説明

部品送出制御装置

【課題】 部品の移動軌跡を簡素化し送出時間を短縮できる部品送出制御装置を提供する。
【解決手段】 断面が円形で少なくとも片側の端面3が平坦になっている部品1を送出制御の対象とするものであって、導入通路19から進入口27をへて送出通路28の待機位置に入った部品1を、進退可能なプッシャ部材33で押出して送出する形式のものにおいて、プッシャ部材33の押出し側前部34に部品送出用空気を噴射する噴射口35が設けられている。これによりプッシャ部材33の進行方向と空気噴射による部品の送出方向とが同じ方向となり、部品1の移動軌跡を簡素化し送出時間を短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている部品の送出制御装置に関している。
【背景技術】
【0002】
特公平7−90893号公報や特許第2521557号公報には、円柱状の部品やフランジ付きのボルトを、一つずつ送出する装置が開示されている。これらの装置においては、導入通路から進入口をへて送出通路に入ってきた部品を、プッシャ部材によって部品の軸線に直交する方向に移動させ、所定の位置に移動した部品に今度は部品の軸線方向に空気を噴射して、目的箇所へ送出するようになっている。
【0003】
しがたって、部品は空気噴射がなされる箇所へプッシャ部材によって移動させられ、そこからほぼ90度変向した方向へ空気搬送がなされる。
【特許文献1】特公平7−90893号公報
【特許文献2】特許第2521557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような形式のものにおいては、プッシャ部材で部品を一つずつ部品の軸線に直交する方向へ移動させる動作と、その部品が所定の位置に移動した後、この移動方向とは直交する向きに空気噴射で送出する動作によって送出制御がなされている。
【0005】
前記のようにプッシャ部材で部品が移動させられる方向と、空気噴射で送出される方向とがほぼ直角になった関係であると、部品の移動経路が直角に折れ曲がったものとなるために、折れ曲がる箇所で部品を一旦停止しそれから向きを変えて送出されることとなる。したがって、部品の移動を円滑に行うことが困難になる。また、このように折れ曲がった移動経路であるから、部品送出の時間短縮を図ることが困難になる。さらに、空気噴射を行う構造を装置のいずれかの箇所に設置する必要があり、構造的なまとまりの点でも好ましくない。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、部品の移動軌跡を簡素化し送出時間を短縮できる部品送出制御装置を提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている部品を送出制御の対象とするものであって、導入通路から進入口をへて送出通路の待機位置に入った前記部品を、進退可能なプッシャ部材で押出して送出する形式のものにおいて、前記プッシャ部材の押出し側前部に部品送出用空気を噴射する噴射口が設けられていることを特徴とする部品送出制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
前記導入通路から進入口をへて送出通路の待機位置に入った1つの部品を、プッシャ部材で押出して待機位置から所定の箇所まで移動させる。この移動に引き続いて前記噴射口から部品送出用空気が噴射され、部品はプッシャ部材の進出方向と同方向に送出されて行く。
【0009】
上述のように、プッシャ部材の押出し側前部が、例えば、進入口を過ぎた所定の位置に達してから、プッシャ部材前部の噴射口から空気噴射がなされるので、部品はプッシャ部材で移動させられた方向と同方向に送出される。したがって、部品は待機位置から直線的な移動を呈して送出されてゆくので、部品の移動軌跡が単純化されて円滑な送出がなされる。また、プッシャ部材の前部位置から空気噴射がなされるので、プッシャ部材の移動による部品移行と空気噴射による部品送出とが一連の動きのもとでおこなわれる。しがたって、部品送出時間の短縮にとって効果的である。さらに、プッシャ部材の押出し側前部に噴射口が形成してあるので、空気噴射のための構造が簡素化される。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記プッシャ部材が前進して前記進入口を遮断した後、前記噴射口から空気噴射を行うようにする空気噴射制御手段が設けられている請求項1記載の部品送出制御装置である。
【0011】
前記空気噴射制御手段の動作により、プッシャ部材が進入口を閉塞した後、噴射口から空気噴射がおこなわれる。したがって、噴射された空気は進入口から漏洩することなく部品に対して十分に噴射されて、部品送出が確実になされる。また、プッシャ部材による部品の移動動作と空気噴射とが区分されているので、部品はプッシャ部材で所定の箇所まで正確に移動させられてから空気噴射を受けることになる。したがって、プッシャ部材の前部に位置している部品に対して強い空気噴射を付与して、部品の初期移動を確実に行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記導入通路の底面と前記送出通路の底面が連続した状態で設置されているとともに、部品の平坦な端面が前記両底面を摺動しながら移送されるように構成し、前記噴射口の配置位置は、部品の中心軸線からずれた箇所に空気を噴射するように設定されている請求項1または請求項2記載の部品送出制御装置である。
【0013】
部品の平坦な端面が前記両底面を摺動しているので、部品の質量に対する噴射空気の動圧が小さいものであると、部品は摺動しにくくなる。しかし、噴射口からの空気噴射は部品の中心軸線からずれた箇所に吹き付けられるので、部品は上記のずれた側とは反対側に寄せ付けられ、それにより部品の円筒面が送出通路の内側縦壁面に押し付けられた状態になり、同時に、中心軸線から片寄った空気噴射によって部品に回転力が付与される。したがって、部品は送出通路の内側縦壁面を転動するような挙動を呈することとなり、質量の大きな部品に対して小さな空気噴射力であっても部品を移送することができるのである。すなわち、部品の円筒面が送出通路の内側縦壁面に押し付けられることと、部品に回転力が付与されることとが複合することにより、部品が転動しながら送出されるのである。このようにして前記両底面上を摺動している部品に対して、十分な初期移動力が付与されて円滑な部品送出が開始されるのである。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記送出通路の底面を導入通路から遠くなる側が低くなるように傾斜させて、この底面上を部品の平坦な端面が摺動可能であるとともに、部品の円筒面が前記傾斜によって低くなった側の内側縦壁面に接触するように構成し、前記噴射口のずれは部品の中心軸線から前記傾斜の高い側にずれている請求項3記載の部品送出制御装置である。
【0015】
前記送出通路の底面を導入通路から遠くなる側が低くなるように傾斜させてあり、これに加えて上述の噴射口が部品の中心軸線から前記傾斜の高い側にずれている。したがって、上述のように部品が片側に押し付けられて送出通路の内側縦壁面を転動する動作に加えて、部品の円筒面が傾斜によってさらに内側縦壁面に押し付けられることとなる。したがって、内側縦壁面に対する部品の円筒面の接触圧が大きくなるので、円筒面はスリップすることなく確実に転動し、確実な初期移動力が確保できる。これと同時に、部品の傾斜によってその平坦な端面の底面に対する接触圧が低下するので、部品の回転現象が一層滑らかに行われ、円滑な送出がなされる。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記送出通路に対して前記導入通路がほぼ直交している請求項1〜請求項4のいずれかに記載の部品送出制御装置である。
【0017】
上述のように、送出通路に対して導入通路がほぼ直交しているので、送出通路の待機位置に入った部品を、導入通路とは完全に異なった方向にプッシャ部材によって移動させ、さらにプッシャ部材の移動方向と同方向に空気噴射で送出することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記プッシャ部材または送出通路を形成する部材の一部に、部品の背後に空気を吸い込む吸気通路が形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の部品送出制御装置である。
【0019】
プッシャ部材の噴射口からの動圧で初期移動がなされた部品は、噴射口からの空気噴流によって移送されて行くのである。しかし、空気噴流が直線的に部品を直撃しても、部品移動によって部品背後の圧力(静圧)は低下する現象が発生し、これによって部品の移動力が低下する。そこで部品の背後に空気を吸い込む吸気通路を形成することにより、部品背後の圧力(静圧)の低下を防止することができ、部品の送出が高速で確実に達成される。
【0020】
独立項である請求項7記載の発明は、断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている部品を送出制御の対象とするものであって、導入通路から進入口をへて送出通路の待機位置に入った前記部品を、進退可能なプッシャ部材で押出して送出する形式のものにおいて、前記導入通路の底面を傾斜させて、前記底面上を部品の平坦な端面が摺動可能であるとともに、部品の円筒面が前記傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面に接触するように構成したことを特徴とする部品送出制御装置である。
【0021】
前記導入通路の底面を傾斜させて、前記底面上を部品の平坦な端面が摺動可能であるとともに、部品の円筒面が前記傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面に接触するように構成されている。前記のように傾斜が付与されているので、部品の円筒面が確実に内側縦壁面に接触することとなる。したがって、内側縦壁面に対する部品の円筒面の接触圧が確保できるので、円筒面はスリップすることなく確実に転動し、導入通路における確実な部品移動が可能となる。上述のように、部品に回転力が付与されるため、部品の質量が大きくても滑らかに部品移動が達成される。とくに、導入通路に部品の進行方向が低くなる下り傾斜が付与してある場合においては、この下り傾斜が緩くても円滑に部品移動が達成される。また、導入通路が水平で搬送振動を付与する形式の場合においても、部品に回転が付与されるので、円滑な移送が実現する。これと同時に、部品の傾斜によってその平坦な端面の底面に対する接触圧が低下するので、部品の回転現象が一層滑らかに行われ、円滑な送出がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
つぎに、本発明の部品送出制御装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例における部品1は、図4(C)に示すように、断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている鉄製の部材である。ここでは部品1は円筒形であり、部品1の軸線に対して垂直になった端面2,3が形成され、この端面は少なくとも片側が平坦になっている。ここでは端面2,3の両方が平坦になっており、後述の導入通路や送出通路の底面に対しては、端面3が摺動するようになっている。また、部品1の外周面は円筒面4とされている。
【0024】
円形のボウル5と起振部6を備えたパーツフィーダ7から、部品1が起立した状態で送り出される。この送り出された部品1は、部品送出制御装置8に送給されて、ここで1つずつ送出される。図4(B)に示すように、部品送出制御装置8から送出された部品は、送出管9をとおって部品供給装置10に送られる。この送出管9は、ウレタン樹脂や塩化ビニールなどの柔軟性のある合成樹脂で作られている。
【0025】
部品1は部品供給装置10の一時係止ユニット11において仮止めされ、エアシリンダ12で進退する供給ロッド13の先端部に保持されて、溶接装置14に供給される。この溶接装置14は、電気抵抗溶接を行うものであり、ワークである鋼板部品15が載置された固定電極16と、これと同軸状態で配置されている可動電極17から構成され、鋼板部品15に固定電極16のガイドピン18が貫通した状態で突き出ている。
【0026】
前記エアシリンダ12が動作すると、供給ロッド13が一時係止ユニット11から部品1を送出し、図4(B)に2点鎖線で示すように、部品1がガイドピン18と同軸になった位置で供給ロッド13の進出が停止し、ついで部品1の保持が開放されてガイドピン18に供給される。その後、可動電極17が進出して部品1を加圧し、溶接電流が通電されて、部品1が鋼板部品15に溶接される。
【0027】
部品送出制御装置8の構造を、図1〜図3にしたがって説明する。
【0028】
前記パーツフィーダ7からの部品1を受入れる導入通路19が設けられており、この通路19は断面矩形の導入管20によって形成されている。この導入管20は、静止部材22に固定された支持部材23の上端に、部品移動方向側が低くなった傾斜状態で取り付けられている。そして、導入通路19の底面21上を部品1の端面3が摺動する。なお、導入管20は、上方に開放しているコ字型断面の長尺な部材24に蓋板25がボルト付けなどで固定されたものである。
【0029】
前記導入通路19の内側縦壁面26は、底面21に対して垂直な位置関係になっている。そして、導入通路19は図1(C)に示すように、その底面21が導入通路19の幅方向で見て片側に傾斜させてある。この傾斜角θ1は5度である。このような傾斜によって、部品1の円筒面4が傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面26に接触している。なお、前記傾斜角θ1は、3〜10の範囲内で選定されている。
【0030】
図1(B)は、理解しやすくするために、前記蓋板25を外した状態で図示してあり、(A)図のB矢視図である。導入通路19は進入口27をへて送出通路28に連通しており、導入通路19は送出通路28に対してほぼ直交した位置関係とされている。前記送出通路28は、断面矩形の送出管29によって形成され、管の構成は導入通路19のものと同じである。なお、送出通路28の底面30と導入通路19の底面21が連続した状態になっている。
【0031】
図1(A)や図3(B)に示すように、送出通路28の底面30は導入通路19から遠くなる側が低くなるように傾斜させてある。ここでは導入通路19自体の送出方向側が低く傾斜させてあること、すなわち装置8全体が傾斜させてあることによって、底面30の傾斜が付与されている。したがって、部品1はその端面3が底面30に摺動し、同時に円筒面4が前記傾斜によって低くなった側の内側縦壁面31に接触している。上述の傾斜角は、図1(A)や図3(B)にθ2として示されている。この傾斜角θ2は、15度であり、10〜30度の範囲内で選定されている。
【0032】
なお、導入通路19自体の傾斜角(θ2)が小さいときには、図1(A)に2点鎖線で示すように、バイブレータ32で導入通路19に移送振動を付与するようにすることもできる。
【0033】
前記送出通路28内に、進退可能な状態でプッシャ部材33が挿入されている。このプッシャ部材33は図1(D)に示すように、ほぼ直方体の形状をした部材で構成され、その押出し側前部34に空気の噴射口35が開口している。送出通路28の端部に端蓋36が取り付けられ、ここにエアシリンダ37が固定され、そのピストンロッド38がプッシャ部材33に結合されている。
【0034】
前記噴射口35は、図3(A)に示すように、部品1の中心軸線Oから前記傾斜(傾斜角θ2)の高い側にずらした箇所に開口させてある。この噴射口35に圧縮空気を導くために、通孔39がプッシャ部材33に設けてある。この通孔39の他端はプッシャ部材33の横側面に開口し、そこに接手管40が溶接してあり、そこに空気ホース41が接続してある。前記送出管29の横側面に、プッシャ部材33の進退方向と同じ方向に伸びる長孔42が設けてあり、ここを前記接手管40が貫通している。なお、図1(D)に示すように、噴射口35は1個であるが、これを2個あるいは3個にすることも可能である。
【0035】
上述のように、プッシャ部材33が進退したとき接手管40が長孔42内を移動するので、空気の供給通路を可動部分に設ける構造として、簡素化されたものが実現できるという効果がある。
【0036】
図1(B)に示すように、プッシャ部材33が左方に後退して部品1が列状に並んでいるとき、その先端の部品1だけが送出通路28内に位置するように、送出通路28の幅が設定されている。この先端の部品1が待機位置にある部品である。この待機位置に存在している部品の位置を確定させるために、進入口27の正面の内側縦壁面31に上下方向の浅い係止溝44が形成され、ここに部品1の円筒面4がはまり込むようになっている。この係止溝44は断面が円弧状になっていて円筒面4が密着する。円筒面4が係止溝44にはまり込んでいるときに、円筒面44はプッシャ部材33の押出し側前部34の前面にも接触するように、プッシャ部材33の後退位置が設定されている。
【0037】
部品1が係止溝44にはまり込むのと同時にプッシャ部材33の前面に接触した状態を安定した状態で維持するために、図1(F)に示すように、永久磁石45が上下に配置してある。永久磁石45は、下側のものは送出管29の下部に取り付けられ、上側のものは蓋板25に取り付けられている。また、同図(B)に示すように、永久磁石45は部品1を同図の斜め下方に吸引する位置に配置してある。
【0038】
このような位置に永久磁石45が配置してあるので、待機位置に入ってきた1つの部品1は、係止溝44にはまり込むのと同時にプッシャ部材33の前面にも接触し、安定した待機状態が確保できるという効果がある。
【0039】
図3(A)に示すように、プッシャ部材33が進入口27を閉塞した所定位置で停止する。それに引き続いて噴射口35から空気噴射がなされて部品1が送出されるとき、移動して行く部品1の背後の空気圧(静圧)が低下して部品送出が緩慢になるおそれがある。そのために部品の背後に外気を導入することが有効である。このような空気導入を行う吸気通路が、プッシャ部材33の上面に形成した通気溝46の形で形成してある。そして、図1(E)や図3(C)に示すように、前記端蓋36の上側に空気吸入口47が設けてある。
【0040】
このような吸気通路は、送給通路28を形成する部材の一部に設けてもよい。すなわち、図3(A)に示すように、送出管29の壁部材に斜め方向の通気孔52を設けるのである。
【0041】
前記エアシリンダ37の動作でプッシャ部材33が前進して図3(A)に示す位置、すなわちプッシャ部材33が進入口27を遮断した位置で停止する。この停止の後から噴射口35から空気噴射がなされる。このような順序で動作するようにするために、空気噴射制御手段50が設置してある。なお、プッシャ部材33が進入口27を閉塞しているときには、2番目の部品1はプッシャ部材33の横側面に当たって停止している。
【0042】
この空気噴射制御手段50は、種々な入力信号によって各種のエアシリンダを動作させたり、空気噴射用の空気切換弁を動作させたりする。ここでは、空気噴射制御手段50からの信号で空気切換弁51が動作され、それによってまずエアシリンダ37が進出してプッシャ部材33が図3(A)に示す位置に進出して停止する。この停止後、空気切換弁51から噴射口35に圧縮空気が供給されて、空気噴流が部品1の円筒面4に吹き付けられる。
【0043】
この吹き付けによって、図3(A)に示すように、噴射口35からの空気噴流は部品1の中心軸線Oからオフセットした箇所の円筒面4に吹き付けられ、隙間53から吹き抜けて行く。したがって、部品1には矢線54で示す方向の回転力が付与され、同時に円筒面4を内側縦壁面31に加圧する力が発生する。したがって、部品1の円筒面4が内側縦壁面31上を転動することとなり、確実な初期移動が確保される。なお、上記隙間53は、部品1が内側縦壁面31に接触することによって形成されるように、送出通路28の幅が設定されている。
【0044】
前記噴射口35は、プッシャ部材33の押出し側前部34の端部近くに開口しているが、これを図3(A)に2点鎖線で示すように、中心軸線Oからのオフセット量を小さくすることもできる。このようにオフセット量を小さくすることにより、部品1を強く右方へ送出することができる。
【0045】
図1(B)および(C)には、転倒した部品1を排出する排出口55が図示されている。この排出口55は、底面21の傾斜によって低くなった側の部材24に開口させてあり、(C)図のように、部品の円筒面4が底面21に接触するような転倒をしている場合に、部品1が低い側へ転動して自動的に排出できるようになっている。このような排出口55を設置しておくことにより、何等かの原因、例えば、パーツフィーダ7の動作不良によって転倒したまま部品1が送り出されてきたときに、自動的に転倒部品を排出できて装置の動作信頼性を向上させるという効果がある。また、この排出口55から工具等を挿入して導入通路19内の異物排除をすることも可能である。
【0046】
なお、図3(C)は、端蓋36を外して図1(E)の左側から見た図である。
【0047】
上述の実施例において、パーツフィーダ7としては、振動式ボウルの移送通路から送出するもの、回転板に取り付けた磁石で所定個数の部品を吸着してそれを送出通路から送出するもの、あるいは、回転円板で搬送通路に部品を移動させこの部品が移送通路から送出されるもの等いろいろなものが採用できる。この実施例では、振動式ボウルの移送通路から送出する形式のものが採用されている。
【0048】
上述の実施例において、進退動作用のエアシリンダが種々採用されているが、これに代えて、進退出力をする電動モータを採用してもよい。
【0049】
以上に説明した実施例の作用効果を列記すると、つぎのとおりである。
【0050】
上述のように、プッシャ部材33の押出し側前部34が、進入口27を過ぎた所定の位置に達してから、プッシャ部材前部の噴射口35から空気噴射がなされるので、部品1はプッシャ部材33で移動させられた方向と同方向に送出される。したがって、部品1は待機位置から直線的な移動を呈して送出されてゆくので、部品1の移動軌跡が単純化されて円滑な送出がなされる。また、プッシャ部材33の前部位置から空気噴射がなされるので、プッシャ部材33の移動による部品移行と空気噴射による部品送出とが一連の動きのもとでおこなわれる。しがたって、部品送出時間の短縮にとって効果的である。さらに、プッシャ部材33の押出し側前部34に噴射口35が形成してあるので、空気噴射のための構造が簡素化される。
【0051】
前記プッシャ部材33が前進して進入口27を遮断した後、前記噴射口35から空気噴射を行うようにする空気噴射制御手段50が設けられている。
【0052】
前記空気噴射制御手段50の動作により、プッシャ部材33が進入口27を閉塞した後、噴射口35から空気噴射がおこなわれる。したがって、噴射された空気は進入口27から漏洩することなく部品1に対して十分に噴射されて、部品送出が確実になされる。また、プッシャ部材33の進行による部品1の移動動作と空気噴射とが区分されているので、部品1はプッシャ部材33で進入口27の前側まで正確に移動させられてから空気噴射を受けることになる。したがって、プッシャ部材33の前部に位置している部品1に対して強い空気噴射を付与して、部品1の初期移動を確実に行うことができる。
【0053】
前記導入通路19の底面21と前記送出通路28の底面30が連続した状態で設置されているとともに、部品1の平坦な端面3が前記両底面21,30を摺動しながら移送されるように構成し、前記噴射口35の配置位置は、部品1の中心軸線Oからずれた箇所の円筒面4に空気を噴射するように設定されている。
【0054】
部品1の平坦な端面3が前記両底面21,30を摺動しているので、部品1の質量に対する噴射空気の動圧が小さいものであると、部品1は摺動しにくくなる。しかし、噴射口35からの空気噴射は部品1の中心軸線Oからずれた箇所に吹き付けられるので、部品1は上記のずれた側とは反対側に寄せ付けられ、それにより部品1の円筒面4が送出通路28の内側縦壁面31に押し付けられた状態になり、同時に、中心軸線Oから片寄った空気噴射によって部品1に回転力が付与される。したがって、部品1は送出通路28の内側縦壁面31を転動するような挙動を呈することとなり、質量の大きな部品1に対して小さな空気噴射力であっても部品1を移送することができるのである。すなわち、部品1の円筒面4が送出通路28の内側縦壁面31に押し付けられることと、部品1に回転力が付与されることとが複合することにより、部品1が転動しながら送出されるのである。このようにして前記両底面21,30上を摺動している部品1に対して、十分な初期移動力が付与されて円滑な部品送出が開始されるのである。
【0055】
前記送出通路28の底面30を導入通路19から遠くなる側が低くなるように傾斜(傾斜角θ2)させて、この底面30上を部品1の平坦な端面3が摺動可能であるとともに、部品1の円筒面4が前記傾斜によって低くなった側の内側縦壁面31に接触するように構成し、前記噴射口35のずれは部品1の中心軸線Oから前記傾斜の高い側にずれている。
【0056】
前記送出通路28の底面30を導入通路19から遠くなる側が低くなるように傾斜させてあり、これに加えて上述の噴射口35が部品1の中心軸線Oから前記傾斜の高い側にずれている。したがって、上述のように部品1が片側に押し付けられて送出通路28の内側縦壁面31を転動する動作に加えて、部品1の円筒面4が傾斜によってさらに内側縦壁面31に押し付けられることとなる。したがって、内側縦壁面31に対する部品1の円筒面4の接触圧が大きくなるので、円筒面4はスリップすることなく確実に転動し、確実な初期移動力が確保できる。これと同時に、部品1の傾斜によってその平坦な端面3の底面30に対する接触圧が低下するので、部品1の回転現象が一層滑らかに行われ、円滑な送出がなされる。
【0057】
前記送出通路28に対して前記導入通路19がほぼ直交している。
【0058】
上述のように、送出通路28に対して導入通路19がほぼ直交しているので、送出通路28の待機位置に入った部品1を、導入通路19とは完全に異なった方向にプッシャ部材33によって移動させ、さらにプッシャ部材33の移動方向と同方向に空気噴射で送出することができる。
【0059】
前記プッシャ部材33または送出通路28を形成する送出管29の一部に、部品1の背後に空気を吸い込む通気溝46や通気孔52が形成されている。
【0060】
プッシャ部材33の噴射口35からの動圧で初期移動がなされた部品1は、噴射口35からの空気噴流によって移送されて行くのである。しかし、空気噴流が直線的に部品1を直撃しても、部品移動によって部品背後の圧力(静圧)は低下する現象が発生し、これによって部品1の移動力が低下する。そこで本実施例のように部品1の背後に空気を吸い込む通気溝46や通気孔52を吸気通路として形成することにより、部品背後の圧力(静圧)の低下を防止することができ、部品1の送出が高速で確実に達成される。
【0061】
断面が円形で少なくとも片側の端面3が平坦になっている部品1を送出制御の対象とするものであって、導入通路19から進入口27をへて送出通路28の待機位置に入った前記部品1を、進退可能なプッシャ部材33で押出して送出する形式のものにおいて、前記導入通路19の底面21を傾斜角θ1のように傾斜させて、前記底面21上を部品1の平坦な端面3が摺動可能であるとともに、部品1の円筒面4が前記傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面26に接触するように構成した。
【0062】
前記導入通路19の底面21を傾斜させて、前記底面21上を部品1の平坦な端面3が摺動可能であるとともに、部品1の円筒面4が前記傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面26に接触するように構成されている。前記のように傾斜角θ1が付与されているので、部品1の円筒面4が確実に内側縦壁面26に接触することとなる。したがって、内側縦壁面26に対する部品1の円筒面4の接触圧が確保できるので、円筒面4はスリップすることなく矢線43(図1(B)参照)のように確実に転動し、導入通路19における確実な部品移動が可能となる。上述のように、部品1に回転力が付与されるため、部品1の質量が大きくても滑らかに部品移動が達成される。とくに、導入通路19に部品1の進行方向が低くなる下り傾斜が付与してある場合においては、この下り傾斜が緩くても円滑に部品移動が達成される。また、導入通路19が水平で搬送振動を付与する形式の場合においても、部品1に回転が付与されるので、円滑な移送が実現する。これと同時に、部品1の傾斜によってその平坦な端面3の底面21に対する接触圧が低下するので、部品1の回転現象が一層滑らかに行われ、円滑な送出がなされる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上述のように、本発明によれば、部品が効率よくしかも確実に送出されるので、自動車の車体溶接工程など広い産業分野で利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】部品送出制御装置の各部を示す図である。
【図2】部品送出制御装置の平面図である。
【図3】部品送出制御装置の要部を示す図である。
【図4】装置を全体的に示す図と部品の斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 部品
2,3 端面
4 円筒面
8 部品送出制御装置
19 導入通路
21 底面
26 内側縦壁面
θ1 傾斜角
27 進入口
28 送出通路
30 底面
31 内側縦壁面
θ2 傾斜角
33 プッシャ部材
34 押出し側前部
35 噴射口
O 中心軸線
46 通気溝
50 空気噴射制御手段
52 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている部品を送出制御の対象とするものであって、導入通路から進入口をへて送出通路の待機位置に入った前記部品を、進退可能なプッシャ部材で押出して送出する形式のものにおいて、前記プッシャ部材の押出し側前部に部品送出用空気を噴射する噴射口が設けられていることを特徴とする部品送出制御装置。
【請求項2】
前記プッシャ部材が前進して前記進入口を遮断した後、前記噴射口から空気噴射を行うようにする空気噴射制御手段が設けられている請求項1記載の部品送出制御装置。
【請求項3】
前記導入通路の底面と前記送出通路の底面が連続した状態で設置されているとともに、部品の平坦な端面が前記両底面を摺動しながら移送されるように構成し、前記噴射口の配置位置は、部品の中心軸線からずれた箇所に空気を噴射するように設定されている請求項1または請求項2記載の部品送出制御装置。
【請求項4】
前記送出通路の底面を導入通路から遠くなる側が低くなるように傾斜させて、この底面上を部品の平坦な端面が摺動可能であるとともに、部品の円筒面が前記傾斜によって低くなった側の内側縦壁面に接触するように構成し、前記噴射口のずれは部品の中心軸線から前記傾斜の高い側にずれている請求項3記載の部品送出制御装置。
【請求項5】
前記送出通路に対して前記導入通路がほぼ直交している請求項1〜請求項4のいずれかに記載の部品送出制御装置。
【請求項6】
前記プッシャ部材または送出通路を形成する部材の一部に、部品の背後に空気を吸い込む吸気通路が形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の部品送出制御装置。
【請求項7】
断面が円形で少なくとも片側の端面が平坦になっている部品を送出制御の対象とするものであって、導入通路から進入口をへて送出通路の待機位置に入った前記部品を、進退可能なプッシャ部材で押出して送出する形式のものにおいて、前記導入通路の底面を傾斜させて、前記底面上を部品の平坦な端面が摺動可能であるとともに、部品の円筒面が前記傾斜によって低くなっている側の内側縦壁面に接触するように構成したことを特徴とする部品送出制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−276997(P2007−276997A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127918(P2006−127918)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】