説明

配信装置

【課題】
クライアント端末からの配信要求の有無の履歴に応じて電源のオンオフを制御し消費電力を低減することができる配信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
ビデオ信号及びオーディオ信号を入力する入力部と、ビデオ信号及びオーディオ信号を信号処理する信号処理部と、信号処理部が信号処理したビデオ信号及びオーディオ信号を記録する記録部と、クライアント端末からビデオ信号及びオーディオ信号の配信要求の履歴情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された履歴情報にしたがって入力部、信号処理部及び記録部に電力の供給を停止する制御をする電力供給制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録したビデオ信号及びオーディオ信号をネットワークを介してクライアント端末へ配信する配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部機器から入力されたビデオ信号及びオーディオ信号(以下、両者を合わせてコンテンツ信号という。)をネットワークを介してクライアント端末へ配信する配信装置がある。この配信装置は、外部機器から入力されたコンテンツ信号を信号処理した後、HD(Hard Disk)などの記録媒体に記録する。記録媒体に記録されたコンテンツ信号は、クライアント端末からの配信要求に応じて、ネットワークを介してクライアント端末に配信され、クライアント端末上で再生される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような配信装置は、常時クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求を受け付け、配信要求を受け付けたクライアント端末にコンテンツ信号を配信できるようにするため、常時電源がオンされた状態になっている。このため、消費電力が大きくなるという問題があった。この問題を解決するために、データを記憶するディスク装置に電力の供給を開始及び停止する時間を設定し、設定した時間に応じてディスク装置の電力供給の開始及び停止を制御できるようにした装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002-176616号公報 (第2頁‐第3頁、第3図)
【特許文献2】特開2000-259289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予め定められた時間帯にクライアント端末からの配信要求を受け付ける場合、特許文献2に開示されているような電力供給制御技術を用いることができる。しかしながら、常時、クライアント端末からの配信要求を受け付ける場合では、ディスク装置に電力供給を開始及び停止する時間を設定することが困難となる。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、電力供給を開始及び停止する時間を設定することなく、クライアント端末からの配信要求の有無の履歴に応じて電源のオンオフを制御し消費電力を低減することができる配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、ビデオ信号及びオーディオ信号を入力する入力部と、前記入力部から入力されたビデオ信号及びオーディオ信号に信号処理を施す信号処理部と、前記信号処理部が信号処理を施したビデオ信号及びオーディオ信号を記録する記録部と、前記記録部に記録されたビデオ信号及びオーディオ信号をネットワークを介してクライアント端末へ配信するインターフェイス部と、クライアント端末からビデオ信号及びオーディオ信号の配信要求の履歴情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された履歴情報にしたがって前記入力部、前記信号処理部及び前記記録部に電力の供給を停止する制御をする電力供給制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の配信装置において、クライアント端末からビデオ信号及びオーディオ信号の配信要求があると、配信要求があった時間情報に基づいて前記記憶部に記憶された履歴情報を更新する制御をする更新制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力供給を開始及び停止する時間を設定することなく、クライアント端末からの配信要求の有無の履歴に応じて電源のオンオフを制御し消費電力を低減することができる配信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例である配信装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は入力部、2は信号処理部、3は記録部、4はユーザインターフェイス部、5は電力供給制御部、6は記憶部、7は更新制御部、8はインターフェイス部、9はCPU(Central Processing Unit)を示す。
【0011】
図2は、本発明の一実施例である配信装置を含む配信システムの一実施例の構成図である。図2において、100は本実施例の配信装置、200はネットワーク、300はクライアント端末を示す。本実施例の配信装置100及びクライアント装置はネットワークに接続され、配信装置100は、ネットワーク200を介してビデオ信号及びオーディオ信号(以下、コンテンツ信号という)をクライアント端末300に配信する。なお、ネットワーク200に接続することができるクライアント端末300の台数は限定されない。
【0012】
図1に示す入力部1は、外部機器を接続する入力端子を備え、外部機器から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号(コンテンツ信号という)を入力する。外部機器としては、チューナ、CD(Compact Disc)プレーヤ又はDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ等の再生装置がある。信号処理部2は、入力部1から入力されたコンテンツ信号をMPEG(Moving Picture Experts Group)方式等の圧縮アルゴリズムにより圧縮処理を施す。記録部3は、HD等の記録媒体を備え、MPEG方式等で圧縮されたコンテンツ信号を記録媒体に記録する。
【0013】
ユーザインターフェイス部4は、ユーザが本実施例の配信装置の操作や設定を行う操作部、本実施例の配信装置の動作状態や設定状態等を表示する表示部を備えている。電力供給制御部5は、図示しない電源から本実施例の配信装置の各構成部へ電力の供給を制御する。電力供給制御部5は、ユーザインターフェイス部4から電源をオンする指示があると、本実施例の配信装置の各構成部に電力の供給を開始する制御をし、ユーザインターフェイス部4から電源をオフする指示があると、電力の供給を停止する制御をする。また、電力供給制御部5は、後述するように記憶部6に記憶された履歴情報にしたがって、入力部1、信号処理部2及び記録部3等のコンテンツ信号の信号処理及び記録処理に関係する構成部に電力の供給を開始又は停止する制御をする。
【0014】
記憶部6は、ネットワークに接続されたクライアント端末からのコンテンツ信号の配信要求の履歴情報を記憶する。図3は、記憶部6に記録された履歴情報を説明する図である。図3に示すテーブルは、各曜日を1時間単位でクライアント端末からコンテンツ信号の配信要求の有無を示したものである。このテーブルにおいて、斜線部は、クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求を受け付けた時間帯であり、空欄部は、配信要求が無かった時間帯である。本実施例において、履歴情報は、過去数週間(例えば3週間)におけるコンテンツ信号の配信要求があった履歴情報(日時情報)が図3に示すテーブルとして記憶部6に記憶される。
【0015】
電力供給制御部5は、図3に示す履歴情報のテーブルにしたがって、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を開始又は停止する制御をする。図3に示すテーブルにおいて、現在の時刻が空欄部の時間帯から斜線部の時間帯(電力供給の開始時間)になると、電力供給制御部5は、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を開始する制御をする。また、現在の時刻が斜線部の時間帯から空欄部の時間帯(電力供給の停止時間)になると、電力供給制御部5は、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を停止する制御をする。なお、記憶部6に記憶された履歴情報のテーブルに拘らずに、電力供給制御部5は、入力部1、信号処理部2及び記録部3以外の本実施例の配信装置の構成部へ電力を供給している。
【0016】
更新制御部7は、クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求があると、配信要求あったときの時間情報に基づいて記憶部6に記憶された履歴情報を更新する制御をする。更新制御部7には、現在の日時をカウントするタイマ(図示せず)を備え、タイマがカウントしている現在の日時を配信要求があったときの日時情報とする。
【0017】
例えば、月曜日の17時32分にクライアント端末からコンテンツ信号の配信要求があると、更新制御部7は、記憶部6に記憶された履歴情報のテーブルの月曜日の17時から18時の時間帯の配信要求を配信要求無しから配信要求有りに更新する制御をする。即ち、図3に示すテーブルにおいて、月曜日の17時から18時の時間帯を空欄部から斜線部に更新する。また、図3に示すテーブルの斜線部になっている曜日の時間帯が一定の期間(例えば3週間)にわたって、クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求が無い場合、更新制御部7は、この曜日の時間帯を斜線部から空欄部に更新する制御をする。
【0018】
インターフェイス部8は、ネットワークと接続するネットワークインターフェイスである。インターフェイス部8は、ネットワークを介してクライアント端末から出力されたコンテンツ信号の配信要求等のコマンドを入力する。また、インターフェイス部8は、記録部3から読み出されたコンテンツ信号を出力する。
【0019】
CPU9は、本実施例の配信装置全体の動作を統括的に制御する。例えば、インターフェイス部8から配信要求のコマンドが入力されると、CPU9は、このコマンドを解析し配信するコンテンツ信号を記録部3から読み出す制御をし、配信要求元のクライアント端末に配信する制御をする。また、CPU9は、配信要求を受け付けたことを示す制御信号を更新制御部7に出力する。
【0020】
図4は、本発明の一実施例の配信装置の電源制御動作を説明するフローチャートである。
図4に示すフローチャートのステップS1は、ユーザがユーザインターフェイス部4から本実施例の配信装置の電源をオンする操作のステップである。電力供給制御部5は、本実施例の配信装置の各構成部に電力の供給を開始する制御をする。
【0021】
ステップS2は、CPU9がクライアント端末からコンテンツ信号の配信要求があるか否かを判別するステップである。コンテンツ信号の配信要求は、クライアント端末からネットワークを介してインターフェイス部8に入力される。コンテンツ信号の配信要求がある場合は、ステップS3に進む。コンテンツ信号の配信要求がない場合は、ステップS5に進む。
【0022】
ステップS3は、CPU9が記録部3に記録されたコンテンツ信号の配信する制御をするステップである。CPU9は、インターフェイス部8から入力されたコンテンツ信号の配信要求のコマンドを解析し、配信するコンテンツ信号を記録部3から読み出す制御をする。CPU9は、読み出されたコンテンツ信号がインターフェイス部8からネットワークを介して配信要求元のクライアント端末へ配信されるように制御する。また、CPU9は、配信要求を受け付けたことを示す制御信号を更新制御部7に出力する。
【0023】
ステップS4は、更新制御部7が記憶部6に記憶された履歴情報を更新するステップである。更新制御部7は、CPU9から配信要求を受け付けたことを示す制御信号が入力されると、配信要求あった時間帯の履歴情報に配信要求有りと更新する。
【0024】
ステップS5は、電力供給制御部5が記憶部6に記憶された履歴情報のテーブルにしたがって、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を停止する停止時間になったか否かを判別するステップである。電力供給制御部5は、記憶部6に記憶された履歴情報が図3に示すテーブルであるとき、現在の時刻が斜線部の時間帯から空欄部の時間帯(電力供給の停止時間)になったか否かを判別する。電力供給の停止時間になった場合は、ステップS6へ進む。電力供給の停止時間になっていない場合は、ステップS2へ進む。
【0025】
ステップS6は、電力供給制御部5が入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を停止する制御をするステップである。電力供給制御部5は、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を停止する制御をしても、それら以外の本実施例の配信装置の構成部へ電力を供給する制御をし続けている。
【0026】
ステップS7は、CPU9がクライアント端末からコンテンツ信号の配信要求があるか否かを判別するステップである。コンテンツ信号の配信要求は、クライアント端末からネットワークを介してインターフェイス部8に入力される。コンテンツ信号の配信要求がある場合は、ステップS8に進む。コンテンツ信号の配信要求がない場合は、ステップS10に進む。
【0027】
ステップS8は、CPU9が記録部3に記録されたコンテンツ信号の配信する制御をするステップである。CPU9は、インターフェイス部8からコンテンツ信号の配信要求のコマンドが入力されると、記録部3に電力を供給するように電力供給制御部5を制御するとともに、入力された配信要求のコマンドを解析し、配信するコンテンツ信号を記録部3から読み出す制御をする。CPU9は、読み出されたコンテンツ信号がインターフェイス部8からネットワークを介して配信要求元のクライアント端末へ配信されるように制御する。また、CPU9は、配信要求を受け付けたことを示す制御信号を更新制御部7に出力する。
【0028】
ステップS9は、更新制御部7が記憶部6に記憶された履歴情報を更新するステップである。更新制御部7は、CPU9から配信要求を受け付けたことを示す制御信号が入力されると、配信要求あった時間帯の履歴情報に配信要求有りと更新する。ステップ7において、配信要求は、図3に示す記憶部6に記憶された履歴情報のテーブルが空欄部の時間帯にあったので、更新制御部7により配信要求あった空欄部の時間帯が斜線部に更新される。
【0029】
ステップS10は、電力供給制御部5が記憶部6に記憶された履歴情報のテーブルにしたがって、入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を開始する開始時間になったか否かを判別するステップである。電力供給制御部5は、記憶部6に記憶された履歴情報が図3に示すテーブルであるとき、現在の時刻が空欄部の時間帯から斜線部の時間帯(電力供給の開始時間)になったか否かを判別する。電力供給の開始時間になった場合は、ステップS11へ進む。電力供給の停止時間になっていない場合は、ステップS7へ進む。
【0030】
ステップS11は、電力供給制御部5が入力部1、信号処理部2及び記録部3に電力の供給を開始する制御をするステップである。電力供給制御部5は、ステップ6において、電力の供給を停止した入力部1、信号処理部2及び記録部3への電力の供給を開始する制御をする。したがって、電力供給制御部5は、本実施例の配信装置の各構成部に電力を供給する状態になる。
【0031】
上述した本実施例の配信装置では、記憶部6に記憶された履歴情報にしたがって、入力部1、信号処理部2及び記録部3等のコンテンツ信号の信号処理及び記録処理に関係する構成部への電力の供給を停止するが、クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求等のコマンドを受信し、このコマンドを解析する構成部以外の構成部への電力の供給を停止するようにしても良い。
【0032】
本実施例の配信装置は、記憶部に記憶された履歴情報にしたがって、過去の一定期間(例えば3週間)にわたって、クライアント端末からコンテンツ信号の配信要求が無い時間帯にコンテンツ信号の信号処理及び記録処理に関係する構成部への電力の供給を停止するので、常時、電源がオンされていても消費電力を低減することができる。また、本実施例の配信装置は、記憶部に記憶された履歴情報に拘らず、クライアント端末からコマンドを受信し、このコマンドを解析する構成部へ電力を供給しているので、CPUのシステム起動の時間を要さずに受信したコマンドの処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例である配信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本実施例の配信装置を含む配信システムの構成図。
【図3】記憶部に記録された履歴情報を説明する図。
【図4】本実施例の配信装置の電源制御動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0034】
1…入力部、2…信号処理部、3…記録部、4…ユーザインターフェイス部、5…電力供給制御部、6…記憶部、7…更新制御部、8…インターフェイス部、9…CPU、100…配信装置、200…ネットワーク、300…クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ信号及びオーディオ信号を入力する入力部と、
前記入力部から入力されたビデオ信号及びオーディオ信号に信号処理を施す信号処理部と、
前記信号処理部が信号処理を施したビデオ信号及びオーディオ信号を記録する記録部と、
前記記録部に記録されたビデオ信号及びオーディオ信号をネットワークを介してクライアント端末へ配信するインターフェイス部と、
クライアント端末からビデオ信号及びオーディオ信号の配信要求の履歴情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された履歴情報にしたがって前記入力部、前記信号処理部及び前記記録部に電力の供給を停止する制御をする電力供給制御部とを備えることを特徴とする配信装置。
【請求項2】
請求項1記載の配信装置において、
クライアント端末からビデオ信号及びオーディオ信号の配信要求があると、配信要求があった時間情報に基づいて前記記憶部に記憶された履歴情報を更新する制御をする更新制御部を備えることを特徴とする配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−270745(P2006−270745A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88290(P2005−88290)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】