説明

部品配置装置

【課題】軸棒あるいは軸棒を支持している直動軸受を簡単にかつ短時間で交換することができる部品配置装置を提供すること。
【解決手段】枠体11、枠体11に並列支持された、配置対象の部品を一時的に保持する手段に接続された軸棒12と軸棒を昇降可能に支持する筒体13とから構成される直動軸受14aおよび直動軸受の筒体の周囲に装着した回転軸受15を含む軸棒昇降回転手段16の複数個、および枠体に支持された、上記軸棒昇降回転手段のそれぞれに第一の動力伝達手段17を介して接続された回転伝達手段18とを含む軸棒昇降回転機構19、そして軸棒昇降回転機構の回転伝達手段に第二の動力伝達手段42を介して着脱可能に係合された回転駆動手段および上記軸棒昇降回転機構の軸棒の上端部に接触配置された昇降駆動手段44を備えた基台41を含み、上記軸棒昇降回転機構19の枠体11が上記基台41に着脱可能に固定支持されている部品配置装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品などの部品を配置する装置に関し、特に電子部品をプリント配線板の表面の所定位置に配置して実装する電子部品実装装置に組み込んで使用するのに適した部品配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品をプリント配線板の表面の所定位置に配置して実装するため電子部品実装装置が用いられている。電子部品実装装置には通常、配置対象の部品を下端部に一時的に保持する軸棒、軸棒の昇降駆動手段、そして軸棒の回転駆動手段を備える部品配置装置が組み込まれている。軸棒としては、例えば、減圧装置に接続された中空の軸棒が用いられる。
【0003】
部品配置装置には、軸棒の昇降を可能とするため、例えば、軸棒を支持する筒体を持つ直動軸受が用いられ、そして上記軸棒の回転を可能とするため、例えば、上記直動軸受の筒体の周囲を支持する回転軸受が用いられる。
【0004】
そして、電子部品を実装するに際して、電子部品実装装置は、先ず上記の部品配置装置を電子部品が収容されたトレイの上方に移動させる。部品配置装置は、軸棒を下降させ、減圧装置を作動させて軸棒の下端部に電子部品を吸着(保持)させたのち軸棒を上昇させる。次に電子部品実装装置は、部品配置装置を別に用意されたプリント配線板の上方に移動させる。この際に、部品配置装置は、電子部品を軸棒と共に回転させて所定の向きに配置する。そして部品配置装置は、軸棒を下降させ、その下端部に吸着している電子部品をプリント配線板の表面の所定位置に配置したのち軸棒を上昇させる。このような操作を繰り返すことにより、プリント配線板の表面に多数の電子部品が実装される。
【0005】
プリント配線板の表面に多数の電子部品を効率良く(短時間で)実装するため、部品配置装置には、通常、複数本の軸棒が備えられている。
【0006】
特許文献1には、複数本(例、10本)の軸棒(駆動シャフト)を備える部品配置装置(ヘッドユニット)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−170525号公報(第2図及び第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
部品配置装置の軸棒が長期間にわたって繰り返して昇降されると、軸棒の表面および軸棒を支持する直動軸受の筒体の内面が摩耗して、直動軸受の筒体による軸棒の支持が不安定になる。このため、軸棒に保持された電子部品をプリント配線板の表面に配置する際の位置決めの精度が低下する。従って、長期間の使用により摩耗を生じた軸棒あるいは直動軸受は、摩耗(上記の位置決め精度を低下させない程度の僅かな摩耗は除く)を生じていない別の軸棒あるいは直動軸受に交換される。しかしながら、軸棒あるいは直動軸受の交換に要する時間が電子部品実装装置の稼働率を低下させることが問題である。
【0009】
また、例えば、部品配置装置が備える複数本の軸棒のうちの一本が、その周囲の機械装置等との衝突により変形して故障した場合であっても、この軸棒を修理(通常は軸棒あるいは軸棒を介して上記衝突により大きな荷重が加わった直動軸受を別のものと交換)することなく、残りの軸棒を用いて電子部品の実装が続けられることがある。軸棒の修理のために電子部品実装装置の稼働を長時間にて停止させる必要がなく、また実装に使用できる軸棒の本数が少なくなり実装の効率は低下するものの、故障していない残りの軸棒を用いて直ちに電子部品の実装を続けることができるからである。
【0010】
本発明の課題は、軸棒あるいは軸棒を支持している直動軸受を簡単にかつ短時間で交換することができる部品配置装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、部品配置装置の軸棒を支持している直動軸受及び回転軸受(軸棒昇降回転手段)の複数個を相互の位置関係(例えば、隣り合う軸棒同士の間隔)が固定された状態で枠体で支持し、この枠体を部品配置装置の基台から着脱可能とすることにより、軸棒あるいは直動軸受を交換するたびに上記の位置関係を調節する必要がなくなること、そして上記の各々の軸棒昇降回転手段と基台に設置された回転駆動装置との接続方法を工夫して着脱可能とすることにより、枠体を基台から取り外す際に各々の軸棒昇降回転手段を回転駆動手段から取り外す作業に要する時間、そして枠体を基台に取り付ける際に各々の軸棒昇降回転手段を回転駆動手段に取り付ける作業に要する時間が極めて短くなることから、部品配置装置の軸棒あるいは直動軸受の極めて容易で且つ短時間での交換が可能になることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
本発明は、枠体、この枠体に並列支持された、配置対象の部品を一時的に保持する手段に接続された軸棒と軸棒を昇降可能に支持する筒体とから構成される直動軸受および直動軸受の筒体の周囲に装着した回転軸受を含む軸棒昇降回転手段の複数個、および枠体に支持された、上記軸棒昇降回転手段のそれぞれに第一の動力伝達手段を介して接続された回転伝達手段とを含む軸棒昇降回転機構、そして軸棒昇降回転機構の回転伝達手段に第二の動力伝達手段を介して着脱可能に係合された回転駆動手段および上記軸棒昇降回転機構の軸棒の上端部に接触配置された昇降駆動手段を備えた基台を含み、上記軸棒昇降回転機構の枠体が上記基台に着脱可能に固定支持されている部品配置装置にある。
【0013】
本発明の部品配置装置の好ましい態様は、次の通りである。
(1)回転伝達手段が枠体に設置されたプーリを含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置されたベルトを含むか、あるいは回転伝達手段が枠体に設置されたベルトを含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置されたプーリを含み、そして前記のプーリとベルトとが互いに係合している。
(2)回転伝達手段が枠体に設置された歯車を含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置された歯車を含み、そして前記の両歯車が互いに係合している。
(3)軸棒が中空であり、そして上記の配置対象の部品を一時的に保持する手段が減圧装置である。
(4)配置対象の部品が、電子機器に組み込まれる電子部品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の微小部品配置ユニットは、軸棒あるいは軸棒を支持している直動軸受を極めて簡単にかつ短時間で交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の部品配置装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1の部品配置装置10の側面図である。
【図3】図1の部品配置装置10が備える軸棒昇降回転機構19の斜視図である。
【図4】図3の軸棒昇降回転機構19の右端の軸棒昇降回転手段16を切断線IV−IV線に沿って切断した断面図である。
【図5】図3の軸棒昇降回転機構19の第一の動力伝達手段17及び回転伝達手段18の構成を概略的に示す図である。
【図6】図1の部品配置装置10が備える基台41の枠体支持部41bの近傍の部位の構成を示す斜視図である。
【図7】図1の部品配置装置10の基台41に備えられている第二の動力伝達手段42の構成を概略的に示す図である。但し、図7の第二の動力伝達手段42は、図1に示す軸棒昇降回転機構19の枠体11が基台41から取り外された状態で示してある。
【図8】図5に示す回転伝達手段18と図7に示す第二の動力伝達手段42とを、軸棒昇降回転機構19の枠体11を基台に装着して係合させた状態にて示す図である。
【図9】回転伝達手段及び第二の動力伝達手段の別の構成例を、両者の手段を係合させた状態にて概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の部品配置装置を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の部品配置装置の構成例を示す斜視図であり、そして図2は、図1の部品配置装置10の側面図である。
【0017】
本発明の部品配置装置10は、枠体11、枠体11に並列支持された、配置対象の部品を一時的に保持する手段(図示していない)に接続された軸棒12と軸棒12を昇降可能に支持する筒体13とから構成される直動軸受14aおよび直動軸受14aの筒体13の周囲に装着した回転軸受15を含む軸棒昇降回転手段16の複数個(例えば、6個)、および枠体11に支持された、上記軸棒昇降回転手段16のそれぞれに第一の動力伝達手段17を介して接続された回転伝達手段18とを含む軸棒昇降回転機構19、そして軸棒昇降回転機構19の回転伝達手段18に第二の動力伝達手段42を介して着脱可能に係合された回転駆動手段43および上記軸棒昇降回転機構19の軸棒12の上端部に接触配置された昇降駆動手段44を備えた基台41を含み、上記軸棒昇降回転機構19の枠体11が基台41に着脱可能に固定支持された構成を有している。
【0018】
部品配置装置10は、例えば、トレイに収容された6個の部品を各々の軸棒12の下端部に同時に吸着し、これらの部品を軸棒12と共に回転させて所定の向きに配置して、上記とは別のにトレイに配置(収容)する装置に組み込んで使用される。
【0019】
次に、部品配置装置10の軸棒昇降回転機構19の構成について説明する。
【0020】
図3は、図1の部品配置装置10が備える軸棒昇降回転機構19の斜視図である。図4は、図3の軸棒昇降回転機構19の右端の軸棒昇降回転手段16を切断線IV−IV線に沿って切断した断面図である。そして図5は、図3の軸棒昇降回転機構19の第一の動力伝達手段17及び回転伝達手段18の構成を概略的に示す図である。
【0021】
軸棒昇降回転機構19には、軸棒12を昇降可能に支持する筒体13を有する直動軸受14a、そして直動軸受14aの筒体13の周囲に装着した回転軸受15からなる軸棒昇降回転手段16の複数個(例えば、6個)が備えられている。複数個の軸棒昇降回転手段16は、枠体11に並列に支持されている。
【0022】
軸棒昇降回転手段16の数が多いほど効率良く部品を配置することができるが、軸棒昇降回転機構19の構成が複雑になる。従って、軸棒昇降回転手段16の数は、通常は2〜50個(好ましくは4〜20個)の範囲内の数に設定される。
【0023】
各々の軸棒昇降回転手段16の軸棒12は上下方向に延びていて、軸棒12の下端部には配置対象の部品が一時的に保持される。軸棒12は、配置対象の部品を一時的に保持する手段(図示していない)に接続される。
【0024】
配置対象の部品を一時的に保持する手段としては、公知の部品配置装置の場合と同様のものを用いることができ、例えば、減圧装置(例、エゼクタ真空ポンプに代表される公知のポンプ)、あるいは電磁石を用いることができる。
【0025】
軸棒昇降回転機構19の軸棒12は中空とされていて、軸棒12の上端部は、後に説明する軸棒支持具31の気体通路31mを介して減圧装置(図示していない)に接続されている。そして、上記の減圧装置を作動させることにより、軸棒12の下端部に配置対象の部品を吸着(一時的に保持)することができる。なお、軸棒の下端部に吸着ノズルを固定して、この吸着ノズルの側面に減圧装置を接続する(すなわち軸棒を吸着ノズルを介して減圧装置に接続する)こともできる。この場合、軸棒は中空である必要はない。
【0026】
直動軸受14aは、軸棒12と軸棒12を昇降可能に支持する筒体13から構成されている。
【0027】
直動軸受14aの軸棒12の外周面には周方向に互いに間隔をあけて複数本(例えば、四本)の溝12aが形成されていて、そして筒体13の内周面には軸棒12の溝12aと対向する複数本の溝13aが形成されている。軸棒12の溝12aと筒体13の溝13aとの間には複数個の転動体(例、球体)21が収容配置されている。転動体21が軸棒12の溝12aと筒体13の溝13aとの各々に係合することにより、筒体13に対する軸棒12の周方向への回転が制限されている。
【0028】
直動軸受14aとしては、筒体に対する軸棒の周方向への回転が制限された公知の直動軸受を用いることができる。
【0029】
直動軸受14b、14c、14d、14e、14fの構成は、直動軸受14aの構成と同一である。
【0030】
各々の直動軸受の筒体13の周囲には、公知の回転軸受15が装着されている。図4に示すように、筒体13の周囲には複数個(例えば、2個)の回転軸受15を装着することができる。
【0031】
回転軸受15に支持されている直動軸受、例えば、直動軸受14aの筒体13を周方向に回転させると、上記のように筒体13に対する軸棒12の周方向への回転が制限されているため、直動軸受14aが支持している軸棒12を周方向に回転させることができる。
【0032】
軸棒昇降回転機構19の枠体11には、前記の軸棒昇降回転手段16のそれぞれに第一の動力伝達手段17を介して接続された回転伝達手段18が支持されている。
【0033】
回転伝達手段18は、プーリ(例、タイミングプーリ)18a、18bから構成されている。
【0034】
第一の動力伝達手段17は、枠体11の上板11aの下方に配置されていて、上記プーリ18aの回転軸の周囲に装着されたプーリ(図示していない)、このプーリに係合するベルト(例、タイミングベルト)17a、17b、同様に枠体11の上板11aの下方に配置されていて、上記プーリ18bの回転軸の周囲に装着されたプーリ(図示していない)、このプーリに係合するベルト17c、17d、そして各々の軸棒昇降回転手段16の直動軸受の筒体13の周囲に装着されたプーリ17eから構成されている。
【0035】
上記のベルト17aは、直動軸受14a、14bの各々の筒体13の周囲に装着されたプーリ17eに、ベルト17bは、直動軸受14b、14cの各々の筒体13の周囲に装着されたプーリ17eに、ベルト17cは、直動軸受14d、14eの各々の筒体13の周囲に装着されたプーリ17eに、そしてベルト17dは、直動軸受14e、14fの各々の筒体13の周囲に装着されたプーリ17eに係合している。
【0036】
従って、回転伝達手段18のプーリ18aを回転させることにより、回転伝達手段18に第一の動力伝達手段17のベルト17a、17bを介して接続されている直動軸受14a、14b、14cの各々が支持している合計で3本の軸棒12を同時に回転させることができる。同様に、回転伝達手段18のプーリ18bを回転させることにより、回転伝達手段18に第一の動力伝達手段のベルト17c、17dを介して接続されている直動軸受14d、14e、14fの各々が支持している合計で3本の軸棒12を同時に回転させることができる。
【0037】
一方、図3及び図4に示すように、各々の軸棒12は、軸棒支持具31に支持されている。これらの軸棒支持具31は、連結棒32を介して互いに固定されている。連結棒32を昇降させることにより、合計で6本の軸棒12を同時に昇降させることができる。
【0038】
軸棒支持具31は、軸棒12の上端部を把持する筒体31a、筒体31aを軸棒12と共に回転可能に支持する回転軸受31b、回転軸受31bの周囲に装着された筒体31c、筒体31cの上部に備えられた接続部材31d、接続部材31dの上部に設置されたケース31eに収容されていて、頂部にねじ軸31fを持つ球体31g、そして球体31gの上下に配置されていて、径方向に微動可能な2個の環状体31hなどから構成されている。
【0039】
例えば、仮に上記の軸棒支持具31を用いることなく、軸棒12が連結棒32に直接的に接続固定されている場合、連結棒32に固定された軸棒12の頂部の中心と、枠体11の上板11aの開口部22aの中心と、そして下板11bの開口部22bの中心とが精密に一直線上に配置されていないと、軸棒12が僅かに湾曲することがある。このため、長期間にて軸棒12を昇降させた際に、軸棒12の外周面あるいは軸棒を支持している直動軸受の筒体13の内周面が偏摩耗して、軸棒あるいは直動軸受を早期に交換することが必要になる。
【0040】
一方、軸棒12が軸棒支持具31を介して連結棒32に接続されている場合、軸棒支持具31の球体31gが、ケース31eの内部で僅かに回転することができ、また上記の環状体31hと共に環状体31hの径方向に僅かに移動することができる。このため、軸棒12の上端部が連結棒32に強固に固定されることがないことから、上記のような軸棒12の湾曲を抑制することができる。従って、軸棒12の外周面あるいは軸棒を支持している直動軸受の筒体13の内周面の偏摩耗が抑制され、このため軸棒あるいは直動軸受の交換の頻度を低くすることができる。
【0041】
また、上記の筒体31aと筒体31cとの間には、環状のパッキン31kが備えられている。パッキン31kにより、気体通路31mに接続された減圧装置を作動させて軸棒12の内部を減圧し、軸棒12の下端部に部品を吸着させた際に、上記の両筒体31a、31cの間から軸棒12の内部に外気が流入することを防止することができる。従って、軸棒12の下端部に部品を確実に吸着させることができる。
【0042】
続いて、図1及び図2に示す部品配置装置10の基台41、基台41に備えられている第二の動力伝達手段42、回転駆動手段43、そして昇降駆動手段44の構成について説明する。
【0043】
基台41は、基板41a、基板41aの上に設置され、上記の軸棒昇降回転機構19の枠体11が固定支持される枠体支持部41b、そして基板41aの上に立設されていて、軸棒昇降回転機構19の上方に昇降駆動手段44を支持する昇降駆動手段支持部41cから構成されている。
【0044】
昇降駆動手段44は、昇降駆動手段支持部41cの上部に設置された回転駆動装置44aと、回転駆動装置44aの回転軸44bの前端部に固定された円盤44cと、円盤44cの前記回転軸44bの中心位置とは異なる位置に上端部が接続され、下端部が昇降板44dに接続されている、上記の各端部を中心とする傾斜移動(回転)が可能なロッド44eと、昇降駆動手段支持部41cの前面に備えられている、昇降板44dを昇降可能に支持している2個のリニアガイド44fから構成されている。
【0045】
昇降駆動手段44の回転駆動装置44aを作動させ、回転駆動装置44aの回転軸44bに固定されている円盤44cを時計回り方向あるいは反時計回り方向に回転させることにより、円盤44cに接続されたロッド44eが傾斜移動しながら昇降する。これにより、ロッド44eの下端部に接続された昇降板44dを昇降させることができる。
【0046】
部品配置装置10では、軸棒昇降回転機構19の各軸棒12の上端部に、軸棒支持具31と連結棒32を介して上記昇降駆動手段44が接触配置され、そして連結棒32と昇降板44dとがボルト(図4:33)を介して互いに固定されている。従って、昇降駆動手段44の回転駆動装置44aを作動させることにより、軸棒昇降回転機構19が備える合計で6本の軸棒12を同時に昇降させることができる。
【0047】
なお、上記の昇降駆動手段44に代えて、公知の直動駆動装置、例えば、回転駆動装置と送りねじとから構成される直動駆動装置、あるいはリニアモータを用いることもできる。
【0048】
図6は、図1及び図2に示す部品配置装置10が備える基台41の枠体支持部41bの近傍の部位の構成を示す斜視図である。そして図7は、図6に示す第二の動力伝達手段42の構成を概略的に示す図である。
【0049】
枠体支持部41bは、基板41aに立設された合計で6本の支柱45と、これらの支柱45に支持されているテーブル板46から構成されている。
【0050】
テーブル板46には、軸棒昇降回転機構19の回転伝達手段18に第二の動力伝達手段42を介して着脱可能に係合された回転駆動手段43が備えられている。
【0051】
第二の動力伝達手段42は、テーブル板46の下方に配置されているベルト42a、ベルト42aをテーブル板46に支持している合計で8個のプーリ42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、42k、テーブル板46の上方に配置されていて、上記プーリ42bの回転軸の周囲に装着されたプーリ42m、そしてプーリ42mにベルト42nを介して接続されたプーリ42pから構成されている。そしてプーリ42pは、回転駆動手段43の回転軸に装着されている。
【0052】
従って、回転駆動手段43を作動させると、回転駆動手段43にプーリ42p、ベルト42n、そしてプーリ42mを介して接続しているプーリ42bが回転駆動され、プーリ42bを含む上記の合計で8個のプーリに支持されたベルト42aが走行する。
【0053】
一方、テーブル板46の上面には、リニアガイド47、48が設置されている。リニアガイド47は、レール47aとレール47aに沿って移動可能なスライダ47bから構成されている。同様に、リニアガイド48は、レール48aとレール48aに沿って移動可能なスライダ48bから構成されている。
【0054】
リニアガイド47のスライダ47bには、プーリ支持部材51が備えられている。プーリ支持部材51の下面には、軸棒53aが備えられている。軸棒53aは、テーブル板46の長孔46aを貫通していて、下端部に上記プーリ42dを回転可能に支持している。従って、プーリ42dは、スライダ47bと共にレール47aに沿って移動可能とされている。
【0055】
同様に、リニアガイド48のスライダ48bには、プーリ支持部材52が備えられている。プーリ支持部材52の下面には、軸棒53bが備えられている。軸棒53bは、テーブル板46の長孔46bを貫通していて、下端部に上記プーリ42hを回転可能に支持している。従って、プーリ42hは、スライダ48bと共にレール48aに沿って移動可能とされている。
【0056】
テーブル板46の上面には、支柱54a、54bが立設されている。そして、上記のプーリ支持部材51の開口部51aと支柱54aとは、引張コイルばね(図示していない)を介して互いに接続されている。同様に、上記のプーリ支持部材52の開口部52aと支柱54bとは引張コイルばね(図示していない)を介して互いに接続されている。
【0057】
従って、図6及び図7に示すように、上記の軸棒昇降回転機構19の枠体11が、後に説明する基台41に設置された枠体支持具55に装着されていない状態では、プーリ42d、42hは、それぞれ支柱54a、54bの側に移動して、上記ベルト42aに破断あるいは緩みを生じない程度の適当な張力を付与する。
【0058】
テーブル板46の下方には、上記の軸棒昇降回転機構19の枠体11を着脱可能に固定支持する枠体支持具55が備えられている。
【0059】
枠体支持具55は、ケース55a、ケース55aの前面に備えられていて、上記の軸棒昇降回転機構19の枠体11が装着される際に枠体11を位置決めする2個の突起55b、そして枠体11を一時的に保持する2本の鉤状のアーム55cを備えている。2本のアーム55cは、各々の基部がアーム支持具55dに支持されていて、上記基部を中心として揺動可能とされている。各々のアーム55cは、アーム支持具55dの内部に収容されたコイルばねにより、その先端部が対向するアームの側に移動するように駆動力が付与されている。
【0060】
ケース55aの前面には、合計で4本の可動ピン55eが備えられている。各々の可動ピン55eは、ケース55aの内部に収容されているコイルばねにより、前方側に移動するように駆動力が付与されている。
【0061】
そして、図3に示す軸棒昇降回転機構19の枠体11を、図6に示す枠体支持具55の前方側に配置して、枠体11を枠体支持具55に押し付けると、枠体11の支柱11cに形成された開口部11dに、枠体支持具55の位置決め用の突起55bが挿入され、これにより枠体11の位置決めが行なわれる。そして、図1に示すように、枠体支持具55の鉤状のアーム55cの先端部が、枠体11の支柱11cに係合して、枠体11を前方側に移動しないように仮固定する。この際に、枠体支持具55が備える4本の可動ピン55eが、枠体11の支柱11cに、枠体11を前方側に移動させる駆動力を付与する。これにより、枠体11の支柱11cの前後が枠体支持具55のアーム55cと可動ピン55eとにより緊密に支持されるため、枠体11の前後方向への微動が防止される。
【0062】
そして、図1及び図2に示すように、軸棒昇降回転機構19の各軸棒12の上端部を支持している軸棒支持具31を連結している連結棒32を、ボルト(図4:33)を用いて昇降板44dに固定することにより、軸棒昇降回転機構19を昇降駆動手段44に接続する。
【0063】
このような簡単な操作により、軸棒昇降回転機構19の枠体11を基台41に簡単に且つ短時間で取り付けることができる。
【0064】
また、昇降駆動手段44の昇降板44dから連結棒32を取り外し、次いで枠体支持具55のアーム55cの先端部を対向するアームの側とは逆側に移動することにより、枠体11の支柱11cとアーム55cとの係合を解除し、そして枠体11を前方側に移動させることにより、軸棒昇降回転機構19の枠体11を基台41から簡単に且つ短時間で取り外すことができる。
【0065】
図8は、図5に示す回転伝達手段18と図7に示す第二の動力伝達手段42とを、軸棒昇降回転機構19の枠体11を基台に装着して係合させた状態にて示す図である。
【0066】
図8に示すように、軸棒昇降回転機構19の枠体11を基台に固定支持すると、軸棒昇降回転機構19の回転伝達手段18のプーリ18a、18bが、第二の動力伝達手段42のベルト42aに押しつけられて係合する。この際に、第二の動力伝達手段42のプーリ42d、42hは、ベルト42aに破断あるいは緩みを生じない程度の適当な張力が付与されるように、それぞれ図8に記入した矢印56a、56bが示す方向に(図6に示す支柱54a、54bの側とは逆側の方向)に移動する。
【0067】
従って、図1及び図2に示すように、軸棒昇降回転機構19の枠体11を枠体支持具55を介して基台41に固定支持すると、軸棒昇降回転機構19の各々の軸棒昇降回転手段16に、第一の動力伝達手段17、回転伝達手段18、そして第二の動力伝達手段42を介して、直ちに回転駆動手段43を接続することができる。
【0068】
このように、部品配置装置10は、軸棒昇降回転機構19の枠体11の基台41への取り付け(あるいは基台41からの取り外し)、そして各々の軸棒昇降回転手段16の回転駆動手段43への接続(あるいは回転駆動手段43からの取り外し)を極めて簡単に且つ短時間で行なうことができる。
【0069】
このため、例えば、軸棒昇降回転機構19の複数個を予め用意しておくと、部品配置装置10に装着されている軸棒昇降回転機構19の軸棒12あるいは直動軸受を交換する際に、この軸棒昇降回転機構19を枠体11と共に基台41から取り外し、別の軸棒昇降回転機構を枠体と共に基台41に取り付けることにより、軸棒あるいは直動軸受を極めて簡単にかつ短時間で交換することができる。
【0070】
また、軸棒昇降回転機構19の枠体11により、各々の軸棒12を支持している直動軸受及び回転軸受15(すなわち軸棒昇降回転手段)の相互の位置関係(例えば、隣り合う軸棒同士の間隔)が予め固定されているため、軸棒あるいは直動軸受を交換するたびに上記の位置関係を調節する作業も不要である。
【0071】
なお、図1及び図2に示す部品配置装置10では、枠体11が、2本のアーム55cを備える枠体支持具55を用いて基台41に固定支持されている。枠体11の着脱を頻繁に行なう必要がなければ、枠体11を、例えば、ボルトを用いて基台41に固定することもできる。
【0072】
また、図1〜図8に示すように、部品配置装置10では、回転伝達手段18が枠体11に設置されたプーリ18a、18bを備え、第二の動力伝達手段42が基台41に設置されたベルト42aを備え、そして上記のプーリ18a、18bとベルト42aとが互いに係合している。これとは逆に、回転伝達手段が枠体に設置されたベルトを備え、第二の動力伝達手段が基台に設置されたプーリを備え、そして上記のプーリとベルトとが互いに係合していてもよい。
【0073】
図9は、回転伝達手段及び第二の動力伝達手段の別の構成例を、両者の手段を係合させた状態にて概略的に示す図である。
【0074】
図9に示す回転伝達手段98としては、枠体11に設置されている歯車98a、98bが用いられ、そして第二の動力伝達手段92としては、基台が備えるテーブル板46に設置されていて、それぞれ回転駆動装置の回転軸93a、93bに装着された歯車92a、92bが用いられている。なお、図9に示す第一の動力伝達手段17の構成は、図8に示す第一の動力伝達手段の構成と同一である。
【0075】
そして、上記の回転駆動装置を作動させ、回転軸93aを回転させることにより、回転軸93aに第二の動力伝達手段92の歯車92a、回転伝達手段98の歯車98a、そして第一の動力伝達手段17を介して接続されている直動軸受14a、14b、14cの各々が支持している合計で3本の軸棒を同時に回転させることができる。
【0076】
同様に、上記の回転駆動装置を作動させ、回転軸93bを回転させることにより、回転軸93bに第二の動力伝達手段92の歯車92b、回転伝達手段98の歯車98b、そして第一の動力伝達手段17を介して接続されている直動軸受14d、14e、14fの各々が支持している合計で3本の軸棒を同時に回転させることができる。
【0077】
このように、回転伝達手段及び第二の動力伝達手段として、歯車を用いることもできる。なお、第一の動力伝達手段として、歯車を用いることもできる。
【0078】
本発明の部品配置装置は、軸棒昇降回転機構の枠体が基台に着脱可能とされた構成を有していることから、例えば、配置対象の部品の種類あるいは部品を収容するトレイの種類に変更があった場合に、部品配置装置に装着されている軸棒昇降回転機構を、予め用意された別の構成の軸棒昇降回転機構に直ちに交換することもできるため、優れた汎用性も有している。
【0079】
例えば、部品配置装置に装着されている軸棒昇降回転機構を、特定の部品の保持に適した吸着ノズルを下端部に備える軸棒を備える軸棒昇降回転機構、あるいは特定のトレイに収容された部品の間隔に応じた間隔に軸棒の間隔が設定された軸棒昇降回転機構、あるいはより多くの(あるいは少ない)本数の軸棒を備える軸棒昇降回転機構に交換することができる。
【0080】
本明細書では、本発明の部品配置装置を、図1及び図2に示した同時に6個の部品を配置する装置を代表例として説明を行った。上記のように、軸棒昇降回転機構を別の様々な構成の軸棒昇降回転機構と交換する場合、部品配置装置の汎用性を更に高くするため、昇降駆動手段を軸棒昇降回転機構の各軸棒を独立に昇降駆動可能な構成とすること(例えば、軸棒の数と同数の昇降駆動手段を用いて、各軸棒を各昇降駆動手段によって独立に昇降駆動すること)、そして回転駆動手段を軸棒昇降回転機構の各軸棒を独立に回転駆動可能な構成とすること(軸棒の数と同数の回転駆動手段を用いて、各軸棒を各回転駆動手段によって独立に回転駆動すること)が好ましい。
【0081】
本発明の部品配置装置は、電子部品(特に、各種の電子機器に組み込まれる電子部品)、機械部品、光学部品に代表される各種の部品を配置するために用いられる。電子部品の例としては、チップコンデンサやチップ抵抗に代表される微小なチップ型電子部品を、機械部品の例としては、腕時計に組み込まれる微小な水晶振動子を、そして光学部品としては、携帯型電話機に搭載されるカメラに用いられる微小な光学レンズや光学フィルタを挙げることができる。
【0082】
本発明の部品配置装置は、例えば、微小なチップ型電子部品をプリント配線板の表面に実装する装置、微小な光学レンズや光学フィルタを携帯型電話機の内部の所定位置に装着する装置、あるいはトレイに収容された微小部品を移動して、顧客の注文に応じて別のトレイに収容配置する装置に組み込んで有利に用いることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 部品配置装置
11 枠体
11a 上板
11b 下板
11c 支柱
11d 開口部
12 軸棒
12a 溝
13 筒体
13a 溝
14a、14b、14c、14d、14e、14f 直動軸受
15 回転軸受
16 軸棒昇降回転手段
17 第一の動力伝達手段
17a、17b、17c、17d ベルト
17e プーリ
18 回転伝達手段
18a、18b プーリ
19 軸棒昇降回転機構
21 転動体
22a、22b 開口部
31 軸棒支持具
31a、31c 筒体
31b 回転軸受
31d 接続部材
31e ケース
31f ねじ軸
31g 球体
31h 環状体
31k パッキン
31m 気体通路
32 連結棒
33 ボルト
41 基台
41a 基板
41b 基台41の枠体支持部
41c 基台41の昇降駆動手段支持部
42 第二の動力伝達手段
42a、42n ベルト
42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、42k プーリ
42m、42p プーリ
43 回転駆動手段
44 昇降駆動手段
44a 回転駆動装置
44b 回転軸
44c 円盤
44d 昇降板
44e ロッド
44f リニアガイド
45 支柱
46 テーブル板
46a、46b 長孔
47、48 リニアガイド
47a、48a レール
47b、48b スライダ
51、52 プーリ支持部材
51a、52a 開口部
53a、53b 軸棒
54a、54b 支柱
55 枠体支持具
55a ケース
55b 突起
55c アーム
55d アーム支持具
55e 可動ピン
56a プーリ42dの移動方向を示す矢印
56b プーリ42hの移動方向を示す矢印
92 第二の動力伝達手段
92a、92b 歯車
93a、93b 回転軸
98 回転伝達手段
98a、98b 歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体、該枠体に並列支持された、配置対象の部品を一時的に保持する手段に接続された軸棒と該軸棒を昇降可能に支持する筒体とから構成される直動軸受および該直動軸受の筒体の周囲に装着した回転軸受を含む軸棒昇降回転手段の複数個、および該枠体に支持された、該軸棒昇降回転手段のそれぞれに第一の動力伝達手段を介して接続された回転伝達手段とを含む軸棒昇降回転機構、そして該軸棒昇降回転機構の回転伝達手段に第二の動力伝達手段を介して着脱可能に係合された回転駆動手段および該軸棒昇降回転機構の軸棒の上端部に接触配置された昇降駆動手段を備えた基台を含み、上記軸棒昇降回転機構の枠体が該基台に着脱可能に固定支持されている部品配置装置。
【請求項2】
回転伝達手段が枠体に設置されたプーリを含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置されたベルトを含むか、あるいは回転伝達手段が枠体に設置されたベルトを含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置されたプーリを含み、そして前記のプーリとベルトとが互いに係合している請求項1に記載の部品配置装置。
【請求項3】
回転伝達手段が枠体に設置された歯車を含み、かつ第二の動力伝達手段が基台に設置された歯車を含み、そして前記の両歯車が互いに係合している請求項1に記載の部品配置装置。
【請求項4】
軸棒が中空であり、そして上記の配置対象の部品を一時的に保持する手段が減圧装置である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の部品配置装置。
【請求項5】
配置対象の部品が、電子機器に組み込まれる電子部品である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の部品配置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−151235(P2012−151235A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8039(P2011−8039)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(394000493)ヒーハイスト精工株式会社 (76)
【Fターム(参考)】