説明

配光分散制御型LED照明デバイス、装置及び照明方法

【課題】色ムラを抑制しつつ、照明対象に応じて必要な照度を確保可能な電力効率の良い照明を実現するLED照明デバイスを提供する。
【解決手段】本LED照明デバイスは、少なくとも第1波長の光と第2波長の光との混色光を放射する光源と、放射された混色光の均一化を促進させる均一化光学体とを備えている。このうち均一化光学体は、混色光の配光角を制御する配光角制御レンズ部と、配列した複数の微小レンズを含み、配光角が制御された混色光を受光して分散させる微小レンズ配列部とを有する。これら微小レンズの曲率半径R、隣接した微小レンズ間のピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方は、曲率半径Rについては1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっており、方向毎に混色光の分散が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた照明技術に関する。
【背景技術】
【0002】
広範に使用されている照明装置として、白熱灯及び蛍光灯が周知である。一方、近年、LEDを光源としたLED照明装置が開発され、これら従来の照明装置を代替する勢いでその製品化が進展している。
【0003】
LED照明装置は、従来高い発光効率を謳われた蛍光灯を凌ぐ低消費電力化を可能とし、また、より長寿命である。さらに、RoHS(ロース)指令(2006年、欧州連合)によって使用が制限された水銀等の特定有害物質を必要とせず、環境問題対策上も有利である。
【0004】
このLED照明装置では、照明対象に適した照度及び照射範囲を有する照射光を得るために、配光制御が重要となる。この配光を考慮したLED照明装置用の光源として、特許文献1には、基板上に配列した複数個のLEDチップをアクリル樹脂で封止し、その上部にマイクロレンズ板を配置したLED照明モジュールが開示されている。この光源(LED照明モジュール)自体に含まれるマイクロレンズ板によって、光源からの放射光の発光角度が−60°(度)〜60°の範囲内に制御される。
【0005】
また、特許文献2には、基台に実装されたLEDチップと、このLEDチップを封止する樹脂部と、LEDチップ及び樹脂部の上方に設置された蛍光体層と、さらにその上方に設置された複数の微小光学素子(マイクロレンズ又はマイクロプリズム)とを備えたLED光源装置が開示されている。ここでも、この光源(LED光源装置)自体に含まれる微小光学素子によって、光源からの出射光の指向性が調整され、さらに光の取り出し効率の向上が図られている。
【0006】
さらに、このようなLED光源を利用したLED照明装置として、特許文献3には、複数のLED発光素子を備えた光源(LEDユニット)が、筐体内に設置され、この筐体の開口部に、プリズムシートと、蛍光板と、拡散板とを備えた表示灯(照明装置)が開示されている。プリズムシートには複数の微小プリズムが形成されており、光源からの放射光はこのプリズムシートによって6方向に分散される。これにより、蛍光板の入射面で光量が均一となる光が、蛍光板に入射可能となる。
【0007】
また、特許文献4には、複数のLEDからなる光源と、各々が各LED上に位置する複数の凸レンズとを備え、LEDに対する凸レンズの距離及び傾斜角を変化させて、光源からの放射光の配光特性を変更するLED照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−162232号公報
【特許文献2】特開2008−305802号公報
【特許文献3】特開平10−274947号公報
【特許文献4】特開2010−92700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に示したように、従来、LED照明装置において照射光の配光特性を制御するため、種々工夫がなされてきた。しかしながら、照射光における色ムラの発生は、依然として重大な問題となっている。
【0010】
色ムラは、LED照明装置特有の問題であり、特に、蛍光体を利用した白色LED光源を用いた照明装置において深刻となる。
【0011】
多くの白色LED光源は、青色LEDチップと黄色蛍光体とを備え、青色LEDチップからの青色放射光と、この放射光によって黄色蛍光体が励起されて発生した黄色蛍光(青色光の補色光)とを混色させて白色光を得る。この際、白色の程度は、青色光と黄色光との光量比によって決定される。その結果、例えば、青色LEDチップの直上では、青色光の割合が高くなって青色がかった白色光が得られ、この直上位置から光源周辺に向かって離れるに従って、黄色がかった白色光に変化する傾向が生じる。
【0012】
さらに、このような光源からの放射光の配光特性を制御するために、この放射光を凸レンズ等の光学系に通すと、青色光と黄色光との混色の割合の差が更に拡大される。その結果、例えば、この光学系から放射される照射光の中心付近は青白い色となり、さらに、その周囲に黄色がかったリングが見える場合もあり、色ムラが発生してしまう。
【0013】
この色ムラに対する処置として、特許文献1及び2の技術のようにマイクロレンズ又はマイクロプリズムを備えたLED光源を利用したり、特許文献3の技術のようにLED光源からの放射光をプリズムシートで分散させたりする方法が考えられる。さらに、光学系を経過した光を、光拡散シート(層)に通して拡散させる方法も考えられる。
【0014】
しかしながら、これらの従来技術を用いた方法では、分散・拡散の結果、照射光の中心照度が低下してしまう。従って、照明対象が部屋等の所定の空間全体である場合に適した照明しか得られない。即ち、ある限られた照明対象物を中心にして必要な照度が確保される照射光を得ることが困難となる。一方、この状態で必要な照度を確保しようとすると、LED照明装置により大きな電力を投入せねばならず、低消費電力化に反してしまう。
【0015】
また、特に光拡散シートを使用する場合、同シートの透過率を高めることに限界があり、照射光の損失が無視できなくなる。その結果、所望の照度の確保が更に困難となってしまう。実際、光拡散シートでは、樹脂中に混入された屈折率の異なるシリカ等の微粒子によって、光が拡散される。一方で、皺やうねり等を排除して取り扱い得る観点、更には作業性及び製造上の観点から、光拡散シートには少なくとも100μm(マイクロメートル)オーダの厚みが要求される。その結果、照明光が相当の距離にわたって光学的異物を含む領域を伝播せねばならず、透過率が低減してしまう。
【0016】
さらに、分散・拡散された照射光の照射範囲の形状も限定されてしまう。例えば、特許文献4に開示されているように、通常の円形凸レンズを用いてLEDからの放射光の配光特性を制御する場合、照射光の照度は、最大照度点を中心として同心円状の強度分布をなす。従って、照射範囲は円形に限定される。その結果、例えば、照明対象である作業・展示スペースが四角形(矩形)領域である場合、円形照射範囲を、中心を揃えてこの四角形領域内に完全に取り入れてしまうと、この四角形領域の角部での照度が不足する。
【0017】
一方、この円形照射範囲をより大きく取り、四角形領域を中に取り入れてしまうには、LED照明装置により大きな電力を投入せねばならず、低消費電力化に反してしまう。その上、実際に四角形領域を中に取り入れると、四角形領域の各辺中央部の外側にも光が不必要に照射されてしまい、電力消費の無駄も生じる。
【0018】
以上言い換えれば、色ムラ対策として分散・拡散されたLED照明装置からの照射光では、所望の照明対象に応じて、必要な照度が確保された無駄のない照明を設計・実現するのが困難となってしまう。
【0019】
そこで、本発明は、色ムラを抑制しつつ、照明対象に応じて必要な照度を確保可能な電力効率の良い照明を実現するLED照明デバイス、LED照明装置、及び照明方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、第1波長の光を放射する発光ダイオードチップを備え、少なくとも第1波長の光とこの第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を放射する光源と、
放射された混色光の均一化を促進させる均一化光学体と
を備えており、この均一化光学体は、
放射された混色光が入射後に集光される入射面を有しており、入射した混色光を所定の配光角に制御する配光角制御レンズ部と、
この配光角制御レンズ部における入射面とは反対側の出射位置をレンズ配列面として配列した複数の微小レンズを含み、配光角が制御された混色光を、レンズ配列面を介して受光して分散させる微小レンズ配列部と
を備えており、
複数の微小レンズの曲率半径R、隣接した微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又はこの曲率半径R及びこのピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向とこの軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっているLED照明デバイスが提供される。
【0021】
このLED照明デバイスでは、均一化光学体によって、照射光の混色化・色均一化が促進され、LED光源に起因する黄色リング等の色ムラ発生を抑制可能となる。また、均一化光学体によって、照射光の配光・分散が制御され、照明対象に応じて必要な照度を確保可能な電力効率の良い照明が実現される。
【0022】
この本発明によるLED照明デバイスにおいて、複数の微小レンズの頂点が正方格子又は長方格子を成しており、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、レンズ配列面内におけるレンズ頂点間を結ぶ1つの軸の方向と、この軸に垂直な軸の方向とで異なっていて、混色光の分散が方向毎に制御されることも好ましい。さらに、複数の微小レンズの頂点が六角格子を成しており、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点間を結ぶ1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっていて、混色光の分散が方向毎に制御されることも好ましい。
【0023】
さらに、本発明によるLED照明デバイスにおいて、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、レンズ配列面内のレンズ頂点を結ぶ少なくとも1つの軸の方向に沿って、値を変化させ非均一な分布をなしていることも好ましい。
【0024】
また、このように曲率半径R又はピッチPが値を変化させ非均一な分布をなしている場合において、微小レンズ配列部のレンズ配列面が、少なくとも第1の領域と第2の領域とを有し、
(1)第1の領域では、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が取る値であって、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向とこの軸に垂直な軸の方向とのそれぞれにおいて、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ複数の軸の方向それぞれにおいて取る値からなる第1の組が設定され、
(2)第2の領域では、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が取る値であって、曲率半径の絶対値Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向とこの軸に垂直な軸の方向とのそれぞれにおいて、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ複数の軸の方向それぞれにおいて取る値からなる第2の組であって、第1の組とは異なる第2の組が設定される
ことも好ましい。
【0025】
以上に述べたように、本発明に係る均一化光学体の光学的構成(微小レンズ配置、曲率半径R及びピッチP)を、異なる方向それぞれに関して制御することによって、例えば従来の蛍光灯のような広範囲を遍く照らす照明状態から、スポットライトのような集光性の高い照明状態までを、色ムラ発生を抑制しつつ実現することが可能となる。また、照明対象に応じた必要な照度と、照明対象の形状に適した照明形状とを、色ムラ発生を抑制しつつ実現することができる。
【0026】
また、本発明によるLED照明デバイスにおいて、微小レンズ配列部から放射される出射光の照明形状が、略正方形状、略長方形状、略楕円状、又は略十字状に制御されることも好ましい。さらに、微小レンズ配列部の出射面が、出射光を拡散させる光拡散膜で被覆されていることも好ましい。
【0027】
さらに、本発明によるLED照明デバイスにおいて、曲率半径RとピッチPとの比P/Rが、レンズ配列面内のレンズ頂点を結ぶ各軸の方向において、0.4以上であって、微小レンズ配列部のレンズ配列面内に微小レンズではない領域が形成されない上限値以下であることが好ましい。
【0028】
また、本発明によるLED照明デバイスにおいて、配光角制御レンズ部は、入射した前記混色光を、半値全角幅として5°から40°までの範囲内の値の配光角に制御することが好ましい。
【0029】
さらに、本発明によるLED照明デバイスにおいて、配光角制御レンズ部は、少なくとも光源の発光面を内部に含む凹部であって、光源から放射される混色光が集光されるような入射角で入射する入射内面を有する凹部を備えていることが好ましい。
【0030】
本発明によれば、さらに、以上に述べた複数のLED照明デバイスを備えており、
これら複数のLED照明デバイスの各々からの出射光が、互いに一部重畳しながら並ぶことによって照射光を形成し、この照射光による照明形状は、出射光による照明形状が互いに一部重畳しながら配列した形状となるLED照明装置が提供される。
【0031】
この本発明によるLED照明装置においては、照射光による照明形状が、LED照明装置の長手方向に伸長した概ね長方形状となることも好ましい。
【0032】
本発明によれば、さらにまた、以上に述べた複数のLED照明デバイスと、これら複数のLED照明デバイスが内部に並んで配置されたケースとを備えており、
このケースの外表面の少なくとも一部が、機械的強度を高める保護膜で被覆されているLED照明装置が提供される。
【0033】
この本発明によるLED照明装置において、ケースが、このケース内を伝播する光を拡散させる光拡散材料を含むプラスチックで形成されていることも好ましい。また、保護膜が、この保護膜内を伝播する光を拡散させる光拡散材料を含むことも好ましい。さらに、LED照明装置がケース内に配置された複数のLED照明デバイスと接する放熱部を更に備えていて、ケースの一部に、放熱部と部分的に接する凹凸が形成されていることも好ましい。
【0034】
本発明によれば、さらに、第1波長の光を放射する発光ダイオードチップを備えた光源から放射される、少なくとも第1波長の光とこの第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を用いて照明を行う方法であって、
放射された混色光を、入射光が集光される入射面からレンズに入射させて、所定範囲内の値の配光角に制御し、
配列した複数の微小レンズであって、これら複数の微小レンズの曲率半径R、隣接した微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向とこの軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で異なっている複数の微小レンズを介して、配光角が制御された少なくとも混色光を方向毎に分散させ、均一化が促進された照明光を得る照明方法が提供される。
【発明の効果】
【0035】
本発明のLED照明デバイス、LED照明装置、及び照明方法によれば、色ムラを抑制しつつ、照明対象に応じて必要な照度を確保可能な電力効率の良い照明が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるLED照明デバイスの一実施形態を示す斜視図、側面断面図、底面図、及び上面図である。
【図2】微小レンズ配列部における微小レンズ配列を説明するための上面図、及び側面断面図である。
【図3】配光角制御レンズ部での配光角制御を説明するための断面概略図、及び微小レンズ配列部での比P/Rの制御例を示すグラフである。
【図4】実施例2におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフ、及び実施例2におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【図5】実施例3におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフ、及び実施例3におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【図6】実施例4−1におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフ、及び実施例4−2におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。
【図7】実施例4−3における微小レンズ配列を示した拡大写真、実施例4−3におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフ、及び実施例4−3におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【図8】実施例5におけるレンズ配列面における微小レンズの配置を示した概略図、及び実施例5におけるXY面内、並びにX軸方向及びY軸方向での照度分布を示すグラフである。
【図9】市松模様をなす2種の正方形領域からなるレンズ配列面を有する微小レンズ配列部を示す概略図である。
【図10】本発明によるLED照明装置の一実施形態を示す、正面図、断面図及び背面図である。
【図11】本発明によるLED照明装置における他の実施形態を示す、上面図及び正面図である。
【図12】図11の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明によるLED照明装置における更なる他の実施形態を示す、上面図、正面図、側面図及び断面図である。
【図14】微小レンズ配列部の出射面(発光面)に係る変更態様を示す断面概略図である。
【図15】本発明によるLED照明装置の照明形状に係る種々の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0038】
[LED照明デバイス]
図1は、本発明によるLED照明デバイスの一実施形態を示す斜視図、側面断面図、底面図、及び上面図である。尚、各図中にはデバイスの向きの指標となるXYZ座標系が示されている。
【0039】
図1(A)は、本発明の一実施形態としてのLED照明デバイス10を示す。また、図1(B)は、LED照明デバイス10における、ZX面によってデバイス中央部を切断した側面断面を示す。両図によれば、LED照明デバイス10は、基台11と、基台11上に設置されたLED光源12と、LED光源12の少なくとも上方に位置する均一化光学体13と、均一化光学体13を基台11に設置するための脚部14とを備えている。
【0040】
基台11は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、環状オレフィン樹脂、光学用特殊ポリエステル樹脂、若しくは高密度ポリエチレン樹脂等のプラスチック材料、又は透明光学ガラス、若しくは蛍光ガラス等のセラミック材料を用いて形成されている。LED光源12は、基台11上に設置・固定されており、基台11の内部又は表面部に設けられた配線と電気的に接続され、外部電源からの電力供給を受ける。また、基台11上にLED光源12に接する形で、放熱シート等のヒートシンクが設けられることも好ましい。
【0041】
LED光源12は、第1波長の光を放射する発光ダイオードチップ(LEDチップ)を備え、少なくともこの第1波長の光と第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を放射する光源である。このLED光源12としては、
(1)第1波長の光(例えば青色光)を放射するLEDチップと、このLEDチップの発光面を覆っている樹脂であって、この第1波長の光を吸収して第2波長の光(例えば黄色光)を蛍光として発する蛍光体を含む樹脂を備えている
ものとすることができる。上記の均一化光学体13によって、照射光の混色化・色均一化が促進されるので、このようなLED光源12に起因する黄色リング等の色ムラ発生を抑制可能となる。
【0042】
変更態様として、LED光源12は、
(2)それぞれ第1波長の光(例えば青色光)、第2波長の光(例えば緑色光)及び第3波長の光(例えば赤色光)を放射する3種類のLEDチップを備えている、又は
(3)第1波長の光(例えば近紫外光又は紫色光)を放射するLEDチップと、このLEDチップの発光面を覆っている樹脂であって、この第1波長の光を吸収してそれぞれ第2波長の光(例えば青色光)、第3波長の光(例えば緑色光)及び第4波長の光(例えば赤色光)を蛍光として発する3種類の蛍光体を含む樹脂を備えている
ものであってもよい。上記の均一化光学体13によって、同様に照射光の混色化・色均一化が促進されるので、このようなLED光源12に起因する色ムラ発生を抑制可能となる。
【0043】
また、上述した形態以外のLED光源12も採用可能である。例えば、青色LEDチップと、緑色蛍光体と、赤色蛍光体との組合せを有するLED光源12でもよい。いずれにしても、高い演色性(平均及び特殊演色評価数)を実現すべくLED光源12を選択することができる。ここで、上記の均一化光学体13を用いることによって、本来演色性の高い光源からの放射光を十分に均一化して照明対象に照射し、所望の良好な色合い(白色の程度、鮮やかさ)を実現することが可能となる。
【0044】
同じく図1(A)及び(B)によれば、均一化光学体13は、LED光源12の少なくとも上方に位置し、LED光源12からの放射光を受光して混色化・色均一化が促進された照射光を放射する光学系である。均一化光学体13は、本実施形態において4本の脚部14で基台11に設置されているが、設置方法はこれに限定されるものではない。LED光源12と均一化光学体13とのZ軸方向での間隔及びXY面内での相対位置を、光源からの光束を光学体に最大限取り込み可能となるように、安定して調整可能となる設置方法であればよい。
【0045】
図1(B)及び底面図である図1(C)によれば、各脚部14における均一化光学体13とは反対側の端に、突起14pが設けられている。均一化光学体13設置の際には、これら突起14pが、基台11上面における設計通りの位置に設けられた脚部挿入孔11hに挿入される。これにより、デバイス組立時に、均一化光学体13の光学的な位置決めが容易となる。尚当然に、突起14pを用いずに位置決めして設置することも可能である。
【0046】
均一化光学体13は、配光角制御レンズ部130と、微小レンズ配列部131とを備えている。配光角制御レンズ部130は、LED光源12からの放射光(混色光)が入射後に集光される入射面(入射内面)130csを有しており、入射した放射光(混色光)を所定範囲内の値の配光角に制御する。この配光角は、後に詳述するように、半値全角幅として5度(°)から40°までの範囲内の値に制御されることが好ましい。
【0047】
さらに、本実施形態では、配光角制御レンズ部130は、少なくともLED光源12の発光面12e(本実施形態ではLED光源12の略全体)を内部に含む凹部130cを備えている。これにより、配光角制御レンズ部130は、LED光源12からの放射光を高い効率で受光することができる。
【0048】
この凹部130cは、凸レンズ表面状の入射内面130csを備えている。これにより、LED光源12からの放射光(混色光)は、この入射内面130csに入射した後、集光される。その結果、発散する方向に伝播していた放射光(混色光)の配光角を、所定範囲内の値に制御可能となる。尚、入射内面130csは、凸レンズ表面状に限定されるものではなく、LED光源12からの放射光(混色光)が集光されるような入射角で入射する面であればよい。例えば、設定される配光角によっては概ね平面状となる場合もある。さらに、凹部130cは、LED光源12を取り囲む位置に設けられた内壁面130cwを備えている。これにより、配光角制御レンズ部130は、LED光源12からの放射光(混色光)を、この内壁面130cwをも介して概ねもれなく受光することができる。
【0049】
微小レンズ配列部131は、配光角制御レンズ部130からの配光角が制御された光(混色光)を、配光角制御レンズ部130における入射内面130csとは反対側の出射位置を介して受光し、分散させて色の均一化を促進する光学部分である。ここで、配光角制御レンズ部130の出射位置(微小レンズ配列部131との境界)は、本実施形態において平面状のレンズ配列面131aとなる。従って、配光角制御レンズ部130は、出射位置面から配光角が制御された光を放射する面発光源と捉えることができ、一方、微小レンズ配列部131は、この面発光源から配光が制御された光を、レンズ配列面131aを介して受光する分散制御光学系と捉えることができる。
【0050】
また、微小レンズ配列部131は、上面図である図1(D)に示すように、レンズ配列面131aを底面として配列した複数の微小レンズ131mを備えている。これら微小レンズ131mの配列については、後に図2を用いて詳述する。
【0051】
配光角制御レンズ部130及び微小レンズ配列部131は、又はこれらの部分と更に脚部14とは、一体で形成されることが好ましい。変更態様として、個別に形成された配光角制御レンズ部130と微小レンズ配列部131とを、接面させて、又は所定の間隔をもって配置して、均一光学体13とすることも可能である。しかしながら、一体に形成することによって、配光角制御レンズ部130と微小レンズ配列部131との間に光学的な境界(不連続部)を残すことがないので、不要な光損失を回避できる。
【0052】
配光角制御レンズ部130、微小レンズ配列部131及び脚部14を一体に形成する方法として、所定の金型に、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、環状オレフィン樹脂、光学用特殊ポリエステル樹脂、若しくは高密度ポリエチレン樹脂等の光学的に透明な樹脂、又は透明光学ガラス、若しくは蛍光ガラス等を注入して硬化させる方法が採用可能である。これにより、配光角制御レンズ部130、微小レンズ配列部131及び脚部14が設計通りの位置関係に設定された均一光学体13を、安定的に量産化することができ、安価に製造可能となる。また、デバイス組み立て時の部品点数が低減され、一体化した均一光学体13を基台11に取り付けるだけで、LED照明デバイス10の光学系が完成する。
【0053】
さらに、本発明によるLED照明デバイス10では、光源機能(LED光源12)と配光・分散制御機能(均一化光学体13)とが、完全に分離している。その結果、デバイス製造時での光学設計・調整が容易となり、歩留まり向上に貢献することができる。
【0054】
[微小レンズ配列部]
図2は、微小レンズ配列部131における微小レンズ配列を説明するための上面図、及び側面断面図である。
【0055】
図2(A1)は、複数の微小レンズ131mの六角形配列を示す。また、図2(A2)は、この六角形配列のZX面による側面断面を示す。図2(A1)及び(A2)によれば、六角形配列は、レンズ頂点131mtが六角格子を成すように、複数の微小レンズ131mが配置された配列である。個々の微小レンズ131mは、微小な半球又は半回転楕円体(半楕円球)の一部となる形状を有する。変更態様として、微小レンズ131mの表面形状を非球面とすることも可能である。
【0056】
各微小レンズ131mは、図2(A1)及び(A2)に示すように、底面をレンズ配列面131a(配光角制御レンズ部130の出射位置)とし、出射面の曲率半径をRとする。ここで、出射面(発光面)は光の進行方向(+Z方向)に凸であるから、その曲率半径は本来負値である。しかしながら、計算等の便宜のため、以後、その絶対値をとってR値とし、このR値を曲率半径とする。また、隣接した微小レンズ131mにおけるレンズ頂点131mt間の距離(ピッチ)をPとする。
【0057】
ここで、これら配列した複数の微小レンズ131mにおいては、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面131a内におけるレンズ頂点を結ぶ1つの軸(Y軸)の方向とこの軸に垂直な軸(X軸)の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面131a内におけるレンズ頂点を結ぶ軸(Y軸及びX′軸)それぞれの方向の間で、異なっている。具体的に、図2(A1)においては、Y軸方向の曲率半径RがX軸方向の曲率半径Rよりも大きくなっており、また、Y軸方向のピッチPがX′軸方向のピッチPよりも大きくなっている。
【0058】
ここで、ピッチPと曲率半径Rとの比P/Rをパラメータとして、微小レンズ131mの配列を考察する。図2(A1)には、3つの微小レンズ131mが重畳する3重点が存在しており、微小レンズ131mの間隔がこれ以上広がると(レンズ頂点を結ぶ各軸方向での比P/Rが増大すると)、レンズ配列面131a内に微小レンズ131mではない領域が形成されてしまう限界状態にある。言い換えれば、比P/Rが、レンズ頂点を結ぶ各軸方向(Y軸、X′軸)においてレンズ配列面131a内に微小レンズ131mではない領域が形成されない上限値をとっている状態である。ここで、X′軸方向での比P/Rにおける曲率半径Rは、X′軸方向での曲率半径RX′である。尚、複数の微小レンズ131mが正六角形配列をなし、レンズ底面が円状(R=R)である場合、この比P/Rの上限値は、1.73(√3)となる。
【0059】
一方、各軸方向において比P/Rが減少し、微小レンズ131mの間隔が狭くなると、隣接する微小レンズ131m同士の重畳部分が増大し、微小レンズ配列部131全体として出射面の凹凸の度合いが減少する。一極限として、比P/R=0では、微小レンズ配列部131の出射面は、凹凸のないレンズ配列面131aに沿った面となる。尚、後に図3を用いて詳述するように、比P/Rは、この六角形配列において、0.4以上であって上記の上限値以下であることが好ましい。比P/Rをこのように制御することによって、LED光源12から放射される混色光を十分に均一化した所望の照度を有する照射光を得ることができる。
【0060】
図2(B)は、複数の微小レンズ131mの四角形配列を示す。同図によれば、四角形配列は、レンズ頂点131mtが正方格子又は長方格子を成すように、複数の微小レンズ131mが配置された配列である。個々の微小レンズ131mにおける詳細は、図2(A1)及び(A2)と同様である。
【0061】
これら配列した複数の微小レンズ131mにおいては、曲率半径R、ピッチP、又は曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面131a内におけるレンズ頂点を結ぶ1つの軸(X軸)の方向とこの軸に垂直な軸(Y軸)の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面131a内におけるレンズ頂点を結ぶ軸(X軸及びY軸)それぞれの方向の間で、異なっている。具体的に、図2(B)においては、Y軸方向の曲率半径RがX軸方向の曲率半径Rよりも大きくなっており、また、Y軸方向のピッチPがX軸方向のピッチPよりも大きくなっている。
【0062】
ここで、四角形配列においても、ピッチPと曲率半径Rとの比P/Rをパラメータとして、微小レンズ131mの配列を考察する。図2(B)には、4つの微小レンズ131mが重畳する4重点が存在しており、微小レンズ131mの間隔がこれ以上広がると(レンズ頂点を結ぶ各軸方向での比P/Rが増大すると)、レンズ配列面131a内に微小レンズ131mではない領域が形成されてしまう限界状態にある。言い換えれば、比P/Rが、レンズ頂点を結ぶ各軸方向(X軸、Y軸)においてレンズ配列面131a内に微小レンズ131mではない領域が形成されない上限値をとっている状態である。
【0063】
尚、複数の微小レンズ131mが正方形配列をなし、レンズ底面が円状(R=R)である場合、この比P/Rの上限値は、1.41(√2)となる。また、後に図3を用いて説明するように、比P/Rは、この正方形配列においても、0.4以上であって上記の上限値以下であることが好ましい。比P/Rをこのように制御することによって、LED光源12から放射される混色光を十分に均一化した所望の照度を有する照射光を得ることができる。
【0064】
[実施例1:配光角・比P/R制御]
図3(A)は、配光角制御レンズ部130での配光角制御を説明するための断面概略図であり、図3(B)は、微小レンズ配列部131での比P/Rの制御例を示すグラフである。
【0065】
図3(A)によれば、LED光源12から放射された光(混色光)が、入射内面130csを介して配光角制御レンズ部130に入射し、配光を制御されて、配光角制御レンズ部130の出射位置である出射面130eから出射される。尚、この出射光は実際には外部に放射されず、レンズ配列面131aを介して即、微小レンズ配列部131に伝播する。この出射光強度(エネルギー強度(W/m))の角度分布を強度分布15で示す。出射光強度は、図3(A)では、最大値を1とした規格化強度となっている。
【0066】
出射光の配光角θは、出射光の最大強度方向(Z軸方向)を軸とし、出射光強度が0.5(最大強度の半分)となる方向の母線が成す円錐における、母線とZ軸とのなす角の2倍、即ち出射光の半値全角幅と定義される。図3(A)の強度分布15は、配光角θ=40°である出射光の分布となっている。
【0067】
ここで、配光角θが大きくなるほど出射面130eからの出射光は分散し、一方、配光角θが小さくなるほど出射面130eからの出射光における中心照度は高くなる。本発明において、配光角制御レンズ部130は、LED光源12から放射された光(混色光)を、5°から40°までの範囲内の値の配光角θに制御することが好ましい。即ち、
(1) 5°≦θ≦40°
であることが好ましい。
【0068】
実際に、次いで図3(B)を用いて説明するように、配光角制御レンズ部130と微小レンズ配列部131とを組み合わせてシミュレーション実験を行ったところ、配光角θが上式(1)の範囲内の値をとる場合に、色ムラ(黄色リング)が存在せず中心照度の維持された照射光が、比P/Rの制御によって、実現されることが確認されている。ここで、配光角θを5°以上に設定することによって、そのような配光角θに制御するために必要とされる配光角制御レンズ部130の光学的寸法精度が、通常製造コストで実現する範囲内に収まる。実際、配光角を3°〜4°以内に確実に収めるには、通常の照明装置光学系の制作工程以上に加工精度が要求され、通常必要となる以上のコストがかかることが製造現場での経験上分かっている。
【0069】
一方、配光角θが40°以下の場合に、配光角制御レンズ部130による分散・均一化作用が有効に発揮される。実際、配光角θが40°を超える光では、次いで説明する図3(B)でのシミュレーション実験と同様の実験によって、微小レンズ配列部131による分散の寄与分がほとんど存在しなくなることが確認されている。また、それ故に、配光角θが40°以下の場合に初めて、所定の照明対象に応じて必要な中心照度が確保可能な照射範囲が実現することが明らかになっている。
【0070】
以上、配光角θが上式(1)の範囲内の値に制御された光を、配光角制御レンズ部130から出射することによって、以下に説明するように、微小レンズ配列部131において、照射光の中心照度及び分散の程度を、照明対象に適合させることができるのである。
【0071】
図3(B)は、光学シミュレーション実験によって得られた、微小レンズ配列部131における比P/Rと、出射光の中心照度及び半値全角(FWHM)との関係を示す。ここで、光学シミュレーション実験は、ノンシーケンシャル光線追跡のモンテカルロ法を用いて実施された。また、微小レンズ配列部131は、複数の微小レンズ131mが正六角形配列をなすものであり、各微小レンズ131mは、半球状レンズの部分となる形状を有していた。
【0072】
配光角制御レンズ部130からの出射光の配光角θは8.5°である。また、中心照度(単位はルクス(lx))及びFWHM(°)はそれぞれ、シミュレーション測定範囲内での最大値を1とした規格値で表されている。尚、以下に説明する、比P/Rをパラメータとした実験結果は、光学系の原理から、比P/Rが同じであれば実寸(P値及びR値)が異なっていても同一となる点に留意すべきである。また、この比P/Rは、図2(A1)において、Y軸方向及びこのY軸に対して60°の角度を示すX′軸それぞれの方向での値となるが、この両者は同一値となる。
【0073】
図3(B)によれば、比P/Rがゼロ(出射面が凹凸のない面)から増加するにつれて、微小レンズのピッチPが相対的に増大し、微小レンズの凸部領域が拡大する。その結果、微小レンズ配列部131の分散作用が高まって出射光のFWHMが増加する一方、中心照度は単調に減少する。即ち、黄色リング等の色ムラ発生を抑制する効果が出現する。
【0074】
ここで、図3(B)に示したFWHMの二次微分からFWHM曲線の変曲点を算出すると、変曲点での比P/Rは0.4となる。このように、比P/Rが0.4以上になると、FWHMが実質的に増大し始め、色ムラ発生の抑制効果が顕著となることが確認される。一方、比P/Rが1.73を超えると、図2(A1)及び(A2)を用いて説明したように、配光角制御レンズ部130のレンズ配列面131a内に、微小レンズ131mではない領域が形成される。即ち、微小レンズ131m間に隙間が生じてしまう。その結果、微小レンズ131mによる分散作用が低下してしまう。
【0075】
従って、比P/Rは、この正六角形配列において、0.4以上であって、1.73以下であることが好ましい。比P/Rをこのように制御することによって、LED光源12から放射される混色光を十分に均一化した所望の中心照度を有する照射光を得ることができる。さらに、正方形配列においても、比P/Rは、同様の光学シミュレーション実験によって、0.4以上であって、1.41以下であることが好ましいとの結果が得られた。
【0076】
これらの比P/Rの値1.73及び1.41はいずれも、上述したように、Y軸方向及びX′軸方向において、微小レンズ配列部131のレンズ配列面131内に微小レンズ131mではない領域が形成されないための上限値である。従って、以上の結果を合わせて考察すると、図2(A1)及び(B)に示すように曲率半径R及び/又はピッチPがレンズ頂点を結ぶ各軸の方向で異なっている場合には、レンズ配列面131a内のレンズ頂点を結ぶ各軸の方向において、比P/Rは、0.4以上であって、微小レンズ配列部131のレンズ配列面131a内に微小レンズではない領域が形成されない上限値以下であることが好ましいことが理解される。
【0077】
尚、配光角θが上式(1)(5°≦θ≦40°)の範囲内における他の値をとる場合にも、光学シミュレーションによって、以上に説明したのと同様の結果が得られた。即ち、比P/Rが上記の好適範囲において、5°≦θ≦40°の条件下、色ムラ(黄色リング)が存在しない設計通りのFWHMを有する照射光が実現された。
【0078】
[実施例2:微小レンズの長方形配列]
長方形配列した複数の微小レンズ131mを備えている微小レンズ配列部131を使用した照射実験を、光学シミュレーションによって行った。表1に、実施例2の実験結果を示す。


【表1】

【0079】
表1の実施例2では、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mm(ミリメートル)である。微小レンズ配列部131(レンズ配列面131a)全体の形状は、XY面内において、このレンズ径dがなす円よりも十分に大きな面積を有する円状である。曲率半径R及びRはそれぞれ、図2(B)に示すように、微小レンズ131mのZX面による断面及びYZ面による断面における曲率半径である。曲率半径R及びRは1.0mmであり、各微小レンズの形状は半球状部分である。また、ピッチP及びPはそれぞれ、同じく図2(B)に示すように、X軸方向及びY軸方向において隣接する微小レンズ131mのレンズ頂点間距離である。さらに、F及びFはそれぞれ、出射光の半値全角幅がなす円錐における、頂点を含むZX面及びYZ面による断面内に存在する母線同士が成す角度である。
【0080】
また、表1において、中心光度は、配光角制御レンズ部130及び微小レンズ配列部131の中心を通る(Z軸方向の)光軸(図1(B)の一点鎖線)と、微小レンズ配列部131の出射面(発光面)との交点での出射光の光度(単位はカンデラ(cd))である。さらに、半値照度は、本LED照明デバイスから光軸方向に1m離隔した(光軸に垂直な平面状の)照明対象において、中心照度の半分の値となる照度(単位はルクス(lx))である。
【0081】
図4(A)は、実施例2におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。また、図4(B)は、実施例2におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【0082】
表1及び図4(A)によれば、実施例2では、微小レンズ131mが長方形配列している。曲率半径R及びRは共に1.0mmであって等しい。また、微小レンズ間のピッチP及びPはそれぞれ、0.8mm及び1.2mmであり、ピッチPが異方性を有する。即ち、ピッチPが、レンズ頂点を結ぶ複数の軸であって互いに垂直なX軸及びY軸それぞれの方向の間で、異なっている。その結果、比P/Rも異方性を有する(P/R=0.8、P/R=1.2)。また、中心光度は205cdであり、光度分布は、X軸方向とY軸方向とでそれぞれ異なったガウス分布となる。
【0083】
さらに、実施例2では、半値全角F及びFもそれぞれ24.5°及び33.5°であり、異なった値となる。また、半値照度として110lxが計測された地点は、照明対象平面に(光軸との交点が原点である)XYZ座標系を導入すると、X軸上で原点から±40cm(センチメートル)の位置となり、Y軸上で原点から±60cmの位置となる。
【0084】
以上述べたように、X軸方向及びY軸方向に関して照射光の分散が異方性を有する実施例2では、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、図4(B)に示すように概ね長方形状となる。尚、図4(B)の照度分布は、微小レンズ配列部131から光軸に沿って1mの位置にある(光軸に垂直な)平面状での分布である。
【0085】
従って、微小レンズ131mを長方形配列させ、比P/R(ピッチP)に異方性を持たせることによって、照明形状を長方形状に制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験において、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることも確認されている。
【0086】
[実施例3:微小レンズの六角形配列]
六角形配列した複数の微小レンズ131mを備えている微小レンズ配列部131を使用した照射実験を、光学シミュレーションによって行った。表2に、実施例3の実験結果を示す。
【表2】

【0087】
表2の実施例3において、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mmである。微小レンズ配列部131(レンズ配列面131a)の形状は、XY面内において、このレンズ径dがなす円よりも十分に大きな面積を有する円状である。曲率半径R及びRはそれぞれ、図2(A)に示すように、微小レンズ131mのZX面による断面及びYZ面による断面における曲率半径である。これら曲率半径R及びRはそれぞれ2.0mm及び1.0mmであり、各微小レンズの形状は楕円球状部分である。また、ピッチP及びPはそれぞれ、図2(A)に示すように、X′軸方向及びY軸方向において隣接する微小レンズ131mのレンズ頂点間距離である。ここで、X′軸は、XY面内においてY軸からX軸に向けて60°回転した方向の軸である。さらに、F及びFはそれぞれ、出射光の半値全角幅がなす円錐における、頂点を含むZX面及びYZ面による断面内に存在する母線同士が成す角度である。
【0088】
図5(A)は、実施例3におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。また、図5(B)は、実施例3におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【0089】
表2及び図5(A)によれば、実施例3では、微小レンズ131mが六角形配列しており、曲率半径R及びRはそれぞれ、2.0mm及び1.0mmであって、曲率半径Rが異方性を有する。即ち、曲率半径Rが、Y軸の方向とY軸に垂直なX軸の方向との間で異なっている。一方、微小レンズ間のピッチP及びPは共に、0.8mmであって等しい。その結果、比P/Rは異方性を有する(P/R=0.4、P/R=0.8)。中心光度は、580cdであり、光度分布は、X軸方向とY軸方向とでそれぞれ異なったガウス分布となる。
【0090】
さらに、実施例3では、半値全角F及びFもそれぞれ12.5°及び21.5°であり、異なった値となる。また、半値照度として700lxが計測された地点は、照明対象平面に(光軸との交点が原点である)XYZ座標系を導入すると、X軸上で原点から±20cmの位置となり、Y軸上で原点から±38cmの位置となる。
【0091】
以上述べたように、X軸方向及びY軸方向に関して照射光の分散が異方性を有する実施例3では、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、図5(B)に示すように概ね楕円形状となる。尚、図5(B)の照度分布は、微小レンズ配列部131から光軸に沿って1mの位置にある(光軸に垂直な)平面状での分布である。
【0092】
従って、微小レンズ131mを六角形配列させ、比P/R(曲率半径R)に異方性を持たせることによって、照明形状を楕円形状に制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験において、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることも確認されている。
【0093】
[実施例4:微小レンズの長方形配列、比P/R等方]
長方形配列した複数の微小レンズ131mを備えている微小レンズ配列部131を使用した照射実験を、光学シミュレーションによって行った。表3に、実施例4の実験結果を示す。
【表3】

【0094】
表3の実施例4−1、4−2及び4−3のいずれにおいても、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mmである。微小レンズ配列部131(レンズ配列面131a)の形状は、XY面内において、このレンズ径dがなす円よりも十分に大きな面積を有する円状である。曲率半径R及びRは互いに異なっており、各微小レンズの形状は楕円球状部分である。
【0095】
図6(A)は、実施例4−1におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。また、図6(B)は、実施例4−2におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。
【0096】
表3、図6(A)及び(B)によれば、実施例4−1及び4−2では、微小レンズ131mが長方形配列しており、曲率半径R及びRは、実施例4−1でそれぞれ1.0mm及び1.05mmであり、実施例4−2でそれぞれ1.0mm及び0.95mmであって、曲率半径Rが異方性を有する。また、微小レンズ間のピッチP及びPも、実施例4−1でそれぞれ0.8mm及び0.84mmであり、実施例4−2でそれぞれ1.2mm及び1.14mmであって、ピッチPも異方性を有する。即ち、曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径RについてはX軸の方向とX軸に垂直なY軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ頂点を結ぶ複数の軸(X軸及びY軸)それぞれの方向の間で、異なっている。実施例4−1及び4−2では、これにより、比P/Rが等方的となる。即ち、実施例4−1ではP/R=P/R=0.8となり、実施例4−2ではP/R=P/R=1.2となる。
【0097】
中心光度は、実施例4−1で290cdであり、実施例4−2で150cdであって、光度分布は、X軸方向とY軸方向とで一致したガウス分布となる。さらに、実施例4−1及び4−2では、半値全角F及びFも、実施例4−1で共に24.5°であり、実施例4−2で共に34.5°であって、同一値となる。
【0098】
図7(A)は、実施例4−3における微小レンズ配列を示した拡大写真である。また、図7(B)は、実施例4−3におけるX軸方向及びY軸方向それぞれでの出射光の光度分布を示すグラフである。また、図7(C)は、実施例4−3におけるXY面内での照度分布を示すグラフである。
【0099】
表3、図7(A)及び(B)によれば、実施例4−3でも、微小レンズ131mが長方形配列しており、曲率半径R及びRは、それぞれ1.0mm及び2.0mmであって、曲率半径Rが異方性を有する。また、微小レンズ間のピッチP及びPも、それぞれ0.4mm及び0.8mmであって、ピッチPも異方性を有する。即ち、曲率半径R及びピッチPの両方が、曲率半径RについてはX軸の方向とX軸に垂直なY軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ頂点を結ぶ複数の軸(X軸及びY軸)それぞれの方向の間で、異なっている。実施例4−3でも、これにより、比P/Rが等方的となる(P/R=P/R=0.4)。中心光度は、875cdであり、光度分布は、X軸方向とY軸方向とで一致したガウス分布となる。
【0100】
さらに、実施例4−3では、半値全角F及びFも、共に12°であり同一値となる。また、半値照度として1050lxが計測された地点は、照明対象平面に(光軸との交点が原点である)XYZ座標系を導入すると、X軸上で原点から±22cmの位置となり、Y軸上でも原点から±22cmの位置となる。即ち、照度分布もX軸方向及びY軸方向において等方的である。
【0101】
このように、微小レンズ配列が長方形配列であるであるにも拘わらず比P/RがX軸方向及びY軸方向において等方的(P/R=P/R)である実施例4−3では、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、図7(C)に示すように概ね正方形状となる。尚、図7(C)の照度分布は、微小レンズ配列部131から光軸に沿って1mの位置にある(光軸に垂直な)平面状での分布である。また、表3に示すように、実施例4−1及び4−2においても、図7(C)と同様の、概ね正方形状の照度分布が得られている。
【0102】
以上に述べた実施例4−1、4−2及び4−3の結果から、微小レンズ131mを長方形配列させても、比P/Rを等方的にすることによって、照明形状を正方形状に制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験において、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることも確認されている。
【0103】
尚、実施例4−1における曲率半径R及びピッチPにおける異方性の程度は、
(R−R)/R(=(P−P)/P)=+0.05(+5%)
であり、実施例4−2における曲率半径R及びピッチPにおける異方性の程度は、
(R−R)/R(=(P−P)/P)=−0.05(−5%)
である。製造現場での光学系加工精度の下、少なくともこのような±5%の異方性を有する微小レンズ配列部131ならば、曲率半径R及びピッチPを上述したように調整して、照明形状を概ね正方形状に設定可能であることが実験により確認されている。
【0104】
[実施例5:微小レンズの長方形配列、レンズ配列面131aの領域分割]
長方形配列した複数の微小レンズ131mを備えており、レンズ配列面131aが曲率半径R及びピッチPに関して互いに異なる領域に分割されている微小レンズ配列部131を使用した照射実験を、光学シミュレーションによって行った。実施例5においても、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mmである。
【0105】
図8(A)は、実施例5におけるレンズ配列面131aにおける微小レンズ131mの配置を示した概略図である。また、図8(B)〜(D)は、実施例5におけるXY面内、並びにX軸方向及びY軸方向での照度分布を示すグラフである。
【0106】
実施例5では、図8(A)に示すように、レンズ配列面131aが、中央の光軸位置を通る分割線cを境界にして、曲率半径R及びピッチPに関して互いに異なる領域a及びaに分割されている。表4に、各領域での曲率半径R及びピッチPを示す。
【表4】

【0107】
領域aでは、曲率半径R及びRは共に1.0mmであり、一方、微小レンズ間のピッチP及びPはそれぞれ、0.8mm及び1.2mmである。従って、比P/R及び比P/Rはそれぞれ、0.8及び1.2となる。これに対して、領域aでは、微小レンズ間のピッチP及びPが、領域aから互いに入れ替わっており、それぞれ1.2mm及び0.8mmである。従って、比P/R及び比P/Rも、領域aから互いに入れ替わって、それぞれ1.2及び0.8となる。
【0108】
即ち、領域a及び領域aは、曲率半径R及びピッチPに関する1つの配列パターンを、互いに90°だけ向きが異なるようにそれぞれに配置した微小レンズ配列を有している。その結果、ピッチPが、レンズ配列面131a内における1つの軸(Y軸)の方向に沿って、値を変化させ非均一な分布をなしている。
【0109】
また、言い換えると、領域aでは、
第1の値の組(R,R,P,P:1.0,1.0,0.8,1.2)
が設定されており、領域aでは、この第1の値の組とは異なる
第2の値の組(R,R,P,P:1.0,1.0,1.2,0.8)
が設定されていることになる。
【0110】
尚、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mmである。また、微小レンズ配列部131(レンズ配列面131a)の形状は、図8(A)に示すように、XY面内において、このレンズ径dがなす円よりも十分に大きな面積を有する円状である。
【0111】
これら領域a及び領域aを備えた微小レンズ配列部131からの出射光が、照明対象平面を照射した際のXY面内、並びにX軸方向及びY軸方向での照度分布を、図8(B)及び図8(C)に示す。この出射光による照明形状は、図8(B)に示すように、概ね正方形状となる。実際、照度分布は、図8(C)に示すように、X軸方向及びY軸方向において概ね一致する。
【0112】
さらに、領域a及び領域aにおいて、比P/Rと比P/Rとの差をより大きく設定することによって、図8(D)に示すような十字形状の照明形状も得られる。これは、実施例2(図4(B))の照明形状に、当該照明形状を90°回転させたものを重畳させた形状に相当する。
【0113】
さらに、レンズ配列面131aの領域分割についての変更態様を説明する。図9は、市松模様をなす2種の正方形領域からなるレンズ配列面131aを有する微小レンズ配列部131を示す概略図である。
【0114】
図9によれば、レンズ配列面131aは、互いに市松模様をなす正方形領域a及び正方形領域aに分割されている。表5に、各正方形領域での曲率半径R及びピッチPを示す。
【表5】

【0115】
正方形領域a3では、曲率半径R及びRはそれぞれ、2.0mm及び1.0mmであり、一方、微小レンズ間のピッチP及びPは共に0.8mmである。従って、比P/R及び比P/Rはそれぞれ、0.4及び0.8となる。これに対して、正方形領域aでは、曲率半径R及びRが、正方形領域aから互いに入れ替わっており、それぞれ1.0mm及び2.0mmである。従って、比P/R及び比P/Rも、正方形領域aから互いに入れ替わって、それぞれ0.8及び0.4となる。
【0116】
即ち、正方形領域a及び正方形領域aは、曲率半径R及びピッチPに関する1つの配列パターンを、互いに90°だけ向きが異なるようにそれぞれに配置した微小レンズ配列を有している。その結果、曲率半径Rが、レンズ配列面131a内の2つの軸(X軸及びY軸)の方向それぞれに沿って、値を変化させ非均一な分布をなしている。
【0117】
また、言い換えると、領域aでは、
第1の値の組(R,R,P,P:2.0,1.0,0.8,0.8)
が設定されており、領域aでは、この第1の値の組とは異なる
第2の値の組(R,R,P,P:1.0,2.0,0.8,0.8)
が設定されていることになる。
【0118】
尚、配光角制御レンズ部130の配光角θは、9°であり、配光角制御レンズ部130のレンズ径d(図1(C))は、23mmである。また、微小レンズ配列部131(レンズ配列面131a)の形状は、XY面内において、このレンズ径dがなす円よりも十分に大きな面積を有する円状である。
【0119】
これら正方形領域a及び正方形領域aが交互に並んで市松模様をなす微小レンズ配列部131からの出射光が、照明対象平面を照射した際の照明形状は、概ね正方形状となる。
【0120】
以上のように、レンズ配列面131aが曲率半径R及びピッチPに関して互いに異なる領域に分割されている実施例5及びその変更態様では、出射光が照明対象平面を照射した際の照明形状は、概ね正方形状又は十字形状となる。従って、レンズ配列面131aを複数の領域に分割することによって、照明形状を、正方形状、又は十字形状等の各領域による照明形状の重ね合わせに制御可能なことが理解される。また、本シミュレーション実験において、照明形状内に、中央部の青色及び黄色リングに対応する分布は見られず、照射光の均一化が促進されていることも確認されている。
【0121】
以上、種々の実施例を用いて詳細に説明したように、本発明のLED照明デバイス10によれば、均一化光学体13によって、照射光の混色化・色均一化が促進されLED光源12に起因する黄色リング等の色ムラ発生を抑制可能となる。また、均一化光学体13の光学的構成(微小レンズ配置、曲率半径R及びピッチP)を、異なる方向それぞれに関して制御することによって、例えば従来の蛍光灯のような広範囲を遍く照らす照明状態から、スポットライトのような集光性の高い照明状態までを、色ムラ発生を抑制しつつ実現することが可能となる。
【0122】
また、LED照明デバイス10においては、従来蛍光灯のような照明状態を実現する際に使用されていた、厚い光分散シートが不要となる。その結果、従来問題となっていた出射光の分散による損失を、大幅に低減することが可能となる。
【0123】
さらに、本発明のLED照明デバイス10によれば、照明対象に応じた必要な照度と、照明対象の形状に適した照明形状とを、色ムラ発生を抑制しつつ実現することができる。これにより、照明対象外にはみ出して無駄になる出射光を大幅に低減可能となり、LED照明本来の低消費電力の下、十分な照度で照明対象を照らすことができる。その結果、より電力効率の良い照明が実現可能となる。
【0124】
[LED照明装置]
図10は、本発明によるLED照明装置の一実施形態を示す、正面図、断面図及び背面図である。ここで、図10(B)は、図10(A)のA−A面による断面を示す。
【0125】
図10(A)及び(B)によれば、LED照明装置1は、ケース16と、ケース16内に直列して配置された複数のLED照明デバイス10と、ケース16上部に設けられた開口に嵌るように設置された蓋体17と、各LED照明デバイス10に電力を供給するための電源線18とを備えている。
【0126】
ケース16は、アルミダイキャスト、若しくはステンレス鋼等の金属材料、又はポリカーボネート、PET、若しくはアクリル等を含む非透過性のプラスチック材料で形成されており不透明である。蓋体17は、強化ガラス等のガラス材料、又はポリカーボネート、PET、若しくはアクリル等を含む透過性のプラスチック材料等の透明材料で形成されている。また、複数のLED照明デバイス10は、微小レンズ配列部131を蓋体17に対向させて設置されている。これにより、複数のLED照明デバイス10からの出射光は、蓋体17を介して放射され、照明光となる。
【0127】
複数のLED照明デバイス10の基台11は、互いに接触し連なって、又は所定の間隔をもって直線的に配置されている。変更態様として、これら複数の基台11を1つの基板に統合し、この基板上に、複数のLED光源12と、複数の均一化光学体13とを設置して複数のLED照明デバイス10としてもよい。
【0128】
尚、LED照明デバイス10の均一化光学体13、特に微小レンズ配列部131は、以上に説明した種々の実施形態(実施例)のいずれをも採用可能であり、均一化の促進された、さらには照度及び照明形状が制御された出射光を放射可能である。
【0129】
図10(C)に示すように、電源線18は、例えば、ケース16の底面端部に設けられた切れ込み開口部160を介して、基台11から外部へ引き出される。この電源線18と切れ込み開口部160との間、及び蓋体17とケース16の開口との間には、使用環境に応じて、接着剤、シール部材等を用いた防水・防油処置が施されることも好ましい。
【0130】
図11は、本発明によるLED照明装置における他の実施形態を示す、上面図及び正面図である。また、図12は、図11の実施形態を示す断面図である。ここで、図12(A)及び(C)は、図11(A)のB−B面による断面を示す。また、図12(B)は、図11(B)のC−C面による断面を示す。
【0131】
図11(A)及び(B)によれば、LED照明装置2は、円筒ケース20と、円筒ケース20内に直列して配置された複数のLED照明デバイス10と、円筒ケース20の両端それぞれに被せて設置された第1のキャップ21及び第2のキャップ22とを備えている。
【0132】
円筒ケース20は、ポリカーボネート、PET、又はアクリル等を含む透明なプラスチック樹脂材料で形成されている。円筒ケース20の厚さは、LED照明デバイス10からの熱によるケース内での過度の温度上昇を抑制しLED光源12を保護する観点と、円筒ケース20の機械的強度向上の観点から決定され、例えば、300μmとすることができる。
【0133】
さらに、円筒ケース20は、上記プラスチック樹脂に屈折率の異なるシリカ等の微粒子等の光拡散材料が混入された材料で形成されていることも好ましい。これにより、円筒ケース20内を伝播する、LED照明デバイス10からの出射光を拡散し、光の均一化をより促進させることが可能となる。
【0134】
円筒ケース20の外表面の少なくとも一部には、例えば、化学気相成長(CVD)法を用いて形成される例えば厚さ0.3μmのダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等である、高い硬度を有する保護膜が成膜されていてもよい。DLC膜を保護膜とすることによって、円筒ケース20の機械的強度が高まり、例えば、LED照明装置2が工作加工機械内で使用された場合に、飛来してくる切削粉等の衝突によって円筒ケース20が傷付く事態を回避できる。また、DLC膜の付着によって円筒ケース20の熱伝導効率が向上し、過度の温度上昇が抑制可能となる。さらに、紫外線よりも短波長側の光の放射が、DLC膜の吸収によって抑制され、より照明に適した光が得られる。
【0135】
さらに、保護膜として、各種光学系に利用されるハードコート膜を使用することも好ましい。ハードコート膜は、例えば、シリコーン系、シリコーンアクリル共重合体系、加水分解重合性ケイ素化合物系、又はフッ素系の化合物等を含む、単層膜又は多層膜である。
【0136】
さらに、このハードコート膜は、上記化合物に屈折率の異なるシリカ等の微粒子等の光拡散材料が混入された材料で形成されていることも好ましい。これにより、保護膜内を伝播する、LED照明デバイス10からの出射光を拡散し、光の均一化をより促進させることが可能となる。また、これら微粒子がフィラーとして機能し、保護膜の耐摩耗性が向上する。
【0137】
円筒ケース20の一端は、複数のLED照明デバイス10を挿入可能な開口端となっている。第1のキャップ21は、電極ピン21pを備えており、この開口端を覆うように設置され、円筒ケース20を気密封止している。これに対して、円筒ケース20の他端は、図11(C)に示すように、開口を有さずに底をなす閉端となっている。第2のキャップ22は、互いに電気的に絶縁されたダミー電極ピン22pを備えており、この閉端を覆うように設置されている。従って、円筒ケース20の組み立てにおいて、防水用の封止工程を必要とするのは、2つのキャップ取り付けのうち第1のキャップ取り付けに対してのみとなり、コスト・工数等の製造負担が軽減する。また、LED照明装置2は、これら電極ピン21p及びダミー電極ピン22pを備えているので、従来の蛍光灯における蛍光管装着器具に装着可能となる。
【0138】
同じく図11(A)及び(B)に示すように、本実施形態においては、従来の蛍光灯の照明状態を概ね再現するために、複数のLED照明デバイス10の微小レンズ配列部131は、互いに接触し連なって配置されている。変更態様として、複数の基台11を1つの基板に統合し、さらに、複数の微小レンズ配列部131を1つの微小レンズ配列連続体に統合し、この基板上に、複数のLED光源12と、1つの微小レンズ配列連続体とを設置して複数のLED照明デバイス10としてもよい。
【0139】
尚、LED照明デバイス10の均一化光学体13、特に微小レンズ配列部131は、以上に説明した種々の実施形態(実施例)のいずれをも採用可能であり、均一化の促進された、さらには照度及び照明形状が制御された出射光を放射可能である。ここで、一実施例として、配光角制御レンズ部130の配光角θを30°とし、微小レンズ131mを比P/R=1で正方形配列させたところ、FWHMが十分に大きく黄色リング等の色ムラが発生しない出射光を得ることができ、従来の蛍光灯の照明状態が概ね再現されることが確認された。尚、照明光の色合いは、均一化光学体13の形成時に、着色したプラスチック樹脂を用いることによって調整できる。
【0140】
また、図11(B)及び図12(B)によれば、カバーシート23が、複数のLED照明デバイス10における、配列した微小レンズ131mの出射面(発光面)以外の部分を覆い込むように、円筒ケース20内に設置されている。カバーシート23は、屈折率の異なるシリカ等の微粒子が混入された樹脂層である光拡散シートであってもよい。このようなカバーシート23を設置することによって、LED光源12と、均一化光学体13の出射面(発光面)以外の部分とが、円筒ケース20の外側から透けて見えることがなくなる。これにより、LED照明装置2による照明を、従来の蛍光灯の照明状態に更に近づけることが可能となる。
【0141】
さらに、図12(A)及び図12(B)によれば、放熱部24が、複数の基台11におけるLED光源12とは反対側の底面に接面するように設置されている。放熱部24は、アルミニウム若しくは銅等の金属材料で形成された板状物、又はシリコーン系、アクリル系、グラファイト系若しくは無機物系等の熱伝導シート(又はその積層体)であることが好ましい。また、図12(C)に示すように、円筒ケース20が、放熱部24側に、凹凸部25を有していることも好ましい。この凹凸部25は、放熱部24と部分的に(凹部の底で)接するように形成される。ここで、円筒ケース20の長手方向(X軸方向)に沿って凹凸が形成されていてもよく、それとは直交する方向に沿って(円筒ケース20表面の円弧に沿って)凹凸が形成されていてもよい。これらの構成によって、LED照明デバイス10からの熱を外部に効果的に発散させ、ケース内での過度の温度上昇を抑制して、LED光源12を保護することが可能となる。
【0142】
図13は、本発明によるLED照明装置における更なる他の実施形態を示す、上面図、正面図、側面図及び断面図である。ここで、図13(D)は、図13(A)のD−D面による断面を示す。
【0143】
図13(A)、(B)及び(D)によれば、LED照明装置3は、デバイス設置台30と、デバイス設置台30を覆うように設けられた設置台カバー31と、デバイス設置台30に直列して配置された複数のLED照明デバイス10と、デバイス設置台30及び設置台カバー31の両端それぞれに設置された第1の封止キャップ32及び第2の封止キャップ33と、電源線34とを備えている。
【0144】
デバイス設置台30は、金型にアルミニウム等の高い熱伝導率を有する金属材料を圧入して鋳造されたダイキャストで形成されることができる。デバイス設置台30は、複数のLED照明デバイス10を設置する箇所としての設置凹部301と、LED照明デバイス10からの熱を効率良く発散させるための放熱溝部302とを有する。
【0145】
設置凹部301には、LED照明デバイス10における均一化光学体13の出射面(発光面)以外の部分が入り込むことが好ましい。これにより、同部分が設置台カバー31の外側から見えることがなくなる。その結果、LED照明装置3による照明を、例えば、従来の蛍光灯の照明状態により近づけることが可能となる。このように、デバイス設置台30は、LED照明装置2(図11及び図12)におけるカバーシート23及び放熱部24の機能をも兼ねる構成要素となっている。
【0146】
設置台カバー31は、ポリカーボネート、PET、又はアクリル等を含む透明なプラスチック樹脂材料で形成されている。設置台カバー31の厚さは、円筒ケース20の厚さと同様に、例えば、300μmとすることができる。
【0147】
設置台カバー31の外表面の少なくとも一部にも、円筒ケース20(図11及び図12)と同じく、DLC膜等である高い硬度を有する保護膜が成膜されていてもよい。さらに、この保護膜として、円筒ケース20と同じく、各種光学系に利用されるハードコート膜を使用することも好ましい。
【0148】
第1の封止キャップ32及び第2の封止キャップ33は、デバイス設置台30及び設置台カバー31の両端それぞれに設置され、デバイス設置台30及び設置台カバー31で形成された内部空間を封止している。第1及び第2の封止キャップ32及び33は、アルミニウム等の金属材料、又はプラスチック材料で形成されており、図13(A)に示すように、装置固定孔320及び330を有していることも好ましい。また、図13(C)に示すように、第1の封止キャップ32に、配線孔321が形成されており、電源線34が、この配線孔321を介して外部に引き出されている。
【0149】
また、本実施形態においても、従来の蛍光灯の照明状態を概ね再現するために、複数のLED照明デバイス10の微小レンズ配列部131は、互いに接触し連なって配置されていてよい。また、変更態様として、複数の基台11を1つの基板に統合したり、複数の微小レンズ配列部131を1つの微小レンズ配列連続体に統合したりすることも好ましい。さらに、LED照明デバイス10の均一化光学体13、特に微小レンズ配列部131は、以上に説明した種々の実施形態(実施例)のいずれをも採用可能であり、均一化の促進された、さらには照度及び照明形状が制御された出射光を放射可能である。
【0150】
図14は、微小レンズ配列部131の出射面(発光面)に係る変更態様を示す断面概略図である。
【0151】
図14によれば、LED照明デバイス10の微小レンズ配列部131(微小レンズ131m)の出射面(発光面)131s上に、光拡散膜19が形成されている。光拡散膜19は、例えば、平均粒径(レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)が5μmのシリカが混入されたアクリル樹脂から形成された、厚さ40μmの塗布膜とすることができる。このようなLED照明デバイス10を、LED照明装置1(図10)、LED照明装置2(図11及び図12)、又はLED照明装置3(図13)に使用することによって、より拡散され均一化が促進された出射光が得られ、例えば、従来の蛍光灯の照明状態により近づけることが可能となる。
【0152】
[LED照明装置の照明形状]
図15は、本発明によるLED照明装置の照明形状に係る種々の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【0153】
図15(A)の実施形態によれば、照明装置として、LED照明装置1(図10)、LED照明装置2(図11及び図12)又はLED照明装置3(図13)が用いられ、LED照明装置1、2又は3は、照明対象平面を照明している。ここで、LED照明装置1、2又は3では、複数のLED照明デバイス10が配列しており、照明対象平面は、これらLED照明デバイス10(微小レンズ配列部131)の光軸に垂直な平面となっている。
【0154】
LED照明デバイス10は、例えば、実施例2、4−1、4−2、4−3、5、又は領域分割(実施例5)の変更態様(図9、表5)と同様の形態を採用したものであり、各LED照明デバイス10の出射光4が照明対象平面上になす照明領域40は、概ね長方形状又は正方形状となるように設定されている。
【0155】
この場合、LED照明装置1、2又は3から放射される照射光5は、出射光4が互いに一部重畳しながら並んだものとなる。その結果、照射光5が照明対象平面上になす照明領域50は、照明領域40が互いに一部重畳しながら配列したものとなり、装置長手方向(LED照明デバイス10の配列方向:X軸方向)に伸長した概ね長方形状となる。
【0156】
図15(B)の実施形態によれば、照明装置内のLED照明デバイス10は、例えば、実施例3と同様の形態を採用したものであり、各LED照明デバイス10の出射光6が照明対象平面上になす照明領域60は、概ね楕円形状となるように設定されている。
【0157】
この場合、LED照明装置1、2又は3から放射される照射光7は、出射光6が互いに一部重畳しながら並んだものとなる。その結果、照射光7が照明対象平面上になす照明領域70は、照明領域60が互いに一部重畳しながら配列したものとなり、装置長手方向(X軸方向)の両端辺が湾曲した長方形状となる。
【0158】
図15(C)の実施形態によれば、照明装置内のLED照明デバイス10は、例えば、実施例2と同様の形態を採用したものであり、各LED照明デバイス10の出射光8及び8′が照明対象平面上になす照明領域80及び80′は、概ね長方形状となるように設定されている。
【0159】
ここで、照明装置内において、照明領域80をなすLED照明デバイス10と、照明領域80′をなすLED照明デバイス10とは、交互に並んで列をなしている。照明領域80をなすLED照明デバイス10の微小レンズ配列部131は、例えば、実施例2の如く(ピッチP)<(ピッチP)となっており、一方、照明領域80′をなすLED照明デバイス10の微小レンズ配列部131は、実施例2とは反対に(ピッチP)>(ピッチP)となっている。
【0160】
この場合、LED照明装置1、2又は3から放射される照射光9は、出射光8及び8′が互いに一部重畳しながら並んだものとなる。その結果、照射光9が照明対象平面上になす照明領域90は、照明領域80及び80′が互いに一部重畳しながら配列したものとなり、装置長手方向(X軸方向)に伸長した概ね長方形状となる。
【0161】
ここで、照明領域90内には、複数の照明領域80′が互いに一部重畳して形成された照度のより高い長方形領域90′が形成されている。すなわち、照明領域90内において、特に照度を必要とする領域に合わせた形状を有する領域90′を象ることも可能となる。
【0162】
さらに、照明形状及びその向き・サイズの点で互いに異なる種々のLED照明デバイス10を、様々な順序でLED照明装置内に配列させることによって、照射光の照明形状を様々な形状に制御したり、照明形状内に種々の異なる照明形状を有する照度領域を形成したりすることも可能となる。
【0163】
以上述べた実施形態によれば、LED照明装置から、均一化の促進された、さらには照明形状が制御された照射光を得ることが可能となる。ここで、この照射光の照明形状を、照射対象の形状に合わせることによって、概ね照明対象のみを照明することができる。その結果、必要な照度が、必要なだけの範囲で、高い電力効率の下確保可能となる。
【0164】
なお、以上に述べた実施形態は全て、本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0165】
1、2、3 LED照明装置
10 LED照明デバイス10
11 基台
12 LED光源
13 均一化光学体
130 配光角制御レンズ部
130c 凹部
130cs 入射内面
131 微小レンズ配列部
131a レンズ配列面
131m 微小レンズ
14 脚部
15 強度分布
16 ケース
17 蓋体
18、34 電源線
19 光拡散膜
20 円筒ケース
21 第1のキャップ
21p 電極ピン
22 第2のキャップ
22p ダミー電極ピン
23 カバーシート
24 放熱部
25 凹凸部
30 デバイス設置台
301 設置凹部
302 放熱溝部
31 設置台カバー
32 第1の封止キャップ
33 第2の封止キャップ
4、6、8、8′ 出射光
5、7、9 照射光
40、50、60、70、80、80′、90 照明領域
90′ 長方形領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長の光を放射する発光ダイオードチップを備え、少なくとも該第1波長の光と該第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を放射する光源と、
放射された前記混色光の均一化を促進させる均一化光学体と
を備えており、前記均一化光学体は、
放射された前記混色光が入射後に集光される入射面を有しており、入射した該混色光を所定の配光角に制御する配光角制御レンズ部と、
前記配光角制御レンズ部における前記入射面とは反対側の出射位置をレンズ配列面として配列した複数の微小レンズを含み、配光角が制御された前記混色光を、該レンズ配列面を介して受光して分散させる微小レンズ配列部と
を備えており、
前記複数の微小レンズの曲率半径R、隣接した前記微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっていることを特徴とするLED照明デバイス。
【請求項2】
前記複数の微小レンズの頂点が正方格子又は長方格子を成しており、前記曲率半径R、前記ピッチP、又は前記曲率半径R及び前記ピッチPの両方が、前記レンズ配列面内におけるレンズ頂点間を結ぶ1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向とで異なっていて、前記混色光の分散が方向毎に制御されることを特徴とする請求項1に記載のLED照明デバイス。
【請求項3】
前記複数の微小レンズの頂点が六角格子を成しており、前記曲率半径R、前記ピッチP、又は前記曲率半径R及び前記ピッチPの両方が、曲率半径Rについては前記レンズ配列面内におけるレンズ頂点間を結ぶ1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で、異なっていて、前記混色光の分散が方向毎に制御されることを特徴とする請求項1に記載のLED照明デバイス。
【請求項4】
前記曲率半径R、前記ピッチP、又は前記曲率半径R及び前記ピッチPの両方が、前記レンズ配列面内のレンズ頂点を結ぶ少なくとも1つの軸の方向に沿って、値を変化させ非均一な分布をなしていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項5】
前記微小レンズ配列部の前記レンズ配列面が、少なくとも第1の領域と第2の領域とを有し、
前記第1の領域では、前記曲率半径R、前記ピッチP、又は前記曲率半径R及び前記ピッチPの両方が取る値であって、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向とのそれぞれにおいて、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向において取る値からなる第1の組が設定され、
前記第2の領域では、前記曲率半径R、前記ピッチP、又は前記曲率半径R及び前記ピッチPの両方が取る値であって、曲率半径の絶対値Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向とのそれぞれにおいて、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向において取る値からなる第2の組であって、前記第1の組とは異なる第2の組が設定される
ことを特徴とする請求項4に記載のLED照明デバイス。
【請求項6】
前記微小レンズ配列部から放射される出射光の照明形状が、略正方形状、略長方形状、略楕円状、又は略十字状に制御されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項7】
前記曲率半径Rと前記ピッチPとの比P/Rが、前記レンズ配列面内のレンズ頂点を結ぶ各軸の方向において、0.4以上であって、前記微小レンズ配列部の前記レンズ配列面内に該微小レンズではない領域が形成されない上限値以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項8】
前記配光角制御レンズ部は、入射した前記混色光を、半値全角幅として5度から40度までの範囲内の値の配光角に制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項9】
前記配光角制御レンズ部は、少なくとも前記光源の発光面を内部に含む凹部であって、前記光源から放射される前記混色光が集光されるような入射角で入射する入射内面を有する凹部を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項10】
前記微小レンズ配列部の出射面が、出射光を拡散させる光拡散膜で被覆されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のLED照明デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された、複数のLED照明デバイスを備えており、
前記複数のLED照明デバイスの各々からの出射光が、互いに一部重畳しながら並ぶことによって照射光を形成し、該照射光による照明形状は、該出射光による照明形状が互いに一部重畳しながら配列した形状となる
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項12】
前記照射光による照明形状が、前記LED照明装置の長手方向に伸長した概ね長方形状となることを特徴とする請求項11に記載のLED照明装置。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか1項に記載された、複数のLED照明デバイスと、該複数のLED照明デバイスが内部に並んで配置されたケースとを備えており、
前記ケースの外表面の少なくとも一部が、機械的強度を高める保護膜で被覆されている
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項14】
前記ケースは、該ケース内を伝播する光を拡散させる光拡散材料を含むプラスチックで形成されていることを特徴とする請求項13に記載のLED照明装置。
【請求項15】
前記保護膜は、該保護膜内を伝播する光を拡散させる光拡散材料を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載のLED照明装置。
【請求項16】
前記ケース内に配置された複数のLED照明デバイスと接する放熱部を更に備えており、
前記ケースの一部に、前記放熱部と部分的に接する凹凸が形成されている
ことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載のLED照明装置。
【請求項17】
第1波長の光を放射する発光ダイオードチップを備えた光源から放射される、少なくとも該第1波長の光と該第1波長とは異なる第2波長の光との混色光を用いて照明を行う方法であって、
放射された前記混色光を、入射光が集光される入射面からレンズに入射させて、所定範囲内の値の配光角に制御し、
配列した複数の微小レンズであって、該複数の微小レンズの曲率半径R、隣接した該微小レンズにおけるレンズ頂点間の距離であるピッチP、又は該曲率半径R及び該ピッチPの両方が、曲率半径Rについてはレンズ配列面内における1つの軸の方向と該軸に垂直な軸の方向との間で、ピッチPについてはレンズ配列面内におけるレンズ頂点を結ぶ軸それぞれの方向の間で異なっている複数の微小レンズを介して、配光角が制御された少なくとも前記混色光を方向毎に分散させ、均一化が促進された照明光を得る
ことを特徴とする照明方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105942(P2013−105942A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249667(P2011−249667)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(508243145)マイクロコントロールシステムズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】