である基準面60上で互いに平行で、周期的に輝度が複数のライン状撮像対象領域の並び方向に変化する第一輝度変化光および第二輝度変化光を斜めから照射する。
【0112】
なお、第一照射部20cおよび第二照射部20dは、物体30の高さを0とした場合の面としての基準面60において、第一輝度変化光および第二輝度変化光が重なるように、第一輝度変化光および第二輝度変化光をそれぞれ撮像対象領域70へ向けて照射する。例えば、図11に示すように、第一輝度変化光および第二輝度変化光の撮像対象領域70における物体30の高さを0とした場合の基準面60上でのX軸方向の照射範囲は、例えば共にX座標がx1〜x4の間の範囲(撮像対象領域70)で重なる同じ範囲である。Y軸方向に延びるライン状撮像対象領域内は同一(一様)の輝度分布を有する。ただし、第一輝度変化光と第二輝度変化光とは、必ずしも位相が同位相である必要はなく、第一輝度変化光と第二輝度変化光との位相が互いに反転していてもよい。
【0113】
さらに、第一輝度変化光と第二輝度変化光とは、異なる波長を有する。例えば、第一輝度変化光を赤色の波長を有する光とし、第二輝度変化光を青色の波長を有する光とする。
【0114】
図12は、撮像部としてのカメラ110のエリアイメージセンサ111の撮像領域170の構成を示す図である。エリアイメージセンサ111は異なる波長を有する輝度変化光を各々の波長ごとに分離してそれぞれの光を撮像するセンサであり、一般的にはカラーエリアイメージセンサが用いられる。図12は一般的にカラーフィルタ方式と呼ばれる構成であり、エリアイメージセンサ111の1画素群毎に例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の光を通過させるカラーフィルタを介して、それぞれの画素に対応した素子で構成される。図12の拡大図においては、ライン状撮像領域171の各画素の拡大図を示している。Rのハッチングで示される領域の画像素子171rは、赤(R)のフィルタが配置されており、赤色の波長の光を認識する。Gのハッチングで示される領域の画像素子171gは、緑(G)のフィルタが配置されており、緑色の波長の光を認識する。Bのハッチングで示される領域の画像素子171bは、青(B)のフィルタが配置されており、赤色の波長の光を認識する。
【0115】
また、エリアイメージセンサ111の撮像領域170には、第一実施形態の撮像領域150と同様に、反射部41の境界線41cを撮像する境界線撮像領域175がX軸方向に平行に設けられる。境界線撮像領域175は、反射部41の境界線41cの位置に対応しており、境界線41cの少なくとも一部がエリアイメージセンサ111の境界線撮像領域175により撮像される。なお、境界線撮像領域175は、境界線41cが通過する方向であるX軸方向に対して平行な方向に設定される。つまり、境界線撮像領域155は、複数のライン状撮像領域171〜174に直交する領域175a〜175hにて設定されてもよい。
【0116】
また、第二実施形態の部品実装装置200では、第一照射部20cが照射する第一輝度変化光と、第二照射部20dが照射する第二輝度変化光とを同時に同一の撮像対象領域70に照射するような形態であっても、第一輝度変化光と第二輝度変化光との波長が異なり、カメラ110のエリアイメージセンサ111が赤(R)、緑(G)、青(B)の3波長のそれぞれの輝度を取得することができるため、反射部41の第一領域41aと第二領域41bとの移動の基準位置としての境界線41cをカメラ110のエリアイメージセンサ111による撮像結果から認識することができる。赤色の波長を有する第一輝度変化光が照射される反射部41の第一領域41aは赤色の波長を有する光を反射し、青色の波長を有する第二輝度変化光が照射される反射部41の第二領域41bは青色の波長を有する光を反射する。このため、エリアイメージセンサ111の撮像領域170において、赤(R)の波長を取得する画像素子によって反射部41の第一領域41aの輝度が第二領域41bの輝度よりも相対的に高く検出され、青(B)の波長を取得する画像素子によって反射部41の第二領域41bの輝度が第一領域41aの輝度よりも相対的に高く検出される。このように、赤(R)の波長の明暗差、および、青(B)の波長の明暗差に基づいて、反射部41の第一領域41aと第二領域41bとに生じる境界線41cを認識することができる。
【0117】
図11に示す部品実装装置200の機器構成は、図7に示した部品実装装置100の構成と同様であるが、照射処理部102が第一照射部20cおよび第二照射部20dを制御し、撮像処理部103が、エリアイメージセンサ111を制御する点が異なる。
【0118】
認識部104は、エリアイメージセンサ111の撮像領域170の赤(R)の光に対応するライン状撮像領域171の画像素子171rが撮像した物体30の赤色成分の画像データを用いて、位相シフト法に従い物体30の形状を認識する。また、認識部104は、撮像領域170の青(B)の光に対応するライン状撮像対象領域171の画像素子171bが撮像した物体30の青色成分の画像データを用いて、位相シフト法に従い物体30の形状を認識する。それぞれの物体30の形状の認識処理は、第一実施形態に示したものと同様であるため、説明は省略する。このように1つの物体30について、例えば赤(R)の波長と青(B)の波長との2つの認識結果が得られることとなるが、認識部104は、2つの認識結果をそのまま出力してもよいし、2つの認識結果のいずれかを出力してもよい。ここで、後者の例を説明する。第一照射部20cの第一輝度変化光の照射方向はX軸方向図示左斜め上方向であり、第二照射部20dの第二輝度変化光の照射方向はX軸方向図示右斜め上方向である。このため、物体30の形状によっては、第一輝度変化光によると物体30のX軸方向図示左側で死角が生じやすく、第二輝度変化光によると物体30のX軸方向図示右側で死角が生じやすい。よって、例えば物体30のX軸方向図示左側の形状を認識する際には、撮像対象領域70のライン状撮像対象領域内は同一の輝度分布を有し、かつ、周期的に輝度が複数のライン状撮像対象領域の並び方向(X軸方向)に変化する第二輝度変化光を、撮像対象領域70に対して、第二照射部20dにてX軸方向図示右斜め上方向の照射方向へ照射する。そして、撮像領域170の青(B)の光に対応するライン状撮像領域171の画像素子171bで撮像された物体30の青色成分の画像データから得られる認識結果を出力する。一方で、物体30のX軸方向図示右側の形状を認識する際には、撮像対象領域70のライン状撮像対象領域内は同一の輝度分布を有し、かつ、周期的に輝度が複数のライン状撮像対象領域の並び方向(X軸方向)に変化する第一輝度変化光を、撮像対象領域70に対して、第一照射部20cにてX軸方向図示左斜め上方向の照射方向へ照射する。そして、撮像領域170の赤(R)の光に対応するライン状撮像領域171の画像素子171rで撮像された物体30の赤色成分の画像データから得られる認識結果を出力する。または、赤色に着色されている物体30と青色に着色されている物体30とを形状認識する必要がある場合には、赤色に着色されている物体30については、青(B)の光に対応するライン状撮像領域171の画像素子171bで撮像された物体30の青色成分の画像データから得られる認識結果を出力し、青色に着色されている物体30については、赤(R)の光に対応するライン状撮像領域171の画像素子171rで撮像された物体30の赤色成分の画像データから得られる認識結果を出力する。
【0119】
撮像対象領域70のライン状撮像対象領域71〜74内はそれぞれ一様な輝度を有し、かつ、周期的に輝度が複数のライン状撮像領域171〜174の並び方向(X軸方向)に変化する第一輝度変化光および第二輝度変化光を、撮像対象領域70をX軸方向に通過するときの物体30を挟むX軸方向の両側から第一輝度変化光および第二輝度変化光を斜めに照射する。ここで、物体30の形状によっては、撮像対象領域70に対して片側から第一輝度変化光または第二輝度変化光が照射される場合には、物体の一部に遮られて、物体上の影になる面に投影されない場合がある。このため、撮像対象領域70をX軸方向に通過するときの物体30を挟んでX軸方向の物体30の両側から第一輝度変化光および第二輝度変化光を照射することで、第一輝度変化光または第二輝度変化光が物体30の一部に遮られることなく、第一輝度変化光および第二輝度変化光の少なくとも一方を物体30の測定部位Pに照射することができる。
【0120】
また、波長が異なる複数の輝度変化光を、撮像対象領域70を通過するときの物体30を挟む通過方向(X軸方向)の両側から物体30の状態(形状、色等)に応じて使い分けて照射することで、様々な物体の形状を認識することができる。
【0121】
また、撮像対象領域70のライン状撮像対象領域171〜174内は同一の輝度を有し、かつ、周期的に輝度が複数のライン状撮像対象領域171〜174の並び方向(X軸方向)に変化する第一輝度変化光および第二輝度変化光を、撮像対象領域70を通過するときの物体30を挟む通過方向(X軸方向)の両側から互いに波長が異なる第一輝度変化光の波長の光と第二輝度変化光の波長の光として撮像対象領域70をX軸方向に通過するときの物体30に対してそれぞれ照射する(この時のX軸方向の輝度分布の波形はそれぞれ正弦波である。)。エリアイメージセンサ111のライン状撮像領域171〜174は、それぞれが撮像対象領域70を通過するときの物体30を挟む通過方向(X軸方向)の両側から輝度変化光が照射される第一輝度変化光の波長の光と第一輝度変化光の波長の光とは波長の異なる輝度変化光の第二輝度変化光の波長の光とを分離して、物体30を撮像している。このため、カラーに対応するカメラ110のエリアイメージセンサ111を用いて、撮像対象領域70を通過するときの物体30を挟む通過方向(X軸方向)の両側から物体30に対し、波長の異なる輝度変化光である第一輝度変化光および第二輝度変化光がそれぞれ照射され、対象物としての物体30上の第一輝度変化光の波長の光の反射光と第一輝度変化光の波長の光とは波長の異なる輝度変化光の第二輝度変化光の波長の光の反射光を同時に撮像することができる。よって、波長ごとにエリアイメージセンサのライン状撮像領域で撮像する場合に比べて、対象物としての物体30を撮像する回数を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、振動等により位置ずれが発生しても物体の測定部位に対応する出力値を取得することにより、物体の形状認識を正確に、かつ、高速に行うことのできる部品実装装置等として利用することができる。
【符号の説明】
【0123】
10、110 カメラ
11、111 エリアイメージセンサ
12 レンズ
20 照射部
20a 第一照射部
20b 第二照射部
30 物体
31〜38 位置
40 移動部
41 反射部
41a 第一領域
41b 第二領域
41c 境界線
43 ノズル
50、70 撮像対象領域
51a〜54a、51b〜54b ライン状撮像対象領域
60 基準面
81、82 正弦波
100、200 部品実装装置
101 制御部
102 照射処理部
103 撮像処理部
103a 移動処理部
103b データ取得部
103c 位置ずれ導出部
103d 輝度値取得部
103e 波形作成部
104 認識部
150、170 撮像領域
151a〜154、151b〜154b、171〜174 ライン状撮像領域
155、175 境界線撮像領域
171r、171g、171b 画像素子
T1〜T4、T5〜T8 撮像のタイミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像対象領域にて撮像して、撮像した結果に基づいて前記対象物の形状を測定する位相シフト法を利用する部品実装装置であって、
前記撮像対象領域を撮像する撮像部と、
第一方向に沿って輝度が同一であり、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第一輝度変化光を、前記第一方向および前記第二方向により規定される前記撮像対象領域に対して斜めから照射する第一照射部と、
前記対象物を吸着して保持するノズルと、前記対象物に対する位置関係が一定であり、前記撮像対象領域において前記対象物と共に同方向に同量だけ移動し、前記ノズルが接続され、第一領域において前記撮像部に向けて反射する第一光量と、前記第一領域に対して第二方向に並ぶ第二領域とにおいて前記撮像部に向けて反射する第二光量との異なる光量を反射可能な反射部とを有し、前記対象物を前記第二方向に沿って相対的に移動させて、前記対象物および前記反射部を前記撮像対象領域に対して通過させる移動部と、
前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の境界線の少なくとも一部を予め定められた撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である基準位置としての境界線データと、前記対象物の測定部位を前記撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である対象物データとを取得するデータ取得部と、
前記撮像のタイミングに撮像された境界線データによって特定される前記撮像のタイミングにおける境界線位置と、前記移動部が前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の前記境界線を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする境界線基位置との位置ずれを、導出する位置ずれ導出部と、
前記移動部が前記対象物を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする対象物基位置に対して、前記位置ずれ導出部が導出した前記位置ずれを加算することにより得られた当該撮像のタイミングにおける前記対象物の前記測定部位の位置に対応する、当該撮像のタイミングに撮像された前記対象物データの輝度値を取得する輝度値取得部と、
前記輝度値取得部により取得された前記対象物データの輝度値に基づいて、位相シフト法による前記対象物の前記測定部位の前記第一方向および前記第二方向と交差する第三方向における位置の算出に用いられる波形であって、前記対象物の波形を作成する波形作成部とを備える部品実装装置。
【請求項2】
前記反射部は、前記第一輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射し、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射しない
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
さらに、
前記撮像対象領域から前記第一方向および前記第二方向に垂直な第三方向に対して延びる仮想線を挟んで前記第一照射部とは前記第二方向の反対側に位置し、第一方向に沿って輝度が同一であり、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第二輝度変化光を、前記撮像対象領域に対して斜めから照射する第二照射部を備え、
前記反射部は、
前記第一照射部により照射された前記第一輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射し、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射せず、
前記第二照射部により照射された前記第二輝度変化光を、前記第一領域において前記撮像部に向けて反射せず、前記第二領域において前記撮像部に向けて反射する
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記データ取得部は、前記撮像部のエリアイメージセンサの撮像領域の内で前記第一方向に平行であって、前記第二方向に並ぶ複数のライン状撮像領域により出力された出力値を前記対象物データとして取得する
請求項1から3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、前記撮像部のエリアイメージセンサの前記撮像領域の内で前記境界線が通過する領域である境界線撮像領域の出力値を前記境界線データとして取得する
請求項1から4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
対象物を撮像対象領域にて撮像して、撮像した結果に基づいて前記対象物の形状を測定する位相シフト法を利用する部品実装方法であって、
撮像部により前記撮像対象領域を撮像する撮像ステップと、
第一方向に沿って輝度が同一であり、かつ、前記第一方向と交差する第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する第一輝度変化光を、前記第一方向および前記第二方向により規定される前記撮像対象領域に対して斜めから照射する照射ステップと、
前記対象物を吸着して保持するノズルと、前記対象物に対する位置関係が一定であり、前記撮像対象領域において前記対象物と共に同方向に同量だけ移動し、前記ノズルが接続され、第一領域において前記撮像部に向けて反射する第一光量と、前記第一領域に対して第二方向に並ぶ第二領域とにおいて前記撮像部に向けて反射する第二光量との異なる光量を反射可能な反射部とを有する移動部により、前記対象物を前記第二方向に沿って相対的に移動させて、前記対象物および前記反射部を前記撮像対象領域に対して通過させる移動ステップと、
前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の境界線の少なくとも一部を予め定められた撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である基準位置としての境界線データと、前記対象物の測定部位を前記撮像のタイミングで前記撮像部が撮像した結果である対象物データとを取得するデータ取得ステップと、
前記撮像のタイミングに撮像された境界線データによって特定される前記撮像のタイミングにおける境界線位置と、前記移動部が前記反射部の前記第一領域および前記第二領域の間の前記境界線を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする境界線基位置との位置ずれを、導出する位置ずれ導出ステップと、
前記移動部が前記対象物を前記撮像のタイミングにおいて位置ずれが生じていない場合とする対象物基位置に対して、前記位置ずれ導出ステップにより導出された前記位置ずれを加算することにより得られた当該撮像のタイミングにおける前記対象物の前記測定部位の位置に対応する、当該撮像のタイミングに撮像された前記対象物データの輝度値を取得する輝度値取得ステップと、
前記輝度値取得ステップにより取得された前記対象物データの輝度値に基づいて、位相シフト法による前記対象物の前記測定部位の前記第一方向および前記第二方向と交差する第三方向における位置の算出に用いられる波形であって、前記対象物の波形を作成する波形作成ステップとを含む部品実装方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115380(P2013−115380A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262897(P2011−262897)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】