説明

部品実装装置

【課題】作業者による補正作業性を向上することができ、また、作業ステーションでの被実装部材の載置面の高さが僅かに変化したとき、または、部品実装面の高さも僅かに変化したときにも、部品を被実装部材に極力確実に実装できる部品実装装置を提供する。
【解決手段】補正方法設定画面で設定された回数部品の実装が行われると部品15を保持していないノズル5あるいはノズル55が作業ステージ3あるいはプリント基板12に下降し、ノズル5あるいはノズル55が作業ステージ3あるいはプリント基板12に接触したことがタッチセンサ27で検出され、ノズル下降量の補正が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドによりウェハ等の部品供給部から部品を保持し、被実装部材上に実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の部品実装装置は、例えば特許文献1などに開示されているが、ベアチップなどの部品を吸着保持するボンディングノズルを有する実装ヘッドを備え、X軸方向移動、Y軸方向移動及びθ回転する載置台上のウェハから実装ヘッドのボンディングノズルが部品をピックアップし、作業ステーションにて搬送シュートによって搬送されてきた被実装部材である実装基板或いはリードフレームなどの上に部品を実装する。
【特許文献1】特開2004−363607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の部品実装装置において、作業ステーションでは、実装ヘッドは予め設定されている下降量(ストローク)下降し、部品が被実装部材上に実装される。
【0004】
しかしながら、このような部品実装装置において、運転時、部品実装装置が運転を開始してからの時間経過に伴う周囲の温度変化などのために、作業ステーションでの被実装部材の載置面の高さが僅かに変化し、部品実装面の高さも僅かに変化し、この結果、部品が被実装部材に確実に実装されないという問題が発生する。
【0005】
また、作業者が下降量の補正作業を行うに際しても、作用者が一時部品実装装置を停止させ補正を行う必要があるなど、作業者による補正作業が煩雑になり、また、補正作業を行うことを作業者が忘れる虞があるという問題が発生する。
【0006】
そこで本発明は、作業者による補正作業性を向上することができ、また、作業ステーションでの被実装部材の載置面の高さが僅かに変化したとき、または、部品実装面の高さも僅かに変化したときにも、部品を被実装部材に極力確実に実装できる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、搬送されてきた被実装部材上に部品を搭載する作業ステージと、部品を保持する保持具を備え、前記作業ステージにて昇降する作業ヘッドとを備え、前記作業ヘッドに設けられ、前記保持具の前記作業ステージ或いは被実装部材への接触を検出する検出器と、
前記作業ステージにおいて、前記保持具が部品を保持していない状態で前記作業ヘッドを下降させ、前記検出器の検出結果に基づいて前記作業ヘッドの下降量を測定し、この測定結果を基に前記作業ヘッドの前記作業ステージでの下降量を補正する下降量補正作業を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、搬送されてきた被実装部材上に部品を搭載する作業ステージと、部品を保持する保持具を備え、前記作業ステージにて昇降する作業ヘッドとを備え、前記作業ヘッドに設けられ、前記保持具の前記作業ステージ或いは被実装部材への接触を検出する検出器と、
前記作業ステージにおいて、前記保持具が部品を保持していない状態で前記作業ヘッドを下降させ、前記検出器の検出結果に基づいて前記作業ヘッドの下降量を測定し、この測定結果を基に前記作業ヘッドの前記作業ステージでの下降量を補正する下降量補正作業を部品実装の自動運転中の所定の部品実装動作後に行うよう制御する制御装置とをことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、作業者による補正作業性を向上することができ、また、作業ステーションでの被実装部材の載置面の高さが僅かに変化したとき、または、部品実装面の高さも僅かに変化したときにも、部品を被実装部材に極力確実に実装できる部品実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の実施形態の部品実装装置の概略側面図である。
【図2】作業ヘッドの概略側面図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】補正方法設定画面の図である。
【図5】複数の補正方法の設定の説明図である。
【図6】ノズルが部品載置テーブルの上面に当たったときの作業ヘッドの概略側面図である。
【図7】タッチセンサが接触片に接触したときの作業ヘッドの概略側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願発明に係る部品実装装置の実施形態について説明する。この部品実装装置は、各種電子部品をプリント基板或いはリードフレームなどの被実装部材に実装する。
【0012】
図1は部品実装装置の概略側面図であり、部品実装装置本体1には、部品供給ステージ2、第1の作業ステージ3、ボンディング位置である第2の作業ステージ4及び部品保持具であるノズル5、55をそれぞれが備えた2個の後述する作業ヘッドが設けられている。
【0013】
部品供給ステージ2は、例えば多数の部品6が集合した部品群であるダイシングされた半導体ウェハ(以下、ウェハといい、ウェハから取出されるベアチップなどの部品を部品という。)7を載置支持するウェハテーブルである載置台8を備えている。
【0014】
第1の作業ステージ3は部品載置テーブル10と、この載置テーブル10の下方に設けられた第1の加熱装置11とを備えている。また、第2の作業ステージ4は、被実装部材であるプリント基板12を載置しプリント基板12の周囲を覆うと共に、上面に開口130が形成された作業用テーブル13と、この作業テーブル13に設けられた第2の加熱装置14とを備えている。プリント基板12は作業テーブル13上を図示しない搬送機構によって上流から搬送され、部品15の実装作業が終了した後、下流へ搬送される。
【0015】
以下、部品を移載する作業ヘッドについて説明する。なお、部品を部品供給ステージ2から第1の作業ステージ3へ移載する作業ヘッドと、部品を第1の作業ステージ3から第2の作業ステージ4に移載する作業ヘッドとは同一の機構であり、以下、部品を部品供給ステージ2から第1の作業ステージ3へ移載する作業ヘッドについて、図2に基づいて説明し、部品を部品供給ステージ2から第1の作業ステージ3へ移載する作業ヘッドについては説明を省略する。
【0016】
16は作業ヘッド20のヘッド支持部であり、このヘッド支持部16には、その上部から外方向に延びたセンサ支持部17が形成されている。また、上下方向に配置されたガイド18に沿い昇降する。ガイド18はレール21とこのレール21にスライド自在に支持されたスライド部材22とを備えている。また、ガイド18には、作業ヘッド20の例えばリニアモータなどの昇降駆動部(固定子及び可動子)23が設けられている。
【0017】
また、ヘッド支持部16の下部にはほぼ垂直にボールブッシュ24が設けられ、このボールブッシュ24にノズル5がほぼ垂直に昇降自在に支持されている。また、ノズル5のほぼ中間位置には、接触片25が水平に取り付けられている。この接触片25の上面とセンサ支持部17の下面との間には、圧縮バネ26が設けられ、この圧縮バネ26によって接触片25を介してノズル5が下降へ付勢されている。
【0018】
27はセンサ支持部17を貫通して取り付けられた検出器としてのタッチセンサであり、このタッチセンサ27の下端には、接触端28が設けられている。そして、ノズル5の下端が他の部材に接触して上昇していない状態では、接触端28の下端と接触片25の上面との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0019】
次に、作業ヘッド20の昇降などの制御装置について、図3に基づいて説明する。
【0020】
30は、昇降駆動部23の昇降などを制御する制御装置であり、この制御装置30には、インターフェース(図示せず)を介して昇降駆動部23、タッチセンサ27及び表示装置であるタッチパネルを備えたモニタ31などが接続されている。
【0021】
制御装置30には、CPU(セントラルプロセッシングユニット)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33及びROM(リードオンリーメモリ)34が設けられ、CPU32はタッチセンサ27からの信号を入力すると共に、予めRAM33に格納されている昇降ストロークのデータ及びROM34に格納されている制御プログラムに基づいて昇降駆動部23を制御すると共に、第1の加熱装置11及び第2の加熱装置14への通電を制御する。
【0022】
また、RAM33には、予め作業者による例えばモニタ31操作によって設定された後述するノズル5又は55の下降ストロークの補正(キャリブレーション)の間隔及び回数、即ち、下降ストロークを補正する間隔及び補正する回数が格納されている。
【0023】
以下、作業者が上記ストロークの補正をするときの操作について説明する。
【0024】
まず、部品実装装置をスタートさせる前に、作業者がモニタ31(補正設定装置)を操作し、図4に示した補正方法設定画面を表示させる。
【0025】
設定画面には、補正間隔、即ち、部品の実装が何回行われるごとに補正を行うかを設定するサイクル設定部36と、補正を何回行うかを設定する回数設定部37とを有した複数、実施例においては3つの第1設定部41、第2設定部42及び第3設定部43が設けられている。更に、各設定部の下方には、回数の増減部44及び回数の決定部45が設けられ、画面の右部には、設定終了部46が設けられている。
【0026】
そして、作業者が第1設定部41のサイクル設定部36に触れるとサイクルの設定が可能になる。この状態で増減部44を触れることによって、サイクル設定部36に表示される回数は増減し、例えばサイクル設定部36に「5」が表示された状態で、決定部45及び設定終了部46に触れると、RAM33には、「実装動作が5回行われるごとにストロークの補正を行う制御プリグラム」、及び「この補正を部品実装装置での部品実装の自動運転が停止されるまで継続させる制御プログラム」(図5の例1参照)が格納される。
【0027】
また、第1設定部41の回数設定部37、第2設定部42及び第3設定部43の各サイクル設定部36及び回数設定部37には「−」が表示される。
【0028】
各サイクル設定部36の「−」の表示は、補正を実行する回数が設定されていないことを表している。また、第1、第2及び第3設定部41、42及び43において、サイクル設定部36にサイクルが設定され表示されているが、回数設定部37に回数が設定されていなく「−」が表示されているときは、サイクル設定部に設定されているサイクルでの補正を部品実装装置の自動運転が停止するまで継続することを表している。
【0029】
また、作業者が上述したように、第1設定部41のサイクル設定部36に「5」を設定し、更に、回数設定部37に触れると回数設定が可能になる。この状態で増減部44を触れることによって、回数設定部37に表示される回数は増減し、例えば回数設定部37に「10」が表示された状態で、決定部45及び設定終了部46に触れると、RAM33には、「実装動作が5回行われるごとにストロークの補正を行う制御プログラム」、及び「この補正を10回繰り返した後、補正を行わずに部品実装装置での自動運転を継続させる制御プログラム」(図5の例2参照)が格納される。なお、第2及び第3設定部42及び43においては、サイクル及び回数が設定されていないため、各サイクル設定部36及び回数設定部37は「−」を表示している。
【0030】
更に、上述したように、作業者が第1設定部41にて、補正のサイクル及び回数を設定した後、設定作業を終了せずに第2設定部42のサイクル設定部36に触れるとサイクルの設定が可能になる。この状態で増減部44を触れることによって、サイクル設定部36に表示される回数は増減し、例えばサイクル設定部36に「20」が表示された状態で、決定部45及び設定終了部46に触れると、RAM33には、「実装動作が5回行われるごとのストロークの補正が10回繰り返され、その後、実装動作が20回行われるごとのストロークの補正を部品実装装置での部品実装の自動運転が停止されるまで継続させる制御プログラム」(図5の例3参照)が格納される。
【0031】
また、第2設定部41の回数設定部37、第3設定部43のサイクル設定部36及び回数設定部37には「−」が表示される。
【0032】
更にまた、上述したように、作業者が第1設定部41にて、補正のサイクル及び回数を設定した後、設定作業を終了せずに第2設定部42のサイクル設定部36にてサイクルを設定し、更に、第2設定部42の回数設定部37に触れると回数設定が可能になる。この状態で増減部44を触れることによって、回数設定部37に表示される回数は増減し、例えば回数設定部37に「5」が表示された状態で、決定部45及び設定終了部46に触れると、RAM33には、「実装動作が5回行われるごとにストロークの補正が10回繰り返され、その後、実装動作が20回行われるごとにストロークの補正が5回繰り返され、その後は補正を行わずに部品実装装置での自動運転を継続させる制御プログラム」(図5の例4参照)が格納される。なお、第3設定部43においては、サイクル及び回数が設定されていないため、サイクル設定部36及び回数設定部37は「−」を表示している。
【0033】
また、第2設定部に設定されたサイクル及び回数の補正が終了した後も補正を所定のサイクル、所定の回数行うときには、第1及び第2設定部41及び42での設定時と同様に、第3の設定部43のサイクル設定部36、回数設定部37、増減部44を操作してサイクル及び回数を設定すればよい。
【0034】
このように設定された状態で、部品実装装置の図示しないスタートスイッチを作業者が操作すると、部品実装装置の自動運転がスタートする。
【0035】
そして、まず、制御装置30は第1の加熱装置11及び第2の加熱装置14への通電を開始させる。そして、所定時間経過すると、制御装置30が動作し、作業ヘッド20の図示しないXY方向移動機構へ駆動信号を出力し、この結果、作業ヘッド20は、部品供給ステージ2の上方へ移動する。そして、制御装置30からの駆動信号に基づいて下降して半導体ウェハ7から部品を吸着保持し、上昇する。
【0036】
その後、制御装置30が動作し、作業ヘッド20の図示しないXY方向移動機構へ駆動信号を出力し、この結果、作業ヘッド20は、部品供給ステージ2の上方から第1の作業ステージ3の上方へ移動する。そして、制御装置30からの駆動信号に基づいて予め設定されRAM33に格納されているストローク下降し、吸着保持していた部品を部品載置テーブル10に載置し、その後上昇する。
【0037】
その後、制御装置30が動作し、作業ヘッド20は、第1の作業ステージ3の上方から部品供給ステージ2の上方へ移動し、下降して再び半導体ウェハ7から部品を吸着保持して上昇する。
【0038】
以後同様に作業ヘッド20は部品供給ステージ2と第1の作業ステージ3との間を移動し、部品を部品載置テーブル10に載置する。
【0039】
また、ノズル55を備え、作業ヘッド20と同様に構成された図示しない作業ヘッドが、制御装置30からの駆動信号に基づいて第1の作業ステージ3と第2の作業ステージ4との間を移動する。第1の作業ステージ3では、作業ヘッドと共にノズル55が下降し、部品搭載テーブル10に載置されていた部品を吸着保持し、上昇し、第2の作業ステージ4へ移動する。第2の作業ステージ4では、作業ヘッドと共にノズル55が下降し、保持していた部品をプリント基板12上に搭載し、上昇して第1の作業ステージ3へ移動する。
【0040】
以後同様に、ノズル55を備えた作業ヘッドは第1の作業ステージ3と第2の作業ステージ4の間を移動し、部品をプリント基板12に実装する。即ち、部品をプリント基板12に実装する自動運転が継続する。
【0041】
そして、プリント基板12へ部品の実装運転が、予め第1設定部41にて設定されたサイクル、即ち5回修了すると、ノズル5及びノズル55の下降量の補正が行われる。
【0042】
まず、制御装置30からの駆動信号に基づいて、ノズル5が作業ヘッド20のノズル5は、部品を吸着せずに、既に部品がノズル55によって吸着保持され載置されていない第1の作業ステージ3の上方へ移動し、下降する。
【0043】
ノズル5が図2に示したノズル5の下降開始前の下端と第1の作業ステージ3の上面61との間隔Z分下降すると、図6に示したように、ノズル5の下端が部品搭載テーブル10の上面61に接触する。このときは、タッチセンサ27の接触端28と接触片25の上面との間には僅かな隙間が形成されている。
【0044】
そして、更にノズル5が下降すると、下降に伴いノズル5は圧縮バネ26の付勢力に抗してヘッド支持部16に対して相対的に上方へ移動する。このため、予めRAM33に格納されている接触端28と接触片25の上面との間の僅かな隙間と同様な距離L分ノズル5が移動すると、図7に示したように、接触端28が接触片25の上面と接触し、タッチセンサ27は信号を制御装置30に出力する。
【0045】
信号を入力した制御装置30は、信号を入力するまでの作業ヘッド20の下降量から距離Lを引いた値を算出する。算出した値がノズル5が第1の作業ステージ3の上面61まで下降したときの実際の下降量L1であり、RAM33に格納される。更に、制御装置30によって、RAN33に格納されたノズル5の下降量L1とRAMに格納されている部品の厚さに基づいて、部品を第1の作業ステージ3に載置するときのノズル5の下降量(ストローク)L2を算出し、算出した下降量L2によって以前の下降量を補正し、補正された下降量がノズル5の下降量としてRAM33に格納される。即ち、ノズル5の下降量L2が教示される。
【0046】
また、ノズル55の第1の作業ステージ3での下降量の補正もノズル55が部品を保持していなく、且つ部品載置テーブル10に部品が載置されていない状態で、ノズル5のときと同様に行われる。即ち、部品を第1の作業ステージ3にて保持するときのノズル55の下降量(ストローク)を算出し、算出した下降量によって以前の下降量を補正し、補正された下降量がノズル55の下降量としてRAM33に格納される。即ち、第1の作業ステージ3でのノズル55の下降量が教示される。
【0047】
更に、ノズル55の第2の作業ステージ4での下降量の補正もノズル55が部品を保持していなく、且つ作業テーブル13に部品15及びプリント基板12が載置されていない状態で、第1の作業ステージ3での補正のときと同様に行われる。
【0048】
即ち、ノズル55は、作業ヘッド20と同様に構成され圧縮バネ及びタッチセンサ備えた作業ヘッドに設けられており、部品を吸着せずに、プリント基板及び部品が載置されていない第2の作業ステージ4の上方へ移動し、下降する。
【0049】
ノズル55が下降すると、ノズル55の下端が作業テーブル13の上面61に接触する。そして、更にノズル55が下降すると、下降に伴いノズル55は圧縮バネの付勢力に抗して相対的に上方へ移動する。このため、タッチセンサが作業ヘッドに設けられた接触片の上面と接触し、タッチセンサ27は信号を制御装置30に出力する。
【0050】
信号を入力した制御装置30は、信号を入力するまでの作業ヘッドの下降量から予めRAM33に格納されている上述した距離Lを引いた値を算出する。算出した値はノズル55が第2の作業ステージ4の上面62まで下降したときの実際の下降量L3であり、RAM33に格納される。更に、制御装置30によって、RAM33に格納されたノズル55の下降量L3とRAMに格納されている部品15の厚さ及びプリント基板12の厚さに基づいて、部品を第2の作業ステージ4にてプリント基板12に実装するときのノズル55の下降量(ストローク)L4を算出し、算出した下降量L4によって以前の下降量を補正し、補正された下降量がノズル55の下降量としてRAM33に格納される。即ち、第1の作業ステージ3でのノズル55の下降量が教示される。
【0051】
以後、上述したノズル5の第1の作業ステージ3での下降量の補正、ノズル55の第1の作業ステージ3及び第2の作業ステージ4での下降量の補正は、部品実装装置の運転スタート前に設定された補正のサイクル及び回数に基づいて行われ、例えば、図5に示した例1のように、サイクルが「5」とのみ設定されたときには、部品実装装置の運転スタート時から実装動作が5回行われるごとにノズル5及びノズル55のストロークの補正が部品実装装置での部品実装の自動運転が停止されるまで継続される。
【0052】
また、例2、例3及び例4に示したように補正のサイクル及び回数が設定されたときには、設定に基づいて制御装置30は動作し、部品実装装置の運転スタート時からサイクル及び回数に従って補正が行われる。
【0053】
上述したように、ノズル5及びノズル55の下降時のストロークの補正を、そのサイクル及び回数の双方について、作業者が設定することによって、補正が自動的に行われるので、補正作業に係る作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0054】
また、補正のサイクル及び回数を設定する際に、補正を行うサイクルを長くする或いは補正を行う回数を極力少なくして設定することが可能であり、実装運転時の補正の回数を減らしてタクトの低下を極力少なくすることもできる。
【0055】
更に、補正のサイクル及び回数を設定する複数の設定部、即ち第1、第2及び第3設定部41、42及び43にて、異なるサイクル及び回数の補正タイミングを設定でき、例えば、第1の加熱装置11或いは第2の加熱装置14の加熱による温度変化が大きく、部品載置テーブル10の上面61或いは作業テーブル13の上面62のレベルの変化が大きい虞がある部品実装装置の運転スタート時は補正のサイクルを短くし、時間が経過してから補正のサイクルを次第に長く設定すること、或いは回数を次第に少なくすることも可能であり、部品を確実に載置或いは実装しつつ、補正によるタクトの低下を少なくすることもでき、また、作業者の要望に沿った設定が可能である。
【0056】
なお、上述した実施形態においては、ノズル5及びノズル55の下降時のストロークの補正を、同様にそのサイクル及び回数の双方について設定したが、第1の作業ステージ3でのノズル5の下降量の補正、第1の作業ステージ3でのノズル55の下降量の補正及び第2の作業ステージ4でのノズル55の下降量の補正を、それぞれ独立して行えるようにしてもよい。例えば、図4に示した補正方法設定画面を第1の作業ステージ3でのノズル5の下降量の補正の設定、第1の作業ステージ3でのノズル55の下降量の補正の設定及び第2の作業ステージ4でのノズル55の下降量の補正の設定ごとに切り換えるようにし、各設定を行えるようにすることにより、第1の作業ステージ3でのノズル5の下降量の補正及び第1の作業ステージ3でのノズル55の下降量の補正は設定せずに、第2の作業ステージ4でのノズル55の下降量の補正のみを設定することも可能になり、一層作業者の要望に沿った設定ができる。
【0057】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1 部品実装装置本体
2 部品供給ステージ
3 第1の作業ステージ
4 第2の作業ステージ
5 ノズル
6 部品
10 部品載置テーブル
11 第1の加熱装置
12 プリント基板(被実装部材)
13 作業テーブル
14 第2の加熱装置
15 部品
20 作業ヘッド
27 タッチセンサ(検出器)
30 制御装置(補正設定装置)
31 モニタ
36 サイクル設定部
37 回数設定部
41 第1設定部
42 第2設定部
43 第3設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきた被実装部材上に部品を搭載する作業ステージと、
部品を保持する保持具を備え、前記作業ステージにて昇降する作業ヘッドとを備え、
前記作業ヘッドに設けられ、前記保持具の前記作業ステージ或いは被実装部材への接触を検出する検出器と、
前記作業ステージにおいて、前記保持具が部品を保持していない状態で前記作業ヘッドを下降させ、前記検出器の検出結果に基づいて前記作業ヘッドの下降量を測定し、この測定結果を基に前記作業ヘッドの前記作業ステージでの下降量を補正する下降量補正作業を制御する制御装置とを備えた
ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
搬送されてきた被実装部材上に部品を搭載する作業ステージと、
部品を保持する保持具を備え、前記作業ステージにて昇降する作業ヘッドとを備え、
前記作業ヘッドに設けられ、前記保持具の前記作業ステージ或いは被実装部材への接触を検出する検出器と、
前記作業ステージにおいて、前記保持具が部品を保持していない状態で前記作業ヘッドを下降させ、前記検出器の検出結果に基づいて前記作業ヘッドの下降量を測定し、この測定結果を基に前記作業ヘッドの前記作業ステージでの下降量を補正する下降量補正作業を部品実装の自動運転中の所定の部品実装動作後に行うよう制御する制御装置とを備えた
ことを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248879(P2012−248879A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178966(P2012−178966)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2008−93952(P2008−93952)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】