説明

部品搬送装置

【課題】搬送される部品に対して搬送される部品の前後の相互干渉を防止することができ、かつ部品の姿勢を一律に調整することができる部品供給装置を提供する。
【解決手段】リニア型パーツフィーダは、V字状断面形状からなる第1搬送路313とR形状底部を有する断面形状333bからなる第2搬送路333とが並行して設けられ、第1搬送路313と第2搬送路333との間には、凸形状の突起部PTが設けられる。また、第1搬送路313の他方の斜面313aには、エアー噴出部410が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を振動により移送することが可能な部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品に対して振動を与えることにより、部品を整列させるとともに、部品の供給を行う部品供給装置の一つとしてパーツフィーダがよく知られている。このパーツフィーダは、部品に振動を与えることにより部品の姿勢を整え、次工程に供給することができる。
【0003】
また、特許文献1には、概ね正多角柱状で、側面の一つに特徴部を有する部品を、効率よく多量に整列搬送できる振動式部品整列装置について開示されている。
【0004】
この特許文献1記載の振動式部品整列装置においては、振動式ボウルフィーダの下流側搬送路に正四角柱状で一つの側面に黒色の特徴部が後方に偏って設けられた部品を単列単層に並べ、当該部品の長手方向を搬送方向に向けて搬送させている。そして、当該部品に対して照射させた光電センサの出力に基づいて選択的に1角分だけ横転させる部品横転部を3箇所に設けて、特徴部が設けられた側面の向きを揃えるものである。この振動式部品整列装置においては、3箇所に部品横転部を設けて、複数の搬送路間において部品の横転をさせることにより、正四角柱状の4面のいずれをも選択することができるので、当該部品を正常な姿勢に整えることができる。
【0005】
さらに、特許文献2には、部品の反転効率の向上、部品供給効率の向上が可能な部品表裏整列装置について開示されている。
【0006】
この特許文献2記載の部品表裏整列装置において、第1トラックは、部品を傾斜姿勢で移送する第1傾斜壁と、この第1傾斜壁と反対向きに傾斜した第2傾斜壁とを有する。第1傾斜壁には、上流側トラックから部品が傾斜姿勢で導かれる。第2トラックは、部品を第1トラックの第1傾斜壁とは反対の傾斜姿勢で移送する第3傾斜壁と、この第3傾斜壁と反対向きに傾斜した第4傾斜壁とを有する。すなわち、第1傾斜壁、第2傾斜壁、第3傾斜壁、第4傾斜壁により断面がW字形状で形成されている。第1トラック上を移送されてくる部品の上面が所定の面であると、これを表裏検出手段が検知し、エアージェットが作動して圧縮エアーを短時間だけ噴出させる。そうすると、第1トラックの第1傾斜壁上の部品が圧縮エアー圧を受けて、第2トラックの第3傾斜壁上に反転移動して、その上面が表面に表裏反転する。その際、部品は第1トラックの第2傾斜壁と第2トラックの第4傾斜壁との共通頂点を支点として反転動作を行うことができる。
【0007】
また、特許文献3記載には、所定の姿勢の部品の供給効率を向上させる部品搬送方法について開示されている。
【0008】
特許文献3記載の部品搬送方法においては、断面がほぼV字形状の部品移送トラックの一方の側壁に沿って部品が移送され、該一方の側壁に近接して設けた部品姿勢検出手段により、該部品の姿勢が所定の姿勢でないことを検出したときに、該部品を他方の側壁へと反転させ、該他方の側壁に沿って移送する途中で、該部品をその中心の周りに所定角度回転させ、次いで、前記一方の側壁へと反転させるようにしたものである。
【特許文献1】特開2001−114418号公報
【特許文献1】特開2000−159334号公報
【特許文献1】特開2001−335142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の振動式部品整列装置においては、横転された部品と、その横転された部品の直後に搬送されている部品とが、隣り合う搬送路において位置した場合、当該部品間で互いに干渉が生じる。すなわち、一方の搬送路における部品の動きが、他方の搬送路の部品の動きにも影響することとなる。具体的には、一方の搬送路における部品の揺れや搬送速度の低下が、他方の搬送路の部品の揺れまたは搬送速度の低下につながる。
【0010】
また、特許文献2記載の部品表裏整列装置においても、同様に第1トラックと第2トラックとを搬送される部品間で互いに干渉が生じる。すなわち、第1トラックの部品の動きが、第2トラックの部品の動きにも影響を与える。
【0011】
さらに、特許文献3記載の部品整送方法およびその装置においても、同様に所定の姿勢の部品と、所定の姿勢でない部品を所定の姿勢に変更させた場合の当該部品との間で互いに干渉が生じる。すなわち、第1トラックの部品の動きが、第2トラックの部品の動きにも影響を与える。
【0012】
本発明の目的は、搬送される部品に対して搬送される部品の前後の相互干渉を防止することができ、かつ部品の姿勢を一律に調整することができる部品供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
(1)
本発明に係る部品供給装置は、部品貯留部から供給される部品に振動を付与し搬送路上を移送させる部品供給装置であって、搬送路は、搬送路の断面がV字状断面形状からなる第1搬送路と、第1搬送路に沿って並行に配置され、搬送路の断面がR形状底部を有する第2搬送路と、第1搬送路のV字状断面形状を形成する一方の斜面および第2搬送路のR形状底部を形成する曲面の一部により凸形状として形成され、かつ第1搬送路のV字状断面形状の下頂点から凸形状の頂部までの長さが、部品が所定の姿勢の状態の場合に一方の斜面に接する面の長さ以上の長さを有するように形成された突起部と、所定の姿勢の状態で搬送されている部品および所定の姿勢でない状態で搬送されている部品のいずれか一方を判定する判定部と、判定部からの指示により、第1搬送路のV字状断面形状を形成する他方の斜面から気体を噴出させて部品を第1搬送路から第2搬送路に移動させることが可能なエアー噴出部と、を備え、判定部は、部品が所定の姿勢でない状態で搬送されている部品と判定した場合、エアー噴出部から気体を噴出させることにより所定の姿勢でない状態で搬送されている部品に対して回転モーメントを発生させ、部品が突起部を軸として第1搬送路から第2搬送路に移動できるようにするものである。
【0014】
本発明に係る部品供給装置においては、V字状断面形状からなる第1搬送路とR形状底部を有する断面形状からなる第2搬送路とが並行して設けられ、第1搬送路と第2搬送路との間には、部品の一の稜線と同じ長さまたはそれ以上の長さを有する凸形状の突起部が設けられる。また、第1搬送路の他方の斜面には、エアー噴出部が設けられる。
【0015】
この場合、判定部により搬送される部品の姿勢の状態が、所定の姿勢であるか姿勢でないかが判定され、所定の姿勢でない状態で搬送されている部品に対してエアー噴出部から気体が噴出される。それにより部品に回転モーメントが加えられ、突起部を軸として第1搬送路から第2搬送路に部品が移動される。その結果、第1搬送路においては正常な姿勢の部品のみが搬送され、第2搬送路においては所定の姿勢でない状態から反転された部品のみが搬送される。また、第1搬送路から第2搬送路に部品が反転される場合、突起部の働きにより部品に効率良く回転モーメントを与えることができる。さらに、反転後の第2搬送路がR形状底部を有する断面形状からなるので、反転後の部品の整列能力を高めることができる。
【0016】
さらに、突起部が、第1搬送路を搬送される部品が所定の姿勢の状態の所定の面の長さ以上の位置に形成されるので、第1搬送路および第2搬送路において移送される部品間の干渉を防止することができる。したがって、第1搬送路を移送される部品の動きが、当該部品の直後で第2搬送路を移送される部品の動きに影響を与えない。
【0017】
(2)
部品供給装置は、第1搬送路を移送される部品および第2搬送路を移送される部品を合流させて移送させる第3搬送路をさらに備え、第3搬送路は、第1合流部、第2合流部および第3合流部を有し、第1合流部、第2合流部および第3合流部の順に接続され、第1合流部は、第1搬送路に接続される第1接続搬送路および第2搬送路に接続される第2接続搬送路を有し、第1接続搬送路は、第2接続搬送路よりも鉛直方向において低く配置されるように設けられ、第2接続搬送路は、部品を搬送するR形状底部を有する第1接続搬送路側の一曲面を滑らかに連続して徐々に減らして、移送される部品を滑らかに第1接続搬送路に移動させることが可能な斜面を有し、第2合流部は、姿勢調整搬送路を有し、姿勢調整搬送路は、第1接続搬送路に接続されるV字状断面形状から滑らかに連続してR形状底部を有する形状に変化する断面形状を有し、第3合流部は、第2合流部に接続され、滑らかに連続してR形状底部を有する形状からV字状断面形状に変化するものである。
【0018】
部品の表裏面の有無があり、所定の姿勢の状態で搬送される部品と所定の姿勢でない状態で搬送される部品との相違が、部品の表裏の相違である場合、第1接続搬送路には、所定の姿勢の部品が搬送され、第2接続搬送路には、反転された部品が搬送される。そして、所定の姿勢の部品および反転された部品が第1接続搬送路に移動され、第1接続搬送路を形成するV字状断面形状の一方の斜面に所定の姿勢の部品が支持され、他方の斜面に反転された部品が支持される。そして、R形状底部を有する断面形状により形成された姿勢調整搬送路に滑らかに連続して変形することにより、所定の姿勢の部品と反転された部品とが、相対的に90度ずれた状態の姿勢に調整される。その後、V字状断面形状により形成された第3合流部を一律の姿勢に調整された部品が搬送される。その結果、第1接続搬送路所定の姿勢でない部品が所定の姿勢の部品と同様に所定の姿勢の状態に調整されて、第3搬送路においてV字状断面形状で支持されるので、高速搬送を行うことができる。
【0019】
(3)
判定部は、部品の姿勢を検知する検知手段と、検知手段からの信号に基づいて部品の姿勢を判定する姿勢判定部とを備えてもよい。
【0020】
この場合、検知手段により部品の姿勢を検知することができ、姿勢判定手段により部品の姿勢が判定される。その結果、判定部は、正確に部品の姿勢を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。本発明に係る部品供給装置の一例として、微小な部品を搬送する微小部品供給装置に適合させた場合について説明を行う。
【0022】
(一実施の形態)
図1および図2は、本発明に係る一実施の形態に係る微小部品供給装置100の一例を示す模式的斜視図である。図1は微小部品供給装置100の上面を示し、図2は微小部品供給装置100の側面を示す。
【0023】
図1および図2に示すように、微小部品供給装置100は、パーツフィーダ200、リニア型パーツフィーダ300およびステージ900を含む。また、図2に示すように、パーツフィーダ200は、ボウル状搬送部210と圧電式振動部220とを含む。リニア型パーツフィーダ300の詳細な構成については後述する。
【0024】
本実施の形態における微小部品供給装置100においては、ステージ900上にパーツフィーダ200およびリニア型パーツフィーダ300が設けられる。パーツフィーダ200の微小部品排出部211には、リニア型パーツフィーダ300の微小部品搬入部311が接続されている。さらに、リニア型パーツフィーダ300の微小部品還流路317には、パーツフィーダ200の受け入れ路217が接続されている。
【0025】
図2のパーツフィーダ200の圧電式振動部220により発振された振動が、圧電式振動部220の上部に載置されたボウル状搬送部210に与えられる。ボウル状搬送部210内には、ボウル状搬送部210の内周に沿って螺旋状の微小部品搬送路が設けられる(図1参照)。ボウル状搬送部210の中央底部に微小部品800(図3参照)が供給され、圧電式振動部220からの振動により微小部品800が螺旋状の搬送路上を搬送され、微小部品排出部211からリニア型パーツフィーダ300の微小部品搬入部311に与えられる。
【0026】
また、後述するように、リニア型パーツフィーダ300には、圧電式振動部302が設けられており(図4参照)、圧電式振動部302により発振された振動が、リニア型パーツフィーダ300の各搬送路に与えられる。それにより、微小部品供給装置100は、微小部品供給装置100の次工程に微小部品800を供給することができる。
【0027】
また、リニア型パーツフィーダ300の搬送路内において所定姿勢に整理されなかった微小部品800が存在する場合、または次工程においてトラブルが生じて次工程側に微小部品800を搬送させないようにする場合、還流部材325により微小部品800が、微小部品還流路317からパーツフィーダ200の受け入れ路217を介してボウル状搬送部210の中央底部に戻される。
【0028】
次に、図3は本実施の形態において搬送される微小部品800の形状の一例を示す模式的斜視図である。
【0029】
図3に示すように、微小部品800は、長さL、高さH、幅Bを有する直方体からなる。長さL、高さHおよび幅Bの関係は、H<B<Lの関係を有する。このように、微小部品800は平板状の微小部品からなる。本実施の形態においては、図3に示すように、幅Bおよび長さLから形成される面のうち、一方の面を面810と呼ぶ。また、微小部品800の一角を点P800として設定する。これの面810および点P800は、搬送時における部品の姿勢の説明時に用いる。
【0030】
また、微小部品供給装置100は、微小部品800の一方の面に電極が形成されたものである場合が多く、一般に微小部品800の大きさは、長さLが3.2mm〜8mm程度であり、幅Bが2.5mm〜5.0mm程度であり、高さHが0.8mm〜1.7mm程度である。
【0031】
次に、図4は、リニア型パーツフィーダ300の詳細を示す側面図である。
【0032】
リニア型パーツフィーダ300は、防振台301、圧電式振動部302、振動伝達部303、第1搬送部材320、第2搬送部材330、接続部材340および第3搬送部材350を含む。
【0033】
図4に示すように、防振台301の上部には、圧電式振動部302が複数の防振用板ばね380により保持される。圧電式振動部302の上部には、振動伝達部303が複数の板ばね390により保持される。振動伝達部303の上部には、第1搬送部材320が固定され、第1搬送部材320の一端側には、第2搬送部材330が接続され、第1搬送部材320の側面には、接続部材340が併設される。また、第1搬送部材320には複数の板ばね360を介して第3搬送部材350が設けられる。
【0034】
以上の構成により、圧電式振動部302により発振された振動は、板ばね380により第1搬送部材320および第2搬送部材330に伝えられ、さらに板ばね360により第3搬送部材350に伝えられる。
【0035】
なお、本実施の形態に置いては、圧電式振動部302により振動が発振されることとしたが、これに限定されず、振動伝達部303により振動が発振されるようにし、発振される振動に対して圧電式振動部302が錘の役割(錘部)を有するように構成してもよい。
【0036】
次いで、図5および図6は第1搬送部材320、第2搬送部材330、接続部材340および第3搬送部材350の詳細を説明するための図である。図5は上面を示し、図6は側面を示す。
【0037】
図5および図6に示すように、第1搬送部材320は、微小部品搬入部321、傾斜姿勢搬送部322、姿勢調整搬送部323および合流搬送部324からなる。
【0038】
微小部品搬入部321には微小部品搬入路311が設けられ、傾斜姿勢搬送部322には断面がV字状からなる微小部品傾斜姿勢搬送路312が設けられ、姿勢調整搬送部323にはV字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333が設けられる。また、合流搬送部324には、合流搬送路314が設けられる。
【0039】
また、搬送路313から直線状に接続された第2搬送部材330には、搬送路315が設けられる。さらに、第1搬送部材320に併設された接続部材340には、搬送路316が設けられる。
【0040】
第3搬送部材350には、微小部品搬入路311、微小部品傾斜搬送路312、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333、合流搬送路314と並行するように、還流搬送路317が設けられる。
【0041】
搬送路313の分岐点には、微小部品800の還流部材325が設けられている。この還流部材325は、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333と、搬送路316との間で微小部品800の搬送方向を切り替え可能に設けられる。例えば、微小部品供給装置100の次工程において、微小部品供給装置100からの微小部品800の供給を一時停止したい場合に、還流部材325を搬送路316側に切り替える。それにより、微小部品搬入路311、微小部品傾斜搬送路312、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333により搬送されてきた微小部品800が、搬送路316および還流搬送路317によりパーツフィーダ200側に還流される。
【0042】
続いて、図5および図6に示した姿勢調整搬送部323について説明する。
図7は姿勢調整搬送部323のV字姿勢調整搬送路313内を微小部品800が搬送される状態の一例を示す模式的断面図であり、図8は姿勢調整搬送部323の反転搬送路333に微小部品800が反転される状態の一例を示す模式的断面図である。図7および図8は図5のA−A線断面を示すものである。
【0043】
図7に示すように、傾斜調整搬送部323は、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333を有する。V字姿勢調整搬送路313は、斜面313aおよび斜面313bを含むV字状断面形状からなり、エアー噴出部410が斜面313aに垂直方向に設けられる。反転搬送路333は、R形状曲線333bおよび直線333aを含むR形状を有する断面形状からなる。反転搬送路333は、V字姿勢調整搬送路313と並行して設けられている。R形状曲線333bと斜面313bとの結合部において突起部PTが形成される。
【0044】
図7においては、微小部品800の面810が、斜面313aと対向する遠方の面に位置しており、V字状断面形状に形成された下頂点P1において、微小部品800の点P800を含む一稜線が支持されている。本実施の形態においては、微小部品800aの姿勢の状態が、所定の姿勢の状態であると定める。
【0045】
一方、図8に示すように、微小部品800の面810が斜面313aに対向するような姿勢で搬送されている。本実施の形態において微小部品800bの姿勢が、所定の姿勢の状態でないと定める。
【0046】
この場合、微小部品800bに対してエアー噴出部410からエアーが噴射される。なお、エアー噴出部410の動作は、センサ(図示せず)等の検知装置により微小部品800a,800bの姿勢を判定させ、その判定結果に基づいてエアーを噴出させることが好ましい。具体的には、面810のセンシングにより、微小部品800a,800bの姿勢を判定させる方法等がある。
【0047】
微小部品800bは、エアーが噴射されることにより、点P800が突起部PTに接触し、微小部品800b自体に回転モーメントが生じ、突起部PTを軸として矢印Rの方向に回転する。この場合の微小部品800の姿勢を微小部品800cとする。
【0048】
微小部品800cは、面810を鉛直方向上向けに位置させた状態である。この場合、微小部品800cは、反転搬送路333のR形状曲線333b上に支持される。ここで、仮にエアー噴出部410からの気体の噴射力が強い場合であっても、微小部品800の一端が、直線333aにより滑らかにすべり落ち、R形状曲線333bに支持される。このR形状曲線333bは、微小部品800cを隣り合う稜線を支持する。そのため、R形状曲線333bと微小部品800cとの間には、隙間が形成され、反転搬送路333において微小部品800cがR形状曲線333bに張り付くことを防止することができる。
【0049】
次に、図7および図8に示した姿勢調整搬送部323の他の例について説明する。図9、図10、図11は姿勢調整搬送部323の他の例を示す模式的断面図であり、図12は姿勢調整搬送部323の効果を示すための比較例を示す模式的断面図である。
【0050】
図9に示すように、姿勢調整搬送部323の反転搬送部333における直線333aの代わりに、直線333cを含む鉛直面を有してもよい。それにより、仮にエアー噴出部410(図示略)からの気体の噴射が強い場合であっても、直線333cを含む鉛直面に接触して、微小部品800がU字曲線333bに支持される。
【0051】
次に、図9においては、斜面313aの傾斜角度αが水平面に対して40度の角度を有するように設けられている。一方、図10においては、斜面313aの傾斜角度αが水平面に対して25度の角度を有するように設けられている。なお、本実施の形態においては、傾斜角度αが40度と25度との場合について説明したが、これに限定されず、他の任意の傾斜角度であってもよい。この傾斜角度αは、微小部品800の重量およびエアー噴出部410からの気体の噴射に依存し得る。
【0052】
続いて、図11においては、突起部PTの位置が微小部品800の高さHよりも長い状態である。この場合、反転させた微小部品800cは、確実に反転搬送路333内を搬送され、V字姿勢調整搬送路313に再び反転するおそれを完全に防止することができる。
【0053】
また、比較例となる図12に示す搬送路990においては、部品800xの姿勢を部品800yの姿勢に反転させて移動させる構造を有している。ここで、図12に示す搬送路990においては、部品800xと部品800yとの間で重複する部分800xyが生じる。そのため、部品800xと部品800yとが前後に並んで移送される場合、一方の動きにより他方の部品の動きに影響が発生する。したがって、部分800xyにおいて前後の部品同士が擦れ合う状態が生じるため、部品間の揺れの伝達、搬送速度の相違による搬送速度の低下、部品の劣化、損傷が生じやすくなり、次工程において問題が生じる。
【0054】
一方、本実施の形態における図7から図11に示す姿勢調整搬送部323においては、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333を搬送される微小部品800a,800cのいずれもが、重複する部分を有さない。したがって、搬送時において、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333のいずれもが単独で搬送されることとなり、V字姿勢調整搬送路313における微小部品800aの搬送速度が、反転搬送路333における微小部品800cの搬送速度よりも速い場合であっても、また、逆の場合であっても、各々独立して搬送を行うことができ、互いに部品の干渉を生じさせないため、次工程における影響も防止することができる。
【0055】
次いで、図13および図14は、図5の姿勢調整搬送部323、合流搬送部324の断面形状を説明するための模式的断面図である。
【0056】
図13は、姿勢調整搬送部323のV字姿勢調整搬送路313に接続される合流搬送部324の第1接続搬送路314について示し、図14は、姿勢調整搬送部323の反転搬送路333に接続される合流搬送部324の第2接続搬送路314について示す。なお、図13および図14においては、同一の搬送路314について説明をしているが、説明上、V字姿勢調整搬送路313に接続される第1接続搬送路314と、反転搬送路333に接続される第2接続搬送路314とが接続されるので、当該搬送経路における部品に基づいて説明を行う。
【0057】
図13(a)は図7に示したV字姿勢調整搬送路313の断面(図5に示すA−A断面)を示し、図13(b),(c)は合流搬送部324における合流搬送路314の第1接続搬送路314の断面(図5に示すB−B断面)を示す。同様に、図14(a)は図8に示す反転搬送路333の断面(図5に示すA−A断面)を示し、図14(b),(c),(d)は合流搬送部324における合流搬送路314の第2接続搬送路314の断面(図5に示すB−B断面)を示す。
【0058】
図13(a)に示すように、斜面313a、斜面313bに微小部品800が所定の姿勢で支持されている。そして、図13(b)に示すように、第1合流搬送路314においては、斜面313aが斜面314aに徐々に滑らかに変化し、斜面313bが斜面314bに徐々に滑らかに変化する。この場合、斜面314bは、矢印Z1の方向に徐々に滑らかに移動するように形成されており、微小部品800aが、矢印Z1の方向に徐々に滑らかに移動する。そして、図13(c)に示すように、斜面314は、後述する斜面314eの直線上に延在する位置まで移動する。この場合、所定の姿勢の微小部品800aは、斜面314aと対向する遠方の面に位置する姿勢を維持する。なお、この場合、判定装置は、検出装置等からの信号により微小部品800aが、所定の姿勢の状態であるとエアー噴出部410から気体を噴出させない。
【0059】
一方、図14(a)に示すように、反転搬送路333を形成していたR形状曲線が、斜面314c、314d、314eにより形成される第1合流搬送路314の一部に接続される。この図14(a)に示す微小部品800bは、判定装置により検出装置からの信号に応じてエアー噴出装置410より気体が噴出され、微小部品800cの姿勢に変化される。
【0060】
斜面314a、314b、314eにより形成される第1合流搬送路314は、反転搬送路333を形成していたR形状曲線の領域を徐々に減少させていく。すなわち、突起部PTが斜面314e側に徐々に下頂点P3まで移動し、微小部品800cの全底面を支持しないように連続的に滑らかに変形する。そして、斜面314cにおいて曲面314bcが形成される。それにより図14(c)に示すように、微小部品800cは、曲面314bcおよび斜面314bを滑落し、矢印Z2の方向に移動する。そして、図14(d)に示すように、微小部品800dの姿勢に変化される。この微小部品800dは、面810が斜面314bと対向する遠方の面に位置するように設けられる。
【0061】
次に、図15は、図13および図14に示した合流搬送部314における第1接続搬送路314および第2接続搬送路314の微小部品800aおよび微小部品800dの状態を示す模式図である。図15(a)は図13(c)を示し、図15(b)は図14(d)を示し、図15(c)は図13(c)と図14(d)とを重ね合わせた状態を示す。
【0062】
図15(c)に示すように、微小部品800aは、斜面314a側に寄り添った状態で搬送され、微小部品800dは斜面314bに寄り添った状態で搬送される。この場合、微小部品800aの面810は、斜面314aと対向する遠方の面に位置し、微小部品800dの面810は、斜面314bと対向する遠方の面に位置する。
【0063】
次いで、図16は、図15に示した第1合流搬送路314の下流の第2合流部を説明するための模式的断面図である。図16(a)〜(d)は、第1合流搬送路314の下流に位置する第2合流部を形成する姿勢調整搬送路3141を示す。なお、図16(d)は、図5におけるC−C断面図を示す。
【0064】
図16(a)〜(d)に示すように、第2合流部の姿勢調整搬送路3141は、V字状搬送路からU字状搬送路に変化するように形成される。
【0065】
まず、図16(a),(b)に示すように、V字状断面形状を形成する斜面314aが、矢印Y1の方向に傾斜して斜面314a1を形成し、斜面314bが矢印Y2の方向に傾斜して斜面314b1を形成する。この場合、微小部品800aは斜面314a1に主に寄り添って移送され、微小部品800bは斜面314b1に主に寄り添って移送される。
【0066】
続いて、図16(c)に示すように、斜面314a1が徐々に湾曲して斜面314a2を形成し、斜面314b1が徐々に湾曲して斜面314b2を形成する。また、V字状搬送路の下頂点P2の近傍は、微小部品800aおよび微小部品800dの一稜線を保持する形状になり、その後、図16(d)に示すように、下頂点P2を中心として斜面314a3および斜面314b3によりR形状を有する断面形状が形成される。
【0067】
この場合、微小部品800aは、微小部品800aの一稜線が下頂点P2の近傍に保持され、斜面314a2、斜面314a3に移動することとなる。この場合、微小部品800aの面810は、鉛直上面に位置することとなる。
【0068】
一方、微小部品800dは、微小部品800dの一稜線が下頂点P2の近傍に保持され、斜面314b2、斜面314b3に移動することとなる。この場合、微小部品800dの面810は、鉛直上面に位置することとなる。よって、微小部品800a、800dは、いずれも同じ微小部品800eの姿勢に調整される。
【0069】
次に、図17は合流搬送部324の第3合流搬送路3142を説明するための模式的断面図である。
【0070】
図17(a)は、図16の第2合流搬送路3142を示し、図17(b),(c)は、第3合流搬送路314を示す。なお、図17(a)は図5におけるC-C断面を示す。
【0071】
図17(a)〜(c)に示すように、第3合流搬送路3142は、底部にR形状を有する搬送路からV字状搬送路に変化するように形成されている。まず、図17(a)に示すように、斜面314a3および斜面314b3からなる第3合流搬送路3142は、微小部品800eの面810を鉛直上向きに支持する。
【0072】
次に、図17(b)に示すように、斜面314a3は、直線状からなる斜面314a4に変形し、斜面314b3は斜面314b4に変形する。この場合、斜面314a4が直線状に変化した後に、斜面314b3が斜面314b4に変化するので、微小部品800eは、微小部品800fの姿勢に一率に変化する。そして、図17(c)に示すように、斜面314a4が斜面314a5に連なり、斜面314b4が直線状からなる斜面314b5に変化する。その結果、V字状断面形状に所定の姿勢で微小部品800gが搬送される。
【0073】
以上のように、搬送される微小部品800の姿勢の状態が、所定の姿勢であるか姿勢でないかが判定され、所定の姿勢でない状態で搬送されている微小部品800bに対してエアー噴出部410から気体が噴出される。それにより微小部品800に回転モーメントが加えられ、突起部を軸としてV字姿勢調整搬送路313から反転搬送路333に微小部品800bが移動される。その結果、V字姿勢調整搬送路313においては正常な姿勢の微小部品800aのみが搬送され、反転搬送路333においては所定の姿勢でない状態から反転された微小部品800bのみが搬送される。また、V字姿勢調整搬送路313から反転搬送路333に微小部品800bが反転される場合、突起部PTの働きにより微小部品800bに効率良く回転モーメントを与えることができる。さらに、反転後の反転搬送路333がR形状底部を有する断面形状からなるので、反転後の微小部品800cの整列能力を高めることができる。
【0074】
さらに、突起部PTが、V字姿勢調整搬送路313を搬送される微小部品800aが所定の姿勢の状態の所定の面の長さ以上の位置に形成されるので、V字姿勢調整搬送路313および反転搬送路333において移送される微小部品800a,800c間の干渉を防止することができる。したがって、V字姿勢調整搬送路313を移送される微小部品800aの動きが、当該微小部品800aの直後で反転搬送路333を移送される微小部品800cの動きに影響を与えない。同様に、反転搬送路333を移送される微小部品800cの動きが、当該微小部品800cの直後でV字姿勢調整搬送路313を移送される微小部品800aの動きに影響を与えない。
【0075】
また、R形状底部を有する断面形状により形成された第2合流部の姿勢調整搬送路3141に滑らかに連続して変形することにより、所定の姿勢の微小部品800aと反転された微小部品800cとが、相対的に90度ずれた状態の姿勢に調整され、その後、V字状断面形状により形成された第3合流部3142を一律の姿勢に調整された微小部品800gが搬送される。その結果、反転搬送路333の所定の姿勢でない微小部品800cが所定の姿勢の部品800aと同様に所定の姿勢の状態(微小部品800g)に調整されて、合流搬送路314においてV字状断面形状314a5,314b5で支持されるので、高速搬送を行うことができる。
【0076】
上記の実施の形態においては、パーツフィーダ200が部品貯留部に相当し、微小部品800が部品に相当し、第1搬送部材320、第2搬送部材330、接続部材340および第3搬送部材350が搬送路に相当し、リニア型パーツフィーダ300が部品供給装置に相当し、V字姿勢調整搬送路313が第1搬送路に相当し、反転搬送路333が第2搬送路に相当し、下頂点P1,P2,P3が下頂点に相当し、突起部PTが頂部および突起部に相当し、微小部品800aが所定の姿勢の状態で搬送されている部品に相当し、微小部品800bが所定の姿勢でない状態で搬送されている部品に相当し、エアー噴出部410がエアー噴出部に相当し、合流搬送路314の第3合流搬送路3142が第3搬送路に相当し、第1接続搬送路314および第2接続搬送路314が第1合流部に相当し、姿勢調整搬送路3142が第2合流部に相当する。
【0077】
本発明は、上記の好ましい実施の形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る一実施の形態に係る微小部品供給装置の一例を示す模式的斜視図
【図2】本発明に係る一実施の形態に係る微小部品供給装置の一例を示す模式的斜視図
【図3】本実施の形態において搬送される微小部品の形状の一例を示す模式的斜視図
【図4】リニア型パーツフィーダの詳細を示す側面図
【図5】第1搬送部材、第2搬送部材、接続部材および第3搬送部材の詳細を説明するための図
【図6】第1搬送部材、第2搬送部材、接続部材および第3搬送部材の詳細を説明するための図
【図7】姿勢調整搬送部の姿勢調整搬送路内を微小部品が搬送される状態の一例を示す模式的断面図
【図8】姿勢調整搬送部の反転搬送路に微小部品が反転される状態の一例を示す模式的断面図
【図9】姿勢調整搬送部の他の例を示す模式的断面図
【図10】姿勢調整搬送部の他の例を示す模式的断面図
【図11】姿勢調整搬送部の他の例を示す模式的断面図
【図12】姿勢調整搬送部の効果を示すための比較例を示す模式的断面図
【図13】図5の姿勢調整搬送部、合流搬送部の断面形状を説明するための模式的断面図
【図14】図5の姿勢調整搬送部、合流搬送部の断面形状を説明するための模式的断面図
【図15】図13および図14に示した第1合流搬送部における微小部品および微小部品の状態を示す模式図
【図16】図13および図14に示した第1合流搬送部における微小部品および微小部品の状態を示す模式図
【図17】合流搬送部の第3合流搬送路を説明するための模式的断面図
【符号の説明】
【0079】
200 パーツフィーダ
800 微小部品
320 第1搬送部材
330 第2搬送部材
340 接続部材
350 第3搬送部材
300 リニア型パーツフィーダ
313 姿勢調整搬送路
333 反転搬送路
P1,P2,P3 下頂点
PT 突起部
800,800a,800b 微小部品
410 エアー噴出部
314 第1合流部の第1接続搬送路および第2接続搬送路
3141 第2合流部の姿勢調整搬送路
3142 第3合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品貯留部から供給される部品に振動を付与し搬送路上を移送させる部品供給装置であって、
前記搬送路は、
搬送路の断面がV字状断面形状からなる第1搬送路と、
前記第1搬送路に沿って並行に配置され、搬送路の断面がR形状底部を有する第2搬送路と、
前記第1搬送路のV字状断面形状を形成する一方の斜面および前記第2搬送路のR形状底部を形成する曲面の一部により凸形状として形成され、かつ前記第1搬送路のV字状断面形状の下頂点から前記凸形状の頂部までの長さが、前記部品が所定の姿勢の状態の場合に前記一方の斜面に接する面の長さ以上の長さを有するように形成された突起部と、
前記所定の姿勢の状態で搬送されている部品および所定の姿勢でない状態で搬送されている部品のいずれか一方を判定する判定部と、
前記判定部からの指示により、前記第1搬送路のV字状断面形状を形成する他方の斜面から気体を噴出させて前記部品を前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動させることが可能なエアー噴出部と、
を備え、
前記判定部は、前記部品が前記所定の姿勢でない状態で搬送されている部品と判定した場合、前記エアー噴出部から気体を噴出させることにより前記所定の姿勢でない状態で搬送されている部品に対して回転モーメントを発生させ、前記部品が前記突起部を軸として前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動できるようにすることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記第1搬送路を移送される部品および前記第2搬送路を移送される部品を合流させて移送させる第3搬送路をさらに備え、
前記第3搬送路は、第1合流部、第2合流部および第3合流部の順に接続され、
前記第1合流部は、前記第1搬送路に接続される第1接続搬送路および前記第2搬送路に接続される第2接続搬送路を有し、
前記第1接続搬送路は、前記第2接続搬送路よりも鉛直方向において低く配置されるように設けられ、
前記第2接続搬送路は、部品を搬送するR形状底部を有する前記第1接続搬送路側の一曲面を滑らかに連続して徐々に減らして、移送される前記部品を滑らかに前記第1接続搬送路に移動させることが可能な斜面を有し、
前記第2合流部は、姿勢調整搬送路を有し、
前記姿勢調整搬送路は、前記第1接続搬送路に接続されるV字状断面形状から滑らかに連続してR形状底部を有する形状に変化する断面形状を有し、
前記第3合流部は、前記第2合流部に接続され、滑らかに連続してR形状底部を有する形状からV字状断面形状に変化することを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記部品の姿勢を検知する検知手段と、
前記検知手段からの信号に基づいて前記部品の姿勢を判定する姿勢判定部とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−276993(P2007−276993A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109003(P2006−109003)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】